JP2002220368A - (r)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの製造方法 - Google Patents

(r)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの製造方法

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JP2002220368A
JP2002220368A JP2001019466A JP2001019466A JP2002220368A JP 2002220368 A JP2002220368 A JP 2002220368A JP 2001019466 A JP2001019466 A JP 2001019466A JP 2001019466 A JP2001019466 A JP 2001019466A JP 2002220368 A JP2002220368 A JP 2002220368A
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lower alkyl
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hydroxybutyrate
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JP2001019466A
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Toshiyuki Suzuki
敏之 鈴木
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 (R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸を
含む水溶液から該酪酸を回収し、これを原料として
(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキル
エステルを製造する方法の提供。 【解決手段】(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸
塩を含む水溶液に酸を添加し、次いでこの酸性水溶液を
ケトン化合物を含有した溶媒で抽出し、更に低級アルコ
ールによりエステル化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、(R)−4−シア
ノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの製造方
法に関する。詳しくは、(R)−4−シアノ−3−ヒド
ロキシ酪酸塩を含む水溶液から抽出した(R)−4−シ
アノ−3−ヒドロキシ酪酸を原料として(R)−4−シ
アノ−3−ヒドロキシ酪酸の低級アルキルエステルを製
造する方法に関する。
【0002】本発明により得られる(R)−4−シアノ
−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルは、種々の
医薬中間体として有用であり、例えば、3−ヒドロキシ
−3−メチルグルタリル補酵素Aリダクターゼ(通常
「HMG−CoA」と略記される)の阻害剤[R−(R
*,R*)]−2−(4−フルオロフェニル)−β,δ−
ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニ
ル−4−[(フェニルアミノ)カルボニル]−1H−ピ
ロール−1−ヘプタン酸カルシウム塩(2:1)の重要
な中間体として用いることができる。
【0003】
【従来の技術】(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪
酸低級アルキルエステル類の合成法としては、L−アス
コルビン酸に過酸化水素と炭酸カルシウムを反応させて
得られるL−スレオニンカルシウム塩一水和物(Car
bohydrate,Res.,72,301(197
9))やL−アラビノースに臭化水素を作用させたジブ
ロモ体をブロムヒドリンとし、(S)−4−ブロモ−3
−ヒドロキシ酪酸メチルエステルに導いた後(Acta
Chem.Scand.B37,341(198
3))、水酸基をテトラヒドロピラニル、トリアルキル
シリル、アルキルなどの保護基で保護してから、ジメチ
ルスルホキシド中で青酸ソーダを反応させる方法(米国
特許第4,611,067号明細書)、ジケテンから得
られる4−ハロゲノアセト酢酸t−ブチルエステルにル
テニウム−光学活性ホスフィン錯体を用いて不斉水素化
反応を行って(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪
酸t−ブチルエステルとした後(特開平1−21155
1号公報)、非プロトン性極性溶媒中でシアノ化剤との
反応を行う方法(特開平5−331128号公報)等が
知られている。
【0004】前者の方法は原料として光学活性体を使用
し、複数の反応を経た後に水酸基の保護と脱保護工程が
必要であり、工程数が多く工業的製法とは言えない。ま
た、後者の方法は、不斉水素化反応によって得られた原
料の光学純度が約92%eeと低いため、高い光学純度
を要求される医薬中間体として使用するためには、生成
物の光学純度を再結晶等により向上させる必要がある。
【0005】これらの方法とは別に、ジケテンから得ら
れる4−ハロゲノアセト酢酸低級アルキルエステルに微
生物を用いた不斉還元反応を行うことにより(S)−4
−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステル
を得る方法が多数報告されている。これらの方法では、
当初、不斉還元反応における光学純度が92〜95%e
eと不充分であったが(特開昭61−146191号公
報)、優れた微生物の発見により98〜99%eeの光
学純度が得られるまでになった(特開平8−33639
3号公報)。微生物により反応を行った場合、生成した
(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキ
ルエステルは、カラムクロマトグラフィーや蒸留等の操
作により、純品として単離することができる。
【0006】単離された(S)−4−ハロゲノ−3−ヒ
ドロキシ酪酸低級アルキルエステルは、前述のシアノ化
反応例に倣い、水酸基を保護した上でジメチルスルホキ
シド中でシアノ化反応を行うか、そのまま非プロトン性
溶媒中でシアノ化反応を行うことにより、又は、そのま
ま他の溶媒中でシアノ化反応を行うことにより(特表平
7−500105号公報)、(R)−4−シアノ−3−
ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルが得られる。そし
て、これらのシアノ化反応液から、高純度の(R)−4
−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルを
単離するためには、通常、適当な溶媒で抽出した後、濃
縮及び減圧蒸留による精製が行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】(S)−4−ハロゲノ
−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルを水性溶媒
の存在下、シアノ化反応に付して、(R)−4−シアノ
−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルを製造する
場合、シアノ化反応後、目的生成物は反応液から有機溶
媒により抽出されるが、抽出後の残りの水溶液について
は、これ迄廃液として処理されていた。
【0008】しかしながら、本発明者の追試によれば、
この廃液中にはかなり多量の(R)−4−シアノ−3−
ヒドロキシ酪酸塩のほか、少量ではあるが(R)−4−
シアノ−3−ヒドロキシ酪酸並びに(S)−4−ハロゲ
ノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの分解物
がシアノ化された化合物及び生成した(R)−4−シア
ノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルの分解物
が含まれていることが判明した。
【0009】本発明の目的は、このシアノ化反応液から
(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキル
エステルと共に(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪
酸を特定の溶媒を用いて高い効率で抽出し、これを原料
としてエステル化により目的の(R)−4−シアノ−3
−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルを高い収率で製
造する方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる事情
に鑑み鋭意検討した結果、(R)−4−シアノ−3−ヒ
ドロキシ酪酸塩を含む水溶液を酸性とし、この水溶液か
らケトン化合物を含有する溶媒により非常に効果的に
(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸を抽出できる
事、及び、得られた(R)−4−シアノ−3−ヒドロキ
シ酪酸をエステル化することにより、不純物の少ない
(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキル
エステルが製造できることを見いだし、本発明を完成す
るに至った。
【0011】
【発明の実施の形態】((R)−4−シアノ−3−ヒド
ロキシ酪酸の遊離、抽出)本発明において、(R)−4
−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸の抽出対象として用いら
れる(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸塩を含む
水溶液としては、(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキ
シ酪酸及びその低級アルキルエステルをシアノ化後、適
当な溶媒で(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低
級アルキルエステル及び副生成物を抽出したときの水層
を挙げることができる。また、(S)−4−ハロゲノ−
3−ヒドロキシ酪酸のシアノ化後の(R)−4−シアノ
−3−ヒドロキシ酪酸塩及びその低級アルキルエステル
を含む反応液を使用することもできる。
【0012】本発明製造方法において使用される(S)
−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエス
テルは、例えば特開平8−336393号公報記載の方
法に準拠して、4−ハロゲノアセト酢酸低級アルキルエ
ステルを微生物により不斉還元することで得ることがで
きる。
【0013】(S)−4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪
酸及びその低級アルキルエステルのハロゲン原子として
は、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が用いられ
るが、これらの中、塩素原子が好ましい。また、ここ
で、低級アルキルエステルとは、炭素数が好ましくは1
〜10、より好ましくは1〜4の直鎖又は分岐状のアル
キルエステルを表し、その具体例としては、例えばメチ
ルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチ
ルエステル等を挙げることができる。
【0014】本発明に用いられるシアノ化剤としては、
例えばアルカリ金属シアン化物、アルカリ土類金属シア
ン化物が用いられる。これらの中で、青酸ナトリウム
(青酸ソーダ)、青酸カリウム(青酸カリ)が好まし
く、安価な青酸ソーダが特に好ましい。シアノ化剤の使
用量については、特に限定はないが、(S)−4−ハロ
ゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルに対し
て、通常0.5〜2当量、好ましくは1.0〜1.6当
量である。
【0015】シアノ化反応に用いられる溶媒としては、
水;エタノール等のアルコール類;ジメチルホルムアミ
ド等の酸アミド類;アセトニトリル等のニトリル類;ジ
メチルスルホキシド等のスルホキシド類及びテトラヒド
ロフラン等のエーテル類等の水性溶媒並びにこれらの混
合物が挙げられる。これらの中で、水が安価であり、水
に溶解しやすい(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪
酸及びその塩を回収することができるため好適である。
【0016】なお、水は(S)−4−ハロゲノ−3−ヒ
ドロキシ酪酸及びその低級アルキルエステルの合計量の
濃度が通常5〜50重量%、好ましくは20〜30重量
%となるように添加される。
【0017】シアノ化の反応装置に特に限定はなく、回
分反応装置、管型の反応装置、1段ないし2段以上の連
続反応装置等、いずれの反応装置でも使用できる。例え
ば、回分反応装置で反応を行う場合、反応器に(S)−
4−ハロゲノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステ
ル及び水を仕込み、シアノ化剤の水溶液を、加熱下、好
ましくは撹拌下に、連続的又は間欠的に添加することに
より行われる。
【0018】シアノ化反応の温度は、20℃〜200℃
の範囲で生産効率を考慮して適宜選択されるが、水溶媒
の場合には50℃〜150℃が好ましい。更に好ましく
は、60℃〜120℃である。シアノ化反応の好適な実
施形態は、反応温度に昇温後、撹拌下に青酸ソーダの水
溶液を滴下して行われ、滴下終了後、0〜10時間の範
囲で熟成してもよい。
【0019】シアノ化後の反応液のpHは通常6〜9.5
程度であり、(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸
は塩の形態で存在する為に有機溶媒中に抽出されない。
従って、反応液のpHを5以下、好ましくは2以下の酸
性にし、(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸酸の
形態とする事が有効である。(R)−4−シアノ−3−
ヒドロキシ酪酸を抽出する操作は、シアノ化反応液から
(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキル
エステルを抽出した後に得られる残留水層に対して施し
てもいいし、(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸
低級アルキルエステルと共にシアノ化反応液から直接抽
出してもよい。
【0020】シアノ化反応液を酸性とするため添加する
酸に、特に限定はなく、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等を
挙げることができる。また、添加する酸の濃度にも、特
に限定はなく、反応液のpH調整に通常用いられる濃度
でよい。
【0021】シアノ化反応後、反応液から(R)−4−
シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルを抽
出するときの溶媒としては、酢酸エチル、酢酸ブチル等
の低級脂肪酸低級アルキルエステル類;塩化メチレン、
クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;トルエン、ベ
ンゼン等の芳香族炭化水素類;シクロヘキサノン、メチ
ルイソブチルケトン等のケトン類;ジブチルエーテル等
のエーテル類及びこれらの混合物が挙げられる。
【0022】この抽出操作後、水層側に(R)−4−シ
アノ−3−ヒドロキシ酪酸塩を含む水溶液を得ることが
できる。
【0023】また、シアノ化後の反応液に対して、前述
の方法による(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸
低級アルキルエステルの抽出操作をしない水溶液を
(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸塩を含む水溶
液として扱うこともできる。
【0024】シアノ化反応後の反応液中には、通常、
(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸及びその塩が
合計0.05〜20重量%含まれている。(R)−4−
シアノ−3−ヒドロキシ酪酸は、(R)−4−シアノ−
3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルと比較して水
への溶解性が大きいので、抽出溶媒の種類によって、
(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸の抽出量、溶
媒の使用量、抽出回数が大きく異なる。
【0025】本発明は、(R)−4−シアノ−3−ヒド
ロキシ酪酸及びその塩を含む水溶液のpHを5以下、好
ましくは2以下にし、得られた酸性水溶液からケトン化
合物を含有する有機溶媒(以下、「ケトン含有溶媒」と
称することがある。)により、(R)−4−シアノ−3
−ヒドロキシ酪酸を抽出する事を特徴とするものであ
る。
【0026】抽出に用いられるケトン化合物としては、
メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン等の鎖状
ケトン類;シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シク
ロオクタノン等の環状ケトン類;メチルフェニルケトン
等の芳香族ケトン類等が挙げられる。中でも、環状ケト
ン類が好ましく、特にシクロヘキサノンが(R)−4−
シアノ−3−ヒドロキシ酪酸の効果的な抽出に優れてい
る。抽出溶媒中に、ケトン化合物が5%以上含有される
事が好ましく、水と十分に層分離するケトンであれば、
単独で使用する事も可能である。シクロヘキサノンは単
独で使用して好ましい抽出効率を示す。
【0027】ケトン化合物と併用できる溶媒としては、
酢酸エチル、酢酸ブチル等の低級脂肪酸低級アルキルエ
ステル類;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化
炭化水素類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素
類;ジブチルエーテル等のエーテル類;ペンタン、ヘキ
サン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類
及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0028】抽出効率を上げるため、シアノ化反応液を
濃縮してもよく、塩析を行ってもよい。特に、シアノ化
の反応溶媒が水及びエチルアルコールのような混合溶媒
のときには、予め、低沸点のエチルアルコールを蒸発さ
せた後、抽出溶媒を添加するのが好適である。
【0029】ケトン含有溶媒の使用量としては、抽出対
象となる酸性水溶液量の0.1〜20倍重量、好ましく
は0.5〜10倍重量を1回の添加量として使用し、酸
性水溶液に対して1回以上、好ましくは2回以上の抽出
及び分液操作を行う。
【0030】抽出溶媒の使用量と繰り返し回数が多くな
ると(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸の抽出量
が向上する反面、操作が煩雑になり、時間がかかるほ
か、抽出溶媒を回収する操作に多くの労力を要する為、
工業的には必ずしも好ましくない場合がある。本発明で
用いるケトン含有溶媒では、少ない溶媒の使用量、及
び、少ない操作回数で(R)−4−シアノ−3−ヒドロ
キシ酪酸を抽出する事ができる。
【0031】抽出操作の後は、必要に応じて濃縮操作を
行う。濃縮操作は常圧下又は減圧下20℃から抽出液の
沸点の範囲に加熱して行うことができる。濃縮の程度は
全体の生産性を考慮して、0〜100%の範囲で適宜選
択することができるが、エステル化工程での生産性を考
えれば、ケトン含有溶媒が全体の10重量%以下、この
ましくはほぼ完全になくなるまで濃縮するのが適当であ
【0032】(エステル化反応)エステル化反応は、得
られた(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸抽出液
又は濃縮液にアルコールを加え、反応温度20℃からア
ルコールの還流温度で、反応時間10分以上、好ましく
は2時間以上撹拌することによって行われる。アルコー
ルとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、
ブタノール等の炭素数1〜4の低級アルコールが挙げら
れ、(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸に対し
て、通常1〜100当量、好ましくは10〜30当量で
ある。
【0033】また、このエステル化反応は平衡反応であ
ることから、生成する水を連続的に除去することによっ
て、収率を向上させることが可能である。更に、酸触媒
の添加により反応時間の短縮が可能となる。酸触媒とし
ては特に限定されず、例えば、硫酸、塩酸、リン酸等の
プロトン酸やヘテロポリ酸、ゼオライト、スルホン酸系
のイオン交換樹脂等の固体酸触媒が挙げられる。
【0034】エステル化反応後にアルコールを留去し、
アルカリ含有水を加えて酸触媒を中和すると共に、上記
した溶媒を用いて(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ
酪酸低級アルキルエステルを抽出する方法が好ましい。
【0035】抽出を繰り返して行う事や抽出溶媒の使用
量を調節する事により、(R)−4−シアノ−3−ヒド
ロキシ酪酸低級アルキルエステルの収率を高める事がで
きる。
【0036】抽出溶媒を留去して得られる高濃度の
(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキル
エステルを蒸留して、高純度の(R)−4−シアノ−3
−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルを得る事ができ
る。
【0037】
【実施例】以下、実施例により、本発明を詳細に説明す
るが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施
例に限定されるものではない。
【0038】(実施例1) (原料水溶液の調製)還流凝縮器を接続したガラス製反
応容器に、(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エ
チル93g(純度90%)と水250gを混合し、85
℃に加熱した。この混合物に撹拌下、30.5重量%青
酸ソーダ水溶液120gを60分間かけて添加し、反応
を行った。反応中、反応温度は85℃を保持するように
調節した。更に、添加終了後85℃にて60分間加熱を
継続した後、室温まで冷却した。
【0039】((R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪
酸の遊離、抽出、濃縮)反応液に25%硫酸を68g添
加してpHを1とし、シクロヘキサノン387gを用い
て(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸エチル及び
(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸を抽出した。
次いで、有機層を水層から分離し、得られた水層に新た
にシクロヘキサノン387gを加え2回目の抽出を行っ
た。この抽出を3回繰り返した。1回目から3回目のシ
クロヘキサノン層を混合し、(R)−4−シアノ−3−
ヒドロキシ酪酸エチル濃度をガスクロマトグラフで、ま
た、(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸の濃度を
液体クロマトグラフにて分析した所、それぞれ反応液に
含有される量の99%以上がシクロヘキサノン層に抽出
されている事が判った。次にシクロヘキサノン層を60
℃減圧条件下で濃縮した。
【0040】((R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪
酸のエステル化)還流凝縮器を接続したガラス製反応容
器に、前記濃縮液122gとエタノール470g及び9
8%硫酸4.1gを加えて、還流条件下(80℃)で3
時間のエステル化反応を行った。
【0041】(エタノールの留去と硫酸触媒の中和)エ
ステル化反応液を60℃減圧条件下で濃縮し、得られた
濃縮物に、水100g、酢酸エチル137gを仕込み、
攪拌しながら1NのNaOH水溶液をpHが7になるま
で加えた。
【0042】((R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪
酸エチルの抽出と濃縮)中和した水溶液を静置して、層
分離させ、酢酸エチル層と水層を得た。水層に酢酸エチ
ル137gを仕込み、同様に抽出操作を行った。この操
作を3回繰り返し、得られた酢酸エチル溶液を、60℃
減圧条件下で濃縮した。得られた濃縮物から(R)−4
−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸エチルが得られ、原料の
(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチルからの
収率は74.1%であった。
【0043】(比較例1) (原料水溶液の調製)実施例1と同様に行った。
【0044】((R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪
酸の遊離、抽出、濃縮)抽出溶媒として酢酸エチルを用
い、抽出を5回繰り返した事以外は実施例1と同様の操
作を行った。得られた酢酸エチル溶液をガスクロマトグ
ラフで分析したところ、(R)−4−シアノ−3−ヒド
ロキシ酪酸エチルは反応液中に存在する99%以上が抽
出されていた。一方、液体クロマトグラフで(R)−4
−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸を分析したところ、反応
液中に存在する80%が抽出されている事が判った。次
に実施例1と同様に濃縮した。
【0045】((R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪
酸のエステル化)実施例1と同様に行った。
【0046】((R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪
酸エチルの抽出と濃縮)実施例1と同様に抽出と濃縮を
行い得られた濃縮物から(R)−4−シアノ−3−ヒド
ロキシ酪酸エチルが得られた。原料の(S)−4−クロ
ロ−3−ヒドロキシ酪酸エチルからの収率は67.7%
であった
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、(R)−4−シアノ−
3−ヒドロキシ酪酸塩を含む水溶液から(R)−4−シ
アノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキルエステルを高収
率で製造することができる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪
    酸塩を含む水溶液を酸性とし、ケトン化合物を含有する
    溶媒で抽出することを特徴とする(R)−4−シアノ−
    3−ヒドロキシ酪酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 (R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪
    酸塩を含む水溶液を酸性とし、(R)−4−シアノ−3
    −ヒドロキシ酪酸を遊離させ、次いでこの酸性水溶液か
    ら(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸を抽出し、
    更に(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸をエステ
    ル化する(R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級
    アルキルエステルの製造方法において、抽出溶媒として
    ケトン化合物を含有する溶媒を用いる事を特徴とする
    (R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸低級アルキル
    エステルの製造方法。
  3. 【請求項3】 (R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪
    酸塩を含む水溶液が、(S)−4−ハロゲノ−3−ヒド
    ロキシ酪酸低級アルキルエステルをシアノ化反応に付し
    た反応液である請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 (R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪
    酸塩を含む水溶液が、(R)−4−シアノ−3−ヒドロ
    キシ酪酸低級アルキルエステル及び(R)−4−シアノ
    −3−ヒドロキシ酪酸塩を含む水溶液である請求項1又
    は2に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 (R)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪
    酸塩を含む水溶液をpH5以下とする請求項1〜4のい
    ずれかに記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 エステル化を酸触媒の存在下で行う請求
    項2〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 抽出溶媒を除去してからエステル化する
    請求項2〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 ケトン化合物が環状ケトン類である事を
    特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 環状ケトン類がシクロヘキサノンである
    請求項8に記載の製造方法。
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