JPH10231201A - 抗菌材、抗菌性樹脂組成物、抗菌性合成繊維、抗菌性を有する紙、抗菌性塗料、化粧品および抗菌材の製造方法 - Google Patents
抗菌材、抗菌性樹脂組成物、抗菌性合成繊維、抗菌性を有する紙、抗菌性塗料、化粧品および抗菌材の製造方法Info
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- JPH10231201A JPH10231201A JP9369490A JP36949097A JPH10231201A JP H10231201 A JPH10231201 A JP H10231201A JP 9369490 A JP9369490 A JP 9369490A JP 36949097 A JP36949097 A JP 36949097A JP H10231201 A JPH10231201 A JP H10231201A
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Abstract
材、およびそれを含有する樹脂組成物、樹脂成形物、抗
菌性繊維、抗菌性を有する紙、抗菌性塗料、局所用抗菌
剤、化粧品および抗菌材の製造方法を提供する。 【解決手段】 本発明の抗菌材は、合成樹脂粒子表面に
付着したN−長鎖アシルアミノ酸を有し、さらに、該N
−長鎖アシルアミノ酸は、抗菌作用を有する金属と結合
したN−長鎖アシルアミノ酸水不溶性塩となっている。
また、本発明の抗菌材の製造方法は、合成樹脂粒子をN
−長鎖アシルアミノ酸イオン含有水溶液と接触させる工
程と、該工程の後に、前記粒子を抗菌作用を有する金属
イオン含有水溶液と接触させる工程とを有する。
Description
に対して抗菌効果を有する新規な抗菌材に関するもので
あり、さらに、それを含有する抗菌性樹脂組成物、抗菌
性樹脂成形物、抗菌性繊維、抗菌性を有する紙、抗菌性
塗料、化粧品および抗菌材の製造方法に関する。
ることは公知であり、例えば銀は硝酸銀等の水溶液の形
態(Ag+)で消毒剤として広く利用されている。また、銀
やそれの化合物を活性炭、アルミナ、シリカゲル、ゼオ
ライト等の吸着物質に吸着させて殺菌目的に利用するこ
とも知られている。上記のようなものとして、特開昭6
2−241939号公報、特開昭62−238900号
公報に示されるものがあり、これらは、殺菌作用を有す
る金属をイオン状態で保持しているゼオライトを含有す
るポリオレフィン樹脂成形体および紙である。また、特
開昭62−70221号公報に示されるものとして、式
M2O・Al2O3・SiO2(式中Mは銀など)で表され
た抗菌および/または殺菌作用を有する無定形アルミノ
珪酸塩である。
ば、石油掘削リグなどの海中構造物、浮き桟橋、ブイ、
防油堤、発電所水路、浮標灯など)における水(海水を
含む)接触部分への、水中生物の付着を防止するために
防汚塗料が使用されている。そして、防汚塗料には、水
中生物(例えば、苔虫類、まん脚類、二枚貝類、ホヤ
類、海藻類など)の付着を妨げるのに有効な防汚剤成分
が配合されている。防汚剤成分としては、種々の化合物
が用いられており、例えば、アクリル樹脂もしくはアル
キド樹脂などにトリフェニル錫化合物もしくはトリアル
キル錫化合物を結合させた高分子有機錫化合物、亜酸化
銅ならびにロダン銅などの銅化合物およびジンクジメチ
ルチオカルバネートならびにテトラメチルチウラムジサ
ルファミドなどの有機硫黄化合物などが用いられてい
る。
ま紙に著しくカビが発生し、その代謝生産物である色素
によりシミが生じることが多くなった。これは、アルミ
サッシの普及により建物の密閉性が向上し、さらに冷暖
房の普及、加湿器の使用などにより住宅における生活条
件の改善などに起因しており、このような改善された条
件は、カビ類、細菌有類などの微生物にとっても好適な
増殖環境を与えている。このため、年間を通して微生物
の発育が可能となって来ている。そして、壁紙またはふ
すま紙に生じるカビは、ペニシリウム、アスペルギル
ス、クラドポリウム等で、壁紙等に発生する着色斑点
は、主にアスペルギルス属の菌による場合が多い。抄
紙、特に壁紙、ふすま紙の抄造中において、サイジング
剤として、澱粉、カルボキシメチルセルロース等をパル
プに添加するため、これがカビ類、細菌類の微生物の栄
養源となり、上記の環境と相俟ってより微生物の好適な
発育環境を与えている。そして、カビ類の発生は、例え
ばふすま紙の場合、ふすま張り後、4〜5ケ月、遅いと
きには半年〜1年後に発生し、着色斑点を生じる。さら
に、カビの発生の著しい場合は、ふすまの張り替えが必
要となり、経済的、労力的にも大きな問題である。
方法により使用されている多くの化粧品がある。そし
て、化粧品には多くの添加剤(助剤)が使用されてお
り、例えば、界面活性剤、顔料、保湿剤、香料、酸化防
止剤、防腐・殺菌剤、紫外線反射・吸収剤などがある。
る硝酸銀は、水溶液の形態に限定され、溶液状のため取
り扱いも不便であり、従って用途が限定されるという欠
点があった。特開昭62−241939号公報、特開昭
62−238900号公報に示されるもの、また、特開
昭62−70221号公報に示されるものは、抗菌作
用、殺菌作用としては効果を有するが、使用する抗菌性
を有する金属が、光(特に紫外線)により、酸化し、変
色するため、物質全体も変色するという問題点を有して
いた。さらに、使用されている殺菌性を有する金属が、
イオン化しやすく、このため、液体物などに接触したと
き、流出しやすく、安全性に問題があった。
必ずしも満足できるものではなく、さらに、海水汚染な
どの問題より使用できる防汚剤として特定のものに限定
されているが、それでも安全性の点においても満足でき
るものではない。また、上述のように種々の方法によ
り、紙に抗菌作用を付与させることが考えられてきてい
るが、抗菌作用および安全性の観点より、十分満足する
ものがなかった。また、従来の化粧品用添加剤として、
消臭作用を十分満足するもの、また、抗菌作用を十分満
足し、安定で、生体安全性が高く、さらに、化粧品中に
容易に混入することができるものがなかった。
は、上記の先行技術の問題点を解決し、高い抗菌性とそ
の持続性を有し、かつ安全性の高い抗菌材、およびそれ
を含有する樹脂組成物、樹脂成形物、抗菌性繊維、抗菌
性を有する紙、抗菌性塗料、局所用抗菌剤、化粧品およ
び抗菌材の製造方法を提供するものである。
の表面に付着したN−長鎖アシルアミノ酸に抗菌作用を
有する金属が結合している抗菌材である。言い換えれ
ば、合成樹脂粒子の表面に、抗菌作用を有する金属のN
−長鎖アシルアミノ酸塩が付着している抗菌材である。
の、アシル基が、ステアロイル基、ラウロイル基、ミリ
ストイル基、パルミトイル基のいずれかであることが好
ましい。さらに、前記金属は、銀、銅、鉛、亜鉛、錫、
ビスマスからなる群から選ばれたいずれか1つであるこ
とが好ましい。そして、前記粒子には、抗菌作用を有す
る異なる金属が結合した2種以上のN−長鎖アシルアミ
ノ酸塩が付着している。
脂粒子の表面に付着したN−長鎖アシルアミノ酸に、抗
菌作用を有する第1の金属が結合した第1の抗菌性合成
樹脂粒子と、合成樹脂粒子の表面に付着したN−長鎖ア
シルアミノ酸に、前記第1の合成樹脂粒子と異なる抗菌
作用を有する第2の金属が結合した第2の抗菌性合成樹
脂粒子との混合物からなる抗菌材である。言い換えれ
ば、合成樹脂粒子の表面に、第1の抗菌作用を有する金
属のN−長鎖アシルアミノ酸塩が付着した第1の抗菌性
粒子と、該第1の抗菌性粒子と抗菌作用を有する金属が
異なる第2のN−長鎖アシルアミノ酸塩が、合成樹脂粒
子の表面に付着した第2の抗菌性粒子との混合物からな
る抗菌材である。
抗菌材を含有する抗菌性樹脂組成物である。また、上記
目的を達成するものは、少なくとも表面の一部が、上記
の抗菌性樹脂組成物により形成されている抗菌性樹脂成
形物である。また、上記目的を達成するものは、上記の
抗菌材を含有する抗菌性繊維である。また、上記目的を
達成するものは、上記の抗菌材を含有あるいは抗菌材が
表面に付着した抗菌性を有する紙である。また、上記目
的を達成するものは、上記の抗菌材を含有する抗菌性塗
料である。また、上記目的を達成するものは、上記の抗
菌材を含有する化粧品である。
脂粒子をN−長鎖アシルアミノ酸イオン含有水溶液と接
触させる工程と、該工程の後に、前記粒子を抗菌作用を
有する金属イオン含有水溶液と接触させる工程とを有す
る抗菌材の製造方法である。さらに、前記粒子を抗菌作
用を有する金属イオン含有水溶液と接触させる工程は、
前記粒子を抗菌作用を有する異なる2種以上の金属イオ
ンを含有する水溶液に接触させること、または、抗菌作
用を有する第1の金属イオン含有水溶液に接触させた
後、該抗菌作用を有する金属イオンと異なる第2の抗菌
作用を有する金属イオン含有水溶液に接触させることに
より行うものであることが好ましい。
る。この抗菌材は、合成樹脂粒子表面に付着したN−長
鎖アシルアミノ酸を有し、さらに、該N−長鎖アシルア
ミノ酸は、抗菌作用を有する金属と結合したN−長鎖ア
シルアミノ酸水不溶性塩となっている。より具体的に
は、抗菌材は、合成樹脂粒子の表面に、直接付着したN
−長鎖アシルアミノ酸に、該N−長鎖アシルアミノ酸付
着後に、抗菌作用を有する金属とN−長鎖アシルアミノ
酸とが結合することにより、合成樹脂粒子の表面上にて
形成されたN−長鎖アシルアミノ酸抗菌性金属塩が付着
しているものである。つまり、この抗菌材では、合成樹
脂粒子の表面に、粒子の表面にて形成された抗菌作用を
有する金属のN−長鎖アシルアミノ酸水不溶性塩が付着
している。
形成される抗菌材の粒径のコントロールを容易なものと
し、かつ、比重も目的に応じたものを選択でき、種々の
用途に応じた粒径、比重の抗菌材を作成することができ
る。さらに、合成樹脂粒子を用いることにより、上述の
ように、粒径、比重の選択を行うことができるので、形
成された抗菌材は、樹脂、繊維、塗料などへの添加が容
易なものとなる。つまり、N−長鎖アシルアミノ酸抗菌
性金属塩のみでは、分散性が十分でない場合があり、分
散性が向上する。
なものであればどのようなものでもよい。また、粒子の
性質は、抗菌材が添加される目的により相違する。一般
的に、安定性、分散性、粒子の形状、粒径の均一性など
より、ポリスチレン粒子、ポリオレフィン粒子(ポリエ
チレン、ポリプロピレン)、ポリ酢酸ビニル粒子、ポリ
エステル粒子、架橋ポリスチレン粒子、ポリアミド粒
子、ポリメタアクリレート粒子、フッ素樹脂粒子などが
好適である。特に、ポリスチレン粒子、架橋ポリスチレ
ン粒子が好適である。
菌材を使用する用途により相違するが、一般的には、
0.01μm〜1mm程度であり、好ましくは、0.1
μm〜10μm程度である。例えば、カビ等の増殖箇所
への散布を目的とする場合には、粒子は多少大きいもの
でも使用可能であり、具体的に述べると、1mm以下程
度である。また、本発明の抗菌材を樹脂中に混入させる
場合にあっては、1μm以下程度、混入される樹脂の透
明性を疎外しないためには、1〜0.01μmが好まし
い。
せる場合にあっても、1μm以下程度、より好ましくは
1〜0.01μmである。また、紙中に分散させる場合
にあっても、1μm以下程度、より好ましくは1〜0.
01μmである。さらに、塗料中に分散させる場合にあ
っても、1μm以下程度、より好ましくは1〜0.01
μmである。粒子とN−長鎖アシルアミノ酸塩との比
は、抗菌性の要求されるレベルが高いほど、N−長鎖ア
シルアミノ酸塩の含有量が多くなる。一般的に、粒子と
N−長鎖アシルアミノ酸塩と混合比は、重量比で100
0:1〜1:1程度が好ましい。
る金属と結合する以前は、水溶性であり、かつ界面活性
作用を有している。このため、合成樹脂の表面に直接付
着する。また、N−長鎖アシルアミノ酸を直接合成樹脂
粒子に付着させてもよいが、上述のような、親水性有機
物質を用いて、合成樹脂粒子の表面に付着させてもよ
い。
酸塩の形成に用いられる抗菌作用を有する金属として
は、銀、銅、鉛、亜鉛、錫、ビスマスなどから選ばれた
ものが好適である。そして、上記金属のうち、抗菌力、
安全性の点より、銀または銅が特に好適である。
酸塩の形成に用いられるN−長鎖アシルアミノ酸は、N
位に長鎖アシル基(脂肪酸残基)を有するアミノ酸であ
る。長鎖アシル基としては、高級脂肪酸残基が好まし
く、例えばデカノイル基、ラウロイル基、ミリストイル
基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレオイル基な
どが好ましい。また、アシル基としては、単一のものに
限られず、上記のアシル基の複数の種類のものを用いて
もよい。
ルボン酸、モノアミノジカルボン酸、ジアミノモノカル
ボン酸のいずれでもよい。本発明の抗菌材として、高い
抗菌性を有するものとする場合には、モノアミノジカル
ボン酸を用いることが好ましく、このモノアミノジカル
ボン酸は、2つのカルボキシル基を有するので、抗菌作
用を有する金属が結合しやすく、全体として抗菌作用の
強いものとすることができる。抗菌材の一般的な用途と
しては、アミノ酸に1つの抗菌作用を有する金属が結合
した塩で十分な抗菌力を有する。アミノ酸の具体例とし
ては、モノアミノモノカルボン酸としては、グリシン、
アラニン、バリン、ロイシン、フェニルアラニン、チロ
シン、トレオニン、トリプトファン、メチオニンなどで
あり、モノアミノジカルボン酸としては、アスパラギン
酸、グルタミン酸であり、ジアミノモノカルボン酸とし
ては、リジン、アルギニン、ヒスチジンである。そし
て、N−長鎖アシルアミノ酸としては、1種のものに限
定されず、多数の種類のものを用いてもよい。
長鎖アシルアミノ酸塩の好ましい具体例としては、N−
ステアロイルグルタミン酸銀、N−ラウロイルグルタミ
ン酸銀、N−ミリストイルグルタミン酸銀、N−ステア
ロイルアスパラギン酸銀、N−ラウロイルアスパラギン
酸銀、N−ミリストイルアスパラギン酸銀、N−ステア
ロイルグルタミン酸銅、N−ラウロイルグルタミン酸
銅、N−ミリストイルグルタミン酸銅、N−ステアロイ
ルアスパラギン酸銅、N−ラウロイルアスパラギン酸
銅、N−ミリストイルアスパラギン酸銅、N−ステアロ
イルバリン銀、N−ラウロイルバリン銀、N−ミリスト
イルバリン銀、N−ステアロイルバリン銅、N−ラウロ
イルバリン銅、N−ミリストイルバリン銅、N−ステア
ロイルフェニルアラニン銀、N−ラウロイルフェニルア
ラニン銀、N−ミリストイルフェニルアラニン銀、N−
ステアロイルフェニルアラニン銅、N−ラウロイルフェ
ニルアラニン銅、N−ミリストイルフェニルアラニン
銅、N−ステアロイルアルギニン銀、N−ラウロイルア
ルギニン銀、N−ミリストイルアルギニン銀、N−ステ
アロイルアルギニン銅、N−ラウロイルアルギニン銅、
N−ミリストイルアルギニン銅、N−ステアロイルグル
タミン酸亜鉛、N−ラウロイルグルタミン酸亜鉛、N−
ミリストイルグルタミン酸亜鉛、N−ステアロイルアス
パラギン酸亜鉛、N−ラウロイルアスパラギン酸亜鉛、
N−ミリストイルアスパラギン酸亜鉛、N−ステアロイ
ルグルタミン酸ビスマス、N−ラウロイルグルタミン酸
ビスマス、N−ミリストイルグルタミン酸ビスマス、N
−ステアロイルアスパラギン酸ビスマス、N−ラウロイ
ルアスパラギン酸ビスマス、N−ミリストイルアスパラ
ギン酸ビスマス、N−ステアロイルバリン亜鉛、N−ラ
ウロイルバリン亜鉛、N−ミリストイルバリン亜鉛、N
−ステアロイルバリン亜鉛、N−ラウロイルバリン亜
鉛、N−ミリストイルバリンビスマス、N−ステアロイ
ルフェニルアラニン亜鉛、N−ラウロイルフェニルアラ
ニン亜鉛、N−ミリストイルフェニルアラニン亜鉛、N
−ステアロイルフェニルアラニンビスマス、N−ラウロ
イルフェニルアラニンビスマス、N−ミリストイルフェ
ニルアラニンビスマス、N−ステアロイルアルギニン亜
鉛、N−ラウロイルアルギニン亜鉛、N−ミリストイル
アルギニン亜鉛、N−ステアロイルアルギニンビスマ
ス、N−ラウロイルアルギニンビスマス、N−ミリスト
イルアルギニンビスマス、N−ステアロイルグルタミン
酸鉛、N−ラウロイルグルタミン酸鉛、N−ミリストイ
ルグルタミン酸鉛、N−ステアロイルアスパラギン酸
鉛、N−ラウロイルアスパラギン酸鉛、N−ミリストイ
ルアスパラギン酸鉛、N−ステアロイルグルタミン酸
錫、N−ラウロイルグルタミン酸錫、N−ミリストイル
グルタミン酸錫、N−ステアロイルアスパラギン酸錫、
N−ラウロイルアスパラギン酸錫、N−ミリストイルア
スパラギン酸錫、N−ステアロイルバリン錫、N−ラウ
ロイルバリン錫、N−ミリストイルバリン錫、N−ステ
アロイルフェニルアラニン錫、N−ラウロイルフェニル
アラニン錫、N−ミリストイルフェニルアラニン錫、N
−ステアロイルアルギニン錫、N−ラウロイルアルギニ
ン錫、N−ミリストイルアルギニン錫などである。そし
て、上記のN−長鎖アシルアミノ酸塩は、水、各種の有
機溶媒に対して難溶である。
−アシルアミノ酸塩は、各分子中に少なくとも1つの抗
菌性を有する金属が結合した塩であるので、極めて高い
抗菌力を有している。さらに、基本骨格を形成するもの
がアミノ酸であるため、毒性が極めて少なく、種々の用
途に安全に使用できる。さらに、本発明の抗菌材では、
付着したN−長鎖アシルアミノ酸塩は、水不溶性の安定
した状態となっているので、塩を形成する金属のみが流
出しにくく、安全であり、食品用など広範囲の樹脂成形
物、フィルム、紙など包装材料中に混入させることがで
きる。また、合成樹脂粒子の表面には、抗菌作用を有す
る異なる金属が結合した2種以上のN−長鎖アシルアミ
ノ酸塩が付着していることが好ましい。つまり、2種以
上のN−長鎖アシルアミノ酸塩は粒子に付着しており、
それらN−長鎖アシルアミノ酸塩は、抗菌性を有する異
なる金属が結合したものであることが好ましい。抗菌性
金属およびそれらの組み合わせとしては、銀または銅を
必須の金属とし、他の金属(銀、銅、鉛、亜鉛、錫、ビ
スマスなど)より2種以上を選択して用いることであ
る。好ましい組み合わせの具体例としては、銀と銅、銀
と亜鉛、銀と鉛、銅と亜鉛、銀と銅と亜鉛、銀と銅と
鉛、銀と銅とビスマス、銅と亜鉛と鉛などである。
上のN−長鎖アシルアミノ酸抗菌性金属塩が付着したも
のでなく、抗菌材としては、合成樹脂粒子の表面に付着
したN−長鎖アシルアミノ酸に、抗菌作用を有する第1
の金属が結合した第1の抗菌性粒子と、合成樹脂粒子の
表面に付着したN−長鎖アシルアミノ酸に、第1の抗菌
性粒子と異なる抗菌作用を有する第2の金属が結合した
第2の抗菌性粒子との混合物からなるものであってもよ
い。つまり、それぞれ異なるN−長鎖アシルアミノ酸抗
菌性金属塩(例えば、N−長鎖アシルアミノ酸銀とN−
長鎖アシルアミノ酸銅)が付着した2種類の粒子を混合
したものとでもよい。この抗菌材では、使用目的によ
り、適宜使用するN−長鎖アシルアミノ酸抗菌性金属塩
の選択、さらにそれらの組み合わせの選択、配合比率な
どの変更を適宜行うことができる。
て説明する。この抗菌材の製造方法は、合成樹脂粒子を
N−長鎖アシルアミノ酸イオン含有水溶液と接触させる
工程と、該工程の後に、前記粒子を抗菌作用を有する金
属イオン含有水溶液と接触させる工程とを有している。
合成樹脂粒子としては、上述のものが好適に使用され
る。まず、合成樹脂粒子の表面にN−長鎖アシルアミノ
酸イオン含有水溶液と接触させる。これにより合成樹脂
の表面に、N−長鎖アシルアミノ酸が付着する。そし
て、必要により乾燥させてもよい。この工程は、N−長
鎖アシルアミノ酸イオン含有水溶液の作成は、N−長鎖
アシルアミノ酸または水溶性N−長鎖アシルアミノ酸塩
を水に溶解することにより作成される。
長鎖アシルアミノ酸塩としては、N−ステアロイルグル
タミン酸、N−ラウロイルグルタミン酸、N−ミリスト
イルグルタミン酸、N−ステアロイルアスパラギン酸、
N−ラウロイルアスパラギン酸、N−ミリストイルアス
パラギン酸、N−ステアロイルバリン、N−ラウロイル
バリン、N−ミリストイルバリン、N−ステアロイルフ
ェニルアラニン、N−ラウロイルフェニルアラニン、N
−ミリストイルフェニルアラニン、N−ステアロイルア
ルギニン、N−ラウロイルアルギニン、N−ミリストイ
ルアルギニンおよびそれらのアルカリ金属塩(例えば、
ナトリウム、カリウム)などが好適に使用される。水溶
液中におけるN−長鎖アシルアミノ酸または水溶液N−
長鎖アシルアミノ酸塩濃度としては、0.01〜5重量
%程度が好適である。そして、必要により、乾燥させて
もよい。
たは水溶性N−長鎖アシルアミノ酸塩が付着した粒子
を、該N−長鎖アシルアミノ酸と結合し、水に不溶な塩
を形成する抗菌作用性金属イオン含有水溶液と接触させ
る。具体的には、この工程は、抗菌性を有する金属の水
溶性塩、例えば硝酸銀、硝酸銅、硫酸銀、塩化銅、硫酸
銅、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、硝酸ビスマスなどの水溶性の
塩の水溶液を作成し、この水溶液を粒子に散布または、
水溶液中に粒子を浸漬することにより行われる。水溶液
中における金属塩の濃度としては、0.01〜5重量%
程度が好適である。この工程により、粒子の表面に付着
していたN−長鎖アシルアミノ酸イオンと抗菌性金属イ
オンとが結合し、粒子の表面にて水に不要なN−長鎖ア
シルアミノ酸抗菌性金属塩が形成される。そして、上記
水溶液を散布または、水溶液中に粒子を浸漬した後、乾
燥させることが好ましい。乾燥温度としては、40〜1
00℃程度で、30分〜24時間程度行うことが好まし
い。このようにして、表面にN−長鎖アシルアミノ酸抗
菌性金属塩が形成された抗菌性粒子が形成される。
アミノ酸抗菌性金属塩を形成させているので、その付着
作業が容易である。さらに、単分子またはそれに近い状
態で、粒子の表面にN−長鎖アシルアミノ酸抗菌性金属
塩が付着し、かつ、抗菌性金属が露出した状態となって
いるものと推測される。このため、N−長鎖アシルアミ
ノ酸抗菌性金属塩が有する高い抗菌作用を十分に発揮す
る。さらに、N−長鎖アシルアミノ酸は、いわゆる界面
活性剤であり、粒子の表面にほぼ均一に付着する。この
ため、粒子の表面には、ほぼ均一で、全体を被覆するN
−長鎖アシルアミノ酸の被覆物が形成され、その後、金
属が結合するので、形成されるN−長鎖アシルアミノ酸
抗菌性金属塩の被膜も、粒子の表面全体に、かつほぼ均
一なものとなる。
作用を有する異なる2種以上の金属イオンを含有する水
溶液に接触させること、または、抗菌作用を有する金属
イオン含有水溶液に接触させた後、該抗菌作用を有する
金属イオンと異なる抗菌作用を有する金属イオン含有水
溶液に接触させることにより行うことが好ましい。特
に、好ましくは、前者である。前者の場合、抗菌性を有
する金属の水溶性塩、例えば硝酸銀、硝酸銅、硫酸銀、
塩化銅、硫酸銅、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、硝酸ビスマスな
どより金属が異なる2種以上の水溶性の塩を選択し、そ
れらを添加した複合金属イオン含有水溶液を作成し、こ
の水溶液を粒子に散布または、水溶液中に粒子を浸漬す
ることにより行われる。また、後者では、異なる金属塩
水溶液に順次粒子を接触(水溶液の塗布または水溶液へ
の浸漬)を行うことになる。
に、2種以上の抗菌性金属塩が付着した抗菌材を形成す
ることができる。1種のみの抗菌性金属を付着したもの
より、より広い抗菌スペクトルを有するものとなり、抗
菌作用がより高くなるとともに、より多くの種類の菌類
に対し、抗菌作用を発揮する。また、2種以上のN−長
鎖アシルアミノ酸塩は、それぞれが抗菌作用を有する金
属とN−長鎖アシルアミノ酸との塩であり、少なくとも
金属が相異しており、N−長鎖アシルアミノ酸は、同じ
物でも、また異なるものでもよい。
物について説明する。この樹脂組成物は、上記の抗菌材
を含有している。抗菌性樹脂組成物中の抗菌材の添加量
としては、全樹脂重量に対して、0.05%〜5重量%
程度が好ましく、より好ましくは、0.1%〜3%であ
る。また、本発明の抗菌樹脂組成物を他の一般樹脂に抗
菌性を付与するための添加剤(例えば、高濃度ペレッ
ト)として使用する場合には、より高濃度に抗菌材を含
有していることが必要となる。この場合の抗菌材の添加
量としては、樹脂に添加可能な限度まで添加することが
好ましく、例えば、1〜20重量%程度含有させること
が好ましい。
される樹脂材料としては、いかなる樹脂も使用可能であ
り、例えば、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリプロピ
レン、ポリエチレン、ポリブチレン、エチレン−プロピ
レンコポリマー)、塩化ビニル樹脂、スチレン系樹脂、
ウレタン系樹脂、シリコン樹脂、ポリアミド、ポリビニ
リデン(例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニ
リデン)、ポリエステル、さらには、ポリウレタン、ポ
リエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、エポキシ
樹脂などが使用でき、本発明の抗菌性樹脂組成物は、上
記の樹脂材料に上述の抗菌材を添加することにより作成
されている。
ば、公知の塩化ビニル樹脂が使用でき、塩化ビニル樹脂
成分として、塩化ビニル樹脂の単独重合体、さらにポリ
塩化ビニリデン、塩化ビニルを90モル%以上、好まし
くは、95モル%以上を含有し、かつ他の共重合し得る
単量体(例えば、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレ
ン、酢酸ビニルなど)との共重合体を用い、これに、可
塑剤として、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレー
ト、ジ−2−エチルヘキシルフタレートなどのフタル酸
エステル、ジオクチルアジペート、ジオクチルアゼレー
ト、ジオクチルセバケートなどの脂肪族多塩基酸エステ
ル、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油などのエポ
キシ化動植物油が添加され、さらに必要により、安定
剤、滑剤、さらにその他の添加剤が配合されたものなど
が使用される。そして、安定剤としては、従来より、バ
リウム、亜鉛、カルシウムなどの金属とステアリン酸、
ラウリル酸などの高級脂肪酸塩からなる金属せっけんが
使用されているが、本発明において使用する抗菌性を有
する金属のN−長鎖アシルアミノ酸塩は、この安定剤と
しての機能も有することより、上記の従来の安定剤を省
略することもできる。そして、本発明の抗菌性樹脂組成
物は、上記の塩化ビニル樹脂基剤に、可塑剤およびその
他の添加剤とともに、上記の抗菌材を混合することによ
り作成される。また、抗菌材は、例えば、可塑剤にあら
かじめ添加したものを作成し、これを塩化ビニル樹脂基
剤に他の添加剤とともに添加し、混合するものとしても
よく、さらに、塩化ビニル樹脂(可塑剤などを含む)に
高濃度に抗菌材を添加したものを作成し、この高濃度に
抗菌材を含有する塩化ビニル樹脂を、抗菌材を含まない
塩化ビニル樹脂に添加し、混練することにより作成して
もよい。
フィンが使用でき、ポリオレフィンとしては、例えば、
エチレンホモポリマー、プロピレンホモポリマーなどの
単量体、またはそれらのランダム、ブロック共重合体が
使用でき、さらに、これらポリオレフィンに光安定剤、
またフェノール系抗酸化剤、さらには中和剤、滑剤、核
剤などが必要により添加されたものが用いられる。そし
て、抗菌作用性物質は、必要な添加剤とともにポリオレ
フィンに添加され、混合され、例えば、ペレット状に形
成される。また、ポリオレフィンに高濃度に抗菌作用性
物質を添加したペレットを作成し、本発明の抗菌性樹脂
組成物とし、この高濃度に抗菌作用性物質を含有したマ
スターペレットを抗菌作用性物質を含まない他のポリオ
レフィンペレットと適宜樹脂成形物作成時に、ミキサー
内にて混合し、目的に応じた樹脂成形物を作成してもよ
い。そして、抗菌性樹脂成形物としては、上述の抗菌性
樹脂組成物を用いて形成される、種々のものが考えら
れ、例えば、文房具、玩具、プラスチック製食器、包装
容器、テープ、シート、ネット、パイプ、ホース、トレ
ー、容器などがある。
成樹脂により形成された抗菌性内表面を有する抗菌性水
槽について説明する。本発明の抗菌性水槽は、少なくと
も内面は、上記の抗菌材を含有する合成樹脂により形成
されている。抗菌性水槽に使用される合成樹脂として
は、アクリル系樹脂(例えば、AS、ABS)、ポリカ
ーボネートなどの無色透明であり,かつある程度の強度
を有するのものが好適に使用される。
性を有すれば、十分である。そのような、内表面のみが
抗菌性を有する水槽は、例えば、水槽を形成する合成樹
脂の内面に、その合成樹脂との接着性の高い、好ましく
は、水槽を形成する樹脂と同質あるいは類似の樹脂に、
上記の抗菌材を含有させた樹脂を、被覆させることによ
り、形成することができる。この場合、抗菌材を含有す
る表面層の樹脂中の抗菌作用物質の含有量としては、表
面層の樹脂重量に対して、0.005%以上、好ましく
は、0.05%以上であれば、十分な抗菌作用を有する
ものと考えられ、好ましくは、0.1〜1%である。ま
た、樹脂中全体に上記の抗菌材を含有するものを用い
て、水槽全体を形成してもよい。樹脂中の抗菌作用物質
の含有量としては、樹脂重量に対して、0.05%以
上、好ましくは、0.05%以上であれば、十分な抗菌
作用を有するものと考えられ、好ましくは、0.1〜1
%である。そして、本発明の水槽は、内表面を形成する
樹脂中に含有されている抗菌材が上述のものであるの
で、水槽内部に収納される魚介類などに、悪影響を与え
ることなく、安全に、長期にわたり緑藻等の発生、付着
を防止できる。そして、この抗菌性水槽は、水族館、学
校、料理店、家庭用など種々の水槽に利用できる。
る。本発明の抗菌性塗料は、上記の抗菌材を含有してい
る。そして、本発明の抗菌性塗料に使用される塗料材料
としては、脂肪酸系塗料、エポキシ樹脂系塗料、無溶剤
エポキシ樹脂系塗料、ビニールエステル系塗料、ポリウ
レタン樹脂系塗料、無溶剤ポリウレタン樹脂系塗料、さ
らに、シリコーン樹脂系塗料、フッ素樹脂系塗料などが
ある。また、本発明の抗菌性塗料中の上記の抗菌性物質
の含有量としては、0.01%〜10%程度含有してい
ることが好ましく、特に、0.1〜5%が好ましい。本
発明の抗菌性塗料は、含有されている抗菌材が、上述の
ように、抗菌性物質としてN−長鎖アシルアミノ酸塩を
有するものであり、この塩は、基本骨格がアミノ酸であ
り、安全性が高く、さらに、塩を形成している金属とし
て抗菌性の高いものが使用できる。よって、防汚塗料と
して用いた場合、船舶および水中構造物における水(海
水を含む)接触部分への、水中生物の付着を防止する。
塗料材料としては、公知ものが使用でき、例えば、一液
型の塗料では、樹脂成分として、ロジン、アクリル樹
脂、油性系樹脂、塩化ビニル系樹脂、合成ゴム系樹脂、
塩素化ポリエチレン樹脂などを含有し、可塑剤として、
トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート
などのリン酸エステル系、ジ−n−ドデシルフタレー
ト、ジノニルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタ
レート、ジ−n−ブチルフタレート、ジメチルフタレー
トなどのフタル酸エステル類、塩素化パラフィンおよび
ポリエステル類などがあげられ、有機溶剤としては、例
えば、キシレン、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶
剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど
のケトン系溶剤が使用され、これらの塗料材料中に、上
述の抗菌材が添加される。
シ樹脂系塗料、無溶剤エポキシ樹脂系塗料、ポリウレタ
ン樹脂系塗料、無溶剤ポリウレタン樹脂系塗料などの公
知のものが使用でき、例えば、エポキシ樹脂系塗料材料
としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、環状脂肪族
エポキシ樹脂、フェノールまたはクレゾールノボラック
型エポキシ樹脂、フタル酸グリシジルエステル型エポキ
シ樹脂、ポリグリコール型エポキシ樹脂などであり、さ
らに、必要により、それらエポキシ樹脂と相溶する熱硬
化性樹脂または熱可塑性樹脂などが添加される。また、
使用時に上記樹脂液に混合される硬化剤としては、水に
難溶で水分子と置換性のある芳香族アミン、ポリアルキ
レンポリアミン、ポリアミド、アミン変性アミドなどの
エポキシ樹脂用硬化剤が用いられる。さらに、ポリウレ
タン系塗料材料としては、同様に公知のものが使用で
き、ポリオールとポリイソシアネートからなる二液型で
あり、ポリオールとしては、例えば、エチルアミン、ブ
チルアミン、ジアミノジフェニルメタン、ヘキサエチレ
ンジアミンなどのアミノ化合物とフタル酸ジグリシジ
ル、エポキシブタン、ブチルグリシジルエーテル、ポリ
エチレングリシジルエーテルなどのエポキシ化合物との
反応生成物などが使用でき、また、ポリイソシアネート
としては、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシク
ロヘキシルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシ
アネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどによる
イソシアネート基含有プレポリマーが使用できる。
が添加される。また塗料材料として、上述の2液型のも
のを用いる場合、その一方あるいは両方に抗菌材を添加
してもよい。好ましくは添加された抗菌材に変性を与え
る可能性が少ない方の塗料成分側に添加することであ
り、2液型エポキシ塗料にあっては、エポキシ樹脂液
に、また、2液型ポリウレタン塗料にあっては、ポリオ
ールに抗菌材を添加しておくことが好ましい。また、本
発明の抗菌性塗料は、上記のような防汚塗料に限られ
ず、学校、病院、事務所、食品工場、一般住宅(例え
ば、台所、浴室)などの内外壁面、床など広範囲に使用
でき、塗料材料としては、水性、油性いずれの材料を用
いることもできる。
説明する。本発明の抗菌性を有する紙は、上述の抗菌材
が表面に付着あるいは抗菌材を内部に含有している。使
用される紙素材としては、洋紙、和紙のいずれでもよ
く、抗菌性紙としては、例えば、雑種紙、薄葉紙(例え
ば、ティシュペーパー、チリ紙、トイレットペーパー、
ナプキンまたはタオル紙、生理用紙)、包装用紙、塗工
紙(例えば、アート紙、コート紙)、非塗工紙、印刷用
紙、図面用紙などであり、板紙としては、段ボール紙、
白板紙、黄板紙、色板紙、チップボール、コルゲート
紙、紙幣原紙、台紙などがある。そして、抗菌性紙は、
例えば、紙の表面に付着あるいは内部に抗菌材が含有さ
れており、抗菌材は、上記のように、抗菌作用を有する
金属のN−長鎖アシルアミノ酸塩とにより形成されてい
る。紙の表面に抗菌材を付着させる方法としては、紙の
表面に対して付着性を有する物質中に抗菌材を含有さ
せ、この物質(液状)を紙の表面に塗布することにより
行うことができる。
の場合として、粘着性を有するセルロース系物質、例え
ば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、
オキシプロピルセルロース、オキシエチルセルロース、
また、PVA(ポリビニルアルコール)、PVP(ポリ
ビニルピロリドン)、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共
重合体などの水溶液中に抗菌材を含有させたものを紙の
表面に塗布し乾燥させることにより作成される。また、
疎水性樹脂系の場合としては、シリコーン樹脂系コーテ
ィング剤(例えば、ジメチルシロキサン系コーティング
剤、メチルハイドロジエンポリシロキサン系コーティン
グ剤、メチルトリクロロシロキサン系コーティング剤、
シランカップリン剤)、またフッ素樹脂系コーティング
剤中に抗菌材を含有させたものを紙の表面に塗布し乾燥
させることにより作成される。このように、紙の表面に
抗菌材を付着させる場合の付着量としては、0.005
〜5g/m2程度が好ましく、より好ましくは、0.0
1〜1g/m2程度である。また、紙の内部に抗菌材を
含有する抗菌性紙の作成方法としては、製造用原液中に
抗菌材を含有させたものを用いて、紙を作成することに
より行うことができる。このように、紙に抗菌材を含有
させる場合の添加量としては、紙の重量の0.05%〜
3%程度が好適であり、より好ましくは、0.1〜1%
程度である。
せる方法の具体例について説明する。この方法を行うた
めには、紙の表面にコーティングするための表面処理剤
を作成する必要があり、まず、紙の表面に対して付着性
を有する物質(付着性物質)が用いられ、例えば、カル
ボキシメチルセルロース、メチルセルロース、オキシプ
ロピルセルロース、オキシエチルセルロース、PVA
(ポリビニルアルコール)、変性PVA(例えば、カル
ボキシル変性PVA、スルホン酸基変性PVA、アクリ
ルアミド変性PVA、カリオン基変性PVA、長鎖アル
キル基変性PVA)、澱粉、変性澱粉、カゼイン、合成
樹脂エマルジョン(例えば、スチレン−ブタジエンラテ
ックス,ポリアクリル酸エステルエマルジョン、酢酸ビ
ニル−アクリル酸エステル共重合エマルジョン、酢酸ビ
ニル−エチレン共重合エマルジョン)などが使用され、
それらの表面処理剤中の濃度は、表面処理対象となる紙
の種類などにより相違するが、0.1〜30重量%程度
が好適である。そして、この表面処理剤に、上述の抗菌
材を添加する。添加量としては、0.05〜5%程度が
好ましく、より好ましくは、0.1〜1%程度である。
さらに、表面処理剤には、必要に応じてグリオキザー
ル、尿素樹脂等の耐水化剤、グリコール類、グリセリン
などの可塑剤、アンモニア、カセイソーダ、炭酸ソーダ
あるいはリン酸等のpH調整剤、消泡剤、離型剤、界面
活性剤などの公知の添加剤を添加してもよい。上記の添
加剤を必要な溶媒、例えば、水に添加し、十分撹拌する
ことにより抗菌作用を有する表面処理剤が作成される。
はないが、上述の壁紙、さらに、上述の包装用紙、非塗
工紙、印刷用紙、図面用紙、段ボール紙、白板紙、黄板
紙、色板紙、チップボール、コルゲート紙、紙幣原紙、
台紙などがある。また、表面処理剤の塗工方法として
は、公知の方法を用いることができ、例えば、サイズプ
レスコーター、ロールコーター、エヤナイフコーター、
ブレンドコーター等の任意の方法を用いることができ
る。塗工量は、目的により相違するが、固形分で0.1
〜30g/m2程度が好適である。
本発明の化粧品は、上記の抗菌材を含有している。本発
明の対象となる化粧品としては、基礎化粧品として、例
えば、化粧用クリーム、乳液などがある。仕上げ化粧品
としては、例えば、粉白粉、固型白粉、ファンデーショ
ン、頬紅などがあり、洗顔用化粧品としては、例えば、
化粧石鹸などがあり、さらに歯磨剤などが考えられる。
抗菌材の化粧品中への混入量としては、例えば、化粧用
クリームまたは乳液に添加する場合は、0.01〜5%
が好ましい。化粧用クリームとしては、弱油性クリーム
(例えば、バニシングクリーム、アフターシェーブクリ
ーム、化粧下クリーム)、中性クリーム(例えば、モイ
スチュアクリーム、栄養クリーム)、油性クリーム(例
えば、コールドクリーム)などがあり、本発明の抗菌材
はそれらのいずれにも添加することができ、あらかじめ
クリーム中の油分(例えば、脂肪酸、高級アルコール)
または、グリセリン等に混合したものを添加してもよ
い。さらに、クリームを製造した後、それに添加し、混
練してもよい。また、この抗菌材は、抗菌性を有するた
め、クリームそのものの防腐剤としても機能するので、
別に防腐剤の添加の必要がない。
合の添加量としては、0.01〜10%が好ましく、特
に、0.1〜5%が好ましい。また、ファンデーション
(例えば、ファンデーションクリーム、ファンデーショ
ンスティック、ファンデーションケーキ、頬紅)に混入
させる場合の添加量としては、0.01〜5%が好まし
く、特に、0.05〜2%が好ましい。また、歯磨剤
(例えば、粉歯磨、油性(半練)歯磨、練歯磨)に添加
する場合の添加量としては、0.05〜10%が好まし
く、特に、0.1〜5%が好ましい。また、化粧石鹸に
混入させる場合の、添加量としては、0.05〜10%
が好ましく、特に、0.1〜5%が好ましい。その他の
化粧品としては、パウダー類(例えば、ベビーパウダ
ー)、薬用化粧品(例えば、日焼け止めクリーム、防臭
化粧品)などにも使用できる。添加量は、0.01〜5
%が好ましく、特に、0.05〜3%が好ましい。そし
て、本発明の含有する化粧品は、化膿性皮膚炎、にき
び、腋臭症、湿疹などの発生および進行の阻止を行い、
皮膚の衛生保持を行うことができる。
て説明する。 (実施例1)合成樹脂粒子として、ポリスチレン粒子
(住友化学株式会社製、製品番号PB−3011W、平
均粒径11.1μm、比重1.06)を用いた。N−長
鎖アシルアミノ酸のアルカリ金属塩として、N−ステア
ロイル−L−グルタミン酸ジナトリウム(味の素株式会
社製、商品名 アミソフトHS−21)を用い、このN
−ステアロイル−L−グルタミン酸ジナトリウム6.5
gを、水9lに溶解したN−長鎖アシルアミノ酸水溶液
を作成した。抗菌性を有する金属の水溶性塩として、硝
酸銀を用い、硝酸銀約4gを水900mlに溶解した硝
酸銀水溶液を作成した。最初に、N−長鎖アシルアミノ
酸水溶液中に、合成樹脂粒子100gを添加し、浸漬お
よび撹拌した後、60分程度放置した後、引き上げ、6
0℃、約24時間乾燥させ、表面にN−長鎖アシルアミ
ノ酸が付着した合成樹脂粒子を作成した。そして、上記
の硝酸銀水溶液900ml中に、上記の合成樹脂粒子全
量を添加し、浸漬および撹拌した後、60分程度放置し
た後、引き上げ、60℃、約24時間乾燥させ、合成樹
脂粒子の表面に、N−ステアロイル−L−グルタミン酸
銀が付着した抗菌材(実施例1)約100gを得た。
1で用いたものと同じポリスチレン粒子(平均粒径11
μm、比重1.06)を用いた。N−長鎖アシルアミノ
酸のアルカリ金属塩として、N−ステアロイル−L−グ
ルタミン酸ジナトリウム(味の素株式会社製、商品名
アミソフトHS−21)を用い、このN−ステアロイル
−L−グルタミン酸ジナトリウム約4gを、水9lに溶
解したN−長鎖アシルアミノ酸水溶液を作成した。抗菌
性を有する金属の水溶性塩として、硝酸銅を用い、硝酸
銅約3gを水900mlに溶解した硝酸銅水溶液を作成
した。最初に、N−長鎖アシルアミノ酸水溶液中に、合
成樹脂粒子100gを添加し、浸漬および撹拌した後、
60分程度放置した後、引き上げ、60℃、約24時間
乾燥させ、表面にN−長鎖アシルアミノ酸が付着した合
成樹脂粒子を作成した。そして、上記の硝酸銅水溶液9
00ml中に、上記の合成樹脂粒子全量を添加し、浸漬
および撹拌した後、60分程度放置した後、引き上げ、
60℃、約24時間乾燥させ、合成樹脂粒子の表面に、
N−ステアロイル−L−グルタミン酸銅が付着した抗菌
材(実施例2)約100gを得た。
1で用いたものと同じポリスチレン粒子(平均粒径11
μm、比重1.06)を用いた。N−長鎖アシルアミノ
酸のアルカリ金属塩として、N−ステアロイル−L−グ
ルタミン酸ジナトリウム(味の素株式会社製、商品名
アミソフトHS−21)を用い、このN−ステアロイル
−L−グルタミン酸ジナトリウム約4gを、水9lに溶
解したN−長鎖アシルアミノ酸水溶液を作成した。抗菌
性を有する金属の水溶性塩として、塩化亜鉛を用い、塩
化亜鉛約3.5gを水900mlに溶解した塩化亜鉛水
溶液を作成した。最初に、N−長鎖アシルアミノ酸水溶
液中に、合成樹脂粒子100gを添加し、浸漬および撹
拌した後、60分程度放置した後、引き上げ、60℃、
約24時間乾燥させ、表面にN−長鎖アシルアミノ酸が
付着した合成樹脂粒子を作成した。そして、上記の塩化
亜鉛水溶液900ml中に、上記の合成樹脂粒子全量を
添加し、浸漬および撹拌した後、60分程度放置した
後、引き上げ、60℃、約24時間乾燥させ、合成樹脂
粒子の表面に、N−ステアロイル−L−グルタミン酸亜
鉛が付着した抗菌材(実施例3)約100gを得た。
1で用いたものと同じポリスチレン粒子(平均粒径11
μm、比重1.06)を用いた。N−長鎖アシルアミノ
酸のアルカリ金属塩として、N−ステアロイル−L−グ
ルタミン酸ジナトリウム(味の素株式会社製、商品名
アミソフトHS−21)を用い、このN−ステアロイル
−L−グルタミン酸ジナトリウム約4gを、水9lに溶
解したN−長鎖アシルアミノ酸水溶液を作成した。抗菌
性を有する金属の水溶性塩として、硝酸銀および硝酸銅
を用い、硝酸銀約1.2gと硝酸銅約2gを水900m
lに溶解した硝酸銀および硝酸銅混合水溶液を作成し
た。最初に、N−長鎖アシルアミノ酸水溶液中に、合成
樹脂粒子100gを添加し、浸漬および撹拌した後、6
0分程度放置した後、引き上げ、60℃、約24時間乾
燥させ、表面にN−長鎖アシルアミノ酸が付着した合成
樹脂粒子を作成した。そして、上記の硝酸銀および硝酸
銅混合水溶液900ml中に、上記の合成樹脂粒子全量
を添加し、浸漬および撹拌した後、60分程度放置した
後、引き上げ、60℃、約24時間乾燥させ、合成樹脂
粒子の表面に、N−ステアロイル−L−グルタミン酸銀
およびN−ステアロイル−L−グルタミン酸銅が付着し
た抗菌材(実施例4)約100gを得た。
チレン粒子(住友化学株式会社製、商品番号PB−30
061W、平均粒径6.1μm、比重1.06)を用い
た。N−長鎖アシルアミノ酸のアルカリ金属塩として、
N−ステアロイル−L−グルタミン酸ジナトリウム(味
の素株式会社製、商品名 アミソフトHS−21)を用
い、このN−ステアロイル−L−グルタミン酸ジナトリ
ウム約4gを、水9lに溶解したN−長鎖アシルアミノ
酸水溶液を作成した。抗菌性を有する金属の水溶性塩と
して、硝酸銀および硝酸銅を用い、硝酸銀約1.2gと
硝酸銅約2gを水900mlに溶解した硝酸銀および硝
酸銅混合水溶液を作成した。最初に、N−長鎖アシルア
ミノ酸水溶液中に、合成樹脂粒子100gを添加し、浸
漬および撹拌した後、60分程度放置した後、引き上
げ、60℃、約24時間乾燥させ、表面にN−長鎖アシ
ルアミノ酸が付着した合成樹脂粒子を作成した。そし
て、上記の硝酸銀および硝酸銅混合水溶液900ml中
に、上記の合成樹脂粒子全量を添加し、浸漬および撹拌
した後、60分程度放置した後、引き上げ、60℃、約
24時間乾燥させ、合成樹脂粒子の表面に、N−ステア
ロイル−L−グルタミン酸銀およびN−ステアロイル−
L−グルタミン酸銅が付着した抗菌材(実施例5)約1
00gを得た。
よび実施例3の抗菌材100gを混合することにより本
発明の抗菌材(実施例6)を作成した。
デックス(230℃)2g/10分、密度=0.905
g/cm3]100重量部に、グリセリンモノステアレ
ート0.5重量部、実施例1にて作成した抗菌材3重量
部を添加し、ヘンシルミキサーを用い、80℃において
2分間混合し、40mm径のスクリューを有する押出機
により、230℃においてストランドを形成させ、急冷
して、ストランドカットペレット(マスターペレット,
実施例)を得た。また、同様に、ポリプロピレン[メル
トインデックス(230℃)2g/10分、密度=0.
905g/cm3]100重量部に、グリセリンモノス
テアレート0.5重量部を添加し、ヘンシルミキサーを
用い、80℃において2分間混合し、40mm径のスク
リューを有する押出機により、230℃においてストラ
ンドを形成させ、急冷して、カットペレットを得た。そ
して、上記のカットペレット100重量部に対し、上記
のマスターペレット10重量部を添加し、ヘンシルミキ
サーを用い、80℃において2分間混合し、40mm径
のスクリューを有する押出機により、230℃において
ストランドを形成させ、急冷して、ストランドカットペ
レット(実施例7)を得た。
例1の抗菌材の代わりに、実施例5のもの1重量部を添
加した以外は、実施例7と同様に行いストランドカット
ペレット(実施例8)を得た。
リオール(不揮発分70%、水酸基価140、大日本イ
ンキ化学工業株式会社製、商品名バーノックDE−14
0−70)を用い、このポリエステルポリオール100
重量部に対し、実施例4(ポリスチレン)の抗菌材3重
量部を添加した。B液としては、粗製ジフェニルメタン
ジイソシアネート(日本ポリウレタン株式会社製、商品
名ミリオネートMR)を用いた。そして、A液100重
量部とB液43重量部を使用時に混合する本発明の抗菌
性塗料を作成した。
の抗菌材1重量部を市販の水性ペイント(アクリル系合
成樹脂塗料、カンペ家庭塗料株式会社製、商品名 水性
つやあり塗料(白)、商品コード627−001)10
重量部によく混合したものを作成し、さらにこの混合物
を、市販の水性ペイント(アクリル系合成樹脂塗料、カ
ンペ家庭塗料株式会社製、商品名 水性つやあり塗料
(白)、商品コード627−001)89重量部に添加
し、よく混合することにより、本発明の抗菌性塗料を作
成した。
酸モノナトリウム60g、ラウリル硫酸ナトリウム10
g、N−アセチルグリシンモノステアリルエステル10
g、実施例6(ポリスチレン混合物)の抗菌材6g、セ
チルアルコール8g、水12gを加熱混練した後、プレ
ス成型して、固形化粧石鹸を得た。
行った。 (実験1) 抗菌作用性試験 蒸留水500mlに、寒天培地(日水製薬(社)製、普
通寒天培地)17.5gを入れ、培地を作成した。そし
て、上記培地各25gに実施例1ないし6により作成し
た抗菌材約0.01gを混入させた抗菌性培地1〜6を
作成し、シャーレに上記の抗菌材を混入した培地を入れ
たものを作成した(シャーレNo.1〜No.6)。ま
た、別に7のシャーレに、抗菌材を混入していない培地
を入れたものを作成し、そのうち6のシャーレの培地の
上に実施例1ないし6の抗菌材約0.01gを散布した
シャーレNo.7〜No.12、散布しないシャーレN
o.13を作成した。そして、上記のNo.1〜No.
13のシャーレを開放状態にて約24時間屋外に放置し
た後、加温庫にいれ、約40℃にて24時間加温した。
そして、各シャーレを顕微鏡を用いて10000倍の倍
率で確認したところ、抗菌材を散布あるいは混入させた
培地を収納したシャーレNo.1〜No.12では、菌
の成育は確認できなかった。また、シャーレNo.13
では顕著な菌の成育が見られた。
レットを30mm径のスクリューを有するインフレーシ
ョン成形機に装入し、250℃において溶融成膜し、厚
さ120μmの未配向インフレーションフィルムを得
た。次に、このフィルムを一辺10cmの正方形に切断
し、二軸延伸測定装置を用いて、150℃の温度で、縦
横2方向に同時にそれぞれ2.5倍延伸し、平均厚み2
0μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(試験材料
1)を得た。同様に、実施例8のストランドカットペレ
ットを用いて、上記と同様に行い、平均厚み20μmの
二軸延伸ポリプロピレンフィルム(試験材料2)を得
た。
実験を行った。試験菌株としては、 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus ATCC 6538P) クレブシェラ(Klebsiella pneumoniae IFO 13277) を用い、普通ブイヨン培地で35℃、18〜20時間培
養した菌液を同培地を用いて、1ml当たりの菌数が
5.0×105〜3.0×106となるように調製した。
そして、試験材料1,2を20mm×20mmの大きさ
にそれぞれ切断した試験片を作成し、オートクレーブで
121℃,15分間滅菌処理を行った。なお、試験片
は、収縮を生じさせないように固定して滅菌処理を行っ
た。そして、それぞれの試験片の表面に上記の菌液を
0.2ml塗布し、35℃で保存した。保存開始より1
8時間後に滅菌緩衝生理食塩水で試験片上の生残菌を洗
いだし、この洗いだし液を菌数測定用培地(栄研化学株
式会社製、標準寒天培地)を使用した混釈平板培養法
(35℃、2日間)により生菌数を測定した。結果は、
表1および表2に示すとおりであった。
ついて試験を行った。試験菌株としては、以下のものを
用いた。 Escherichia coli IFO 3301(大腸菌) Pseudomonas aeruginosa IID P-1(緑膿菌) Staphylococcus aureus IFO 12732(黄色ブドウ球菌) Vivrio parahaemolyticus IFO 12711(腸炎ビブリオ) Aspergillus niger IFO 4407 (黒麹カビ)
菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌としては、AATCC B
roth、腸炎ビブリオとしては、3%食塩加AATC
CBroth、黒麹カビとしては、ポテトデキストロー
ス寒天培地[栄研化学株式会社製]を用いた)で、細菌
については37℃24時間培養して接種用菌液を調製し
た。また、黒麹カビについては、25℃7日間培養後の
試験菌株の生分子を0.005%スルホこはく酸ジオク
チルナトリウム溶液に、1ml当り生分子数が約108
個となるように浮遊させて調整した。そして、試験用培
地(大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球球としては、AAT
CC Agar、腸炎ビブリオとしては、3%食塩加A
ATCC Agar、黒麹カビについては1.5%寒天
加GP培地[日水製薬株式会社製]を用いた)150m
lに対して1mlの割合で接種用菌液を加えた実験用培
地を作成し、滅菌シャーレに分注し、固化させて実験用
平板培地を作成した。
るポリプレピレンシートを上記実験用平板培地が充填さ
れている滅菌シャーレの上に、上記円形孔がシャーレの
ほぼ中央に位置するようにのせ、それぞれの細菌が培養
されたシャーレに、実施例10の抗菌性塗料(水性ペイ
ント)を水で10倍に希釈した液体約0.5mlスプレ
ー塗布した後、37℃で24時間培養した後の細菌の成
育状態を確認した。その結果、実施例10の抗菌性塗料
を溶解した液体を塗布したシャーレにおいて、中央に約
2〜2.5mmの細菌の発育しない部分が観察され、上
記の中央以外の部分では、細菌の旺盛な発育が見られ
た。
ッププライマーおよびエポキシ系防食プライマーを塗装
した90×180×3mmのサンドプラスト鋼板に、乾
燥膜厚が100μmになるようにそれぞれ塗装した試験
板を作成した。なお、実施例9の抗菌性塗料は、A液と
B液を混合した後、3時間以内に塗装した。そして、試
験板を愛知県三河湾にて3カ月海水中に浸漬し、試験板
への水中生物の付着程度を観察したところ、いずれの試
験板にも、フジツボ、青海苔ともに全く付着していなか
った。
に付着したN−長鎖アシルアミノ酸に抗菌作用を有する
金属が結合している抗菌材である。言い換えれば、合成
樹脂粒子の表面に、抗菌作用を有する金属のN−長鎖ア
シルアミノ酸塩が付着している抗菌材である。この抗菌
材では、合成樹脂粒子を基材としているので、粒径のコ
ントロールが容易であり、さらに比重も目的に応じたも
のを選択できるので、種々の用途に応じた粒径、比重の
抗菌材とすることができる。さらに、合成樹脂粒子を用
いることにより、上述のように、粒径、比重の選択を行
うことができるので、形成された抗菌材は、樹脂、繊
維、塗料などへの添加が容易なものとなる。また、抗菌
材の表面には、N−アシルアミノ酸抗菌性金属塩が形成
されており、この金属塩は、上述のような高い抗菌性と
安全性を有する。
子をN−長鎖アシルアミノ酸イオン含有水溶液と接触さ
せる工程と、該工程の後に、前記粒子を抗菌作用を有す
る金属イオン含有水溶液と接触させる工程とを有する抗
菌材の製造方法である。よって、上記のような効果を有
する抗菌材を確実かつ容易に製造することができる。さ
らに、この抗菌材の製造方法では、あらかじめ形成した
水に不溶な状態となりかつ粉末状となっているN−長鎖
アシルアミノ酸抗菌性金属塩を粒子の表面に付着させる
ものでなく、粒子の表面にて、N−長鎖アシルアミノ酸
抗菌性金属塩を形成させている。このため、その付着作
業が容易である。
酸抗菌性金属塩を形成すると、その形成過程において、
N−長鎖アシルアミノ酸抗菌性金属塩が凝集するため、
形成された粉末においても、N−長鎖アシルアミノ酸抗
菌性金属塩が凝集した凝集物が形成される。このため、
N−長鎖アシルアミノ酸抗菌性金属塩粉末物において、
抗菌性金属の一部さらにはかなりの部分が表面に露出し
ていない状態となっていることもある。この場合、抗菌
効果としては、十分なものを発揮できない事も予想され
る。これに対し、この方法で製造された抗菌材では、N
−長鎖アシルアミノ酸を付着させた後、最終工程とし
て、抗菌性金属イオン含有水溶液に接触させ、かつ粒子
の表面にてN−長鎖アシルアミノ酸抗菌性金属塩を形成
させているので、N−長鎖アシルアミノ酸抗菌性金属塩
の凝集が生じることが少なく、言い換えれば、単分子ま
たはそれに近い状態で、粒子の表面にN−長鎖アシルア
ミノ酸抗菌性金属塩が付着し、かつ、抗菌性金属が露出
した状態となっているものと推測される。このため、N
−長鎖アシルアミノ酸抗菌性金属塩が有する高い抗菌作
用を十分に発揮する。さらに、N−長鎖アシルアミノ酸
は、いわゆる界面活性剤であり、粒子の表面にほぼ均一
に付着する。このため、粒子の表面には、ほぼ均一で、
全体を被覆するN−長鎖アシルアミノ酸の被覆物が形成
され、その後、金属が結合するので、形成されるN−長
鎖アシルアミノ酸抗菌性金属塩の被膜も、粒子の表面全
体に、かつほぼ均一なものとなる。
Claims (12)
- 【請求項1】 合成樹脂粒子の表面に付着したN−長鎖
アシルアミノ酸に抗菌作用を有する金属が結合している
ことを特徴とする抗菌材。 - 【請求項2】 前記金属は、銀、銅、鉛、亜鉛、錫、ビ
スマスからなる群から選ばれたいずれか1つである請求
項1に記載の抗菌材。 - 【請求項3】 前記粒子には、抗菌作用を有する異なる
2種以上の抗菌性を有する金属が結合している請求項1
に記載の抗菌材。 - 【請求項4】 合成樹脂粒子の表面に付着したN−長鎖
アシルアミノ酸に、抗菌作用を有する第1の金属が結合
結合した第1の抗菌性粒子と、合成樹脂粒子の表面に付
着したN−長鎖アシルアミノ酸に、前記第1の抗菌性粒
子と異なる抗菌作用を有する第2の金属が結合した第2
の抗菌性粒子との混合物からなることを特徴とする抗菌
材。 - 【請求項5】 前記金属は、銀、銅、鉛、亜鉛、錫、ビ
スマスからなる群から選ばれたものである請求項4に記
載の抗菌材。 - 【請求項6】 前記N−長鎖アシルアミノ酸塩の、アシ
ル基が、ステアロイル基、ラウロイル基、ミリストイル
基、パルミトイル基のいずれかである請求項1ないし5
のいずれかに記載の抗菌材。 - 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかに記載の抗
菌材を含有していることを特徴とする抗菌性樹脂組成
物。 - 【請求項8】 請求項1ないし6のいずれかに記載の抗
菌材が含有されていることを特徴とする抗菌性繊維。 - 【請求項9】 請求項1ないし6のいずれかに記載の抗
菌材が含有あるいは表面に付着していることを特徴とす
る抗菌性を有する紙。 - 【請求項10】 請求項1ないし6のいずれかに記載の
抗菌材が含有されていることを特徴とする抗菌性塗料。 - 【請求項11】 請求項1ないし6のいずれかに記載の
抗菌材を含有することを特徴とする化粧品。 - 【請求項12】 合成樹脂粒子をN−長鎖アシルアミノ
酸イオン含有水溶液と接触させる工程と、該工程の後
に、前記粒子を抗菌作用を有する金属イオン含有水溶液
と接触させることを特徴とする抗菌材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36949097A JP3475209B2 (ja) | 1997-12-25 | 1997-12-25 | 抗菌材、抗菌性樹脂組成物、抗菌性合成繊維、抗菌性を有する紙、抗菌性塗料、化粧品および抗菌材の製造方法 |
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JP36949097A JP3475209B2 (ja) | 1997-12-25 | 1997-12-25 | 抗菌材、抗菌性樹脂組成物、抗菌性合成繊維、抗菌性を有する紙、抗菌性塗料、化粧品および抗菌材の製造方法 |
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JP5120690A Division JPH06305906A (ja) | 1993-04-23 | 1993-04-23 | 抗菌材、抗菌性樹脂組成物、抗菌性合成繊維、抗菌性を有する紙、抗菌性塗料、化粧品および抗菌材の製造方法 |
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---|---|
JPH10231201A true JPH10231201A (ja) | 1998-09-02 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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1997
- 1997-12-25 JP JP36949097A patent/JP3475209B2/ja not_active Expired - Lifetime
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