JPH10235793A - 製缶用積層体及びシームレス缶 - Google Patents

製缶用積層体及びシームレス缶

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JPH10235793A
JPH10235793A JP4267497A JP4267497A JPH10235793A JP H10235793 A JPH10235793 A JP H10235793A JP 4267497 A JP4267497 A JP 4267497A JP 4267497 A JP4267497 A JP 4267497A JP H10235793 A JPH10235793 A JP H10235793A
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勝宏 今津
Akiko Tsuchiya
晶子 土谷
Taiji Nakamura
泰治 中村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温処理及び長期保存において、フィルム中
に必然的に存在する低分子量成分の内容物中への移行を
極力抑え、濁りを抑制するシームレス缶を提供するにあ
る。 【解決手段】 金属基体と該基体表面に設けられた熟可
塑性ポリエステル層とからなる製缶用積層体において、
前記熱可塑性ポリエステル層が、エチレンテレフタレー
ト単位を主体とし且つエチレンナフタレート単位を、全
塩基性カルボン酸成分当たりのナフタレンジカルボン酸
成分の量が1.0乃至20モル%となるように含有する
共重合ポリエステルから形成されることを特徴とする製
缶用積層体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は製缶用積層体及びこ
の積層体を用いて製造されたシームレス缶に関するもの
で、より詳細には高温殺菌されているコーヒー飲料、お
茶類充填に使用でき、高温での貯蔵安定性が顕著に改善
され、内容物の保存性に優れた積層体及びこの積層体か
ら成形されたシームレス容器に関する。
【0002】
【従来の技術】金属素材を熱可塑性ポリエステルフィル
ムで被覆した積層体は、製缶用素材として古くから知ら
れており、この積層体を絞り加工或いは絞り・しごき加
工に付して、飲料等を充填するためのシームレス缶とす
ることもよく知られている。
【0003】金属素材に積層する熱可塑性ポリエステル
としては、加工性、耐腐食性、香味保持性等の見地か
ら、エチレンテレフタレート単位を主体とし、所望によ
り、他のエステル単位を含むポリエステル或いは共重合
ポリエステルが使用されてきた。
【0004】特開平7−82391号公報には、平均粒
径2.5μm以下の滑剤を含有する共重合ポリエステル
からなる二軸配向フイルムであって、該共童合ポリエス
テルが2,6−ナフタレンジカルボン酸80〜95モル
%及びメチレン基数2〜10の脂肪族直鎖ジカルボン酸
5〜20モル%からなる酸成分と、主としてエチレング
リコールからなるグリコール成分とから構成され、かつ
固有粘度([η〕)0.5〜0.7の分子量を有するこ
とを特徴とする全属板貼合せ成形加工用ポリエステルフ
イルムが記載されている。
【0005】特開平5−255492号公報には、ジカ
ルボン酸成分としてテレフタル酸、ジオール成分として
エチレングリコールを主成分とし、また、少量のナフタ
レンジカルボン酸単位(0.2〜6モル%)、ジエチレ
ングリコール単位を合み、環状三量体合量が0.40重
量%以下、更に、極限粘度、密度が特定範囲にある共重
合ポリエステル及びその成形体が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】熱可塑性ポリエステル
を被覆した積層体から形成されたシームレス缶は、耐腐
食性については、一応満足できる評価は得られているも
のの、近年、レトルト殺菌の合理化や効率化のために、
高温レトルトが望まれている。高温でのレトルトでは、
内面側のポリエステルフィルムからの低分子量成分の溶
出量が大きくなることがわかった。
【0007】即ち、高温湿熱条件下では、フィルム中に
必然的に含まれている低分子量成分の内容物への移行量
が大きくなり、また、低分子量成分の中でも、比較的高
分子量成分であり、本来水溶液に対する溶解度のきわめ
て小さいものである成分の抽出が顕著になる。内容物中
に移行する量は、厚生省告示規則、及び米国FDA規則
による制限量よりはるかに少なくとも、高温処理また、
さらに長期間保存される場合、内容物中に移行した比較
的高分子量の成分は凝集して粒子サイズが大きくなり濁
りを生ずる場合があり、心証的に好ましいものではな
い。
【0008】従って、本発明の目的は、高温処理及び長
期保存において、フィルム中に必然的に存在する低分子
量成分の内容物中への移行を極力抑え、濁りを抑制する
シームレス缶を提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、金属基
体と該基体表面に設けられた熟可塑性ポリエステル層と
からなる製缶用積層体において、前記熱可塑性ポリエス
テル層が、エチレンテレフタレート単位を主体とし且つ
エチレンナフタレート単位を、全塩基性カルボン酸成分
当たりのナフタレンジカルボン酸成分の量が1.0乃至
20モル%となるように含有する共重合ポリエステルか
ら形成されることを特徴とする製缶用積層体が提供され
る。本発明において、前記ポリエステルは、そのガラス
転移点(Tg、示差走査熱量計による)が80℃以上で
あること、共重合ポリエステルが固有粘度0.5以上の
分子量を有すること、シームレス缶上部の前記共重合ポ
リエステルが50J/g以下の融解エンタルピー(示差
走査熱量計による)を有するものであること、が好まし
い。
【0010】本発明によれば、上記積層体の絞り成形或
いは絞り・しごき成形で形成されたシームレス缶、特
に、ホットベンダーに適したコーヒー飲料或いはお茶類
の充填用シームレス缶が提供される。
【0011】
【発明の実施形態】[作用] 1. 本発明の製缶用積層体は、金属基体と該基体表面
に設けられた熟可塑性ポリエステル層とからなるが、本
発明においては、この熱可塑性ポリエステル層として、
エチレンテレフタレート単位を主体とし且つエチレンナ
フタレート単位を、全塩基性カルボン酸成分当たりのナ
フタレンジカルボン酸成分の量が1.0乃至20モル%
となるように含有する共重合ポリエステルを用いること
により、シームレス缶への優れた成形性を確保し、且つ
優れた耐デント性を維持しながら、高温湿熱条件下での
樹脂層の経時劣化を防止し且つ内容物の保存性を向上さ
せることができる。 2.ポリエチレンテレフタレートは、結晶性であると共
に高い融点を有し、引っ張り強さ、耐衝撃性、耐屈曲疲
労をはじめとして優れた諸性能を有するが、高温湿熱条
件下では、物性が急激に低下するという欠点を有してい
る。例えば、130℃のオートクレーブ処理における経
時時間と伸びの保持率との関係を調べると、ポリエチレ
ンテレフタレートでは、伸びの保持率が、20時間で約
85%、40時間で約70数%、60時間で50%以下
と、経時により伸びの保持率が大きく低下することが認
められる。この理由は、ポリエチレンテレフタレート
が、高温湿熱条件下で加水分解を受けるためと考えられ
る。 3.これに対して、エチレンテレフタレート単位を主体
とするポリエステル中に、エチレンナフタレート単位
を、全塩基性カルボン酸成分当たりのナフタレンジカル
ボン酸成分の量が1.0乃至20モル%となるように共
重合せしめると、上述したオートクレーブ処理に際して
も、20時間で90%以上、40時間で80%以上、6
0時間で60%以上と、経時による伸びの保持率を顕著
に改善することが可能となり、高温湿熱条件下での経時
劣化を有効に防止することが可能となるのである。 4.本発明において、高温湿熱条件下での経時劣化が有
効に防止されるのは、エチレンナフタレート単位の導入
により、ポリエステル層のガラス転移点が向上している
ためと思われる。ポリエチレンテレフタレートのガラス
転移点は78℃であるが、本発明の積層体におけるガラ
ス転移点は80℃以上であり、ガラス転移点が向上して
いる。 5.本発明においては、エチレンテレフタレート単位を
主体とし且つエチレンナフタレート単位を、全塩基性カ
ルボン酸成分当たりのナフタレンジカルボン酸成分の量
が1.0乃至20モル%となるように共重合せしめた共
重合ポリエステルでは、驚くべきことに、高温湿熱条件
下での内容物の保存性が顕著に改善されることが分かっ
た。エチレンテレフタレート単位を含有しないポリエス
テル層を備えたシームレス缶におけるレトルト殺菌時に
おける濁りの発生は、濁度で1.5乃至4.1のオーダ
ーであるのに対して、エチレンテレフタレート単位を上
記の割合で含有するポリエステル層を備えたシームレス
缶では、濁りの発生を、濁度で1桁低いオーダーに抑制
することができる。 6.ポリエステル層を備えたシームレス缶において、濁
りの発生はポリエステル中のオリゴマーの溶出によるも
のであるが、本発明における特定の共重合ポリエステル
では、このオリゴマーの溶出が著しく抑制されているの
である。この事実は、本発明者らの多数の実験により、
現象として見いだされたものであり、本発明は以下の理
由により何らかの拘束を受けるものではないが、その理
由は次のようなものと考えられる。 7.一般に、自由体積とは、物質により占められている
体積の内、構成粒子(この場合重合体鎖)によって占め
られていない体積をいう。文献によると、ポリエチレン
テレフタレートの自由体積率は、300゜Kで0.3
9、400゜Kで0.41、500゜Kで0.44であ
るのに対して、ポリエチレンナフタレートでは、300
゜Kで0.32、400゜Kで 0.33、500゜K
で0.34であって、ポリエチレンテレフタレートに比
して小さな自由体積率を示す。即ち、本発明に用いる共
重合ポリエステルでは、エチレンナフタレート単位の導
入によりポリエチレンテレフタレートに比して自由体積
が減少しており、この自由体積の減少が、濁り発生の原
因となるオリゴマーの混入を抑制していると考えられ
る。 8.本発明に用いる共重合ポリエステルは、固有粘度
0.5以上の分子量を有するのがよく、これにより、腐
食成分に対する優れたバリアー性と優れた機械的性質と
が得られる。 9.また、本発明に用いる共重合ポリエステルは、50
J/g以下の融解エンタルピー(示差走査熱量計によ
る)を有することが、シームレス缶の巻き締め成形によ
る密封性確保の点で重要である。
【0012】[シームレス缶及び積層体の概略]本発明
のシームレス缶の一例を示す図1において、この深絞り
缶1は前述した共重合ポリエステル−金属ラミネートの
曲げ伸ばし−しごき加工により形成され、底部2と側壁
部3とから成っている。側壁部3の上端には所望により
ネック部4を介してフランジ部5が形成されている。こ
の缶1では、底部2に比して側壁部3は曲げ伸ばし及び
しごき加工により積層体元厚の30乃至100%、特に
30乃至85%の厚みとなるように薄肉化されている。
【0013】側壁部3の断面構造の一例を示す図2にお
いて、この側壁部3は金属基体6と共重合ポリエステル
系フィルム7とから成っている。金属基体6には外面被
膜8が形成されているが、この外面被膜8はフィルム内
面被膜7と同様のものであってもよいし、また通常の缶
用塗料や樹脂フィルム被覆であってもよい。
【0014】側壁部の断面構造の他の例を示す図3にお
いて、ポリエステル層7と金属基体6との間に接着用プ
ライマーの層9を設けている以外は、図3の場合と同様
である。これらの何れの場合も、底部2の断面構造は、
薄肉化加工を受けていないだけで、側壁部3の断面構造
と同様である。
【0015】[金属板]本発明では、金属板としては各
種表面処理鋼板やアルミニウム等の軽金属板が使用され
る。
【0016】表面処理鋼板としては、冷圧延鋼板を焼鈍
後二次冷間圧延し、亜鉛メッキ、錫メッキ、ニッケルメ
ッキ、電解クロム酸処理、クロム酸処理等の表面処理の
一種または二種以上行ったものを用いることができる。
好適な表面処理鋼板の一例は、電解クロム酸処理鋼板で
あり、特に10乃至300mg/m2 の金属クロム層と
1乃至50mg/m2 (金属クロム換算)のクロム酸化
物層とを備えたものであり、このものは塗膜密着性と耐
腐食性との組合せに優れている。表面処理鋼板の他の例
は、0.5乃至11.2g/m2 の錫メッキ量を有する
硬質ブリキ板である。このブリキ板は、金属クロム換算
で、クロム量が1乃至30mg/m2 となるようなクロ
ム酸処理或いはクロム酸−リン酸処理が行われているこ
とが望ましい。
【0017】更に他の例としては、アルミニウムメッ
キ、アルミニウム圧接等を施したアルミニウム被覆鋼板
が用いられる。
【0018】軽金属板としては、所謂アルミニウム板の
他に、アルミニウム合金板が使用される。耐腐食性と加
工性との点で優れたアルミニウム合金板は、Mn:0.
2乃至1.5重量%、Mg:0.8乃至5重量%、Z
n:0.25乃至0.3重量%、及びCu:0.15乃
至0.25重量%、残部がAlの組成を有するものであ
る。これらの軽金属板も、金属クロム換算で、クロム量
が20乃至300mg/m2 となるようなクロム酸処理
或いはクロム酸/リン酸処理が行われていることが望ま
しい。
【0019】金属板の素板厚、即ち缶底部の厚み(tB
)は、金属の種類、容器の用途或いはサイズによって
も相違するが、一般に0.10乃至0.50mmの厚み
を有するのがよく、この内でも表面処理鋼板の場合に
は、0.10乃至0.30mmの厚み、また軽金属板の
場合には0.15乃至0.40mmの厚みを有するのが
よい。
【0020】[共重合ポリエステル系フィルム]本発明
に用いる共重合ポリエステル系フィルムは、エチレンテ
レフタレート単位を主体とし且つエチレンナフタレート
単位を、全塩基性カルボン酸成分当たりのナフタレンジ
カルボン酸成分の量が1.0乃至20モル%となるよう
に含有する共重合ポリエステルから成る。
【0021】ナフタレンジカルボン酸の含有量が上記範
囲を下回ると、本発明が意図する高温湿熱条件下での経
時劣化防止や内容物保存性の改善が不十分であり、ま
た、他の共重合成分を含有しない場合には、成形性が低
下し、耐デント性や耐レトルト性も低下する(比較例
1)。ナフタレンジカルボン酸の含有量が上記範囲を上
回ると、共重合ポリエステルは非晶質状態となり、製膜
性が得られず、有用なフィルムとは成り得ない(比較例
3)。一方、ナフタレンジカルボン酸の含有量が、十分
な製膜性が得られるような多い量の場合には、シームレ
ス缶への成形性が得られない(比較例2)。
【0022】ナフタレンジカルボン酸は、ナフタレン−
2,6−ジカルボン酸から成ることが好ましいが、本発
明の本質を損なわない範囲で、それ以外のナフタレンジ
カルボン酸の少量を含んでいてもよい。
【0023】テレフタル酸を主体とする二塩基酸及び前
述した量のナフタレン−2,6−ジカルボン酸とエチレ
ングリコールを主体とするジオールとから誘導された共
重合ポリエステルであることが好ましい。テレフタル酸
は酸成分の50モル%以上を占めていることが好まし
い。
【0024】テレフタル酸以外の二塩基酸としては、イ
ソフタール酸、P−β−オキシエトキシ安息香酸、ジフ
ェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸、5−ナトリ
ウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、
アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸等を挙げることが
でき。
【0025】またエチレングリコール以外のジオール成
分としては、プロピレングリコール、1,4−ブタンジ
オール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキシレン
グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリ
コール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノール
Aのエチレンオキサイド付加物などのグリコール成分を
挙げることができる。
【0026】テレフタル酸以外の二塩基酸は、酸性分を
基準にして、30モル%以下、特に20モル%以下の量
で含有することが許容される。
【0027】イソフタル酸を含有する共重合ポリエステ
ルは、共重合体の融解エンタルピーを下げて、成形性や
耐デント性の改善が大であり、また種々の成分、香味成
分や腐食成分に対してバリアー効果が大きく、吸着性に
おいても少ないという特徴を有する。
【0028】共重合ポリエステルのジオール成分として
は、エチレングリコールを主体とするものが好ましい。
ジオール成分の95モル%以上、特に98モル%以上が
エチレングリコールからなることが、分子配向性、腐食
成分や香気成分に対するバリアー性等から好ましい。
【0029】共重合ポリエステルは、フィルム形成範囲
の分子量を有するべきであり、溶媒として、フェノール
/テトラクロロエタン混合溶媒を用いて測定した固有粘
度〔η〕は0.5乃至1.5、特に0.6乃至1.5の
範囲にあるのが腐食成分に対するバリアー性や機械的性
質の点でよい。
【0030】本発明に用いる金属板−ポリエステル積層
体のポリエステル層は、コポリエステルの単独から成る
フィルムでも、或いは2種以上の共重合ポリエステルフ
ィルムの積層体から成る積層フィルムであってもよい。
後者の積層フィルムの場合、上層フィルムがエチレンナ
フタレート単位を含む共重合ポリエステルであり、下層
フィルムは金属への接着性に優れ、耐デント性に優れた
それ自体公知の共重合ポリエステルであってよい。
【0031】本発明に使用する共重合ポリエステル系フ
ィルムの厚みは、全体として、2乃至100μm、特に
5乃至50μmの範囲にあるのが金属の保護効果及び加
工性の点でよい。
【0032】共重合ポリエステル系フィルムは一般に二
軸延伸されているべきである。二軸配向の程度は、X線
回折法、偏光蛍光法、複屈折法、密度勾配管法密度等で
も確認することができる。フィルムの2軸延伸の程度
は、(010)面の半値巾(Wh)、従ってフィルム面
に平行な微結晶のサイズに大きな影響を与える。
【0033】勿論、このポリエステル系フィルムには、
それ自体公知のフィルム用配合剤、例えば非晶質シリカ
等のアンチブロッキング剤、二酸化チタン(チタン白)
等の顔料、各種帯電防止剤、滑剤等を公知の処方に従っ
て配合することができる。
【0034】一般に必要でないが、接着用プライマーを
用いる場合には、フィルムへの接着用プライマーとの密
着性を高めるために、二軸延伸ポリエステルフィルムの
表面をコロナ放電処理しておくことが一般に望ましい。
コロナ放電処理の程度は、そのぬれ張力が44dyne
/cm以上となるようなものであることが望ましい。
【0035】この他、フィルムへのプラズマ処理、火炎
処理等のそれ自体公知の接着性向上表面処理やウレタン
樹脂系、変性ポリエステル樹脂系等の接着性向上コーテ
ィング処理を行っておくことも可能である。
【0036】[ラミネートの製造方法]本発明に用いる
共重合ポリエステル−金属ラミネートは、二軸延伸共重
合ポリエステルフィルムを金属に熱接着させることによ
り製造することができる。
【0037】共重合ポリエステル−金属ラミネートの製
造方法を説明するための図4において、金属板6を加熱
ロール10により用いる共重合ポリエステルの融点(T
m)以上の温度(T1 )に加熱し、ラミネートロール1
1、11間に供給する。一方、共重合ポリエステルフィ
ルム7(7’)は、供給ロール12から巻きほぐされ、
ラミネートロール11、11間に金属板6をサンドイッ
チする位置関係で供給される。ラミネートロール11、
11は、加熱ロール10よりも若干低い温度(T2 )に
保たれており、金属板6の両面にポリエステルフィルム
を熱接着させる。ラミネートロール11、11の下方に
は、形成されるラミネート13を急冷するための冷却水
14を収容した水槽が設けられており、この水槽中にラ
ミネートを導くガイドローラ15が配置されている。ラ
ミネートロール11、11から排出される積層体は冷却
水14中に導かれて、急冷される。
【0038】ポリエステルフィルムと金属素材の間に所
望により設ける接着プライマーは、金属素材とフィルム
との両方に優れた接着性を示すものである。密着性と耐
腐食性とに優れたプライマー塗料の代表的なものは、種
々のフェノール類とホルムアルデヒドから誘導されるレ
ゾール型フェノールアルデヒド樹脂と、ビスフェノール
型エポキシ樹脂とから成るフェノールエポキシ系塗料で
あり、特にフェノール樹脂とエポキシ樹脂とを50:5
0乃至5:95重量比、特に40:60乃至10:90
の重量比で含有する塗料である。
【0039】接着プライマー層は、一般に0.01乃至
10μmの厚みに設けるのがよい。接着プライマー層は
予め金属素材上に設けてよく或いは予めポリエステルフ
ィルム上に設けてもよい。
【0040】[シームレス缶の製造]本発明のシームレ
ス缶は、上記の共重合ポリエステル−金属ラミネートを
ポンチとダイスとの間で、有底カップに絞り−深絞り成
形し、最終段の深絞り段階で曲げ伸しとしごきによりカ
ップ側壁部の薄肉化を行なうことにより製造される。即
ち、前述した配向結晶化特性を有するポリエステルフィ
ルム層を、シームレス缶の側壁部に形成させるには、薄
肉化のための変形を、缶軸方向(高さ方向)の荷重によ
る変形(曲げ伸ばし)と缶厚み方向の荷重による変形
(しごき)との組み合わせでしかもこの順序に行うこと
が一般に重要である。一方、曲げ伸ばしはエチレンテレ
フタレート単位のc軸方向への分子配向を与え、一方し
ごきはエチレンテレフタレート単位のベンゼン面のフィ
ルム面に平行な分子配向を与えるからである。
【0041】ラミネートの絞り−しごき成形は次の手段
で行われる。即ち、図5に示す通り、被覆金属板から成
形された前絞りカップ21は、このカップ内に挿入され
た環状の保持部材22とその下に位置する再絞り−しご
きダイス23とで保持される。これらの保持部材22及
び再絞り−しごきダイス23と同軸に、且つ保持部材2
2内を出入し得るように再絞り−しごきポンチ24が設
けられる。再絞り−しごきポンチ24と再絞り−しごき
ダイス23とを互いに噛みあうように相対的に移動させ
る。
【0042】再絞り−しごきダイス23は、上部に平面
部25を有し、平面部の周縁に曲率半径の小さい作用コ
ーナー部26を備え、作用コーナー部に連なる周囲に下
方に向けて径の増大するテーパー状のアプローチ部27
を有し、このアプローチ部に続いて小曲率部28を介し
て円筒状のしごき用のランド部(しごき部)29を備え
ている。ランド部29の下方には、逆テーパ状の逃げ3
0が設けられている。
【0043】前絞りカップ21の側壁部は、環状保持部
材22の外周面31から、その曲率コーナ部32を経
て、径内方に垂直に曲げられて環状保持部材22の環状
底面33と再絞りダイス23の平面部25とで規定され
る部分を通り、再絞りダイス23の作用コーナ部26に
より軸方向にほぼ垂直に曲げられ、前絞りカップ21よ
りも小径の深絞りカップに成形される。この際、作用コ
ーナー部26において、コーナー部26と接する側の反
対側の部分は、曲げ変形により伸ばされ、一方、作用コ
ーナー部と接する側の部分は、作用コーナー部を離れた
後、戻し変形で伸ばされ、これにより側壁部の曲げ伸ば
しによる薄肉化が行われる。
【0044】曲げ伸ばしにより薄肉化された側壁部は、
その外面が径の次第に増大する小テーパー角のアプロー
チ部27と接触し、その内面がフリーの状態で、しごき
部29に案内される。側壁部がアプローチ部を通過する
行程は続いて行うしごき行程の前段階であり、曲げ伸ば
し後のラミネートを安定化させ、且つ側壁部の径を若干
縮小させて、しごき加工に備える。即ち、曲げ伸ばし直
後のラミネートは、曲げ伸ばしによる振動の影響があ
り、フィルム内部には歪みも残留していて、未だ不安定
な状態にあリ、これを直ちにしごき加工に付した場合に
は、円滑なしごき加工を行い得ないが、本発明によれ
ば、側壁部の外面側をアプローチ部27と接触させてそ
の径を縮小させると共に、内面側をフリーの状態にする
ことにより、振動の影響を防止し、フィルム内部の不均
質な歪みも緩和させて、円滑なしごき加工を可能にする
ものである。
【0045】アプローチ部27を通過した側壁部は、し
ごき用のランド部(しごき部)29と再絞り−しごきポ
ンチ24との間隙に導入され、この間隙(C1)で規制
される厚みに圧延される。最終側壁部の厚みC1は積層
体元厚(t)の30乃至85%の厚みとなるように定め
る。尚、しごき部導入側の小曲率部28は、しごき開始
点を有効に固定しながら、しごき部29への積層体の導
入を円滑に行うものであり、ランド部29の下方の逆テ
ーパ状の逃げ30は、加工力の過度の増大を防ぐもので
ある。
【0046】再絞り−しごきダイス23の曲率コーナー
部26の曲率半径Rdは、曲げ伸ばしを有効に行う上で
は、ラミネートの肉厚(t)の2.9倍以下であるべき
であるが、この曲率半径があまり小さくなるとラミネー
トの破断が生じることから、ラミネートの肉厚(t)の
1倍以上であるべきである。
【0047】テーパー状のアプローチ部27のアプロー
チ角度(テーパー角度の1/2)αは1乃至5゜を有す
るべきである。このアプローチ部角度が上記範囲よりも
小さいと、ポリエステルフィルム層の配向緩和やしごき
前の安定化が不十分なものとなり、アプローチ部角度が
上記範囲よりも大きいと、曲げ伸ばしが不均一な(戻し
変形が不十分な)ものとなり、何れの場合もフィルムの
割れや剥離を生じることなしに、円滑なしごき加工が困
難となる。
【0048】小曲率部28の曲率半径Riは、しごき開
始点の固定有効に行う上では、ラミネートの肉厚(t)
の0.3倍以上、20倍以下であるべきであるが、この
曲率半径があまり小さくなるとラミネートの破断が生じ
ることから、ラミネートの肉厚(t)の20倍以下にす
ることが好ましい。
【0049】しごき用のランド部28と再絞り−しごき
ポンチ24ポンチとクリアランスは前述した範囲にある
が、ランド長Lは、一般に0.5乃至30mmの長さを
有しているのがよい。この長さが上記範囲よりも大きい
と加工力が過度に大きくなる傾向があり、一方上記範囲
よりも小さいとしごき加工後の戻りが大きく、好ましく
ない場合がある。
【0050】本発明において、フランジ部のポリエステ
ル層は、過酷な巻締加工を受けることから、缶側壁部の
ポリエステル層に比してマイルドな加工を受けているこ
とが好ましい。これにより、巻締部の密封性及び耐腐食
性を向上させることができる。
【0051】この目的のため、しごき後の缶側壁部の上
端に、缶側壁部の厚みよりも厚いフランジ形成部が形成
されるようにする。即ち、缶側壁部の厚みをt1 及びフ
ランジ部の厚みをt2 とすると、t2 /t1 の比は、
1.01乃至2.0、特に1.05乃至1.7の範囲に
定めるのがよい。
【0052】本発明のシームレス缶を製造するに際し
て、表面の共重合ポリエステル層は十分な潤滑性能を付
与するものであるが、より潤滑性を高めるために、各種
油脂類或いはワックス類等の潤滑剤を少量塗布しておく
ことができる。勿論、潤滑剤を含有する水性クーラント
(当然冷却も兼ねる)を使用することもできるが、操作
の簡単さの点では避けた方がよい。
【0053】また、再絞り−しごき加工時の温度(しご
き終了直後の温度)は、ポリエステルのガラス転移点
(Tg)よりも100℃高い温度以下で且つ10℃以上
の温度であることが好ましい。このため、工具の加温を
行ったり、或いは逆に冷却を行うことが好ましい。
【0054】本発明によれば、次いで絞り成形後の容器
を、少なくとも一段の熱処理に付することができる。こ
の熱処理には、種々の目的があり、加工により生じるフ
ィルムの残留歪を除去すること、加工の際用いた滑剤を
表面から揮散させること、表面に印刷した印刷インキを
乾燥硬化させること等が主たる目的である。この熱処理
には、赤外線加熱器、熱風循環炉、誘導加熱装置等それ
自体公知の加熱装置を用いることができる。また、この
熱処理は一段で行ってもよく、2段或いはそれ以上の多
段で行うこともできる。熱処理の温度は、180乃至2
40℃の範囲が適当である。熱処理の時間は、一般的に
いって、1乃至10分のオーダーである。
【0055】熱処理後の容器は急冷してもよく、また放
冷してもよい。即ち、フィルムや積層板の場合には急冷
操作が容易であるが、容器の場合には、三次元状でしか
も金属による熱容量も大きいため、工業的な意味での急
冷操作はたいへんであるが、本発明では急冷操作なしで
も、結晶成長が抑制され、優れた組合せ特性が得られる
のである。勿論、所望によっては、冷風吹付、冷却水散
布等の急冷手段を採用することは任意である。
【0056】得られた缶は、所望により、一段或いは多
段のネックイン加工に付し、フランジ加工を行って、巻
締用の缶とする。
【0057】
【実施例】本発明を次の例で説明する。本発明の特性値
は以下の測定法による。
【0058】被覆金属板の作成 図4に示す装置を使用し、次の通り被覆金属板を製造し
た。TFS鋼板(板厚0.195mm、調質度T−4、
金属クロム量110mg/m2 、クロム水和酸化物量1
5mg/m2 )の片面に、表1に示した組成からなるポ
リエステル樹脂を縦3.0倍、横3.0倍で二軸延伸し
た膜厚20μmのフィルムを、他の面にも同様の樹脂組
成で顔料として酸化チタンを20重量%を含有した白色
共重合体ポリエステル樹脂を二軸延伸した膜厚13μm
のフィルムを熱ラミネートし、直ちに水冷することによ
りラミネート金属板を得た。このとき、ラミネート前板
温は、ポリエステル樹脂の融点より約15℃高く設定し
た。また、ラミネートロール温度は150℃、通板速度
は40m/minでラミネートを行った。
【0059】IV(固有粘度)測定 缶胴部を切り出し、6N塩酸にて金属板を溶解して、フ
ィルムを単離した。その後、少なくとも24時間の真空
乾燥に供して、IV測定用サンプルとした。このサンプ
ル200mg分をフェノール/1,1,2,2−テトラ
クロロエタン混合溶液(重量比1:1)に110℃で溶
解し、ウベローデ型粘度計を用いて30℃で比粘度を測
定した。固有粘度は下記式により求めた。 [η]=[(−1+(1+4K’ηso1/2 )/2K’
C](dl/g) K’:ハギンスの恒数(=0.33) C :濃度(g/100ml) ηso:比粘度[=溶液の落下時間−溶媒の落下時間]/
溶媒の落下時間]
【0060】デント試験 コーラを充填した缶を横向きに静置した後、5℃におい
て、金属板の圧延方向に対し直角となる缶軸線上で、缶
のネック加工部の缶底側終点に、径65.5mmの球面
を有する1kgのおもりを60mmの高さから球面が缶
に当たるように落下させて衝撃を与えた。その後、37
℃の温度で貯蔵試験を行い1年後の缶内面の状態を観察
した。
【0061】レトルト処理試験 95℃で蒸留水を充填後、135℃30分のレトルト処
理を行い、室温に戻し蒸留水を抜き取り濁度測定に供し
た。また、缶内面の腐食状態を観察した。濁度測定は、
安井機器製簡易型高感度濁度・色度計を用い、検体10
0mlを濁度用比色管に採り検体用セルに入れ、一方比
較用の標準として希釈濁度標準液100mlを採った濁
度用比色管を対照セルに入れ、上部から底部を透視し両
者の底部の明るさを比較して濁度を測定した。
【0062】缶胴部フィルムのDSCによる融解エン
タルピー及びTgの測定 缶の材料である金属板の圧延方向に90℃の軸線を缶胴
上部を切り出し、6N塩酸にて金属板を溶解して、フィ
ルムを単離した。その後、少なくとも24時間の真空乾
燥に供して、圧延方向に90℃の軸線を含みフランジ先
端より8mmで、軸線を中心に幅25mmにフィルムを
切り出し、DSC測定サンプルとした。測定は、パーキ
ンエルマー社製DSC7型を用いた。融解エンタルピー
は、−20℃から280℃まで20℃/minで昇温を
行い得られた図6の下段に示したチャートより、JIS
K−7122に準じ求めた。また、Tgは、280℃
までの測定で溶融したサンプルをDSC装置内で−20
℃まで急冷し、また、5分間放置後、20℃/minで
280℃まで昇温を行い得られた図6の上段に示したチ
ャートよりJIS K−7121に準じて求めた。
【0063】実施例1 表1にまとめた樹脂組成の延伸フィルムを用いたラミネ
ート金属板にワックス系潤滑剤を塗布し、白色面が缶外
面となるように直径166mmの円盤を打ち抜き、浅絞
りカップを得た。次いでこの浅絞りカップを、図5に示
した装置により、再絞り・しごき加工を行い、深絞り−
しごきカップを得た。この深絞りカップの諸特性は以下
の通りであった。 カップ径:66mm カップ高さ:128mm 素板厚に対する缶壁部の厚み65% 素板厚に対するフランジ部の厚み77% この深絞りしごきカップを、常法に従いドーミング成形
を行い、220℃にて熱処理を行った後、カップを放冷
後、開口端縁部のトリミング加工、曲面印刷および焼き
付け乾燥、ネック加工、フランジ加工を行って350g
用のシームレス缶を得た。成形上、問題はなかった。
【0064】次いで、コーラ充填によるデント試験及び
蒸留水充填によるレトルト処理試験に供した。この缶に
用いたフィルムの分析値、評価結果は表1にまとめた
が、デント試験におけるデント部腐食、レトルト試験に
よる腐食の発生は認められず、良好であった。また、レ
トルト後の濁度も低い値であり、良好であった。これら
の結果より、ここで得られたシームレス缶は、飲料保存
用に優れたものであると評価された。
【0065】実施例2 表1にまとめたように、樹脂組成が異なる他は、実施例
1と同様に成形を行った。成形上、問題はなかった。ま
た、表1にまとめたように実施例1と同様に評価及びフ
ィルムの分析を行った。どの評価においても、良好な結
果を得ており、ここで得られたシームレス缶は、飲料保
存用に優れたものであると評価された。
【0066】実施例3 表1にまとめたように、樹脂組成が異なる他は、実施例
1と同様に成形を行った。成形上、問題はなかった。ま
た、表1にまとめたように実施例1と同様に評価及びフ
ィルムの分析を行った。どの評価においても、良好な結
果を得ており、ここで得られたシームレス缶は、飲料保
存用に優れたものであると評価された。
【0067】実施例4 表1にまとめたように、樹脂組成が異なる他は、実施例
1と同様に成形を行った。成形上、問題はなかった。ま
た、表1にまとめたように実施例1と同様に評価及びフ
ィルムの分析を行った。どの評価においても、良好な結
果を得ており、ここで得られたシームレス缶は、飲料保
存用に優れたものであると評価された。
【0068】比較例1 表1に示した樹脂組成の延伸フィルムを用いたラミネー
ト板を作成し、実施例1と同様に成形を行ったところ、
缶上部において、白化が認められた。この缶のフィルム
の分析値は表1に示した。この缶を実施例1と同様にデ
ント試験に供したところデント部において、フィルム下
腐食が認められた。また、レトルト試験に供したとこ
ろ、ネック部及び巻き締め部において腐食の発生が激し
かった。この腐食による内容物の茶色い濁りが認められ
たため、濁度の測定は行わなかった。これらの結果よ
り、ここで得られた缶は、飲料保存用には、不適なもの
であると評価された。
【0069】比較例2 表1に示した樹脂組成の延伸フィルムを用いたラミネー
ト板を作成し、実施例1と同様に成形を行ったところ、
缶上部において、フィルムの亀裂が認められ、後の評価
に供するだけ缶が得られなかった。
【0070】比較例3 表1に示した樹脂組成の延伸フィルムの作成を試みた
が、ラミネートに用いることができるだけのフィルムが
得られなかった。
【0071】比較例4 表1にまとめたように、樹脂組成が異なる他は、実施例
1と同様に成形を行った。成形上、問題はなかった。ま
た、表1にまとめたように実施例1と同様に評価及びフ
ィルムの分析を行ったところ、腐食は認められなかった
が、濁度の測定値が、実施例1〜4に比較し大きなもの
となった。これらの結果より、ここで得られた缶は、飲
料保存上、大きな問題のあるものではなかったが、実施
例1〜4に比較し、濁度の点で劣るものであった。
【0072】比較例5 表1にまとめたように、樹脂組成が異なる他は、実施例
1と同様に成形を行った。成形上、問題はなかった。ま
た、表1にまとめたように実施例1と同様に評価及びフ
ィルムの分析を行ったところ、デント試験において、デ
ント部に腐食が認められた。また、濁度の測定値が、実
施例1〜4に比較し大きなものとなった。これらの結果
より、ここで得られた缶は、飲料保存用には、不適なも
のであると評価された。
【0073】比較例6 表1にまとめたように、樹脂組成が異なる他は、実施例
1と同様に成形を行った。成形上、問題はなかった。ま
た、表1にまとめたように実施例1と同様に評価及びフ
ィルムの分析を行ったところ、腐食は認められなかった
が、濁度の測定値が、実施例1〜4に比較し大きなもの
となった。これらの結果より、ここで得られた缶は、飲
料保存上、大きな問題のあるものではなかったが、実施
例1〜4に比較し、濁度の点で劣るものであった。
【0074】
【表1】
【0075】
【発明の効果】本発明の製缶用積層体は、金属基体と該
基体表面に設けられた熟可塑性ポリエステル層とからな
るが、本発明によれば、この熱可塑性ポリエステル層と
して、エチレンテレフタレート単位を主体とし且つエチ
レンナフタレート単位を、全塩基性カルボン酸成分当た
りのナフタレンジカルボン酸成分の量が1.0乃至20
モル%となるように含有する共重合ポリエステルを用い
ることにより、シームレス缶への優れた成形性を確保
し、且つ優れた耐デント性を維持しながら、高温湿熱条
件下での樹脂層の経時劣化を防止し且つ内容物の保存性
を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるシームレス缶を示す側面断面図で
ある。
【図2】本発明に用いる積層体の断面構造の一例を示す
拡大断面図である。
【図3】本発明に用いる積層体の断面構造の他の例を示
す拡大断面図である。
【図4】積層工程を示す説明図である。
【図5】曲げ伸ばし・しごき工程を示す説明図である。
【図6】融解エンタルピー及びTgの測定のためのDS
Cチャートの一例である。
【符号の説明】
1 深絞り缶 2 底部 3 側壁部 4 ネック部 5 フランジ部 6 金属基体 7 共重合ポリエステル系フィルム 8 外面被膜 9 接着用プライマーの層 10 加熱ロール 11 ラミネートロール 12 供給ロール 13 ラミネート13 14 冷却水14 15 ガイドローラ 21 前絞りカップ 22 保持部材 23 再絞り−しごきダイス 24 再絞り−しごきポンチ 25 平面部 26 作用コーナー部 27 アプローチ部 28 小曲率部 29 ランド部(しごき部) 30 逃げ 31 外周面 32 曲率コーナ部 33 環状底面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土谷 晶子 神奈川県横浜市旭区上白根町320−1 ヒ ルヴァレーエステートB−105 (72)発明者 中村 泰治 神奈川県横浜市泉区岡津町2894−3 (72)発明者 増田 恭子 神奈川県横浜市戸塚区汲沢1−11−16− 304

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属基体と該基体表面に設けられた熟可
    塑性ポリエステル層とからなる製缶用積層体において、
    前記熱可塑性ポリエステル層が、エチレンテレフタレー
    ト単位を主体とし且つエチレンナフタレート単位を、全
    塩基性カルボン酸成分当たりのナフタレンジカルボン酸
    成分の量が1.0乃至20モル%となるように含有する
    共重合ポリエステルから形成されることを特徴とする製
    缶用積層体。
  2. 【請求項2】 前記ポリエステルのガラス転移点(T
    g、示差走査熱量計による)が80℃以上である請求項
    l記載の積層体。
  3. 【請求項3】 前記共重合ポリエステルが、固有粘度
    0.5以上の分子量を有する請求項1または2に記載の
    積層体。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3の何れかに記載の積層体
    を絞り成形或いは絞り・しごき成形で形成され、熱処理
    を施したシームレス缶において、缶上部の共重合ポリエ
    ステルが50J/g以下の融解エンタルピー(示差走査
    熱量計による)を有することを特徴とするシームレス
    缶。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10279708A (ja) * 1997-02-05 1998-10-20 Toray Ind Inc 容器成形用二軸延伸ポリエステルフィルムおよびその製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH10279708A (ja) * 1997-02-05 1998-10-20 Toray Ind Inc 容器成形用二軸延伸ポリエステルフィルムおよびその製造方法

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