JP2001114738A - (r)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの製造方法 - Google Patents

(r)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの製造方法

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JP2001114738A
JP2001114738A JP29349999A JP29349999A JP2001114738A JP 2001114738 A JP2001114738 A JP 2001114738A JP 29349999 A JP29349999 A JP 29349999A JP 29349999 A JP29349999 A JP 29349999A JP 2001114738 A JP2001114738 A JP 2001114738A
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cyano
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alkyl ester
hydroxybutyrate
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JP29349999A
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Hitoshi Matsuda
仁史 松田
Toshiharu Shibata
敏治 柴田
Hidetaka Tsuchisada
秀隆 土定
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 (R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低
級アルキルエステルを高純度で、効率的に製造できる製
造方法を提供する。 【解決手段】 (R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪
酸低級アルキルエステルの製造方法に関し、減圧蒸留工
程を単蒸留と精留の2段階で行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、(R)−4−シア
ノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの製造方
法に関する。詳しくは、(S)−4−ハロゲノ−3−ヒ
ドロキシ酪酸低級アルキルエステルをシアノ化して
(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキル
エステルを製造する方法に関する。本発明により得られ
る(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキ
ルエステルは、種々の医薬中間体として有用であり、例
えば、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル補酵素A
リダクターゼ(通常「HMG−CoA」と略記される)
の阻害剤〔R−(R*,R*)〕−2−(4−フルオロ
フェニル)−β,δ−ジヒドロキシ−5−(1−メチル
エチル)−3−フェニル−4−〔(フェニルアミノ)カ
ルボニル〕−1H−ピロール−1−ヘプタン酸カルシウ
ム塩(2:1)の重要な中間体として用いることができ
る。
【0002】
【従来の技術】(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪
酸低級アルキルエステル類の合成法としては、L−アス
コルビン酸に過酸化水素と炭酸カルシウムを反応させて
得られるL−スレオニンカルシウム塩−水和物(Car
bohydrate,Res.,72,301(197
9))やL−アラビノースに臭化水素を作用させたジブ
ロモ体をブロムヒドリンとし、(S)−4−ブロモ−3
−ヒドロキシ酪酸メチルエステルに導いた後(Acta
Chem.Scand.B37,341(198
3))、水酸基をテトラヒドロピラニル、トリアルキル
シリル、アルキルなどの保護基で保護してから、ジメチ
ルスルホキシド中で青酸ソーダを反応せしめる方法(米
国特許第4,611,067号明細書)、ジケテンから
得られる4−ハロゲノアセト酢酸t−ブチルエステルに
ルテニウム−光学活性ホスフィン錯体を用いて不斉水素
化反応を行って(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ
酪酸t−ブチルエステルとした後(特開平1−2115
51号公報)、非プロトン性極性溶媒中でシアノ化剤と
の反応を行う方法(特開平5−331128号公報)等
が知られている。
【0003】以上のような報告例のうち、前者の方法は
原料として光学活性体を使用し、複数の反応を経た後に
水酸基の保護と脱保護工程が必要であり、工程数が多く
工業的製法とは言い難い。また、後者の方法は、不斉水
素化反応によって得られた原料の光学純度が約92%e
eと低いため、高い光学純度を要求される医薬中間体と
して使用するためには、生成物をシアノ化反応液から有
機溶媒により抽出して水洗後、溶媒を留去し、得られた
残さを有機溶媒により再結晶して光学純度を向上させる
必要がある。
【0004】これらの方法とは別に、ジケテンから得ら
れる4−ハロゲノアセト酢酸低級アルキルエステルに微
生物を用いた不斉還元反応を行うことにより(S)−4
−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステル
を得る例が多数報告されている。当初は、不斉還元反応
における光学純度が92〜95%eeと不充分であった
が(特開昭61−146191号公報)、優れた微生物
の発見により98〜99%eeの光学純度が得られるま
でになった(特開平8−336393号公報)。微生物
により反応を行った場合の一般的な手法として、反応
後、生成した(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪
酸低級アルキルエステルは、遠心分離等による除菌後、
反応液から酢酸エチル、塩化メチレン、トルエン、ジエ
チルエーテル等の有機溶媒を用いて抽出した後、有機溶
媒を留去しカラムクロマトグラフィーや蒸留等の操作に
より、純品として単離することができる。単離された
(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキ
ルエステルは、前述のシアノ化反応例に倣い、水酸基を
保護した上でジメチルスルホキシド中でシアノ化反応を
行うか、そのまま非プロトン性溶媒中でシアノ化反応を
行うことにより、又は、そのまま他の溶媒中でシアノ化
反応を行うことにより(特表平7−500105号公
報)、(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級ア
ルキルエステルが得られる。そして、これらのシアノ化
反応液から、高純度の(R)−4−シアノ−3−ヒドロ
キシ酪酸低級アルキルエステルを単離するためには、通
常、適当な溶媒で抽出した後、減圧蒸留による精製が行
われていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし乍ら、本発明者
らの追試によれば、この減圧蒸留は極めて低温低圧で行
わなければ、蒸留の収率が低下するという問題点が有る
ことが判明した。すなわち、(S)−4−ハロゲノ−3
−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの熱分解によ
り、水、塩化水素等が発生し、これらが(R)−4−シ
アノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの分解
を促進する。この(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキ
シ酪酸低級アルキルエステルの熱分解は、120℃以上
の温度ではかなり認められ、例えば、150℃では数時
間の後に全量消失するほど激しい。それ故、本蒸留工程
では、特に、(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸
低級アルキルエステルより沸点の低い(S)−4−ハロ
ゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルを留出
させる初留時に、(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキ
シ酪酸低級アルキルエステルの分解を抑制するため、で
きるだけ低温での運転が必須であり、最悪の場合には、
分解による減圧度の低下、温度上昇を招き、更なる熱分
解を誘発するという悪循環に陥る可能性があった。ま
た、この減圧蒸留により得られた(R)−4−シアノ−
3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルは、留出直後
はわずかに着色している程度であるが、時間が経つにつ
れ著しい着色を生じる場合があることが確認された。有
機シアン化合物については、蒸留精製後の着色発生が知
られており、有機シアン化合物に有機スルホン酸を添加
して蒸留することにより、経時的な着色発生を防止する
方法(特公昭57−42065号公報、特公昭57−4
2066号公報)が提唱されているが、(R)−4−シ
アノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの場合
には効果がなく着色が発生した。本発明は、蒸留精製の
生産性を考慮した上で、このような問題を一挙に解決す
る方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するべく
種々検討した結果、この減圧蒸留を単蒸留と精留の2段
階で行うことにより、著しい着色を生じない高純度の
(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキル
エステルを高収率で得られることを見いだし、本発明を
完成するに至った。すなわち、本発明は(S)−4−ハ
ロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルを、
青酸ソーダ等のシアノ化剤でシアノ化後、適当な溶媒で
抽出し、濃縮することにより得られる、粗(R)−4−
シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルを蒸
留して精製(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低
級アルキルエステルを得る方法において、先ず単蒸留に
よって初留分と主留分及び後留分に分離し、(R)−4
−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルか
らなる主留分を精製品として得た後に、(S)−4−ハ
ロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルと
(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキル
エステルからなる初留分及び(R)−4−シアノ−3−
ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルと高沸点成分から
なる後留分を精留することにより(R)−4−シアノ−
3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルを精製品とし
て得ることを特徴とする(R)−4−シアノ−3−ヒド
ロキシ酪酸低級アルキルエステルの製造方法に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の原料である、粗(R)−
4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステル
は、炭素数1〜10、好ましくは1〜4の直鎖又は分岐
鎖状のアルキルのエステルである。これらはそれぞれ対
応する(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級
アルキルエステルをシアノ化剤によりシアノ化後、適当
な溶媒で抽出し、必要により、この抽出液を濃縮して得
ることができる。
【0008】具体的には、(S)−4−ハロゲノ−3−
ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルのハロゲンとして
は、塩素が好ましいが、臭素やヨウ素でも良い。シアノ
化剤としては、例えばアルカリ金属シアン化物、アルカ
リ土類金属シアン化物が用いられる。中でも、一般的な
シアン化物である青酸ソーダ(青酸ナトリウム)、青酸
カリ(青酸カリウム)が用いられ、安価な青酸ソーダが
好適に用いられる。シアノ化反応の溶媒はエタノール、
水、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチル
スルホキシド、テトラヒドロフラン等、及びこれらの混
合物が用いられるが、中でも水は安価であり、水にあま
り溶解しない有機溶媒での抽出が可能になるので好適で
ある。シアノ化反応の温度は、20℃から溶媒の沸点の
範囲で青酸効率を考慮して適宜選択されるが、水溶媒の
場合には50℃から還流温度が好ましい。シアノ化反応
の好適な実施形態は、(S)−4−ハロゲノ−3−ヒド
ロキシ酪酸低級アルキルエステルの濃度が、5から40
重量%になるように水を添加し、約80℃に昇温後、撹
拌下に青酸ソーダの水溶液を滴下して行われる。反応は
比較的早く進行するが、反応温度によっては滴下終了後
に、0から10時間の範囲で熟成してもよい。なお、青
酸ソーダの使用量が増すにつれて(S)−4−ハロゲノ
−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの転化率は
向上するが、全量を消費するまで青酸ソーダを添加する
と、生成した(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸
低級アルキルエステルが分解して収率が低下するため、
青酸ソーダ使用量を調整することにより、(S)−4−
ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルが
ある程度残存した状態で反応を終了させることが重要で
ある。
【0009】水溶媒での蒸留は、エネルギー消費が大き
いこと、目的物のエステル加水分解が起こる可能性があ
ること等の観点から、本発明においては、蒸留前に有機
溶媒にて抽出を行うことが好ましい。抽出工程は、反応
に使用した溶媒の貧溶媒を使用するが、反応溶媒が水の
場合は、水にあまり溶解せず、(R)−4−シアノ−3
−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルをよく溶解する
有機溶媒を使用する。具体的な有機溶媒としては酢酸エ
チル、酢酸ブチル等の酢酸低級アルキルエステル類、塩
化メチレンやクロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、
トルエンやベンゼン等の芳香族炭化水素類、メチルイソ
ブチルケトン等のケトン類又はジブチルエーテル等のエ
ーテル類及び、これらの抽出物が用いられる。抽出操作
は抽出効率を上げるため、これらの抽出溶媒を添加する
前に、反応液を有る程度濃縮しても良いし、あるいは塩
析による抽出効率の向上を図っても良い。特に、反応溶
媒が水とエチルアルコールの様な混合溶媒の時には、抽
出効率を上げるため、予め、低沸点のエチルアルコール
を蒸発させて除いた後、抽出溶媒を添加するのが好適で
ある。
【0010】抽出操作の後に濃縮操作を行う。濃縮操作
は常圧下、もしくは減圧下(例えば、20〜600To
rr)に20℃から抽出液の還流温度の範囲に加熱して
行うことができる。濃縮の程度は全体の生産性を考慮し
て適宜選択することができるが、蒸留工程の生産性を考
慮すると、抽出に用いた有機溶媒が全体の10重量%以
下、好適にはほぼ完全になくなるまで濃縮することが好
ましい。このようにして得た濃縮物を本発明における蒸
留に供する。
【0011】本発明においては、この濃縮物を減圧蒸留
により精製する再、単蒸留と精留の2段階で行う。単蒸
留を採用する理由は、前述の通り(S)−4−ハロゲノ
−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの熱分解に
より、水、塩化水素等が発生し、これらが(R)−4−
シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの分
解を促進するため、高収率で蒸留を行うためには両成分
の分離を速やかに行う必要があるからである。また、留
出液の着色現象について鋭意検討した結果、シアノ化反
応で生成する組成不明の高沸点不純物が残存した状態
で、長時間、高温にさらされることが着色発生要因のひ
とつであることが判明し、処理が長時間に及び精留の前
に、この組成不明の高沸点不純物と(R)−4−シアノ
−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの分離を速
やかに行い、精留での着色発生を防止することも単蒸留
を採用する理由である。なお、単蒸留における着色発生
を防止するため、単蒸留は釜内温度が160℃以下で実
施することが好ましい。又、圧力は0.1〜20Tor
rが好ましい。
【0012】濃縮液は単蒸留により初留分と主留分及び
後留分に分離され、着色発生要因のひとつである組成不
明の高沸点不純物は釜残として除去される。初留分に
は、抽出溶媒、未反応の(S)−4−ハロゲノ−3−ヒ
ドロキシ酪酸低級アルキルエステル、比較的低沸点の不
純物及び(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級
アルキルエステルが含まれる。主留分には、微量の
(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキ
ルエステル、(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸
低級アルキルエステル及び沸点の近い不純物が含まれ
る。後留分には、(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ
酪酸低級アルキルエステル及び高沸点の不純物が含まれ
る。単蒸留ではあるが、通常の蒸留条件で得られる主留
分は充分な純度を有しており、製品として供給すること
が可能である点が蒸留精製全体の生産性を高める上で重
要である。
【0013】単蒸留にて分離された初留分及び後留分中
には、(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級ア
ルキルエステルが含まれており、高純度の製品として回
収するため、精留により分離を行う。精留においては、
還流比を設定した蒸留を開始した後に、(S)−4−ハ
ロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルがほ
ぼ完全に留出した段階で還流比をゼロとし、(R)−4
−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルを
主成分とする留出液を精製品として採取する。還流比を
ゼロとすることで、(R)−4−シアノ−3−ヒドロキ
シ酪酸低級アルキルエステルを速やかに留出させること
ができる。
【0014】本発明においては以上のようにして、着色
を生じない高純度の(R)−4−シアノ−3−ヒドロキ
シ酪酸低級アルキルエステルを高収率で得ることができ
る。蒸留塔の段数は、通常は1段以上20段以下、好ま
しくは1〜10段の範囲で選択される。段数が20段よ
りも多い場合には、塔の圧力損失による留出温度の上昇
を招き、(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低
級アルキルエステルの熱分解を誘発するので好ましくな
い。還流比は0以上30以下の範囲で適宜選択すること
ができるが、この範囲よりも大きくしても、加熱時間が
長くなるだけであり、実際的では無い。精留塔の充填物
としては、なるべく圧力損失の少ない物を適宜選択して
用いることができる。特にカーボン製の規則充填物を使
用する場合には、塩化水素に対する耐腐食性もあり、圧
力損失も少ないので有利である。
【0015】(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪
酸低級アルキルエステルを、(R)−4−シアノ−3−
ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルから分離する蒸留
は圧力0.1〜10Torr、釜内温度50〜160℃
の条件下、好ましくは圧力3〜5Torr、釜内温度8
0〜160℃の条件下で行われる。目的とする(R)−
4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステル
は、(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級ア
ルキルエステルを分離した後、圧力1〜10Torr、
釜内温度100〜190℃の条件下で留出させて得るこ
とができる。
【0016】
【実施例】以下、実施例により、本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。 (実施例)(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エ
ステルを青酸ソーダにてシアノ化後、酢酸エチルにて抽
出し、これを濃縮して粗(R)−4−シアノ−3−ヒド
ロキシ酪酸エチル溶液を得た。(R)−4−シアノ−3
−ヒドロキシ酪酸エチルを531g、(S)−4−クロ
ロ−3−ヒドロキシ酪酸エチルを50g、その他不純物
を79g含有する粗(R)−4−シアノ−3−ヒドロキ
シ酪酸エチル溶液660gを、圧力1〜10Torr、
釜内温度140℃以下の条件下に単蒸留を行い、(R)
−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸エチルを137g、
(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチルを45
g、その他不純物を20g含有する初留分202gと、
(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸エチルを29
1g、(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチル
を1g、その他不純物を12g含有する主留分304
g、及び、(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸エ
チルを71g、その他不純物を6g含有する後留分77
gを得た。釜残量は77gであった。引き続いて、この
単蒸留の初留分と後留分を混合し、(R)−4−シアノ
−3−ヒドロキシ酪酸エチルを208g、(S)−4−
クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチルを45g、その他不
純物を22g含有する溶液275gを調製して、5段の
オルダーショー型蒸留塔にて精留を行った。始めに、還
流比4、圧力6〜10Torr、釜内温度150℃以下
の条件下に蒸留し、(R)−4−シアノ−3−ヒドロキ
シ酪酸エチルを8g、(S)−4−クロロ−3−ヒドロ
キシ酪酸エチルを38g、その他不純物を9g含有する
初留分55gを得た。次に、還流比ゼロ、圧力3〜5T
orr、釜内温度150℃以下の条件下に蒸留し、
(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸エチルを17
9g、(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチル
を1g、その他不純物を5g含有する主留分185gを
得た。釜残量は35gであった。以上の単蒸留と精留に
より、(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸エチル
を470g、(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸
エチルを2g、その他不純物を17g含有し、わずかに
黄色の精製(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸エ
チル489gを得た。この精製品中の(R)−4−シア
ノ−3−ヒドロキシ酪酸エチルの純度は96.1%であ
り、経時変化により著しい着色を生じることはなかっ
た。蒸留原料に対する製品中の(R)−4−シアノ−3
−ヒドロキシ酪酸エチルの回収率は89%であった。
【0017】(比較例)(R)−4−シアノ−3−ヒド
ロキシ酪酸エチルを531g、(S)−4−クロロ−3
−ヒドロキシ酪酸エチルを50g、その他不純物を79
g含有する粗(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸
エチル溶液660gにより、単蒸留を行わない以外は、
実施例と同様に精留を行った。その結果、(R)−4−
シアノ−3−ヒドロキシ酪酸エチルを15g、(S)−
4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチルを39g、その
他不純物を11g含有する初留分65gと、(R)−4
−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸エチルを425g、
(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチルを1
g、その他不純物を16g含有する主留分442g、及
び、(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸エチルを
31g、その他不純物を11g含有する後留分42gを
得た。釜残量は111gであった。この主留分中の
(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸エチル純度は
96.2%であり、留出時はわずかに黄色であったが、
翌日には青色になり、数日後には濃い茶褐色に変化し
た。蒸留原料に対する主留分中の(R)−4−シアノ−
3−ヒドロキシ酪酸エチルの回収率は80%であった。
【0018】
【発明の効果】本発明においては、(S)−4−ハロゲ
ノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルを、青酸
ソーダ等のシアノ化剤でシアノ化後、適当な溶媒で抽出
し、濃縮することにより得られる、粗(R)−4−シア
ノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルを蒸留し
て精製(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級ア
ルキルエステルを得る際に、先ず単蒸留によって初留分
と主留分及び後留分に分離し、(R)−4−シアノ−3
−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルからなる主留分
を精製品として得た後に、(S)−4−ハロゲノ−3−
ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルと(R)−4−シ
アノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルからな
る初留分及び(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸
低級アルキルエステルと高沸点成分からなる後留分を精
留することにより得られる(R)−4−シアノ−3−ヒ
ドロキシ酪酸低級アルキルエステルをも精製品とするこ
とにより、著しい着色を生じない高純度の精製(R)−
4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステル
を、高収率で得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土定 秀隆 福岡県北九州市八幡西区黒崎城石1番1号 三菱化学株式会社黒崎事業所内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC54 AD11 AD16 BB14 BB20 BB22 BB25 BB31 BC51 BC52 BE06 BT12 QN14

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ
    酪酸低級アルキルエステルをシアノ化反応に付し、生成
    した(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アル
    キルエステルを有機溶媒にて抽出した後、該有機溶媒を
    蒸留して(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級
    アルキルエステルを精製するプロセスにおいて、単蒸留
    により(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級ア
    ルキルエステルを主留分として得た後に、単蒸留初留分
    及び単蒸留後留分を精留することにより(R)−4−シ
    アノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルを得る
    ことを特徴とする(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ
    酪酸低級アルキルエステルの製造方法。
  2. 【請求項2】 有機溶媒が、酢酸エステル類、ハロゲン
    化炭化水素類、芳香族炭化水素類、ケトン類又はエーテ
    ル類であることを特徴とする請求項1に記載の製造方
    法。
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GB2389110A (en) * 2002-05-22 2003-12-03 Phoenix Chemicals Ltd A continuous process for the cyanation of hydrogenated ß-ketoesters
GB2389110B (en) * 2002-05-22 2004-04-28 Phoenix Chemicals Ltd A continuous process for the cyanation of hydrogenated ß-ketoesters

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