JPH10231278A - (r)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの製造方法 - Google Patents
(r)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの製造方法Info
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- JPH10231278A JPH10231278A JP25480497A JP25480497A JPH10231278A JP H10231278 A JPH10231278 A JP H10231278A JP 25480497 A JP25480497 A JP 25480497A JP 25480497 A JP25480497 A JP 25480497A JP H10231278 A JPH10231278 A JP H10231278A
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- hydroxybutyrate
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 (R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低
級アルキルエステルを蒸留精製する際に、(S)−4−
クロロ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの熱
分解が殆ど無く、蒸留を容易にし、かつ高純度で効率良
く得られる方法を提供する。 【解決手段】 (S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪
酸低級アルキルエステルにシアノ化反応を行い、生成し
た粗(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アル
キルエステルを蒸留して精製する際に、(S)−4−ク
ロロ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルを低温
で留出させる為に、10Torrでの沸点が50℃以上
160℃以下の範囲である溶剤を添加して蒸留すること
を特徴とする、(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪
酸低級アルキルエステルの製造方法。
級アルキルエステルを蒸留精製する際に、(S)−4−
クロロ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの熱
分解が殆ど無く、蒸留を容易にし、かつ高純度で効率良
く得られる方法を提供する。 【解決手段】 (S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪
酸低級アルキルエステルにシアノ化反応を行い、生成し
た粗(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アル
キルエステルを蒸留して精製する際に、(S)−4−ク
ロロ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルを低温
で留出させる為に、10Torrでの沸点が50℃以上
160℃以下の範囲である溶剤を添加して蒸留すること
を特徴とする、(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪
酸低級アルキルエステルの製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬中間体として
有用な、(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級
アルキルエステルを蒸留して精製し、高純度の(R)−
4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステル
を得るための方法に関する。この化合物は、種々の医薬
品中間体として多くの化合物へと導くことができる。例
えば、次式に示す工程で得られる3−ヒドロキシ−3−
メチルグルタリル補酵素Aリダクターゼ(通常「HMG
−CoA」と略記される)の阻害剤[R−(R*,R
*)]−2−(4−フルオロフェニル)−β,δ−ジヒ
ドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−
4−[(フェニルアミノ)カルボニル]−1H−ピロー
ル−1−ヘプタン酸カルシウム塩(2:1)の重要な中
間体として用いることができる。
有用な、(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級
アルキルエステルを蒸留して精製し、高純度の(R)−
4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステル
を得るための方法に関する。この化合物は、種々の医薬
品中間体として多くの化合物へと導くことができる。例
えば、次式に示す工程で得られる3−ヒドロキシ−3−
メチルグルタリル補酵素Aリダクターゼ(通常「HMG
−CoA」と略記される)の阻害剤[R−(R*,R
*)]−2−(4−フルオロフェニル)−β,δ−ジヒ
ドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−
4−[(フェニルアミノ)カルボニル]−1H−ピロー
ル−1−ヘプタン酸カルシウム塩(2:1)の重要な中
間体として用いることができる。
【0002】
【化1】
【0003】
【従来の技術】(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪
酸エステル類の合成法としてはアラビノースやアスコル
ビン酸を不斉源として(S)−4−ブロモ−3−ヒドロ
キシ酪酸メチルに導いた後、水酸基をテトラヒドロピラ
ニル、トリアルキルシリル、アルキルなどの保護基で保
護し、青酸ナトリウム(青酸ソーダ)を反応せしめる方
法(Acta Chem.Scand.B37,341(1983))、L−アスコルビ
ン酸に過酸化水素と炭酸カルシウムを反応させることに
よって得られるスレオニンカルシウム塩1水和物に臭化
水素を作用させジブロモ体を得てブロモヒドリンへと導
いた後に、同様の保護基で水酸基を保護して、青酸ソー
ダと反応せしめる方法(Carbohydrate,Res.,72,301,(19
79))、4−クロロ−3−ヒドロキシブチロニトリルを加
水分解してカルボン酸とした後に、このものをエチルエ
ステル化し、シアン化カリウムと反応せしめる方法(Bu
ll.Chem.Soc.Fr.,33,732(1923))、ジケテンから得られ
る4−ハロゲノアセト酢酸アルキルエステルをルテニウ
ム−光学活性ホスフィン錯体を用いて不斉還元反応を行
って(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸t−ブ
チルエステルとした後(特開平1−211551号公
報)、引き続きシアノ化反応を行う方法(特開平5−3
31128号公報)、(S)−4−ブロモ−3−ヒドロ
キシ酪酸エチルと青酸ソーダを直接反応せしめる方法
(特表平7−500105号公報)等が知られている。
酸エステル類の合成法としてはアラビノースやアスコル
ビン酸を不斉源として(S)−4−ブロモ−3−ヒドロ
キシ酪酸メチルに導いた後、水酸基をテトラヒドロピラ
ニル、トリアルキルシリル、アルキルなどの保護基で保
護し、青酸ナトリウム(青酸ソーダ)を反応せしめる方
法(Acta Chem.Scand.B37,341(1983))、L−アスコルビ
ン酸に過酸化水素と炭酸カルシウムを反応させることに
よって得られるスレオニンカルシウム塩1水和物に臭化
水素を作用させジブロモ体を得てブロモヒドリンへと導
いた後に、同様の保護基で水酸基を保護して、青酸ソー
ダと反応せしめる方法(Carbohydrate,Res.,72,301,(19
79))、4−クロロ−3−ヒドロキシブチロニトリルを加
水分解してカルボン酸とした後に、このものをエチルエ
ステル化し、シアン化カリウムと反応せしめる方法(Bu
ll.Chem.Soc.Fr.,33,732(1923))、ジケテンから得られ
る4−ハロゲノアセト酢酸アルキルエステルをルテニウ
ム−光学活性ホスフィン錯体を用いて不斉還元反応を行
って(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸t−ブ
チルエステルとした後(特開平1−211551号公
報)、引き続きシアノ化反応を行う方法(特開平5−3
31128号公報)、(S)−4−ブロモ−3−ヒドロ
キシ酪酸エチルと青酸ソーダを直接反応せしめる方法
(特表平7−500105号公報)等が知られている。
【0004】以上のような報告例のうち、前者三つの方
法は水酸基に保護基をつけたりはずしたりせねばなら
ず、また、光学活性体の分離を行う必要があるので、工
程が長過ぎ、工業的製法とはいえない。また、後者二つ
の方法は、これらのいずれの方法によって(R)−4−
シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルを合
成した場合にも、シアノ化反応の反応収率は高々57%
で有り、原料である(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロ
キシ酪酸低級アルキルエステルが未反応のまま残存して
いる。そして、これから高純度の(R)−4−シアノ−
3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルを単離するた
めには通常、適当な溶媒で抽出の後、減圧蒸留による精
製が行われていた。
法は水酸基に保護基をつけたりはずしたりせねばなら
ず、また、光学活性体の分離を行う必要があるので、工
程が長過ぎ、工業的製法とはいえない。また、後者二つ
の方法は、これらのいずれの方法によって(R)−4−
シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルを合
成した場合にも、シアノ化反応の反応収率は高々57%
で有り、原料である(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロ
キシ酪酸低級アルキルエステルが未反応のまま残存して
いる。そして、これから高純度の(R)−4−シアノ−
3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルを単離するた
めには通常、適当な溶媒で抽出の後、減圧蒸留による精
製が行われていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし乍ら、本発明者
らの追試によれば、この減圧蒸留は極めて低温低圧で行
わなければ、蒸留の収率が低下するという問題点が有る
ことが判明した。すなわち、(S)−4−ハロゲノ−3
−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの熱分解によ
り、水、塩化水素等が発生し、これらが(R)−4−シ
アノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの分解
を促進する。この(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキ
シ酪酸低級アルキルエステルの熱分解は、120℃以上
の温度ではかなり認められ、例えば、150℃では数時
間の後に全量消失するほど激しい。それ故、本蒸留工程
では、特に、(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪
酸低級アルキルエステルを留出させる初留時に、(S)
−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエス
テルの分解を抑制するために、できるだけ低温での運転
が必須となる。それでも、若干の分解は避けられず、最
悪の場合には、分解による減圧度の低下、温度上昇を招
き、更なる熱分解を誘発するという悪循環に陥る可能性
があった。また、(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキ
シ酪酸低級アルキルエステルは高価な原料であるにもか
かわらず、分解した分が失われるので、製造コストの上
昇を招いていた。本発明はこのような問題を一挙に解決
する方法を提供しようとするものである。
らの追試によれば、この減圧蒸留は極めて低温低圧で行
わなければ、蒸留の収率が低下するという問題点が有る
ことが判明した。すなわち、(S)−4−ハロゲノ−3
−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの熱分解によ
り、水、塩化水素等が発生し、これらが(R)−4−シ
アノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの分解
を促進する。この(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキ
シ酪酸低級アルキルエステルの熱分解は、120℃以上
の温度ではかなり認められ、例えば、150℃では数時
間の後に全量消失するほど激しい。それ故、本蒸留工程
では、特に、(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪
酸低級アルキルエステルを留出させる初留時に、(S)
−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエス
テルの分解を抑制するために、できるだけ低温での運転
が必須となる。それでも、若干の分解は避けられず、最
悪の場合には、分解による減圧度の低下、温度上昇を招
き、更なる熱分解を誘発するという悪循環に陥る可能性
があった。また、(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキ
シ酪酸低級アルキルエステルは高価な原料であるにもか
かわらず、分解した分が失われるので、製造コストの上
昇を招いていた。本発明はこのような問題を一挙に解決
する方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するべく種々検討した結果、蒸留時に10Tor
rでの沸点が50℃以上160℃以下の範囲である溶剤
を添加することにより、(S)−4−ハロゲノ−3−ヒ
ドロキシ酪酸低級アルキルエステル留出時の温度を低温
に保持することができ、その結果、(S)−4−ハロゲ
ノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの分解が
殆ど無いような状態で、蒸留することが可能となり、且
つ使用する溶剤によっては、留出液が溶剤相と(S)−
4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステ
ル相とに分液するので、溶剤相は蒸留工程へ、(S)−
4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステ
ル相はシアノ化反応へ、それぞれリサイクル使用するこ
とができることを発見し、本発明を完成するに至った。
を解決するべく種々検討した結果、蒸留時に10Tor
rでの沸点が50℃以上160℃以下の範囲である溶剤
を添加することにより、(S)−4−ハロゲノ−3−ヒ
ドロキシ酪酸低級アルキルエステル留出時の温度を低温
に保持することができ、その結果、(S)−4−ハロゲ
ノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの分解が
殆ど無いような状態で、蒸留することが可能となり、且
つ使用する溶剤によっては、留出液が溶剤相と(S)−
4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステ
ル相とに分液するので、溶剤相は蒸留工程へ、(S)−
4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステ
ル相はシアノ化反応へ、それぞれリサイクル使用するこ
とができることを発見し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は(S)−4−ハロゲノ
−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルを、青酸ソ
ーダ等のシアノ化剤でシアノ化後、適当な溶媒で抽出
し、必要で有れば濃縮することにより得られる、粗
(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキル
エステルを蒸留精製して(R)−4−シアノ−3−ヒド
ロキシ酪酸低級アルキルエステルを得る方法において、
蒸留時に、10Torrでの沸点が50℃以上160℃
以下の範囲である溶剤が存在することにより、(S)−
4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステ
ル留出時の温度を低温に保持することが可能になり、そ
の結果、熱安定性の低い(S)−4−ハロゲノ−3−ヒ
ドロキシ酪酸低級アルキルエステルを殆ど分解させるこ
となく分離でき、高い収率、かつ高純度で目的の(R)
−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステ
ルを得る方法に関する。
−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルを、青酸ソ
ーダ等のシアノ化剤でシアノ化後、適当な溶媒で抽出
し、必要で有れば濃縮することにより得られる、粗
(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキル
エステルを蒸留精製して(R)−4−シアノ−3−ヒド
ロキシ酪酸低級アルキルエステルを得る方法において、
蒸留時に、10Torrでの沸点が50℃以上160℃
以下の範囲である溶剤が存在することにより、(S)−
4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステ
ル留出時の温度を低温に保持することが可能になり、そ
の結果、熱安定性の低い(S)−4−ハロゲノ−3−ヒ
ドロキシ酪酸低級アルキルエステルを殆ど分解させるこ
となく分離でき、高い収率、かつ高純度で目的の(R)
−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステ
ルを得る方法に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の原料である、粗(R)−
4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステル
は、炭素数1〜10、好ましくは1〜4のの直鎖又は分
岐鎖状のアルキルのエステルである。これらはそれぞれ
対応する(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低
級アルキルエステルを常法によりシアノ化後、抽出し、
必要であれば、この抽出液を濃縮して得ることができ
る。このようにして得た粗(R)−4−シアノ−3−ヒ
ドロキシ酪酸低級アルキルエステルの溶液中には、下記
に示すような物質、すなわち、シアノ化反応の未反応原
料である(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低
級アルキルエステル、ヒドロキシアクリレ−ト、シアノ
アクリレ−ト、3−シアノブチロラクトン、3−ヒドロ
キシブチロラクトン、γ−クロトノラクトン、3−シア
ノ−4−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステル、3,4
−ジシアノ酪酸低級アルキルエステル、その他組成不明
の高沸分(シアン化合物の重合物と推測される)、抽出
溶媒等が含まれる。
4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステル
は、炭素数1〜10、好ましくは1〜4のの直鎖又は分
岐鎖状のアルキルのエステルである。これらはそれぞれ
対応する(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低
級アルキルエステルを常法によりシアノ化後、抽出し、
必要であれば、この抽出液を濃縮して得ることができ
る。このようにして得た粗(R)−4−シアノ−3−ヒ
ドロキシ酪酸低級アルキルエステルの溶液中には、下記
に示すような物質、すなわち、シアノ化反応の未反応原
料である(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低
級アルキルエステル、ヒドロキシアクリレ−ト、シアノ
アクリレ−ト、3−シアノブチロラクトン、3−ヒドロ
キシブチロラクトン、γ−クロトノラクトン、3−シア
ノ−4−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステル、3,4
−ジシアノ酪酸低級アルキルエステル、その他組成不明
の高沸分(シアン化合物の重合物と推測される)、抽出
溶媒等が含まれる。
【0009】
【化2】
【0010】
【化3】
【0011】
【化4】
【0012】具体的には、(S)−4−ハロゲノ−3−
ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルのハロゲンとして
は、塩素が好ましいが、臭素やヨウ素でも良い。シアノ
化剤としては、例えばアルカリ金属シアン化物、アルカ
リ土類金属シアン化物が用いられる。中でも、一般的な
シアン化物である青酸ナトリウム(青酸ソーダ)、青酸
カリウム(青酸カリ)が用いられ、安価な青酸ソーダが
好適に用いられる。シアノ化反応の溶媒はエタノール、
水、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチル
スルホキシド、テトラヒドロフラン等、及びこれらの混
合物が用いられるが、中でも水は安価であり、水にあま
り溶解しない有機溶媒での抽出が可能になるので好適で
ある。シアノ化反応の温度は、20℃から溶媒の沸点の
範囲で生産効率を考慮して適宜選択されるが、水溶媒の
場合には70℃から還流温度が好ましい。シアノ化反応
の好適な実施形態は、(S)−4−ハロゲノ−3−ヒド
ロキシ酪酸低級アルキルエステルの濃度が、5から40
重量%になるように水を添加し、約80℃に昇温後、撹
拌下に青酸ソーダの水溶液を滴下して行われる。反応は
比較的早く進行するが、滴下終了後、0から10時間の
範囲で熟成してもよい。
ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルのハロゲンとして
は、塩素が好ましいが、臭素やヨウ素でも良い。シアノ
化剤としては、例えばアルカリ金属シアン化物、アルカ
リ土類金属シアン化物が用いられる。中でも、一般的な
シアン化物である青酸ナトリウム(青酸ソーダ)、青酸
カリウム(青酸カリ)が用いられ、安価な青酸ソーダが
好適に用いられる。シアノ化反応の溶媒はエタノール、
水、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチル
スルホキシド、テトラヒドロフラン等、及びこれらの混
合物が用いられるが、中でも水は安価であり、水にあま
り溶解しない有機溶媒での抽出が可能になるので好適で
ある。シアノ化反応の温度は、20℃から溶媒の沸点の
範囲で生産効率を考慮して適宜選択されるが、水溶媒の
場合には70℃から還流温度が好ましい。シアノ化反応
の好適な実施形態は、(S)−4−ハロゲノ−3−ヒド
ロキシ酪酸低級アルキルエステルの濃度が、5から40
重量%になるように水を添加し、約80℃に昇温後、撹
拌下に青酸ソーダの水溶液を滴下して行われる。反応は
比較的早く進行するが、滴下終了後、0から10時間の
範囲で熟成してもよい。
【0013】抽出工程は、反応に使用した溶媒の貧溶媒
を使用するが、反応溶媒が水の場合は、水にあまり溶解
せず、(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級ア
ルキルエステルをよく溶解する有機溶媒を使用する。具
体的な有機溶媒としては酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢
酸低級アルキルエステル類、塩化メチレン、クロロホル
ム等のハロゲン化炭化水素類、ジブチルエーテル等のエ
ーテル類及び、これらの混合物が用いられる。抽出操作
は抽出効率を上げるため、これらの抽出溶媒を添加する
前に、反応液を有る程度濃縮しても良いし、あるいは塩
析による抽出効率の向上を図っても良い。特に、反応溶
媒が水とエチルアルコ−ルの様な混合溶媒の時には、抽
出効率を上げるため、予め、低沸点のエチルアルコ−ル
を蒸発させて除いた後、抽出溶媒を添加するのが好適で
ある。
を使用するが、反応溶媒が水の場合は、水にあまり溶解
せず、(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級ア
ルキルエステルをよく溶解する有機溶媒を使用する。具
体的な有機溶媒としては酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢
酸低級アルキルエステル類、塩化メチレン、クロロホル
ム等のハロゲン化炭化水素類、ジブチルエーテル等のエ
ーテル類及び、これらの混合物が用いられる。抽出操作
は抽出効率を上げるため、これらの抽出溶媒を添加する
前に、反応液を有る程度濃縮しても良いし、あるいは塩
析による抽出効率の向上を図っても良い。特に、反応溶
媒が水とエチルアルコ−ルの様な混合溶媒の時には、抽
出効率を上げるため、予め、低沸点のエチルアルコ−ル
を蒸発させて除いた後、抽出溶媒を添加するのが好適で
ある。
【0014】抽出操作の後に必要に応じて濃縮操作を行
う。濃縮操作は常圧下、もしくは減圧下に20℃から抽
出液の還流温度の範囲に加熱して行うことができる。濃
縮の程度は全体の生産性を考慮して、0から100%の
範囲で適宜選択することができるが、蒸留工程の生産性
を考えれば、抽出に用いた有機溶媒が全体の10重量%
以下、好適にはほぼ完全になくなるまで濃縮することが
好ましい。このようにして得た濃縮物を本発明における
蒸留に供する。
う。濃縮操作は常圧下、もしくは減圧下に20℃から抽
出液の還流温度の範囲に加熱して行うことができる。濃
縮の程度は全体の生産性を考慮して、0から100%の
範囲で適宜選択することができるが、蒸留工程の生産性
を考えれば、抽出に用いた有機溶媒が全体の10重量%
以下、好適にはほぼ完全になくなるまで濃縮することが
好ましい。このようにして得た濃縮物を本発明における
蒸留に供する。
【0015】本発明においては蒸留時に、10Torr
での沸点が50℃以上160℃以下の範囲である溶剤を
添加することを特徴とする。このような溶剤を使用する
ことにより、一種の水蒸気蒸留のように、溶剤の蒸気圧
と、(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級ア
ルキルエステルの蒸気圧の和が、蒸留時の運転圧力とな
ったときに両者が留出するため、効果的に留出温度を低
下させることができるので、(S)−4−ハロゲノ−3
−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの熱分解を防ぐ
ことができるというものである。該溶剤としては、蒸留
中に(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アル
キルエステルや(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ
酪酸低級アルキルエステルと反応しない物であれば特に
限定することなく用いることができる。このような溶剤
の具体例としては、デカン、ウンデカン、ドデカン、ト
リデカン、テトラデカン、ペンタデカン等の脂肪族炭化
水素類、1−エチルナフタレン、2−エチルナフタレ
ン、ビフェニル、1,2−ジメチルナフタレン等の芳香
族炭化水素類、o−ジクロロベンゼン、1−クロロナフ
タレン等のハロゲン化炭化水素類、カテコール、p−イ
ソプロピルベンジルアルコール、3,4−キシレノール
等のアルコール類、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸エチル、
グルタル酸ジエチル等のエステル類、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール等の多価アルコール類、ジフ
ェニルエーテル等のエーテル類、ニトロトルエン、4−
ニトロ−m−キシレン等のニトロ化炭化水素類、無水コ
ハク酸等の酸無水物類、ホルムアミド、アセトアミド等
のアミド類等が挙げられる。
での沸点が50℃以上160℃以下の範囲である溶剤を
添加することを特徴とする。このような溶剤を使用する
ことにより、一種の水蒸気蒸留のように、溶剤の蒸気圧
と、(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級ア
ルキルエステルの蒸気圧の和が、蒸留時の運転圧力とな
ったときに両者が留出するため、効果的に留出温度を低
下させることができるので、(S)−4−ハロゲノ−3
−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの熱分解を防ぐ
ことができるというものである。該溶剤としては、蒸留
中に(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アル
キルエステルや(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ
酪酸低級アルキルエステルと反応しない物であれば特に
限定することなく用いることができる。このような溶剤
の具体例としては、デカン、ウンデカン、ドデカン、ト
リデカン、テトラデカン、ペンタデカン等の脂肪族炭化
水素類、1−エチルナフタレン、2−エチルナフタレ
ン、ビフェニル、1,2−ジメチルナフタレン等の芳香
族炭化水素類、o−ジクロロベンゼン、1−クロロナフ
タレン等のハロゲン化炭化水素類、カテコール、p−イ
ソプロピルベンジルアルコール、3,4−キシレノール
等のアルコール類、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸エチル、
グルタル酸ジエチル等のエステル類、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール等の多価アルコール類、ジフ
ェニルエーテル等のエーテル類、ニトロトルエン、4−
ニトロ−m−キシレン等のニトロ化炭化水素類、無水コ
ハク酸等の酸無水物類、ホルムアミド、アセトアミド等
のアミド類等が挙げられる。
【0016】これらのうち、同一温度条件下で、(S)
−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエス
テルの蒸気圧よりも、10から20Torr高いか、も
しくは低い蒸気圧を有する溶剤を用いる場合には、該溶
剤の留出に同伴する(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロ
キシ酪酸低級アルキルエステルの留出量が多いので有利
である。また、溶剤によっては、共沸することにより留
出温度の低温化を図ることもできる。
−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエス
テルの蒸気圧よりも、10から20Torr高いか、も
しくは低い蒸気圧を有する溶剤を用いる場合には、該溶
剤の留出に同伴する(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロ
キシ酪酸低級アルキルエステルの留出量が多いので有利
である。また、溶剤によっては、共沸することにより留
出温度の低温化を図ることもできる。
【0017】更に、25℃における添加溶剤と(S)−
4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステ
ルの相互溶解度、すなわち添加溶剤に対する(S)−4
−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステル
の溶解度又は(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪
酸低級アルキルエステルに対する該溶剤の溶解度が10
重量%以下であるような溶剤を用いることによって、留
出液が溶剤相と(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ
酪酸低級アルキルエステルが主成分である相に分液し、
それぞれの相に分離後に、溶剤相は蒸留工程へ、(S)
−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエス
テルはシアノ化反応へそれぞれリサイクル使用できるた
め有利である。特に、相互溶解度がそれぞれ5重量%以
下の場合には、溶解ロスが少なくなるので好適である。
4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステ
ルの相互溶解度、すなわち添加溶剤に対する(S)−4
−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステル
の溶解度又は(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪
酸低級アルキルエステルに対する該溶剤の溶解度が10
重量%以下であるような溶剤を用いることによって、留
出液が溶剤相と(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ
酪酸低級アルキルエステルが主成分である相に分液し、
それぞれの相に分離後に、溶剤相は蒸留工程へ、(S)
−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエス
テルはシアノ化反応へそれぞれリサイクル使用できるた
め有利である。特に、相互溶解度がそれぞれ5重量%以
下の場合には、溶解ロスが少なくなるので好適である。
【0018】これらの溶剤としては、前記の溶剤のう
ち、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化
炭化水素類等が挙げられる。中でも、脂肪族炭化水素類
は、(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級ア
ルキルエステルの分解で発生する水や塩化水素に対して
安定であるため、好適に用いられる。特に、n−テトラ
デカンを用いる場合には、その使用量が少量ですみ、且
つ、留出液がn−テトラデカン相と(S)−4−ハロゲ
ノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルが主成分
である相に分液するので、それぞれを分液後、n−テト
ラデカン相は本蒸留工程へ、(S)−4−ハロゲノ−3
−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルはシアノ化へリ
サイクル使用することができるため好適に用いられる。
ち、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化
炭化水素類等が挙げられる。中でも、脂肪族炭化水素類
は、(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級ア
ルキルエステルの分解で発生する水や塩化水素に対して
安定であるため、好適に用いられる。特に、n−テトラ
デカンを用いる場合には、その使用量が少量ですみ、且
つ、留出液がn−テトラデカン相と(S)−4−ハロゲ
ノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルが主成分
である相に分液するので、それぞれを分液後、n−テト
ラデカン相は本蒸留工程へ、(S)−4−ハロゲノ−3
−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルはシアノ化へリ
サイクル使用することができるため好適に用いられる。
【0019】該溶剤の使用量は、用いる溶剤によりその
蒸気圧が変わるので、溶剤の種類により適宜選択して用
いることができるが、蒸留の生産性を考慮すれば、その
使用量は通常蒸留する対象物(原液)の全重量に対し、
0.01重量倍から10重量倍の範囲である。溶剤の使
用量がこれらの範囲よりも少ない場合には(S)−4−
ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステル留
出時の温度が高くなるため、熱分解による塩化水素や水
が発生し、それが、(R)−4−シアノ−3−ヒドロキ
シ酪酸低級アルキルエステルの分解を誘発し、蒸留収率
の低下を招くので好ましくない。また、使用量がこの範
囲よりも多い場合には、該溶剤を留出させるために過剰
の熱エネルギーを加える必要があり、経済的ではない。
蒸気圧が変わるので、溶剤の種類により適宜選択して用
いることができるが、蒸留の生産性を考慮すれば、その
使用量は通常蒸留する対象物(原液)の全重量に対し、
0.01重量倍から10重量倍の範囲である。溶剤の使
用量がこれらの範囲よりも少ない場合には(S)−4−
ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステル留
出時の温度が高くなるため、熱分解による塩化水素や水
が発生し、それが、(R)−4−シアノ−3−ヒドロキ
シ酪酸低級アルキルエステルの分解を誘発し、蒸留収率
の低下を招くので好ましくない。また、使用量がこの範
囲よりも多い場合には、該溶剤を留出させるために過剰
の熱エネルギーを加える必要があり、経済的ではない。
【0020】該溶剤は、蒸留前に予め添加しておいても
良いし、必要で有れば蒸留中に加熱器を通してガス状、
もしくは液状で蒸留塔に供給することができる。本発明
における蒸留は、常圧下で実施することもできるが、減
圧下で行う方が、留出温度を下げることができるので好
ましい。また、回分蒸留でも、連続蒸留でも実施可能で
ある。蒸留塔の段数は、使用する溶剤により単蒸留とす
ることもできるが、通常は1段以上20段以下、好まし
くは1〜10段の範囲で選択される。段数が20段より
も多い場合には、塔の圧力損失による留出温度の上昇を
招き、(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級
アルキルエステルの熱分解を誘発するので好ましくな
い。還流比は0以上30以下の範囲で適宜選択すること
ができるが、この範囲よりも大きくしても、加熱時間が
長くなるだけであり、実際的では無い。塔の充填剤とし
ては、なるべく圧力損失の少ない物を適宜選択して用い
ることができる。特にカ−ボン製の規則充填物を使用す
る場合には、塩化水素に対する耐腐食性もあり、圧力損
失も少ないので有利である。
良いし、必要で有れば蒸留中に加熱器を通してガス状、
もしくは液状で蒸留塔に供給することができる。本発明
における蒸留は、常圧下で実施することもできるが、減
圧下で行う方が、留出温度を下げることができるので好
ましい。また、回分蒸留でも、連続蒸留でも実施可能で
ある。蒸留塔の段数は、使用する溶剤により単蒸留とす
ることもできるが、通常は1段以上20段以下、好まし
くは1〜10段の範囲で選択される。段数が20段より
も多い場合には、塔の圧力損失による留出温度の上昇を
招き、(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級
アルキルエステルの熱分解を誘発するので好ましくな
い。還流比は0以上30以下の範囲で適宜選択すること
ができるが、この範囲よりも大きくしても、加熱時間が
長くなるだけであり、実際的では無い。塔の充填剤とし
ては、なるべく圧力損失の少ない物を適宜選択して用い
ることができる。特にカ−ボン製の規則充填物を使用す
る場合には、塩化水素に対する耐腐食性もあり、圧力損
失も少ないので有利である。
【0021】以上のようにして熱安定性の低い(S)−
4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステ
ルは(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アル
キルエステルと低温で分離可能であるが、(S)−4−
ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルと
の分離の前、もしくは(S)−4−ハロゲノ−3−ヒド
ロキシ酪酸低級アルキルエステルとの分離の後に、シア
ノ化反応で生成する、組成不明(恐らくシアン化合物の
重合物と思われる)の高沸物を除去することが好まし
い。
4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステ
ルは(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アル
キルエステルと低温で分離可能であるが、(S)−4−
ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルと
の分離の前、もしくは(S)−4−ハロゲノ−3−ヒド
ロキシ酪酸低級アルキルエステルとの分離の後に、シア
ノ化反応で生成する、組成不明(恐らくシアン化合物の
重合物と思われる)の高沸物を除去することが好まし
い。
【0022】(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪
酸低級アルキルエステルと、(R)−4−シアノ−3−
ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの分離前に除去を
行う場合には、まず、単蒸留で高沸物を除去した後、
(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキ
ルエステルを本発明の方法にて分離後、更に単蒸留にて
(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキル
エステルを留出させる方法等が採用される。また、
(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキ
ルエステルと(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸
低級アルキルエステルを分離後に高沸分を分離させる実
施形態は、まず、本発明の方法にて(S)−4−ハロゲ
ノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルを分離
後、単蒸留にて高沸分を分離し、その後、必要で有れば
更に精留して(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸
低級アルキルエステルを留出させる等の方法が採用され
る。これらいずれの方法をも採用可能であるが、高沸分
の存在下、(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低
級アルキルエステルを150℃以上の温度にすると、留
出する(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級ア
ルキルエステルに原因不明の着色が見られるので、着色
が気になる場合には、高沸分との分離は150℃以下の
温度で実施するのが好ましい。
酸低級アルキルエステルと、(R)−4−シアノ−3−
ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの分離前に除去を
行う場合には、まず、単蒸留で高沸物を除去した後、
(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキ
ルエステルを本発明の方法にて分離後、更に単蒸留にて
(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキル
エステルを留出させる方法等が採用される。また、
(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキ
ルエステルと(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸
低級アルキルエステルを分離後に高沸分を分離させる実
施形態は、まず、本発明の方法にて(S)−4−ハロゲ
ノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルを分離
後、単蒸留にて高沸分を分離し、その後、必要で有れば
更に精留して(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸
低級アルキルエステルを留出させる等の方法が採用され
る。これらいずれの方法をも採用可能であるが、高沸分
の存在下、(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低
級アルキルエステルを150℃以上の温度にすると、留
出する(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級ア
ルキルエステルに原因不明の着色が見られるので、着色
が気になる場合には、高沸分との分離は150℃以下の
温度で実施するのが好ましい。
【0023】本発明においては以上のようにして、
(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキ
ルエステルを単独で留出させる場合に比べて、留出温度
を著しく低下させることができるので、(S)−4−ハ
ロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの熱
分解を効果的に抑制できるのである。また、溶剤の種類
によっては溶剤そのもの、及び、(S)−4−ハロゲノ
−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルのリサイク
ル使用が可能なため、工業的に極めて有利に(R)−4
−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルを
製造することができる。(S)−4−ハロゲノ−3−ヒ
ドロキシ酪酸低級アルキルエステルと、(R)−4−シ
アノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルを分離
する蒸留は圧力 0.1〜10Torr、温度 50〜
160℃の条件下、好ましくは圧力3〜5Torr、温
度80〜160℃の条件下で行われる。目的とする
(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキル
エステルは、(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪
酸低級アルキルエステルや、シアノ反応で生成する高沸
分を分離した後、圧力 1〜10Torr、温度100
〜190℃の条件下で留出させて得ることができる。
(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキ
ルエステルを単独で留出させる場合に比べて、留出温度
を著しく低下させることができるので、(S)−4−ハ
ロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの熱
分解を効果的に抑制できるのである。また、溶剤の種類
によっては溶剤そのもの、及び、(S)−4−ハロゲノ
−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルのリサイク
ル使用が可能なため、工業的に極めて有利に(R)−4
−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルを
製造することができる。(S)−4−ハロゲノ−3−ヒ
ドロキシ酪酸低級アルキルエステルと、(R)−4−シ
アノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルを分離
する蒸留は圧力 0.1〜10Torr、温度 50〜
160℃の条件下、好ましくは圧力3〜5Torr、温
度80〜160℃の条件下で行われる。目的とする
(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキル
エステルは、(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪
酸低級アルキルエステルや、シアノ反応で生成する高沸
分を分離した後、圧力 1〜10Torr、温度100
〜190℃の条件下で留出させて得ることができる。
【0024】
【実施例】以下、実施例により、本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。 (実施例1)(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸
エチルを青酸ソーダにてシアノ化後、酢酸エチルにて抽
出し、これを濃縮して得た粗(R)−4−シアノ−3−
ヒドロキシ酪酸エチル溶液を、圧力 1〜10Tor
r、温度145℃以下の条件下に単蒸留し、シアノ化で
生成した高沸分を除去した。引き続き、(S)−4−ク
ロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチルを52.5g、(R)
−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸エチルを435g、
ヒドロキシアクリレ−トを12.5g,3−シアノブチ
ロラクトンを2.5g、3−シアノ−4−ヒドロキシ酪
酸エチルを0.9g、3−ヒドロキシブチロラクトンを
3.1g、3,4−ジシアノ酪酸エチルを0.8g、高
沸分を1.4g含有する溶液に、n−テトラデカンを1
00g添加し、5段のオルダーショー型蒸留塔を用い
て、還流比ゼロ、圧力3Torrでの回分蒸留を実施し
た。
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。 (実施例1)(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸
エチルを青酸ソーダにてシアノ化後、酢酸エチルにて抽
出し、これを濃縮して得た粗(R)−4−シアノ−3−
ヒドロキシ酪酸エチル溶液を、圧力 1〜10Tor
r、温度145℃以下の条件下に単蒸留し、シアノ化で
生成した高沸分を除去した。引き続き、(S)−4−ク
ロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチルを52.5g、(R)
−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸エチルを435g、
ヒドロキシアクリレ−トを12.5g,3−シアノブチ
ロラクトンを2.5g、3−シアノ−4−ヒドロキシ酪
酸エチルを0.9g、3−ヒドロキシブチロラクトンを
3.1g、3,4−ジシアノ酪酸エチルを0.8g、高
沸分を1.4g含有する溶液に、n−テトラデカンを1
00g添加し、5段のオルダーショー型蒸留塔を用い
て、還流比ゼロ、圧力3Torrでの回分蒸留を実施し
た。
【0025】その結果、全仕込み量に対して29重量%
留出時にn−テトラデカンと(S)−4−クロロ−3−
ヒドロキシ酪酸エチルは全量留出し、留出液は二層に分
液した(上層:n−テトラデカン相、下層:(S)−4
−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチル相)。上層は次の
蒸留時に、下層はシアノ化反応へリサイクルして使用し
た。
留出時にn−テトラデカンと(S)−4−クロロ−3−
ヒドロキシ酪酸エチルは全量留出し、留出液は二層に分
液した(上層:n−テトラデカン相、下層:(S)−4
−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチル相)。上層は次の
蒸留時に、下層はシアノ化反応へリサイクルして使用し
た。
【0026】(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸
エチルは釜内温度が110℃〜120℃で殆どが留出
し、熱分解は認められなかった。全仕込み量の30.7
重量%留出時点で蒸留を停止し、釜内の各成分の濃度を
測定したが、(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸
エチル及び、n−テトラデカンは全量留出し、(R)−
4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸エチルは濃度97.5
重量%まで精製されていた。蒸留収率は93%であっ
た。
エチルは釜内温度が110℃〜120℃で殆どが留出
し、熱分解は認められなかった。全仕込み量の30.7
重量%留出時点で蒸留を停止し、釜内の各成分の濃度を
測定したが、(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸
エチル及び、n−テトラデカンは全量留出し、(R)−
4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸エチルは濃度97.5
重量%まで精製されていた。蒸留収率は93%であっ
た。
【0027】(実施例2)実施例1で留出したn−テト
ラデカンをリサイクル使用した他は実施例1と同様にし
て蒸留を行ったところ、(S)−4−クロロ−3−ヒド
ロキシ酪酸エチルの分解は認められず、蒸留収率93%
で、(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸エチルを
得た。
ラデカンをリサイクル使用した他は実施例1と同様にし
て蒸留を行ったところ、(S)−4−クロロ−3−ヒド
ロキシ酪酸エチルの分解は認められず、蒸留収率93%
で、(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸エチルを
得た。
【0028】(実施例3)溶剤として、o−ジクロロベ
ンゼンを247g使用して単蒸留とした以外は実施例1
と同様にして蒸留を行い、96%の収率で、(R)−4
−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸エチルを得た。(R)−
4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸エチルは濃度94.2
重量%まで精製されていた。(S)−4−クロロ−3−
ヒドロキシ酪酸エチルの分解は認められなかった。
ンゼンを247g使用して単蒸留とした以外は実施例1
と同様にして蒸留を行い、96%の収率で、(R)−4
−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸エチルを得た。(R)−
4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸エチルは濃度94.2
重量%まで精製されていた。(S)−4−クロロ−3−
ヒドロキシ酪酸エチルの分解は認められなかった。
【0029】(実施例4)溶剤として、n−トリデカン
を203g使用した以外は実施例1と同様にして蒸留を
行ったところ、(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪
酸エチルの分解は認められず、98%の収率で(R)−
4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸エチルを得た。(R)
−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸エチルは濃度 9
2.3重量%まで精製されていた。
を203g使用した以外は実施例1と同様にして蒸留を
行ったところ、(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪
酸エチルの分解は認められず、98%の収率で(R)−
4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸エチルを得た。(R)
−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸エチルは濃度 9
2.3重量%まで精製されていた。
【0030】(比較例1)(S)−4−クロロ−3−ヒ
ドロキシ酪酸エチルを57.6g、(R)−4−シアノ
−3−ヒドロキシ酪酸エチルを483.8g、ヒドロキ
シアクリレ−トを13.5g、3−シアノブチロラクト
ンを2.8g、3−シアノ−4−ヒドロキシ酪酸エチル
を1.0g、3−ヒドロキシブチロラクトンを3.4
g、3,4−ジシアノ酪酸エチルを0.8g、高沸分を
1.3g含有する溶液を、n−テトラデカンを添加しな
かったこと以外は実施例1と同様にして蒸留を行った。
その結果、(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エ
チル留出時の釜内温度は留出初期で140℃、留出終期
には151℃まで上昇した。その結果、(S)−4−ク
ロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチルの約10%が分解し、
(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸エチルの蒸留
収率は82%であった。
ドロキシ酪酸エチルを57.6g、(R)−4−シアノ
−3−ヒドロキシ酪酸エチルを483.8g、ヒドロキ
シアクリレ−トを13.5g、3−シアノブチロラクト
ンを2.8g、3−シアノ−4−ヒドロキシ酪酸エチル
を1.0g、3−ヒドロキシブチロラクトンを3.4
g、3,4−ジシアノ酪酸エチルを0.8g、高沸分を
1.3g含有する溶液を、n−テトラデカンを添加しな
かったこと以外は実施例1と同様にして蒸留を行った。
その結果、(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エ
チル留出時の釜内温度は留出初期で140℃、留出終期
には151℃まで上昇した。その結果、(S)−4−ク
ロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチルの約10%が分解し、
(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸エチルの蒸留
収率は82%であった。
【0031】(比較例2)(S)−4−クロロ−3−ヒ
ドロキシ酪酸エチルを29.1g、(R)−4−シアノ
−3−ヒドロキシ酪酸エチルを204.3g、ヒドロキ
シアクリレ−トを7.9g、3−シアノブチロラクトン
を0.5g、3−シアノ−4−ヒドロキシ酪酸エチルを
1.5g、3−ヒドロキシブチロラクトンを1.0g、
3,4−ジシアノ酪酸エチルを0.5g、高沸分を8.
4g含有する溶液を、蒸留圧力を10Torrとし、高
沸分を予め除外しなかった以外は比較例1と同様にして
蒸留を行った。
ドロキシ酪酸エチルを29.1g、(R)−4−シアノ
−3−ヒドロキシ酪酸エチルを204.3g、ヒドロキ
シアクリレ−トを7.9g、3−シアノブチロラクトン
を0.5g、3−シアノ−4−ヒドロキシ酪酸エチルを
1.5g、3−ヒドロキシブチロラクトンを1.0g、
3,4−ジシアノ酪酸エチルを0.5g、高沸分を8.
4g含有する溶液を、蒸留圧力を10Torrとし、高
沸分を予め除外しなかった以外は比較例1と同様にして
蒸留を行った。
【0032】その結果、(S)−4−クロロ−3−ヒド
ロキシ酪酸エチル留出時の釜内温度は、留出終期には1
65℃まで上昇した。その結果、(S)−4−クロロ−
3−ヒドロキシ酪酸エチルの約25%が分解し、(R)
−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸エチルの収率は80
%程度であった。また、(S)−4−クロロ−3−ヒド
ロキシ酪酸エチル留出時に分解ガスの発生によるフラッ
ディングが観察され、更に、(R)−4−シアノ−3−
ヒドロキシ酪酸エチルには原因不明の着色が見うけられ
た。
ロキシ酪酸エチル留出時の釜内温度は、留出終期には1
65℃まで上昇した。その結果、(S)−4−クロロ−
3−ヒドロキシ酪酸エチルの約25%が分解し、(R)
−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸エチルの収率は80
%程度であった。また、(S)−4−クロロ−3−ヒド
ロキシ酪酸エチル留出時に分解ガスの発生によるフラッ
ディングが観察され、更に、(R)−4−シアノ−3−
ヒドロキシ酪酸エチルには原因不明の着色が見うけられ
た。
【0033】(比較例3)(S)−4−クロロ−3−ヒ
ドロキシ酪酸エチルを29g、(R)−4−シアノ−3
−ヒドロキシ酪酸エチルを206g、高沸分を19g含
有する溶液を、蒸留圧力を20Torrとした以外は比
較例2と同様にして蒸留を行った。その結果、(S)−
4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチル留出時の釜内温
度は、留出終期には181℃まで上昇した。その結果、
(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチルの約4
0%が分解し、(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪
酸エチルの収率は80%程度であった。また、比較例2
と同様に(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチ
ル留出時に、分解ガスの発生による激しいフラッディン
グが観察され、更に、(R)−4−シアノ−3−ヒドロ
キシ酪酸エチルには原因不明の着色が見うけられた。
ドロキシ酪酸エチルを29g、(R)−4−シアノ−3
−ヒドロキシ酪酸エチルを206g、高沸分を19g含
有する溶液を、蒸留圧力を20Torrとした以外は比
較例2と同様にして蒸留を行った。その結果、(S)−
4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチル留出時の釜内温
度は、留出終期には181℃まで上昇した。その結果、
(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチルの約4
0%が分解し、(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪
酸エチルの収率は80%程度であった。また、比較例2
と同様に(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチ
ル留出時に、分解ガスの発生による激しいフラッディン
グが観察され、更に、(R)−4−シアノ−3−ヒドロ
キシ酪酸エチルには原因不明の着色が見うけられた。
【0034】
【発明の効果】本発明においては、(S)−4−ハロゲ
ノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルをシアノ
化後、抽出、濃縮することにより得られる、粗(R)−
4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステル
を蒸留して精製する際に、10Torrでの沸点が50
℃以上160℃以下の範囲である溶剤を添加することに
より、(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級
アルキルエステルの熱分解が殆ど無いようにして、高純
度の(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アル
キルエステルを高収率で得ることができる。更に、溶剤
を選択することにより、留出液を分液するだけで、溶剤
は蒸留工程へ、(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ
酪酸低級アルキルエステルはシアノ化工程へリサイクル
使用することができるので、経済的且つ、工業的規模
で、(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アル
キルエステルを製造することができる。
ノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルをシアノ
化後、抽出、濃縮することにより得られる、粗(R)−
4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステル
を蒸留して精製する際に、10Torrでの沸点が50
℃以上160℃以下の範囲である溶剤を添加することに
より、(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級
アルキルエステルの熱分解が殆ど無いようにして、高純
度の(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アル
キルエステルを高収率で得ることができる。更に、溶剤
を選択することにより、留出液を分液するだけで、溶剤
は蒸留工程へ、(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ
酪酸低級アルキルエステルはシアノ化工程へリサイクル
使用することができるので、経済的且つ、工業的規模
で、(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アル
キルエステルを製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北井 三正 岡山県倉敷市潮通3丁目10番地 三菱化学 株式会社水島事業所内
Claims (9)
- 【請求項1】(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪
酸低級アルキルエステル(低級アルキル基の炭素数は1
〜10)にシアノ化反応を行い、生成した粗(R)−4−
シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルを蒸
留して精製する際に、10Torrでの沸点が50℃以
上160℃以下の範囲である溶剤の存在下蒸留すること
を特徴とする(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸
低級アルキルエステルの製造方法。 - 【請求項2】(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪
酸低級アルキルエステルにシアノ化反応を行い、生成し
た粗(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アル
キルエステルを蒸留して精製する際に、10Torrで
の沸点が50℃以上160℃以下の範囲であり、且つ、
(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキ
ルエステルとの25℃における相互溶解度[溶剤の
(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキ
ルエステルに対する溶解度又は(S)−4−ハロゲノ−
3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの溶剤に対す
る溶解度]が10重量%以下である溶剤の存在下蒸留を
行うことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。 - 【請求項3】(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪
酸低級アルキルエステルと蒸留の際に使用する溶剤が留
出した時点で、留出液を分液し、(S)−4−ハロゲノ
−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステル相をシアノ
化反応に、溶剤相を蒸留工程にリサイクル使用すること
を特徴とする、請求項2に記載の製造方法。 - 【請求項4】リサイクルする(S)−4−ハロゲノ−3
−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステル相中の溶剤濃度
が5重量%以下であることを特徴とする請求項3に記載
の製造方法。 - 【請求項5】リサイクルする溶剤相中の、(S)−4−
ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの
濃度が5重量%以下であることを特徴とする請求項3に
記載の製造方法。 - 【請求項6】(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪
酸低級アルキルエステルにシアノ化反応を行い、生成し
た粗(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アル
キルエステル溶液を蒸留して精製する際に、10Tor
rでの沸点が50℃以上160℃以下の範囲であり、且
つ、(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級ア
ルキルエステルと共沸する溶剤の存在下蒸留を行うこと
を特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の製造方
法。 - 【請求項7】蒸留の際に使用する溶剤がn−テトラデカ
ンであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか
に記載の製造方法。 - 【請求項8】蒸留の際に使用する溶剤の使用量が、蒸留
を行う対象物全重量に対し、0.01重量倍から10重
量倍の範囲であることを特徴とする請求項1ないし7の
いずれかに記載の製造方法。 - 【請求項9】蒸留が0.1Torr〜10Torrの圧力で、温度が5
0℃〜160℃の条件下で行われる、請求項1に記載の製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25480497A JPH10231278A (ja) | 1996-12-18 | 1997-09-19 | (r)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8-338206 | 1996-12-18 | ||
JP33820696 | 1996-12-18 | ||
JP25480497A JPH10231278A (ja) | 1996-12-18 | 1997-09-19 | (r)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10231278A true JPH10231278A (ja) | 1998-09-02 |
Family
ID=26541855
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25480497A Pending JPH10231278A (ja) | 1996-12-18 | 1997-09-19 | (r)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10231278A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003038193A (ja) * | 2001-07-30 | 2003-02-12 | Sumitomo Chem Co Ltd | (r)−4−シアノ−3−ヒドロキシブタン酸エステルの製造法 |
-
1997
- 1997-09-19 JP JP25480497A patent/JPH10231278A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003038193A (ja) * | 2001-07-30 | 2003-02-12 | Sumitomo Chem Co Ltd | (r)−4−シアノ−3−ヒドロキシブタン酸エステルの製造法 |
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Legal Events
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A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060213 |
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