JPH10231271A - ヒドロキシ安息香酸類の製造方法 - Google Patents

ヒドロキシ安息香酸類の製造方法

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JPH10231271A
JPH10231271A JP9258483A JP25848397A JPH10231271A JP H10231271 A JPH10231271 A JP H10231271A JP 9258483 A JP9258483 A JP 9258483A JP 25848397 A JP25848397 A JP 25848397A JP H10231271 A JPH10231271 A JP H10231271A
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政幸 古屋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 反応溶媒として非プロトン性極性有機溶剤を
用い、フェノール類からコルベシュミット反応によりヒ
ドロキシ安息香酸類を製造する方法において、反応収率
および製品取り出し収率に優れ、工業化に適した製造方
法を提供する。 【解決手段】 使用するフェノール類の量を、フェノー
ル類のアルカリ金属塩生成のために必要なアルカリ金属
化合物と、非プロトン性極性有機溶剤の合計に対して、
モル比が1より大であるような条件で反応させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒドロキシ安息香
酸類の製造方法に関する。さらに詳しくは感圧記録紙用
顕色剤、農薬、酸化防止剤等の化学品の合成原料等とし
て有用なアルキルサリチル酸類、例えば3,5−ジアル
キルサリチル酸類の工業的に有利な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ヒドロキシ安息香酸類の製造方法として
は、フェノール類のアルカリ金属塩と二酸化炭素を反応
させる、コルベシュミット反応が古くから知られてい
る。近年、コルベシュミット反応の改良法として、固相
反応ではなく、溶液ないしはスラリー状で反応を進行さ
せる方が工業的に有利であるとの観点から種々の研究が
行われている。
【0003】例えば特開昭63−165341号には炭
化水素系溶剤にアルカリ金属水酸化物水溶液とアルカリ
に対して過剰量の2,4−ジアルキルフェノールを添加
し、共沸脱水により水分を除去して無水の2,4−ジア
ルキルフェノールアルカリ金属塩を合成し、次いで二酸
化炭素と反応させて3,5−ジアルキルサリチル酸を得
る方法が開示されている。しかしながら、反応マスがペ
ースト状となり攪拌が困難で、後述する比較例にて示す
ように充分な反応収率が得られない。
【0004】特開昭64−34944号には、トルエン
等の炭化水素系溶媒とスルホランの混合溶媒中での反応
が開示されているが、スルホランは粘性のある高沸点溶
剤であり、結晶への付着等の理由で全量回収は困難であ
る。
【0005】特開平3−178947号に開示された方
法は、2,4−ジアルキルフェノールとアルカリ金属水
酸化物を低級アルコール中で反応させた後、低級アルコ
ールと生成水を留去し、得られた無水の2,4−ジアル
キルフェノールアルカリ金属塩と二酸化炭素を反応させ
るものであるが、二酸化炭素との反応は無溶媒の固相状
態で行われ、工業的に有利な方法とは言い難い。
【0006】特開平3−90047号には、2,4−ジ
アルキルフェノールとアルカリ金属水酸化物を、炭化水
素系溶媒と1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンの
混合溶媒中で加熱し、共沸脱水により無水の2,4−ジ
アルキルフェノールアルカリ金属塩を形成し、該混合溶
媒中で二酸化炭素と反応させて3,5−ジアルキルサリ
チル酸を得る方法が開示されている。この方法では反応
液をそのまま酸性水中に排出して製品を取り出してお
り、水層からの高価な1,3−ジメチル−2−イミダゾ
リジノンの回収が困難であり工業的に有利な製造方法と
は言えない。また、明細書中には経済的観念から1,3
−ジメチル−2−イミダゾリジノンの使用量は原料フェ
ノールに対して1〜5重量%の使用が好ましいとされて
いるが、この程度の使用量では脱水時に反応系がペース
ト状となって、実質的に固相反応の状態に近く、通常の
攪拌装置では攪拌不能である。無理に反応を継続しても
充分な反応収率が得られない。
【0007】反応溶媒としてスルホラン、1,3−ジメ
チル−2−イミダゾリジノン等の非プロトン性極性有機
溶剤を溶媒として反応させる場合、高い反応収率が得ら
れるが、上述のように反応液からの製品取り出し及び溶
媒の回収において大きな問題があった。即ち、反応後に
反応液から3,5−ジアルキルサリチル酸アルカリ金属
塩を晶析して取り出そうと試みても、非プロトン性極性
有機溶剤に対するこの金属塩の溶解度が大のため、反応
収率に比べ取り出し収率はかなり低い。大量の貧溶媒を
装入して取り出すことも可能であるが容積効率が非常に
悪い。また、得られた3,5−ジアルキルサリチル酸ア
ルカリ金属塩の湿体は、多量の非プロトン性極性有機溶
剤を含有しているが、3,5−ジアルキルサリチル酸ア
ルカリ金属塩と非プロトン性極性有機溶剤の間に何らか
の相互作用があり、貧溶媒による洗浄での非プロトン性
極性溶剤の除去は困難である。かくして得られた非プロ
トン性極性有機溶剤を含有する3,5−ジアルキルサリ
チル酸アルカリ金属塩を水に溶解して酸析を行うと、含
有していた非プロトン性有機溶剤は全量、酸析濾液に移
行してロスする。
【0008】晶析操作以外で3,5−ジアルキルサリチ
ル酸アルカリ金属塩を取り出す方法として、反応液を濃
縮する方法が挙げられるが、1,3−ジメチル−2−イ
ミダゾリジノン、スルホラン等の高沸点溶剤を蒸留する
のは効率が悪く、且つ、上述したように3,5−ジアル
キルサリチル酸アルカリ金属塩と非プロトン性極性有機
溶剤の間に何らかの相互作用があるため蒸留により全量
を回収することは不可能である。
【0009】一方、反応後に3,5−ジアルキルサリチ
ル酸アルカリ金属塩を取り出さずに反応液をそのまま水
に溶解、分液して水層を酸析する場合においても、ほぼ
全量の非プロトン性極性有機溶剤が酸析濾液にロスす
る。大量の水中の非プロトン性極性有機溶剤を回収する
ためには大量の水を蒸留する必要があり、エネルギー効
率的に工業化には適さない。そこで、使用した非プロト
ン性極性有機溶剤はロスするものとして経済的観点から
使用量を減らすという考え方もあるが、非プロトン性極
性有機溶剤の量を減らせばそれに応じて反応液はペース
ト状の固相反応に近い状態となり反応収率も低下してく
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、反応
溶媒として非プロトン性極性有機溶剤を用い、フェノー
ル類からコルベシュミット反応によりヒドロキシ安息香
酸類を製造する方法において、反応収率および製品取り
出し収率に優れ、且つ、使用した非プロトン性極性有機
溶剤をほぼ完全に回収可能であるような工業化に適した
製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
技術の問題点に鑑み鋭意検討した結果、反応溶媒として
非プロトン性極性有機溶剤を用い、フェノール類とアル
カリ金属化合物を反応させてフェノール類のアルカリ金
属塩を形成した後、二酸化炭素と反応させてヒドロキシ
安息香酸類を得る方法において、反応後にヒドロキシ安
息香酸類および非プロトン性極性有機溶剤に対してフェ
ノール類を充分に存在させることにより、ヒドロキシ安
息香酸類のアルカリ金属塩が定量的に取り出し可能であ
り、且つ、得られる湿体は非プロトン性極性有機溶剤を
全く含有していないことを見出し、本発明を完成するに
至った。
【0012】即ち本発明は次のようである。 1.反応溶媒として非プロトン性極性有機溶剤を用い、
フェノール類とアルカリ金属化合物を反応させてフェノ
ール類のアルカリ金属塩とした後、二酸化炭素と反応さ
せてヒドロキシ安息香酸類を製造する方法において、フ
ェノール類の量がアルカリ金属化合物および非プロトン
性極性有機溶剤の合計に対してモル比が1より大となる
条件で反応を行うことを特徴とするヒドロキシ安息香酸
類の製造方法。 2.反応溶媒として非プロトン性極性有機溶剤を用い、
フェノール類とアルカリ金属化合物を反応させてフェノ
ール類のアルカリ金属塩とした後、二酸化炭素と反応さ
せてヒドロキシ安息香酸類を製造する方法において、フ
ェノール類の量がアルカリ金属化合物および非プロトン
性極性有機溶剤の合計に対してモル比が1より大となる
条件で反応を行い、反応液から結晶を析出させ、固液分
離操作によりヒドロキシ安息香酸類のアルカリ金属塩の
湿体を得、該湿体を水に溶解した後、酸析によりヒドロ
キシ安息香酸類を得ることを特徴とするヒドロキシ安息
香酸類の製造方法。 3.フェノール類の量がアルカリ金属化合物に対して2
〜10倍モルに、非プロトン性極性有機溶剤に対して2
〜30倍モルを加えた量であり、非プロトン性極性有機
溶剤の量がアルカリ金属化合物に対して0.3〜3倍モ
ルである上記1または2に記載の製造方法。 4.フェノール類とアルカリ金属化合物を反応させてフ
ェノール類のアルカリ金属塩とした後、二酸化炭素と反
応させてヒドロキシ安息香酸類のアルカリ金属塩として
晶析分離した後の回収溶液に、ヒドロキシ安息香酸類に
転化した分に相当するフェノール類及びアルカリ金属化
合物を加えて再び反応を行うことを特徴とする上記1〜
3に記載の製造方法。 5.非プロトン性極性有機溶剤が1,3−ジメチル−2
−イミダゾリジノンである上記1〜4に記載の製造方
法。 6.非プロトン性極性有機溶剤がスルホランである上記
1〜4に記載の製造方法。 7.フェノール類が2,4−ジアルキルフェノール、お
よびヒドロキシ安息香酸類が3,5−ジアルキルサリチ
ル酸である上記1〜4に記載の製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明においては、アルカリ金属
化合物と、アルカリ金属化合物に対して過剰のフェノー
ル類とを、非プロトン性極性有機溶剤中で加熱してフェ
ノール類のアルカリ金属塩を形成する。このとき生成す
る水は系外へ除去し、脱水が完了した後、得られたフェ
ノール類のアルカリ金属塩を二酸化炭素と反応させて目
的のヒドロキシ安息香酸類を得る。
【0014】本発明において使用されるフェノール類の
種類は特に限定されず、フェノールおよび任意に置換さ
れたフェノールが用いられる。置換基としては、炭素数
1〜20までの直鎖または分岐鎖状のアルキル基、アル
ケニル基、アルコキシ基、またはアシル基、;フェニル
基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、チオー
ル基、ニトロ基等が挙げられ、これらの基は任意に置換
されていても構わない。また、置換基の数はいくつでも
よく、その置換位置も特定に限定はない。また、複数の
置換基を有する場合、各置換基は互いに同一でも異なっ
てもよい。
【0015】これらの中で反応選択性および反応収率が
高いアルキル置換フェノール類またはアルコキシ置換フ
ェノール類を用いるのが好ましく、中でもジアルキルフ
ェノールを用いるのが好ましい。アルキル基としてはメ
チル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチ
ル、sec−ブチル、ter−ブチル、オクチル、2−
エチルヘキシル等が挙げられる。
【0016】本発明において使用されるアルカリ金属化
合物は特に限定されず、アルカリ金属水酸化物やアルカ
リ金属アルコラートが用いられるが、通常、取り扱いの
容易さと経済的観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム等に代表されるアルカリ金属の水酸化物が用いら
れる。これらは固形あるいは任意の濃度の水溶液として
用いられる。
【0017】本発明において使用されるフェノール類の
使用量は、反応後においても生成ヒドロキシ安息香酸類
のアルカリ金属塩に対して1〜9倍モル、好ましくは2
〜6倍モル、非プロトン性極性有機溶剤に対して等モル
を越えて存在するように調整される。ヒドロキシ安息香
酸類のアルカリ金属塩に対するフェノール類の量がこれ
より多いと容積効率が低下する。また、ヒドロキシ安息
香酸のアルカリ金属塩および非プロトン性極性有機溶剤
に対するフェノールの量がこれ以下の場合は、反応で得
られるヒドロキシ安息香酸のアルカリ金属塩の晶析収率
が低下するだけでなく、ヒドロキシ安息香酸のアルカリ
金属塩の湿体に多量の非プロトン性極性有機溶剤を含有
し、この湿体を水に溶解、分液した水層の酸析濾液へ含
有していた全量の非プロトン性極性溶媒が移行しロスす
る。その調整はフェノール類とアルカリ金属化合物との
反応の仕込み段階、またはフェノール類のアルカリ金属
塩と二酸化炭素との反応前、反応途中、および反応終了
後のいずれの段階で調整しても構わない。しかしなが
ら、フェノール類のアルカリ金属塩と二酸化炭素との反
応前、反応途中、および反応終了後に調整した場合、ヒ
ドロキシ安息香酸アルカリ金属塩を晶析分離した後の回
収溶液から過剰のフェノール類を除去した後に原料系へ
戻し次の反応を行う必要があり効率が悪いため、フェノ
ール類とアルカリ金属化合物との反応の仕込み段階で調
整するのが最も好ましい。
【0018】即ち、本発明においては、フェノール類
を、アルカリ金属化合物に対して2〜10倍モル、非プ
ロトン性極性有機溶剤に対して2〜30倍モルになるよ
うな仕込みで反応を行うことが好ましい。上述したよう
に、これを超えて使用すると容積効率が悪化する。ま
た、これ未満の使用量では反応で得られるヒドロキシ安
息香酸類のアルカリ金属塩の晶析収率が低下するだけで
なく、ヒドロキシ安息香酸類のアルカリ金属塩の湿体に
多量の非プロトン性極性有機溶剤を含有し、この湿体を
水に溶解、分液した水層の酸析濾液へ、含有していた全
量の非プロトン性極性有機溶剤が移行しロスする。
【0019】本発明に用いられる非プロトン性極性有機
溶剤はN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチ
ルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメ
チル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジプロピル−2
−イミダゾリジノン、1,3−ジブチル−2−イミダゾ
リジノン等のアミド系溶剤、ジメチルスルホキシド、ス
ルホラン等の含硫溶剤が挙げられる。これらは単独で用
いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい
が、アルカリ金属化合物存在下での安定性に優れたもの
が好ましく、特に1,3−ジメチル−2−イミダゾリジ
ノンまたはスルホランを使用するのが好ましい。その使
用量は、フェノール類の使用量にも依るが、アルカリ金
属化合物に対して0.3〜3倍モル、好ましくは0.3
〜1.5倍モルである。これ未満の使用量では反応性は
攪拌困難なペースト状態で通常の攪拌装置では攪拌が困
難となるだけでなく、充分な反応収率が得られない。ま
た、これを超えて使用すると反応で生成したヒドロキシ
安息香酸類のアルカリ金属塩の晶析収率が低下する。
【0020】本発明においてフェノール類とアルカリ金
属化合物によるフェノール類のアルカリ金属塩を形成す
る際に生成する水は、反応原料に伴われる水とともに、
常圧または減圧下で系外に除去する。脱水をより効率よ
く行うために共沸脱水剤を用いてもよい。共沸脱水剤は
特に限定されないが、通常、炭化水素系溶剤が用いら
れ、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、
ウンデカン、ドデカン、リグロイン、ケロシン等に代表
される脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、メシチレン、エチルベンゼン、クメン、ジフェニル
エーテル、ナフタレン等に代表される芳香族炭化水素、
1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタ
ン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−ジク
ロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素から選択された1
種または2種以上が使用できる。これら共沸脱水剤の使
用量は系内に持ち込まれる水の量によっても異なるが、
通常、系内水分量の2〜10重量倍程度用いられる。脱
水が終了した後、使用した共沸脱水剤は系外に留去して
も系内に残したまま次の反応に進んでもよい。
【0021】本発明において、フェノール類とアルカリ
金属化合物を反応させてフェノール類のアルカリ金属塩
を形成させる反応は、常圧あるいは減圧下で行う。この
時の反応温度は、用いる共沸脱水剤の種類および減圧度
により異なり、その減圧度における共沸脱水剤と水との
共沸温度まで加熱して留出した水を系外へ除く。この
時、水と共に留出した共沸脱水剤はそのまま系内に戻し
てもよいし、留出した分だけ新たな共沸脱水剤を追加し
てもよい。
【0022】このようにして得られるフェノールのアル
カリ金属塩と二酸化炭素の反応条件は公知の、通常オー
トクレーブ中、反応温度80〜200℃、二酸化炭素ガ
ス圧力1〜20kg/cm2 で行われる。反応時間は、
反応温度、二酸化炭素ガス圧力に依存するが、通常1〜
6時間程度で充分である。
【0023】原料フェノール類もしくは生成するヒドロ
キシ安息香酸類の種類によっては、反応物生成後に反応
系が攪拌困難なペースト状を呈することがあるが、この
場合はあらかじめ反応に不活性な滑剤を添加して二酸化
炭素との反応を行っても反応収率には影響しない。滑剤
の種類は特に限定されないが、反応形態、取り扱いの容
易さから通常、炭化水素系溶媒が使用される。例として
はヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウ
ンデカン、ドデカン、リグロイン、ケロシン等に代表さ
れる脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、
メシチレン、エチルベンゼン、クメン、ジフェニルエー
テル、ナフタレン等に代表される芳香族炭化水素、1,
2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、
クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−ジクロロ
ベンゼン等に代表されるハロゲン化炭化水素が挙げられ
る。
【0024】かくして得られたヒドロキシ安息香酸類の
アルカリ金属塩は、冷却晶析、貧溶媒を用いた再沈澱等
により晶析され、濾過、遠心分離等の通常の固液分離操
作により単離される。用いられる貧溶媒としては炭化水
素系溶媒が挙げられ、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、
ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、リグロイン、
ケロシン等に代表される脂肪族炭化水素、ベンゼン、ト
ルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、クメ
ン、ジフェニルエーテル、ナフタレン等に代表される芳
香族炭化水素系溶媒、1,2−ジクロロエタン、1,
1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジク
ロロベンゼン、p−クロロベンゼン等に代表されるハロ
ゲン化炭化水素から選択された1種または2種以上が用
いられる。貧溶媒として用いられる炭化水素系溶媒は、
前述の共沸脱水剤および滑剤として用いられる炭化水素
系溶媒と異なっても同一でもよいが、溶媒回収を考慮す
れば同一の溶媒を使用する方が好ましい。
【0025】得られるヒドロキシ安息香酸類のアルカリ
金属塩湿体を水に溶解し、主として用いられた炭化水素
系溶媒から成る有機層を分液して除去し、水層を塩酸、
硫酸、硝酸等の鉱酸で中和し、析出した結晶を濾過、遠
心分離などの固液分離操作により単離し、実質的に夾雑
物を含まないヒドロキシ安息香酸類を得る。ヒドロキシ
安息香酸類のアルカリ金属塩湿体の洗浄が不十分な場合
は分液後の水層にフェノール類が混入するが、この場合
は同一の炭化水素系溶媒を添加してフェノール類を有機
層に抽出分離した後、水層を塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸
で中和し、析出した結晶を濾過、遠心分離などの固液分
離操作により単離し、実質的に夾雑物を含まないヒドロ
キシ安息香酸類を得る。
【0026】本発明においてヒドロキシ安息香酸類のア
ルカリ金属塩を分離した後の回収溶液は、実質的にフェ
ノール類、非プロトン性極性有機溶剤、共沸脱水剤ある
いは滑剤として用いた炭化水素系溶媒からなり、蒸留等
の操作により炭化水素系溶媒を回収した後に原料系へ戻
し、消費されたアルカリ金属化合物およびフェノール類
を追加することにより反応リサイクル系が可能となる。
場合によっては回収溶液中にヒドロキシ安息香酸類のア
ルカリ金属塩および/または無機塩が少量含有してくる
こともあるが、その際は回収濾液を少量の水で洗浄して
これらを水層へ抽出した後、蒸留等の操作により炭化水
素系溶媒を回収した後に原料系へ戻し、消費されたアル
カリ金属化合物およびフェノール類を追加することによ
り反応リサイクル系が可能となる。また回収した炭化水
素系溶媒は再び共沸脱水剤および滑剤として使用でき
る。
【0027】以上のように本発明の方法によれば、反応
溶媒として非プロトン性極性有機溶剤を用い、フェノー
ル類からコルベシュミット反応によりヒドロキシ安息香
酸類を製造する方法において、反応収率、製品取り出し
収率に優れ、且つ、使用した非プロトン性極性有機溶剤
をほぼ完全にリサイクル可能であるような工業化に適し
た製造方法を提供することができる。
【0028】
【実施例】以下、実施例により本発明をより詳細に説明
するが、本発明は実施例のみに限定されるものではな
い。なお3,5−ジ−ter−ブチルサリチル酸(以下
DBSAと略)および各種ヒドロキシ安息香酸の分析は
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、1,3−ジ
メチル−2−イミダゾリジノン(以下DMiと略)およ
びスルホランはガスクロマトグラフィー(GC)、Na
分については塩酸滴定にて行った。
【0029】実施例1 2,4−ジ−ter−ブチルフェノール(以下DBPと
略)74.29g(0.36mol)、DMi6.16
g(0.054mol)、トルエン20g、49重量%
NaOH水溶液4.9g(0.06mol)を200m
lの4つ口フラスコに仕込み、加熱しながら共沸脱水を
行った。理論量の水が留出した後、反応液を300ml
のオートクレーブに装入して75gのトルエンを追加し
た後、120℃に昇温し、6kg/cm2 Gで炭酸ガス
を吸収させた後、同圧力で5hr反応させた。転化率は
88.0%/NaOHであった。得られた反応液を70
℃に冷却して2hr熟成した後、得られた3,5−ジ−
ter−ブチルサリチル酸ナトリウム塩(以下、DBS
A−Naと略)を濾過、洗浄により取り出した。この湿
体中のDMiの含有量を分析したところDMiは検出さ
れず、濾洗液中に全量のDMiを確認した。その湿体を
36gの水に60℃で溶解し、トルエン層を分液により
除去した後、加熱により水層中に溶存するトルエンを留
去した。残った水層を6重量%硫酸44.2g中に2h
rかけて滴下しながら酸析を行い、得られた沈澱を濾
過、洗浄、乾燥してDBSAを得た。純度99.8%、
収率85.0%/NaOHであった。
【0030】実施例2 DBP74.29g(0.36mol)、DMi11.
99g(0.105)、トルエン27g、49重量%N
aOH水溶液4.9g(0.06mol)を200ml
の4つ口フラスコに仕込み、加熱しながら共沸脱水を行
った。理論量の水が留出した後、反応液を300mlの
オートクレーブに装入して75gのトルエンを追加した
後、120℃に昇温し、6kg/cm2 Gで炭酸ガスを
吸収させた後、同圧力で5hr反応させ転化率は92.
2%/NaOHであった。得られた反応液を80℃まで
に冷却して同圧力下でヘキサン100gを圧入し、得ら
れたDBSA−Naの沈澱を濾過、洗浄により取り出し
た。このDBSA−Na湿体中にはDMiを全く含有し
ていなかった。この湿体を40gの水に60℃で溶解
し、トルエン層を分液により除去した後、加熱により水
層中に溶存するトルエンを留去した。残った水層を6重
量%硫酸44.2g中に2hrかけて滴下しながら酸析
を行い、得られた沈澱を濾過、洗浄、乾燥してDBSA
を得た。純度99.8%、収率84.8%/NaOHで
あった。
【0031】実施例3 実施例1において、DBSA−Naを濾取した際の濾液
および洗浄液を混合して、加熱してトルエンを留去し、
実質的にDBP、DMiおよび溶解度分のDBSA−N
aからなる溶液を得た。この溶液に49重量%NaOH
4.41gとDBP10.52g及び20gのトルエン
を加えて、再び実施例1と同様の操作を行った。純度9
9.8%、収率98%/追加DBPでDBSAが得られ
た。
【0032】実施例4 DBP49.53g(0.240mol)、DMi1
2.05g(0.018mol)、キシレン40g、を
4口フラスコに仕込み、還流するまで昇温した後、49
重量%NaOH水溶液4.41g(0.054mol)
を2hrかけて滴下装入しながら共沸脱水を行った。そ
の後、キシレン20gを滴下装入し更に2hr還流下で
熟成し、理論量の水の留出を確認した。この反応液を3
00mlのオートクレーブに装入し120℃に昇温して
二酸化炭素を6kg/cm2 Gで吸収させ更に同温度に
て5hr熟成した。転化率は92.1%/NaOHであ
った。この反応液を70℃までゆっくり冷却し70℃で
2hr晶析させた。該反応液(DBSA−Naスラリー
液)を70℃にて加熱濾過しキシレン20gで3回洗浄
しDBSA−Naの湿体35.57gを得た。この湿体
のDBSA、DMi、Na分について分析するとDBS
A34.0重量%、Na分3.12重量%であり、DM
iは含有していなかった。また、DBSA−Naの取り
出し収率は90%/NaOHであった。DMiは、加熱
濾過、洗浄時の濾洗液に完全に回収されていることを確
認した。この湿体を水54gに60℃で溶解し、キシレ
ン18gにより抽出操作を2回行い水層を得た。水層中
の溶存キシレンを減圧下にて留去した後、この水層を6
重量%硫酸水49gに2hrかけて滴下、酸析しDBS
A水スラリー液を得た。このスラリー液を濾過し水12
gで3回洗浄しDBSA湿体を取り出し乾燥させた。D
BSAは12.0g得られ純度99.9%以上で原料か
らの通算取り出し純度換算収率は89.7%/NaOH
であった。
【0033】実施例5 実施例4において、DBSA−Naを取り出し率90%
/NaOHで濾取した際の濾洗液から加熱によりキシレ
ンを留去し、実質的にDBP、DMi、溶解度分のDB
SA−Na(2mol%/NaOH)からなる溶液を得
た。この溶液にDBP10.03g、40gのキシレン
を加え、還流するまで昇温し、49重量%NaOH水溶
液4.06gを滴下装入しながら共沸脱水を行い、以下
実施例4と同様の操作を行った結果、純度99.8%、
収率98%/(追加DBP)でDBSAを得た。
【0034】DBSA−Naを濾取した際の濾洗液には
5mol%/(生成DBSA−Na)のDBSA−Na
が溶解していた。この濾洗液を水5gを用い60℃で洗
浄してDBSA−Naを全量水層に抽出した。この抽出
水層に1mol%/(仕込み)のDMiをロスしてい
た。抽出後の有機層は、同様にキシレンを留去した後、
DBP9.83g、40gのキシレン、1mol%分の
DMiを加え、還流するまで昇温し、49重量%NaO
H水溶液3.98gを滴下装入しながら共沸脱水し、以
下実施例4と同様の操作で反応を行った。得られたDB
SA−Na湿体を水54gに60℃で溶解し、上述の回
収濾洗液からの抽出水層と混合した後、キシレンで洗
浄、分液して水層を得た。この水層中に溶存するキシレ
ンを減圧留去した後、6重量%硫酸水49gに2hrか
けて滴下、酸析しDBSAを得た。結果は、純度99.
8%、収率98.1%/(追加DBP)であった。
【0035】以後、同様の操作を6回繰り返したが、反
応収率、取り出し収率、製品純度およびDMiロス率に
は何ら問題はなかった。
【0036】実施例6 DBP74.29g(0.36mol)、スルホラン1
1.99g(0.105)、トルエン20g、49重量
%NaOH水溶液4.9g(0.06mol)を200
mlの4つ口フラスコに仕込み、加熱しながら共沸脱水
を行った。理論量の水が留出した後、この反応液を30
0mlのオートクレーブに装入して75gのトルエンを
追加した後、120℃に昇温し、6kg/cm2 Gで炭
酸ガスを吸収させた後、同圧力で5hr反応させ転化率
は88.0%/NaOHであった。得られた反応液を4
5℃まで冷却して2hr熟成した後、得られたDBSA
−Naの沈澱を濾過、洗浄により取り出した。スルホラ
ンは該湿体中には含有されておらず、濾洗液中に全量の
スルホランが含有されていることを確認した。このDB
SA−Na湿体を36gの水に60℃で溶解し、有機層
を分液により除去した後、加熱により水層中に溶存する
トルエンを留去した。残った水層を6重量%硫酸44.
2g中に2hrかけて滴下しながら酸析を行い、得られ
た沈澱を濾過、洗浄、乾燥してDBSAを得た。純度9
9.8%、収率70.0%/NaOHであった。一方、
DBSA−Naを濾取した際の濾液および洗浄液を混合
し、加熱してトルエンを留出回収し、実質的にDBP、
スルホランおよび溶解度分のDBSA−Naからなる溶
液を得た。この溶液に49重量%NaOH3.43gと
DBP8.67gおよび20gの回収トルエンを加え
て、再びDBP−Naの形成、コルベシュミット反応を
行った。その後、この溶液を上記と同様の操作により取
り出し、純度99.8%、収率98%/追加DBPでD
BSAが得られた。
【0037】実施例7 2,4−キシレノール43.97g(0.36mo
l)、DMi6.8g(0.60mol)、トルエン2
0g、フレーク状NaOH(純度96%)2.50g
(0.06mol)、水1.08gを200mlの4つ
口フラスコに仕込み、共沸脱水を行った。理論量の水が
留出した後、反応液を300mlのオートクレーブに仕
込み、炭酸ガスを吸収させ120℃、6kg/cm2
で6hr反応させた。反応収率は90.3%/原料2,
4−キシレノールであった。得られた反応液をトルエン
100g中に排出して5℃で熟成し、得られた沈澱を濾
過、洗浄して3,5−ジメチルサリチル酸−Naの湿体
を得た。この湿体を75gの水に溶解し、トルエン層を
分液して除去した後に水層を5重量%硫酸210g中に
2hrかけて滴下しながら酸析し、析出した結晶を濾
過、洗浄、乾燥して3,5−ジメチルサリチル酸を得
た。純度99.0%、収率72.0%/原料2,4−キ
シレノールであった。
【0038】実施例8 DBP41.26g(0.20mol)、トルエン15
g、DMi68.4g(0.60mol)、49重量%
NaOH水溶液16.33g(0.20mol)を20
0mlの4口フラスコに仕込み、共沸脱水を行った。ほ
ぼ理論量の水が留出した後、減圧下トルエンを留去し、
反応液を300mlのオートクレーブに装入して120
℃に昇温し6kg/cm2 Gで炭酸ガスを吸収させた
後、同圧力で5hr反応させた。反応収率は89%/原
料DBPであった。開圧した後、得られた反応液にDB
P247.6g(1.20mol)を加え120℃/2
hr熟成した。その後トルエンを150g追加して氷冷
し1hr攪拌を続けた後、得られたDBSA−Naの沈
澱を濾過、トルエンで3回洗浄しDBSA−Na湿体を
得た。取り出し収率は76%/NaOHであった。分析
した結果、DMiは湿体中には全く含まれておらず、全
量が濾洗液に含有されていた。得られた湿体については
実施例1と同様の操作を行い、純度99.7%、収率7
5.7%/NaOHでDBSAを得た。
【0039】実施例9 2,6−ジ−ter−ブチルフェノール(以下2,6−
DBPと略)49.53g(0.240mol)、DM
i2.05g(0.018mol)、キシレン40gを
4口フラスコに仕込み、還流するまで昇温した後、49
重量%NaOH水溶液4.41g(0.054mol)
を5hrかけて滴下装入しながら共沸脱水を行った。そ
の後、キシレン20gを滴下装入し更に2hr還流下で
熟成し、理論量の水の留出を確認した。この反応液を3
00mlのオートクレーブに装入し160℃に昇温して
二酸化炭素を6kg/cm2 Gで吸収させ更に同温度に
て5hr熟成した。転化率は90.0%/NaOHであ
った。この反応液を70℃までゆっくり冷却し70℃で
2hr晶析させた。この反応液を70℃にて加熱濾過し
キシレン20gで3回洗浄し3,5−ジ−ter−ブチ
ル−4−ヒドロキシ安息香酸Na塩の湿体を得た。分析
の結果、3,5−ジ−ter−ブチル−4−ヒドロキシ
安息香酸Na塩の取り出し収率は88.4%/NaOH
であり、DMiは未検出であった。DMiは、加熱濾
過、洗浄時の濾洗液に完全に回収されていることを確認
した。前記湿体を水54gに60℃で溶解し、キシレン
18gにより抽出操作を2回行い水層を得た。水層中の
溶存キシレンを減圧下にて留去した後、この水層を6重
量%硫酸水49gに2hrかけて滴下、酸析、濾過し、
水12gで3回洗浄し3,5−ジ−ter−ブチル−4
−ヒドロキシ安息香酸湿体を取り出し乾燥させた。3,
5−ジ−ter−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸は1
2.0g得られ純度99.9%以上で原料からの通算取
り出し純度換算収率は88.0%/NaOHであった。
【0040】実施例10 4−ter−オクチルフェノール49.53g(0.2
40mol)、DMi2.05g(0.018mo
l)、キシレン40gを4口フラスコに仕込み、還流す
るまで昇温した後、49重量%NaOH水溶液4.41
g(0.054mol)を4hrかけて滴下装入しなが
ら共沸脱水を行った。その後、キシレン20gを滴下装
入し更に2hr還流下で熟成し、理論量の水の留出を確
認した。この反応液を300mlのオートクレーブに装
入し130℃に昇温して二酸化炭素を6kg/cm2
で吸収させ更に同温度にて5hr熟成した。転化率は8
6.7%/NaOHであった。この反応液を70℃まで
ゆっくり冷却し70℃で2hr晶析させた。反応液を7
0℃にて加熱濾過しキシレン20gで3回洗浄し5−t
er−オクチルサリチル酸Na塩の湿体を得た。分析の
結果、5−ter−オクチルサリチル酸Na塩の取り出
し収率は85.3%/NaOHであり、DMiは未検出
であった。DMiは、加熱濾過、洗浄時の濾洗液に完全
に回収されていることを確認した。前記湿体を水54g
に60℃で溶解し、キシレン18gにより抽出操作を2
回行い水層を得た。水層中の溶存キシレンを減圧下にて
留去した後、この水層を6重量%硫酸水49gに2hr
かけて滴下、酸析、濾過し水12gで3回洗浄し5−t
er−オクチルサリチル酸の湿体を取り出し乾燥させ
た。5−ter−オクチルサリチル酸は11.52g得
られ純度99.9%以上で原料からの通算取り出し純度
換算収率は85.2%/NaOHであった。
【0041】実施例11 4−メトキシフェノール29.79g(0.240mo
l)、DMi2.05g(0.018mol)、キシレ
ン40gを4口フラスコに仕込み、還流するまで昇温し
た後、49重量%NaOH水溶液4.41g(0.05
4mol)を5hrかけて滴下装入しながら共沸脱水を
行った。その後、キシレン20gを滴下装入し更に2h
r還流下で熟成し、理論量の水の留出を確認した。この
反応液を300mlのオートクレーブに装入し160℃
に昇温して二酸化炭素を6kg/cm2 Gで吸収させ更
に同温度にて7hr熟成した。転化率は74.9%/N
aOHであった。この反応液を70℃までゆっくり冷却
し70℃で2hr晶析させた。この反応液を70℃にて
加熱濾過しキシレン20gで3回洗浄し5−メトキシサ
リチル酸Na塩の湿体を得た。分析の結果、5−メトキ
シサリチル酸Na塩の取り出し収率は72.8%/Na
OHであり、DMiは未検出であった。DMiは、加熱
濾過、洗浄時の濾洗液に完全に回収されていることを確
認した。前記湿体を水54gに60℃で溶解し、キシレ
ン18gにより抽出操作を2回行い水層を得た。水層中
の溶存キシレンを減圧下にて留去した後、この水層を6
重量%硫酸水49gに2hrかけて滴下、酸析、濾過し
水12gで3回洗浄し5−メトキシサリチル酸の湿体を
取り出し乾燥させた。5−メトキシサリチル酸は6.6
0g得られ純度99.9%以上で原料からの通算取り出
し純度換算収率は72.7%/NaOHであった。
【0042】比較例1 DBP20.63g(0.1mol)、トルエン100
g、フレーク状NaOH(純度96%)4.18g
(0.1mol)、水1.8gを200ml4つ口フラ
スコに仕込み、共沸脱水を行った。途中で反応マスがペ
ースト状となり攪拌できなくなったため、トルエン50
gを追加して反応を続けたが脱水は不十分で、理論の7
0%の水しか留出しなかった。この反応マスをオートク
レーブに仕込み、炭酸ガス圧力6kg/cm2 Gで12
0℃/5hr反応させた。転化率は11.5%/NaO
Hと低いものであった。
【0043】比較例2 DBP20.63g(0.1mol)、トルエン100
g、DMi3g(0.026mol)、49重量%Na
OH水溶液8.16g(0.1mol)を200mlフ
ラスコに仕込み、共沸脱水を行った。反応途中で反応マ
スがペースト状となり攪拌が不能となったので脱水反応
を中断した。このペーストをオートクレーブに仕込み、
炭酸ガス圧力6kg/cm2 G、120℃/5hr反応
させた。転化率は17.8%/原料DBPと低いもので
あった。反応液に水を装入した後、分液して水層を3重
量%硫酸200g中に滴下装入して酸析を行った。得ら
れたDBSAは17.7%/NaOHであった。また、
用いたDMiの全量が酸析後の濾洗液中に存在した。
【0044】比較例3 DBP41.26g(0.2mol)、トルエン15
g、DMi68.5g(0.60mol)、49重量%
NaOH水溶液16.33g(0.2mol)を200
mlの4口フラスコに仕込み、共沸脱水を行った。ほぼ
理論量の水が留出した後、減圧下トルエンを留去し、こ
の反応液を300mlのオートクレーブに装入して12
0℃に昇温し6kg/cm2 Gで炭酸ガスを吸収させた
後、同圧力で5hr反応させた。反応収率は89%/N
aOHであった。その反応液にトルエンを150g追加
して氷冷し1hr攪拌を続けた後、濾過しトルエンで3
回洗浄し湿体126.2gを得た。湿体を分析した結
果、DBSAは25.9重量%、DMiは11.8重量
%、Na分は2.4重量%であった。取り出し収率は6
5.3%/DBPでありDMiの湿体中へのロス量は2
1.7%/仕込みDMi量であった。この湿体をトルエ
ン150g中に装入して氷冷しながらスラッジングし
0.5hr攪拌を続けた。その後、濾過しトルエンにて
5回洗浄し湿体96.6gを得た。上記同様に分析した
ところDBSAは29.3重量%、DMiは13.4重
量%、Na分は2.7重量%でありDMiの湿体へのロ
ス量は18.9%/仕込みDMi量であった。この湿体
を水200gに溶解し有機層を分離した後、水層に更に
トルエン30gを装入し抽出、分液し水層を得た。この
水層を減圧下にて溶存トルエン分を留去した後、室温に
て3重量%硫酸水400gに徐々に滴下して酸析し0.
5hr攪拌した。そののち酸析液を濾過し純水にて洗浄
してDBSAの湿体を乾燥してDBSA28.1g、取
り出し収率56.1%/NaOHを得た。一方、酸析濾
洗液中のDMiを分析したところ濾洗液中に18.9%
/仕込みDMi量ロスしていた。得られたDBSAの純
度は99.9%以上であり、DBSA中にDMiは含有
していないことを確認した。
【0045】比較例4 比較例3においてDBSA−Naを晶析分離した後の回
収濾洗液から、トルエンを留去し、実質的に未反応DB
P、DMi、溶解分のDBSA−Naから成る水層を得
た。この水層に49重量%NaOH水溶液14.53
g、DBP36.72g、DMi12.9gを追加し、
再び比較例3と同様の操作を行った。その結果、反応収
率は70%/追加NaOHと低く、且つ、トルエンを加
えて氷冷しても、DBSA−Naは晶析せず、均一な溶
液のままであった。
【0046】比較例5 DBP74.28g(0.36mol)、トルエン20
g、49重量%NaOH水溶液4.9g(0.06mo
l)を200mlの4つ口フラスコに仕込み、加熱しな
がら共沸脱水を行った。ほぼ理論量の水が留出した後、
この反応液を300mlのオートクレーブに装入して7
5gのトルエンを追加した後、120℃に昇温し、6k
g/cm2 Gで炭酸ガスを吸収させた後、同圧力で5h
r反応させた。反応収率は12.5%/NaOHと非常
に低いものであった。
【0047】比較例6 DBP41.2g(0.2mol)と水酸化ナトリウム
8.4g(0.21mol)を水70cc、トルエン1
00ccおよびスルホラン120cc(144g)と共
に500ccフラスコに仕込んだ。系内を70〜80℃
に約1時間保持した後、共沸する温度まで昇温して、水
をトルエン−水共沸蒸留によって除去した。約1.5時
間後、反応系内部温度が125℃に到達した時点で水の
留出が終了し、ほぼ理論値に近い水を回収した。この
後、系内を更に165℃まで昇温した。85ccのトル
エンを回収し、DBP−Naの脱水されたスルホラン溶
液を得た。この溶液を耐圧オートクレーブに仕込み、炭
酸ガス圧力8〜9kg/cm 2 G、120〜130℃の
条件下で炭酸ガス吸収がなくなるまで約6時間反応させ
た。反応物をオートクレーブから取り出し、スルホラン
を減圧単蒸留によって、128.3g(回収率約89
%)回収した。回収残物に水150ccを投入し、約9
0℃まで昇温して内容物を溶解させ、1000ccの希
塩酸を添加して、pH2以下とし、析出した純白のDB
SAを濾別した。この析出物を水洗の後、乾燥して42
g(単離収率84%/NaOH)、純度99%(HPL
C)のDBSAを得た。酸析後の濾液と洗浄液の混合濾
洗液を分析しスルホラン約11%/(使用スルホラン)
を確認した。
【0048】比較例7 比較例6と同様にして、DBP41.2gをカルボキシ
ル化して、DBSA−Naを含有するスルホラン溶液を
200gを得た。この溶液にトルエン280ccを加え
てDBSA−Naを析出させ、そのスラリー液を濾別し
トルエン150ccで3回洗浄し、DBSA−Naの湿
体を得た。その湿体中のスルホランの分析で15.0g
(ロス量10.4%/使用スルホラン)のスルホランを
確認した。その湿体を水150ccに溶解させ、希塩酸
水1000ccを添加してpH2以下としDBSAのス
ラリー液を得た。このスラリー液を濾別しDBSAを得
た。一方、DBSAを濾別した際の濾液を分析しスルホ
ランを含有している水溶液であることを確認し、その回
収操作は行わなかった。
【0049】比較例8 DBP20.63g(0.1mol)、トルエン100
g、スルホラン3g、48重量%KOH水溶液11.6
8g(0.1mol)を200mlフラスコに仕込み、
共沸脱水を行った。反応途中で反応マスがペースト状と
なり攪拌が不能となったので脱水反応を中断した。この
ペーストをオートクレーブに仕込み、炭酸ガス圧力6k
g/cm2 G、120℃/5hr反応させた。転化率は
15.2%/NaOHと低いものであった。
【0050】
【発明の効果】本発明の方法によれば、反応溶媒として
非プロトン性極性有機溶剤を用い、フェノール類からコ
ルベシュミット反応によりヒドロキシ安息香酸類を製造
する方法において、反応収率、製品取り出し収率に優
れ、且つ、使用した非プロトン性極性有機溶剤をほぼ完
全にリサイクル可能であるような工業化に適した製造方
法を提供することができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応溶媒として非プロトン性極性有機溶
    剤を用い、フェノール類とアルカリ金属化合物を反応さ
    せてフェノール類のアルカリ金属塩とした後、二酸化炭
    素と反応させてヒドロキシ安息香酸類を製造する方法に
    おいて、フェノール類の量がアルカリ金属化合物および
    非プロトン性極性有機溶剤の合計に対してモル比が1よ
    り大となる条件で反応を行うことを特徴とするヒドロキ
    シ安息香酸類の製造方法。
  2. 【請求項2】 反応溶媒として非プロトン性極性有機溶
    剤を用い、フェノール類とアルカリ金属化合物を反応さ
    せてフェノール類のアルカリ金属塩とした後、二酸化炭
    素と反応させてヒドロキシ安息香酸類を製造する方法に
    おいて、フェノール類の量がアルカリ金属化合物および
    非プロトン性極性有機溶剤の合計に対してモル比が1よ
    り大となる条件で反応を行い、反応液から結晶を析出さ
    せ、固液分離操作によりヒドロキシ安息香酸類のアルカ
    リ金属塩の湿体を得、該湿体を水に溶解した後、酸析に
    よりヒドロキシ安息香酸類を得ることを特徴とするヒド
    ロキシ安息香酸類の製造方法。
  3. 【請求項3】 フェノール類の量がアルカリ金属化合物
    に対して2〜10倍モルに、非プロトン性極性有機溶剤
    に対して2〜30倍モルを加えた量であり、非プロトン
    性極性有機溶剤の量がアルカリ金属化合物に対して0.
    3〜3倍モルである請求項1または2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 フェノール類とアルカリ金属化合物を反
    応させてフェノール類のアルカリ金属塩とした後、二酸
    化炭素と反応させてヒドロキシ安息香酸類のアルカリ金
    属塩として晶析分離した後の回収溶液に、ヒドロキシ安
    息香酸類に転化した分に相当するフェノール類及びアル
    カリ金属化合物を加えて再び反応を行うことを特徴とす
    る請求項1〜3記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 非プロトン性極性有機溶剤が1,3−ジ
    メチル−2−イミダゾリジノンである請求項1〜4記載
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 非プロトン性極性有機溶剤がスルホラン
    である請求項1〜4記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 フェノール類が2,4−ジアルキルフェ
    ノール、およびヒドロキシ安息香酸類が3,5−ジアル
    キルサリチル酸である請求項1〜4記載の製造方法。
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