JPH10230683A - 熱転写記録媒体及びそれを用いた記録方法 - Google Patents

熱転写記録媒体及びそれを用いた記録方法

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JPH10230683A
JPH10230683A JP9311480A JP31148097A JPH10230683A JP H10230683 A JPH10230683 A JP H10230683A JP 9311480 A JP9311480 A JP 9311480A JP 31148097 A JP31148097 A JP 31148097A JP H10230683 A JPH10230683 A JP H10230683A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面性の粗い受容紙に対しても良好な転写画
像を与えることができる熱転写製記録媒体を得る。 【解決手段】 支持体上に樹脂を主成分とするアンダー
層及びワックスを主成分とする剥離層を介して少なくと
も着色剤と熱可塑性樹脂を含有するインク層を設けた熱
転写記録媒体において、インク層の90℃における溶融
粘度を1×106〜1×108cpとする。熱可塑性樹脂
にはMwが5000〜30000のポリエステル樹脂
が、またTgは20〜60℃のものがより好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱転写記録媒体及び
これを用いた熱転写記録方法に関する。さらに詳しくは
転写、定着しうる受容体の種類を拡げることが可能な熱
転写記録媒体、及びこれを用いた熱転写記録方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】熱転写記録媒体を受容体(被転写体)へ転
写するためには、一定の圧力下でこの熱転写記録媒体と
受容体とを熱ヘッド上で密着させ、熱ヘッドより加えら
れる熱エネルギーにより熱転写記録媒体のインク層を溶
融し、受容体上に転写する方法が採用されている。この
転写の際に、熱転写記録媒体と受容体とが十分に密着し
ていないと、密着不良部分では転写が行なわれなくな
る。こうしたことから密着性を十分に高めるために、受
容体として凹凸の少ない平滑なものを使用する必要があ
る。しかしながら、一般に受容体として用いられる紙
は、植物繊維よりなるために凹凸が激しい。
【0003】このようなことから受容体として使用され
る紙にはカレンダー処理、表面コーティング等の特殊な
処理を施して平滑性を改善したものが用いられている。
このような処理を施した紙は表面に特有な光沢があり、
しかも手ざわりが悪い等の問題がある。このために上記
特殊な表面処理を施さない普通紙やベック平滑度が数秒
から十数秒のボンド紙でも良好な転写が可能な熱転写記
録媒体の実用化が要望されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、普通紙に転写
可能な熱転写記録媒体として、インク層中に熱分解性発
泡剤を含有させたもの(特開昭59−201893号公
報)、インク層中に易揮発性有機液体を内包する微粒子
充填剤を含有させたもの(特開昭59−201894号
公報)、上下2層に分離され、下層に高沸点溶剤を含有
させたインク層を有するもの(特開昭60−23928
4号公報)、インク層中に熱膨張性物質を含有させたも
の(特開昭60−236792号公報)等、転写時の熱エ
ネルギーによってインク層が紙の凹凸に応じるように変
化し、転写効率を向上させようとする提案がなされてい
る。しかしながら、これらの熱転写記録媒体は成膜工程
が複雑となり、しかも溶剤の揮発等の安定性にも問題が
ある。
【0005】この他に、インク層の上に界面活性剤を含
む熱溶融性物質層を設けることにより、平滑度の高い紙
から平滑度の低い紙まで良好な転写を可能とした熱転写
記録媒体が提案されている(特開昭60−234889
号公報)。しかしながら、この熱転写記録媒体において
は、インク層中に低分子量のワックス成分を多く含有さ
せているために、このインク層上に高融点の熱溶融性物
質層を塗布する際に下のインク層が再溶解又は再溶融し
てしまい、安定して製造できない問題がある。また近時
は、端面ヘッドプリンタ(熱時剥離タイププリンタ)を
用いた高速記録が求められているが、従来の熱転写記録
媒体の使用では画像に尾引きが生じるといった欠点があ
る。本発明は、受容体特にその表面性の如何を問わず高
品質な印字が可能で、さらに尾引き状態の印字発生のな
い熱転写記録媒体、及びこれを用いた熱転写記録方法を
提供することを第一の目的とする。また本発明は、尾引
き状態の印字発生がなくかつ画像転写性が優れた端面ヘ
ッドタイププリンター(熱時剥離プリンター)対応の熱
転写記録媒体を提供することを第2の目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、第一
に、支持体上にワックスを含有する剥離層と、少なくと
も着色剤と熱可塑性樹脂を含有するインク層を順次設け
た熱転写記録媒体において、インク層の溶融粘度が90
℃において1×106〜1×108cpであることを特徴
とする熱転写記録媒体が提供される。第二に、上記第一
に記載した熱転写記録媒体において、支持体と剥離層の
間にアンダー層を有することを特徴とする熱転写記録媒
体が提供される。第三に、上記第一又は第二に記載した
熱転写記録媒体において、熱可塑性樹脂が重量平均分子
量5000〜30000のポリエステル樹脂であること
を特徴とする熱転写記録媒体が提供される。第四に、上
記第一、第二又は第三に記載した熱転写記録媒体におい
て、熱可塑性樹脂がTg20〜60℃のポリエステル樹
脂であることを特徴とする熱転写記録媒体が提供され
る。第五に、熱転写記録媒体と受容体を密着し、熱ヘッ
ドにより該記録媒体のインク層を画像状に溶融して該受
容体に転写する熱転写記録方法において、熱転写記録媒
体として上記第一〜第四のいずれかに記載した記録媒体
を用いることを特徴とする熱転写方法が提供される。第
六に、上記第五に記載した熱転写記録において、熱転写
記録に熱時剥離タイププリンタを用い、熱転写媒体とし
て上記第二に記載した記録媒体を用いることを特徴とす
る熱転写記録方法が提供される。第七に、上記第五又は
第六に記載した熱転写記録方法において、表面ベック平
滑度が100〜20000秒の受容体を用いることを特
徴とする熱転写記録方法が提供される。第八に、上記第
五、第六又は第七に記載した熱転写記録方法において、
白色PETシート(白色充填剤を含有したポリエチレン
テレフタレートシート)を受容体として用いることを特
徴とする熱転写記録方法が提供される。
【0007】以下に本発明を詳細に説明する。本発明
は、上述のように、支持体上に、必要に応じてアンダー
層を介して、ワックスを主成分とする剥離層を設け、さ
らにこの剥離層上に少なくとも着色剤と熱可塑性樹脂を
含有するインク層を設けた熱転写記録媒体において、イ
ンク層の溶融粘度が90℃において1×106〜1×1
8cpであることを特徴とする。
【0008】また本発明は、熱転写記録媒体と受容体と
を密着し、熱ヘッドにより熱転写記録媒体のインク層を
画像状に溶融して、該受容体に転写する熱転写記録方法
において、上記特定の熱転写記録媒体を用いることを特
徴とする。そして、この方法においては、特に熱時剥離
タイププリンタを用いて熱転写記録を行なうことが有利
である。
【0009】前記のような溶融粘度を有するインク層を
設ける事により表面性の粗い受容紙に対しても転写する
ことができる。従って、受容紙のベック平滑度で示せば
100〜20000秒の範囲の広い範囲に亘って対応す
ることができる。本発明によるインク層が高溶融粘度で
あるにもかかわらず低平滑な受容紙に対しても対応でき
るのは、熱時剥離タイプのプリンタで使用されるときで
あってもインクがフィルムから引き剥がされる際の剥離
温度が約90℃と高く、加熱部と非加熱部の粘性の差が
つけやすいため高溶融粘度であっても加熱部のインク層
がシャープに溶融して受容紙に転写し、そして転写され
たインクは溶融粘度が比較的高めであるため、受容紙表
面の凹凸が大きくても染み込みきらずに途中で固化する
からと考えられる。特に上記第二のアンダー層を有する
熱転写記録媒体は熱時剥離タイププリンタによる記録に
適している。
【0010】本発明でいう「熱時剥離タイププリンタ」
すなわち端面ヘッドタイププリンタとは、ライン型プリ
ンターの1つであり図1に示したような機能をもつもの
である。一般にライン型プリンターとは熱転写記録媒体
1と被転写体2をサーマルヘッド3とプラテンローラー
4との間の面接触で圧接し、発熱体からの熱エネルギー
で記録して両者を剥離するのであるが、この時の発熱体
から熱転写記録媒体1と被転写体2が引き剥がされるま
での距離Aが一般に3〜15mmであるのに対し、熱時
剥離タイププリンタでは距離Aが約80〜300μmと
短いものを指している。このようなプリンタは発熱体か
らの熱エネルギーで溶融したインクが高温溶融状態で引
き剥がされる為高温溶融状態の画像部と非溶融状態の非
画像部とではその境界で温度差がはっきりしやすく、本
発明にもっとも適している。
【0011】インク層の溶融粘度が90℃において1×
106〜1×108cpであるなら、そのインク層に含有
される熱可塑性樹脂の種類に限定されない。但し、ポリ
エステル樹脂が最も望ましい。特に、インク層に含有さ
せる熱可塑性樹脂として重量平均分子量5000〜30
000のポリエステル樹脂を用いることにより、上記溶
融粘度を得やすく印字品質をより向上でき、またTgが
20〜60℃であるときは印字品質をさらに向上でき
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明の熱転写記録媒体の
実施の形態について説明する。インク層は着色剤、熱可
塑性樹脂などを主成分とし2層以上積層してもよい。着
色剤としては要求される色調などに応じ、カーボンブラ
ック、有機顔料、無機顔料、または各種染料から適当な
ものを選択して用いることができる。着色剤の添加量は
特に限定されるものではないが画像転写性を良好にする
ためにはインク総重量の10〜50重量%より好ましく
は10〜30重量%が好ましい。
【0013】また、インク層における熱可塑性樹脂は被
転写体との接着性が良好であればとくに限定するもので
なく種々のものが使用可能である。具体的にはエチレン
−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート
共重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、
ポリ塩化ビニル、各種セルロース誘導体、ポリスチレ
ン、ポリブチラール、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等
が好ましく使用されるが、これに限定されるものではな
い。熱可塑性樹脂の添加量は、前記着色剤とのバランス
により任意であるがインク層重量の20〜80重量%、
より好ましくは30〜70重量%である。
【0014】特にポリエステル樹脂については多価アル
コールと多塩基酸との重縮合、ラクトンのような環状エ
ステルの開環重合、二塩基酸とグリコールとの重縮合な
どにより一般に知られている合成法で製造する事ができ
る。また、上述のようにポリエステル樹脂の場合、分子
量は重量平均分子量(Mw)で5000〜30000の
ものが好ましく、5000を下回ると尾引きの原因とな
り、30000を超えると画像転写性が劣化する。また
同様な事がTgにおいても言うことが出来、Tgが20
℃を下回ると尾引きの原因となり、60℃を超えると画
像転写性が劣化する。
【0015】本発明のインク層には、熱転写性や解像度
等の向上を目的として溶融粘度を下方にもってくる為に
は、各種の添加物を添加してもよい。例えば、ワックス
状の脂肪酸アミド、各種溶剤、パラフィンワックスのよ
うな合成ワックス類、キャンデリラワックスやカルナウ
バワックス等の天然ワックス類、シリコーン油やパーフ
ロロアルキルエーテル等のオイル類等の添加で熱転写性
や解像度を向上させることができる。これらの物質は、
可塑剤的に働くと推定される。なお、この場合の溶剤に
はリン酸エステル等のほか、シリコーン樹脂や四フッ化
エチレン樹脂やフロロアルキエーテル樹脂等の樹脂類及
び炭化ケイ素やシリカ等の無機滑剤も使用可能である。
【0016】次に剥離層は支持体に隣接して設けられる
層であり、融点又は軟化点が70〜120℃のワックス
を用いることが好ましい。この層は熱印加時に支持体と
熱転写層(インク層)間の剥離性をよくするために設け
る層であり、そのためサーマルヘッドによる熱印加で溶
融して低粘度液体になるような成分で構成するのが望ま
しく、また加熱部分と非加熱部分の界面近くで層が容易
に切れるように層成分を調整するとよい。
【0017】剥離層に使用されるワックスを具体的に例
示すると、蜜ろう、鯨ろう、木ろう、米ぬかろう、カル
ナウバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワッ
クス等の天然ワックス;パラフィンワックス、マイクロ
クリスタリンワックス、酸化ワックス、オゾケライト、
セレシン、エステルワックス、ポリエチレンワックス等
の合成ワックス:マルガリン酸、ラウリン酸、ミリスチ
ン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、フロイン酸、べへ
ニン酸等の高級飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、べ
へニルアルコール等の高級飽和一価アルコール;ソルビ
タンの脂肪酸エステル等の高級エステル;ステアリン酸
アミド、オレイン酸アミド等の高級脂肪酸アミド等が挙
げられる。
【0018】また、剥離層に弾力性を持たせて熱転写記
録媒体と受容体との密着性をよくすることも可能であ
り、この目的を達成するため剥離層にイソプレンゴム、
ブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴ
ム、ニトリルゴム等のゴム類が添加することができる。
このほか、剥離層の脱落防止のため接着性の強い樹脂額
を剥離層に添加することもよく行われるが、このために
添加される樹脂としてはエチレン−酢酸ビニル共重合体
やエチレン−エチルアクリレート共重合体等が好適であ
る。
【0019】このような剥離層においては、ワックス様
物質が50〜100重量%、より好ましくは80〜10
0重量%とするのがよい。また、インク層、剥離層の乾
燥条件によっても画像転写性は変化する場合があるの
で、適宜調整することが必要である。
【0020】特に端面ヘッドプリンターが用いられる場
合には、支持体と剥離層の間に接着層(アンダー層)を
設けることが望ましい。アンダー層はヘッド圧の比較的
高いプリンターにおいても剥離層を支持体から脱落させ
ないために形成される。このアンダー層の主成分として
は剥離層に含有されるワックスと支持体とを非印字下で
強固に接着する物質を用いる。例示すると、イソプレン
ゴム、ブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチ
ルゴム、ニトリルゴム等の未加硫ゴム類、エチレン−酢
酸ビニル共重合体やエチレン−アクリレート共重合体な
どのポリオレフィン樹脂、その他ポリウレタン樹脂、ポ
リアクリル樹脂、セルロース系樹脂、フェノール系樹
脂、石油系樹脂等を用いることができる。また、これら
は適当な架橋剤によって架橋構造とし、剥離層成分との
混合を防止してもよい。
【0021】さらに、剥離層との接着界面を増加させる
ためアンダー層を粗面化させることも好ましい。その粗
面化のためには、カーボンブラック、グラファイト、炭
酸カルシウム、酸化チタンなどの無機フィラーや塩化ビ
ニルパウダーなどの有機フィラーを用いるとよい。膜厚
は0.05〜2μm、好ましくは0.1〜0.5μmで
ある。
【0022】支持体は公知のフィルムや紙をそのまま使
用すればよく、例えばポリエチレンテレフタレート(P
ET)等のポリエステル、ポリカーボネート、トリアセ
チルセルロース、ナイロン、ポリイミド等のように比較
的耐熱性のよいプラスチックフィルム;セロハン;硫酸
紙等が好ましく使用される。
【0023】また本発明の熱転写記録媒体には必要に応
じて支持体の裏面に保護層(耐熱層)を設けてもよい。
保護層はサーマルヘッドによる熱印加時に支持体を高温
から保護するための層であり、耐熱性の高い熱可塑性樹
脂や熱硬化性樹脂のほか、紫外線硬化性樹脂や電子線硬
化性樹脂も使用可能である。なお、保護層形成に好適な
樹脂はフッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、
エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等であ
り、これらの樹脂を薄膜状で使用すればよい。また、保
護層の設置によって支持体の耐熱性を著しく向上させる
ことができるため、保護層の設置によって従来は不適と
されていた材料を支持体にすることも可能になる。保護
層の膜厚は0.01〜3μm、好ましくは0.01〜1
μmである。
【0024】支持体上へのアンダー層、剥離層やインク
層の設層は、ホットメルト塗布法、水性塗布法、有機溶
剤を使用する塗布法等の公知の方法で行うことができ
る。このような塗布法で設けられる層全体の乾燥後の厚
みは0.5〜10μm、好ましくは0.5〜6.0μm
であり、該熱転写層内でインク層厚は0.5〜6.0μ
m、好ましくは1.0〜4.0μm、剥離層厚は0.3
〜2.0μm、好ましくは0.5〜1.5μm、アンダ
ー層は0.05〜2μmとすればよい。
【0025】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に
説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定される
ものではない。ここでの部は重量基準である。
【0026】〔実施例1〕支持体として4.5μm厚の
PETフィルムを用いた。この支持体側から順に下記ア
ンダー層(0.2μm)、剥離層(1.0μm)、イン
ク層(1.0μm)、また他方の面に耐熱層(0.4μ
m)の各成分を塗布乾燥し熱転写記録媒体を作製した。 〈アンダー層塗布液処方〉 エチレン−酢酸ビニル共重合体 1部 カーボンブラック 6部 トルエン 93部 以上を塗布、乾燥し0.2μmの厚みを得た。 〈剥離層塗布液処方〉 カルナウバワックス 35部 スチレンブタジエンゴム 5部 水 28部 メタノール 32部 以上を塗布、乾燥し1.0μmの厚みを得た。 〈インク層塗布液処方〉 カーボンブラック 4部 ポリエステル樹脂(Tg60℃、Mw=25000) 12部 シュウ酸ジベンジル 4部 メチルエチルケトン 80部 以上を塗布、乾燥し1.0μmの厚みを得た。 〈耐熱層塗布液処方〉 シリコーン樹脂 7部 メチルエチルケトン 93部 以上を塗布、乾燥し0.4μmの厚みを得た。
【0027】〔実施例2〕実施例1において、インク層
の組成を下記のものに変えた以外は実施例1と同様にし
て熱転写記録媒体を作製した。 〈インク層塗布液処方〉 カーボンブラック 6部 ポリエステル樹脂(Tg22℃、Mw=22000) 7部 アクリル樹脂 7部 メチルエチルケトン 80部 以上を塗布、乾燥し1.0μmの厚みを得た。
【0028】〔実施例3〕実施例1において、インク層
の組成を下記のものに変えた以外は実施例1と同様にし
て熱転写記録媒体を作製した。 〈インク層塗布液処方〉 カーボンブラック 4部 キャンデリラワックス 14部 エチレン=酢酸ビニル共重合体 2部 メチルエチルケトン 80部 以上を塗布、乾燥し1.0μmの厚みを得た。
【0029】〔実施例4〕実施例1において、剥離層及
びインク層の組成を下記のものに変えた以外は実施例1
と同様にして熱転写記録媒体を作製した。 〈剥離層塗布液処方〉 カルナウバワックス 16部 エチレン−酢酸ビニル共重合体 1部 アクリロニトリル−ブタジエン共重合体 2部 ブタジエン 1部 トルエン 80部 以上を塗布、乾燥し1.0μmの厚みを得た。 〈インク層塗布液処方〉 ニトロセルロース 13部 パラトルエンスルホンアミド 2部 メタノール 80部 カーボンブラック 5部 以上を塗布し、乾燥し1.0μmの厚みを得た。
【0030】〔比較例1〕リコー社製の熱転写リボンを
用いた。分析の結果、支持体として6.5μm厚のPE
Tフィルム上に、カルナウバワックス及び変性ポリエチ
レンを含む剥離層、カーボンブラック、ポリエステル樹
脂及びカルナウバワックスを含むインク層が順に設けら
れており、剥離層及びインク層の総和は1.5ないし
2.0μm厚であった。また、この熱転写リボンのイン
ク層の溶融粘度は90℃において3.25×105cp
であった。
【0031】〔比較例2〕実施例1において、インク層
の組成を下記のものに変えた以外は実施例1と同様にし
て熱転写記録媒体を作製した。インク層の厚みは1.0
μmである。 〈インク層〉 カーボンブラック 4部 ポリエステル樹脂(Tg:60℃、Mw=25000) 10部 アクリル樹脂 6部 メチルエチルケトン 80部
【0032】〔比較例3〕支持体として4.5μm厚の
PETフィルムを用い、この支持体側から順に下記成分
から成る剥離層(1.0μm厚)、インク層(1.0μm
厚)をメチルエチルケトンを溶剤として塗布乾燥し熱転
写記録媒体を作製した。 〈剥離層〉 カルナウバワックス 14部 シリコーン樹脂 6部 トルエン 80部 〈インク層〉 カーボンブラック 4部 ポリエステル樹脂(Tg:72℃、Mw=25000) 10部 アクリル樹脂 6部 メチルエチルケトン 80部
【0033】上記のようにして得た実施例及び比較例の
熱転写記録媒体について下記印字条件で印字し形成され
た画像について画像転写性、耐薬品性及び尾引きを評価
した。結果を表1に示す。なお、インク層の溶融粘度は
1.2μm厚のインク層固形を作製し、これを90℃に
保つ。1hr以上経過し温度が安定したところで1.1
×102rad/secのずり速度(shear ra
te)をかけて、その時のストレスから粘度を測定す
る。
【0034】〈印字条件〉 サーマルヘッド:部分グレース薄膜ヘッドタイプ(8ド
ット/mm) プラテン圧:150g/cm2 熱転写記録媒体の引き剥がし角度:受容紙に対して30
度 引き剥がしトルク値:200g 印字速度:10cm/秒 受容紙:白色充填剤を含有したPETシート(Bekk
平滑度25000秒)及び合成紙(Bekk平滑度200
0秒)
【0035】〈画像転写性〉 印加エネルギー20mj/mm2での転写画像を次の基
準で評価した。 ◎:ボイド、カスレがなく、画像のエッジがシャープで
ある。 ○:ボイド、カスレがほとんどない。 △:ややボイド、カスレがある。 ×:まったく転写しない。
【0036】〈耐薬品性〉各種薬品0.5ccを綿棒に
含ませて転写画像に塗布後、このサンプルについて10
g/mm2の荷重下に30cm/秒のスピードで往復ラ
ブテストを20回行ない、受像紙(白色充填剤を含有し
たPETシート)面を観察し次の基準で評価した。 ◎:ラブテストの結果、テスト前と変化なし。 ○:ラブテストの結果、画像の判読は可能だが傷ができ
る。 △:ラブテストの結果、画像の判読が不可能になる。 ×:ラブテストの結果、受像紙面が露出する。
【0037】〈尾引き〉白色充填剤を充填したPETシ
ートを受像紙として用い、印加エネルギー20mj/m
2におけるナロー2ドット、ワイド6ドットの横バー
コードの転写画像を次の基準で評価した。なお、ここで
いう尾引きとは、印字時に印加部と共に非印加部のイン
ク層が持って行かれ、画像のエッジ部がひげ状になるこ
とを指す。 ◎:尾引きがなく、画像のエッジがシャープである。 ○:尾引きがほとんどない。 △:やや尾引きがある。 ×:横バーコードが尾引きで完全につぶれ解読できな
い。
【0038】
【表1】
【0039】表1より実施例のものが高平滑のPETフ
ィルムだけでなく、低平滑の合成紙にも尾引きなどの発
生もなく良好に転写することが分かる。
【0040】
【発明の効果】以上のように、支持体上にアンダー層及
び剥離層を介してインク層を設けた熱転写記録媒体にお
いて、インク層の90℃における溶融粘度を1×106
〜1×108cpに規定することにより受容紙として高
平滑なPETフィルムから低平滑な合成紙まで幅広い範
囲のものが使用できる熱転写記録媒体を得ることがで
き、さらにインク層の樹脂としてポリエステル樹脂を用
いるときはこれらの効果をより向上させる熱転写記録媒
体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱時剥離タイププリンタの機構を説明するため
の図。
【符号の説明】
1 熱転写記録媒体 2 被転写体 3 サーマルヘッド 4 プラテンロール 5 発熱体 P 熱転写記録媒体と被転写体とがサーマルヘッドとプ
テランロールとの間で面接触で圧接している点 Q 熱転写記録媒体と被転写体とが引き剥がされる点

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上にワックスを含有する剥離層
    と、少なくとも着色剤と熱可塑性樹脂を含有するインク
    層を順次設けた熱転写記録媒体において、インク層の溶
    融粘度が90℃において1×106〜1×108cpであ
    ることを特徴とする熱転写記録媒体。
  2. 【請求項2】 支持体と剥離層の間にアンダー層を有す
    ることを特徴とする請求項1記載の熱転写記録媒体。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂が重量平均分子量5000
    〜30000のポリエステル樹脂であることを特徴とす
    る請求項1又は2記載の熱転写記録媒体。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂がTg20〜60℃のポリ
    エステル樹脂であることを特徴とする請求項1、2又は
    3記載の熱転写記録媒体。
  5. 【請求項5】 熱転写記録媒体と受容体を密着し、熱ヘ
    ッドにより該記録媒体のインク層を画像状に溶融して該
    受容体に転写する熱転写記録方法において、該熱転写記
    録媒体として請求項1〜4のいずれかに記載の記録媒体
    を用いることを特徴とする熱転写記録方法。
  6. 【請求項6】 熱転写記録に熱時剥離タイププリンタを
    用い、熱転写記録媒体として請求項2記載の記録媒体を
    用ることを特徴とする請求項5記載の熱転写記録方法。
  7. 【請求項7】 表面のベック平滑度が100〜2000
    0秒の受容体を用いることを特徴とする請求項5又は6
    記載の熱転写記録方法。
  8. 【請求項8】 白色PETシートを受容体として用いる
    ことを特徴とする請求項5、6又は7記載の熱転写記録
    方法。
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