JPH1022503A - Mis半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

Mis半導体装置及びその製造方法

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JPH1022503A
JPH1022503A JP8178099A JP17809996A JPH1022503A JP H1022503 A JPH1022503 A JP H1022503A JP 8178099 A JP8178099 A JP 8178099A JP 17809996 A JP17809996 A JP 17809996A JP H1022503 A JPH1022503 A JP H1022503A
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弘明 中岡
Atsushi Hori
敦 堀
Hiroyuki Umimoto
博之 海本
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  • Metal-Oxide And Bipolar Metal-Oxide Semiconductor Integrated Circuits (AREA)
  • Insulated Gate Type Field-Effect Transistor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 駆動力の高いかつ微細化に適した半導体装置
及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 半導体基板1上にゲート酸化膜4とゲー
ト電極5とを形成した後、サイドウォール6を形成す
る。ゲート電極5及びサイドウォール6をマスクとし
て、半導体をアモルファス化する機能を有する砒素イオ
ン(As+ )等の不純物を注入した後、燐イオン(P+
)を注入して、この燐イオンを活性化することによ
り、ソース・ドレイン領域8を形成するとともにゲート
電極5を低抵抗化する。燐イオンの注入前に砒素イオン
等を注入しておくことで、燐イオン注入時におけるチャ
ネリングが防止され、燐イオンの侵入深さが抑制され
る。その結果、短チャネル効果を抑制しながら、砒素イ
オンのみの注入によって形成される従来のMOSトラン
ジスタに比べ、寄生容量及びリークの増大を防止し、ゲ
ート電極の空乏化を抑制することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゲート電極とソー
ス・ドレイン領域とに同時に不純物を導入して構成され
るMIS型トランジスタを搭載したMIS半導体装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータを始めとする電子機
器の高性能化により、半導体集積回路の高集積化、高速
化、低消費電力化が要望されている。これらの半導体集
積回路の大部分は、MOS型トランジスタと呼ばれる半
導体素子で構成されているので、上記の要望を実現する
ためには、MOS型トランジスタの微細化が最も重要で
あり、MOS型トランジスタの微細化を進めながらその
動作の高速化や動作電圧の低下を実現していく必要があ
る。
【0003】以下、図面を参照しながら、従来のMOS
型半導体装置の一例について説明する。
【0004】図7(a)〜(c)は、従来の相補型MO
S(CMOS型)半導体装置(FET)の製造工程を示
す断面図である。
【0005】まず、図7(a)に示すように、p型半導
体基板1に、nチャネル型MOSトランジスタ形成領域
となるp型半導体領域2aと、pチャネル型MOSトラ
ンジスタ形成領域となるn型半導体領域2b(nウエ
ル)と、n型半導体領域2aとp型半導体領域2bとの
間を分離する素子分離領域3とを形成する。そして、n
型半導体領域2aの上とp型半導体領域2bの上とに、
MOS型トランジスタのゲート酸化膜4とゲート電極1
5とをそれぞれ形成する。
【0006】次に、図7(b)に示すように、p型半導
体領域2aとp型半導体領域2bとで個別のフォトレジ
ストマスクを形成して(図示せず)、各MOSトランジ
スタ個別に不純物のイオン注入を行なう。すなわち、n
型半導体領域2bを覆うフォトレジスト膜(図示せず)
をマスクとして、ゲート電極15とp型半導体領域2a
内のゲート電極15の両側方に位置する領域18に砒素
イオン(As+ )を注入する。注入条件は、例えば加速
エネルギーが30〜60KeVで注入量が6〜8×10
15cm-2程度である。また、p型半導体領域2aを覆う
フォトレジスト膜(図示せず)をマスクとして、ゲート
電極15とn型半導体領域2b内のゲート電極15の両
側方に位置する領域19にフッ化ホウ素イオン(BF2
+)を注入する。注入条件は例えば加速エネルギーが1
0〜40KeVで、注入量が3〜8×1015cm-2であ
る。
【0007】次に、図7(c)に示す工程で、1000
℃,10秒間の熱処理を行なって、注入された不純物イ
オンを活性化し、n型半導体領域2a中にn型ソース・
ドレイン領域18aを形成し、n型半導体領域2b中に
p型ソース・ドレイン領域19aを形成するとととも
に、各半導体領域2a,2b内のゲート電極15を低抵
抗化して、低抵抗のn型ゲート電極15aとp型ゲート
電極15bとを形成する。
【0008】すなわち、p型半導体領域2aには、ゲー
ト酸化膜4と、n型のゲート電極15aと、n型のソー
ス・ドレイン領域18aとにより構成されるpチャネル
型MOSトランジスタ20aが形成される。n型半導体
領域2bには、ゲート酸化膜4と、p型のゲート電極1
5bと、p型のソース・ドレイン領域19aとにより構
成されるpチャネル型MOSトランジスタ20bが形成
される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のMOS型半導体装置において、以下のような問題が
あった。
【0010】問題点(1) nチャネル型MOSトランジスタのドレイン領域8に注
入するn型不純物としては砒素イオンと燐イオンとがあ
るが、燐イオンを注入するとソース・ドレイン拡散層が
深くなってショートチャネル効果が大きくなるので、上
述のように砒素イオンを注入している。しかし、砒素イ
オンの注入により不純物濃度のプロファイルが急峻にな
るので、ドレイン電圧を印加すると電界が大きくなり、
インパクトイオン化が起きてトランジスタの特性の劣化
が激しくなる虞れがある。
【0011】問題点(2) また、nチャネル型MOSトランジスタのドレイン領域
8における不純物濃度のプロファイルが急峻なことか
ら、寄生容量、リーク電流が増大する虞れがある。
【0012】問題点(3) CMOS型半導体装置では、nチャネルMOSトランジ
スタのゲート電極5aの空乏層の広がりが過大になるの
と、pチャネル型MOSトランジスタのゲート電極11
のホウ素が半導体基板に突き抜けるのとを同時に抑制で
きないという問題があった。つまり、ホウ素の突き抜け
を防止するために短時間の熱処理を行なうと、nチャネ
ル型トランジスタのゲート電極5a中の砒素イオンの活
性化が不十分で空乏層の広がりが大きくなり、ゲート電
極の抵抗値が大きくなるので駆動力が低下する。一方、
砒素イオンを十分活性化すべく長時間の熱処理を行なう
と、pチャネル型トランジスタの電極中11中のホウ素
イオンがゲート酸化膜を突き抜けてチャネル領域に拡散
しデバイスの特性を劣化させる虞れがある。
【0013】本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので
あり、その目的は、nチャネルトランジスタのソース・
ドレイン領域を形成するための不純物イオンとして燐イ
オンを使用しながら、燐イオンの注入時におけるチャネ
リングを抑制しうる手段を講ずることにより、駆動力の
高い,かつ微細化に的したMIS半導体装置及びその製
造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明が講じた手段は、ゲート電極とソース・ドレイ
ン領域に、燐イオンを注入する前に燐イオンの注入時に
おけるチャネリング防止機能を有する不純物イオンを注
入しておくことにある。
【0015】具体的には、請求項1〜6に記載されるM
IS半導体装置の製造方法に関する手段と、請求項7〜
12に記載されるMIS半導体装置に関する手段とを講
じている。
【0016】請求項1に係るMIS半導体装置の製造方
法は、半導体基板のnチャネル型MISトランジスタ形
成領域の上にゲート絶縁膜を形成する第1の工程と、上
記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する第2の工程
と、上記nチャネル型MISトランジスタ形成領域にお
いて、上記ゲート電極をマスクとして、燐イオンの注入
におけるチャネリング防止機能を有する不純物イオンの
注入を行なった後、さらに上記ゲート電極をマスクとし
て燐イオンの注入を行なう第3の工程と、熱処理により
上記燐イオンを拡散,活性化させて、上記nチャネルM
ISトランジスタ形成領域内の上記ゲート電極の両側方
に位置する領域にn型ソース・ドレイン領域を形成する
とともに、上記ゲート電極を低抵抗化する第4の工程と
を備えている。
【0017】この方法により、従来の砒素イオンのみの
注入によってソース・ドレイン領域を形成する方法に比
べ、以下の作用効果が得られる。まず、nチャネルMO
Sトランジスタのソース・ドレイン領域が砒素イオンよ
りもイオン半径が小さい燐イオンを導入されて形成され
ているためにプロファイルがなだらかになりリーク電
流、寄生容量が低減される。また、ドレイン領域におけ
る電界が緩和されるためにキャリアのインパクトイオン
化に起因するトランジスタの特性劣化が抑制される。さ
らに、不純物イオンの活性のための熱処理条件を強くし
なくても、ゲート電極の空乏化が抑制されるので、トラ
ンジスタの駆動力も高くなる。一方、燐注入前の不純物
イオン注入により燐イオンのチャネリングが防止される
ので、n型ソース・ドレイン拡散層を浅く形成でき、燐
イオンによるソース・ドレイン領域を有していながらシ
ョートチャネル効果を抑制できる。したがって、駆動力
の高い,かつ微細化に適したトランジスタを搭載した半
導体装置を形成することができる。
【0018】請求項2に係るMIS半導体装置の製造方
法は、請求項1において、上記第1及び第2の工程で
は、上記半導体基板のpチャネル型MISトランジスタ
形成領域の上にもゲート絶縁膜とゲート電極とを形成
し、上記第3の工程の後に、上記pチャネル型MISト
ランジスタ形成領域において上記nチャネル型MISト
ランジスタ形成領域を覆うマスク部材を用いて上記ゲー
ト電極及び上記半導体基板の内部にp型不純物イオンを
注入する工程をさらに備え、上記第4の工程では、上記
p型不純物イオンをも拡散,活性化させて、上記pチャ
ネル型MISトランジスタ形成領域の上記ゲート電極の
両側方位置する領域にp型ソース・ドレイン領域を形成
するとともに上記pチャネル型MISトランジスタ形成
領域におけるゲート電極を低抵抗化する方法である。
【0019】この方法により、MIS型半導体装置中の
n型ゲート電極に燐イオンを注入しているので、pチャ
ネル型MOSトランジスタのゲート電極からチャネル側
にp型不純物イオンが突き抜けを起こさない程度の短時
間あるいは低温条件下の熱処理でもnチャネル型MOS
トランジスタのゲート電極の空乏化を抑制することがで
きる。すなわち、駆動力の高いMOSトランジスタを搭
載した半導体装置を形成することができる。
【0020】請求項3に係るMIS半導体装置の製造方
法は、請求項1において、上記第2の工程と第3の工程
との間に、上記ゲート電極をマスクとして上記半導体基
板内に低濃度のn型不純物イオンを注入する工程と、上
記ゲート電極の両側面上にサイドウォールを形成する工
程とをさらに備え、上記第3の工程では、上記ゲート電
極及びサイドウォールをマスクとして、上記各不純物イ
オンの注入を行なう方法である。
【0021】この方法により、特に微細化に適したLD
D構造を有するトランジスタを搭載した半導体装置を形
成することができる。
【0022】請求項1〜3において、以下の好ましい態
様を採ることができる。
【0023】請求項4に係るMIS半導体装置の製造方
法は、請求項1において、上記燐イオンの注入における
チャネリングを防止する機能を有する不純物イオンを、
上記ゲート電極及び半導体基板をアモルファス化させる
ことにより燐イオンのチャネリングを防止する不純物イ
オンとする方法である。
【0024】請求項5に係るMIS半導体装置の製造方
法は、請求項1において、上記燐イオンの注入における
チャネリングを防止する機能を有する不純物イオンを、
砒素イオン,シリコンイオン及びゲルマニウムイオンの
うち少なくともいずれか1つとする方法である。
【0025】請求項6に係るMIS半導体装置の製造方
法は、請求項5において、上記砒素イオン,シリコンイ
オン及びゲルマニウムイオンのうち少なくともいずれか
1つの不純物イオンの注入条件を、加速エネルギーが4
0〜80KeVで注入量が2〜8×1014cm-2とし、
上記燐イオンの注入条件を、加速エネルギーが5〜30
KeVで注入量が2〜8×1015cm-2とする方法であ
る。
【0026】請求項7に係る半導体装置は、半導体基板
の一部に形成されたnチャネル型MISトランジスタと
を少なくとも有するMIS半導体装置において、上記n
チャネル型MISトランジスタが、上記半導体基板上に
形成され、燐イオンの注入時におけるチャネリングを防
止する機能を有する不純物イオンと燐イオンとが導入さ
れたゲート絶縁膜と、上記ゲート絶縁膜の上に形成され
たゲート電極と、上記半導体基板の上記ゲート電極の両
側方に位置する領域に形成され、燐イオンの注入時にお
けるチャネリングを防止する機能を有する不純物イオン
と燐イオンとが導入されたn型ソース・ドレイン領域と
を備えている構成としたものである。
【0027】請求項8に係る半導体装置は、請求項7に
おいて、上記半導体基板の上記nチャネルトランジスタ
とは別の部位に形成されたpチャネル型MISトランジ
スタをさらに有し、上記pチャネル型MISトランジス
タを、上記半導体基板の上に形成されたゲート絶縁膜
と、上記ゲート絶縁膜の上に形成され、p型不純物イオ
ンが導入されたゲート電極と、上記半導体基板の上記ゲ
ート電極の両側方に位置する領域に形成され、p型不純
物イオンが導入されたp型ソース・ドレイン領域とによ
り構成したものである。
【0028】請求項9に係る半導体装置は、請求項7に
おいて、上記ゲート電極の両側面上に形成されたサイド
ウォールと、上記ソース・ドレイン領域のゲート電極側
に隣接した領域に形成され、低濃度のn型不純物が導入
された低濃度ソース・ドレイン領域とをさらに備えてい
る。
【0029】請求項10に係る半導体装置は、請求項
7,8又は9において、上記燐イオンの注入におけるチ
ャネリングを防止する機能を有する不純物イオンを、上
記ゲート電極及び半導体基板をアモルファス化させるこ
とにより燐イオンのチャネリングを防止する不純物イオ
ンとしたものである。
【0030】請求項11に係る半導体装置は、請求項
7,8又は9において、上記燐イオンの注入におけるチ
ャネリングを防止する機能を有する不純物イオンを、砒
素イオン及びシリコンイオンのうち少なくともいずれか
一方としたものである。
【0031】請求項12に係る半導体装置は、請求項1
1において、上記n型ソース・ドレイン領域内の深さ8
0nmの位置における上記砒素イオン及びシリコンイオ
ンのうち少なくともいずれか一方の不純物イオンの濃度
を3×1016〜3×1017/cm-3とし、上記n型ソー
ス・ドレイン領域内の深さ80nmの位置における上記
燐イオンの濃度を3×1017〜3×1018/cm-3とし
たものである。
【0032】請求項7〜12の構成により、それぞれ上
述の請求項1〜6に相当する利点を有するMIS半導体
装置を得ることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)図1(a)〜(d)は、第1の実施
形態におけるnチャネルMOS型半導体装置の製造工程
を示す断面図である。
【0034】まず、図1(a)に示すように、p型の半
導体基板1(本実施形態では、p型半導体領域として機
能する)の上に厚みが4〜10nmのシリコン酸化膜か
らなるゲート酸化膜4と、厚みが100〜300nmの
ポリシリコン膜からなるゲート電極5とを形成する。
【0035】次に、図1(b)に示すように、CVD法
によりゲート電極5及びp型半導体基板1の上に厚みが
100〜200nmのシリコン酸化膜7を堆積する。
【0036】次に、図1(c)に示すように、異方性ド
ライエッチングを行なって、シリコン酸化膜をエッチバ
ックし、ゲート電極5の両側面上にサイドウォール6を
形成する。
【0037】次に、図1(d)に示すように、ゲート電
極10及びサイドウォール6をマスクとして、ゲート電
極5内と、半導体基板1内のゲート電極5の両側方に位
置する領域8とに砒素イオン(As+ )の注入を行な
う。この時の注入条件は、例えば加速エネルギーが40
〜80KeVで、注入量が2〜8×1014cm-2であ
る。
【0038】続いて、図1(e)に示すように、ゲート
電極10及びサイドウォール6をマスクとして、ゲート
電極5内と、半導体基板1内のゲート電極5の両側方に
位置する領域8とにさらに燐イオン(P+ )の注入を行
なう。この時の注入条件は、例えば加速エネルギーが5
〜30KeVで、注入量が2〜8×1015cm-2であ
る。このとき、ソース・ドレイン領域8aとなるべき不
純物導入層が形成されるが、この状態ではまだキャリア
の移動作用を生ぜしめるソース・ドレインとして機能す
るわけではない。さらに、図1(e)に示す状態で、温
度が1000〜1050℃で時間が1〜15秒間の条
件、あるいは温度が850℃で時間が10〜30分間の
条件による熱処理を行ない、注入された不純物イオンつ
まり砒素イオン(As+ )と燐イオン(P+ )とを活性
化する。その結果、低抵抗化されたn型のゲート電極5
aと、キャリアの移動作用を生ぜしめる機能を有するn
型のソース・ドレイン領域8aとが形成される。このと
き、全体としてのソース・ドレイン領域8aの深さは例
えば0.1〜0.15μmである。ただし、砒素イオン
(As+ )の濃度は極めて薄いので、ソース・ドレイン
領域8aにおけるキャリアの移動作用に起用する役割は
極めて僅かでほとんど無視しうる。つまり、ソース・ド
レイン領域8aの機能に関し、不純物濃度分布について
は、燐イオン(P+ )の濃度のみを考慮してさしつかえ
ない。
【0039】以下の工程は省略するが、層間絶縁膜を介
して何層かの金属配線を形成することで、半導体装置が
形成される。
【0040】このような一連の工程を経て形成されたM
OSトランジスタは、従来のMOSトランジスタと比較
して、以下の利点を有する。以下、その点について、デ
ータを参照しながら説明する。
【0041】図2は、燐イオンのみの注入によって形成
されたソース・ドレイン領域と、本実施形態の砒素イオ
ン及び燐イオンの注入によって形成されたソース・ドレ
イン領域8aとにおける燐イオンのみの濃度の分布を示
すSIMSデータである。同図に示すように、燐イオン
のみを注入して形成されたソース・ドレイン領域(変化
曲線A1参照)の深さに比べ、本実施形態のソース・ド
レイン領域(変化曲線A2参照)の深さはかなり浅いこ
とが分かる。そして、本実施形態に係る上記n型ソース
・ドレイン領域内の深さ80nmの位置における上記燐
イオンの濃度は3×1017〜3×1018/cm-3であ
る。また、n型ソース・ドレイン領域8a内の深さ80
nmの位置における上記砒素イオンの濃度は3×1016
〜3×1017/cm-3である。
【0042】図3は、一般的な燐イオンのみの注入によ
って形成されるソース・ドレイン領域の接合容量(曲線
B1)と、砒素イオンのみの注入によって形成されるソ
ース・ドレイン領域の接合容量(曲線B2)とを比較し
た特性図である。図3を参照すると分かるように、燐イ
オンの注入によって得られたソース・ドレイン領域の接
合容量は小さく、不純物濃度分布がなだらかである。
【0043】図4は、砒素イオンのみの注入によって形
成された従来のソース・ドレイン領域を有するMOSト
ランジスタの飽和電流(曲線C1)と、砒素イオン及び
燐イオンの注入によって形成された本実施形態のソース
・ドレイン領域を有するMOSトランジスタの飽和電流
(曲線C2)とを比較する特性図である。図4を参照す
るとわかるように、本実施形態のMOSトランジスタで
は、飽和電流値が向上している。
【0044】図5は、砒素イオンのみの注入によって形
成された従来のゲート電極の空乏化率(曲線D1)と、
砒素イオン及び燐イオンの注入によって形成された本実
施形態のゲート電極の空乏化率(曲線D2)とを比較す
る特性図である。ただし、Cinv /Coxが高い方が空乏
化率が低いことを示す。図5を参照するとわかるよう
に、本実施形態のMOSトランジスタにおけるゲート電
極の方が、空乏化率が低い。
【0045】以上の一連のデータから、以下のことがわ
かる。
【0046】第1に、ソース・ドレイン領域8aにおい
て、燐イオンの導入によってソース・ドレイン領域8a
を形成しながら、燐イオンの注入前にソース・ドレイン
領域となる領域に砒素イオンを注入しておくことで、ソ
ース・ドレイン領域が砒素のみを導入して形成されてい
る場合に比べ、ソース・ドレイン領域8aの不純物濃度
プロファイルが緩やかとなる(図3参照)。したがっ
て、キャリアのインパクトイオン化作用によるトランジ
スタの特性の劣化や、寄生容量及びリーク電流の増大を
抑制することができる。すなわち、上述の問題点
(1),(2)を解消することができる。
【0047】第2に,図1(d)に示す工程で、砒素イ
オン(As+ )のイオン注入が行なわれると、半導体基
板1内のシリコン単結晶が部分的にアモルファス化され
る。そして、主としてこのアモルファス化された部分に
より、次に図1(e)に示す工程で、燐イオン(P+ )
の注入の際におけるチャネリングが抑制される。したが
って、燐イオンのみの注入によってソース・ドレイン領
域を形成した場合に比べると、ソース・ドレイン領域8
aの拡散層深さを抑制することができる(図2参照)。
したがって、ショートチャネル効果を抑制することがで
きる。
【0048】第3に、砒素イオン及び燐イオンの注入に
よって形成されたn型のゲート電極5aを有するため、
高温,長時間の熱処理を行なわなくても燐イオンが十分
活性化される。したがって、砒素イオンの不活性化に起
因するゲート電極5aの空乏化を抑制することができ
(図5参照)、nチャネルMOS型トランジスタの駆動
力が高くなる(図4参照)。すなわち、上述の問題点
(3)を解消することができる。
【0049】なお、本実施形態では、燐イオンを注入す
る前に半導体基板1中に半導体基板を構成する単結晶
(本実施形態ではシリコン単結晶)をアモルファス化す
る機能を有する不純物イオンとして砒素イオンを注入し
たが、同様の機能を有する材料(例えばシリコンイオ
ン,ゲルマニウムイオンなど)であれば、その物質のイ
オンを注入してから燐イオンを注入しても、本実施形態
と同様の効果を発揮することができる。
【0050】また、上記第1の実施形態において、上記
サイドウォール6は必ずしも形成する必要はない。ただ
し、サイドウォールを形成することで、上記図1(a)
に示す工程で、低濃度のn型不純物イオン(例えば燐イ
オン)を注入しておくことにより、ソース・ドレイン領
域8aとチャネル領域との間に低濃度ソース・ドレイン
領域をも有するいわゆるLDD領域を形成することがで
き、微細化に適したMOSトランジスタを形成すること
ができるという著効を発揮することができる。
【0051】(第2の実施形態)次に、図6(a)〜
(d)を参照しながら第2の実施形態について説明す
る。図6(a)〜(d)は本発明の第2の実施形態にお
けるCMOS型半導体装置の製造工程を示す断面図であ
る。
【0052】図6(a)に示す状態では、p型の半導体
基板1上にはnチャネル型MOSトランジスタ形成領域
であるp型半導体領域2a(本実施形態では、p型半導
体基板1と同じ不純物濃度の領域)と、pチャネル型M
OSトランジスタ形成領域であるn型半導体領域2b
と、p型半導体領域2aとn型半導体領域2bを分離す
る素子分離領域3とが形成されている。この状態から、
上記p型半導体領域2a及びn型半導体領域2bの上に
厚みが4〜10nmのシリコン酸化膜からなるゲート酸
化膜4と、厚みが100〜300nmのポリシリコン膜
からなるゲート電極5とを形成する。
【0053】次に、図6(b)に示すように、CVD法
によりゲート電極5及びp型半導体基板1の上に厚みが
100〜200nmのシリコン酸化膜を堆積した後、異
方性ドライエッチングを行なって、シリコン酸化膜をエ
ッチバックし、ゲート電極5の両側面上にサイドウォー
ル6を形成する。
【0054】次に、図6(c)に示すように、p型半導
体領域2aにおいては、n型半導体領域2bを覆うフォ
トレジスト膜(図示せず),ゲート電極5及びサイドウ
ォール6をマスクとして、上記図1(d)に示す工程と
同様の砒素イオンの注入を行ない、その後、上記図1
(e)に示す工程と同様の燐イオンの注入を行なって、
ゲート電極5内とp型半導体領域2内のゲート電極5の
両側方に位置する領域8とに砒素イオン及び燐イオンを
導入する。この時の注入条件は、上記第1の実施形態に
述べた通りでよい。
【0055】また、n型半導体領域2bにおいては、p
型半導体領域2aを覆うフォトレジスト膜(図示せ
ず),ゲート電極5及びサイドウォール6をマスクとし
てフッ化ホウ素イオン(BF2+)の注入を行ない、ゲー
ト電極5内とn型半導体領域2b内のゲート電極5の両
側方に位置する領域9内とにフッ化ホウ素イオンを導入
する。このとき、フッ化ホウ素イオンの注入条件は、加
速エネルギーが10〜60KeVで、注入量が2〜8×
1015cm-2である。
【0056】さらに、図6(d)に示す状態で、温度が
1000〜1050℃で時間が1〜15秒間の条件、あ
るいは温度が850℃で時間が10〜30分間の条件に
よる熱処理を行ない、不純物イオンを活性化する。その
結果、p型半導体領域2aには、低抵抗化されたn型ゲ
ート電極5aと、n型のソース・ドレイン領域8aとが
形成され、n型半導体領域2bには、低抵抗化されたp
型ゲート電極5bと、p型のソース・ドレイン領域9a
とが形成される。なお、いずれの半導体領域2a,2b
においても、ソース・ドレイン領域8a,9aの深さは
0.1〜0.15μmである。
【0057】すなわち、p型半導体領域2aには、ゲー
ト酸化膜4と、n型のゲート電極5aと、n型のソース
・ドレイン領域8aとにより構成されるpチャネル型M
OSトランジスタ10aが形成される。n型半導体領域
2bには、ゲート酸化膜4と、p型のゲート電極5b
と、p型のソース・ドレイン領域9aとにより構成され
るpチャネル型MOSトランジスタ10bが形成され
る。
【0058】以下の工程は省略するが、層間絶縁膜を介
して何層かの金属配線を形成することで、半導体装置が
形成される。
【0059】本実施形態は、基本的には第1の実施形態
の製造工程をCMOS型半導体装置に応用したものであ
り、nチャネル型トランジスタ10aは、上記第1の実
施形態に述べたとおりの特徴を有する。
【0060】加えて、本実施形態により形成されるCM
OS型半導体装置は、上記従来の砒素イオンの注入を用
いたnチャネル型MOSトランジスタとフッ化ホウ素イ
オンの注入を用いたpチャネル型MOSトランジスタを
組み合わせたものに比べ、下記の利点を有する。
【0061】nチャネル型MOSトランジスタ10aの
n型ゲート電極5aに燐イオンを注入しているので、図
6(d)に示す状態で熱処理を行なう際、pチャネル型
MOSトランジスタ10bのp型ゲート電極5bからチ
ャネル領域へのホウ素の突き抜けを起こさない程度の短
時間あるいは低温条件下の熱処理を行なっても、nチャ
ネル型MOSトランジスタ10aのゲート電極5a中の
燐イオンは十分活性化される。したがって、nチャネル
型MOSトランジスタ10aにおいて、n型のゲート電
極5aの空乏化を抑制することができるので、十分高い
駆動力が得られる。
【0062】なお、本実施形態では、p型半導体領域2
aにおいて、燐イオンを注入する前に半導体基板1中に
半導体基板を構成する半導体の単結晶(本実施形態では
シリコン単結晶)をアモルファス化する機能を有する不
純物イオンとして砒素イオンを注入したが、同様の機能
を有する材料(例えばシリコンイオン,ゲルマニウムイ
オンなど)であれば、その物質のイオンを注入してから
燐イオンを注入しても、本実施形態と同様の効果を発揮
することができる。
【0063】また、上記第1,第2実施形態において、
上記サイドウォール6は必ずしも形成する必要はない。
ただし、サイドウォールを形成することで、ソース・ド
レイン領域8とチャネル領域との間に低濃度ソース・ド
レイン領域をも有するいわゆるLDD領域を形成するこ
とができ、微細化に適したMOSトランジスタを形成す
ることができるという著効を発揮することができる。
【0064】なお、上記第1,第2の実施形態において
は、ゲート絶縁膜をシリコン酸化膜で構成したが、シリ
コン窒化膜の代りにシリコン窒化膜でゲート絶縁膜を構
成しても、上記各実施形態と同様の効果を発揮し得るこ
とはいうまでもない。
【0065】
【発明の効果】請求項1〜6によれば、MIS半導体装
置の製造方法として、nチャネル型MOSトランジスタ
形成領域において、少なくともゲート電極をマスクとし
て、燐イオンの注入時におけるチャネリングを防止する
機能を有する不純物イオンを注入してから燐イオンを注
入し、熱処理により燐イオンを活性化させてソース・ド
レイン領域を形成するとともに、ゲート電極を低抵抗化
するようにしたので、短チャネル効果を抑制しながら、
寄生容量の増大,リーク電流の増大,ゲート電極の空乏
化等を抑制することができ、よって、駆動力の高いかつ
微細かに適した半導体装置の形成を図ることができる。
【0066】請求項7〜12によれば、MIS半導体装
置の構造として、砒素イオン及び燐イオンの注入により
形成されたゲート電極及びソース・ドレイン領域を有す
るnチャネル型MOSトランジスタを備える構成とした
ので、請求項1〜6の効果を発揮するMISトランジス
タを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態におけるnチャネル型MOSト
ランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図2】第1の実施形態のソース・ドレイン領域と燐イ
オンのみを導入して形成されるソース・ドレイン領域と
の燐イオンの濃度分布図である。
【図3】燐イオンを導入して形成されるソース・ドレイ
ン領域と砒素イオンを導入して形成されるソース・ドレ
イン領域との接合容量を比較した特性図である。
【図4】第1の実施形態のMOSトランジスタの飽和電
流値と砒素イオンの導入によるゲート電極を有する従来
のMOSトランジスタの飽和電流値とを比較した特性図
である。
【図5】第1の実施形態のMOSトランジスタの空乏化
率と砒素イオンの導入によるゲート電極を有する従来の
MOSトランジスタの空乏化率とを比較した特性図であ
る。
【図6】第2の実施形態のCMOSトランジスタの製造
工程を示す断面図である。
【図7】従来のCMOSトランジスタの製造工程を示す
断面図である。
【符号の説明】
1 半導体基板 2a p型半導体領域 2b n型半導体領域 3 素子分離領域 4 ゲート酸化膜 5 ゲート電極 6 サイドウォール 7 シリコン酸化膜 8a n型ソース・ドレイン領域 9a p型ソース・ドレイン領域 10a nチャネル型MOSDトランジスタ 10b pチャネル型MOSトランジスタ
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年7月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 MIS半導体装置及びその製造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゲート電極とソー
ス・ドレイン領域とに同時に不純物を導入して構成され
るMIS型トランジスタを搭載したMIS半導体装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータを始めとする電子機
器の高性能化により、半導体集積回路の高集積化、高速
化、低消費電力化が要望されている。これらの半導体集
積回路の大部分は、MOS型トランジスタと呼ばれる半
導体素子で構成されているので、上記の要望を実現する
ためには、MOS型トランジスタの微細化が最も重要で
あり、MOS型トランジスタの微細化を進めながらその
動作の高速化や動作電圧の低下を実現していく必要があ
る。
【0003】以下、図面を参照しながら、従来のMOS
型半導体装置の一例について説明する。
【0004】図7(a)〜(c)は、従来の相補型MO
S(CMOS型)半導体装置(FET)の製造工程を示
す断面図である。
【0005】まず、図7(a)に示すように、p型半導
体基板1に、nチャネル型MOSトランジスタ形成領域
となるp型半導体領域2aと、pチャネル型MOSトラ
ンジスタ形成領域となるn型半導体領域2b(nウエ
ル)と、型半導体領域2aと型半導体領域2bとの
間を分離する素子分離領域3とを形成する。そして、
型半導体領域2aの上と型半導体領域2bの上とに、
MOS型トランジスタのゲート酸化膜4とゲート電極1
5とをそれぞれ形成する。
【0006】次に、図7(b)に示すように、p型半導
体領域2aと型半導体領域2bとで個別のフォトレジ
ストマスクを形成して(図示せず)、各MOSトランジ
スタ個別に不純物のイオン注入を行なう。すなわち、n
型半導体領域2bを覆うフォトレジスト膜(図示せず)
をマスクとして、ゲート電極15とp型半導体領域2a
内のゲート電極15の両側方に位置する領域18に砒素
イオン(As+ )を注入する。注入条件は、例えば加速
エネルギーが30〜60KeVで注入量が6〜8×10
15cm-2程度である。また、p型半導体領域2aを覆う
フォトレジスト膜(図示せず)をマスクとして、ゲート
電極15とn型半導体領域2b内のゲート電極15の両
側方に位置する領域19にフッ化ホウ素イオン(BF2
+)を注入する。注入条件は例えば加速エネルギーが1
0〜40KeVで、注入量が3〜8×1015cm-2であ
る。
【0007】次に、図7(c)に示す工程で、1000
℃,10秒間の熱処理を行なって、注入された不純物イ
オンを活性化し、型半導体領域2a中にn型ソース・
ドレイン領域18aを形成し、n型半導体領域2b中に
p型ソース・ドレイン領域19aを形成するとととも
に、各半導体領域2a,2b内のゲート電極15を低抵
抗化して、低抵抗のn型ゲート電極15aとp型ゲート
電極15bとを形成する。
【0008】すなわち、p型半導体領域2aには、ゲー
ト酸化膜4と、n型のゲート電極15aと、n型のソー
ス・ドレイン領域18aとにより構成されるチャネル
型MOSトランジスタ20aが形成される。n型半導体
領域2bには、ゲート酸化膜4と、p型のゲート電極1
5bと、p型のソース・ドレイン領域19aとにより構
成されるpチャネル型MOSトランジスタ20bが形成
される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のMOS型半導体装置において、以下のような問題が
あった。
【0010】問題点(1) nチャネル型MOSトランジスタのドレイン領域18a
に注入するn型不純物としては砒素イオンと燐イオンと
があるが、燐イオンを注入するとソース・ドレイン拡散
層が深くなってショートチャネル効果が大きくなるの
で、上述のように砒素イオンを注入している。しかし、
砒素イオンの注入により不純物濃度のプロファイルが急
峻になるので、ドレイン電圧を印加すると電界が大きく
なり、インパクトイオン化が起きてトランジスタの特性
の劣化が激しくなる虞れがある。
【0011】問題点(2) また、nチャネル型MOSトランジスタのドレイン領域
18aにおける不純物濃度のプロファイルが急峻なこと
から、寄生容量、リーク電流が増大する虞れがある。
【0012】問題点(3) CMOS型半導体装置では、nチャネルMOSトランジ
スタのゲート電極15aの空乏層の広がりが過大になる
のと、pチャネル型MOSトランジスタのゲート電極
5bのホウ素が半導体基板に突き抜けるのとを同時に抑
制できないという問題があった。つまり、ホウ素の突き
抜けを防止するために短時間の熱処理を行なうと、nチ
ャネル型トランジスタのゲート電極15a中の砒素イオ
ンの活性化が不十分で空乏層の広がりが大きくなり、ゲ
ート電極の抵抗値が大きくなるので駆動力が低下する。
一方、砒素イオンを十分活性化すべく長時間の熱処理を
行なうと、pチャネル型トランジスタの電極中15b
のホウ素イオンがゲート酸化膜を突き抜けてチャネル領
域に拡散しデバイスの特性を劣化させる虞れがある。
【0013】本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので
あり、その目的は、nチャネルトランジスタのソース・
ドレイン領域を形成するための不純物イオンとして燐イ
オンを使用しながら、燐イオンの注入時におけるチャネ
リングを抑制しうる手段を講ずることにより、駆動力の
高い,かつ微細化に適したMIS半導体装置及びその製
造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明が講じた手段は、ゲート電極とソース・ドレイ
ン領域に、燐イオンを注入する前に燐イオンの注入時に
おけるチャネリング防止機能を有する不純物イオンを注
入しておくことにある。
【0015】具体的には、請求項1〜6に記載されるM
IS半導体装置の製造方法に関する手段と、請求項7〜
12に記載されるMIS半導体装置に関する手段とを講
じている。
【0016】請求項1に係るMIS半導体装置の製造方
法は、半導体基板のnチャネル型MISトランジスタ形
成領域の上にゲート絶縁膜を形成する第1の工程と、上
記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する第2の工程
と、上記nチャネル型MISトランジスタ形成領域にお
いて、上記ゲート電極をマスクとして、燐イオンの注入
におけるチャネリング防止機能を有する不純物イオンの
注入を行なった後、さらに上記ゲート電極をマスクとし
て燐イオンの注入を行なう第3の工程と、熱処理により
上記燐イオンを拡散,活性化させて、上記nチャネルM
ISトランジスタ形成領域内の上記ゲート電極の両側方
に位置する領域にn型ソース・ドレイン領域を形成する
とともに、上記ゲート電極を低抵抗化する第4の工程と
を備えている。
【0017】この方法により、従来の砒素イオンのみの
注入によってソース・ドレイン領域を形成する方法に比
べ、以下の作用効果が得られる。まず、nチャネルMO
Sトランジスタのソース・ドレイン領域が砒素イオンよ
りもイオン半径が小さい燐イオンを導入されて形成され
ているためにプロファイルがなだらかになりリーク電
流、寄生容量が低減される。また、ドレイン領域におけ
る電界が緩和されるためにキャリアのインパクトイオン
化に起因するトランジスタの特性劣化が抑制される。さ
らに、不純物イオンの活性のための熱処理条件を強くし
なくても、ゲート電極の空乏化が抑制されるので、トラ
ンジスタの駆動力も高くなる。一方、燐注入前の不純物
イオン注入により燐イオンのチャネリングが防止される
ので、n型ソース・ドレイン拡散層を浅く形成でき、燐
イオンによるソース・ドレイン領域を有していながらシ
ョートチャネル効果を抑制できる。したがって、駆動力
の高い,かつ微細化に適したトランジスタを搭載した半
導体装置を形成することができる。
【0018】請求項2に係るMIS半導体装置の製造方
法は、請求項1において、上記第1及び第2の工程で
は、上記半導体基板のpチャネル型MISトランジスタ
形成領域の上にもゲート絶縁膜とゲート電極とを形成
し、上記第3の工程の後に、上記pチャネル型MISト
ランジスタ形成領域において上記nチャネル型MISト
ランジスタ形成領域を覆うマスク部材を用いて上記ゲー
ト電極及び上記半導体基板の内部にp型不純物イオンを
注入する工程をさらに備え、上記第4の工程では、上記
p型不純物イオンをも拡散,活性化させて、上記pチャ
ネル型MISトランジスタ形成領域の上記ゲート電極の
両側方位置する領域にp型ソース・ドレイン領域を形成
するとともに上記pチャネル型MISトランジスタ形成
領域におけるゲート電極を低抵抗化する方法である。
【0019】この方法により、MIS型半導体装置中の
n型ゲート電極に燐イオンを注入しているので、pチャ
ネル型MOSトランジスタのゲート電極からチャネル側
にp型不純物イオンが突き抜けを起こさない程度の短時
間あるいは低温条件下の熱処理でもnチャネル型MOS
トランジスタのゲート電極の空乏化を抑制することがで
きる。すなわち、駆動力の高いMOSトランジスタを搭
載した半導体装置を形成することができる。
【0020】請求項3に係るMIS半導体装置の製造方
法は、請求項1において、上記第2の工程と第3の工程
との間に、上記ゲート電極をマスクとして上記半導体基
板内に低濃度のn型不純物イオンを注入する工程と、上
記ゲート電極の両側面上にサイドウォールを形成する工
程とをさらに備え、上記第3の工程では、上記ゲート電
極及びサイドウォールをマスクとして、上記各不純物イ
オンの注入を行なう方法である。
【0021】この方法により、特に微細化に適したLD
D構造を有するトランジスタを搭載した半導体装置を形
成することができる。
【0022】請求項1〜3において、以下の好ましい態
様を採ることができる。
【0023】請求項4に係るMIS半導体装置の製造方
法は、請求項1において、上記燐イオンの注入における
チャネリングを防止する機能を有する不純物イオンを、
上記ゲート電極及び半導体基板をアモルファス化させる
ことにより燐イオンのチャネリングを防止する不純物イ
オンとする方法である。
【0024】請求項5に係るMIS半導体装置の製造方
法は、請求項1において、上記燐イオンの注入における
チャネリングを防止する機能を有する不純物イオンを、
砒素イオン,シリコンイオン及びゲルマニウムイオンの
うち少なくともいずれか1つとする方法である。
【0025】請求項6に係るMIS半導体装置の製造方
法は、請求項5において、上記砒素イオン,シリコンイ
オン及びゲルマニウムイオンのうち少なくともいずれか
1つの不純物イオンの注入条件を、加速エネルギーが4
0〜80KeVで注入量が2〜8×1014cm-2とし、
上記燐イオンの注入条件を、加速エネルギーが5〜30
KeVで注入量が2〜8×1015cm-2とする方法であ
る。
【0026】請求項7に係る半導体装置は、半導体基板
の一部に形成されたnチャネル型MISトランジスタと
を少なくとも有するMIS半導体装置において、上記n
チャネル型MISトランジスタが、上記半導体基板上に
形成されたゲート絶縁膜と、上記ゲート絶縁膜の上に形
成され、燐イオンの注入時におけるチャネリングを防止
する機能を有する不純物イオンと燐イオンとが導入され
ゲート電極と、上記半導体基板の上記ゲート電極の両
側方に位置する領域に形成され、燐イオンの注入時にお
けるチャネリングを防止する機能を有する不純物イオン
と燐イオンとが導入されたn型ソース・ドレイン領域と
を備えている構成としたものである。
【0027】請求項8に係る半導体装置は、請求項7に
おいて、上記半導体基板の上記nチャネルトランジスタ
とは別の部位に形成されたpチャネル型MISトランジ
スタをさらに有し、上記pチャネル型MISトランジス
タを、上記半導体基板の上に形成されたゲート絶縁膜
と、上記ゲート絶縁膜の上に形成され、p型不純物イオ
ンが導入されたゲート電極と、上記半導体基板の上記ゲ
ート電極の両側方に位置する領域に形成され、p型不純
物イオンが導入されたp型ソース・ドレイン領域とによ
り構成したものである。
【0028】請求項9に係る半導体装置は、請求項7に
おいて、上記ゲート電極の両側面上に形成されたサイド
ウォールと、上記ソース・ドレイン領域のゲート電極側
に隣接した領域に形成され、低濃度のn型不純物が導入
された低濃度ソース・ドレイン領域とをさらに備えてい
る。
【0029】請求項10に係る半導体装置は、請求項
7,8又は9において、上記燐イオンの注入におけるチ
ャネリングを防止する機能を有する不純物イオンを、上
記ゲート電極及び半導体基板をアモルファス化させるこ
とにより燐イオンのチャネリングを防止する不純物イオ
ンとしたものである。
【0030】請求項11に係る半導体装置は、請求項
7,8又は9において、上記燐イオンの注入におけるチ
ャネリングを防止する機能を有する不純物イオンを、砒
素イオン及びシリコンイオンのうち少なくともいずれか
一方としたものである。
【0031】請求項12に係る半導体装置は、請求項1
1において、上記n型ソース・ドレイン領域内の深さ8
0nmの位置における上記砒素イオン及びシリコンイオ
ンのうち少なくともいずれか一方の不純物イオンの濃度
を3×1016〜3×1017/cm-3とし、上記n型ソー
ス・ドレイン領域内の深さ80nmの位置における上記
燐イオンの濃度を3×1017〜3×1018/cm-3とし
たものである。
【0032】請求項7〜12の構成により、それぞれ上
述の請求項1〜6に相当する利点を有するMIS半導体
装置を得ることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】 (第1の実施形態)図1(a)〜(d)は、第1の実施
形態におけるnチャネルMOS型半導体装置の製造工程
を示す断面図である。
【0034】まず、図1(a)に示すように、p型の半
導体基板1(本実施形態では、p型半導体領域として機
能する)の上に厚みが4〜10nmのシリコン酸化膜か
らなるゲート酸化膜4と、厚みが100〜300nmの
ポリシリコン膜からなるゲート電極5とを形成する。
【0035】次に、図1(b)に示すように、CVD法
によりゲート電極5及びp型半導体基板1の上に厚みが
100〜200nmのシリコン酸化膜7を堆積する。
【0036】次に、図1(c)に示すように、異方性ド
ライエッチングを行なって、シリコン酸化膜をエッチバ
ックし、ゲート電極5の両側面上にサイドウォール6を
形成する。
【0037】次に、図1(d)に示すように、ゲート電
極10及びサイドウォール6をマスクとして、ゲート電
極5内と、半導体基板1内のゲート電極5の両側方に位
置する領域8とに砒素イオン(As+ )の注入を行な
う。この時の注入条件は、例えば加速エネルギーが40
〜80KeVで、注入量が2〜8×1014cm-2であ
る。
【0038】続いて、図1(e)に示すように、ゲート
電極及びサイドウォール6をマスクとして、ゲート電
極5内と、半導体基板1内のゲート電極5の両側方に位
置する領域8とにさらに燐イオン(P+ )の注入を行な
う。この時の注入条件は、例えば加速エネルギーが5〜
30KeVで、注入量が2〜8×1015cm-2である。
このとき、ソース・ドレイン領域となるべき不純物導入
層が形成されるが、この状態ではまだキャリアの移動作
用を生ぜしめるソース・ドレインとして機能するわけで
はない。さらに、図1(e)に示す状態で、温度が10
00〜1050℃で時間が1〜15秒間の条件、あるい
は温度が850℃で時間が10〜30分間の条件による
熱処理を行ない、注入された不純物イオンつまり砒素イ
オン(As+ )と燐イオン(P+ )とを活性化する。そ
の結果、低抵抗化されたn型のゲート電極5aと、キャ
リアの移動作用を生ぜしめる機能を有するn型のソース
・ドレイン領域8aとが形成される。このとき、全体と
してのソース・ドレイン領域8aの深さは例えば0.1
〜0.15μmである。ただし、砒素イオン(As+ )
の濃度は極めて薄いので、ソース・ドレイン領域8aに
おけるキャリアの移動作用に起用する役割は極めて僅か
でほとんど無視しうる。つまり、ソース・ドレイン領域
8aの機能に関し、不純物濃度分布については、燐イオ
ン(P+ )の濃度のみを考慮してさしつかえない。
【0039】以下の工程は省略するが、層間絶縁膜を介
して何層かの金属配線を形成することで、半導体装置が
形成される。
【0040】このような一連の工程を経て形成されたM
OSトランジスタは、従来のMOSトランジスタと比較
して、以下の利点を有する。以下、その点について、デ
ータを参照しながら説明する。
【0041】図2は、燐イオンのみの注入によって形成
されたソース・ドレイン領域と、本実施形態の砒素イオ
ン及び燐イオンの注入によって形成されたソース・ドレ
イン領域8aとにおける燐イオンのみの濃度の分布を示
すSIMSデータである。同図に示すように、燐イオン
のみを注入して形成されたソース・ドレイン領域(変化
曲線A1参照)の深さに比べ、本実施形態のソース・ド
レイン領域(変化曲線A2参照)の深さはかなり浅いこ
とが分かる。そして、本実施形態に係る上記n型ソース
・ドレイン領域内の深さ80nmの位置における上記燐
イオンの濃度は3×1017〜3×1018/cm-3であ
る。また、n型ソース・ドレイン領域8a内の深さ80
nmの位置における上記砒素イオンの濃度は3×1016
〜3×1017/cm-3である。
【0042】図3は、一般的な燐イオンのみの注入によ
って形成されるソース・ドレイン領域の接合容量(曲線
B1)と、砒素イオンのみの注入によって形成されるソ
ース・ドレイン領域の接合容量(曲線B2)とを比較し
た特性図である。図3を参照すると分かるように、燐イ
オンの注入によって得られたソース・ドレイン領域の接
合容量は小さく、不純物濃度分布がなだらかである。
【0043】図4は、砒素イオンのみの注入によって形
成された従来のソース・ドレイン領域を有するMOSト
ランジスタの飽和電流(曲線C1)と、砒素イオン及び
燐イオンの注入によって形成された本実施形態のソース
・ドレイン領域を有するMOSトランジスタの飽和電流
(曲線C2)とを比較する特性図である。図4を参照す
るとわかるように、本実施形態のMOSトランジスタで
は、飽和電流値が向上している。
【0044】図5は、砒素イオンのみの注入によって形
成された従来のゲート電極の空乏化率(曲線D1)と、
砒素イオン及び燐イオンの注入によって形成された本実
施形態のゲート電極の空乏化率(曲線D2)とを比較す
る特性図である。ただし、Cinv /Coxが高い方が空乏
化率が低いことを示す。図5を参照するとわかるよう
に、本実施形態のMOSトランジスタにおけるゲート電
極の方が、空乏化率が低い。
【0045】以上の一連のデータから、以下のことがわ
かる。
【0046】第1に、ソース・ドレイン領域8aにおい
て、燐イオンの導入によってソース・ドレイン領域8a
を形成しながら、燐イオンの注入前にソース・ドレイン
領域となる領域に砒素イオンを注入しておくことで、ソ
ース・ドレイン領域が砒素のみを導入して形成されてい
る場合に比べ、ソース・ドレイン領域8aの不純物濃度
プロファイルが緩やかとなる(図3参照)。したがっ
て、キャリアのインパクトイオン化作用によるトランジ
スタの特性の劣化や、寄生容量及びリーク電流の増大を
抑制することができる。すなわち、上述の問題点
(1),(2)を解消することができる。
【0047】第2に,図1(d)に示す工程で、砒素イ
オン(As+ )のイオン注入が行なわれると、半導体基
板1内のシリコン単結晶が部分的にアモルファス化され
る。そして、主としてこのアモルファス化された部分に
より、次図1(e)に示す工程で、燐イオン(P+ )
の注入の際におけるチャネリングが抑制される。したが
って、燐イオンのみの注入によってソース・ドレイン領
域を形成した場合に比べると、ソース・ドレイン領域8
aの拡散層深さを抑制することができる(図2参照)。
したがって、ショートチャネル効果を抑制することがで
きる。
【0048】第3に、砒素イオン及び燐イオンの注入に
よって形成されたn型のゲート電極5aを有するため、
高温,長時間の熱処理を行なわなくても燐イオンが十分
活性化される。したがって、砒素イオンの不活性化に起
因するゲート電極5aの空乏化を抑制することができ
(図5参照)、nチャネルMOS型トランジスタの駆動
力が高くなる(図4参照)。すなわち、上述の問題点
(3)を解消することができる。
【0049】なお、本実施形態では、燐イオンを注入す
る前に半導体基板1中に半導体基板を構成する単結晶
(本実施形態ではシリコン単結晶)をアモルファス化す
る機能を有する不純物イオンとして砒素イオンを注入し
たが、同様の機能を有する材料(例えばシリコンイオ
ン,ゲルマニウムイオンなど)であれば、その物質のイ
オンを注入してから燐イオンを注入しても、本実施形態
と同様の効果を発揮することができる。
【0050】また、上記第1の実施形態において、上記
サイドウォール6は必ずしも形成する必要はない。ただ
し、サイドウォールを形成することで、上記図1(a)
に示す工程で、低濃度のn型不純物イオン(例えば燐イ
オン)を注入しておくことにより、ソース・ドレイン領
域8aとチャネル領域との間に低濃度ソース・ドレイン
領域をも有するいわゆるLDD領域を形成することがで
き、微細化に適したMOSトランジスタを形成すること
ができるという著効を発揮することができる。
【0051】(第2の実施形態)次に、図6(a)〜
(d)を参照しながら第2の実施形態について説明す
る。図6(a)〜(d)は本発明の第2の実施形態にお
けるCMOS型半導体装置の製造工程を示す断面図であ
る。
【0052】図6(a)に示す状態では、p型の半導体
基板1上にはnチャネル型MOSトランジスタ形成領域
であるp型半導体領域2a(本実施形態では、p型半導
体基板1と同じ不純物濃度の領域)と、pチャネル型M
OSトランジスタ形成領域であるn型半導体領域2b
と、p型半導体領域2aとn型半導体領域2bを分離す
る素子分離領域3とが形成されている。この状態から、
上記p型半導体領域2a及びn型半導体領域2bの上に
厚みが4〜10nmのシリコン酸化膜からなるゲート酸
化膜4と、厚みが100〜300nmのポリシリコン膜
からなるゲート電極5とを形成する。
【0053】次に、図6(b)に示すように、CVD法
によりゲート電極5及びp型半導体基板1の上に厚みが
100〜200nmのシリコン酸化膜を堆積した後、異
方性ドライエッチングを行なって、シリコン酸化膜をエ
ッチバックし、ゲート電極5の両側面上にサイドウォー
ル6を形成する。
【0054】次に、図6(c)に示すように、p型半導
体領域2aにおいては、n型半導体領域2bを覆うフォ
トレジスト膜(図示せず),ゲート電極5及びサイドウ
ォール6をマスクとして、上記図1(d)に示す工程と
同様の砒素イオンの注入を行ない、その後、上記図1
(e)に示す工程と同様の燐イオンの注入を行なって、
ゲート電極5内とp型半導体領域2a内のゲート電極5
の両側方に位置する領域8とに砒素イオン及び燐イオン
を導入する。この時の注入条件は、上記第1の実施形態
に述べた通りでよい。
【0055】また、n型半導体領域2bにおいては、p
型半導体領域2aを覆うフォトレジスト膜(図示せ
ず),ゲート電極5及びサイドウォール6をマスクとし
てフッ化ホウ素イオン(BF2+)の注入を行ない、ゲー
ト電極5内とn型半導体領域2b内のゲート電極5の両
側方に位置する領域9内とにフッ化ホウ素イオンを導入
する。このとき、フッ化ホウ素イオンの注入条件は、加
速エネルギーが10〜60KeVで、注入量が2〜8×
1015cm-2である。
【0056】さらに、図6(d)に示す状態で、温度が
1000〜1050℃で時間が1〜15秒間の条件、あ
るいは温度が850℃で時間が10〜30分間の条件に
よる熱処理を行ない、不純物イオンを活性化する。その
結果、p型半導体領域2aには、低抵抗化されたn型ゲ
ート電極5aと、n型のソース・ドレイン領域8aとが
形成され、n型半導体領域2bには、低抵抗化されたp
型ゲート電極5bと、p型のソース・ドレイン領域9a
とが形成される。なお、いずれの半導体領域2a,2b
においても、ソース・ドレイン領域8a,9aの深さは
0.1〜0.15μmである。
【0057】すなわち、p型半導体領域2aには、ゲー
ト酸化膜4と、n型のゲート電極5aと、n型のソース
・ドレイン領域8aとにより構成されるpチャネル型M
OSトランジスタ10aが形成される。n型半導体領域
2bには、ゲート酸化膜4と、p型のゲート電極5b
と、p型のソース・ドレイン領域9aとにより構成され
るpチャネル型MOSトランジスタ10bが形成され
る。
【0058】以下の工程は省略するが、層間絶縁膜を介
して何層かの金属配線を形成することで、半導体装置が
形成される。
【0059】本実施形態は、基本的には第1の実施形態
の製造工程をCMOS型半導体装置に応用したものであ
り、nチャネル型トランジスタ10aは、上記第1の実
施形態に述べたとおりの特徴を有する。
【0060】加えて、本実施形態により形成されるCM
OS型半導体装置は、上記従来の砒素イオンの注入を用
いたnチャネル型MOSトランジスタとフッ化ホウ素イ
オンの注入を用いたpチャネル型MOSトランジスタを
組み合わせたものに比べ、下記の利点を有する。
【0061】nチャネル型MOSトランジスタ10aの
n型ゲート電極5aに燐イオンを注入しているので、図
6(d)に示す状態で熱処理を行なう際、pチャネル型
MOSトランジスタ10bのp型ゲート電極5bからチ
ャネル領域へのホウ素の突き抜けを起こさない程度の短
時間あるいは低温条件下の熱処理を行なっても、nチャ
ネル型MOSトランジスタ10aのゲート電極5a中の
燐イオンは十分活性化される。したがって、nチャネル
型MOSトランジスタ10aにおいて、n型のゲート電
極5aの空乏化を抑制することができるので、十分高い
駆動力が得られる。
【0062】なお、本実施形態では、p型半導体領域2
aにおいて、燐イオンを注入する前に半導体基板1中に
半導体基板を構成する半導体の単結晶(本実施形態では
シリコン単結晶)をアモルファス化する機能を有する不
純物イオンとして砒素イオンを注入したが、同様の機能
を有する材料(例えばシリコンイオン,ゲルマニウムイ
オンなど)であれば、その物質のイオンを注入してから
燐イオンを注入しても、本実施形態と同様の効果を発揮
することができる。
【0063】また、上記第2実施形態において、上記サ
イドウォール6は必ずしも形成する必要はない。ただ
し、サイドウォールを形成することで、ソース・ドレイ
ン領域8aとチャネル領域との間に低濃度ソース・ドレ
イン領域をも有するいわゆるLDD領域を形成すること
ができ、微細化に適したMOSトランジスタを形成する
ことができるという著効を発揮することができる。
【0064】なお、上記第1,第2の実施形態において
は、ゲート絶縁膜をシリコン酸化膜で構成したが、シリ
コン酸化膜の代りにシリコン窒化膜でゲート絶縁膜を構
成しても、上記各実施形態と同様の効果を発揮し得るこ
とはいうまでもない。
【0065】
【発明の効果】請求項1〜6によれば、MIS半導体装
置の製造方法として、nチャネル型MOSトランジスタ
形成領域において、少なくともゲート電極をマスクとし
て、燐イオンの注入時におけるチャネリングを防止する
機能を有する不純物イオンを注入してから燐イオンを注
入し、熱処理により燐イオンを活性化させてソース・ド
レイン領域を形成するとともに、ゲート電極を低抵抗化
するようにしたので、短チャネル効果を抑制しながら、
寄生容量の増大,リーク電流の増大,ゲート電極の空乏
化等を抑制することができ、よって、駆動力の高いかつ
微細に適した半導体装置の形成を図ることができる。
【0066】請求項7〜12によれば、MIS半導体装
置の構造として、砒素イオン及び燐イオンの注入により
形成されたゲート電極及びソース・ドレイン領域を有す
るnチャネル型MOSトランジスタを備える構成とした
ので、請求項1〜6の効果を発揮するMISトランジス
タを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態におけるnチャネル型MOSト
ランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図2】第1の実施形態のソース・ドレイン領域と燐イ
オンのみを導入して形成されるソース・ドレイン領域と
の燐イオンの濃度分布図である。
【図3】燐イオンを導入して形成されるソース・ドレイ
ン領域と砒素イオンを導入して形成されるソース・ドレ
イン領域との接合容量を比較した特性図である。
【図4】第1の実施形態のMOSトランジスタの飽和電
流値と砒素イオンの導入によるゲート電極を有する従来
のMOSトランジスタの飽和電流値とを比較した特性図
である。
【図5】第1の実施形態のMOSトランジスタの空乏化
率と砒素イオンの導入によるゲート電極を有する従来の
MOSトランジスタの空乏化率とを比較した特性図であ
る。
【図6】第2の実施形態のCMOSトランジスタの製造
工程を示す断面図である。
【図7】従来のCMOSトランジスタの製造工程を示す
断面図である。
【符号の説明】 1 半導体基板 2a p型半導体領域 2b n型半導体領域 3 素子分離領域 4 ゲート酸化膜 5 ゲート電極 6 サイドウォール 7 シリコン酸化膜 8a n型ソース・ドレイン領域 9a p型ソース・ドレイン領域 10a nチャネル型MOSDトランジスタ 10b pチャネル型MOSトランジスタ
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正内容】
【図7】

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基板のnチャネル型MISトラン
    ジスタ形成領域の上にゲート絶縁膜を形成する第1の工
    程と、 上記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する第2の工程
    と、 上記nチャネル型MISトランジスタ形成領域におい
    て、上記ゲート電極をマスクとして、燐イオンの注入に
    おけるチャネリング防止機能を有する不純物イオンの注
    入を行なった後、さらに上記ゲート電極をマスクとして
    燐イオンの注入を行なう第3の工程と、 熱処理により上記燐イオンを拡散,活性化させて、上記
    nチャネルMISトランジスタ形成領域内の上記ゲート
    電極の両側方に位置する領域にn型ソース・ドレイン領
    域を形成するとともに、上記ゲート電極を低抵抗化する
    第4の工程とを備えていることを特徴とするMIS半導
    体装置の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の半導体装置の製造方法に
    おいて、 上記第1及び第2の工程では、上記半導体基板のpチャ
    ネル型MISトランジスタ形成領域の上にもゲート絶縁
    膜とゲート電極とを形成し、 上記第3の工程の後に、上記pチャネル型MISトラン
    ジスタ形成領域において、上記上記ゲート電極をマスク
    として、p型不純物イオンの注入を行なう工程をさらに
    備え、 上記第4の工程では、上記p型不純物イオンをも拡散,
    活性化させて、上記pチャネル型MISトランジスタ形
    成領域の上記ゲート電極の両側方に位置する領域にp型
    ソース・ドレイン領域を形成するとともに、上記pMI
    Sトランジスタ形成領域におけるゲート電極を低抵抗化
    することを特徴とするMIS半導体装置の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のMIS半導体装置の製造
    方法において、 上記第2の工程と第3の工程との間に、 上記ゲート電極をマスクとして上記半導体基板内に低濃
    度のn型不純物イオンを注入する工程と、 上記ゲート電極の両側面上にサイドウォールを形成する
    工程とをさらに備え、 上記第3の工程では、上記ゲート電極及びサイドウォー
    ルをマスクとして、上記各不純物イオンの注入を行なう
    ことを特徴とするMIS半導体装置の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1,2又は3記載のMIS半導体
    装置の製造方法において、 上記燐イオンの注入におけるチャネリングを防止する機
    能を有する不純物イオンは、上記ゲート電極及び半導体
    基板をアモルファス化させることにより燐イオンのチャ
    ネリングを防止する不純物イオンであることを特徴とす
    るMIS半導体装置の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1,2又は3記載のMIS半導体
    装置の製造方法において、 上記燐イオンの注入におけるチャネリングを防止する機
    能を有する不純物イオンは、砒素イオン及びシリコンイ
    オンのうち少なくともいずれか一方であることを特徴と
    するMIS半導体装置の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のMIS半導体装置の製造
    方法において、 上記砒素イオン及びシリコンイオンのうち少なくともい
    ずれか一方の不純物イオンの注入条件は、加速エネルギ
    ーが40〜80KeVで注入量が2〜8×1014cm-2
    であり、 上記燐イオンの注入条件は、加速エネルギーが5〜30
    KeVで注入量が2〜8×1015cm-2であることを特
    徴とするMIS半導体装置の製造方法。
  7. 【請求項7】 半導体基板の一部に形成されたnチャネ
    ル型MISトランジスタとを少なくとも有するMIS半
    導体装置において、 上記nチャネル型MISトランジスタは、 上記半導体基板上に形成され、燐イオンの注入時におけ
    るチャネリングを防止する機能を有する不純物イオンと
    燐イオンとが導入されたゲート絶縁膜と、 上記ゲート絶縁膜の上に形成されたゲート電極と、 上記半導体基板の上記ゲート電極の両側方に位置する領
    域に形成され、燐イオンの注入時におけるチャネリング
    を防止する機能を有する不純物イオンと燐イオンとが導
    入されたn型ソース・ドレイン領域とを備えていること
    を特徴とするMIS半導体装置。
  8. 【請求項8】 請求項7記載のMIS半導体装置におい
    て、 上記半導体基板の上記nチャネルトランジスタとは別の
    部位に形成されたpチャネル型MISトランジスタをさ
    らに有し、 上記pチャネル型MISトランジスタは、 上記半導体基板の上に形成されたゲート絶縁膜と、 上記ゲート絶縁膜の上に形成され、p型不純物イオンが
    導入されたゲート電極と、 上記半導体基板の上記ゲート電極の両側方に位置する領
    域に形成され、p型不純物イオンが導入されたp型ソー
    ス・ドレイン領域とを備えていることを特徴とするMI
    S半導体装置。
  9. 【請求項9】 請求項7記載のMIS半導体装置におい
    て、 上記ゲート電極の両側面上に形成されたサイドウォール
    と、 上記ソース・ドレイン領域のゲート電極側に隣接した領
    域に形成され、低濃度のn型不純物が導入された低濃度
    ソース・ドレイン領域とをさらに備えていることを特徴
    とするMIS半導体装置。
  10. 【請求項10】 請求項7,8又は9記載のMIS半導
    体装置において、 上記燐イオンの注入におけるチャネリングを防止する機
    能を有する不純物イオンは、上記ゲート電極及び半導体
    基板をアモルファス化させることにより燐イオンのチャ
    ネリングを防止する不純物イオンであることを特徴とす
    るMIS半導体装置。
  11. 【請求項11】 請求項7,8又は9記載のMIS半導
    体装置において、 上記燐イオンの注入におけるチャネリングを防止する機
    能を有する不純物イオンは、砒素イオン,シリコンイオ
    ン及びゲルマニウムイオンのうち少なくともいずれか1
    つであることを特徴とするMIS半導体装置。
  12. 【請求項12】 請求項11記載のMIS半導体装置に
    おいて、 上記n型ソース・ドレイン領域内の深さ80nmの位置
    における上記砒素イオン,シリコンイオン及びゲルマニ
    ウムイオンのうち少なくともいずれか1つの不純物イオ
    ンの濃度は、3×1016〜3×1017/cm-3であり、 上記n型ソース・ドレイン領域内の深さ80nmの位置
    における上記燐イオンの濃度は、3×1017〜3×10
    18/cm-3であることを特徴とするMIS半導体装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7135393B2 (en) 2003-04-30 2006-11-14 Fujitsu Limited Semiconductor device manufacture method capable of supressing gate impurity penetration into channel
CN100388444C (zh) * 2004-12-08 2008-05-14 上海华虹Nec电子有限公司 减小i/o nmos器件热载流子注入的方法
CN103177941A (zh) * 2011-12-20 2013-06-26 中芯国际集成电路制造(上海)有限公司 一种半导体器件的制造方法

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