JPH10107160A - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

半導体装置及びその製造方法

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JPH10107160A
JPH10107160A JP8326518A JP32651896A JPH10107160A JP H10107160 A JPH10107160 A JP H10107160A JP 8326518 A JP8326518 A JP 8326518A JP 32651896 A JP32651896 A JP 32651896A JP H10107160 A JPH10107160 A JP H10107160A
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misfet
semiconductor substrate
gate electrode
type impurity
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JP8326518A
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English (en)
Inventor
Atsushi Hori
敦 堀
Hiroyuki Umimoto
博之 海本
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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  • Metal-Oxide And Bipolar Metal-Oxide Semiconductor Integrated Circuits (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 リーク電流が小さくかつ電流駆動能力に優れ
たMT−MOS構造を有する半導体装置及びその製造方
法を提供する。 【解決手段】 半導体基板1の基板領域1aの上には、
ゲート絶縁膜7,ゲート電極8,サイドウォール13,
ソース・ドレイン領域14,LDD領域11及びポケッ
ト領域9を有する第1,第2nMOSFETが設けられ
ている。第1nMOSFETのみ、基板領域1aよりも
高濃度のp型チャネル領域4をさらに備えている。第1
nMOSFETの反転電圧は、チャネル領域4及びポケ
ット領域9の不純物濃度によって定まる。第2nMOS
FETの反転電圧は、基板領域1aとポケット領域9の
不純物濃度によって定まるので、低濃度の基板領域1a
をチャネル領域として利用することで、空乏層容量が小
さくなり、サブスレッショルド特性を改善し、リーク電
流を低減できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、反転電圧の異なる
2種類のMISFETを搭載して高速化及び低消費電力
化に適しかつ製造コストの安価な半導体装置及びその製
造方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、MISFETを高密度に搭載した
半導体デバイスいわゆるLSIを開発するに際しては、
高速化と低消費電力化が大きな目標であるが、この2つ
のファクターを同時に達成することは極めて困難であ
る。すなわち、MOSデバイスの動作速度と、反転電圧
と、消費電力との間には密接な関係があり、高速化のた
め反転電圧を下げると、拡散電流が増大しオフ時の消費
電力が増えるというトレードオフ関係が存在する。
【0003】そこで、このトレードオフを解決するため
提案されている手法の1つにMultiThreshold Volta
ge CMOSデバイス(以下、略して、MT−CMOS
デバイスという)がある。これは回路的に高速化を要求
される部分には反転電圧の低いMOSFETを用い、リ
ーク電流の経路を反転電圧の高いMOSFETで遮断す
るというものであり、この回路構成を実現するために
は、nMOSデバイス,pMOSデバイス共に、少なく
とも2種類の反転電圧を有するMOSFETにより構成
されている必要がある。
【0004】以下、図面を参照しながら、従来のMT−
CMOSデバイスの製造方法の一例について説明する。
【0005】図30(a)−(d)は、2種類の反転電
圧を有するnMOSFETを搭載したnMOSデバイス
の従来の製造方法の1例を示すものである。
【0006】図30(a)に示す工程で、p型不純物が
予めドープされた半導体基板1を多数のMOSFET形
成領域に区画する素子分離3を形成した後、反転電圧が
高いnMOSFET(以下、第1nMOSFETとす
る)を形成する領域である第1nMOSFET形成領域
Rn1の上を覆い、反転電圧が低いnMOSFET(以
下、第2nMOSFETとする)を形成する領域である
第2nMOSFET形成領域Rn2の上を開口したレジス
ト膜16aを形成し、このレジスト膜16aをマスクと
して第2nMOSFET形成領域Rn2の半導体基板1内
にホウ素イオン(B+ )を注入し、第2MOSFETの
チャネル領域5を形成する。注入条件は、例えば20−
60KeV,1−2×1012cm-2である。
【0007】次に、図30(b)に示す工程で、第1M
OSFET形成領域Rn1の上を開口したレジスト膜16
bを形成し、第1nMOSFET形成領域Rn1に、上記
第2nMOSFET形成領域Rn2のチャネル領域5より
も高濃度のホウ素イオン(B+ )を注入し、高反転電圧
MOSFETのチャネル領域4を形成する。注入条件
は、例えば20−60KeV,4−6×1012cm-2で
ある。
【0008】次に、図30(c)に示す工程で、半導体
基板1の表面を酸化して厚みが8−12nmのゲート絶
縁膜7を形成し、全面に厚みが200−300nmのポ
リシリコン膜を堆積した後、通常のフォトリソグラフィ
ー工程、エッチング工程を経てゲート電極8を形成す
る。次に、ゲート電極8をマスクとして低濃度の燐イオ
ン(P+ )を注入し、n- 型のLDD領域11を形成す
る。
【0009】次に、図30(d)に示す工程で、ゲート
電極8の各側面上にサイドウォール13を形成し、ゲー
ト電極8及びサイドウォール13をマスクとして高濃度
のヒ素イオン(As+ )を注入し、n+ 型のソース・ド
レイン領域14を形成する。次に、ソース・ドレイン領
域14中のヒ素イオンを活性化し結晶欠陥を回復させる
ため900℃,30分の熱処理を導入する。
【0010】以上の製造工程によって形成されるnMO
Sデバイスの動作について,以下に説明する。
【0011】かかる製造工程によって形成されるnMO
Sデバイスの構造では、第1MOSFET及び第2MO
SFETの反転電圧は、チャネル領域4,5における不
純物濃度によって決定され、それぞれ0.5−0.6
V,0.2−0.3V程度である。一般的に、第2MO
SFETは電流駆動力が大きく高速化に適しているがオ
フ時のリーク電流が大きい一方、第1MOSFETは電
流駆動力は小さいがオフリーク電流が小さく低消費電力
化に適している。したがって、これら2種類のMOSF
ETを回路構成で使い分けることにより、高速でかつ低
消費電力のLSIを構成することができる。
【0012】また、通常の従来の相補型MOS(CMO
S)デバイスは、基本的には、図31(a)〜(c)に
示す製造工程によって形成されている。
【0013】まず、図31(a)に示す工程で、nMO
SFET形成領域Rnにはp型基板領域22a(本従来
例では、p型半導体基板21と同じ不純物濃度の領域)
を、pMOSFET形成領域Rpにはn型基板領域22
b(nウェル)をそれぞれ設け、p型基板領域22a−
n型基板領域22b間を分離する素子分離23を設け
る。次に、p型半導体基板21の上に、厚みが4〜8n
mのゲート酸化膜24と、厚みが100〜200nmの
ゲート電極35とを形成する。
【0014】次に、図31(b)に示す工程で、nMO
SFETのゲート電極35と、p型基板領域22a内の
ゲート電極35の両側方に位置する領域38とに砒素イ
オン(As+ )を注入する。注入条件は、例えば加速エ
ネルギーが30〜60keV、注入量が6〜8×1015
cm-2である。一方、pMOSFETのゲート電極35
と、n型基板領域22b内のゲート電極35の両側方に
位置する領域39とにフッ化ホウ素イオン(BF2+)を
注入する。注入条件は、例えば加速エネルギーが10〜
30keV、注入量が3〜6×1015cm-2である。
【0015】最後に,図31(c)に示す工程で、10
00℃,10秒間の熱処理(RTA)を行い不純物イオ
ンを活性化する。この熱処理により、nMOSFET形
成領域Rnにおいては、ゲート電極35を低抵抗化して
n型ゲート電極35aとし、p型基板領域22a中にn
型ソース・ドレイン領域38aを形成する一方、pMO
SFET形成領域Rpにおいては、ゲート電極35を低
抵抗化してp型ゲート電極35bとし、n型基板領域2
2b中にp型ソース・ドレイン領域39aを形成する。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記図
30(a)〜(d)に示すようなMT−MOSデバイス
及びその製造方法では、以下に述べるような問題点があ
る。
【0017】1.通常のMOSデバイスに比べて工程数
が増加する。特に反転電圧を制御するために2種類のフ
ォトマスクを要し、コストが増加する。
【0018】2.低反転電圧MOSFETのチャネル領
域として機能するチャネル領域の不純物濃度が高反転電
圧MOSFETのそれに比べて小さいため耐圧が劣化
し、短チャネル効果が大きくなる。ここで、短チャネル
効果とは、短チャネル領域で長チャネル領域に比較して
MOSFETの諸特性が劣化する現象のことであるが、
例えば短チャネル領域での反転電圧が低下し、リーク電
流が増大するという不具合がある。
【0019】また、上記図31(a)〜(c)に示すM
OSFET及びその製造方法においては、以下のような
問題があった。
【0020】3.nMOSFETのドレイン領域38a
において、砒素イオンの注入によって形成される結晶欠
陥のために、ジャンクションにおけるリーク電流が大き
い。
【0021】4.nMOSFETのドレイン領域38a
において、電界が比較的大きくGIDL(Gate Induced
Drain Leakage)電流が大きい。
【0022】5.nMOSFETのドレイン領域38a
において、プロファイルが急峻なのでジャンクションの
寄生容量が大きくなる。
【0023】6.nMOSFETのドレイン領域38a
付近の電界が大きく、キャリアがインパクトイオン化を
起こしやすい。そのために、MOSFETのドレイン電
流が減小したり、MOSFETのしきい値が変動するな
どの経時劣化が大きい。つまり、信頼性が低い。
【0024】また、CMOSデバイスおいては、さらに
下記の問題7,8が生じる。
【0025】7.砒素の拡散係数とホウ素の拡散係数の
差によって、p型MOSFETの実効チャネル長がnM
OSFETの実効チャネル長よりも短くなり過ぎ、性能
面で両トランジスタのバランスが悪化する。
【0026】8.nMOSFETのゲート電極35aの
空乏化とpMOSFETのゲート電極35bのホウ素イ
オンの突き抜けを同時に抑制できない。つまり、RTA
のような短時間の熱処理(例えば1000℃,10秒)
を行うと、nMOSFETのゲート電極35a中の砒素
イオンの活性化が不十分で空乏化を起こし、駆動力が低
下する虞れがある。その一方、長時間の熱処理(例えば
900℃,30分)を行うと、pMOSFETのゲート
電極35b中のホウ素イオンがチャネル領域に拡散しデ
バイスの特性を劣化させる虞れがある。
【0027】本発明の第1の目的は、同一の半導体基板
上に高反転電圧FETと低反転電圧FETという2種類
のMOSFETを搭載しながら、低反転電圧MOSFE
Tにおいても短チャネル領域における特性が良好で、か
つ工程数の増大を招くことのない構造を有する半導体装
置及びその製造方法を提供することにある。すなわち、
上記問題点1〜2を解消することにある。
【0028】本発明の第2の目的は、不純物イオンをゲ
ート電極とソース・ドレイン領域とに同時に注入して形
成されるMIS型トランジスタにおいて、寄生容量の低
減による動作速度の向上、リーク電流の低減及び信頼性
の向上を図ることにある。すなわち、上記問題点3〜8
を解消することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るために、本発明では、請求項1〜15に記載されてい
る第1〜第7の半導体装置に関する手段と、請求項23
〜26に記載されている第9〜第10の半導体装置に関
する手段と、請求項27〜40に記載されている第1〜
第10の半導体装置の製造方法に関する手段と、請求項
49〜51に記載されている第12〜第14の半導体装
置の製造方法に関する手段とを講じている。
【0030】上記第2の目的を達成するために、本発明
では、請求項16〜22に記載されている第8の半導体
装置に関する手段と、請求項41〜48に記載されてい
る第11の半導体装置の製造方法に関する手段とを講じ
ている。
【0031】本発明に係る第1の半導体装置は、請求項
1に記載されているように、半導体基板上に、所定の反
転電圧を有する第1MISFETと該第1MISFET
よりも低い反転電圧を有する第2MISFETとを搭載
した半導体装置を前提とする。
【0032】ここで、上記第1MISFETは、上記半
導体基板の一部の上に形成されたゲート絶縁膜と、上記
ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上記ゲート
電極の各側面上に形成された絶縁体サイドウォールと、
上記ゲート絶縁膜直下方の半導体基板内にVT制御レベ
ル濃度の第1導電型不純物を導入して形成されたチャネ
ル領域と、上記半導体基板内で上記チャネル領域を挟ん
で相対向するように形成され高濃度の第2導電型不純物
を含むソース・ドレイン領域と、上記各ソース・ドレイ
ン領域と上記チャネル領域との間の上記半導体基板の表
面を少なくとも含む領域に形成され第1導電型不純物を
含むポケット領域と、上記ポケット領域と各ソース・ド
レイン領域との間に形成され低濃度の第2導電型不純物
を含むLDD領域とを備えている。
【0033】一方、上記第2MISFETは、上記半導
体基板の一部の上に形成されたゲート絶縁膜と、上記ゲ
ート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上記ゲート電
極の各側面上に形成された絶縁体サイドウォールと、上
記半導体基板の表面から奥方に亘る領域に形成され上記
第1MISFETのチャネル領域におけるよりも低濃度
のVT制御レベル濃度の第1導電型不純物を含んで上記
ゲート絶縁膜の直下方においてチャネル領域となる基板
領域と、上記半導体基板内で上記チャネル領域を挟んで
相対向するように形成され高濃度の第2導電型不純物を
含むソース・ドレイン領域と、上記各ソース・ドレイン
領域と上記チャネル領域との間の上記半導体基板の表面
を少なくとも含む領域に形成され第1導電型不純物を含
むポケット領域と、上記各ポケット領域と各ソース・ド
レイン領域との間に形成され低濃度の第2導電型不純物
を含むLDD領域とを備えている。
【0034】これにより、各MISFETにおいて、ポ
ケット領域によりパンチスルーや短チャネル効果を防止
できるので、反転電圧の劣化やリーク電流の発生を抑制
できる。また、パンチスルーや短チャネル効果をポケッ
ト領域により抑制できる構造となるので、チャネル領域
の中央部分の不純物濃度を低くできることから、ゲート
電極からの空乏層の延びが大きく、空乏層容量が小さく
なる。すなわち、サブスレッショルド特性が良好とな
り、リーク電流も低減できる。特に、低反転電圧を有す
る第2MISFETにおいて、チャネル領域となる部分
が低濃度の第1導電型不純物を含む基板領域で構成され
ているので、以上の作用が顕著になる。
【0035】請求項2に記載されているように、請求項
1において、上記第1,第2MISFETを第1,第2
nMISFETとしておき、第1,第2MISFETの
構造と導電型を逆にした構造でかつ上記LDD領域を除
いた構造を有する第1,第2pMISFETをさらに設
けることができる。
【0036】これにより、MT−CMISデバイスにお
いて、pMISFETのLDD領域が不要となる分、製
造が容易となり、かつ工程の安定性が向上することで、
製造コストが低減され信頼性も向上する。一方、pMI
SFETでは、ホットキャリアの発生確率が低いので、
LDD領域がなくても、信頼性が低下する虞れはない。
【0037】請求項3に記載されているように、請求項
1において、上記第1,第2MISFETを第1,第2
pMISFETとしておき、第1,第2MISFETの
構造と導電型を逆にした構造でかつ上記LDD領域を除
いた構造を有する第1,第2nMISFETをさらに設
けることができる。
【0038】これにより、MT−CMISデバイスにお
いて、nMISFETのLDD領域がない分、nMIS
FETの駆動力を高めることができる。一方、nMIS
FETのソース・ドレイン領域に導入する不純物の種類
を選択することで、nMISFETにLDD領域が設け
られていなくても、ドレイン近傍の電界を弱めることが
可能なので、信頼性の低下を回避することができる。
【0039】本発明の第2の半導体装置は、請求項4に
記載されているように、半導体基板上に、所定の反転電
圧を有する第1MISFETと該第1MISFETより
も低い反転電圧を有する第2MISFETとを搭載した
半導体装置を前提とする。
【0040】上記第1MISFETは、上記半導体基板
の一部の上に形成されたゲート絶縁膜と、上記ゲート絶
縁膜上に形成されたゲート電極と、上記ゲート電極の各
側面上に形成された絶縁体サイドウォールと、上記ゲー
ト絶縁膜直下方の半導体基板内にVT制御レベル濃度の
第1導電型不純物を導入して形成されたチャネル領域
と、上記半導体基板内で上記チャネル領域を挟んで相対
向するように形成され高濃度の第2導電型不純物を含む
ソース・ドレイン領域と、上記各ソース・ドレイン領域
と上記チャネル領域との間の上記半導体基板の表面を少
なくとも含む領域に形成され第1導電型不純物を含むポ
ケット領域と、上記各ポケット領域と各ソース・ドレイ
ン領域との間に形成され低濃度の第2導電型不純物を含
むLDD領域とを備えている。一方、上記第2MISF
ETは、上記第1MISFETの構造からポケット領域
を除いた構造とする。
【0041】これにより、高反転電圧を有する第1MI
SFETは短チャネル効果をポケット領域により抑制で
きる構造となるので、チャネル領域となる第2半導体領
域の不純物濃度を従来の構造における濃度よりも薄くで
きるので、反転電圧の劣化が小さく、リーク電流も低減
できる。一方、第2MISFETにはポケット領域を設
けないことで、第2MISFETのチャネル領域の不純
物濃度と第1MISFETのチャネル領域の不純物濃度
とを同じにしても反転電圧の差を生ぜしめることができ
るので、製造工程数が低減される。特に、それほどゲー
ト長が短くないMISFETに適した構造となる。
【0042】本発明に係る第3の半導体装置は、請求項
5に記載されているように、半導体基板上に、所定の反
転電圧を有する第1MISFETと該第1MISFET
よりも低い反転電圧を有する第2MISFETとを搭載
した半導体装置を前提とする。
【0043】そして、上記第1MISFETは、上記半
導体基板の一部の上に形成されたゲート絶縁膜と、上記
ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上記ゲート
絶縁膜直下方の半導体基板内にVT制御レベルの濃度の
第1導電型不純物を導入して形成されたチャネル領域
と、上記半導体基板内で上記チャネル領域を挟んで相対
向するように形成され高濃度の第2導電型不純物を含む
ソース・ドレイン領域と、上記各ソース・ドレイン領域
と上記チャネル領域との間で上記半導体基板表面から延
びて上記ソース・ドレイン領域のゲート側端部に接する
ように形成され第1導電型不純物を含むポケット領域
と、上記各ポケット領域と各ソース・ドレイン領域との
間に形成され低濃度の第2導電型不純物を含むLDD領
域と、上記ゲート電極及びソース・ドレイン領域の上に
形成されたシリサイド膜とを備えている。
【0044】一方、上記第2MISFETは、上記半導
体基板の一部の上に形成されたゲート絶縁膜と、上記ゲ
ート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上記半導体基
板の表面から奥方に亘る領域に形成され上記第1MIS
FETのチャネル領域におけるよりも低濃度のVT制御
レベル濃度の第1導電型不純物を含んで上記ゲート絶縁
膜の直下方においてチャネル領域となる基板領域と、上
記半導体基板内で上記チャネル領域を挟んで相対向する
ように形成され高濃度の第2導電型不純物を含むソース
・ドレイン領域と、上記各ソース・ドレイン領域とチャ
ネル領域との間で上記半導体基板表面から延びて上記ソ
ース・ドレイン領域のゲート側端部に接するように形成
され第1導電型不純物を含むポケット領域と、上記各ポ
ケット領域と各ソース・ドレイン領域との間に形成され
低濃度の第2導電型不純物を含むLDD領域と、上記ゲ
ート電極及びソース・ドレイン領域の上に形成されたシ
リサイド膜とを備えている。
【0045】また、本発明に係る第4の半導体装置は、
請求項6に記載されているように、半導体基板上に、所
定の反転電圧を有する第1MISFETと該第1MIS
FETよりも低い反転電圧を有する第2MISFETと
を搭載した半導体装置を前提とする。
【0046】そして、上記第1MISFET及び第2M
ISFETは、上記半導体基板の一部の上に形成された
ゲート絶縁膜と、上記ゲート絶縁膜上に形成されたゲー
ト電極と、上記ゲート絶縁膜直下方の半導体基板内にV
T制御レベル濃度の第1導電型不純物を導入して形成さ
れたチャネル領域と、上記半導体基板内で上記チャネル
領域を挟んで相対向するように形成され高濃度の第2導
電型不純物を含むソース・ドレイン領域と、上記各ソー
ス・ドレイン領域と上記チャネル領域との間で上記半導
体基板表面から延びて上記ソース・ドレイン領域のゲー
ト側端部に接するように形成され第1導電型不純物を含
むポケット領域と、上記各ポケット領域と各ソース・ド
レイン領域との間に形成され低濃度の第2導電型不純物
を含むLDD領域と、上記ゲート電極及びソース・ドレ
イン領域の上に形成されたシリサイド膜とを備えてお
り、上記第1MISFETの上記第2の半導体領域にお
ける不純物濃度は、上記第2MISFETの上記第2の
半導体領域における不純物濃度よりも濃い。
【0047】上記第3及び第4の半導体装置により、シ
リサイド層によりソース・ドレイン抵抗の小さいMIS
FETが得られるとともに、ポケット領域がソース・ド
レイン領域の下方にまで至らず狭い領域に形成されてい
るので、ソース・ドレイン領域−第1の半導体領域間に
おいて不純物の濃度の低い第1の半導体領域がpnジャ
ンクションの一方を構成するので、寄生容量を低減する
ことができる。したがって、動作速度が向上するととも
に、消費電力が低減する。
【0048】請求項7に記載されているように、請求項
1,4,5又は6において、上記第1MISFETに第
1nMISFETと第1pMISFETとを含ませ、上
記第2MISFETに第2nMISFETと第2pMI
SFETとを含ませることができる。
【0049】これにより、各請求項の作用がnMOSデ
バイス及びpMOSデバイスの双方で得られる。つま
り、サブスレッショルド特性が良好で,反転電圧の劣化
の小さい,かつリーク電流の少ないMT−SMOSデバ
イスが得られる。
【0050】請求項8に記載されているように、請求項
1,4,5又は6において、上記第1及び第2MISF
ETに共通のバイアスを印加するように構成することが
好ましい。
【0051】これにより、第1MISFETと第2MI
SFETとの反転電圧の差がさらに拡大されるので、高
速動作と低消費電力というMT−MOSデバイスの利点
がより顕著に得られる。
【0052】同じ理由から、請求項9に記載されている
ように、請求項2,3又は7において、上記第1nMI
SFET及び第2nMISFETに共通の負の基板バイ
アスを印加し、上記第1pMISFET及び第2pMI
SFETに共通の正の基板バイアスを印加するように構
成することが好ましい。
【0053】本発明に係る第5の半導体装置は、請求項
10に記載されているように、半導体基板上に、所定の
反転電圧を有する第1MISFETと該第1MISFE
Tよりも低い反転電圧を有する第2MISFETとを搭
載した半導体装置を前提とする。
【0054】上記第1及び第2MISFETは、上記半
導体基板の一部の上に形成されたゲート絶縁膜と、上記
ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上記ゲート
電極の各側面上に形成された絶縁体サイドウォールと、
上記ゲート電極直下の部分を含む領域に第1導電型キャ
リアを生成するための第1導電型不純物を導入してなる
基板領域と、上記ゲート電極の両側方に位置する上記半
導体基板内に第2導電型キャリアを生成するための高濃
度の第2導電型不純物を導入してなる高濃度ソース・ド
レイン領域と、上記各高濃度ソース・ドレイン領域と上
記基板領域のゲート電極直下の部分との間に低濃度の上
記第2導電型不純物を導入してなる低濃度ソース・ドレ
イン領域と、上記低濃度ソース・ドレイン領域と上記基
板領域との間の上記半導体基板の表面を少なくとも含む
領域に上記第1導電型不純物を導入してなるポケット領
域とを備えていて、上記第1MISFETのポケット領
域における第1導電型キャリアの濃度が上記第2MIS
FETのポケット領域における第1導電型キャリアの濃
度よりも濃い。
【0055】これにより、第1MISFETの反転電圧
が第2MISFETの反転電圧よりも高くなる。しか
も、MISFETにポケット領域が形成されていること
で、パンチスルーや短チャネル効果を防止できるので、
反転電圧の劣化やリーク電流の発生を抑制できる。ま
た、パンチスルーや短チャネル効果をポケット領域によ
り抑制できる構造となるので、チャネル領域の中央部分
の不純物濃度を低くできることから、ゲート電極からの
空乏層の延びが大きく、空乏層容量が小さくなる。すな
わち、サブスレッショルド特性が良好となり、リーク電
流も低減できる。したがって、ポケット領域における不
純物濃度の差を利用して高速でかつ消費電力の小さい半
導体装置が得られることになる。
【0056】請求項11に記載されているように、請求
項10において、上記第1MISFETに第1nMIS
FETと第1pMISFETを含ませ、上記第2MIS
FETに第2nMISFETと第2pMISFETとを
含ませることができる。
【0057】これにより、現実にCMOSデバイスとし
て構成されることが多い半導体装置において、nMIS
FETについてもpMISFETについても、請求項1
0の作用が得られることになる。
【0058】本発明に係る第6の半導体装置は、請求項
12に記載されているように、半導体基板上に、所定の
反転電圧を有する第1MISFETと該第1MISFE
Tよりも低い反転電圧を有する第2MISFETとを搭
載した半導体装置を前提とする。
【0059】上記第1及び第2MISFETは、上記半
導体基板の一部の上に形成されたゲート絶縁膜と、上記
ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上記ゲート
電極の各側面上に形成された絶縁体サイドウォールと、
上記ゲート電極直下の部分を含む領域に第1導電型キャ
リアを生成するための第1導電型不純物を導入してなる
基板領域と、上記ゲート電極の両側方に位置する上記半
導体基板内に第2導電型キャリアを生成するための高濃
度の第2導電型不純物を導入してなる高濃度ソース・ド
レイン領域と、上記各高濃度ソース・ドレイン領域と上
記チャネル領域との間に低濃度の上記第2導電型不純物
を導入してなる低濃度ソース・ドレイン領域と、上記低
濃度ソース・ドレイン領域と上記基板領域との間の上記
半導体基板の表面を少なくとも含む領域に上記第1導電
型不純物を導入してなるポケット領域とを備えていて、
上記第1MISFETのポケット領域における上記半導
体基板の表面と接する部分のゲート長方向の幅が、上記
第1MISFETのポケット領域における上記半導体基
板の表面と接する部分のゲート長方向の幅よりも大き
い。
【0060】これにより、上述の請求項10と同じ作用
効果が得られる。
【0061】請求項13に記載されているように、請求
項12において、上記第1MISFETに第1nMIS
FETと第1pMISFETとを含ませ、上記第2MI
SFETに第2nMISFETと第2pMISFETと
を含ませることができる。
【0062】これにより、上述の請求項13と同じ作用
効果が得られる。
【0063】本発明に係る第7の半導体装置は、請求項
14に記載されているように、半導体基板上に、所定の
反転電圧を有する第1MISFETと該第1MISFE
Tよりも低い反転電圧を有する第2MISFETとを搭
載した半導体装置を前提とする。
【0064】上記第1及び第2MISFETは、上記半
導体基板の一部の上に形成されたゲート絶縁膜と、上記
ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上記ゲート
電極直下の部分を含む領域に第1導電型キャリアを生成
するための第1導電型不純物を導入してなる基板領域
と、上記ゲート電極の両側方に位置する上記半導体基板
内に第2導電型キャリアを生成するための高濃度の第2
導電型不純物を導入してなる高濃度ソース・ドレイン領
域と、上記各高濃度ソース・ドレイン領域と上記基板領
域のゲート電極直下の部分との間に低濃度の第2導電型
不純物を導入してなる低濃度ソース・ドレイン領域と、
上記低濃度ソース・ドレイン領域と上記基板領域との間
で上記半導体基板表面から上記高濃度ソース・ドレイン
領域のゲート電極側端部に亘る領域に第1導電型不純物
を導入してなるポケット領域と、上記ゲート電極及び高
濃度ソース・ドレイン領域の上に形成されたシリサイド
膜とを備えていて、上記第1MISFETのポケット領
域における第1導電型キャリアの濃度が上記第2MIS
FETのポケット領域における第1導電型キャリアの濃
度よりも濃い。
【0065】これにより、請求項10と同じ作用が得ら
れる。加えて、シリサイド層によりソース・ドレイン抵
抗の小さいMISFETが得られるとともに、ポケット
領域がソース・ドレイン領域の下方にまで至らず狭い領
域に形成されているので、高濃度ソース・ドレイン領域
−基板領域間において不純物の濃度の低い基板領域がp
nジャンクションの一方を構成することになり、寄生容
量を低減することができる。したがって、動作速度がさ
らに向上するとともに、消費電力がさらに低減される。
【0066】請求項15に記載されているように、請求
項14において、上記第1MISFETに第1nMIS
FETと第1pMISFETとを含ませ、上記第2MI
SFETに第2nMISFETと第2pMISFETと
を含ませることができる。
【0067】これにより、請求項14の作用効果がnM
OSデバイス及びpMOSデバイスの双方で得られる。
【0068】本発明に係る第8の半導体装置は、請求項
16に記載されるように、半導体基板の一部に形成され
たnMISFETとを少なくとも有する半導体装置にお
いて、上記nMISFETは、上記半導体基板上に形成
されたゲート絶縁膜と、上記ゲート絶縁膜の上に形成さ
れ、少なくともフッ素を含む不純物と燐とが導入された
ゲート電極と、上記半導体基板の上記ゲート電極の両側
方に位置する領域に形成され、少なくともフッ素を含む
不純物と燐とが導入されたn型ソース・ドレイン領域と
を備えている。
【0069】これにより、MISFETのソース・ドレ
イン領域に、砒素よりもイオン半径の小さい燐が導入さ
れているために、結晶欠陥が少なくなり、ジャンクショ
ンにおけるリーク電流が低減される。また、砒素に比べ
ると燐のソース・ドレイン領域における濃度分布はなだ
らかとなるので、ドレイン領域における電界は小さくな
り、GIDL電流が低減される。しかも、ソース・ドレ
イン領域にフッ素が導入されているので、燐の拡散が抑
制されショートチャネル効果の発生を抑制することがで
きる。また、電界のドレイン領域近傍への集中が緩和さ
れ、ホットキャリアの発生に起因する特性の劣化を有効
に防止できる。また、nMISFETのゲート電極に燐
が導入されているので、ゲート電極の空乏化を抑制する
ことができ、ゲート電極の低抵抗によりトランジスタの
駆動力が向上する。
【0070】請求項17に記載されるように、請求項1
6において、上記半導体基板の上記nMISFETとは
別の部位に形成されたpMISFETをさらに有し、上
記pMISFETは、上記半導体基板の上に形成された
ゲート絶縁膜と、上記ゲート絶縁膜の上に形成され、p
型不純物イオンが導入されたゲート電極と、上記半導体
基板の上記ゲート電極の両側方に位置する領域に形成さ
れ、p型不純物イオンが導入されたp型ソース・ドレイ
ン領域とを備えている構成とすることができる。
【0071】これにより、CMISデバイスにおけるn
MISFETにおけるゲート電極の空乏化とpMISF
ETのゲート電極におけるホウ素の突き抜けとを同時に
防止することができる。また、nMISFETのソース
・ドレイン領域とpMISFETのソース・ドレイン領
域とがほぼ同じ深さや実効チャネル長を有するように形
成されるので、性能面でpMISFETとnMISFE
Tとのバランスがよくなる。
【0072】請求項18に記載されるように、請求項1
6又は17において、上記ゲート電極の両側面上に形成
されたサイドウォールと、上記ソース・ドレイン領域の
ゲート電極側に隣接した領域に形成され、低濃度のn型
不純物が導入された低濃度ソース・ドレイン領域とをさ
らに備えることができる。
【0073】これにより、いわゆるLDD構造を有する
トランジスタを搭載したMISデバイスとなるので、よ
り微細化に適したデバイスを得ることができる。
【0074】請求項19に記載されるように、請求項1
7において、上記p型不純物は、ホウ素のみであること
が好ましい。
【0075】請求項20に記載されるように、請求項1
6において、上記少なくともフッ素を含む不純物を、フ
ッ化ゲルマニウムとすることができる。
【0076】請求項21に記載されるように、請求項2
0において、上記半導体基板の上記nMISFETとは
別の部位に形成されたpMISFETをさらに有し、上
記pMISFETは、上記半導体基板の上に形成された
ゲート絶縁膜と、上記ゲート絶縁膜の上に形成され、p
型不純物イオンが導入されたゲート電極と、上記半導体
基板の上記ゲート電極の両側方に位置する領域に形成さ
れ、p型不純物イオンが導入されたp型ソース・ドレイ
ン領域とを備えることができる。
【0077】請求項22に記載されるように、請求項2
0において、上記半導体基板の上記nMISFETとは
別の部位に形成されたpMISFETをさらに有し、上
記pMISFETは、上記半導体基板の上に形成された
ゲート絶縁膜と、上記ゲート絶縁膜の上に形成され、p
型不純物イオンが導入されたゲート電極と、上記半導体
基板の上記ゲート電極の両側方に位置する領域に形成さ
れ、p型不純物イオンが導入されたp型ソース・ドレイ
ン領域とを備え、上記pMISFETのp型ゲート電極
及びp型ソース・ドレイン領域にも上記フッ化ゲルマニ
ウムが導入されているものとすることができる。
【0078】本発明に係る第9の半導体装置は、請求項
23に記載されているように、半導体基板上に、所定の
反転電圧を有する少なくとも1つの第1MISFETと
該第1MISFETとよりも低い反転電圧を有する少な
くとも1つの第2MISFETとを搭載した半導体装置
を前提とする。
【0079】そして、上記第1MISFETは、上記半
導体基板の一部の上に形成されたゲート絶縁膜と、上記
ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上記ゲート
絶縁膜直下方の半導体基板内に第1導電型キャリアを生
ぜしめるための第1導電型不純物を導入して形成された
チャネル領域と、上記半導体基板内で上記チャネル領域
を挟んで相対向するように形成され高濃度の第2導電型
不純物を含むソース・ドレイン領域とを備える一方、上
記第2MISFETは、上記半導体基板の一部の上に形
成されたゲート絶縁膜と、上記ゲート絶縁膜上に形成さ
れたゲート電極と、上記ゲート絶縁膜直下方の半導体基
板内に上記第1MISFETのチャネル領域と同じ濃度
の第1導電型不純物と第2導電型キャリアを生ぜしめる
ための第2導電型不純物とを導入して形成されたチャネ
ル領域と、上記半導体基板内で上記チャネル領域を挟ん
で相対向するように形成され高濃度の第2導電型不純物
を含むソース・ドレイン領域とを備えており、上記第1
MISFETのチャネル領域における第1導電型キャリ
アの濃度は、上記第2MISFETのチャネル領域にお
ける第1導電型キャリアの濃度よりも濃い。
【0080】これにより、第1MISFETの反転電圧
方が第2MISFETの反転電圧よりも高くなり、異な
る反転電圧を有する2つのMISFETからなるMT−
デバイスを得ることができる。しかも、第2MISFE
Tのチャネル領域における第1導電型不純物の濃度は第
1MISFETのチャネル領域における第1導電型不純
物の濃度と同じなので、耐圧が大きく、かつ短チャネル
効果抑制機能も高いMT−デバイスが得られる。
【0081】請求項24に記載されているように、請求
項23において、上記第1,第2MISFETをいずれ
もpMISFETとし、上記第2導電型不純物をホウ素
とすることができる。
【0082】請求項25に記載されているように、請求
項23において、上記第1,第2MISFETをいずれ
もnMISFETとし、上記第2導電型不純物を燐とす
ることができる。
【0083】本発明に係る第10の半導体装置は、請求
項26に記載されているように、半導体基板上に、所定
の反転電圧を有する少なくとも1つの第1MISFET
と該第1MISFETとよりも低い反転電圧を有する少
なくとも1つの第2MISFETとを搭載した半導体装
置を前提とする。
【0084】そして、上記第1MISFETは、上記半
導体基板の一部の上に形成された酸化膜からなるゲート
絶縁膜と、上記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極
と、上記ゲート絶縁膜直下方の半導体基板内に第1導電
型キャリアを生ぜしめるための第1導電型不純物を導入
して形成されたチャネル領域と、上記半導体基板内で上
記チャネル領域を挟んで相対向するように形成され高濃
度の第2導電型不純物を含むソース・ドレイン領域とを
備える一方、上記第2MISFETは、上記半導体基板
の一部の上に形成され窒化酸化膜からなるゲート絶縁膜
と、上記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上
記ゲート絶縁膜直下方の半導体基板内に上記第1導電型
不純物を導入して形成されたチャネル領域と、上記半導
体基板内で上記チャネル領域を挟んで相対向するように
形成され高濃度の第2導電型不純物を含むソース・ドレ
イン領域とを備えている。
【0085】これにより、第2MISFETのゲート絶
縁膜を構成する窒化酸化膜は、第1MISFETのゲー
ト絶縁膜を構成する酸化膜よりも誘電率が高いので、第
2MISFETの反転電圧が小さくなる。したがって、
第1,第2MISFETに異なる不純物濃度を有するチ
ャネル領域を設けなくても、MT−デバイスを実現でき
ることになる。また、窒化酸化膜は信頼性が高いので、
MTデバイスの信頼性も向上する。
【0086】次に、本発明に係る第1の半導体装置の製
造方法は、請求項27に記載されているように、半導体
基板に第1MISFETと第2MISFETとを形成す
る半導体装置の製造方法であって、上記各MISFET
形成領域に第2MISFETのVT制御レベル濃度の第
1導電型不純物を含む基板領域を形成する第1の工程
と、上記基板領域のうち第1MISFET形成領域のみ
にさらに第1導電型不純物を導入して第1MISFET
のVT制御レベル濃度の第1導電型不純物を含むチャネ
ル領域を形成する第2の工程と、上記各MISFET形
成領域内の半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する第3
の工程と、上記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する
第4の工程と、上記各ゲート電極をマスクとして低濃度
の第1導電型不純物イオンを上記半導体基板内に注入し
て、ポケット領域を形成する第5の工程と、上記各ゲー
ト電極をマスクとして低濃度の第2導電型不純物イオン
を上記半導体基板内に注入して、上記ポケット領域に囲
まれる領域にLDD領域を形成する第6の工程と、上記
ゲート電極の各側面上に絶縁体サイドウォールを形成す
る第7の工程と、上記ゲート電極と上記各絶縁体サイド
ウォールをマスクとして高濃度の第2導電型不純物のイ
オンを半導体基板内に注入して、ソース・ドレイン領域
を形成する第8の工程とを備えている。
【0087】この方法により、上記第1の半導体装置で
あるMT−デバイスが得られる。その際、従来のMT−
MOSデバイスの製造方法では反転電圧の制御のために
2枚のフォトマスクを必要とするのに対し、この方法で
は同工程におけるフォトマスクが1枚で済むので、製造
工程が簡略化され製造コストも低減する。
【0088】本発明に係る第2の半導体装置の製造方法
は、請求項28に記載されているように、半導体基板に
第1n,第2nMISFETと第1,第2pMISFE
Tとを形成するための半導体装置の製造方法であって、
nMISFET形成領域に第2nMISFETのVT制
御レベル濃度のp型不純物を含むp型基板領域を形成
し、pMISFET形成領域に第2pMISFETのV
T制御レベル濃度のn型不純物を含むn型基板領域を形
成する第1の工程と、上記p型基板領域のうち第1nM
ISFET形成領域のみにp型不純物をさらに導入する
一方、上記n型基板領域のうち第1pMISFET形成
領域のみにn型不純物を導入して、上記第1nMISF
ET及び第1pMISFETのVT制御レベル濃度の不
純物を含むp型チャネル領域及びn型チャネル領域をそ
れぞれ形成する第2の工程と、上記各MISFET形成
領域内の半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する第3の
工程と、上記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する第
4の工程と、上記nMISFET形成領域において、上
記各ゲート電極をマスクとしてp型不純物イオンを上記
半導体基板内に注入してp型ポケット領域を形成する一
方、上記p型ポケット領域に囲まれる領域にn型不純物
イオンを注入してn型LDD領域を形成する第5の工程
と、上記pMISFET形成領域において、上記各ゲー
ト電極をマスクとしてn型不純物イオンを上記半導体基
板内に注入してn型ポケット領域を形成する一方、上記
n型ポケット領域に囲まれる領域にp型不純物イオンを
注入してp型LDD領域を形成する第6の工程と、上記
各ゲート電極の各側面上に絶縁体サイドウォールを形成
する第7の工程と、上記nMISFET形成領域におい
ては上記各ゲート電極及び上記各絶縁体サイドウォール
をマスクとして高濃度のn型不純物イオンを上記半導体
基板内に注入する一方、上記pMISFET形成領域に
おいては上記各ゲート電極及び上記各絶縁体サイドウォ
ールをマスクとして高濃度のp型不純物イオンを上記半
導体基板内に注入して、各MISFETのソース・ドレ
イン領域を形成する第8の工程とを備えている。
【0089】この方法により、請求項7に記載されてい
る構造を有するMT−CMOSデバイスが得られる。そ
の際、従来のMT−CMOSデバイスの製造方法では反
転電圧の制御のために4枚のフォトマスクを必要とする
のに対し、この方法では同工程におけるフォトマスクが
2枚で済むので、製造工程が簡略化され、製造コストも
低減される。
【0090】本発明に係る第3の半導体装置の製造方法
は、請求項29に記載されているように、半導体基板に
第1n,第2nMISFETと第1,第2pMISFE
Tとを形成するための半導体装置の製造方法であって、
nMISFET形成領域に第2nMISFETのVT制
御レベル濃度のp型不純物を含むp型基板領域を形成
し、pMISFET形成領域に第2pMISFETのV
T制御レベル濃度のn型不純物を含むn型基板領域を形
成する第1の工程と、上記p型基板領域のうち第1nM
ISFET形成領域のみにp型不純物をさらに導入する
一方、上記n型基板領域のうち第1pMISFET形成
領域のみにn型不純物を導入して、上記第1nMISF
ET及び第1pMISFETのVT制御レベル濃度の不
純物を含むp型チャネル領域及びn型チャネル領域をそ
れぞれ形成する第2の工程と、上記各MISFET形成
領域内の半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する第3の
工程と、上記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する第
4の工程と、上記nMISFET形成領域において、上
記各ゲート電極をマスクとしてn型不純物を上記半導体
基板内に注入して、各nMISFETのポケット領域を
形成する第5の工程と、上記nMISFET形成領域及
びpMISFET形成領域において、上記各ゲート電極
をマスクとして低濃度のn型不純物のイオンを半導体基
板内に注入し、nMISFET形成領域にn型LDD領
域を形成する一方、pMISFET形成領域にn型ポケ
ット領域を形成する第6の工程と、上記各ゲート電極の
各側面上に絶縁体サイドウォールを形成する第7の工程
と、上記nMISFET形成領域においては上記各ゲー
ト電極及び上記各絶縁体サイドウォールをマスクとして
高濃度のn型不純物イオンを上記半導体基板内に注入す
る一方、上記pMISFET形成領域においては上記各
ゲート電極及び上記各絶縁体サイドウォールをマスクと
して高濃度のp型不純物イオンを上記半導体基板内に注
入して、各MISFETのソース・ドレイン領域を形成
する第8の工程とを備えている。
【0091】この方法により、請求項3に記載されてい
る構造を有するMT−CMOSデバイスが形成される。
その際、上記第2の半導体装置の製造方法よりもさらに
2枚分フォトマスク数を低減することができ、製造コス
トが大幅に低減される。
【0092】本発明に係る第4の半導体装置の製造方法
は、請求項30に記載されているように、半導体基板に
第1n,第2nMISFETと第1,第2pMISFE
Tとを形成するための半導体装置の製造方法であって、
nMISFET形成領域に第2nMISFETのVT制
御レベル濃度のp型不純物を含むp型基板領域を形成
し、pMISFET形成領域に第2pMISFETのV
T制御レベル濃度のn型不純物を含むn型基板領域を形
成する第1の工程と、上記p型基板領域のうち第1nM
ISFET形成領域のみにp型不純物をさらに導入する
一方、上記n型基板領域のうち第1pMISFET形成
領域のみにn型不純物を導入して、上記第1nMISF
ET及び第1pMISFETのVT制御レベル濃度の不
純物を含むp型チャネル領域及びn型チャネル領域をそ
れぞれ形成する第2の工程と、上記各MISFET形成
領域内の半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する第3の
工程と、上記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する第
4の工程と、上記pMISFET形成領域において、上
記各ゲート電極をマスクとしてn型不純物のイオンを半
導体基板内に注入して、ポケット領域を形成する第5の
工程と、上記nMISFET形成領域及びpMISFE
T形成領域において、上記各ゲート電極をマスクとして
低濃度のp型不純物のイオンを半導体基板内に注入し
て、pMISFET形成領域にp型LDD領域を形成す
る一方、nMISFET形成領域にp型ポケット領域を
形成する第6の工程と、上記各ゲート電極の各側面上に
絶縁体サイドウォールを形成する第7の工程と、上記n
MISFET形成領域においては上記各ゲート電極及び
上記各絶縁体サイドウォールをマスクとして高濃度のn
型不純物イオンを上記半導体基板内に注入する一方、上
記pMISFET形成領域においては上記各ゲート電極
及び上記各絶縁体サイドウォールをマスクとして高濃度
のp型不純物イオンを上記半導体基板内に注入して、各
MISFETのソース・ドレイン領域を形成する第8の
工程とを備えている。
【0093】この方法により、請求項3に記載されてい
る構造を有するMT−CMOSデバイスが形成される。
その際、上記第2の半導体装置の製造方法よりもさらに
2枚分フォトマスク数を低減することができ、製造コス
トが大幅に低減される。
【0094】本発明に係る第5の半導体装置の製造方法
は、請求項31に記載されているように、半導体基板に
第1MISFETと第2MISFETとを形成する半導
体装置の製造方法であって、上記各MISFET形成領
域に第2MISFETのVT制御レベル濃度の第1導電
型不純物を含む基板領域を形成する第1の工程と、上記
基板領域のうち第1MISFET形成領域のみにさらに
第1導電型不純物を導入して第1MISFETのVT制
御レベル濃度の第1導電型不純物を含むチャネル領域を
形成する第2の工程と、上記各MISFET形成領域内
の半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する第3の工程
と、上記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する第4の
工程と、上記ゲート電極の各側面上に絶縁体サイドウォ
ールを形成する第5の工程と、上記ゲート電極及び上記
各絶縁体サイドウォールをマスクとして高濃度の第2導
電型不純物のイオンを半導体基板内に注入して、上記各
MISFET形成領域にソース・ドレイン領域を形成す
る第6の工程と、上記各絶縁体サイドウォールを除去す
る第7の工程と、上記ゲート電極及びソース・ドレイン
領域の上にシリサイド膜を形成する第8の工程と、上記
各シリサイド膜をマスクとして第1導電型不純物のイオ
ンを半導体基板内に注入して、上記各MISFET形成
領域にポケット領域を形成する第9の工程と、上記各シ
リサイド層をマスクとして低濃度の第2導電型不純物の
イオンを半導体基板中に注入して、上記ポケット領域に
囲まれる領域にLDD領域を形成する第10の工程とを
備えている。
【0095】この方法により、請求項9に記載されてい
る構造を有するMT−MOSデバイスが形成される。
【0096】本発明に係る第6の半導体装置の製造方法
は、請求項32に記載されているように、半導体基板に
第1MISFETと第2MISFETとを形成する半導
体装置の製造方法であって、各MISFET形成領域に
上記各MISFETのVT制御レベル濃度の第1導電型
不純物を含む基板領域を形成する第1の工程と、上記各
MISFET形成領域内の半導体基板上にゲート絶縁膜
を形成する第2の工程と、上記ゲート絶縁膜上にゲート
電極を形成する第3の工程と、上記ゲート電極をマスク
として上記各MISFET形成領域の上記半導体基板内
に低濃度の第2導電型不純物イオンを注入して、各MI
SFETの低濃度ソース・ドレイン領域を形成する第4
の工程と、上記各ゲート電極をマスクとして上記各MI
SFET形成領域の上記半導体基板内に第1導電型不純
物イオンを注入して、上記低濃度ソース・ドレイン領域
と上記基板領域との間に各MISFETのポケット領域
を形成する第5の工程と、上記第1MISFET形成領
域において、上記ゲート電極をマスクとして上記ポケッ
ト領域にさらに第1導電型不純物を注入して、上記第1
MISFETのポケット領域における第1導電型キャリ
アの濃度を上記第2MISFETのポケット領域におけ
る第1導電型キャリアの濃度よりも濃くする第6の工程
と、上記各MISFET形成領域の上記ゲート電極の各
側面上に絶縁体サイドウォールを形成する第7の工程
と、上記各MISFET形成領域において、上記ゲート
電極及び上記各絶縁体サイドウォールをマスクとして上
記半導体基板内に高濃度の第2導電型不純物のイオンを
注入して、各MISFETの高濃度ソース・ドレイン領
域を形成する第8の工程とを備えている。
【0097】この方法により、第5の半導体装置の構造
を有するMT−MOSデバイスが得られる。特に、従来
のMT−MOSデバイスの製造方法では反転電圧の制御
のために2枚のフォトマスクを必要とするのに対し、こ
の方法では、第6の工程におけるフォトマスク1枚だけ
で2種類の反転電圧を有するMISFETを形成できる
ので、製造工程が簡略化され製造コストも低減される。
【0098】請求項33に記載されているように、請求
項32において、上記第6の工程では、上記半導体基板
に垂直な方向に対して上記ゲート電極に対向する側に大
きく傾いた方向から第1導電型不純物イオンを注入する
ことができる。
【0099】この方法により、第1MISFETのポケ
ット領域がゲート電極の側に大きく入り込んだ形状とな
り、第2MISFETのポケット領域よりも幅が広くな
る。したがって、簡素な工程で第6の半導体装置の構造
を有するMT−MOSデバイスが得られることになる。
【0100】本発明に係る第7の半導体装置の製造方法
は、請求項34に記載されているように、半導体基板に
第1MISFETと第2MISFETとを形成する半導
体装置の製造方法であって、各MISFET形成領域に
上記各MISFETのVT制御レベル濃度の第1導電型
不純物を含む基板領域を形成する第1の工程と、上記各
MISFET形成領域内の半導体基板上にゲート絶縁膜
を形成する第2の工程と、上記ゲート絶縁膜上にゲート
電極を形成する第3の工程と、 上記各MISFET形
成領域において、上記ゲート電極をマスクとして上記半
導体基板内に低濃度の第2導電型不純物イオンを注入し
て、各MISFETの低濃度ソース・ドレイン領域を形
成する第4の工程と、上記各MISFET形成領域にお
いて、上記各ゲート電極をマスクとして上記半導体基板
内に第1導電型不純物イオンを注入して、上記低濃度ソ
ース・ドレイン領域と上記基板領域との間にポケット領
域を形成する第5の工程と、上記各MISFET形成領
域の上記ゲート電極の各側面上に絶縁体サイドウォール
を形成する第6の工程と、上記各MISFET形成領域
において、上記ゲート電極及び上記各絶縁体サイドウォ
ールをマスクとして上記半導体基板内に高濃度の第2導
電型不純物のイオンを注入して、高濃度ソース・ドレイ
ン領域を形成する第7の工程と、上記第1MISFET
形成領域において、上記ゲート電極及び上記半導体基板
内に窒素イオンを注入する第8の工程と、上記半導体基
板を熱処理することにより、少なくとも上記第2MIS
FETの上記ゲート電極中の第2導電型不純物を上記ゲ
ート絶縁膜を通して上記半導体基板内に拡散させて、上
記第2MISFETのポケット領域における第1導電型
キャリアの濃度を上記第1MISFETのポケット領域
における第1導電型キャリアの濃度よりも低くする第9
の工程とを備えている。
【0101】請求項35に記載されているように、請求
項34において、上記第7の工程では、第2導電型不純
物として、少なくともボロンを含む不純物のイオンを注
入することができる。
【0102】請求項34,35の方法により、第9の工
程において、第7の工程でゲート電極に注入された第2
導電型不純物がゲート電極下方のポケット領域に拡散し
ようとする。その際、第1MISFET形成領域では、
ゲート電極に注入された窒素イオンによって第2導電型
不純物の拡散が妨げられる。したがって、第2MISF
ETのポケット領域における第1導電型キャリアの濃度
が特に薄くなり、第5の半導体装置の構造を有するMT
−MOSデバイスが得られる。そして、この方法では、
第8の工程におけるフォトマスク1枚だけで2種類の反
転電圧を有するMISFETを形成できるので、製造工
程が簡略化され製造コストも低減される。
【0103】本発明に係る第8の半導体装置の製造方法
は、請求項36に記載されているように、半導体基板に
第1MISFETと第2MISFETとを形成する半導
体装置の製造方法であって、各MISFET形成領域に
上記各MISFETのVT制御レベル濃度の第1導電型
不純物を含む基板領域を形成する第1の工程と、上記各
MISFET形成領域内の半導体基板上にゲート絶縁膜
を形成する第2の工程と、上記ゲート絶縁膜上にゲート
電極を形成する第3の工程と、上記各MISFET形成
領域において、上記ゲート電極をマスクとして上記半導
体基板内に低濃度の第2導電型不純物イオンを注入し
て、低濃度ソース・ドレイン領域を形成する第4の工程
と、上記各MISFET形成領域において、上記各ゲー
ト電極をマスクとして上記半導体基板内に第1導電型不
純物イオンを注入して、上記低濃度ソース・ドレイン領
域と上記基板領域との間にポケット領域を形成する第5
の工程と、上記各MISFET形成領域の上記ゲート電
極の各側面上に絶縁体サイドウォールを形成する第6の
工程と、上記各MISFET形成領域において、上記ゲ
ート電極及び上記各絶縁体サイドウォールをマスクとし
て上記半導体基板内に高濃度の第2導電型不純物のイオ
ンを注入して、高濃度ソース・ドレイン領域を形成する
第7の工程と、上記第2MISFET形成領域におい
て、上記ゲート電極及び上記半導体基板内に少なくとも
フッ素を含む不純物のイオンを注入する第8の工程と、
上記半導体基板を熱処理することにより、上記各MIS
FETにおいて上記ゲート電極中の第2導電型不純物を
上記ゲート絶縁膜を通して上記半導体基板内に拡散させ
て、上記第2MISFETのポケット領域における第1
導電型キャリアの濃度を上記第1MISFETのポケッ
ト領域における第1導電型キャリアの濃度よりも薄くす
る第9の工程とを備えている。
【0104】請求項37に記載されているように、請求
項36において、上記第7の工程では、第2導電型不純
物として、少なくともボロンを含む不純物のイオンを注
入することができる。
【0105】請求項36,37の方法により、第9の工
程において、第7の工程でゲート電極に注入された第2
導電型不純物がゲート電極下方のポケット領域に拡散し
ようとする。その際、第2MISFET形成領域では、
ゲート電極に注入されたフッ素イオンによって第2導電
型不純物の拡散が促進される。したがって、第2MIS
FETのポケット領域における第1導電型キャリアの濃
度が特に薄くなり、第5の半導体装置の構造を有するM
T−MOSデバイスが得られる。この方法でも、第8の
工程におけるフォトマスク1枚だけで2種類の反転電圧
を有するMISFETを形成できるので、製造工程が簡
略化され製造コストも低減される。
【0106】本発明に係る第9の半導体装置の製造方法
は、請求項38に記載されているように、半導体基板に
第1MISFETと第2MISFETとを形成する半導
体装置の製造方法であって、各MISFET形成領域に
上記各MISFETのVT制御レベル濃度の第1導電型
不純物を含む基板領域を形成する第1の工程と、上記各
MISFET形成領域内の半導体基板上にゲート絶縁膜
を形成する第2の工程と、上記ゲート絶縁膜上にゲート
電極を形成する第3の工程と、上記各MISFET形成
領域において、上記ゲート電極をマスクとして上記半導
体基板内に低濃度の第2導電型不純物イオンを注入し
て、低濃度ソース・ドレイン領域を形成する第4の工程
と、上記各MISFET形成領域において、上記ゲート
電極をマスクとして上記半導体基板内に第1導電型不純
物イオンを注入して、上記低濃度ソース・ドレイン領域
と上記基板領域との間にポケット領域を形成する第5の
工程と、上記各MISFET形成領域において上記各ゲ
ート電極の各側面上に絶縁体サイドウォールを形成する
第6の工程と、上記各MISFET形成領域において、
上記ゲート電極及び上記各絶縁体サイドウォールをマス
クとして上記半導体基板内に高濃度の第2導電型不純物
のイオンを注入して、高濃度ソース・ドレイン領域を形
成する第7の工程と、上記第2MISFET形成領域に
おいて、上記ゲート電極及び上記半導体基板内に第2導
電型不純物のイオンを注入する第8の工程と、上記半導
体基板を熱処理することにより、上記各ゲート電極中の
第2導電型不純物を上記ゲート絶縁膜を通して上記半導
体基板内に拡散させて、上記第2MISFETのポケッ
ト領域における第1導電型キャリアの濃度を上記第1M
ISFETのポケット領域における第1導電型キャリア
の濃度よりも薄くする第9の工程とを備えている。
【0107】請求項39に記載されているように、請求
項38において、上記第7の工程では、第2導電型不純
物として、少なくともボロンを含む不純物のイオンを注
入することができる。
【0108】請求項38,39の方法により、第9の工
程において、第1MISFET形成領域では第7の工程
で、第2MISFET形成領域では第7及び第8の工程
で、それぞれゲート電極に注入された第2導電型不純物
がゲート電極下方のポケット領域に拡散しようとする。
その際、第2MISFET形成領域では、ゲート電極に
注入された第2導電型不純物の濃度が濃いので、拡散量
も多くなる。その結果、第2MISFETのポケット領
域における第1導電型キャリアの濃度が特に薄くなり、
第5の半導体装置の構造を有するMT−MOSデバイス
が得られる。また、これらの方法でも、第8の工程にお
けるフォトマスク1枚だけで2種類の反転電圧を有する
MISFETを形成できるので、製造工程が簡略化され
製造コストも低減される。
【0109】本発明に係る第10の半導体装置の製造方
法は、請求項40に記載されているように、半導体基板
に第1MISFETと第2MISFETとを形成する半
導体装置の製造方法であって、各MISFET形成領域
に上記各MISFETのVT制御レベル濃度の第1導電
型不純物を含む基板領域を形成する第1の工程と、上記
各MISFET形成領域内の半導体基板上にゲート絶縁
膜を形成する第2の工程と、上記ゲート絶縁膜上にゲー
ト電極を形成する第3の工程と、上記各ゲート電極の各
側面上に絶縁体サイドウォールを形成する第4の工程
と、上記各MISFET形成領域において、上記ゲート
電極及び上記各絶縁体サイドウォールをマスクとして上
記半導体基板内に高濃度の第2導電型不純物のイオンを
注入して、高濃度ソース・ドレイン領域を形成する第5
の工程と、上記各絶縁体サイドウォールを除去する第6
の工程と、上記各MISFET形成領域において、上記
ゲート電極及び上記高濃度ソース・ドレイン領域の上に
シリサイド膜を形成する第7の工程と、上記各MISF
ET形成領域において、上記各シリサイド膜をマスクと
して上記半導体基板内に低濃度の第2導電型不純物のイ
オンを注入して、上記高濃度ソース・ドレイン領域と上
記基板領域との間に低濃度ソース・ドレイン領域を形成
する第8の工程と、上記各MISFET形成領域におい
て、上記各シリサイド膜をマスクとして上記半導体基板
内に第1導電型不純物のイオンを注入して、上記低濃度
ソース・ドレイン領域と基板領域との間にポケット領域
を形成する第9の工程と、上記第1MISFET形成領
域において、上記各シリサイド層をマスクとして上記半
導体基板内に第1導電型不純物のイオンを注入して、上
記第1MISFETのポケット領域における第1導電型
キャリアの濃度を上記第2MISFETのポケット領域
における第1導電型キャリアの濃度よりも濃くする第1
0の工程とを備えている。
【0110】この方法により、第3の半導体装置の構造
を有するMT−MOSデバイスが形成される。その際、
第10の工程におけるフォトマスク1枚だけで2種類の
反転電圧を有するMISFETを形成できるので、製造
工程が簡略化され製造コストも低減される。
【0111】本発明に係る第11の半導体装置の製造方
法は、請求項41に記載されるように、半導体基板内の
nMISFET形成領域の上にゲート絶縁膜を形成する
第1の工程と、上記ゲート絶縁膜の上にゲート電極を形
成する第2の工程と、上記nMISFET形成領域内に
おいて、上記ゲート電極と、上記半導体基板内の上記ゲ
ート電極の両側方に位置する領域とに少なくともフッ素
を含む不純物を導入する第3の工程と、上記第3の工程
の後又は前に、上記nMISFET形成領域内におい
て、上記ゲート電極と上記半導体基板内の上記ゲート電
極の両側方に位置する領域とに燐を導入する第4の工程
と、上記第3及び第4の工程の後に、熱処理により上記
燐を拡散,活性化させて、上記ゲート電極を低抵抗のn
型ゲート電極にするとともに上記半導体基板内の上記ゲ
ート電極の両側方に位置する領域にn型ソース・ドレイ
ン領域を形成する第5の工程とを備えている。
【0112】この方法により、nMISFETのソース
・ドレイン領域が、砒素よりもイオン半径の小さい燐を
導入して形成されているために、結晶欠陥が少なくな
り、ジャンクションにおけるリーク電流が低減される。
また、砒素に比べると燐のソース・ドレイン領域におけ
る濃度分布はなだらかとなるので、ドレイン領域におけ
る電界は小さくなり、GIDL電流が低減される。しか
も、ソース・ドレイン領域にフッ素が導入されているの
で、燐の拡散が抑制されショートチャネル効果の発生を
抑制することができる。また、電界のドレイン領域近傍
への集中が緩和され、ホットキャリアの発生に起因する
特性の劣化を有効に防止できる。すなわち、上述の問題
点3〜6が解消する。また、nMISFETのゲート電
極に燐が導入されているので、砒素が導入されている場
合に比べ、ゲート電極の空乏化を抑制することができ、
ゲート電極の低抵抗によりトランジスタの駆動力が向上
する。
【0113】請求項42に記載されるように、請求項4
1において、上記第2の工程の後、上記第3及び第4の
工程の前に、上記ゲート電極と上記半導体基板内の上記
ゲート電極の両側方に位置する領域とに低濃度のn型不
純物を導入する工程と、上記低濃度のn型不純物を導入
した後に上記ゲート電極の両側面上に絶縁体サイドウォ
ールを形成する工程とをさらに備え、上記第4の工程
は、上記絶縁体サイドウォールをマスクとして行うこと
ができる。
【0114】この方法により、より微細化に適したいわ
ゆるLDD構造を有するnMISFETが形成される。
【0115】請求項43に記載されるように、請求項4
1において、上記第1及び第2の工程では、上記半導体
基板内のpMISFET形成領域の上にも上記nMIS
FET形成領域におけると同じゲート絶縁膜及びゲート
電極を形成し、上記第2の工程の後上記第5の工程の前
に、上記pMISFET形成領域において上記ゲート電
極と上記半導体基板内の上記ゲート電極の両側方に位置
する領域とにp型不純物を導入する工程をさらに備え、
上記第5の工程では、上記pMISFET形成領域内の
p型不純物を拡散,活性化させて、上記ゲート電極を低
抵抗のp型ゲート電極にするとともに上記半導体基板内
の上記ゲート電極の両側方に位置する領域にp型ソース
・ドレイン領域を形成することができる。
【0116】この方法により、CMISデバイスが形成
されるが、nMISFETのゲート電極に燐が導入され
ているので、不純物の活性化のための熱処理条件を緩や
かにしてもゲート電極の空乏化を招くことはない。した
がって、nMISFETにおけるゲート電極の空乏化と
pMISFETのゲート電極におけるホウ素の突き抜け
とを同時に防止することができる。また、nMISFE
Tのソース・ドレイン領域とpMISFETのソース・
ドレイン領域とがほぼ同じ深さや実効チャネル長を有す
るように形成することが容易となる。したがって、性能
面でpMISFETとnMISFETとのバランスがよ
くなる。すなわち、上記問題点7及び8が解消すること
になる。
【0117】請求項44に記載されるように、請求項4
3において、上記第2の工程の後、上記第3及び第4の
工程の前に、上記nMISFET形成領域において、上
記ゲート電極と上記半導体基板内の上記ゲート電極の両
側方に位置する領域とに低濃度のn型不純物を導入する
工程と、上記pMISFET形成領域において、上記ゲ
ート電極と上記半導体基板内の上記ゲート電極の両側方
に位置する領域とに低濃度のp型不純物を導入する工程
と、上記低濃度の不純物を導入した後に上記ゲート電極
の両側面上に絶縁体サイドウォールを形成する工程とを
さらに備え、上記第4の工程及びp型不純物を導入する
工程は、上記絶縁体サイドウォールをマスクとして行う
ことができる。
【0118】この方法により、より微細化に適したいわ
ゆるLDD構造を有するCMISデバイスが形成され
る。
【0119】請求項45に記載されるように、請求項4
3又は44において、上記p型不純物は、ホウ素のみで
あることが好ましい。
【0120】この方法により、pMISFETのゲート
電極におけるホウ素の拡散が促進されるフッ素が存在し
ないので、ゲート電極におけるホウ素の突き抜けをより
確実に防止することができる。
【0121】請求項46に記載されるように、請求項4
1において、上記第3の工程では少なくともフッ素を含
む不純物の導入をフッ化ゲルマニウムイオンの注入によ
り行い、上記第4の工程を上記第3の工程の後に行い、
かつ燐の導入を燐イオンの注入により行うことができ
る。
【0122】この方法により、ゲルマニウムの注入に伴
うゲート電極及び半導体基板の非晶質化によって燐イオ
ンの注入時におけるチャネリングを防止することができ
る。したがって、フッ素による燐の拡散防止機能に加
え、燐の注入深さを浅くすることで、n型MISトラン
ジスタのソース・ドレイン領域の形状をより適正なもの
に調整することができる。
【0123】請求項47に記載されるように、請求項4
6において、上記第1及び第2の工程では、上記半導体
基板内のpMISFET形成領域の上にも上記nMIS
FET形成領域におけると同じゲート絶縁膜及びゲート
電極を形成し、上記第3の工程では、上記nMISFE
T形成領域及び上記pMISFET形成領域において、
上記ゲート電極と上記半導体基板内の上記ゲート電極の
両側方に位置する領域とにフッ化ゲルマニウムを導入
し、上記第3の工程の後上記第5の工程の前に、上記p
MISFET形成領域において、上記ゲート電極と上記
半導体基板内の上記ゲート電極の両側方に位置する領域
とにp型不純物イオンを注入する工程をさらに備え、上
記第5の工程では、上記pMISFET形成領域内のp
型不純物を拡散,活性化させて、上記ゲート電極を低抵
抗のp型ゲート電極にするとともに上記半導体基板内の
上記ゲート電極の両側方に位置する領域にp型ソース・
ドレイン領域を形成することができる。
【0124】請求項48に記載されるように、請求項4
6において、上記第1及び第2の工程では、上記半導体
基板内のpMISFET形成領域の上にも上記nMIS
FET形成領域におけると同じゲート絶縁膜及びゲート
電極を形成し、上記第3の工程では、上記nMISFE
T形成領域及び上記pMISFET形成領域において、
上記ゲート電極と上記半導体基板内の上記ゲート電極の
両側方に位置する領域とにフッ化ゲルマニウムを導入
し、上記第3の工程の後上記第5の工程の前に、上記p
MISFET形成領域において上記ゲート電極と上記半
導体基板内の上記ゲート電極の両側方に位置する領域と
にp型不純物イオンを注入する工程をさらに備え、上記
第5の工程では、上記pMISFET形成領域内のp型
不純物を拡散,活性化させて、上記ゲート電極を低抵抗
のp型ゲート電極にするとともに上記半導体基板内の上
記ゲート電極の両側方に位置する領域にp型ソース・ド
レイン領域を形成することができる。
【0125】請求項47又は48の方法により、駆動力
が高くかつ特性の良好なnMISFETと、ゲート電極
におけるホウ素の突き抜けのないpMISFETとを搭
載したCMISデバイスを容易に形成することができ
る。
【0126】本発明に係る第12の半導体装置の製造方
法は、請求項49に記載されているように、半導体基板
に第1n,第2nMISFETと第1,第2pMISF
ETとを形成するための半導体装置の製造方法であっ
て、第1,第2nMISFET形成領域の少なくともチ
ャネル領域となる領域にp型不純物を同時に導入する第
1の工程と、第1,第2pMISFET形成領域の少な
くともチャネル領域となる領域にn型不純物を同時に導
入する第2の工程と、上記第2nMISFET形成領域
及び第1pMISFET形成領域を覆い、上記第1nM
ISFET形成領域及び上記第2pMISFET形成領
域を開口したマスク部材を用いて、上記第1nMISF
ET形成領域及び第2pMISFET形成領域の少なく
ともチャネル領域となる領域にp型不純物を導入する第
3の工程と、上記各MISFET形成領域内の半導体基
板上にゲート絶縁膜を形成する第4の工程と、上記ゲー
ト絶縁膜上にゲート電極を形成する第5の工程と、上記
各nMISFET形成領域において、上記各ゲート電極
をマスクとしてn型不純物イオンを上記半導体基板内に
注入してn型ソース・ドレイン領域を形成する一方、上
記pMISFET形成領域において、上記各ゲート電極
をマスクとしてp型不純物イオンを上記半導体基板内に
注入してp型ソース・ドレイン領域を形成する第6の工
程とを備えている。
【0127】この方法により、第1nMISFETのチ
ャネル領域にはp型不純物が追加注入されるので、第1
nMISFETのチャネル領域におけるp型キャリアの
濃度が濃くなり、その結果、第2nMISFETよりも
第1nMISFETの方が高い反転電圧を有することに
なる。一方、第2pMISFETのチャネル領域にはp
型不純物がカウンタドープされるので、第1pMISF
ETのチャネル領域におけるn型キャリアの濃度が薄く
なり、その結果、第2pMISFETよりも第1pMI
SFETの方が高い反転電圧を有することになる。すな
わち、互いに反転電圧の異なる2種類のnMISFET
及びpMISFETからなるMT−CMISデバイスが
形成されることになる。また、第2pMISFETのチ
ャネル領域におけるn型不純物の濃度は第1pMISF
ETのチャネル領域におけるn型不純物の濃度と同じな
ので、耐圧が大きく、かつ短チャネル効果抑制機能も高
いMT−デバイスが得られる。しかも、異なる反転電圧
を有するそれぞれ2つのnMISFETとpMISFE
Tを形成するためのマスクの製造工程を低減することが
できる。
【0128】本発明に係る第13の半導体装置の製造方
法は、請求項50に記載されているように、半導体基板
に第1n,第2nMISFETと第1,第2pMISF
ETとを形成するための半導体装置の製造方法であっ
て、第1,第2nMISFET形成領域の少なくともチ
ャネル領域となる領域にp型不純物を同時に導入する第
1の工程と、第1,第2pMISFET形成領域の少な
くともチャネル領域となる領域にn型不純物を同時に導
入する第2の工程と、上記第1nMISFET形成領域
及び第2pMISFET形成領域を覆い、上記第2nM
ISFET形成領域及び上記第1pMISFET形成領
域を開口したマスク部材を用いて、上記第2nMISF
ET形成領域及び第1pMISFET形成領域の少なく
ともチャネル領域となる領域にn型不純物を導入する第
3の工程と、上記各MISFET形成領域内の半導体基
板上にゲート絶縁膜を形成する第4の工程と、上記ゲー
ト絶縁膜上にゲート電極を形成する第5の工程と、上記
各nMISFET形成領域において、上記各ゲート電極
をマスクとしてn型不純物イオンを上記半導体基板内に
注入してn型ソース・ドレイン領域を形成する一方、上
記pMISFET形成領域において、上記各ゲート電極
をマスクとしてp型不純物イオンを上記半導体基板内に
注入してp型ソース・ドレイン領域を形成する第6の工
程とを備えている。
【0129】この方法により、第1pMISFETのチ
ャネル領域にはn型不純物が追加注入されるので、第1
pMISFETのチャネル領域におけるn型キャリアの
濃度が濃くなり、その結果、第2pMISFETよりも
第1pMISFETの方が高い反転電圧を有することに
なる。一方、第2nMISFETのチャネル領域にはp
型不純物がカウンタドープされるので、第2nMISF
ETのチャネル領域におけるn型キャリアの濃度が薄く
なり、その結果、第2nMISFETよりも第1nMI
SFETの方が高い反転電圧を有することになる。すな
わち、互いに反転電圧の異なる2種類のnMISFET
及びpMISFETからなるMT−CMISデバイスが
形成されることになる。また、第2nMISFETのチ
ャネル領域におけるp型不純物の濃度は第1nMISF
ETのチャネル領域におけるp型不純物の濃度と同じな
ので、耐圧が大きく、かつ短チャネル効果抑制機能も高
いMT−デバイスが得られる。しかも、異なる反転電圧
を有するそれぞれ2つのnMISFETとpMISFE
Tを形成するためのマスクの製造工程を低減することが
できる。
【0130】本発明に係る第14の半導体装置の製造方
法は、請求項51に記載されているように、半導体基板
に第1MISFETと第2MISFETとを形成する半
導体装置の製造方法であって、各MISFET形成領域
の少なくともチャネル領域となる領域に第1導電型不純
物を導入する第1の工程と、上記各MISFET形成領
域内の半導体基板上に酸化膜からなるゲート絶縁膜を形
成する第2の工程と、上記ゲート絶縁膜上にゲート電極
を形成する第3の工程と、上記第2MISFET形成領
域において、少なくともゲート電極内に窒素を導入する
第3の工程と、熱処理により、上記第2MISFETの
ゲート電極中の窒素を拡散させて、上記ゲート絶縁膜を
窒化酸化膜にする第4の工程と、上記各MISFET形
成領域において、上記各ゲート電極をマスクとして不純
物イオンを上記半導体基板内に注入してソース・ドレイ
ン領域を形成する第5の工程とを備えている。
【0131】この方法により、第2MISFETのゲー
ト絶縁膜が誘電率の高い窒化酸化膜で構成されるので、
第2MISFETの反転電圧が低下し、その結果、第2
MISFETよりも第1MISFETの方が高い反転電
圧を有するMT−デバイスが形成されることになる。
【0132】
【発明の実施の形態】以下の各実施形態では、ゲート絶
縁膜が酸化膜である代表的な場合、つまりMOSFET
を有する半導体装置についての実施形態を説明するが、
本発明はMOSFETに限定されるものではなく、ゲー
ト絶縁膜が酸窒化膜や窒化膜などについても適用できる
ものである。
【0133】(第1の実施形態)以下、第1の実施形態
について、図1,図2及び図3(a)〜(d)を参照し
ながら説明する。
【0134】図1は、第1の実施形態に係るMT−nM
OSデバイスの断面図である。図1に示すように、p型
不純物がドープされたシリコン単結晶からなる半導体基
板1の表面付近の領域は、酸化膜からなる素子分離3に
より、多数の活性領域に区画されている。各活性領域に
は、高反転電圧型の第1nMOSFETを形成するため
の第1nMOSFET形成領域Rn1と、低反転電圧型の
第2nMOSFETを形成するための第2nMOSFE
T形成領域Rn2とが設けられている。第1及び第2nM
OSFET形成領域Rn1,Rn2には、シリコン酸化膜か
らなるゲート絶縁膜7と、該ゲート絶縁膜7の上に設け
られたポリシリコン膜からなるゲート電極8と、該ゲー
ト電極8の各側面上に形成されたシリコン酸化膜からな
る絶縁体サイドウォール13とが設けられている。そし
て、第1nMOSFET形成領域Rn1においては、ゲー
ト電極8の下方に、半導体基板1内の不純物濃度よりも
高濃度のVT制御用p型不純物が注入されてチャネル領
域4が形成されている。また、各活性領域及び素子分離
の下方の領域が基板領域1aとなっており、第2nMO
SFET形成領域Rn2においては、ゲート絶縁膜7の直
下方の基板領域1aがチャネル領域として機能する。
【0135】そして、各nMOSFET形成領域Rn1,
Rn2において、半導体基板1内のゲート電極8の両側に
位置する領域には、各々1対の、高濃度のn型不純物を
注入して形成されるn+ 型のソース・ドレイン領域14
と、チャネル領域−各ソース・ドレイン領域14間に形
成され低濃度n型不純物を含むn- 型のLDD領域11
と、LDD領域11及びソース・ドレイン領域14を囲
むように形成されパンチスルーストッパとなるp型のポ
ケット領域9とが形成されている。以上のように、第1
nMOSFET形成領域Rn1に形成される第1nMOS
FETは、チャネル領域4における不純物濃度が高いた
めに反転電圧が高くなり、第2nMOSFET形成領域
Rn2に形成されるMOSFETはチャネル領域となる半
導体基板1における不純物濃度が低いので、反転電圧が
低くなる。
【0136】なお、図1に示す構造において、本実施形
態では第2nMOSFETのチャネル領域を半導体基板
1自体つまり基板領域1aで構成したが、p型ウエルに
より構成してもよい。そして、本実施形態では、第1及
び第2nMOSFET形成領域Rn1,Rn2における基板
領域1aは共通の領域となっているが、第1及び第2n
MOSFET形成領域Rn1,Rn2の基板領域が互いに不
純物濃度が異なる領域となるように仕切られていてもよ
い。
【0137】したがって、本実施形態に係るMT−nM
OSデバイスの構造では、第n1MOSFETの反転電
圧はチャネル領域4とポケット領域9におけるp型不純
物の濃度により決定され、第2nMOSFETの反転電
圧はチャネル領域となる基板領域1aとポケット領域9
におけるp型不純物の濃度により決定される。その場
合、ポケット領域9を設けたnMOSFETにおいて
は、チャネル領域の不純物濃度を通常のnMOSFET
より低くしても、ポケット領域9の存在によりパンチス
ルーや短チャネル効果を抑制できるので、不具合は生じ
ない。そして、チャネル領域の不純物濃度を低くするこ
とにより、ゲート絶縁膜7直下の空乏層の延びが大きく
なり、空乏層容量が小さくなる。したがって、サブスレ
ッショルド特性が良好となり、リーク電流を低減するこ
とができる。この効果は第2nMOSFETにおいてよ
り顕著である。
【0138】図2は、図1の構造を有するMT−nMO
Sデバイスの基板領域1aに基板バイアス−2Vを印加
した状態を示す断面図である。なお、MT−pMOSデ
バイスの場合には、正の基板バイアス(例えば2V程
度)を印加する。一般に、負の基板バイアスをnMOS
FETに印加するか、あるいは正の基板バイアスをpM
OSFETに印加すると、反転電圧は増大する。そし
て、基板バイアスの増大に対する反転電圧の増大率を示
す比例定数は、基板効果定数と呼ばれる。この基板効果
定数はMOSFETのチャネル領域の不純物濃度にほぼ
比例するので、本実施形態では、第1nMOSFETの
方が第2nMOSFETよりも基板効果定数が大きい。
つまり、同じ基板バイアスをかけたときは第1nMOS
FETの方が反転電圧が大きく正の方向にシフトする。
これは基板バイアスをかけることにより第1nMOSF
ETと第2nMOSFETとの反転電圧の差がさらに大
きくなることを意味し、MT−MOSデバイスの利点で
ある高速性、低消費電力性などの特性がさらに向上す
る。
【0139】加えて、基板バイアスをかけると外部から
の雑音に強くなり、メモリーなどの信頼性向上する。
【0140】特に、本実施形態のごとく、第2nMOS
FETのチャネル領域を半導体基板1の基板領域1a
(又はウエル)で構成した場合、従来の図30に示すM
T−nMOSデバイスの構造に比べ、基板効果定数が極
めて小さいという著効が得られる。例えば、従来のMT
−nMOSデバイスの構造においては、基板バイアス−
2Vを印加したときの反転電圧の増大量は、第1nMO
SFETで0.3V,第2nMOSFETで0.2V程
度である。それに対し、本実施形態に係るMT−nMO
Sデバイスの構造においては、第1nMOSFETの反
転電圧の増大量を0.2Vとすると、第2nMOSFE
Tの反転電圧の増大量は0.03V程度である。つま
り、第2nMOSFETの反転電圧値はほとんど増大し
ないので、基板バイアスを印加することにより、第1n
MOSFEとの反転電圧との差の拡大率が著しく大きく
なることがわかる。
【0141】次に、本実施形態に係るMT−nMOSデ
バイスの製造工程について、図3(a)−(d)を参照
しながら説明する。
【0142】まず、図3(a)に示す工程で、第2nM
OSFETのしきい値制御レベル濃度のp型不純物がド
ープされたシリコン単結晶で構成される半導体基板1の
基板領域1a上に、LOCOS法,トレンチ分離法等を
用いて厚みが約400nmのシリコン酸化膜からなる素
子分離3を形成し、この素子分離3により、第1nMO
SFET形成領域Rn1と第2nMOSFET形成領域R
n2とを区画する。そして、第1nMOSFET形成領域
Rn1を開口したレジスト膜16cを通常のフォトリソグ
ラフィー工程により形成し、このレジスト膜16cをマ
スクとして、第1nMOSFET形成領域Rn1にホウ素
イオン(B+ )を注入する。これにより、第1nMOS
FETのチャネル領域4が形成される。このときのイオ
ン注入の条件は、20−60KeV,2−4×1012
-2である。
【0143】次に、図3(b)に示す工程で、基板の全
面上に厚みが8−12nmのシリコン酸化膜を堆積し、
さらにその上に厚みが250−300nmのポリシリコ
ン膜を堆積し、通常のフォトリソグラフィー工程、エッ
チング工程により、ゲート電極8及びゲート絶縁膜7を
パターニングする。次に、このゲート電極8をマスクと
してホウ素イオン(B+ )(ただし、BF2+でもよく、
以下においても同様である)を、20−30KeV,5
−10×1012cm-2の条件で注入し、各nMOSFE
T形成領域Rn1,Rn2にp型ポケット領域9を形成す
る。
【0144】次に、図3(c)に示す工程で、ゲート電
極8をマスクとして燐イオン(P+)を30−40Ke
V,2−8×1013cm-2の条件で注入し、LDD領域
11を形成する。
【0145】次に、図3(d)に示す工程で、ゲート電
極8の各側面上にサイドウォール13を形成し、ゲート
電極8とそのサイドウォール13をマスクとしてヒ素イ
オンを40KeVで4−6X1014cm-2の条件で注入
しソース・ドレイン領域14を形成する。
【0146】以上の製造工程によって、図1に示す構造
を有するMT−nMOSデバイスが容易に形成されるこ
とがわかる。特に、図3(a)−(d)に示す製造工程
において、nMOSFETの反転電圧制御のための不純
物イオンの注入に際しフォトマスクが1枚で済む。した
がって、反転電圧制御のための不純物イオン注入に際し
2枚のフォトマスク16a,16bを必要とする従来の
方法(図30(a),(b)参照)と比較して、工程が
簡略化でき製造コストの低減を図ることができるという
利点がある。
【0147】(第2の実施形態)次に、第2の実施形態
に係るMT−nMOSデバイスについて、図4を参照し
ながら説明する。
【0148】図4に示すように、本実施形態において
も、上記第1の実施形態に係るMT−nMOSデバイス
と同様に、p型不純物がドープされた半導体基板1の表
面付近の領域は、素子分離3により第1nMOSFET
形成領域Rn1と第2nMOSFET形成領域Rn2とに区
画されている。そして、第1nMOSFET形成領域R
n1には第1nMOSFETが形成され、第2nMOSF
ET形成領域Rn2には第2nMOSFETが形成されて
いる。ここで、本実施形態では、第1nMOSFETの
構造は上記第1の実施形態と同じであって、ゲート絶縁
膜7,ゲート電極8,サイドウォール13,チャネル領
域4,ソース・ドレイン領域14,LDD領域11及び
ポケット領域9が設けられている。しかし、第2nMO
SFETにおいて、ゲート絶縁膜7,ゲート電極8,サ
イドウォール13,ソース・ドレイン領域14及びLD
D領域11は設けられているものの、ポケット領域は設
けられていない。そして、第2nMOSFETのゲート
絶縁膜7の直下方には、半導体基板1内にp型不純物を
注入してなるチャネル領域5が形成されている。つま
り、本実施形態では、第1,第2nMOSFET双方に
おいて、基板領域1a上にチャネル領域4、5がそれぞ
れ形成されていて、両者における不純物濃度は同じであ
る。また、ポケット領域は第1nMOSFETにのみ設
けられている。
【0149】本実施形態に係るMT−nMOSデバイス
において、第1nMOSFETの反転電圧はチャネル領
域4とポケット領域9の不純物濃度により決定され、第
2nMOSFETの反転電圧はチャネル領域5の不純物
濃度により決定される。この場合、第1nMOSFET
は、ポケット領域9を備えていることから、チャネル領
域における不純物濃度を低くできるので、第1の実施形
態と同様に、ゲート空乏層容量が小さく、サブスレッシ
ョルド特性が優れているという特徴を有する。一方、第
2nMOSFETは通常のnMOSFETとほぼ同じ構
成を有しているが、ゲート長が比較的大きい約0.5μ
mの領域ではこのような構造でも十分な特性が得られ
る。特に、本実施形態のような構造と長いチャネル領域
(ゲート長)とを有するnMOSFETは、製造工程に
おける特性のバラツキが少ないので、設計の容易化が図
れる利点がある。
【0150】なお、本実施形態に係るMT−nMOSデ
バイスの製造工程については詳細な説明及び図示を省略
するが、図30(a)−(d)に示す従来のMT−nM
OSデバイスの製造工程において、第1nMOSFET
と第2nMOSFETに対してチャネル領域の形成のた
めのイオン注入をマスクを用いずに同時に行うことがで
きるので、従来の製造方法に比べて工程数を低減するこ
とができる。ただし、第1nMOSFET形成領域Rn1
におけるポケット領域9を形成するための工程は別途必
要である。
【0151】(第3の実施形態)次に、第3の実施形態
に係るMT−CMOSデバイスについて、図5,図6及
び図7(a)−(d)を参照しながら説明する。
【0152】図5に示すように、本実施形態では、半導
体基板内に、p型不純物を含むp型ウエル2aと、n型
不純物を含むn型ウエル2bが形成されている。そし
て、p型ウエル2aの表面付近の領域がnMOSFET
を形成するためのnMOSFET形成領域Rn であり、
n型ウエル2bの表面付近の領域がpMOSFETを形
成するためのpMOSFET形成領域Rpである。さら
に、素子分離3により、nMOSFET形成領域Rn は
第1nMOSFET形成領域Rn1と第2nMOSFET
形成領域Rn2とに区画され、pMOSFET形成領域R
p は第1pMOSFET形成領域Rp1と第2pMOSF
ET形成領域Rp2とに区画されている。上記第1,第2
nMOSFET形成領域Rn1,Rn2にそれぞれ形成され
る第1,第2nMOSFETの構造は、上記第1の実施
形態における図1に示す構造と同じである。また、第
1,第2pMOSFETの構造は、それぞれ第1の実施
形態における第1,第2nMOSFETの構造におい
て、不純物の導電型を逆にしただけである。すなわち、
第1pMOSFETは、ゲート電極8と、ゲート絶縁膜
7と、サイドウォール13と、n型のチャネル領域6
と、p+ 型のソース・ドレイン領域15と、p- 型のL
DD領域12と、n型のポケット領域10とを備えてい
る。一方、第2pMOSFETにおいては、第1の実施
形態における基板領域1aに相当するn型ウエル2bが
ゲート電極8の下方領域でチャネル領域として機能す
る。
【0153】本実施形態に係るMT−CMOSデバイス
のうちMT−nMOSデバイスの構造により、上記第1
の実施形態と同様の効果が得られる。また、MT−pM
OSデバイスの構造においても、第1pMOSFETの
反転電圧はチャネル領域6とポケット領域10のn型不
純物の濃度により決まり、第2pMOSFETの反転電
圧はn型ウエル2bとポケット領域10のn型不純物の
濃度により決定される。したがって、上記第1の実施形
態と同様に、サブスレッショルド特性が良好でリーク電
流を低減し得ることになる。
【0154】また、図6は、本実施形態に係るMT−n
MOSデバイスのp型ウエル2aに基板バイアス−2V
を、MT−pMOSデバイスのn型ウエル2bに基板バ
イアス2Vをそれぞれ印加した状態を示す。このよう
に、MT−CMOSデバイスの場合、MT−nMOSデ
バイスのp型ウエル2aには負のバイアスを、MT−p
MOSデバイスのn型ウエル2bには正のバイアスを印
加することにより、いずれにおいても、各第1,第2M
OSFET相互間の反転電圧の差が大きくなり、MT−
CMOSデバイス構造を採用したことによる効果が大き
くなる。また、外部からのノイズに強くなり、メモリー
などの信頼性が高くなる。
【0155】しかも、p型ウエル2aとn型ウエル2b
とがそれぞれ第2nMOSFETと第2pMOSFET
のチャネル領域としても機能するので、上記第1の実施
形態において説明したと同様に、第1,第2MOSFE
T間の基板効果定数の差が顕著となり、極めて優れた特
性を有するMT−CMOSデバイスを構成することがで
きるのである。
【0156】次に、本実施形態に係るMT−CMOSデ
バイスの製造工程について、図7(a)−(d)を参照
しながら説明する。
【0157】まず、図7(a)に示す工程で、単結晶シ
リコンで構成される半導体基板上に、p型ウエル2aと
n型ウエル2bとを形成し、厚みが約400nmのシリ
コン酸化膜からなる素子分離3を形成し、第1nMOS
FET形成領域Rn1,第2nMOSFET形成領域Rn
2,第2pMOSFET形成領域Rp2及び第1pMOS
FET形成領域Rp1を区画する。そして、通常のフォト
リソグラフィー工程により、第1nMOSFET形成領
域Rn1のみを開口して他の領域Rn2, Rp2,Rp1を覆う
レジスト膜16dを形成し,このレジスト膜16dをマ
スクとして、第1nMOSFET形成領域Rn1にホウ素
イオン(B+ )を注入し、第1nMOSFETのチャネ
ル領域4を形成する。不純物イオンの注入条件は、20
−60KeV,2−4×1012cm-2である。
【0158】次に、図7(b)に示す工程で、通常のフ
ォトリソグラフィー工程により、第1pMOSFET形
成領域Rp1のみを開口したレジスト膜16eを形成し、
このレジスト膜16eをマスクとして、第1pMOSF
ET形成領域Rp1に燐イオン(P+ )を注入し、第1p
MOSFETのチャネル領域6を形成する。このときの
イオン注入条件は、30−80KeV,2−4×1012
cm-2である。
【0159】次に、図7(c)に示す工程で、厚みが8
−12nmのシリコン酸化膜を形成し、さらにその上に
厚みが250−300nmのポリシリコン膜を堆積し、
通常のリソグラフィー工程、エッチング工程により、ゲ
ート絶縁膜7及びゲート電極8をパターニングする。次
に、pMOSFET形成領域Rp の上を覆うレジスト膜
と(図示せず)このゲート電極8とをマスクとして、n
MOSFET形成Rnにホウ素イオン(B+ 又はBF2+
)を20−30KeV,5−10×1012cm-2の条
件で注入し、p型のポケット領域9を形成する。次に、
nMOSFET形成領域Rn の上を覆うレジスト膜(図
示せず)とゲート電極8とをマスクとしてpMOSFE
T形成領域Rp に燐イオン(P+ )を80−120Ke
V,5−10×1012cm-2の条件で注入し、n型のポ
ケット領域10を形成する。
【0160】次に、図7(d)に示す工程で、nMOS
FET形成領域Rn の上を開口したレジスト膜(図示せ
ず)及びゲート電極8をマスクとしてnMOSFET形
成領域Rn に燐イオン(P+ )を30−40KeV,2
−8×1013cm-2の条件で注入し、各nMOSFET
のLDD領域11を形成する。さらに、pMOSFET
形成領域Rp の上を開口したレジスト膜(図示せず)及
びゲート電極8をマスクとしてpMOSFET形成領域
Rp にホウ素イオン(B+ )を10−20KeV,2−
8×1013cm-2の条件で注入し、各pMOSFETの
LDD領域12を形成する。ただし、この工程は、上記
ポケット領域9,10の形成に用いたレジスト膜と同じ
レジスト膜を用い、不純物の導電型を変えることで、各
領域Rn,Rp において、ポケット領域9,10の形成
と連続的に行われる。
【0161】次に、ゲート電極8の各側面上にサイドウ
ォール13を形成した後、各領域Rn 又はRp を開口し
たレジスト膜(図示せず),ゲート電極8及びサイドウ
ォール13をマスクとして、nMOSFET形成領域R
n にはヒ素イオン(As+ )を40KeV,4−6X1
14cm-2の条件で注入し、pMOSFET形成領域R
p にはホウ素イオン(B+ )を10−20KeV,4−
6X1014cm-2の条件で注入し、各nMOSFET,
各pMOSFETの各ソース・ドレイン領域14,15
を形成する。
【0162】以上の工程によって、上記図5に示すMT
−CMOSデバイスの構造が容易に得られる。特に、本
実施形態の製造方法では、図7(a),(b)に示す工
程で、反転電圧制御のためのフォトマスクが2枚で済
む。一方、従来の図30(a)−(d)に示す工程をM
T−CMOSデバイスにそのまま適用すると、第1nM
OSFETと、第2nMOSFETと、第1pMOSF
ETと、第2pMOSFETとにおけるチャネル領域を
形成するために、各MOSFET形成領域Rn1,Rn2,
Rp1,Rp2のみを開口した4種類のレジスト膜を形成す
る必要があることが容易に理解される。したがって、本
実施形態に係る半導体装置の製造方法では、従来の方法
と比較して2回のフォトマスク形成工程を削減でき、工
程が簡略化できる。
【0163】(第4の実施形態)次に、第4の実施形態
に係るMT−CMOSデバイスの製造工程について、図
8(a)−(c)を参照しながら説明する。
【0164】本実施形態においても、製造工程の途中ま
では上記第3の実施形態で説明した図7(a),(b)
と同様の工程を行う。この工程については、図示及び説
明を省略する。
【0165】そして、図8(a)に示す工程で、pMO
SFET形成領域Rp を覆うレジスト膜16fを形成
し、このレジスト膜16fとゲート電極8とをマスクと
してnMOSFET形成領域Rn にホウ素イオン(B+
)を20−30KeV,5−10×1012cm-2の条
件で注入し、各nMOSFETのポケット領域9を形成
する。
【0166】次に、図8(b)に示す工程で、各ゲート
電極8をマスクとして各領域Rn1,Rn2,Rp2,Rp1に
燐イオン(P+ )を30−40KeV,0.5−2×1
13cm-2の条件で注入し、第1,第2nMOSFET
形成領域Rn1,Rn2にはLDD領域11を、第1,第2
pMOSFET形成領域Rp1,Rp2にはポケット領域1
0を同時に形成する。
【0167】次に、図8(c)に示す工程で、上記第3
の実施形態における図7(d)に示す工程と同じ工程を
行って、ゲート電極8の側面上のサイドウォール13
と、第1,第2nMOSFETのソース・ドレイン領域
14と、第1,第2pMOSFETのソース・ドレイン
領域15とを形成する。ただし、ソース・ドレイン領域
の形成時の条件は、上記第3の実施形態と同様である。
【0168】以上の工程に形成されたMT−CMOSデ
バイスにおいて、第1nMOSFETの反転電圧はチャ
ネル領域4とポケット領域9との不純物濃度で決定さ
れ、第2nMOSFETの反転電圧はp型ウエル2aと
ポケット領域9との不純物濃度で決定され、第1pMO
SFETの反転電圧はチャネル領域6とポケット領域1
0との不純物濃度で決定され、第2pMOSFETの反
転電圧はn型ウエル2bとポケット領域10との不純物
濃度で決定される。すなわち、相異なる反転電圧を有す
る2つのMOSFETを搭載したMT−nMOSデバイ
スとMT−pMOSデバイスとからなるMT−CMOS
デバイスが構成される。
【0169】本実施形態の製造工程では、反転電圧制御
のためのフォトマスクが2枚で済む点は上記第3の実施
形態と同様である。加えて、本実施形態の製造工程で
は、nMOSFETのLDD領域11と、pMOSFE
Tのポケット領域10とを自己整合的に同時に形成する
ので、他方の領域を覆うフォトマスク(レジスト膜)が
不要となり、上記第3実施形態における図7(c)に示
す工程に比べ、さらに2枚のフォトマスクを省略でき、
工程が簡略化できる。
【0170】また、本実施形態におけるMT−CMOS
デバイスでは、第1,第2pMOSFETは、LDD構
造とならずシングルドレイン構造になるが、通常、pM
OSFETはドレイン近傍の電界強度がnMOSFET
より低く、ホットキャリアの発生確率が低いので信頼性
が低下する虞れはない。そして、本実施形態におけるM
T−CMOSデバイスにおいても、nMOSFET及び
pMOSFETの双方が、相異なる反転電圧を有する第
1,第2nMOSFETと、第1,第2pMOSFET
とを備えているので、上記第3の実施形態と同様の効果
を発揮することができる。
【0171】(第5の実施形態)次に、第5の実施形態
に係るMT−CMOSデバイスについて、図9(a)−
(c)を参照しながら説明する。
【0172】本実施形態においても、製造工程の途中ま
では上記第3の実施形態で説明した図7(a),(b)
と同様の工程を行う。この工程については、図示及び説
明を省略する。
【0173】そして、図9(a)に示す工程で、nMO
SFET形成領域Rn を覆うレジスト膜16gを形成
し、このレジスト膜16gとゲート電極8とをマスクと
してpMOSFET形成領域Rp に燐イオン(P+ )を
80−120KeV,5−10×1012cm-2の条件で
注入し、各pMOSFETのポケット領域10を形成す
る。
【0174】次に、図9(b)に示す工程で、各ゲート
電極8をマスクとして各領域Rn1,Rn2,Rp2,Rp1に
ホウ素イオン(B+ )を10−20KeV,2−8×1
13cm-2の条件で注入し、第1,第1pMOSFET
形成領域Rp1,Rp2にはLDD領域12を、第1,第2
nMOSFET形成領域Rn1,Rn2にはポケット領域9
を同時に形成する。
【0175】次に、図9(c)に示す工程で、上記第3
の実施形態における図7(d)に示す工程と同じ処理を
行って、ゲート電極8の側面上のサイドウォール13
と、第1,第2nMOSFETのソース・ドレイン領域
14と、第1,第2pMOSFETのソース・ドレイン
領域15とを形成する。ただし、ソース・ドレイン領域
の形成時のイオン注入等の条件は、上記第3の実施形態
と同様である。
【0176】以上の工程によって形成されたMT−CM
OSデバイスにおいて、第1nMOSFETの反転電圧
はチャネル領域4とポケット領域9との不純物濃度で決
定され、第2nMOSFETの反転電圧はp型ウエル2
aとポケット領域9との不純物濃度で決定され、第1p
MOSFETの反転電圧はチャネル領域6とポケット領
域10との不純物濃度で決定され、第2pMOSFET
の反転電圧はn型ウエル2bとポケット領域10との不
純物濃度で決定される。すなわち、相異なる反転電圧を
有する2つのMOSFETを搭載したMT−nMOSデ
バイスとMT−pMOSデバイスとからなるMT−CM
OSデバイスが構成される。
【0177】本実施形態の製造工程では、反転電圧制御
のためのフォトマスクが2枚で済む点は上記第3の実施
形態と同様である。加えて、本実施形態の製造工程で
は、pMOSFETのLDD領域12と、nMOSFE
Tのポケット領域9とを自己整合的に同時に形成するの
で、他方の領域を覆うフォトマスク(レジスト膜)が不
要となり、上記第3実施形態における図7(c)に示す
工程に比べ、さらに2枚のフォトマスクを省略でき、工
程が簡略化できる。
【0178】また、本実施形態におけるMT−CMOS
デバイスでは、第1,第2nMOSFETは、LDD構
造とならずシングルドレイン構造になるが、ソース・ド
レイン領域14を形成するための不純物イオンとして燐
イオンを用いており、砒素イオンを用いた場合と比較し
てドレイン近傍の電界強度が低くホットキャリアの発生
確率が低いので信頼性が悪化する虞れはない。そして、
本実施形態におけるMT−CMOSデバイスにおいて
も、nMOSFET及びpMOSFETの双方が、相異
なる反転電圧を有する第1,第2nMOSFETと、相
異なる反転電圧を有する第1,第2pMOSFETとを
備えているので、上記第3の実施形態と同様の効果を発
揮することができる。
【0179】なお、最少ゲート長と電源電圧によっては
砒素をもちいたシングルドレイン構造を採用できる場合
も考えられる。
【0180】(第6の実施形態)次に、第6の実施形態
に係るMT−nMOSデバイスについて、図10(a)
−(c)を参照しながら説明する。
【0181】本実施形態においては、図10(a)に示
す工程までに上記第1の実施形態で説明した図3(a)
と同様の工程を行う。この工程については、図示及び説
明を省略する。
【0182】そして、図10(a)に示す工程で、半導
体基板1の全面上に厚みが8−12nmのシリコン酸化
膜を堆積し、さらにその上に厚みが250−300nm
のポリシリコン膜を堆積し、通常のフォトリソグラフィ
ー工程、エッチング工程により、ゲート電極8及びゲー
ト絶縁膜7をパターニングする。次に、このゲート電極
8の側面上にサイドウォール13を形成した後、ゲート
電極8とサイドウォール13をマスクとして砒素イオン
(As+ )を40KeV,4−6X1014cm-2の条件
で注入し、n+ 型のソース・ドレイン領域14を形成す
る。さらに、チタン膜を50nm程度の厚みで堆積した
後、熱処理を行って、チタンとソース・ドレイン領域1
4及びゲート電極8を構成するシリコンとを反応させ、
ゲート電極8とソース・ドレイン領域14との表面上に
厚みが約100nmのチタンシリサイド膜17a,17
bをそれぞれ形成する。その後、サイドウォール13を
選択的エッチングにより除去する。
【0183】次に、図10(b)に示す工程で、各チタ
ンシリサイド膜17a,17bをマスクとして、BF2
イオン(BF2+)を100−150KeV,2−8×1
12cm-2の条件で注入し、各pMOSFETのサイド
ウォール13が除去された領域の下方にp型のポケット
領域9を形成する。
【0184】次に、図10(c)に示す工程で、各チタ
ンシリサイド膜17a,17bをマスクとして、燐イオ
ン(P+ )を30−40KeV,2−8×1013cm-2
の条件で注入し、ポケット領域9で囲まれるn- 型のL
DD領域11を形成する。
【0185】以上の製造工程では、上記第1の実施形態
と同様に、MT−nMOSデバイスにおける各nMOS
FETの反転電圧制御のために必要なフォトマスクが1
枚で済み、従来の方法と比較して工程が簡略化できる。
【0186】また、本実施形態の製造工程で形成される
MT−nMOSFETにおいて、第1nMOSFETの
反転電圧はチャネル領域4とポケット領域9のp型不純
物濃度により決定され、第2nMOSFETの反転電圧
は基板領域1aとポケット領域9のp型不純物濃度によ
り決定される。したがって、上記第1の実施形態で説明
したと同様に、サブスレッショルド特性が良好でリーク
電流を低減できるという効果を発揮することができる。
この効果は第2nMOSFETにおいてより顕著であ
る。また、ポケット領域9によりパンチスルーや短チャ
ネル効果を抑制できる。
【0187】さらに、本実施形態では、ポケット領域9
をゲート電極8とソース・ドレイン領域14上のチタン
シリサイド膜17a,17bをマスクとして用いるイオ
ン注入により形成するので、ポケット領域9が極めて局
所的に形成される。つまり、図10(c)に示す構造で
は、第1実施形態における図1に示す構造と比較して、
ポケット領域9がソース・ドレイン領域14の下方にま
で延びていない。そのために、ソース・ドレイン領域1
4と基板領域1aとの間にpnジャンクションが形成さ
れることになり、ソース・ドレイン領域14とポケット
領域9との間にpnジャンクションが形成される第1の
実施形態等に比べ、pnジャンクションのp側領域の不
純物濃度を小さくできるため、寄生容量の低減を図るこ
とができる。通常、MT−MOSデバイスは、1.0−
2.0Vの低い電源電圧で動作させるため、pnジャン
クションの空乏層の伸びが小さく寄生容量が大きくなる
という不利な点を有するが、本実施形態では、上述のご
とく寄生容量を低減し得るので、その効果は極めて大き
く、高速で動作しかつ消費電力が非常に少ないLSIを
実現できる。
【0188】(第1〜第6の実施形態に関する変形形
態)上記第1,第2の実施形態で説明したMT−nMO
Sデバイスの構造は、MT−pMOSデバイスについて
も、同様に適用することができ、同様の効果を発揮する
ことができる。
【0189】また、第2の実施形態の構造を有する第
1,第2nMOSFETと、この第1,第2nMOSF
ETの不純物の導電型のみを逆にした構造を有する第
1,第2pMOSFETとを設けて、MT−CMOSデ
バイスを構成してもよい。
【0190】さらに、上記第6の実施形態では、第1の
実施形態の図1に示すような第2nMOSFETでは基
板領域1aがチャネル領域として機能するMT−nMO
Sデバイスについて説明したが、第6の実施形態におい
て、第2nMOSFETに、第1nMOSFETのチャ
ネル領域4における不純物濃度よりも不純物濃度の低い
チャネル領域を設けてもよい。
【0191】(第7の実施形態)以下、第7の実施形態
について、図11,図12及び図13(a)〜(d)を
参照しながら説明する。
【0192】図11は、第7の実施形態に係るMT−n
MOSデバイスの断面図である。図11に示すように、
p型不純物がドープされたシリコン単結晶からなる半導
体基板1の表面付近の領域は、シリコン酸化膜からなる
素子分離3により、多数の活性領域に区画されている。
各活性領域には、高反転電圧型の第1nMOSFETを
形成するための第1nMOSFET形成領域Rn1と、低
反転電圧型の第2nMOSFETを形成するための第2
nMOSFET形成領域Rn2とが設けられている。第1
及び第2nMOSFET形成領域Rn1,Rn2において、
シリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜7と、該ゲート絶
縁膜7の上に設けられたポリシリコン膜からなるゲート
電極8と、該ゲート電極8の各側面上に形成されたシリ
コン酸化膜からなるサイドウォール13とが設けられて
いる。そして、第1nMOSFET形成領域Rn1及び第
2nMOSFET形成領域Rn2の双方において、ゲート
絶縁膜7の直下方の基板領域1aがチャネル領域として
機能する。
【0193】そして、各nMOSFET形成領域Rn1,
Rn2において、半導体基板1内のゲート電極8の両側方
に位置する領域に形成され高濃度のn型不純物を含むn
+ 型のソース・ドレイン領域14と、チャネル領域と各
ソース・ドレイン領域14との間に形成され低濃度のn
型不純物を含むn- 型のLDD領域11と、LDD領域
11及びソース・ドレイン領域14を取り囲むように形
成されp型の不純物を含むパンチスルーストッパとなる
p型のポケット領域9a,9bとが設けられている。
【0194】図12(a),(b)は、上記第1,第2
nMOSFETにおける互いに逆導電型の2種類の不純
物で相殺される分を除いた実効的な不純物の濃度の分
布、つまりキャリアの濃度分布を示す。実線は本実施形
態では第1導電型キャリアとなるn型キャリアの濃度分
布を、破線は第2導電型キャリアであるp型キャリアの
濃度分布をそれぞれ示す。また、図12(a),(b)
では、各nMOSFETのチャネル方向を横軸にとって
いる。図12(a),(b)からわかるように、各nM
OSFETを比較すると、LDD領域11及びソース・
ドレイン領域14におけるn型キャリアの濃度は同じで
ある。しかし、第1nMOSFETのポケット領域9a
におけるp型キャリアの濃度p1 は、第2nMOSFE
Tのポケット領域9bにおけるp型キャリアの濃度p2
よりも高い。その結果、第1nMOSFETの反転電圧
(しきい値電圧)は第2nMOSFETの反転電圧より
も高くなっている。そのため、従来の2種類の反転電圧
を有するMOSFETを搭載したMT−MOSデバイス
と同様に、動作速度が高いかつ消費電力の小さいMT−
MOSデバイスを得ることができる。
【0195】加えて、本実施形態では、反転電圧の異な
る2種類のnMOSFETを同じ半導体基板1上に搭載
するために、ポケット領域9a,9bにおける不純物濃
度を制御することにより、以下の利点が得られる。すな
わち、ソース・ドレイン領域(本実施形態ではLDD領
域11)とチャネル領域との間にポケット領域を設けた
トランジスタは、パンチスルーや短チャネル効果を抑制
できる。このため、従来の半導体装置のごとく各MOS
FETのチャネル領域に2種類の濃度でしきい値制御用
の不純物イオンの注入を行なうものに比べ、微細化に有
利な構造となる。また、いずれのnMOSFETにおい
てもポケット領域9a又は9bが形成されているので、
チャネル領域として機能する基板領域1aの不純物濃度
を低くしても、パンチスルーや短チャネル効果を十分抑
制できる。このように、チャネル領域における不純物濃
度を通常のMOSFETより低くできるので、ゲート空
乏層容量が小さくなり、サブスレッショルド特性が良好
でリーク電流が小さいという効果が得られる。
【0196】特に、本実施形態においては、第1の実施
形態等とは異なり、第1,第2nMOSFETの双方に
ついてもチャネル領域にしきい値制御用不純物の注入を
行なわずに基板領域1aをそのままチャネル領域として
利用している結果、チャネル領域の不純物濃度が極めて
低くなることになり、上述の効果を顕著に発揮すること
ができる。
【0197】次に、本実施形態に係るMT−nMOSデ
バイスの製造工程について、図13(a)−(d)を参
照しながら説明する。
【0198】まず、図13(a)に示す工程で、p型不
純物がドープされたシリコン単結晶で構成される半導体
基板1上に、LOCOS法,トレンチ分離法等を用いて
厚みが約400nmのシリコン酸化膜からなる素子分離
3を形成し、この素子分離3により、第1nMOSFE
T形成領域Rn1と第2nMOSFET形成領域Rn2とを
区画する。そして、基板の全面上に厚みが8−12nm
のシリコン酸化膜を堆積し、さらにその上に厚みが25
0−300nmのポリシリコン膜を堆積し、通常のフォ
トリソグラフィー工程、エッチング工程により、ゲート
電極8及びゲート絶縁膜7を形成する。さらに、このゲ
ート電極8をマスクとして燐イオン(P+ )を30−4
0KeV,2−8×1013cm-2の条件で注入し、LD
D領域11を形成する。
【0199】次に、図13(b)に示す工程で、ゲート
電極8をマスクとして、各nMOSFET形成領域Rn
1,Rn2にホウ素イオン(B+ )を20−30KeV,
5−10×1012cm-2の条件で注入し、各nMOSF
ET形成領域Rn1,Rn2にp型ポケット領域9a,9b
を形成する。
【0200】次に、図13(c)に示す工程で、第2n
MOSFET形成領域Pn2を覆い第1nMOSFET形
成領域Rn1の上を開口したレジスト膜16hを形成した
後、このレジスト膜16hとゲート電極8とをマスクと
して、第1nMOSFET形成領域Rn1内にホウ素イオ
ン(B+ )を20−30KeV,2−5×1012cm-2
の条件で注入し、第1nMOSFETのポケット領域9
aの不純物濃度つまりキャリアの濃度のみを濃くする。
【0201】次に、図13(d)に示す工程で、ゲート
電極8の各側面上にサイドウォール13を形成し、ゲー
ト電極8とそのサイドウォール13をマスクとしてヒ素
イオンを40KeV,4−6X1014cm-2の条件で注
入しソース・ドレイン領域14を形成する。
【0202】以上の製造工程によって、図11に示す構
造を有するMT−nMOSデバイスが容易に形成される
ことがわかる。特に、図13(a)−(d)に示す製造
工程において、フォトマスクとなる1枚のレジスト膜1
6hのみで、nMOSFETの反転電圧制御のための不
純物イオンの注入を行なうことができる。したがって、
反転電圧制御のための不純物イオン注入に際し2枚のフ
ォトマスク(図30(a),(b)に示すレジスト膜1
6a,16b)を必要とする従来の方法と比較して、工
程が簡略化でき製造コストの低減を図ることができると
いう利点がある。
【0203】(第8の実施形態)次に、第8の実施形態
に係るMT−nMOSデバイスについて、図14を参照
しながら説明する。
【0204】図14に示すように、本実施形態において
も、上記第7の実施形態に係るMT−nMOSデバイス
と同様に、p型不純物がドープされた半導体基板1の表
面付近の領域は、素子分離3により第1nMOSFET
形成領域Rn1と第2nMOSFET形成領域Rn2とに区
画されている。そして、第1nMOSFET形成領域R
n1に形成されている第1nMOSFETと、第2nMO
SFET形成領域Rn2に形成されている第2nMOSF
ETとの構造は、基本的に上記第7の実施形態における
各nMOSFETの構造と同じであって、ゲート絶縁膜
7,ゲート電極8,サイドウォール13,ソース・ドレ
イン領域14,LDD領域11及びポケット領域9a,
9bが設けられている。
【0205】ここで、本実施形態の特徴として、第1n
MOSFETのポケット領域9aの幅Wp1は、第2nM
OSFETのポケット領域の幅Wp2よりも大きい。ただ
し、各ポケット領域9a,9bにおける不純物濃度は同
じである。このような構造は、例えば上記第1の実施形
態の製造工程において、図13(c)に示す工程で、第
1nMOSFETのポケット領域9aに第1導電型不純
物(ボロン)を再度注入する際に、半導体基板1の主面
に垂直な方向に対してゲート電極8に対向する側に大き
く傾いた方向からイオン注入を行なうことにより実現で
きる。あるいは、各nMOSFETのポケット領域9
a,9bを形成する際のイオン注入を傾き角を変えて行
なってもよい。
【0206】本実施形態では、第1nMOSFETのポ
ケット領域9aの幅Wp1が第2nMOSFETのポケッ
ト領域9bの幅Wp2よりも広いので、第1nMOSFE
Tの反転電圧が第2nMOSFETの反転電圧よりも高
くなる。このように、ポケット領域の幅を変えるだけで
2種類の反転電圧を有するnMOSFETを同じ半導体
基板上に形成できるので、簡素な工程で図14の構成を
実現することができ、上記第7の実施形態の製造方法と
ほぼ同じ効果を発揮することができる。
【0207】(第9の実施形態)次に、第9の実施形態
に係るMT−CMOSデバイスについて、図15及び図
16(a)−(f)を参照しながら説明する。
【0208】図15に示すように、本実施形態では、半
導体基板内にp型不純物を含むp型ウエル2aと、n型
不純物を含むn型ウエル2bとが形成されている。そし
て、半導体基板内には、nMOSFET形成領域Rn と
pMOSFET形成領域Rpとが存在する。さらに、素
子分離3により、nMOSFET形成領域Rn は第1n
MOSFET形成領域Rn1と第2nMOSFET形成領
域Rn2とに区画され、pMOSFET形成領域Rp は第
1pMOSFET形成領域Rp1と第2pMOSFET形
成領域Rp2とに区画されている。上記第1,第2nMO
SFET形成領域Rn1,Rn2にそれぞれ形成される第
1,第2nMOSFETの構造は、上記第7の実施形態
における図11に示す構造と同じである。また、第1,
第2pMOSFETの構造は、それぞれ図11に示す第
1,第2nMOSFETの構造において不純物の導電型
を逆にしただけである。すなわち、第1,第2pMOS
FETは、それぞれゲート電極8と、ゲート絶縁膜7
と、サイドウォール13と、p+ 型のソース・ドレイン
領域15と、p- 型のLDD領域12と、n型のポケッ
ト領域10a,10bとを備えている。
【0209】本実施形態に係るMT−CMOSデバイス
のうちMT−nMOSデバイスの構造により、上記第7
の実施形態と同様の効果が得られる。また、MT−pM
OSデバイスの構造においても、第1pMOSFETの
ポケット領域10aにおけるn型不純物の濃度(n型キ
ャリアの濃度)を第2pMOSFETのポケット領域1
0bにおけるn型不純物の濃度よりも濃くしておくこと
で、第1pMOSFETの反転電圧を第2pMOSFE
Tの反転電圧よりも高くするようにしている。したがっ
て、上記第7の実施形態と同様に、サブスレッショルド
特性が良好となりリーク電流を低減し得ることになる。
現実に使用される半導体デバイスはほとんどCMOSデ
バイスの構造を有しているので、本実施形態に係るMT
−CMOSデバイスの実用性は極めて大きい。
【0210】次に、本実施形態に係るMT−CMOSデ
バイスの製造工程について、図16(a)−(d)を参
照しながら説明する。
【0211】まず、図16(a)に示す工程で、単結晶
シリコンで構成される半導体基板1上に、p型ウエル2
aとn型ウエル2bとを形成した後、厚みが約400n
mのシリコン酸化膜からなる素子分離3を形成し、第1
nMOSFET形成領域Rn1,第2nMOSFET形成
領域Rn2,第2pMOSFET形成領域Rp2及び第1p
MOSFET形成領域Rp1を区画する。そして、半導体
基板1上に厚みが8−12nmのシリコン酸化膜を形成
し、さらにその上に厚みが250−300nmのポリシ
リコン膜を堆積し、通常のリソグラフィー工程、エッチ
ング工程により、ゲート絶縁膜7及びゲート電極8を形
成する。そして、通常のフォトリソグラフィー工程によ
り、nMOSFET形成領域Rn の上のみを開口したレ
ジスト膜16iを形成し,このレジスト膜16i及びゲ
ート電極8をマスクとして第1及び第2nMOSFET
形成領域Rn1,Rn2に燐イオン(P+ )を30−40K
eV,2−8×1013cm-2の条件で注入し、各nMO
SFETのLDD領域11を形成する。次に、同じレジ
スト膜16i及びゲート電極8とをマスクとして、第1
及び第2nMOSFET形成領域Rn1,Rn2にホウ素イ
オン(B+ )を20−30KeV,2−5×1012cm
-2の条件で注入し、p型のポケット領域9a,9bを形
成する。
【0212】次に、図16(b)に示す工程で、第1n
MOSFET形成領域Rn1の上のみを開口したレジスト
膜16jを形成し、このレジスト膜16jをマスクとし
て、第1nMOSFET形成領域Rn1内にホウ素イオン
(B+ )を20−30KeV,2−5×1012cm-2
条件で注入し、第1nMOSFETのポケット領域9a
の不純物濃度のみを濃くする。
【0213】次に、図16(c)に示す工程で、pMO
SFET形成領域Rp の上のみを開口したレジスト膜1
6kを形成した後、このレジスト膜16k及びゲート電
極8をマスクとしてpMOSFET形成領域Rp にホウ
素イオン(B+ )を30−40KeV,2−8×1013
cm-2の条件で注入し、各pMOSFETのLDD領域
12を形成する。さらに、同じレジスト膜16k及びゲ
ート電極8をマスクとしてpMOSFET形成領域Rp
に燐イオン(P+ )を80−120KeV,5−10×
1012cm-2の条件で注入し、各pMOSFETのn型
のポケット領域10a,10bを形成する。
【0214】次に、図16(d)に示す工程で、第1p
MOSFET形成領域Rp1の上のみを開口したレジスト
膜16lを形成し、このレジスト膜16l及びゲート電
極8をマスクとして、第1pMOSFET形成領域Rp1
内に燐イオン(P+ )を80−120KeV,2−5×
1012cm-2の条件で注入し、第1pMOSFETのポ
ケット領域10aのみ不純物濃度を濃くする。
【0215】次に、図16(e)に示す工程で、各MO
SFETのゲート電極8の各側面上にサイドウォール1
3を形成した後、nMOSFET形成領域Rn の上を開
口したレジスト膜16mを形成し、このレジスト膜16
m,ゲート電極8及びサイドウォール13をマスクとし
て、nMOSFET形成領域Rn にヒ素イオン(As+
)を40KeV,4−6X1014cm-2の条件で注入
し、nMOSFETのソース・ドレイン領域14を形成
する。
【0216】次に、図16(f)に示す工程で、pMO
SFET形成領域Rp の上を開口したレジスト膜16n
を形成した後、このレジスト膜16n,ゲート電極8及
びサイドウォール13をマスクとして、pMOSFET
形成領域Rp にホウ素イオン(B+ )を10−20Ke
V,4−6×1014cm-2の条件で注入し、各pMOS
FETのソース・ドレイン領域15を形成する。
【0217】以上の工程によって、上記図15に示す構
造を有するMT−CMOSデバイスが容易に形成され
る。
【0218】本実施形態のMT−CMOSデバイスの製
造工程では、反転電圧制御のためのレジスト膜が2枚で
済む(レジスト膜16j,16l)ので、従来の方法と
比較して工程が簡略化できる。
【0219】(第10の実施形態)次に、第10の実施
形態について、図17(a)−(d)を参照しながら説
明する。図17(a)−(d)は、2種類の反転電圧を
有するMT−pMOSデバイスの製造工程を示す断面図
である。
【0220】まず、図17(a)に示す工程で、シリコ
ン単結晶で構成される半導体基板1中のn型ウエル2b
上に、LOCOS法,トレンチ分離法等を用いて厚みが
約400nmのシリコン酸化膜からなる素子分離3を形
成し、この素子分離3により、第1pMOSFET形成
領域Rp1と第2pMOSFET形成領域Rp2とを区画す
る。そして、基板の全面上に厚みが8−12nmのシリ
コン酸化膜を堆積し、さらにその上に厚みが250−3
00nmのポリシリコン膜を堆積し、通常のフォトリソ
グラフィー工程、エッチング工程により、ゲート電極8
及びゲート絶縁膜7を形成する。しかる後、ゲート電極
8をマスクとしてBF2 イオン(BF2+)を30−40
KeV,2−8×1013cm-2の条件で注入し、各pM
OSFETのp型LDD層12を形成する。
【0221】次に、図17(b)に示す工程で、ゲート
電極8をマスクとしてpMOSFET形成領域Rp に燐
イオン(P+ )を80−120KeV,5−10×10
12cm-2の条件で注入し、各pMOSFETのn型のポ
ケット領域10a,10bを形成する。
【0222】次に、図示は省略するが、各pMOSFE
Tのゲート電極8の各側面上にサイドウォール13を形
成した後、ゲート電極及びサイドウォール13をマスク
としてボロンイオンを高濃度で注入し、各pMOSMO
SFET形成領域Rp1,Rp2にp+ 型のソース・ドレイ
ン領域15を形成する。その後、図17(c)に示す工
程で第1pMOSFET形成領域Rp1の上のみを開口し
たレジスト膜16oを形成し、このレジスト膜16o,
ゲート電極8及びサイドウォール13をマスクとして、
第1pMOSFET形成領域Rp1内に窒素イオン(N+
)を10−20KeV,4−6×1014cm-2の条件
で注入しする。
【0223】次に、図17(d)に示す工程で、半導体
基板1に850℃,30分間の熱処理を施すことによ
り、p+ 型のソース・ドレイン領域15を形成する際に
第1,第2pMOSFETのゲート電極8内に導入され
た高濃度のホウ素イオンを半導体基板1内に拡散させ
る。そのとき、第1pMOSFETのゲート電極8内に
は窒素が導入されているので、ゲート絶縁膜7中に酸窒
化膜が形成される等の作用によって、ホウ素のポケット
領域10aへの拡散が阻止あるいは抑制される。一方、
第2pMOSFETのゲート電極8には窒素が導入され
ていないので、ゲート電極8中のホウ素がポケット領域
10bまで拡散し、その結果、第1pMOSFETのポ
ケット領域10aよりも第2pMOSFETのポケット
領域10bの方がn型不純物の実効的濃度つまりn型キ
ャリアの濃度が低くなるので、第1pMOSFETに比
べ第2pMOSFETの反転電圧が小さくなる。
【0224】以上の工程により、2種類の反転電圧を有
するpMOSFETからなるMT−pMOSデバイスが
形成される。
【0225】本実施形態に係るMT−pMOSデバイス
は、上記第7〜第9の実施形態と同様に、パンチスルー
や短チャネル効果を抑制でき、微細化に有利な構造とな
る。また、ゲート空乏層容量も小さく、サブスレッショ
ルド特性が良好でリーク電流が小さい特性を有する。
【0226】本実施形態の製造方法では、反転電圧制御
のためのレジスト膜が1枚で済むので(レジスト膜16
o)、従来の方法と比較して工程が簡略化できるという
利点がある。
【0227】(第11の実施形態)次に、第11の実施
形態について、図18(a)−(d)を参照しながら説
明する。図18(a)−(d)は、2種類の反転電圧を
有するMT−pMOSデバイスの製造工程を示す断面図
である。
【0228】まず、図18(a)に示す工程で、シリコ
ン単結晶で構成される半導体基板1中のn型ウエル2b
上に、LOCOS法,トレンチ分離法等を用いて厚みが
約400nmのシリコン酸化膜からなる素子分離3を形
成し、この素子分離3により、第1pMOSFET形成
領域Rp1と第2pMOSFET形成領域Rp2とを区画す
る。そして、基板の全面上に厚みが8−12nmのシリ
コン酸化膜を堆積し、さらにその上に厚みが250−3
00nmのポリシリコン膜を堆積し、通常のフォトリソ
グラフィー工程、エッチング工程により、ゲート電極8
及びゲート絶縁膜7を形成する。しかる後、ゲート電極
8をマスクとしてホウ素イオン(B+ )を30−40K
eV,2−8×1013cm-2の条件で注入し、各pMO
SFETのp型LDD層12を形成する。
【0229】次に、図18(b)に示す工程で、ゲート
電極8をマスクとしてpMOSFET形成領域Rp に燐
イオン(P+ )を80−120KeV,5−10×10
12cm-2の条件で注入し、各pMOSFETにn型のポ
ケット領域10a,10bを形成する。
【0230】次に、図示は省略するが、各pMOSFE
Tのゲート電極8の各側面上にサイドウォール13を形
成した後、ゲート電極8及びサイドウォール13をマス
クとしてボロンイオンを高濃度で注入し、各pMOSM
OSFET形成領域Rp1,Rp2にp+ 型のソース・ドレ
イン領域15を形成する。その後、図18(c)に示す
工程で、第2pMOSFET形成領域Rp2の上を開口し
たレジスト膜16pを形成し、このレジスト膜16p,
ゲート電極8及びサイドウォール13をマスクとして、
第2pMOSFET形成領域Rp2内にフッ素イオン(F
+ )を10−20KeV,4−6×1014cm-2の条件
で注入する。
【0231】次に、図18(d)に示す工程で、半導体
基板1に850℃,30分間の熱処理を施すことによ
り、各pMOSFET中のホウ素イオンを半導体基板1
内に拡散させる。そのとき、第2pMOSFET形成領
域Rp2のゲート電極8内にはフッ素が導入されているの
で、ホウ素のポケット領域10bへの拡散が促進され
る。一方、第1pMOSFETのゲート電極8にはフッ
素が導入されていないので、ゲート電極8中のホウ素が
ポケット領域10aまで拡散するものの、その拡散量は
第2pMOSFETのポケット領域10bへの拡散量よ
りも少ない。その結果、第1pMOSFETのポケット
領域10aよりも第2pMOSFETのポケット領域1
0bの方がn型不純物の実効的濃度つまりn型キャリア
の濃度が低くなるので、第1pMOSFETに比べ第2
pMOSFETの反転電圧が小さくなる。
【0232】以上の工程により、2種類の反転電圧を有
するpMOSFETからなるMT−pMOSデバイスが
形成される。
【0233】本実施形態に係るMT−pMOSデバイス
は、上記各実施形態と同様に、パンチスルーや短チャネ
ル効果を抑制でき、微細化に有利な構造となる。また、
ゲート空乏層容量も小さく、サブスレッショルド特性が
良好でリーク電流が小さい特性を有する。
【0234】本実施形態の製造方法では、反転電圧制御
のためのレジスト膜が1枚で済むので(レジスト膜16
p)、従来の方法と比較して工程が簡略化できるという
利点がある。
【0235】(第12の実施形態)次に、第12の実施
形態について、図19(a)−(d)を参照しながら説
明する。図19(a)−(d)は、2種類の反転電圧を
有するMT−pMOSデバイスの製造工程を示す断面図
である。
【0236】まず、図19(a)に示す工程で、シリコ
ン単結晶で構成される半導体基板1中のn型ウエル2b
上に、LOCOS法,トレンチ分離法等を用いて厚みが
約400nmのシリコン酸化膜からなる素子分離3を形
成し、この素子分離3により、第1pMOSFET形成
領域Rp1と第2pMOSFET形成領域Rp2とを区画す
る。そして、基板の全面上に厚みが8−12nmのシリ
コン酸化膜を堆積し、さらにその上に厚みが250−3
00nmのポリシリコン膜を堆積し、通常のフォトリソ
グラフィー工程、エッチング工程により、ゲート電極8
及びゲート絶縁膜7をパターニングする。しかる後、ゲ
ート電極8をマスクとしてホウ素イオン(B+ )を30
−40KeV,2−8×1013cm-2の条件で注入し、
各pMOSFETのp型LDD層12を形成する。
【0237】次に、図19(b)に示す工程で、ゲート
電極8をマスクとしてpMOSFET形成領域Rp に燐
イオン(P+ )を80−120KeV,5−10×10
12cm-2の条件で注入し、各pMOSFETにn型のポ
ケット領域10a,10bを形成する。
【0238】次に、図示は省略するが、各pMOSFE
Tのゲート電極8の各側面上にサイドウォール13を形
成した後、ゲート電極8及びサイドウォール13をマス
クとしてボロンイオンを高濃度で注入し、各pMOSF
ET形成領域Rp1,Rp2にp+ 型のソース・ドレイン領
域15を形成する。その後、図19(c)に示す工程
で、第2pMOSFET形成領域Rp2の上を開口したレ
ジスト膜16qを形成し、このレジスト膜16q,ゲー
ト電極8及びサイドウォール13をマスクとして、第2
pMOSFET形成領域Rp2内にホウ素イオン(B+ )
を10−20KeV,4−6×1014cm-2の条件で注
入する。
【0239】次に、図19(d)に示す工程で、半導体
基板1に850℃,30分間の熱処理を施すことによ
り、各pMOSFET中のホウ素イオンを半導体基板1
内に拡散させる。そのとき、第2pMOSFET形成領
域Rp2のゲート電極8内には再度ホウ素が導入されてい
るので、ホウ素の濃度が濃くなっている。したがって、
第2pMOSFETのポケット領域10bへのホウ素の
拡散量は第1pMOSFETのポケット領域10aへの
拡散量よりも多い。このホウ素によるカウンタドープ量
の相違によって、第1pMOSFETのn型ポケット領
域10aよりも第2pMOSFETのn型ポケット領域
10bの方がn型不純物の実効的濃度つまりn型キャリ
アの濃度が低くなるので、第1pMOSFETに比べ第
2pMOSFETの反転電圧が小さくなる。
【0240】以上の工程により、2種類の反転電圧を有
するpMOSFETからなるMT−pMOSデバイスが
形成される。
【0241】本実施形態に係るMT−pMOSデバイス
は、上記各実施形態と同様に、パンチスルーや短チャネ
ル効果を抑制でき、微細化に有利な構造となる。また、
ゲート空乏層容量も小さく、サブスレッショルド特性が
良好でリーク電流が小さい特性を有する。
【0242】本実施形態の製造方法では、反転電圧制御
のためのレジスト膜が1枚で済むので(レジスト膜16
q)、従来の方法と比較して工程が簡略化できるという
利点がある。
【0243】(第13の実施形態)次に、第13の実施
形態に係るMT−nMOSデバイスについて、図20
(a)−(d)を参照しながら説明する。
【0244】本実施形態においては、図20(a)に示
す工程までに上記第7の実施形態で説明した図13
(a)と同様の工程を行う。この工程については、図示
及び説明を省略する。
【0245】そして、図20(a)に示す工程で、各n
MOSFET形成領域Rn1,Rn2内の基板の全面上に厚
みが8−12nmのシリコン酸化膜を堆積し、さらにそ
の上に厚みが250−300nmのポリシリコン膜を堆
積し、通常のフォトリソグラフィー工程、エッチング工
程により、ゲート電極8及びゲート絶縁膜7を形成す
る。次に、このゲート電極8の側面上にサイドウォール
13を形成した後、ゲート電極8とサイドウォール13
をマスクとして砒素イオン(As+ )を40KeV,4
−6X1014cm-2の条件で注入し、n+ 型のソース・
ドレイン領域14を形成する。さらに、チタン膜を50
nm程度の厚みで堆積した後、熱処理によりチタンとソ
ース・ドレイン領域14及びゲート電極8を構成するシ
リコンとを反応させ、ゲート電極8とソース・ドレイン
領域14との表面上に厚みが約100nmのチタンシリ
サイド膜17a,17bをそれぞれ形成する。その後、
サイドウォール13を選択的エッチングにより除去す
る。
【0246】次に、図20(b)に示す工程で、各チタ
ンシリサイド膜17a,17bをマスクとして、燐イオ
ン(P+ )を30−40KeV,2−8×1013cm-2
の条件で注入し、各nMOSFETのサイドウォール1
3が除去された領域の下方にn- 型のLDD領域11を
形成する。
【0247】次に、図20(c)に示す工程で、各チタ
ンシリサイド膜17a,17bをマスクとして、BF2
イオン(BF2+)を100−150KeV,1−5×1
12cm-2の条件で注入し、各nMOSFETのLDD
領域11の奥方にp型のポケット領域9a,9bを形成
する。
【0248】次に、図20(d)に示す工程で、第1n
MOSFET形成領域Rn1の上を開口したレジスト膜1
6rを形成し、このレジスト膜16r及びゲート電極8
をマスクとして、BF2 イオン(BF2+)を100−1
50KeV,1−5×1012cm-2の条件で注入し、第
1nMOSFETのポケット領域9aの不純物濃度のみ
を濃くする。その結果、第1nMOSFETの反転電圧
が第2nMOSFETの反転電圧よりも高くなる。
【0249】本実施形態の製造工程では、上記第7の実
施形態と同様に、MT−nMOSデバイスにおける各n
MOSFETの反転電圧制御のために必要なフォトマス
クが1枚で済み、従来の方法と比較して工程が簡略化で
きる。
【0250】また、本実施形態の製造工程で形成される
MT−nMOSFETにおいて、第1,第2nMOSF
ETの各ポケット領域9a,9bの不純物濃度が異なる
ことで、第1nMOSFETと第2nMOSFETの反
転電圧が異なる。したがって、第1の実施形態と同様
に、反転電圧の異なる2つのMOSFETを搭載しなが
ら、各nMOSFETのポケット領域9a,9bにより
パンチスルーや短チャネル効果を抑制できる。また、第
1の実施形態と同様に、各nMOSFETの空乏層容量
が小さい構成となっているので、サブスレッショルド特
性が良好でリーク電流を低減できるという効果を発揮す
ることができる。
【0251】さらに、本実施形態の製造工程では、ポケ
ット領域9a,9bをゲート電極8とソース・ドレイン
領域14上のチタンシリサイド膜17a,17bをマス
クとして用いるイオン注入により形成するので、ポケッ
ト領域9a,9bが極めて局所的に形成される。つま
り、図20(d)に示す構造では、第7の実施形態にお
ける図11に示す構造と比較して、ポケット領域9a,
9bがソース・ドレイン領域14の下方にまで延びてい
ない。そのために、ソース・ドレイン領域14と基板領
域1aとの間にpnジャンクションが形成されることに
なり、ソース・ドレイン領域14とポケット領域9a,
9bとの間にpnジャンクションが形成される第7の実
施形態等に比べ、pnジャンクションのp側領域の不純
物濃度を小さくできるため、寄生容量を増大させること
がない。通常、MT−MOSデバイスは、1.0−2.
0Vの低い電源電圧で動作させるため、pnジャンクシ
ョンの空乏層の伸びが小さく寄生容量が大きくなるとい
う不利な点を有するが、本実施形態では、上述のごとく
寄生容量を低減し得るので、その効果は極めて大きく、
高速で動作しかつ消費電力が非常に少ないLSIを実現
できる。
【0252】(第7〜第13の実施形態に関する変形形
態)上記第13の実施形態で説明したMT−nMOSデ
バイスの構造は、MT−pMOSデバイスについても、
同様に適用することができ、同様の効果を発揮すること
ができる。また、それぞれ異なる2種類の反転電圧を有
するnMOSFETとpMOSFETとを搭載したMT
−CMOデバイスにも適用し得ることはいうまでもな
い。
【0253】また、第7〜第13の実施形態において、
各MOSFETのゲート電極8の下方のチャネル領域内
にしきい値制御用不純物を導入して、VT制御用不純物
拡散領域を設けてもよい。ただし、その場合にも、各M
OSFETで不純物濃度を変える必要はなく、VT制御
用不純物拡散領域の濃度が同じでもポケット領域におけ
る不純物濃度が異なることで、2種類の反転電圧を有す
るMOSFETを形成できる。
【0254】上記第13の実施形態において、図20
(d)に示す工程中のBF2 イオンの注入方向を大きく
傾けて、第1nMOSFETのポケット領域9aの幅を
第2nMOSFETのポケット領域9bの幅よりも大き
くすることにより、2種類の反転電圧を有するMOSF
ETを形成してもよい。その場合にも、上述の第13の
実施形態と同じ効果を発揮することができる。
【0255】(第14の実施形態)図21(a)〜図2
1(d)は、第14の実施形態におけるnチャネルMO
SFETの製造工程を示す断面図である。
【0256】まず図21(a)に示す工程で、p型半導
体基板21の上に厚みが4〜8nmのシリコン酸化膜か
らなるゲート酸化膜24と、厚みが100〜200nm
のポリシリコン膜からなるゲート電極25とを形成す
る。
【0257】次に、図21(b)に示す工程で、ゲート
電極25と、半導体基板21内のゲート電極25の両側
方に位置する領域30とに砒素イオン(As+ )を注入
する。
【0258】次に、図21(c)に示す工程で、CVD
法によりゲート電極25及びp型半導体基板21の上に
シリコン酸化膜(図示せず)を堆積した後、これをエッ
チバックして、ゲート電極25の両側面上にサイドウォ
ール27を形成する。そして、このサイドウォール27
をマスクとして、ゲート電極25と、p型半導体基板2
1内の各サイドウォール7の側方に位置する領域Rfと
にフッ素イオン(F+)を注入する。このときの注入条
件は、加速エネルギーが40〜60keVで、注入量が
1〜5×1015cm-2である。
【0259】次に、図21(d)に示す工程で、サイド
ウォール27をマスクとして用いて燐イオン(P+ )の
注入を行い、ゲート電極25と、p型半導体基板21内
のゲート電極25の両側方に位置する領域とに燐を導入
する。このときの注入条件は、加速エネルギーが5〜2
0keV、注入量が1〜4×1015cm-2である。さら
に、図21(d)に示す状態で、975〜1050℃,
10秒の条件、あるいは850℃,20〜30分の条件
による熱処理を行い、不純物イオン(P+ )を活性化し
て、ゲート電極25を低抵抗化されたn型ゲート電極2
5aとするとともに、p型半導体基板21中にn型LD
D領域30aとn型ソース・ドレイン領域32aとを形
成する。
【0260】以下の工程は省略するが、層間絶縁膜を介
して何層かの金属配線を形成することで、MOSFET
が形成される。
【0261】本実施形態の製造工程によって形成された
nMOSFETは、以下のような特性を発揮することが
できる。
【0262】第1に、ソース・ドレイン領域32aにお
いて、燐の導入によってソース・ドレイン領域32aを
形成することで、砒素を導入して形成されたソース・ド
レイン領域に比べ、ソース・ドレイン領域32aの不純
物濃度の変化が緩やかとなる。したがって、キャリアの
インパクトイオン化作用によるnMOSFETの特性の
劣化や、寄生容量及びリーク電流の増大を抑制すること
ができる。
【0263】第2に,図21(d)に示す工程で、熱処
理を行う際に燐が注入された領域と同じ領域にフッ素が
導入されていると、燐の拡散が抑制される。この作用が
生じる理由はまだ解明されていないが、例えば以下のよ
うな現象が生じるためと推定することができる。一般
に、活性化のための熱処理を行うと、燐は格子間シリコ
ンとのダングリングボンドを形成しながらシリコン基板
内を拡散すると考えられている。ところが、燐と同じ部
位にフッ素が存在すると、フッ素の方が燐よりも格子間
シリコンとの親和力が強いので、格子間シリコンはフッ
素によって取り込まれ、燐と格子間シリコンとのダング
リングボンドの形成が妨げられる結果、燐の拡散が抑制
されると推測される。したがって、燐イオンのみの注入
によって形成されたソース・ドレイン領域に比べると、
ソース・ドレイン領域32aの拡散層深さを抑制するこ
とができ、短チャネル効果を抑制することができる。す
なわち、従来、nMOSFETのソース・ドレイン領域
を砒素イオンの注入によって形成していたのは、単に燐
イオンの注入のみでソース・ドレイン領域を形成すると
短チャネル効果が顕著になるそれがあるためである。そ
れに対し、本実施形態では、フッ素を燐とともに導入し
ているので、燐の導入によってソース・ドレイン領域3
2aを形成しながら短チャネル効果を抑制することがで
きるのである。
【0264】第3に、フッ素及び燐の導入によって形成
されたn型のゲート電極25aを有するため、高温,長
時間の熱処理を行なわなくても燐が十分活性化される。
したがって、砒素の不活性化に起因するゲート電極25
aの空乏化を抑制することができ、nMOSFETの駆
動力が高くなる。
【0265】なお、本実施形態では、フッ素及び燐の導
入をイオン注入により行ったが、本発明は必ずしも斯か
る実施形態に限定されるものではない。例えば、フッ素
や燐をゲート電極や半導体基板に気相拡散法やプラズマ
処理法を利用して導入することもできる。あるいは、ゲ
ート電極を構成するポリシリコン膜をCVD法により堆
積する際に、フッ素や燐をポリシリコン膜内に導入する
こともできる。
【0266】また、上記第14の実施形態において、上
記サイドウォール27やLDD領域30aは必ずしも形
成する必要はない。ただし、サイドウォール27を形成
し、かつLDD領域30aを形成しておくことで、微細
化に適したMOSFETを形成することができるという
著効を発揮することができる。
【0267】また、本実施形態では、サイドウォール2
7を形成した後にフッ素イオンの注入行っているが、フ
ッ素の導入をサイドウォール27の形成前に行うことが
可能である。ただし、サイドウォール用のシリコン酸化
膜を堆積する際に高温でのCVDが行われると燐の拡散
を抑制するというフッ素の機能が失われる可能性がある
ので、その場合には、光CVD法やプラズマCVD法等
の低温成膜法を利用することが好ましい。
【0268】さらに、本実施形態のごとくフッ素の導入
を燐の導入の前に行う必要はなく、熱処理前であれば燐
を導入してからフッ素を導入しても、本実施形態と同様
に燐の拡散を抑制する機能を発揮することができる。
【0269】なお、サイドウォール27を形成する前
に、例えば図21(b)に示す状態で、チャネル長さ調
整用サイドウォールを形成しておき、このサイドウォー
ルに対してLDD領域を形成するようにしてもよい。特
に、その場合には、LDD領域を燐イオンの注入によっ
て形成しても、適切なチャネル長さを確保することがで
きる。
【0270】(第15の実施形態)図22(a)〜
(e)は、第15の実施形態に係るCMOSFETの製
造工程を示す断面図である。
【0271】まず、図22(a)に示す工程で、単結晶
シリコンで構成されるp型半導体基板21の上に、nM
OSFET形成領域Rn にはp型半導体領域22a(p
型ウエル或いは基板領域)を、pMOSFET形成領域
Rp にはn型半導体領域22b(n型ウエル或いは基板
領域)をそれぞれ形成し、厚みが約400nmのシリコ
ン酸化膜からなる素子分離23を形成して、p型半導体
領域22aとn型半導体領域22bとを区画する。ただ
し、本実施形態では、p型半導体領域22aはp型半導
体基板21と同じ不純物濃度を有する領域である。上記
p型半導体領域22a及びn型半導体領域22bの上に
厚みが4〜8nmのシリコン酸化膜からなるゲート酸化
膜24と、厚みが100〜200nmのポリシリコン膜
からなるゲート電極25とを形成する。
【0272】次に、図22(b)に示す工程で、nMO
SFET形成領域Rn においては、砒素イオン(As+
)の注入を行い、ゲート電極25と、p型半導体領域
22a内のゲート電極25の両側方に位置する領域30
とに砒素を導入する。ただし、図示しないがp型半導体
領域22aに不純物イオンの注入を行う間、n型半導体
領域22bはレジストマスクで覆われている。また、n
型半導体領域22bにおいては、ホウ素イオン(B+ )
の注入を行い、ゲート電極25と、n型半導体領域22
b内のゲート電極25の両側方に位置する領域31とに
ホウ素を導入する。ただし、図示しないがn型半導体領
域22bに不純物イオンの注入を行う間、p型半導体領
域22aはレジストマスクで覆われている。
【0273】次に、図22(c)に示す工程で、CVD
法により基板の全面上にシリコン酸化膜を堆積した後、
異方性ドライエッチングを行ってシリコン酸化膜をエッ
チバックしゲート電極25の両側面上にサイドウォール
27を形成する。その後、n型半導体領域22bの上を
覆うレジスト膜Rm1を形成し、このレジスト膜Rm1
及び各サイドウォール27をマスクとして用いて、p型
半導体領域22a内においてフッ素イオン(F+ )の注
入を行い、ゲート電極25と、p型半導体領域22a内
の各サイドウォール27の側方に位置する領域Rfとに
フッ素を導入する。このときの注入条件は、加速エネル
ギーが40〜60keV程度、注入量が1〜5×1015
cm-2である。続いて、同じレジスト膜Rm1及び各サ
イドウォール27をマスクとして用いて、p型半導体領
域22a内において燐イオン(P+ )の注入を行い、ゲ
ート電極25と、p型半導体領域22a内の各サイドウ
ォール27の側方に位置する領域32とに燐を導入す
る。このときの注入条件は、加速エネルギーが5〜20
keV、注入量が2〜4×1015cm-2である。
【0274】次に、図22(d)に示す工程で、p型半
導体領域22aの上を覆うレジスト膜Rm2を形成し、
このレジスト膜Rm2及び各サイドウォール27をマス
クとして用いて、n型半導体領域22b内においてホウ
素イオン(B+ )の注入を行い、ゲート電極5と、n型
半導体領域22b内の各サイドウォール27の側方に位
置する領域33とにホウ素を導入する。このときの注入
条件は、加速エネルギーが5〜20keV、注入量が1
〜4×1015cm-2である。
【0275】さらに、図22(e)に示す状態で、97
5〜1050℃,10秒の条件による熱処理を行い、不
純物(P,B)を活性化する。この処理によって、nM
OSFET形成領域Rn においては、ゲート電極25を
低抵抗化されたn型ゲート電極25aとするとともに、
n型LDD領域30aと、n型ソース・ドレイン領域3
2aとを形成する。また、pMOSFET形成領域Rp
においては、ゲート電極25を低抵抗化されたp型ゲー
ト電極25bとするとともに、p型LDD領域31a
と、p型ソース・ドレイン領域33aとを形成する。
【0276】以下の工程は省略するが、層間絶縁膜を介
して何層かの金属配線を形成することで、半導体装置が
形成される。
【0277】本実施形態に係るCMOS型半導体装置
は、以下の特徴を有している。
【0278】第1に、CMOSFET中のnMOSFE
Tは、上記第1の実施形態と同様の効果を発揮すること
ができる。
【0279】第2に、nMOSFETのLDD領域30
a及びソース・ドレイン領域32aは燐を導入して形成
されているので、同じ条件下における熱処理後に、nM
OSFETのLDD領域30a及びソース・ドレイン領
域32aをpMOSFETのLDD領域31a及びソー
ス・ドレイン領域33aとほぼ同様の形状とすることが
でき、各MOSFETの性能のバランスがよくなる。
【0280】第3に、nMOSFETのn型ゲート電極
25aが燐イオンの注入により形成されているため、p
MOSFETのp型ゲート電極25bにおいてホウ素が
突き抜けを起こさない程度の短時間あるいは低温条件下
の熱処理でも、n型ゲート電極25aが十分活性化され
る。すなわち、nMOSFETは高い駆動力を得ること
ができる。
【0281】特に、pMOSFET形成領域Rp におい
て、ゲート電極25内にBF2 イオンではなくホウ素イ
オンを注入しているので、ポリシリコン膜内におけるフ
ッ素のようなホウ素の拡散促進作用が生じることがな
い。すなわち、従来、pMOSFETに導入する不純物
としてBF2 が用いられてきた理由は、フッ素の存在に
よってシリコン基板中でのホウ素の拡散を抑制し、ソー
ス・ドレイン領域の形状をnMOSFETのソース・ド
レイン領域の形状と適合させることにより、良好な特性
を得るためである。しかし、ソース・ドレイン領域はゲ
ート電極に対してセルフアライメントで形成されるの
で、必然的にpMOSFETのゲート電極にもBF2 が
導入されることになる。このBF2 中のフッ素は、シリ
コン単結晶内ではホウ素及び燐のいずれの拡散をも抑制
する機能を有するが、ポリシリコン膜内では、燐の拡散
は抑制するもののホウ素の拡散を促進するという悪影響
を与える。そのため、pMOSFETのゲート電極にお
けるホウ素の突き抜けが促進される虞れがある。それに
対し、本実施形態では、nMOSFETにおいてソース
・ドレイン領域に砒素ではなく燐を導入して活性化のた
めの熱処理条件を弱くしているので、pMOSFETの
ソース・ドレイン領域にBF2 を導入しなくても、ソー
ス・ドレイン領域の形状を適正化することは容易であ
る。よって、pMOSFETのゲート電極及びソース・
ドレイン領域に導入する不純物をホウ素のみとすること
ができ、上述のような不具合を解消することができるの
である。
【0282】(第16の実施形態)次に、第16の実施
形態について説明する。図23(a)〜(c)は、第3
の実施形態に係るCMOS型半導体装置の製造工程を示
す断面図である。
【0283】まず、図23(a)に示す工程で、単結晶
シリコンで構成されるp型半導体基板21の上に、nM
OSFET形成領域Rn にはp型半導体領域22aを、
pMOSFET形成領域Rp にはn型半導体領域22b
をそれぞれ形成し、厚みが約400nmのシリコン酸化
膜からなる素子分離23を形成して、p型半導体領域2
2aとn型半導体領域22bとを区画する。ただし、本
実施形態では、p型半導体領域22aはp型半導体基板
21と同じ不純物濃度を有する領域である。上記p型半
導体領域22a及びn型半導体領域22bの上に厚みが
4〜8nmのシリコン酸化膜からなるゲート酸化膜24
と、厚みが100〜200nmのポリシリコン膜からな
るゲート電極25とを形成する。
【0284】次に、図23(b)に示す工程で、nMO
SFET形成領域Rn においては、砒素イオン(As+
)の注入を行い、ゲート電極25と、p型半導体領域
22a内のゲート電極25の両側方に位置する領域30
とに砒素を導入する。ただし、図示しないがp型半導体
領域22aに不純物イオンの注入を行う間、n型半導体
領域22bはレジストマスクで覆われている。また、p
MOSFET形成領域Rp においては、ホウ素イオン
(B+ )の注入を行い、ゲート電極25と、n型半導体
領域22b内のゲート電極25の両側方に位置する領域
31とにホウ素を導入する。ただし、図示しないがn型
半導体領域22bに不純物イオンの注入を行う間、p型
半導体領域22aはレジストマスクで覆われている。
【0285】次に、CVD法により基板の全面上にシリ
コン酸化膜を堆積した後、異方性ドライエッチングを行
ってシリコン酸化膜をエッチバックしゲート電極25の
両側面上にサイドウォール27を形成する。その後、p
型半導体領域22a及びn型半導体領域22bの双方に
おいて、全面にフッ化ゲルマニュウムイオン(GeF4
+)を注入し、ゲート電極25と、各半導体領域22
a,22b内の各サイドウォール27の側方に位置する
領域Rfgとにフッ素及びゲルマニウムを同時に導入す
る。注入条件は、加速エネルギーが20〜80keV、
注入量が1〜4×1014cm-2である。
【0286】その後、図23(c)に示す工程で、上記
第15の実施形態における図22(c)〜(e)に示す
工程と同じ工程を行って(ただし、再度フッ素イオンの
注入は行わない)、nMOSFET形成領域Rn におい
ては、ゲート電極25を低抵抗化されたn型ゲート電極
25aとするとともに、n型低濃度ソース・ドレイン領
域30aと、n型高濃度ソース・ドレイン領域32aと
を形成する。また、pMOSFET形成領域Rp におい
ては、ゲート電極25を低抵抗化されたp型ゲート電極
25bとするとともに、p型低濃度ソース・ドレイン領
域31aと、p型高濃度ソース・ドレイン領域33aと
を形成する。
【0287】以下の工程は省略するが、層間絶縁膜を介
して何層かの金属配線を形成することで、半導体装置が
形成される。
【0288】本実施形態のCMOS型半導体装置は、基
本的に、各MOSトランジスタのゲート電極とソース・
ドレイン領域とにフッ素とゲルマニウムとが導入されて
いることで以下のような特徴を有する。
【0289】まず、nMOSFETにおいては、n型ゲ
ート電極25a及びソース・ドレイン領域32aに燐と
共にフッ素が導入されていることで、上記第15の実施
形態と同じ効果を発揮することができる。加えて、ゲル
マニウムが導入されていることで、n型ゲート電極25
a及び半導体基板内のソース・ドレイン領域32aを形
成しようとする領域内が非晶質化されるので、その後に
燐イオンを注入すると燐イオンのチャネリングが抑制さ
れる。したがって、燐イオンの注入時における注入深さ
を浅くでき、nMOSFETにおける上述の問題をより
確実に解消できる。
【0290】また、pMOSFETにおいては、p型ゲ
ート電極25b及びソース・ドレイン領域33aにフッ
化ゲルマニウムイオンがホウ素イオンの注入前に注入さ
れている。このフッ化ゲルマニウム中のフッ素は、上述
のようにゲート電極25b内におけるホウ素の拡散を促
進する。しかし、ゲルマニウムも同時に注入されている
ので、ポリシリコン膜が非晶質化され、ホウ素イオンの
注入深さが浅くなる。しかも、フッ化ゲルマニウムイオ
ンの注入量は、ソース・ドレイン領域33aを形成する
際のBF2 イオンの注入量ほど多くする必要はないの
で、pMOSFETのゲート電極25b内にフッ素が存
在していても全体としてはホウ素の突抜けを抑制するこ
とができる。したがって、本実施形態では、フッ素の存
在による拡散抑制機能に加えて、ゲルマニウムの存在に
よる微細なソース・ドレイン領域33aの形状の調整が
可能である。特に、フッ化ゲルマニウムイオンの注入を
行うことで、フッ素の導入とゲルマニウムの導入とを同
時に行うことができる利点がある。
【0291】ただし、本実施形態における図23(b)
に示す工程において、フッ化ゲルマニウムのイオン注入
をp型半導体領域22a側においてのみ行うようにして
もよい。その場合には、pMOSFETにはフッ化ゲル
マニウムは注入されないので、nMOSFETにおいて
のみ、上述の燐イオンの注入深さの抑制効果と燐の拡散
抑制機能とを発揮することができる。
【0292】また、本実施形態では、CMOS型半導体
装置の製造工程について説明したが、nMOSFETの
みを形成する場合についても、図21(b)に示すフッ
素イオンの代わりにフッ化ゲルマニウムのイオン注入を
行ってもよい。
【0293】(第17の実施形態)図24は本実施形態
に係るMT−CMOSデバイスの断面図、図25(a)
〜(c)は、本実施形態に係るMT−CMOSデバイス
の製造工程を示す断面図である。
【0294】図24に示すように、本実施形態では、半
導体基板41内に、p型不純物を含むp型ウエル42a
と、n型不純物を含むn型ウエル42bが形成されてい
る。そして、p型ウエル42aの付近の領域がnMOS
FETを形成するためのnMOSFET形成領域Rn で
あり、n型ウエル42bの付近の領域がpMOSFET
を形成するためのpMOSFET形成領域Rpである。
さらに、素子分離43により、nMOSFET形成領域
Rn は第1nMOSFET形成領域Rn1と第2nMOS
FET形成領域Rn2とに区画され、pMOSFET形成
領域Rp は第1pMOSFET形成領域Rp1と第2pM
OSFET形成領域Rp2とに区画されている。第1nM
OSFET形成領域Rn1に形成される第1nMOSFE
Tは高反転電圧を有するMOSFETであり、第2nM
OSFET形成領域Rn2に形成される第2nMOSFE
Tは低反転電圧を有するMOSFETである。第1pM
OSFET形成領域Rp1に形成される第1pMOSFE
Tは高反転電圧を有するMOSFETであり、第2pM
OSFET形成領域Rp2に形成される第2pMOSFE
Tは低反転電圧を有するMOSFETである。
【0295】第1nMOSFETは、ゲート電極48
と、ゲート絶縁膜47と、比較的高濃度のp型のチャネ
ル領域44aと、n+ 型のソース・ドレイン領域54と
を備えている。また、第2nMOSFETは、ゲート電
極48と、ゲート絶縁膜47と、比較的低濃度のp型の
チャネル領域44bと、n+ 型のソース・ドレイン領域
54とを備えている。第1pMOSFETは、ゲート電
極48と、ゲート絶縁膜47と、比較的高濃度のn型の
チャネル領域46aと、p+ 型のソース・ドレイン領域
55とを備えている。一方、第2pMOSFETは、ゲ
ート電極48と、ゲート絶縁膜47と、比較的低濃度の
n型のチャネル領域46bと、p+ 型のソース・ドレイ
ン領域55とに加えて、ゲート絶縁膜47の直下方にホ
ウ素イオンを導入してなるホウ素拡散領域Rboを備えて
いる。
【0296】本実施形態のMT−CMOSデバイスは、
それぞれ相異なる反転電圧を有する第1,第2nMOS
FETと、第1,第2pMOSFETとを有している。
そして、第1nMOSFETのチャネル領域44aに
は、第2nMOSFETのチャネル領域44bよりも高
濃度のp型不純物(ホウ素)が導入されていて、この不
純物濃度の差によって、第2nMOSFETに対する反
転電圧の高低差を設けている。また、第2pMOSFE
Tのチャネル領域46bには、ホウ素拡散領域Rboが設
けられており、このカウンタドープされた結果生じるn
型キャリア濃度の差によって第1pMOSFETに対す
る反転電圧の高低差を設けている。
【0297】本実施形態では、第2pMOSFETのチ
ャネル領域46bにホウ素拡散領域Rboが設けられてい
るので、第2pMOSFETのチャネル領域46bにお
けるn型不純物の濃度を第1pMOSFETのチャネル
領域におけるn型不純物の濃度と同じ濃度にしても、第
2pMOSFETの反転電圧を第1pMOSFETの反
転電圧よりも小さくすることができる。そのため、通常
低反転電圧MOSFETにとって避けがたい短チャネル
効果を緩和することが可能になる。したがって、耐圧が
大きく、かつ低反転電圧MOSFETの短チャネル効果
を抑制しうるMT−CMOSデバイスの提供を図ること
ができる。
【0298】次に、本実施形態に係るMT−CMOSデ
バイスの製造工程について、図25(a)−(d)を参
照しながら説明する。
【0299】まず、図25(a)に示す工程で、単結晶
シリコンで構成される半導体基板41上に、p型ウエル
42aとn型ウエル42bとを形成し、厚みが約400
nmのシリコン酸化膜からなる素子分離43を形成し、
第1nMOSFET形成領域Rn1,第2nMOSFET
形成領域Rn2,第2pMOSFET形成領域Rp2及び第
1pMOSFET形成領域Rp1を区画する。そして、通
常のフォトリソグラフィー工程により、nMOSFET
形成領域Rn のみを開口してpMOSFET形成領域R
p を覆うレジスト膜(図示せず)を形成し,このレジス
ト膜をマスクとして、nMOSFET形成領域Rn にホ
ウ素イオン(B+ )を注入し、第1,第2nMOSFE
Tのチャネル領域44a,44bを形成する。ホウ素イ
オンの注入条件は、10−40KeV,4−8×1012
cm-2である。また、pMOSFET形成領域Rp のみ
を開口してnMOSFET形成領域Rn を覆うレジスト
膜(図示せず)を形成し,このレジスト膜をマスクとし
て、pMOSFET形成領域Rp に燐イオン(P+ )を
注入し、第1,第2pMOSFETのチャネル領域46
a,46bを形成する。燐イオンの注入条件は、10−
40KeV,4−8×1012cm-2である。
【0300】次に、図25(b)に示す工程で、通常の
フォトリソグラフィー工程により、第1nMOSFET
形成領域Rn1及び第2pMOSFET形成領域Rp2のみ
を開口したレジスト膜56aを形成し、このレジスト膜
56aをマスクとして、第1nMOSFET形成領域R
n1及び第2pMOSFET形成領域Rp2にホウ素イオン
(B+ )を注入し、第1nMOSFETのチャネル領域
44aに追加注入を行う一方、第2pMOSFETのチ
ャネル領域46bにカウンタードープを行う。このとき
のイオン注入条件は、10−40KeV,2−6×10
12cm-2である。
【0301】次に、図25(c)に示す工程で、厚みが
8−12nmのシリコン酸化膜を形成し、さらにその上
に厚みが150−250nmのポリシリコン膜を堆積
し、通常のリソグラフィー工程、エッチング工程によ
り、各MOSFETのゲート絶縁膜47及びゲート電極
48をパターニングする。さらに、上記各実施形態に示
される条件と同様の工程により、nMOSFET形成領
域Rn には砒素を、pFET形成Rp にはホウ素イオン
(B+ 又はBF2+ )をそれぞれ注入して、各nMOSF
ETのソース・ドレイン領域54と、各pMOSFET
のソース・ドレイン領域55とを形成する。
【0302】すなわち、図25(a)に示す工程におい
て導入されたp型不純物、n型不純物の濃度をそれぞれ
p25a ,n25a とし、図25(b)に示す工程において
導入されたp型不純物の濃度をp25bとすると、各領域
の実効的な不純物濃度(キャリア濃度)は、それぞれ以
下のようになる。ただし、各ウエルにおける不純物濃度
は無視する。
【0303】 第1nMOSFETのチャネル領域44a p25a +p25b 第2nMOSFETのチャネル領域44b p25a 第1pMOSFETのチャネル領域46a n25a 第2pMOSFETのチャネル領域46b n25a −p25b 以上の工程によって、上記図24に示すMT−CMOS
デバイスの構造が容易に得られる。特に、本実施形態の
製造方法では、図25(a),(b)に示す工程で、反
転電圧制御のためのフォトマスクが2枚で済む。一方、
従来の図30(a)−(d)に示す工程をMT−CMO
Sデバイスにそのまま適用すると、第1nMOSFET
と、第2nMOSFETと、第1pMOSFETと、第
2pMOSFETとにおけるチャネル領域を形成するた
めに、各MOSFET形成領域Rn1,Rn2,Rp1,Rp2
のみを開口した4種類のレジスト膜を形成する必要があ
ることが容易に理解される。したがって、本実施形態に
係る半導体装置の製造方法では、従来の方法と比較して
2回のフォトマスク形成工程を削減でき、工程が簡略化
できる。
【0304】(第18の実施形態)図26は本実施形態
に係るMT−CMOSデバイスの断面図、図27(a)
〜(c)は、本実施形態に係るMT−CMOSデバイス
の製造工程を示す断面図である。
【0305】図26に示すように、本実施形態に係るM
T−CMOSデバイスの構造は、上記第17の実施形態
に係るMT−CMOSデバイスの構造と基本的に同じで
ある。すなわち、本実施形態における各MOSFET
は、ゲート絶縁膜47と、ゲート電極48と、ソース・
ドレイン領域54又は55を備えている点は、上記第1
7の実施形態と同じである。ここで、上記第17の実施
形態と異なる点について説明すると、第1nMOSFE
Tのチャネル領域44aは比較的高濃度のホウ素を含ん
でいるが、第2nMOSFETのチャネル領域44bに
は、燐がカウンタドープされてなる燐拡散領域Rphが設
けられている。そして、この燐拡散領域Rphの存在によ
り、第2nMOSFETの反転電圧を低下させるように
構成されている。また、第1pMOSFETのチャネル
領域46aには、第2pMOSFETのチャネル領域4
6bよりも高濃度のn型不純物(燐)が導入されてい
て、この不純物濃度の差によって、第2pMOSFET
に対する反転電圧の高低差を設けている。
【0306】本実施形態では、第2nMOSFETのチ
ャネル領域44bに燐拡散領域Rphが設けられているの
で、第2nMOSFETのチャネル領域44bにおける
p型不純物の濃度を第1nMOSFETのチャネル領域
におけるp型不純物の濃度と同じ濃度にしても、第2n
MOSFETの反転電圧を第1nMOSFETの反転電
圧よりも小さくすることができる。そのため、通常低反
転電圧MOSFETにとって避けがたい短チャネル効果
を緩和することが可能になる。したがって、耐圧が大き
く、かつ低反転電圧MOSFETの短チャネル効果を抑
制しうるMT−CMOSデバイスの提供を図ることがで
きる。
【0307】次に、本実施形態に係るMT−CMOSデ
バイスの製造工程について、図27(a)−(d)を参
照しながら説明する。
【0308】まず、図27(a)に示す工程で、上記図
25(a)に示す工程と同じ条件で、各種の処理を行
う。各チャネル領域44a,44b及び46a,46b
を形成するためのイオン注入の条件も、上述の第17の
実施形態と同じである。
【0309】次に、図27(b)に示す工程で、通常の
フォトリソグラフィー工程により、第2nMOSFET
形成領域Rn2及び第1pMOSFET形成領域Rp1のみ
を開口したレジスト膜56bを形成し、このレジスト膜
56bをマスクとして、第2nMOSFET形成領域R
n2及び第1pMOSFET形成領域Rp1に燐イオン(P
+ )を注入し、第1pMOSFETのチャネル領域46
aに追加注入を行う一方、第2nMOSFETのチャネ
ル領域44bにカウンタードープを行う。このときのイ
オン注入条件は、20−60KeV,2−6×1012
-2である。
【0310】次に、図27(c)に示す工程で、厚みが
8−12nmのシリコン酸化膜を形成し、さらにその上
に厚みが150−250nmのポリシリコン膜を堆積
し、通常のリソグラフィー工程、エッチング工程によ
り、各MOSFETのゲート絶縁膜47及びゲート電極
48をパターニングする。さらに、上記各実施形態に示
される条件と同様の工程により、nMOSFET形成領
域Rn には砒素を、pFET形成Rp にはホウ素イオン
(B+ 又はBF2+ )をそれぞれ注入して、各nMOSF
ETのソース・ドレイン領域54と、各pMOSFET
のソース・ドレイン領域55とを形成する。
【0311】すなわち、図27(a)に示す工程におい
て導入されたp型不純物、n型不純物の濃度をそれぞれ
p27a ,n27a とし、図27(b)に示す工程において
導入されたp型不純物の濃度をp27bとすると、各領域
の実効的な不純物濃度(キャリア濃度)は、それぞれ以
下のようになる。ただし、各ウエルにおける不純物濃度
は無視する。
【0312】 第1nMOSFETのチャネル領域44a p27a 第2nMOSFETのチャネル領域44b p27a −n27b 第1pMOSFETのチャネル領域46a n27a +n27b 第2pMOSFETのチャネル領域46b n27a 以上の工程によって、上記図26に示すMT−CMOS
デバイスの構造が容易に得られる。特に、本実施形態の
製造方法では、図27(a),(b)に示す工程で、反
転電圧制御のためのフォトマスクが2枚で済む。一方、
従来の図30(a)−(d)に示す工程をMT−CMO
Sデバイスにそのまま適用すると、第1nMOSFET
と、第2nMOSFETと、第1pMOSFETと、第
2pMOSFETとにおけるチャネル領域を形成するた
めに、各MOSFET形成領域Rn1,Rn2,Rp1,Rp2
のみを開口した4種類のレジスト膜を形成する必要があ
ることが容易に理解される。したがって、本実施形態に
係る半導体装置の製造方法では、従来の方法と比較して
2回のフォトマスク形成工程を削減でき、工程が簡略化
できる。
【0313】(第19の実施形態)図28は本実施形態
に係るMT−CMOSデバイスの断面図、図29(a)
〜(c)は、本実施形態に係るMT−CMOSデバイス
の製造工程を示す断面図である。
【0314】図28に示すように、本実施形態では、p
型ウエル42aと、n型ウエル42bとが形成され、p
型ウエル42a(nMOSFET形成領域Rn )には高
反転電圧型の第1nMOSFETと低反転電圧型の第2
nMOSFETとが設けられている。p型ウエル42b
(pMOSFET形成領域Rp )には高反転電圧型の第
1pMOSFETと低反転電圧型の第2pMOSFET
とが設けられている。
【0315】第1nMOSFETは、ポリシリコン膜か
らなるゲート電極48aと、酸化膜からなるゲート絶縁
膜47aと、p型のチャネル領域44と、n+ 型のソー
ス・ドレイン領域54とを備えている。また、第2nM
OSFETは、窒素が導入されたポリシリコン膜からな
るゲート電極48bと、窒素を含む酸化膜つまり窒化酸
化膜からなるゲート絶縁膜47bと、p型のチャネル領
域44と、n+ 型のソース・ドレイン領域54とを備え
ている。第1pMOSFETは、ポリシリコン膜からな
るゲート電極48aと、酸化膜からなるゲート絶縁膜4
7aと、n型のチャネル領域46と、p+ 型のソース・
ドレイン領域55とを備えている。一方、第2pMOS
FETは、窒素が導入されたポリシリコン膜からなるゲ
ート電極48bと、窒素を含む酸化膜つまり窒化酸化膜
からなるゲート絶縁膜47bと、n型のチャネル領域4
6と、p+ 型のソース・ドレイン領域55とを備えてい
る。
【0316】本実施形態では、低反転電圧型の第2nM
OSFET及び第2pMOSFETのゲート絶縁膜47
bを構成するシリコン酸化膜内に窒素を導入することに
よって反転電圧を低下させ、それぞれ第1nMOSFE
T,第1pMOSFETとの反転電圧に対する高低差を
生じるように構成されている。すなわち、シリコン酸化
膜よりもシリコン窒化膜の方が誘電率が高いので、シリ
コン窒化酸化膜をゲート絶縁膜として使用することによ
り、同じ膜厚でも反転電圧を低くできるのである。ここ
で、シリコン酸化膜の誘電率が約3.8であるのに対
し、シリコン窒化膜の誘電率は約6.7であるので、窒
素の注入量を適宜調整することにより、MOSFETの
反転電圧が所望の値になるようにシリコン窒化酸化膜の
誘電率を調整できる。また、窒化酸化膜は耐圧などの特
性が酸化膜よりも良好であるので、半導体装置の信頼性
の向上をも期待できる。
【0317】次に、本実施形態に係るMT−CMOSデ
バイスの製造工程について説明する。
【0318】まず、図29(a)に示す工程で、上記図
25(a)に示す工程と同じ条件で、各種の処理を行
う。ただし、第1,第2nMOSFETのチャネル領域
44を形成する際のホウ素イオンの注入条件は、10−
40KeV,2−8×1013cm-2である。また、第
1,第2pMOSFETのチャネル領域46を形成する
際の燐イオンの注入条件は、10−40KeV,2−8
×1013cm-2である。
【0319】次に、図29(b)に示す工程で、厚みが
8−12nmのシリコン酸化膜を形成し、さらにその上
に厚みが150−250nmのポリシリコン膜を堆積
し、通常のリソグラフィー工程、エッチング工程によ
り、各MOSFETのゲート絶縁膜47a,47b及び
ゲート電極48a、48bをパターニングする。さら
に、通常のフォトリソグラフィー工程により、第2nM
OSFET形成領域Rn2及び第2pMOSFET形成
領域Rp2のみを開口したレジスト膜56cを形成し、こ
のレジスト膜56cをマスクとして、第2nMOSFE
T形成領域Rn2及び第2pMOSFET形成領域Rp2に
窒素イオン(N+ )を注入する。このときのイオン注入
条件は、20−60KeV,8×1015−2×1016
-22−6×1012cm-2である。この窒素イオンの注
入によって、導入された窒素は後の熱処理工程を経ると
速やかに拡散して、第2nMOSFET及び第2pMO
SFETのゲート絶縁膜47bまで到達するので、シリ
コン酸化膜が窒化され窒化酸化膜となる。
【0320】次に、図29(c)に示す工程で、さら
に、上記各実施形態に示される条件と同様の工程によ
り、nMOSFET形成領域Rn には砒素を、pFET
形成Rpにはホウ素イオン(B+ 又はBF2+ )をそれぞ
れ注入して、各nMOSFETのソース・ドレイン領域
54と、各pMOSFETのソース・ドレイン領域55
とを形成する。
【0321】以上の工程によって、上記図28に示すM
T−CMOSデバイスの構造が容易に得られる。特に、
本実施形態の製造方法では、図29(a),(b)に示
す工程で、反転電圧制御のためのフォトマスクが2枚で
済む。一方、従来の図30(a)−(d)に示す工程を
MT−CMOSデバイスにそのまま適用すると、第1n
MOSFETと、第2nMOSFETと、第1pMOS
FETと、第2pMOSFETとにおけるチャネル領域
を形成するために、各MOSFET形成領域Rn1,Rn
2,Rp1,Rp2のみを開口した4種類のレジスト膜を形
成する必要があることが容易に理解される。したがっ
て、本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、従来
の方法と比較して2回のフォトマスク形成工程を削減で
き、工程が簡略化できる。
【0322】(第17〜第19の実施形態に関する変形
形態)上記第17〜第19の実施形態においては、各M
OSFETにLDD領域やポケット領域を形成していな
いが、上述の第1〜第16の実施形態におけると同様の
LDD領域やポケット領域を設けて、より微細化に適し
た構造とすることができることはいうまでもない。
【0323】
【発明の効果】請求項1〜10によれば、反転電圧の異
なる2種類のMISFETを備えた半導体装置におい
て、一方のチャネル領域を基板領域で構成し、或いはL
DD領域の有無などにより反転電圧の差を生じるように
したので、設計の容易化や、寄生容量の低減による動作
の高速化と消費電力の低減とを図りながら、高速、低消
費電力のLSIに適したMT−MISデバイスの提供を
図ることができる。
【0324】請求項10〜15によれば、反転電圧の異
なる2種類のMISFETを備えた半導体装置におい
て、各MISFETをLDD構造としかつ濃度が異なる
ポケット領域を形成することにより、反転電圧を変える
ようにしたので、簡素な工程で、高速、低消費電力のL
SIに適したMT−MISデバイスの提供を図ることが
できる。
【0325】請求項16〜22によれば、少なくともn
MISFETを搭載した半導体装置において、nMIS
FETのゲート電極とソース・ドレイン領域とに、少な
くともフッ素を含む不純物と燐とを共に導入しておく構
造としたので、フッ素による燐の拡散抑制機能を利用し
て、駆動力が高くかつ微細化に適した良好な特性を有す
る半導体装置の提供を図ることができる。
【0326】請求項23〜25によれば、反転電圧の異
なる2種類のMISFETを備えた半導体装置におい
て、低反転電圧MISFETのチャネル領域をカウンタ
ドープされた構造とすることでキャリア濃度を薄くする
ようにしたので、耐圧特性と短チャネル効果抑制機能の
向上を図りつつMT−MISデバイスの提供を図ること
ができる。
【0327】請求項26によれば、反転電圧の異なる2
種類のMISFETを備えた半導体装置において、低反
転電圧MISFETのゲート絶縁膜を窒化酸化膜で構成
することにより、反転電圧の差を生ぜしめるようにした
ので、信頼性の向上を図りつつMT−MISデバイスの
提供を図ることができる。
【0328】請求項27〜31によれば、反転電圧の異
なる2種類のMISFETを備えた半導体装置の製造方
法として、反転電圧の制御のために必要なフォトマスク
数の低減を図りながら、上記請求項1〜9の構成を有す
るMT−MISデバイスの形成の容易化を図ることがで
きる。
【0329】請求項32〜40によれば、反転電圧の異
なる2種類のMISFETを備えた半導体装置の製造方
法として、反転電圧の制御のために必要なフォトマスク
数の低減を図りながら、上記請求項10〜15の構成を
有するMT−MISデバイスの形成の容易化を図ること
ができる。
【0330】請求項41〜48によれば、少なくともn
MISFETを搭載した半導体装置の製造方法として、
nMISFET形成領域において不純物の導入を行う
際、少なくともフッ素を含む不純物と燐とをゲート電極
及びソース・ドレイン領域となる領域とに導入するよう
にしたので、フッ素による燐の拡散抑制機能を利用し
て、駆動力が高くかつ微細化に適した良好な特性を有す
る半導体装置の形成を図ることができる。
【0331】請求項49〜50によれば、反転電圧の異
なる2種類のMISFETを備えた半導体装置の製造方
法として、反転電圧の制御のために必要なフォトマスク
数の低減を図りながら、上記請求項23〜25の構成を
有するMT−MISFETの形成の容易化を図ることが
できる。
【0332】請求項51によれば、反転電圧の異なる2
種類のMISFETを備えた半導体装置の製造方法とし
て、低反転MISFETのゲート電極に窒素イオンの注
入を行った後、これを拡散させて窒化酸化膜を形成する
ようにしたので、請求項26の構成を有するMT−MI
Sデバイスの形成の容易化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係るMT−nMOSデバイス
の構造を示す断面図である。
【図2】第1の実施形態に係るMT−MOSデバイスに
基板バイアスを印加した状態を示す断面図である。
【図3】第1の実施形態に係るMT−nMOSデバイス
の製造工程を示す断面図である。
【図4】第2の実施形態に係るMT−nMOSデバイス
の構造を示す断面図である。
【図5】第3の実施形態に係るMT−CMOSデバイス
の構造を示す断面図である。
【図6】第3の実施形態に係るMT−CMOSデバイス
に基板バイアスを印加した状態を示す断面図である。
【図7】第3の実施形態に係るMT−CMOSデバイス
の製造工程を示す断面図である。
【図8】第4の実施形態に係るMT−CMOSデバイス
の製造工程を示す断面図である。
【図9】第5の実施形態に係るMT−CMOSデバイス
の製造工程を示す断面図である。
【図10】いわゆるSPI構造を有する第6の実施形態
に係るMT−nMOSデバイスの製造工程を示す断面図
である。
【図11】第7の実施形態に係るMT−nMOSデバイ
スの構造を示す断面図である。
【図12】第7の実施形態に係るMT−nMOSデバイ
スの半導体基板表面付近における実効的な不純物濃度つ
まりキャリア濃度を示す図である。
【図13】第7の実施形態に係るMT−nMOSデバイ
スの製造工程を示す断面図である。
【図14】第8の実施形態に係るMT−nMOSデバイ
スの構造を示す断面図である。
【図15】第9の実施形態に係るMT−CMOSデバイ
スの構造を示す断面図である。
【図16】第9の実施形態に係るMT−CMOSデバイ
スの製造工程を示す断面図である。
【図17】第10の実施形態に係るMT−pMOSデバ
イスの製造工程を示す断面図である。
【図18】第11の実施形態に係るMT−pMOSデバ
イスの製造工程を示す断面図である。
【図19】第12の実施形態に係るMT−pMOSデバ
イスの製造工程を示す断面図である。
【図20】第13の実施形態に係るMT−nMOSデバ
イスの製造工程を示す断面図である。
【図21】第14の実施形態に係るnMOSFETの製
造工程を示す断面図である。
【図22】第15の実施形態に係るCMOSデバイスの
製造工程を示す断面図である。
【図23】第16の実施形態に係るMT−nMOSデバ
イスの製造工程を示す断面図である。
【図24】第17の実施形態に係るMT−CMOSデバ
イスの構造を示す断面図である。
【図25】第17の実施形態に係るMT−CMOSデバ
イスの製造工程を示す断面図である。
【図26】第18の実施形態に係るMT−CMOSデバ
イスの構造を示す断面図である。
【図27】第18の実施形態に係るMT−CMOSデバ
イスの製造工程を示す断面図である。
【図28】第19の実施形態に係るMT−CMOSデバ
イスの構造を示す断面図である。
【図29】第19の実施形態に係るMT−CMOSデバ
イスの製造工程を示す断面図である。
【図30】従来のMT−nMOSデバイスの製造工程を
示す断面図である。
【図31】従来のCMOSデバイスの製造工程を示す断
面図である。
【符号の説明】
1 半導体基板 1a 基板領域 2a p型ウエル(p型基板領域) 2b n型ウエル(n型基板領域) 3 素子分離 4,6 チャネル領域 7 ゲート絶縁膜 8 ゲート電極 9,10 ポケット領域 11,12 LDD領域 13 サイドウォール 14,15 ソース・ドレイン領域 16 レジスト膜 17 チタンシリサイド膜
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年6月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 半導体装置及びその製造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、反転電圧の異なる
2種類のMISFETを搭載して高速化及び低消費電力
化に適しかつ製造コストの安価な半導体装置及びその製
造方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、MISFETを高密度に搭載した
半導体デバイスいわゆるLSIを開発するに際しては、
高速化と低消費電力化が大きな目標であるが、この2つ
のファクターを同時に達成することは極めて困難であ
る。すなわち、MOSデバイスの動作速度と、反転電圧
と、消費電力との間には密接な関係があり、高速化のた
め反転電圧を下げると、拡散電流が増大しオフ時の消費
電力が増えるというトレードオフ関係が存在する。
【0003】そこで、このトレードオフを解決するため
提案されている手法の1つにMultiThreshold Volta
ge CMOSデバイス(以下、略して、MT−CMOS
デバイスという)がある。これは回路的に高速化を要求
される部分には反転電圧の低いMOSFETを用い、リ
ーク電流の経路を反転電圧の高いMOSFETで遮断す
るというものであり、この回路構成を実現するために
は、nMOSデバイス,pMOSデバイス共に、少なく
とも2種類の反転電圧を有するMOSFETにより構成
されている必要がある。
【0004】以下、図面を参照しながら、従来のMT−
CMOSデバイスの製造方法の一例について説明する。
【0005】図30(a)−(d)は、2種類の反転電
圧を有するnMOSFETを搭載したnMOSデバイス
の従来の製造方法の1例を示すものである。
【0006】図30(a)に示す工程で、p型不純物が
予めドープされた半導体基板1を多数のMOSFET形
成領域に区画する素子分離3を形成した後、反転電圧が
高いnMOSFET(以下、第1nMOSFETとす
る)を形成する領域である第1nMOSFET形成領域
Rn1の上を覆い、反転電圧が低いnMOSFET(以
下、第2nMOSFETとする)を形成する領域である
第2nMOSFET形成領域Rn2の上を開口したレジス
ト膜16aを形成し、このレジスト膜16aをマスクと
して第2nMOSFET形成領域Rn2の半導体基板1内
にホウ素イオン(B+ )を注入し、第2MOSFETの
チャネル領域5を形成する。注入条件は、例えば20−
60KeV,1−2×1012cm-2である。
【0007】次に、図30(b)に示す工程で、第1M
OSFET形成領域Rn1の上を開口したレジスト膜16
bを形成し、第1nMOSFET形成領域Rn1に、上記
第2nMOSFET形成領域Rn2のチャネル領域5より
も高濃度のホウ素イオン(B+ )を注入し、高反転電圧
MOSFETのチャネル領域4を形成する。注入条件
は、例えば20−60KeV,4−6×1012cm -2
ある。
【0008】次に、図30(c)に示す工程で、半導体
基板1の表面を酸化して厚みが8−12nmのゲート絶
縁膜7を形成し、全面に厚みが200−300nmのポ
リシリコン膜を堆積した後、通常のフォトリソグラフィ
ー工程、エッチング工程を経てゲート電極8を形成す
る。次に、ゲート電極8をマスクとして低濃度の燐イオ
ン(P+ )を注入し、n- 型のLDD領域11を形成す
る。
【0009】次に、図30(d)に示す工程で、ゲート
電極8の各側面上にサイドウォール13を形成し、ゲー
ト電極8及びサイドウォール13をマスクとして高濃度
のヒ素イオン(As+ )を注入し、n+ 型のソース・ド
レイン領域14を形成する。次に、ソース・ドレイン領
域14中のヒ素イオンを活性化し結晶欠陥を回復させる
ため900℃,30分の熱処理を導入する。
【0010】以上の製造工程によって形成されるnMO
Sデバイスの動作について,以下に説明する。
【0011】かかる製造工程によって形成されるnMO
Sデバイスの構造では、第1MOSFET及び第2MO
SFETの反転電圧は、チャネル領域4,5における不
純物濃度によって決定され、それぞれ0.5−0.6
V,0.2−0.3V程度である。一般的に、第2MO
SFETは電流駆動力が大きく高速化に適しているがオ
フ時のリーク電流が大きい一方、第1MOSFETは電
流駆動力は小さいがオフリーク電流が小さく低消費電力
化に適している。したがって、これら2種類のMOSF
ETを回路構成で使い分けることにより、高速でかつ低
消費電力のLSIを構成することができる。
【0012】また、通常の従来の相補型MOS(CMO
S)デバイスは、基本的には、図31(a)〜(c)に
示す製造工程によって形成されている。
【0013】まず、図31(a)に示す工程で、nMO
SFET形成領域Rnにはp型基板領域22a(本従来
例では、p型半導体基板21と同じ不純物濃度の領域)
を、pMOSFET形成領域Rpにはn型基板領域22
b(nウェル)をそれぞれ設け、p型基板領域22a−
n型基板領域22b間を分離する素子分離23を設け
る。次に、p型半導体基板21の上に、厚みが4〜8n
mのゲート酸化膜24と、厚みが100〜200nmの
ゲート電極35とを形成する。
【0014】次に、図31(b)に示す工程で、nMO
SFETのゲート電極35と、p型基板領域22a内の
ゲート電極35の両側方に位置する領域38とに砒素イ
オン(As+ )を注入する。注入条件は、例えば加速エ
ネルギーが30〜60keV、注入量が6〜8×1015
cm-2である。一方、pMOSFETのゲート電極35
と、n型基板領域22b内のゲート電極35の両側方に
位置する領域39とにフッ化ホウ素イオン(BF2+)を
注入する。注入条件は、例えば加速エネルギーが10〜
30keV、注入量が3〜6×1015cm-2である。
【0015】最後に,図31(c)に示す工程で、10
00℃,10秒間の熱処理(RTA)を行い不純物イオ
ンを活性化する。この熱処理により、nMOSFET形
成領域Rnにおいては、ゲート電極35を低抵抗化して
n型ゲート電極35aとし、p型基板領域22a中にn
型ソース・ドレイン領域38aを形成する一方、pMO
SFET形成領域Rpにおいては、ゲート電極35を低
抵抗化してp型ゲート電極35bとし、n型基板領域2
2b中にp型ソース・ドレイン領域39aを形成する。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記図
30(a)〜(d)に示すようなMT−MOSデバイス
及びその製造方法では、以下に述べるような問題点があ
る。
【0017】1.通常のMOSデバイスに比べて工程数
が増加する。特に反転電圧を制御するために2種類のフ
ォトマスクを要し、コストが増加する。
【0018】2.低反転電圧MOSFETのチャネル領
域として機能するチャネル領域の不純物濃度が高反転電
圧MOSFETのそれに比べて小さいため耐圧が劣化
し、短チャネル効果が大きくなる。ここで、短チャネル
効果とは、短チャネル領域で長チャネル領域に比較して
MOSFETの諸特性が劣化する現象のことであるが、
例えば短チャネル領域での反転電圧が低下し、リーク電
流が増大するという不具合がある。
【0019】また、上記図31(a)〜(c)に示すM
OSFET及びその製造方法においては、以下のような
問題があった。
【0020】3.nMOSFETのドレイン領域38a
において、砒素イオンの注入によって形成される結晶欠
陥のために、ジャンクションにおけるリーク電流が大き
い。
【0021】4.nMOSFETのドレイン領域38a
において、電界が比較的大きくGIDL(Gate Induced
Drain Leakage)電流が大きい。
【0022】5.nMOSFETのドレイン領域38a
において、プロファイルが急峻なのでジャンクションの
寄生容量が大きくなる。
【0023】6.nMOSFETのドレイン領域38a
付近の電界が大きく、キャリアがインパクトイオン化を
起こしやすい。そのために、MOSFETのドレイン電
流が減小したり、MOSFETのしきい値が変動するな
どの経時劣化が大きい。つまり、信頼性が低い。
【0024】また、CMOSデバイスおいては、さらに
下記の問題7,8が生じる。
【0025】7.砒素の拡散係数とホウ素の拡散係数の
差によって、p型MOSFETの実効チャネル長がnM
OSFETの実効チャネル長よりも短くなり過ぎ、性能
面で両トランジスタのバランスが悪化する。
【0026】8.nMOSFETのゲート電極35aの
空乏化とpMOSFETのゲート電極35bのホウ素イ
オンの突き抜けを同時に抑制できない。つまり、RTA
のような短時間の熱処理(例えば1000℃,10秒)
を行うと、nMOSFETのゲート電極35a中の砒素
イオンの活性化が不十分で空乏化を起こし、駆動力が低
下する虞れがある。その一方、長時間の熱処理(例えば
900℃,30分)を行うと、pMOSFETのゲート
電極35b中のホウ素イオンがチャネル領域に拡散しデ
バイスの特性を劣化させる虞れがある。
【0027】本発明の第1の目的は、同一の半導体基板
上に高反転電圧FETと低反転電圧FETという2種類
のMOSFETを搭載しながら、低反転電圧MOSFE
Tにおいても短チャネル領域における特性が良好で、か
つ工程数の増大を招くことのない構造を有する半導体装
置及びその製造方法を提供することにある。すなわち、
上記問題点1〜2を解消することにある。
【0028】本発明の第2の目的は、不純物イオンをゲ
ート電極とソース・ドレイン領域とに同時に注入して形
成されるMIS型トランジスタにおいて、寄生容量の低
減による動作速度の向上、リーク電流の低減及び信頼性
の向上を図ることにある。すなわち、上記問題点3〜8
を解消することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るために、本発明では、請求項1〜15に記載されてい
る第1〜第7の半導体装置に関する手段と、請求項23
〜26に記載されている第9〜第10の半導体装置に関
する手段と、請求項27〜40に記載されている第1〜
第10の半導体装置の製造方法に関する手段と、請求項
49〜51に記載されている第12〜第14の半導体装
置の製造方法に関する手段とを講じている。
【0030】上記第2の目的を達成するために、本発明
では、請求項16〜22に記載されている第8の半導体
装置に関する手段と、請求項41〜48に記載されてい
る第11の半導体装置の製造方法に関する手段とを講じ
ている。
【0031】本発明に係る第1の半導体装置は、請求項
1に記載されているように、半導体基板上に、所定の反
転電圧を有する第1MISFETと該第1MISFET
よりも低い反転電圧を有する第2MISFETとを搭載
した半導体装置を前提とする。
【0032】ここで、上記第1MISFETは、上記半
導体基板の一部の上に形成されたゲート絶縁膜と、上記
ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上記ゲート
電極の各側面上に形成された絶縁体サイドウォールと、
上記ゲート絶縁膜直下方の半導体基板内にVT制御レベ
ル濃度の第1導電型不純物を導入して形成されたチャネ
ル領域と、上記半導体基板内で上記チャネル領域を挟ん
で相対向するように形成され高濃度の第2導電型不純物
を含むソース・ドレイン領域と、上記各ソース・ドレイ
ン領域と上記チャネル領域との間の上記半導体基板の表
面を少なくとも含む領域に形成され第1導電型不純物を
含むポケット領域と、上記ポケット領域と各ソース・ド
レイン領域との間に形成され低濃度の第2導電型不純物
を含むLDD領域とを備えている。
【0033】一方、上記第2MISFETは、上記半導
体基板の一部の上に形成されたゲート絶縁膜と、上記ゲ
ート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上記ゲート電
極の各側面上に形成された絶縁体サイドウォールと、上
記半導体基板の表面から奥方に亘る領域に形成され上記
第1MISFETのチャネル領域におけるよりも低濃度
のVT制御レベル濃度の第1導電型不純物を含んで上記
ゲート絶縁膜の直下方においてチャネル領域となる基板
領域と、上記半導体基板内で上記チャネル領域を挟んで
相対向するように形成され高濃度の第2導電型不純物を
含むソース・ドレイン領域と、上記各ソース・ドレイン
領域と上記チャネル領域との間の上記半導体基板の表面
を少なくとも含む領域に形成され第1導電型不純物を含
むポケット領域と、上記各ポケット領域と各ソース・ド
レイン領域との間に形成され低濃度の第2導電型不純物
を含むLDD領域とを備えている。
【0034】これにより、各MISFETにおいて、ポ
ケット領域によりパンチスルーや短チャネル効果を防止
できるので、反転電圧の劣化やリーク電流の発生を抑制
できる。また、パンチスルーや短チャネル効果をポケッ
ト領域により抑制できる構造となるので、チャネル領域
の中央部分の不純物濃度を低くできることから、ゲート
電極からの空乏層の延びが大きく、空乏層容量が小さく
なる。すなわち、サブスレッショルド特性が良好とな
り、リーク電流も低減できる。特に、低反転電圧を有す
る第2MISFETにおいて、チャネル領域となる部分
が低濃度の第1導電型不純物を含む基板領域で構成され
ているので、以上の作用が顕著になる。
【0035】請求項2に記載されているように、請求項
1において、上記第1,第2MISFETを第1,第2
nMISFETとしておき、第1,第2MISFETの
構造と導電型を逆にした構造でかつ上記LDD領域を除
いた構造を有する第1,第2pMISFETをさらに設
けることができる。
【0036】これにより、MT−CMISデバイスにお
いて、pMISFETのLDD領域が不要となる分、製
造が容易となり、かつ工程の安定性が向上することで、
製造コストが低減され信頼性も向上する。一方、pMI
SFETでは、ホットキャリアの発生確率が低いので、
LDD領域がなくても、信頼性が低下する虞れはない。
【0037】請求項3に記載されているように、請求項
1において、上記第1,第2MISFETを第1,第2
pMISFETとしておき、第1,第2MISFETの
構造と導電型を逆にした構造でかつ上記LDD領域を除
いた構造を有する第1,第2nMISFETをさらに設
けることができる。
【0038】これにより、MT−CMISデバイスにお
いて、nMISFETのLDD領域がない分、nMIS
FETの駆動力を高めることができる。一方、nMIS
FETのソース・ドレイン領域に導入する不純物の種類
を選択することで、nMISFETにLDD領域が設け
られていなくても、ドレイン近傍の電界を弱めることが
可能なので、信頼性の低下を回避することができる。
【0039】本発明の第2の半導体装置は、請求項4に
記載されているように、半導体基板上に、所定の反転電
圧を有する第1MISFETと該第1MISFETより
も低い反転電圧を有する第2MISFETとを搭載した
半導体装置を前提とする。
【0040】上記第1MISFETは、上記半導体基板
の一部の上に形成されたゲート絶縁膜と、上記ゲート絶
縁膜上に形成されたゲート電極と、上記ゲート電極の各
側面上に形成された絶縁体サイドウォールと、上記ゲー
ト絶縁膜直下方の半導体基板内にVT制御レベル濃度の
第1導電型不純物を導入して形成されたチャネル領域
と、上記半導体基板内で上記チャネル領域を挟んで相対
向するように形成され高濃度の第2導電型不純物を含む
ソース・ドレイン領域と、上記各ソース・ドレイン領域
と上記チャネル領域との間の上記半導体基板の表面を少
なくとも含む領域に形成され第1導電型不純物を含むポ
ケット領域と、上記各ポケット領域と各ソース・ドレイ
ン領域との間に形成され低濃度の第2導電型不純物を含
むLDD領域とを備えている。一方、上記第2MISF
ETは、上記第1MISFETの構造からポケット領域
を除いた構造とする。
【0041】これにより、高反転電圧を有する第1MI
SFETは短チャネル効果をポケット領域により抑制で
きる構造となるので、チャネル領域となる第2半導体領
域の不純物濃度を従来の構造における濃度よりも薄くで
きるので、反転電圧の劣化が小さく、リーク電流も低減
できる。一方、第2MISFETにはポケット領域を設
けないことで、第2MISFETのチャネル領域の不純
物濃度と第1MISFETのチャネル領域の不純物濃度
とを同じにしても反転電圧の差を生ぜしめることができ
るので、製造工程数が低減される。特に、それほどゲー
ト長が短くないMISFETに適した構造となる。
【0042】本発明に係る第3の半導体装置は、請求項
5に記載されているように、半導体基板上に、所定の反
転電圧を有する第1MISFETと該第1MISFET
よりも低い反転電圧を有する第2MISFETとを搭載
した半導体装置を前提とする。
【0043】そして、上記第1MISFETは、上記半
導体基板の一部の上に形成されたゲート絶縁膜と、上記
ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上記ゲート
絶縁膜直下方の半導体基板内にVT制御レベルの濃度の
第1導電型不純物を導入して形成されたチャネル領域
と、上記半導体基板内で上記チャネル領域を挟んで相対
向するように形成され高濃度の第2導電型不純物を含む
ソース・ドレイン領域と、上記各ソース・ドレイン領域
と上記チャネル領域との間で上記半導体基板表面から延
びて上記ソース・ドレイン領域のゲート側端部に接する
ように形成され第1導電型不純物を含むポケット領域
と、上記各ポケット領域と各ソース・ドレイン領域との
間に形成され低濃度の第2導電型不純物を含むLDD領
域と、上記ゲート電極及びソース・ドレイン領域の上に
形成されたシリサイド膜とを備えている。
【0044】一方、上記第2MISFETは、上記半導
体基板の一部の上に形成されたゲート絶縁膜と、上記ゲ
ート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上記半導体基
板の表面から奥方に亘る領域に形成され上記第1MIS
FETのチャネル領域におけるよりも低濃度のVT制御
レベル濃度の第1導電型不純物を含んで上記ゲート絶縁
膜の直下方においてチャネル領域となる基板領域と、上
記半導体基板内で上記チャネル領域を挟んで相対向する
ように形成され高濃度の第2導電型不純物を含むソース
・ドレイン領域と、上記各ソース・ドレイン領域とチャ
ネル領域との間で上記半導体基板表面から延びて上記ソ
ース・ドレイン領域のゲート側端部に接するように形成
され第1導電型不純物を含むポケット領域と、上記各ポ
ケット領域と各ソース・ドレイン領域との間に形成され
低濃度の第2導電型不純物を含むLDD領域と、上記ゲ
ート電極及びソース・ドレイン領域の上に形成されたシ
リサイド膜とを備えている。
【0045】また、本発明に係る第4の半導体装置は、
請求項6に記載されているように、半導体基板上に、所
定の反転電圧を有する第1MISFETと該第1MIS
FETよりも低い反転電圧を有する第2MISFETと
を搭載した半導体装置を前提とする。
【0046】そして、上記第1MISFET及び第2M
ISFETは、上記半導体基板の一部の上に形成された
ゲート絶縁膜と、上記ゲート絶縁膜上に形成されたゲー
ト電極と、上記ゲート絶縁膜直下方の半導体基板内にV
T制御レベル濃度の第1導電型不純物を導入して形成さ
れたチャネル領域と、上記半導体基板内で上記チャネル
領域を挟んで相対向するように形成され高濃度の第2導
電型不純物を含むソース・ドレイン領域と、上記各ソー
ス・ドレイン領域と上記チャネル領域との間で上記半導
体基板表面から延びて上記ソース・ドレイン領域のゲー
ト側端部に接するように形成され第1導電型不純物を含
むポケット領域と、上記各ポケット領域と各ソース・ド
レイン領域との間に形成され低濃度の第2導電型不純物
を含むLDD領域と、上記ゲート電極及びソース・ドレ
イン領域の上に形成されたシリサイド膜とを備えてお
り、上記第1MISFETの上記第2の半導体領域にお
ける不純物濃度は、上記第2MISFETの上記第2の
半導体領域における不純物濃度よりも濃い。
【0047】上記第3及び第4の半導体装置により、シ
リサイド層によりソース・ドレイン抵抗の小さいMIS
FETが得られるとともに、ポケット領域がソース・ド
レイン領域の下方にまで至らず狭い領域に形成されてい
るので、ソース・ドレイン領域−第1の半導体領域間に
おいて不純物の濃度の低い第1の半導体領域がpnジャ
ンクションの一方を構成するので、寄生容量を低減する
ことができる。したがって、動作速度が向上するととも
に、消費電力が低減する。
【0048】請求項7に記載されているように、請求項
1,4,5又は6において、上記第1MISFETに第
1nMISFETと第1pMISFETとを含ませ、上
記第2MISFETに第2nMISFETと第2pMI
SFETとを含ませることができる。
【0049】これにより、各請求項の作用がnMOSデ
バイス及びpMOSデバイスの双方で得られる。つま
り、サブスレッショルド特性が良好で,反転電圧の劣化
の小さい,かつリーク電流の少ないMT−SMOSデバ
イスが得られる。
【0050】請求項8に記載されているように、請求項
1,4,5又は6において、上記第1及び第2MISF
ETに共通のバイアスを印加するように構成することが
好ましい。
【0051】これにより、第1MISFETと第2MI
SFETとの反転電圧の差がさらに拡大されるので、高
速動作と低消費電力というMT−MOSデバイスの利点
がより顕著に得られる。
【0052】同じ理由から、請求項9に記載されている
ように、請求項2,3又は7において、上記第1nMI
SFET及び第2nMISFETに共通の負の基板バイ
アスを印加し、上記第1pMISFET及び第2pMI
SFETに共通の正の基板バイアスを印加するように構
成することが好ましい。
【0053】本発明に係る第5の半導体装置は、請求項
10に記載されているように、半導体基板上に、所定の
反転電圧を有する第1MISFETと該第1MISFE
Tよりも低い反転電圧を有する第2MISFETとを搭
載した半導体装置を前提とする。
【0054】上記第1及び第2MISFETは、上記半
導体基板の一部の上に形成されたゲート絶縁膜と、上記
ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上記ゲート
電極の各側面上に形成された絶縁体サイドウォールと、
上記ゲート絶縁膜直下の部分を含む領域に第1導電型キ
ャリアを生成するための第1導電型不純物を導入してな
る基板領域と、上記ゲート電極の両側方に位置する上記
半導体基板内に第2導電型キャリアを生成するための高
濃度の第2導電型不純物を導入してなる高濃度ソース・
ドレイン領域と、上記各高濃度ソース・ドレイン領域と
上記基板領域のゲート電極直下の部分との間に低濃度の
上記第2導電型不純物を導入してなる低濃度ソース・ド
レイン領域と、上記低濃度ソース・ドレイン領域と上記
基板領域との間の上記半導体基板の表面を少なくとも含
む領域に上記第1導電型不純物を導入してなるポケット
領域とを備えていて、上記第1MISFETのポケット
領域における第1導電型キャリアの濃度が上記第2MI
SFETのポケット領域における第1導電型キャリアの
濃度よりも濃い。
【0055】これにより、第1MISFETの反転電圧
が第2MISFETの反転電圧よりも高くなる。しか
も、MISFETにポケット領域が形成されていること
で、パンチスルーや短チャネル効果を防止できるので、
反転電圧の劣化やリーク電流の発生を抑制できる。ま
た、パンチスルーや短チャネル効果をポケット領域によ
り抑制できる構造となるので、チャネル領域の中央部分
の不純物濃度を低くできることから、ゲート電極からの
空乏層の延びが大きく、空乏層容量が小さくなる。すな
わち、サブスレッショルド特性が良好となり、リーク電
流も低減できる。したがって、ポケット領域における不
純物濃度の差を利用して高速でかつ消費電力の小さい半
導体装置が得られることになる。
【0056】請求項11に記載されているように、請求
項10において、上記第1MISFETに第1nMIS
FETと第1pMISFETを含ませ、上記第2MIS
FETに第2nMISFETと第2pMISFETとを
含ませることができる。
【0057】これにより、現実にCMOSデバイスとし
て構成されることが多い半導体装置において、nMIS
FETについてもpMISFETについても、請求項1
0の作用が得られることになる。
【0058】本発明に係る第6の半導体装置は、請求項
12に記載されているように、半導体基板上に、所定の
反転電圧を有する第1MISFETと該第1MISFE
Tよりも低い反転電圧を有する第2MISFETとを搭
載した半導体装置を前提とする。
【0059】上記第1及び第2MISFETは、上記半
導体基板の一部の上に形成されたゲート絶縁膜と、上記
ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上記ゲート
電極の各側面上に形成された絶縁体サイドウォールと、
上記ゲート絶縁膜直下の部分を含む領域に第1導電型キ
ャリアを生成するための第1導電型不純物を導入してな
る基板領域と、上記ゲート電極の両側方に位置する上記
半導体基板内に第2導電型キャリアを生成するための高
濃度の第2導電型不純物を導入してなる高濃度ソース・
ドレイン領域と、上記各高濃度ソース・ドレイン領域と
上記基板領域内のゲート絶縁膜直下の領域との間に低濃
度の上記第2導電型不純物を導入してなる低濃度ソース
・ドレイン領域と、上記低濃度ソース・ドレイン領域と
上記基板領域との間の上記半導体基板の表面を少なくと
も含む領域に上記第1導電型不純物を導入してなるポケ
ット領域とを備えていて、上記第1MISFETのポケ
ット領域における上記半導体基板の表面と接する部分の
ゲート長方向の幅が、上記第1MISFETのポケット
領域における上記半導体基板の表面と接する部分のゲー
ト長方向の幅よりも大きい。
【0060】これにより、上述の請求項10と同じ作用
効果が得られる。
【0061】請求項13に記載されているように、請求
項12において、上記第1MISFETに第1nMIS
FETと第1pMISFETとを含ませ、上記第2MI
SFETに第2nMISFETと第2pMISFETと
を含ませることができる。
【0062】これにより、上述の請求項13と同じ作用
効果が得られる。
【0063】本発明に係る第7の半導体装置は、請求項
14に記載されているように、半導体基板上に、所定の
反転電圧を有する第1MISFETと該第1MISFE
Tよりも低い反転電圧を有する第2MISFETとを搭
載した半導体装置を前提とする。
【0064】上記第1及び第2MISFETは、上記半
導体基板の一部の上に形成されたゲート絶縁膜と、上記
ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上記ゲート
絶縁膜直下の部分を含む領域に第1導電型キャリアを生
成するための第1導電型不純物を導入してなる基板領域
と、上記ゲート電極の両側方に位置する上記半導体基板
内に第2導電型キャリアを生成するための高濃度の第2
導電型不純物を導入してなる高濃度ソース・ドレイン領
域と、上記各高濃度ソース・ドレイン領域と上記基板領
域のゲート絶縁膜直下の部分との間に低濃度の第2導電
型不純物を導入してなる低濃度ソース・ドレイン領域
と、上記低濃度ソース・ドレイン領域と上記基板領域と
の間で上記半導体基板表面から上記高濃度ソース・ドレ
イン領域のゲート電極側端部に亘る領域に第1導電型不
純物を導入してなるポケット領域と、上記ゲート電極及
び高濃度ソース・ドレイン領域の上に形成されたシリサ
イド膜とを備えていて、上記第1MISFETのポケッ
ト領域における第1導電型キャリアの濃度が上記第2M
ISFETのポケット領域における第1導電型キャリア
の濃度よりも濃い。
【0065】これにより、請求項10と同じ作用が得ら
れる。加えて、シリサイド層によりソース・ドレイン抵
抗の小さいMISFETが得られるとともに、ポケット
領域がソース・ドレイン領域の下方にまで至らず狭い領
域に形成されているので、高濃度ソース・ドレイン領域
−基板領域間において不純物の濃度の低い基板領域がp
nジャンクションの一方を構成することになり、寄生容
量を低減することができる。したがって、動作速度がさ
らに向上するとともに、消費電力がさらに低減される。
【0066】請求項15に記載されているように、請求
項14において、上記第1MISFETに第1nMIS
FETと第1pMISFETとを含ませ、上記第2MI
SFETに第2nMISFETと第2pMISFETと
を含ませることができる。
【0067】これにより、請求項14の作用効果がnM
OSデバイス及びpMOSデバイスの双方で得られる。
【0068】本発明に係る第8の半導体装置は、請求項
16に記載されるように、半導体基板の一部に形成され
たnMISFETとを少なくとも有する半導体装置にお
いて、上記nMISFETは、上記半導体基板上に形成
されたゲート絶縁膜と、上記ゲート絶縁膜の上に形成さ
れ、少なくともフッ素を含む不純物と燐とが導入された
ゲート電極と、上記半導体基板の上記ゲート電極の両側
方に位置する領域に形成され、少なくともフッ素を含む
不純物と燐とが導入されたn型ソース・ドレイン領域と
を備えている。
【0069】これにより、MISFETのソース・ドレ
イン領域に、砒素よりもイオン半径の小さい燐が導入さ
れているために、結晶欠陥が少なくなり、ジャンクショ
ンにおけるリーク電流が低減される。また、砒素に比べ
ると燐のソース・ドレイン領域における濃度分布はなだ
らかとなるので、ドレイン領域における電界は小さくな
り、GIDL電流が低減される。しかも、ソース・ドレ
イン領域にフッ素が導入されているので、燐の拡散が抑
制されショートチャネル効果の発生を抑制することがで
きる。また、電界のドレイン領域近傍への集中が緩和さ
れ、ホットキャリアの発生に起因する特性の劣化を有効
に防止できる。また、nMISFETのゲート電極に燐
が導入されているので、ゲート電極の空乏化を抑制する
ことができ、ゲート電極の低抵抗によりトランジスタの
駆動力が向上する。
【0070】請求項17に記載されるように、請求項1
6において、上記半導体基板の上記nMISFETとは
別の部位に形成されたpMISFETをさらに有し、上
記pMISFETは、上記半導体基板の上に形成された
ゲート絶縁膜と、上記ゲート絶縁膜の上に形成され、p
型不純物イオンが導入されたゲート電極と、上記半導体
基板の上記ゲート電極の両側方に位置する領域に形成さ
れ、p型不純物イオンが導入されたp型ソース・ドレイ
ン領域とを備えている構成とすることができる。
【0071】これにより、CMISデバイスにおけるn
MISFETにおけるゲート電極の空乏化とpMISF
ETのゲート電極におけるホウ素の突き抜けとを同時に
防止することができる。また、nMISFETのソース
・ドレイン領域とpMISFETのソース・ドレイン領
域とがほぼ同じ深さや実効チャネル長を有するように形
成されるので、性能面でpMISFETとnMISFE
Tとのバランスがよくなる。
【0072】請求項18に記載されるように、請求項1
6又は17において、上記ゲート電極の両側面上に形成
されたサイドウォールと、上記ソース・ドレイン領域の
ゲート電極側に隣接した領域に形成され、低濃度のn型
不純物が導入された低濃度ソース・ドレイン領域とをさ
らに備えることができる。
【0073】これにより、いわゆるLDD構造を有する
トランジスタを搭載したMISデバイスとなるので、よ
り微細化に適したデバイスを得ることができる。
【0074】請求項19に記載されるように、請求項1
7において、上記p型不純物は、ホウ素のみであること
が好ましい。
【0075】請求項20に記載されるように、請求項1
6において、上記少なくともフッ素を含む不純物を、フ
ッ化ゲルマニウムとすることができる。
【0076】請求項21に記載されるように、請求項2
0において、上記半導体基板の上記nMISFETとは
別の部位に形成されたpMISFETをさらに有し、上
記pMISFETは、上記半導体基板の上に形成された
ゲート絶縁膜と、上記ゲート絶縁膜の上に形成され、p
型不純物イオンが導入されたゲート電極と、上記半導体
基板の上記ゲート電極の両側方に位置する領域に形成さ
れ、p型不純物イオンが導入されたp型ソース・ドレイ
ン領域とを備えることができる。
【0077】請求項22に記載されるように、請求項2
0において、上記半導体基板の上記nMISFETとは
別の部位に形成されたpMISFETをさらに有し、上
記pMISFETは、上記半導体基板の上に形成された
ゲート絶縁膜と、上記ゲート絶縁膜の上に形成され、p
型不純物イオンが導入されたゲート電極と、上記半導体
基板の上記ゲート電極の両側方に位置する領域に形成さ
れ、p型不純物イオンが導入されたp型ソース・ドレイ
ン領域とを備え、上記pMISFETのp型ゲート電極
及びp型ソース・ドレイン領域にも上記フッ化ゲルマニ
ウムが導入されているものとすることができる。
【0078】本発明に係る第9の半導体装置は、請求項
23に記載されているように、半導体基板上に、所定の
反転電圧を有する少なくとも1つの第1MISFETと
該第1MISFETとよりも低い反転電圧を有する少な
くとも1つの第2MISFETとを搭載した半導体装置
を前提とする。
【0079】そして、上記第1MISFETは、上記半
導体基板の一部の上に形成されたゲート絶縁膜と、上記
ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上記ゲート
絶縁膜直下方の半導体基板内に第1導電型キャリアを生
ぜしめるための第1導電型不純物を導入して形成された
チャネル領域と、上記半導体基板内で上記チャネル領域
を挟んで相対向するように形成され高濃度の第2導電型
不純物を含むソース・ドレイン領域とを備える一方、上
記第2MISFETは、上記半導体基板の一部の上に形
成されたゲート絶縁膜と、上記ゲート絶縁膜上に形成さ
れたゲート電極と、上記ゲート絶縁膜直下方の半導体基
板内に上記第1MISFETのチャネル領域と同じ濃度
の第1導電型不純物と第2導電型キャリアを生ぜしめる
ための第2導電型不純物とを導入して形成されたチャネ
ル領域と、上記半導体基板内で上記チャネル領域を挟ん
で相対向するように形成され高濃度の第2導電型不純物
を含むソース・ドレイン領域とを備えており、上記第1
MISFETのチャネル領域における第1導電型キャリ
アの濃度は、上記第2MISFETのチャネル領域にお
ける第1導電型キャリアの濃度よりも濃い。
【0080】これにより、第1MISFETの反転電圧
方が第2MISFETの反転電圧よりも高くなり、異な
る反転電圧を有する2つのMISFETからなるMT−
デバイスを得ることができる。しかも、第2MISFE
Tのチャネル領域における第1導電型不純物の濃度は第
1MISFETのチャネル領域における第1導電型不純
物の濃度と同じなので、耐圧が大きく、かつ短チャネル
効果抑制機能も高いMT−デバイスが得られる。
【0081】請求項24に記載されているように、請求
項23において、上記第1,第2MISFETをいずれ
もpMISFETとし、上記第2導電型不純物をホウ素
とすることができる。
【0082】請求項25に記載されているように、請求
項23において、上記第1,第2MISFETをいずれ
もnMISFETとし、上記第2導電型不純物を燐とす
ることができる。
【0083】本発明に係る第10の半導体装置は、請求
項26に記載されているように、半導体基板上に、所定
の反転電圧を有する少なくとも1つの第1MISFET
と該第1MISFETとよりも低い反転電圧を有する少
なくとも1つの第2MISFETとを搭載した半導体装
置を前提とする。
【0084】そして、上記第1MISFETは、上記半
導体基板の一部の上に形成された酸化膜からなるゲート
絶縁膜と、上記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極
と、上記ゲート絶縁膜直下方の半導体基板内に第1導電
型キャリアを生ぜしめるための第1導電型不純物を導入
して形成されたチャネル領域と、上記半導体基板内で上
記チャネル領域を挟んで相対向するように形成され高濃
度の第2導電型不純物を含むソース・ドレイン領域とを
備える一方、上記第2MISFETは、上記半導体基板
の一部の上に形成され窒化酸化膜からなるゲート絶縁膜
と、上記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上
記ゲート絶縁膜直下方の半導体基板内に上記第1導電型
不純物を導入して形成されたチャネル領域と、上記半導
体基板内で上記チャネル領域を挟んで相対向するように
形成され高濃度の第2導電型不純物を含むソース・ドレ
イン領域とを備えている。
【0085】これにより、第2MISFETのゲート絶
縁膜を構成する窒化酸化膜は、第1MISFETのゲー
ト絶縁膜を構成する酸化膜よりも誘電率が高いので、第
2MISFETの反転電圧が小さくなる。したがって、
第1,第2MISFETに異なる不純物濃度を有するチ
ャネル領域を設けなくても、MT−デバイスを実現でき
ることになる。また、窒化酸化膜は信頼性が高いので、
MTデバイスの信頼性も向上する。
【0086】次に、本発明に係る第1の半導体装置の製
造方法は、請求項27に記載されているように、半導体
基板に第1MISFETと第2MISFETとを形成す
る半導体装置の製造方法であって、上記各MISFET
形成領域に第2MISFETのVT制御レベル濃度の第
1導電型不純物を含む基板領域を形成する第1の工程
と、上記基板領域のうち第1MISFET形成領域のみ
にさらに第1導電型不純物を導入して第1MISFET
のVT制御レベル濃度の第1導電型不純物を含むチャネ
ル領域を形成する第2の工程と、上記各MISFET形
成領域内の半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する第3
の工程と、上記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する
第4の工程と、上記各ゲート電極をマスクとして低濃度
の第1導電型不純物イオンを上記半導体基板内に注入し
て、ポケット領域を形成する第5の工程と、上記各ゲー
ト電極をマスクとして低濃度の第2導電型不純物イオン
を上記半導体基板内に注入して、上記ポケット領域に囲
まれる領域にLDD領域を形成する第6の工程と、上記
ゲート電極の各側面上に絶縁体サイドウォールを形成す
る第7の工程と、上記ゲート電極と上記各絶縁体サイド
ウォールをマスクとして高濃度の第2導電型不純物のイ
オンを半導体基板内に注入して、ソース・ドレイン領域
を形成する第8の工程とを備えている。
【0087】この方法により、上記第1の半導体装置で
あるMT−デバイスが得られる。その際、従来のMT−
MOSデバイスの製造方法では反転電圧の制御のために
2枚のフォトマスクを必要とするのに対し、この方法で
は同工程におけるフォトマスクが1枚で済むので、製造
工程が簡略化され製造コストも低減する。
【0088】本発明に係る第2の半導体装置の製造方法
は、請求項28に記載されているように、半導体基板に
第1n,第2nMISFETと第1,第2pMISFE
Tとを形成するための半導体装置の製造方法であって、
nMISFET形成領域に第2nMISFETのVT制
御レベル濃度のp型不純物を含むp型基板領域を形成
し、pMISFET形成領域に第2pMISFETのV
T制御レベル濃度のn型不純物を含むn型基板領域を形
成する第1の工程と、上記p型基板領域のうち第1nM
ISFET形成領域のみにp型不純物をさらに導入する
一方、上記n型基板領域のうち第1pMISFET形成
領域のみにn型不純物を導入して、上記第1nMISF
ET及び第1pMISFETのVT制御レベル濃度の不
純物を含むp型チャネル領域及びn型チャネル領域をそ
れぞれ形成する第2の工程と、上記各MISFET形成
領域内の半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する第3の
工程と、上記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する第
4の工程と、上記nMISFET形成領域において、上
記各ゲート電極をマスクとしてp型不純物イオンを上記
半導体基板内に注入してp型ポケット領域を形成する一
方、上記p型ポケット領域に囲まれる領域にn型不純物
イオンを注入してn型LDD領域を形成する第5の工程
と、上記pMISFET形成領域において、上記各ゲー
ト電極をマスクとしてn型不純物イオンを上記半導体基
板内に注入してn型ポケット領域を形成する一方、上記
n型ポケット領域に囲まれる領域にp型不純物イオンを
注入してp型LDD領域を形成する第6の工程と、上記
各ゲート電極の各側面上に絶縁体サイドウォールを形成
する第7の工程と、上記nMISFET形成領域におい
ては上記各ゲート電極及び上記各絶縁体サイドウォール
をマスクとして高濃度のn型不純物イオンを上記半導体
基板内に注入する一方、上記pMISFET形成領域に
おいては上記各ゲート電極及び上記各絶縁体サイドウォ
ールをマスクとして高濃度のp型不純物イオンを上記半
導体基板内に注入して、各MISFETのソース・ドレ
イン領域を形成する第8の工程とを備えている。
【0089】この方法により、請求項7に記載されてい
る構造を有するMT−CMOSデバイスが得られる。そ
の際、従来のMT−CMOSデバイスの製造方法では反
転電圧の制御のために4枚のフォトマスクを必要とする
のに対し、この方法では同工程におけるフォトマスクが
2枚で済むので、製造工程が簡略化され、製造コストも
低減される。
【0090】本発明に係る第3の半導体装置の製造方法
は、請求項29に記載されているように、半導体基板に
第1n,第2nMISFETと第1,第2pMISFE
Tとを形成するための半導体装置の製造方法であって、
nMISFET形成領域に第2nMISFETのVT制
御レベル濃度のp型不純物を含むp型基板領域を形成
し、pMISFET形成領域に第2pMISFETのV
T制御レベル濃度のn型不純物を含むn型基板領域を形
成する第1の工程と、上記p型基板領域のうち第1nM
ISFET形成領域のみにp型不純物をさらに導入する
一方、上記n型基板領域のうち第1pMISFET形成
領域のみにn型不純物を導入して、上記第1nMISF
ET及び第1pMISFETのVT制御レベル濃度の不
純物を含むp型チャネル領域及びn型チャネル領域をそ
れぞれ形成する第2の工程と、上記各MISFET形成
領域内の半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する第3の
工程と、上記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する第
4の工程と、上記nMISFET形成領域において、上
記各ゲート電極をマスクとしてn型不純物を上記半導体
基板内に注入して、各nMISFETのポケット領域を
形成する第5の工程と、上記nMISFET形成領域及
びpMISFET形成領域において、上記各ゲート電極
をマスクとして低濃度のn型不純物のイオンを半導体基
板内に注入し、nMISFET形成領域にn型LDD領
域を形成する一方、pMISFET形成領域にn型ポケ
ット領域を形成する第6の工程と、上記各ゲート電極の
各側面上に絶縁体サイドウォールを形成する第7の工程
と、上記nMISFET形成領域においては上記各ゲー
ト電極及び上記各絶縁体サイドウォールをマスクとして
高濃度のn型不純物イオンを上記半導体基板内に注入す
る一方、上記pMISFET形成領域においては上記各
ゲート電極及び上記各絶縁体サイドウォールをマスクと
して高濃度のp型不純物イオンを上記半導体基板内に注
入して、各MISFETのソース・ドレイン領域を形成
する第8の工程とを備えている。
【0091】この方法により、請求項3に記載されてい
る構造を有するMT−CMOSデバイスが形成される。
その際、上記第2の半導体装置の製造方法よりもさらに
2枚分フォトマスク数を低減することができ、製造コス
トが大幅に低減される。
【0092】本発明に係る第4の半導体装置の製造方法
は、請求項30に記載されているように、半導体基板に
第1n,第2nMISFETと第1,第2pMISFE
Tとを形成するための半導体装置の製造方法であって、
nMISFET形成領域に第2nMISFETのVT制
御レベル濃度のp型不純物を含むp型基板領域を形成
し、pMISFET形成領域に第2pMISFETのV
T制御レベル濃度のn型不純物を含むn型基板領域を形
成する第1の工程と、上記p型基板領域のうち第1nM
ISFET形成領域のみにp型不純物をさらに導入する
一方、上記n型基板領域のうち第1pMISFET形成
領域のみにn型不純物を導入して、上記第1nMISF
ET及び第1pMISFETのVT制御レベル濃度の不
純物を含むp型チャネル領域及びn型チャネル領域をそ
れぞれ形成する第2の工程と、上記各MISFET形成
領域内の半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する第3の
工程と、上記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する第
4の工程と、上記pMISFET形成領域において、上
記各ゲート電極をマスクとしてn型不純物のイオンを半
導体基板内に注入して、ポケット領域を形成する第5の
工程と、上記nMISFET形成領域及びpMISFE
T形成領域において、上記各ゲート電極をマスクとして
低濃度のp型不純物のイオンを半導体基板内に注入し
て、pMISFET形成領域にp型LDD領域を形成す
る一方、nMISFET形成領域にp型ポケット領域を
形成する第6の工程と、上記各ゲート電極の各側面上に
絶縁体サイドウォールを形成する第7の工程と、上記n
MISFET形成領域においては上記各ゲート電極及び
上記各絶縁体サイドウォールをマスクとして高濃度のn
型不純物イオンを上記半導体基板内に注入する一方、上
記pMISFET形成領域においては上記各ゲート電極
及び上記各絶縁体サイドウォールをマスクとして高濃度
のp型不純物イオンを上記半導体基板内に注入して、各
MISFETのソース・ドレイン領域を形成する第8の
工程とを備えている。
【0093】この方法により、請求項3に記載されてい
る構造を有するMT−CMOSデバイスが形成される。
その際、上記第2の半導体装置の製造方法よりもさらに
2枚分フォトマスク数を低減することができ、製造コス
トが大幅に低減される。
【0094】本発明に係る第5の半導体装置の製造方法
は、請求項31に記載されているように、半導体基板に
第1MISFETと第2MISFETとを形成する半導
体装置の製造方法であって、上記各MISFET形成領
域に第2MISFETのVT制御レベル濃度の第1導電
型不純物を含む基板領域を形成する第1の工程と、上記
基板領域のうち第1MISFET形成領域のみにさらに
第1導電型不純物を導入して第1MISFETのVT制
御レベル濃度の第1導電型不純物を含むチャネル領域を
形成する第2の工程と、上記各MISFET形成領域内
の半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する第3の工程
と、上記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する第4の
工程と、上記ゲート電極の各側面上に絶縁体サイドウォ
ールを形成する第5の工程と、上記ゲート電極及び上記
各絶縁体サイドウォールをマスクとして高濃度の第2導
電型不純物のイオンを半導体基板内に注入して、上記各
MISFET形成領域にソース・ドレイン領域を形成す
る第6の工程と、上記各絶縁体サイドウォールを除去す
る第7の工程と、上記ゲート電極及びソース・ドレイン
領域の上にシリサイド膜を形成する第8の工程と、上記
各シリサイド膜をマスクとして第1導電型不純物のイオ
ンを半導体基板内に注入して、上記各MISFET形成
領域にポケット領域を形成する第9の工程と、上記各シ
リサイド層をマスクとして低濃度の第2導電型不純物の
イオンを半導体基板中に注入して、上記ポケット領域に
囲まれる領域にLDD領域を形成する第10の工程とを
備えている。
【0095】この方法により、請求項9に記載されてい
る構造を有するMT−MOSデバイスが形成される。
【0096】本発明に係る第6の半導体装置の製造方法
は、請求項32に記載されているように、半導体基板に
第1MISFETと第2MISFETとを形成する半導
体装置の製造方法であって、各MISFET形成領域に
上記各MISFETのVT制御レベル濃度の第1導電型
不純物を含む基板領域を形成する第1の工程と、上記各
MISFET形成領域内の半導体基板上にゲート絶縁膜
を形成する第2の工程と、上記ゲート絶縁膜上にゲート
電極を形成する第3の工程と、上記ゲート電極をマスク
として上記各MISFET形成領域の上記半導体基板内
に低濃度の第2導電型不純物イオンを注入して、各MI
SFETの低濃度ソース・ドレイン領域を形成する第4
の工程と、上記各ゲート電極をマスクとして上記各MI
SFET形成領域の上記半導体基板内に第1導電型不純
物イオンを注入して、上記低濃度ソース・ドレイン領域
と上記基板領域との間に各MISFETのポケット領域
を形成する第5の工程と、上記第1MISFET形成領
域において、上記ゲート電極をマスクとして上記ポケッ
ト領域にさらに第1導電型不純物を注入して、上記第1
MISFETのポケット領域における第1導電型キャリ
アの濃度を上記第2MISFETのポケット領域におけ
る第1導電型キャリアの濃度よりも濃くする第6の工程
と、上記各MISFET形成領域の上記ゲート電極の各
側面上に絶縁体サイドウォールを形成する第7の工程
と、上記各MISFET形成領域において、上記ゲート
電極及び上記各絶縁体サイドウォールをマスクとして上
記半導体基板内に高濃度の第2導電型不純物のイオンを
注入して、各MISFETの高濃度ソース・ドレイン領
域を形成する第8の工程とを備えている。
【0097】この方法により、第5の半導体装置の構造
を有するMT−MOSデバイスが得られる。特に、従来
のMT−MOSデバイスの製造方法では反転電圧の制御
のために2枚のフォトマスクを必要とするのに対し、こ
の方法では、第6の工程におけるフォトマスク1枚だけ
で2種類の反転電圧を有するMISFETを形成できる
ので、製造工程が簡略化され製造コストも低減される。
【0098】請求項33に記載されているように、請求
項32において、上記第6の工程では、上記半導体基板
に垂直な方向に対して上記ゲート電極に対向する側に大
きく傾いた方向から第1導電型不純物イオンを注入する
ことができる。
【0099】この方法により、第1MISFETのポケ
ット領域がゲート電極の側に大きく入り込んだ形状とな
り、第2MISFETのポケット領域よりも幅が広くな
る。したがって、簡素な工程で第6の半導体装置の構造
を有するMT−MOSデバイスが得られることになる。
【0100】本発明に係る第7の半導体装置の製造方法
は、請求項34に記載されているように、半導体基板に
第1MISFETと第2MISFETとを形成する半導
体装置の製造方法であって、各MISFET形成領域に
上記各MISFETのVT制御レベル濃度の第1導電型
不純物を含む基板領域を形成する第1の工程と、上記各
MISFET形成領域内の半導体基板上にゲート絶縁膜
を形成する第2の工程と、上記ゲート絶縁膜上にゲート
電極を形成する第3の工程と、 上記各MISFET形
成領域において、上記ゲート電極をマスクとして上記半
導体基板内に低濃度の第2導電型不純物イオンを注入し
て、各MISFETの低濃度ソース・ドレイン領域を形
成する第4の工程と、上記各MISFET形成領域にお
いて、上記各ゲート電極をマスクとして上記半導体基板
内に第1導電型不純物イオンを注入して、上記低濃度ソ
ース・ドレイン領域と上記基板領域との間にポケット領
域を形成する第5の工程と、上記各MISFET形成領
域の上記ゲート電極の各側面上に絶縁体サイドウォール
を形成する第6の工程と、上記各MISFET形成領域
において、上記ゲート電極及び上記各絶縁体サイドウォ
ールをマスクとして上記半導体基板内に高濃度の第2導
電型不純物のイオンを注入して、高濃度ソース・ドレイ
ン領域を形成する第7の工程と、上記第1MISFET
形成領域において、上記ゲート電極及び上記半導体基板
内に窒素イオンを注入する第8の工程と、上記半導体基
板を熱処理することにより、少なくとも上記第2MIS
FETの上記ゲート電極中の第2導電型不純物を上記ゲ
ート絶縁膜を通して上記半導体基板内に拡散させて、上
記第2MISFETのポケット領域における第1導電型
キャリアの濃度を上記第1MISFETのポケット領域
における第1導電型キャリアの濃度よりも低くする第9
の工程とを備えている。
【0101】請求項35に記載されているように、請求
項34において、上記第7の工程では、第2導電型不純
物として、少なくともボロンを含む不純物のイオンを注
入することができる。
【0102】請求項34,35の方法により、第9の工
程において、第7の工程でゲート電極に注入された第2
導電型不純物がゲート電極下方のポケット領域に拡散し
ようとする。その際、第1MISFET形成領域では、
ゲート電極に注入された窒素イオンによって第2導電型
不純物の拡散が妨げられる。したがって、第2MISF
ETのポケット領域における第1導電型キャリアの濃度
が特に薄くなり、第5の半導体装置の構造を有するMT
−MOSデバイスが得られる。そして、この方法では、
第8の工程におけるフォトマスク1枚だけで2種類の反
転電圧を有するMISFETを形成できるので、製造工
程が簡略化され製造コストも低減される。
【0103】本発明に係る第8の半導体装置の製造方法
は、請求項36に記載されているように、半導体基板に
第1MISFETと第2MISFETとを形成する半導
体装置の製造方法であって、各MISFET形成領域に
上記各MISFETのVT制御レベル濃度の第1導電型
不純物を含む基板領域を形成する第1の工程と、上記各
MISFET形成領域内の半導体基板上にゲート絶縁膜
を形成する第2の工程と、上記ゲート絶縁膜上にゲート
電極を形成する第3の工程と、上記各MISFET形成
領域において、上記ゲート電極をマスクとして上記半導
体基板内に低濃度の第2導電型不純物イオンを注入し
て、低濃度ソース・ドレイン領域を形成する第4の工程
と、上記各MISFET形成領域において、上記各ゲー
ト電極をマスクとして上記半導体基板内に第1導電型不
純物イオンを注入して、上記低濃度ソース・ドレイン領
域と上記基板領域との間にポケット領域を形成する第5
の工程と、上記各MISFET形成領域の上記ゲート電
極の各側面上に絶縁体サイドウォールを形成する第6の
工程と、上記各MISFET形成領域において、上記ゲ
ート電極及び上記各絶縁体サイドウォールをマスクとし
て上記半導体基板内に高濃度の第2導電型不純物のイオ
ンを注入して、高濃度ソース・ドレイン領域を形成する
第7の工程と、上記第2MISFET形成領域におい
て、上記ゲート電極及び上記半導体基板内に少なくとも
フッ素を含む不純物のイオンを注入する第8の工程と、
上記半導体基板を熱処理することにより、上記各MIS
FETにおいて上記ゲート電極中の第2導電型不純物を
上記ゲート絶縁膜を通して上記半導体基板内に拡散させ
て、上記第2MISFETのポケット領域における第1
導電型キャリアの濃度を上記第1MISFETのポケッ
ト領域における第1導電型キャリアの濃度よりも薄くす
る第9の工程とを備えている。
【0104】請求項37に記載されているように、請求
項36において、上記第7の工程では、第2導電型不純
物として、少なくともボロンを含む不純物のイオンを注
入することができる。
【0105】請求項36,37の方法により、第9の工
程において、第7の工程でゲート電極に注入された第2
導電型不純物がゲート電極下方のポケット領域に拡散し
ようとする。その際、第2MISFET形成領域では、
ゲート電極に注入されたフッ素イオンによって第2導電
型不純物の拡散が促進される。したがって、第2MIS
FETのポケット領域における第1導電型キャリアの濃
度が特に薄くなり、第5の半導体装置の構造を有するM
T−MOSデバイスが得られる。この方法でも、第8の
工程におけるフォトマスク1枚だけで2種類の反転電圧
を有するMISFETを形成できるので、製造工程が簡
略化され製造コストも低減される。
【0106】本発明に係る第9の半導体装置の製造方法
は、請求項38に記載されているように、半導体基板に
第1MISFETと第2MISFETとを形成する半導
体装置の製造方法であって、各MISFET形成領域に
上記各MISFETのVT制御レベル濃度の第1導電型
不純物を含む基板領域を形成する第1の工程と、上記各
MISFET形成領域内の半導体基板上にゲート絶縁膜
を形成する第2の工程と、上記ゲート絶縁膜上にゲート
電極を形成する第3の工程と、上記各MISFET形成
領域において、上記ゲート電極をマスクとして上記半導
体基板内に低濃度の第2導電型不純物イオンを注入し
て、低濃度ソース・ドレイン領域を形成する第4の工程
と、上記各MISFET形成領域において、上記ゲート
電極をマスクとして上記半導体基板内に第1導電型不純
物イオンを注入して、上記低濃度ソース・ドレイン領域
と上記基板領域との間にポケット領域を形成する第5の
工程と、上記各MISFET形成領域において上記各ゲ
ート電極の各側面上に絶縁体サイドウォールを形成する
第6の工程と、上記各MISFET形成領域において、
上記ゲート電極及び上記各絶縁体サイドウォールをマス
クとして上記半導体基板内に高濃度の第2導電型不純物
のイオンを注入して、高濃度ソース・ドレイン領域を形
成する第7の工程と、上記第2MISFET形成領域に
おいて、上記ゲート電極及び上記半導体基板内に第2導
電型不純物のイオンを注入する第8の工程と、上記半導
体基板を熱処理することにより、上記各ゲート電極中の
第2導電型不純物を上記ゲート絶縁膜を通して上記半導
体基板内に拡散させて、上記第2MISFETのポケッ
ト領域における第1導電型キャリアの濃度を上記第1M
ISFETのポケット領域における第1導電型キャリア
の濃度よりも薄くする第9の工程とを備えている。
【0107】請求項39に記載されているように、請求
項38において、上記第7の工程では、第2導電型不純
物として、少なくともボロンを含む不純物のイオンを注
入することができる。
【0108】請求項38,39の方法により、第9の工
程において、第1MISFET形成領域では第7の工程
で、第2MISFET形成領域では第7及び第8の工程
で、それぞれゲート電極に注入された第2導電型不純物
がゲート電極下方のポケット領域に拡散しようとする。
その際、第2MISFET形成領域では、ゲート電極に
注入された第2導電型不純物の濃度が濃いので、拡散量
も多くなる。その結果、第2MISFETのポケット領
域における第1導電型キャリアの濃度が特に薄くなり、
第5の半導体装置の構造を有するMT−MOSデバイス
が得られる。また、これらの方法でも、第8の工程にお
けるフォトマスク1枚だけで2種類の反転電圧を有する
MISFETを形成できるので、製造工程が簡略化され
製造コストも低減される。
【0109】本発明に係る第10の半導体装置の製造方
法は、請求項40に記載されているように、半導体基板
に第1MISFETと第2MISFETとを形成する半
導体装置の製造方法であって、各MISFET形成領域
に上記各MISFETのVT制御レベル濃度の第1導電
型不純物を含む基板領域を形成する第1の工程と、上記
各MISFET形成領域内の半導体基板上にゲート絶縁
膜を形成する第2の工程と、上記ゲート絶縁膜上にゲー
ト電極を形成する第3の工程と、上記各ゲート電極の各
側面上に絶縁体サイドウォールを形成する第4の工程
と、上記各MISFET形成領域において、上記ゲート
電極及び上記各絶縁体サイドウォールをマスクとして上
記半導体基板内に高濃度の第2導電型不純物のイオンを
注入して、高濃度ソース・ドレイン領域を形成する第5
の工程と、上記各絶縁体サイドウォールを除去する第6
の工程と、上記各MISFET形成領域において、上記
ゲート電極及び上記高濃度ソース・ドレイン領域の上に
シリサイド膜を形成する第7の工程と、上記各MISF
ET形成領域において、上記各シリサイド膜をマスクと
して上記半導体基板内に低濃度の第2導電型不純物のイ
オンを注入して、上記高濃度ソース・ドレイン領域と上
記基板領域との間に低濃度ソース・ドレイン領域を形成
する第8の工程と、上記各MISFET形成領域におい
て、上記各シリサイド膜をマスクとして上記半導体基板
内に第1導電型不純物のイオンを注入して、上記低濃度
ソース・ドレイン領域と基板領域との間にポケット領域
を形成する第9の工程と、上記第1MISFET形成領
域において、上記各シリサイド層をマスクとして上記半
導体基板内に第1導電型不純物のイオンを注入して、上
記第1MISFETのポケット領域における第1導電型
キャリアの濃度を上記第2MISFETのポケット領域
における第1導電型キャリアの濃度よりも濃くする第1
0の工程とを備えている。
【0110】この方法により、第3の半導体装置の構造
を有するMT−MOSデバイスが形成される。その際、
第10の工程におけるフォトマスク1枚だけで2種類の
反転電圧を有するMISFETを形成できるので、製造
工程が簡略化され製造コストも低減される。
【0111】本発明に係る第11の半導体装置の製造方
法は、請求項41に記載されるように、半導体基板内の
nMISFET形成領域の上にゲート絶縁膜を形成する
第1の工程と、上記ゲート絶縁膜の上にゲート電極を形
成する第2の工程と、上記nMISFET形成領域内に
おいて、上記ゲート電極と、上記半導体基板内の上記ゲ
ート電極の両側方に位置する領域とに少なくともフッ素
を含む不純物を導入する第3の工程と、上記第3の工程
の後又は前に、上記nMISFET形成領域内におい
て、上記ゲート電極と上記半導体基板内の上記ゲート電
極の両側方に位置する領域とに燐を導入する第4の工程
と、上記第3及び第4の工程の後に、熱処理により上記
燐を拡散,活性化させて、上記ゲート電極を低抵抗のn
型ゲート電極にするとともに上記半導体基板内の上記ゲ
ート電極の両側方に位置する領域にn型ソース・ドレイ
ン領域を形成する第5の工程とを備えている。
【0112】この方法により、nMISFETのソース
・ドレイン領域が、砒素よりもイオン半径の小さい燐を
導入して形成されているために、結晶欠陥が少なくな
り、ジャンクションにおけるリーク電流が低減される。
また、砒素に比べると燐のソース・ドレイン領域におけ
る濃度分布はなだらかとなるので、ドレイン領域におけ
る電界は小さくなり、GIDL電流が低減される。しか
も、ソース・ドレイン領域にフッ素が導入されているの
で、燐の拡散が抑制されショートチャネル効果の発生を
抑制することができる。また、電界のドレイン領域近傍
への集中が緩和され、ホットキャリアの発生に起因する
特性の劣化を有効に防止できる。すなわち、上述の問題
点3〜6が解消する。また、nMISFETのゲート電
極に燐が導入されているので、砒素が導入されている場
合に比べ、ゲート電極の空乏化を抑制することができ、
ゲート電極の低抵抗によりトランジスタの駆動力が向上
する。
【0113】請求項42に記載されるように、請求項4
1において、上記第2の工程の後、上記第3及び第4の
工程の前に、上記ゲート電極と上記半導体基板内の上記
ゲート電極の両側方に位置する領域とに低濃度のn型不
純物を導入する工程と、上記低濃度のn型不純物を導入
した後に上記ゲート電極の両側面上に絶縁体サイドウォ
ールを形成する工程とをさらに備え、上記第4の工程
は、上記絶縁体サイドウォールをマスクとして行うこと
ができる。
【0114】この方法により、より微細化に適したいわ
ゆるLDD構造を有するnMISFETが形成される。
【0115】請求項43に記載されるように、請求項4
1において、上記第1及び第2の工程では、上記半導体
基板内のpMISFET形成領域の上にも上記nMIS
FET形成領域におけると同じゲート絶縁膜及びゲート
電極を形成し、上記第2の工程の後上記第5の工程の前
に、上記pMISFET形成領域において上記ゲート電
極と上記半導体基板内の上記ゲート電極の両側方に位置
する領域とにp型不純物を導入する工程をさらに備え、
上記第5の工程では、上記pMISFET形成領域内の
p型不純物を拡散,活性化させて、上記ゲート電極を低
抵抗のp型ゲート電極にするとともに上記半導体基板内
の上記ゲート電極の両側方に位置する領域にp型ソース
・ドレイン領域を形成することができる。
【0116】この方法により、CMISデバイスが形成
されるが、nMISFETのゲート電極に燐が導入され
ているので、不純物の活性化のための熱処理条件を緩や
かにしてもゲート電極の空乏化を招くことはない。した
がって、nMISFETにおけるゲート電極の空乏化と
pMISFETのゲート電極におけるホウ素の突き抜け
とを同時に防止することができる。また、nMISFE
Tのソース・ドレイン領域とpMISFETのソース・
ドレイン領域とがほぼ同じ深さや実効チャネル長を有す
るように形成することが容易となる。したがって、性能
面でpMISFETとnMISFETとのバランスがよ
くなる。すなわち、上記問題点7及び8が解消すること
になる。
【0117】請求項44に記載されるように、請求項4
3において、上記第2の工程の後、上記第3及び第4の
工程の前に、上記nMISFET形成領域において、上
記ゲート電極と上記半導体基板内の上記ゲート電極の両
側方に位置する領域とに低濃度のn型不純物を導入する
工程と、上記pMISFET形成領域において、上記ゲ
ート電極と上記半導体基板内の上記ゲート電極の両側方
に位置する領域とに低濃度のp型不純物を導入する工程
と、上記低濃度の不純物を導入した後に上記ゲート電極
の両側面上に絶縁体サイドウォールを形成する工程とを
さらに備え、上記第4の工程及びp型不純物を導入する
工程は、上記絶縁体サイドウォールをマスクとして行う
ことができる。
【0118】この方法により、より微細化に適したいわ
ゆるLDD構造を有するCMISデバイスが形成され
る。
【0119】請求項45に記載されるように、請求項4
3又は44において、上記p型不純物は、ホウ素のみで
あることが好ましい。
【0120】この方法により、pMISFETのゲート
電極におけるホウ素の拡散が促進されるフッ素が存在し
ないので、ゲート電極におけるホウ素の突き抜けをより
確実に防止することができる。
【0121】請求項46に記載されるように、請求項4
1において、上記第3の工程では少なくともフッ素を含
む不純物の導入をフッ化ゲルマニウムイオンの注入によ
り行い、上記第4の工程を上記第3の工程の後に行い、
かつ燐の導入を燐イオンの注入により行うことができ
る。
【0122】この方法により、ゲルマニウムの注入に伴
うゲート電極及び半導体基板の非晶質化によって燐イオ
ンの注入時におけるチャネリングを防止することができ
る。したがって、フッ素による燐の拡散防止機能に加
え、燐の注入深さを浅くすることで、n型MISトラン
ジスタのソース・ドレイン領域の形状をより適正なもの
に調整することができる。
【0123】請求項47に記載されるように、請求項4
6において、上記第1及び第2の工程では、上記半導体
基板内のpMISFET形成領域の上にも上記nMIS
FET形成領域におけると同じゲート絶縁膜及びゲート
電極を形成し、上記第3の工程では、上記nMISFE
T形成領域及び上記pMISFET形成領域において、
上記ゲート電極と上記半導体基板内の上記ゲート電極の
両側方に位置する領域とにフッ化ゲルマニウムを導入
し、上記第3の工程の後上記第5の工程の前に、上記p
MISFET形成領域において、上記ゲート電極と上記
半導体基板内の上記ゲート電極の両側方に位置する領域
とにp型不純物イオンを注入する工程をさらに備え、上
記第5の工程では、上記pMISFET形成領域内のp
型不純物を拡散,活性化させて、上記ゲート電極を低抵
抗のp型ゲート電極にするとともに上記半導体基板内の
上記ゲート電極の両側方に位置する領域にp型ソース・
ドレイン領域を形成することができる。
【0124】請求項48に記載されるように、請求項4
6において、上記第1及び第2の工程では、上記半導体
基板内のpMISFET形成領域の上にも上記nMIS
FET形成領域におけると同じゲート絶縁膜及びゲート
電極を形成し、上記第3の工程では、上記nMISFE
T形成領域及び上記pMISFET形成領域において、
上記ゲート電極と上記半導体基板内の上記ゲート電極の
両側方に位置する領域とにフッ化ゲルマニウムを導入
し、上記第3の工程の後上記第5の工程の前に、上記p
MISFET形成領域において上記ゲート電極と上記半
導体基板内の上記ゲート電極の両側方に位置する領域と
にp型不純物イオンを注入する工程をさらに備え、上記
第5の工程では、上記pMISFET形成領域内のp型
不純物を拡散,活性化させて、上記ゲート電極を低抵抗
のp型ゲート電極にするとともに上記半導体基板内の上
記ゲート電極の両側方に位置する領域にp型ソース・ド
レイン領域を形成することができる。
【0125】請求項47又は48の方法により、駆動力
が高くかつ特性の良好なnMISFETと、ゲート電極
におけるホウ素の突き抜けのないpMISFETとを搭
載したCMISデバイスを容易に形成することができ
る。
【0126】本発明に係る第12の半導体装置の製造方
法は、請求項49に記載されているように、半導体基板
に第1n,第2nMISFETと第1,第2pMISF
ETとを形成するための半導体装置の製造方法であっ
て、第1,第2nMISFET形成領域の少なくともチ
ャネル領域となる領域にp型不純物を同時に導入する第
1の工程と、第1,第2pMISFET形成領域の少な
くともチャネル領域となる領域にn型不純物を同時に導
入する第2の工程と、上記第2nMISFET形成領域
及び第1pMISFET形成領域を覆い、上記第1nM
ISFET形成領域及び上記第2pMISFET形成領
域を開口したマスク部材を用いて、上記第1nMISF
ET形成領域及び第2pMISFET形成領域の少なく
ともチャネル領域となる領域にp型不純物を導入する第
3の工程と、上記各MISFET形成領域内の半導体基
板上にゲート絶縁膜を形成する第4の工程と、上記ゲー
ト絶縁膜上にゲート電極を形成する第5の工程と、上記
各nMISFET形成領域において、上記各ゲート電極
をマスクとしてn型不純物イオンを上記半導体基板内に
注入してn型ソース・ドレイン領域を形成する一方、上
記pMISFET形成領域において、上記各ゲート電極
をマスクとしてp型不純物イオンを上記半導体基板内に
注入してp型ソース・ドレイン領域を形成する第6の工
程とを備えている。
【0127】この方法により、第1nMISFETのチ
ャネル領域にはp型不純物が追加注入されるので、第1
nMISFETのチャネル領域におけるp型キャリアの
濃度が濃くなり、その結果、第2nMISFETよりも
第1nMISFETの方が高い反転電圧を有することに
なる。一方、第2pMISFETのチャネル領域にはp
型不純物がカウンタドープされるので、第1pMISF
ETのチャネル領域におけるn型キャリアの濃度が薄く
なり、その結果、第2pMISFETよりも第1pMI
SFETの方が高い反転電圧を有することになる。すな
わち、互いに反転電圧の異なる2種類のnMISFET
及びpMISFETからなるMT−CMISデバイスが
形成されることになる。また、第2pMISFETのチ
ャネル領域におけるn型不純物の濃度は第1pMISF
ETのチャネル領域におけるn型不純物の濃度と同じな
ので、耐圧が大きく、かつ短チャネル効果抑制機能も高
いMT−デバイスが得られる。しかも、異なる反転電圧
を有するそれぞれ2つのnMISFETとpMISFE
Tを形成するためのマスクの製造工程を低減することが
できる。
【0128】本発明に係る第13の半導体装置の製造方
法は、請求項50に記載されているように、半導体基板
に第1n,第2nMISFETと第1,第2pMISF
ETとを形成するための半導体装置の製造方法であっ
て、第1,第2nMISFET形成領域の少なくともチ
ャネル領域となる領域にp型不純物を同時に導入する第
1の工程と、第1,第2pMISFET形成領域の少な
くともチャネル領域となる領域にn型不純物を同時に導
入する第2の工程と、上記第1nMISFET形成領域
及び第2pMISFET形成領域を覆い、上記第2nM
ISFET形成領域及び上記第1pMISFET形成領
域を開口したマスク部材を用いて、上記第2nMISF
ET形成領域及び第1pMISFET形成領域の少なく
ともチャネル領域となる領域にn型不純物を導入する第
3の工程と、上記各MISFET形成領域内の半導体基
板上にゲート絶縁膜を形成する第4の工程と、上記ゲー
ト絶縁膜上にゲート電極を形成する第5の工程と、上記
各nMISFET形成領域において、上記各ゲート電極
をマスクとしてn型不純物イオンを上記半導体基板内に
注入してn型ソース・ドレイン領域を形成する一方、上
記pMISFET形成領域において、上記各ゲート電極
をマスクとしてp型不純物イオンを上記半導体基板内に
注入してp型ソース・ドレイン領域を形成する第6の工
程とを備えている。
【0129】この方法により、第1pMISFETのチ
ャネル領域にはn型不純物が追加注入されるので、第1
pMISFETのチャネル領域におけるn型キャリアの
濃度が濃くなり、その結果、第2pMISFETよりも
第1pMISFETの方が高い反転電圧を有することに
なる。一方、第2nMISFETのチャネル領域にはp
型不純物がカウンタドープされるので、第2nMISF
ETのチャネル領域におけるn型キャリアの濃度が薄く
なり、その結果、第2nMISFETよりも第1nMI
SFETの方が高い反転電圧を有することになる。すな
わち、互いに反転電圧の異なる2種類のnMISFET
及びpMISFETからなるMT−CMISデバイスが
形成されることになる。また、第2nMISFETのチ
ャネル領域におけるp型不純物の濃度は第1nMISF
ETのチャネル領域におけるp型不純物の濃度と同じな
ので、耐圧が大きく、かつ短チャネル効果抑制機能も高
いMT−デバイスが得られる。しかも、異なる反転電圧
を有するそれぞれ2つのnMISFETとpMISFE
Tを形成するためのマスクの製造工程を低減することが
できる。
【0130】本発明に係る第14の半導体装置の製造方
法は、請求項51に記載されているように、半導体基板
に第1MISFETと第2MISFETとを形成する半
導体装置の製造方法であって、各MISFET形成領域
の少なくともチャネル領域となる領域に第1導電型不純
物を導入する第1の工程と、上記各MISFET形成領
域内の半導体基板上に酸化膜からなるゲート絶縁膜を形
成する第2の工程と、上記ゲート絶縁膜上にゲート電極
を形成する第3の工程と、上記第2MISFET形成領
域において、少なくともゲート電極内に窒素を導入する
第3の工程と、熱処理により、上記第2MISFETの
ゲート電極中の窒素を拡散させて、上記ゲート絶縁膜を
窒化酸化膜にする第4の工程と、上記各MISFET形
成領域において、上記各ゲート電極をマスクとして不純
物イオンを上記半導体基板内に注入してソース・ドレイ
ン領域を形成する第5の工程とを備えている。
【0131】この方法により、第2MISFETのゲー
ト絶縁膜が誘電率の高い窒化酸化膜で構成されるので、
第2MISFETの反転電圧が低下し、その結果、第2
MISFETよりも第1MISFETの方が高い反転電
圧を有するMT−デバイスが形成されることになる。
【0132】
【発明の実施の形態】以下の各実施形態では、ゲート絶
縁膜が酸化膜である代表的な場合、つまりMOSFET
を有する半導体装置についての実施形態を説明するが、
本発明はMOSFETに限定されるものではなく、ゲー
ト絶縁膜が酸窒化膜や窒化膜などについても適用できる
ものである。
【0133】(第1の実施形態)以下、第1の実施形態
について、図1,図2及び図3(a)〜(d)を参照し
ながら説明する。
【0134】図1は、第1の実施形態に係るMT−nM
OSデバイスの断面図である。図1に示すように、p型
不純物がドープされたシリコン単結晶からなる半導体基
板1の表面付近の領域は、酸化膜からなる素子分離3に
より、多数の活性領域に区画されている。各活性領域に
は、高反転電圧型の第1nMOSFETを形成するため
の第1nMOSFET形成領域Rn1と、低反転電圧型の
第2nMOSFETを形成するための第2nMOSFE
T形成領域Rn2とが設けられている。第1及び第2nM
OSFET形成領域Rn1,Rn2には、シリコン酸化膜か
らなるゲート絶縁膜7と、該ゲート絶縁膜7の上に設け
られたポリシリコン膜からなるゲート電極8と、該ゲー
ト電極8の各側面上に形成されたシリコン酸化膜からな
る絶縁体サイドウォール13とが設けられている。そし
て、第1nMOSFET形成領域Rn1においては、ゲー
ト電極8の下方に、半導体基板1内の不純物濃度よりも
高濃度のVT制御用p型不純物が注入されてチャネル領
域4が形成されている。また、各活性領域及び素子分離
の下方の領域が基板領域1aとなっており、第2nMO
SFET形成領域Rn2においては、ゲート絶縁膜7の直
下方の基板領域1aがチャネル領域として機能する。
【0135】そして、各nMOSFET形成領域Rn1,
Rn2において、半導体基板1内のゲート電極8の両側に
位置する領域には、各々1対の、高濃度のn型不純物を
注入して形成されるn+ 型のソース・ドレイン領域14
と、チャネル領域−各ソース・ドレイン領域14間に形
成され低濃度n型不純物を含むn- 型のLDD領域11
と、LDD領域11及びソース・ドレイン領域14を囲
むように形成されパンチスルーストッパとなるp型のポ
ケット領域9とが形成されている。以上のように、第1
nMOSFET形成領域Rn1に形成される第1nMOS
FETは、チャネル領域4における不純物濃度が高いた
めに反転電圧が高くなり、第2nMOSFET形成領域
Rn2に形成されるMOSFETはチャネル領域となる半
導体基板1における不純物濃度が低いので、反転電圧が
低くなる。
【0136】なお、図1に示す構造において、本実施形
態では第2nMOSFETのチャネル領域を半導体基板
1自体つまり基板領域1aで構成したが、p型ウエルに
より構成してもよい。そして、本実施形態では、第1及
び第2nMOSFET形成領域Rn1,Rn2における基板
領域1aは共通の領域となっているが、第1及び第2n
MOSFET形成領域Rn1,Rn2の基板領域が互いに不
純物濃度が異なる領域となるように仕切られていてもよ
い。
【0137】したがって、本実施形態に係るMT−nM
OSデバイスの構造では、第n1MOSFETの反転電
圧はチャネル領域4とポケット領域9におけるp型不純
物の濃度により決定され、第2nMOSFETの反転電
圧はチャネル領域となる基板領域1aとポケット領域9
におけるp型不純物の濃度により決定される。その場
合、ポケット領域9を設けたnMOSFETにおいて
は、チャネル領域の不純物濃度を通常のnMOSFET
より低くしても、ポケット領域9の存在によりパンチス
ルーや短チャネル効果を抑制できるので、不具合は生じ
ない。そして、チャネル領域の不純物濃度を低くするこ
とにより、ゲート絶縁膜7直下の空乏層の延びが大きく
なり、空乏層容量が小さくなる。したがって、サブスレ
ッショルド特性が良好となり、リーク電流を低減するこ
とができる。この効果は第2nMOSFETにおいてよ
り顕著である。
【0138】図2は、図1の構造を有するMT−nMO
Sデバイスの基板領域1aに基板バイアス−2Vを印加
した状態を示す断面図である。なお、MT−pMOSデ
バイスの場合には、正の基板バイアス(例えば2V程
度)を印加する。一般に、負の基板バイアスをnMOS
FETに印加するか、あるいは正の基板バイアスをpM
OSFETに印加すると、反転電圧は増大する。そし
て、基板バイアスの増大に対する反転電圧の増大率を示
す比例定数は、基板効果定数と呼ばれる。この基板効果
定数はMOSFETのチャネル領域の不純物濃度にほぼ
比例するので、本実施形態では、第1nMOSFETの
方が第2nMOSFETよりも基板効果定数が大きい。
つまり、同じ基板バイアスをかけたときは第1nMOS
FETの方が反転電圧が大きく正の方向にシフトする。
これは基板バイアスをかけることにより第1nMOSF
ETと第2nMOSFETとの反転電圧の差がさらに大
きくなることを意味し、MT−MOSデバイスの利点で
ある高速性、低消費電力性などの特性がさらに向上す
る。
【0139】加えて、基板バイアスをかけると外部から
の雑音に強くなり、メモリーなどの信頼性向上する。
【0140】特に、本実施形態のごとく、第2nMOS
FETのチャネル領域を半導体基板1の基板領域1a
(又はウエル)で構成した場合、従来の図30に示すM
T−nMOSデバイスの構造に比べ、基板効果定数が極
めて小さいという著効が得られる。例えば、従来のMT
−nMOSデバイスの構造においては、基板バイアス−
2Vを印加したときの反転電圧の増大量は、第1nMO
SFETで0.3V,第2nMOSFETで0.2V程
度である。それに対し、本実施形態に係るMT−nMO
Sデバイスの構造においては、第1nMOSFETの反
転電圧の増大量を0.2Vとすると、第2nMOSFE
Tの反転電圧の増大量は0.03V程度である。つま
り、第2nMOSFETの反転電圧値はほとんど増大し
ないので、基板バイアスを印加することにより、第1n
MOSFEとの反転電圧との差の拡大率が著しく大きく
なることがわかる。
【0141】次に、本実施形態に係るMT−nMOSデ
バイスの製造工程について、図3(a)−(d)を参照
しながら説明する。
【0142】まず、図3(a)に示す工程で、第2nM
OSFETのしきい値制御レベル濃度のp型不純物がド
ープされたシリコン単結晶で構成される半導体基板1の
基板領域1a上に、LOCOS法,トレンチ分離法等を
用いて厚みが約400nmのシリコン酸化膜からなる素
子分離3を形成し、この素子分離3により、第1nMO
SFET形成領域Rn1と第2nMOSFET形成領域R
n2とを区画する。そして、第1nMOSFET形成領域
Rn1を開口したレジスト膜16cを通常のフォトリソグ
ラフィー工程により形成し、このレジスト膜16cをマ
スクとして、第1nMOSFET形成領域Rn1にホウ素
イオン(B+ )を注入する。これにより、第1nMOS
FETのチャネル領域4が形成される。このときのイオ
ン注入の条件は、20−60KeV,2−4×1012
-2である。
【0143】次に、図3(b)に示す工程で、基板の全
面上に厚みが8−12nmのシリコン酸化膜を堆積し、
さらにその上に厚みが250−300nmのポリシリコ
ン膜を堆積し、通常のフォトリソグラフィー工程、エッ
チング工程により、ゲート電極8及びゲート絶縁膜7を
パターニングする。次に、このゲート電極8をマスクと
してホウ素イオン(B+ )(ただし、BF2+でもよく、
以下においても同様である)を、20−30KeV,5
−10×1012cm-2の条件で注入し、各nMOSFE
T形成領域Rn1,Rn2にp型ポケット領域9を形成す
る。
【0144】次に、図3(c)に示す工程で、ゲート電
極8をマスクとして燐イオン(P+)を30−40Ke
V,2−8×1013cm-2の条件で注入し、LDD領域
11を形成する。
【0145】次に、図3(d)に示す工程で、ゲート電
極8の各側面上にサイドウォール13を形成し、ゲート
電極8とそのサイドウォール13をマスクとしてヒ素イ
オンを40KeVで4−6X1014cm-2の条件で注入
しソース・ドレイン領域14を形成する。
【0146】以上の製造工程によって、図1に示す構造
を有するMT−nMOSデバイスが容易に形成されるこ
とがわかる。特に、図3(a)−(d)に示す製造工程
において、nMOSFETの反転電圧制御のための不純
物イオンの注入に際しフォトマスクが1枚で済む。した
がって、反転電圧制御のための不純物イオン注入に際し
2枚のフォトマスク16a,16bを必要とする従来の
方法(図30(a),(b)参照)と比較して、工程が
簡略化でき製造コストの低減を図ることができるという
利点がある。
【0147】(第2の実施形態)次に、第2の実施形態
に係るMT−nMOSデバイスについて、図4を参照し
ながら説明する。
【0148】図4に示すように、本実施形態において
も、上記第1の実施形態に係るMT−nMOSデバイス
と同様に、p型不純物がドープされた半導体基板1の表
面付近の領域は、素子分離3により第1nMOSFET
形成領域Rn1と第2nMOSFET形成領域Rn2とに区
画されている。そして、第1nMOSFET形成領域R
n1には第1nMOSFETが形成され、第2nMOSF
ET形成領域Rn2には第2nMOSFETが形成されて
いる。ここで、本実施形態では、第1nMOSFETの
構造は上記第1の実施形態と同じであって、ゲート絶縁
膜7,ゲート電極8,サイドウォール13,チャネル領
域4,ソース・ドレイン領域14,LDD領域11及び
ポケット領域9が設けられている。しかし、第2nMO
SFETにおいて、ゲート絶縁膜7,ゲート電極8,サ
イドウォール13,ソース・ドレイン領域14及びLD
D領域11は設けられているものの、ポケット領域は設
けられていない。そして、第2nMOSFETのゲート
絶縁膜7の直下方には、半導体基板1内にp型不純物を
注入してなるチャネル領域5が形成されている。つま
り、本実施形態では、第1,第2nMOSFET双方に
おいて、基板領域1a上にチャネル領域4、5がそれぞ
れ形成されていて、両者における不純物濃度は同じであ
る。また、ポケット領域は第1nMOSFETにのみ設
けられている。
【0149】本実施形態に係るMT−nMOSデバイス
において、第1nMOSFETの反転電圧はチャネル領
域4とポケット領域9の不純物濃度により決定され、第
2nMOSFETの反転電圧はチャネル領域5の不純物
濃度により決定される。この場合、第1nMOSFET
は、ポケット領域9を備えていることから、チャネル領
域における不純物濃度を低くできるので、第1の実施形
態と同様に、ゲート空乏層容量が小さく、サブスレッシ
ョルド特性が優れているという特徴を有する。一方、第
2nMOSFETは通常のnMOSFETとほぼ同じ構
成を有しているが、ゲート長が比較的大きい約0.5μ
mの領域ではこのような構造でも十分な特性が得られ
る。特に、本実施形態のような構造と長いチャネル領域
(ゲート長)とを有するnMOSFETは、製造工程に
おける特性のバラツキが少ないので、設計の容易化が図
れる利点がある。
【0150】なお、本実施形態に係るMT−nMOSデ
バイスの製造工程については詳細な説明及び図示を省略
するが、図30(a)−(d)に示す従来のMT−nM
OSデバイスの製造工程において、第1nMOSFET
と第2nMOSFETに対してチャネル領域の形成のた
めのイオン注入をマスクを用いずに同時に行うことがで
きるので、従来の製造方法に比べて工程数を低減するこ
とができる。ただし、第1nMOSFET形成領域Rn1
におけるポケット領域9を形成するための工程は別途必
要である。
【0151】(第3の実施形態)次に、第3の実施形態
に係るMT−CMOSデバイスについて、図5,図6及
び図7(a)−(d)を参照しながら説明する。
【0152】図5に示すように、本実施形態では、半導
体基板内に、p型不純物を含むp型ウエル2aと、n型
不純物を含むn型ウエル2bが形成されている。そし
て、p型ウエル2aの表面付近の領域がnMOSFET
を形成するためのnMOSFET形成領域Rn であり、
n型ウエル2bの表面付近の領域がpMOSFETを形
成するためのpMOSFET形成領域Rpである。さら
に、素子分離3により、nMOSFET形成領域Rn は
第1nMOSFET形成領域Rn1と第2nMOSFET
形成領域Rn2とに区画され、pMOSFET形成領域R
p は第1pMOSFET形成領域Rp1と第2pMOSF
ET形成領域Rp2とに区画されている。上記第1,第2
nMOSFET形成領域Rn1,Rn2にそれぞれ形成され
る第1,第2nMOSFETの構造は、上記第1の実施
形態における図1に示す構造と同じである。また、第
1,第2pMOSFETの構造は、それぞれ第1の実施
形態における第1,第2nMOSFETの構造におい
て、不純物の導電型を逆にしただけである。すなわち、
第1pMOSFETは、ゲート電極8と、ゲート絶縁膜
7と、サイドウォール13と、n型のチャネル領域6
と、p+ 型のソース・ドレイン領域15と、p- 型のL
DD領域12と、n型のポケット領域10とを備えてい
る。一方、第2pMOSFETにおいては、第1の実施
形態における基板領域1aに相当するn型ウエル2bが
ゲート電極8の下方領域でチャネル領域として機能す
る。
【0153】本実施形態に係るMT−CMOSデバイス
のうちMT−nMOSデバイスの構造により、上記第1
の実施形態と同様の効果が得られる。また、MT−pM
OSデバイスの構造においても、第1pMOSFETの
反転電圧はチャネル領域6とポケット領域10のn型不
純物の濃度により決まり、第2pMOSFETの反転電
圧はn型ウエル2bとポケット領域10のn型不純物の
濃度により決定される。したがって、上記第1の実施形
態と同様に、サブスレッショルド特性が良好でリーク電
流を低減し得ることになる。
【0154】また、図6は、本実施形態に係るMT−n
MOSデバイスのp型ウエル2aに基板バイアス−2V
を、MT−pMOSデバイスのn型ウエル2bに基板バ
イアス2Vをそれぞれ印加した状態を示す。このよう
に、MT−CMOSデバイスの場合、MT−nMOSデ
バイスのp型ウエル2aには負のバイアスを、MT−p
MOSデバイスのn型ウエル2bには正のバイアスを印
加することにより、いずれにおいても、各第1,第2M
OSFET相互間の反転電圧の差が大きくなり、MT−
CMOSデバイス構造を採用したことによる効果が大き
くなる。また、外部からのノイズに強くなり、メモリー
などの信頼性が高くなる。
【0155】しかも、p型ウエル2aとn型ウエル2b
とがそれぞれ第2nMOSFETと第2pMOSFET
のチャネル領域としても機能するので、上記第1の実施
形態において説明したと同様に、第1,第2MOSFE
T間の基板効果定数の差が顕著となり、極めて優れた特
性を有するMT−CMOSデバイスを構成することがで
きるのである。
【0156】次に、本実施形態に係るMT−CMOSデ
バイスの製造工程について、図7(a)−(d)を参照
しながら説明する。
【0157】まず、図7(a)に示す工程で、単結晶シ
リコンで構成される半導体基板上に、p型ウエル2aと
n型ウエル2bとを形成し、厚みが約400nmのシリ
コン酸化膜からなる素子分離3を形成し、第1nMOS
FET形成領域Rn1,第2nMOSFET形成領域Rn
2,第2pMOSFET形成領域Rp2及び第1pMOS
FET形成領域Rp1を区画する。そして、通常のフォト
リソグラフィー工程により、第1nMOSFET形成領
域Rn1のみを開口して他の領域Rn2, Rp2,Rp1を覆う
レジスト膜16dを形成し,このレジスト膜16dをマ
スクとして、第1nMOSFET形成領域Rn1にホウ素
イオン(B+ )を注入し、第1nMOSFETのチャネ
ル領域4を形成する。不純物イオンの注入条件は、20
−60KeV,2−4×1012cm-2である。
【0158】次に、図7(b)に示す工程で、通常のフ
ォトリソグラフィー工程により、第1pMOSFET形
成領域Rp1のみを開口したレジスト膜16eを形成し、
このレジスト膜16eをマスクとして、第1pMOSF
ET形成領域Rp1に燐イオン(P+ )を注入し、第1p
MOSFETのチャネル領域6を形成する。このときの
イオン注入条件は、30−80KeV,2−4×1012
cm-2である。
【0159】次に、図7(c)に示す工程で、厚みが8
−12nmのシリコン酸化膜を形成し、さらにその上に
厚みが250−300nmのポリシリコン膜を堆積し、
通常のリソグラフィー工程、エッチング工程により、ゲ
ート絶縁膜7及びゲート電極8をパターニングする。次
に、pMOSFET形成領域Rp の上を覆うレジスト膜
と(図示せず)このゲート電極8とをマスクとして、n
MOSFET形成Rnにホウ素イオン(B+ 又はBF2+
)を20−30KeV,5−10×1012cm-2の条
件で注入し、p型のポケット領域9を形成する。次に、
nMOSFET形成領域Rn の上を覆うレジスト膜(図
示せず)とゲート電極8とをマスクとしてpMOSFE
T形成領域Rp に燐イオン(P+ )を80−120Ke
V,5−10×1012cm-2の条件で注入し、n型のポ
ケット領域10を形成する。
【0160】次に、図7(d)に示す工程で、nMOS
FET形成領域Rn の上を開口したレジスト膜(図示せ
ず)及びゲート電極8をマスクとしてnMOSFET形
成領域Rn に燐イオン(P+ )を30−40KeV,2
−8×1013cm-2の条件で注入し、各nMOSFET
のLDD領域11を形成する。さらに、pMOSFET
形成領域Rp の上を開口したレジスト膜(図示せず)及
びゲート電極8をマスクとしてpMOSFET形成領域
Rp にホウ素イオン(B+ )を10−20KeV,2−
8×1013cm-2の条件で注入し、各pMOSFETの
LDD領域12を形成する。ただし、この工程は、上記
ポケット領域9,10の形成に用いたレジスト膜と同じ
レジスト膜を用い、不純物の導電型を変えることで、各
領域Rn,Rp において、ポケット領域9,10の形成
と連続的に行われる。
【0161】次に、ゲート電極8の各側面上にサイドウ
ォール13を形成した後、各領域Rn 又はRp を開口し
たレジスト膜(図示せず),ゲート電極8及びサイドウ
ォール13をマスクとして、nMOSFET形成領域R
n にはヒ素イオン(As+ )を40KeV,4−6X1
14cm-2の条件で注入し、pMOSFET形成領域R
p にはホウ素イオン(B+ )を10−20KeV,4−
6X1014cm-2の条件で注入し、各nMOSFET,
各pMOSFETの各ソース・ドレイン領域14,15
を形成する。
【0162】以上の工程によって、上記図5に示すMT
−CMOSデバイスの構造が容易に得られる。特に、本
実施形態の製造方法では、図7(a),(b)に示す工
程で、反転電圧制御のためのフォトマスクが2枚で済
む。一方、従来の図30(a)−(d)に示す工程をM
T−CMOSデバイスにそのまま適用すると、第1nM
OSFETと、第2nMOSFETと、第1pMOSF
ETと、第2pMOSFETとにおけるチャネル領域を
形成するために、各MOSFET形成領域Rn1,Rn2,
Rp1,Rp2のみを開口した4種類のレジスト膜を形成す
る必要があることが容易に理解される。したがって、本
実施形態に係る半導体装置の製造方法では、従来の方法
と比較して2回のフォトマスク形成工程を削減でき、工
程が簡略化できる。
【0163】(第4の実施形態)次に、第4の実施形態
に係るMT−CMOSデバイスの製造工程について、図
8(a)−(c)を参照しながら説明する。
【0164】本実施形態においても、製造工程の途中ま
では上記第3の実施形態で説明した図7(a),(b)
と同様の工程を行う。この工程については、図示及び説
明を省略する。
【0165】そして、図8(a)に示す工程で、pMO
SFET形成領域Rp を覆うレジスト膜16fを形成
し、このレジスト膜16fとゲート電極8とをマスクと
してnMOSFET形成領域Rn にホウ素イオン(B+
)を20−30KeV,5−10×1012cm-2の条
件で注入し、各nMOSFETのポケット領域9を形成
する。
【0166】次に、図8(b)に示す工程で、各ゲート
電極8をマスクとして各領域Rn1,Rn2,Rp2,Rp1に
燐イオン(P+ )を30−40KeV,0.5−2×1
13cm-2の条件で注入し、第1,第2nMOSFET
形成領域Rn1,Rn2にはLDD領域11を、第1,第2
pMOSFET形成領域Rp1,Rp2にはポケット領域1
0を同時に形成する。
【0167】次に、図8(c)に示す工程で、上記第3
の実施形態における図7(d)に示す工程と同じ工程を
行って、ゲート電極8の側面上のサイドウォール13
と、第1,第2nMOSFETのソース・ドレイン領域
14と、第1,第2pMOSFETのソース・ドレイン
領域15とを形成する。ただし、ソース・ドレイン領域
の形成時の条件は、上記第3の実施形態と同様である。
【0168】以上の工程に形成されたMT−CMOSデ
バイスにおいて、第1nMOSFETの反転電圧はチャ
ネル領域4とポケット領域9との不純物濃度で決定さ
れ、第2nMOSFETの反転電圧はp型ウエル2aと
ポケット領域9との不純物濃度で決定され、第1pMO
SFETの反転電圧はチャネル領域6とポケット領域1
0との不純物濃度で決定され、第2pMOSFETの反
転電圧はn型ウエル2bとポケット領域10との不純物
濃度で決定される。すなわち、相異なる反転電圧を有す
る2つのMOSFETを搭載したMT−nMOSデバイ
スとMT−pMOSデバイスとからなるMT−CMOS
デバイスが構成される。
【0169】本実施形態の製造工程では、反転電圧制御
のためのフォトマスクが2枚で済む点は上記第3の実施
形態と同様である。加えて、本実施形態の製造工程で
は、nMOSFETのLDD領域11と、pMOSFE
Tのポケット領域10とを自己整合的に同時に形成する
ので、他方の領域を覆うフォトマスク(レジスト膜)が
不要となり、上記第3実施形態における図7(c)に示
す工程に比べ、さらに2枚のフォトマスクを省略でき、
工程が簡略化できる。
【0170】また、本実施形態におけるMT−CMOS
デバイスでは、第1,第2pMOSFETは、LDD構
造とならずシングルドレイン構造になるが、通常、pM
OSFETはドレイン近傍の電界強度がnMOSFET
より低く、ホットキャリアの発生確率が低いので信頼性
が低下する虞れはない。そして、本実施形態におけるM
T−CMOSデバイスにおいても、nMOSFET及び
pMOSFETの双方が、相異なる反転電圧を有する第
1,第2nMOSFETと、第1,第2pMOSFET
とを備えているので、上記第3の実施形態と同様の効果
を発揮することができる。
【0171】(第5の実施形態)次に、第5の実施形態
に係るMT−CMOSデバイスについて、図9(a)−
(c)を参照しながら説明する。
【0172】本実施形態においても、製造工程の途中ま
では上記第3の実施形態で説明した図7(a),(b)
と同様の工程を行う。この工程については、図示及び説
明を省略する。
【0173】そして、図9(a)に示す工程で、nMO
SFET形成領域Rn を覆うレジスト膜16gを形成
し、このレジスト膜16gとゲート電極8とをマスクと
してpMOSFET形成領域Rp に燐イオン(P+ )を
80−120KeV,5−10×1012cm-2の条件で
注入し、各pMOSFETのポケット領域10を形成す
る。
【0174】次に、図9(b)に示す工程で、各ゲート
電極8をマスクとして各領域Rn1,Rn2,Rp2,Rp1に
ホウ素イオン(B+ )を10−20KeV,2−8×1
13cm-2の条件で注入し、第1,第1pMOSFET
形成領域Rp1,Rp2にはLDD領域12を、第1,第2
nMOSFET形成領域Rn1,Rn2にはポケット領域9
を同時に形成する。
【0175】次に、図9(c)に示す工程で、上記第3
の実施形態における図7(d)に示す工程と同じ処理を
行って、ゲート電極8の側面上のサイドウォール13
と、第1,第2nMOSFETのソース・ドレイン領域
14と、第1,第2pMOSFETのソース・ドレイン
領域15とを形成する。ただし、ソース・ドレイン領域
の形成時のイオン注入等の条件は、上記第3の実施形態
と同様である。
【0176】以上の工程によって形成されたMT−CM
OSデバイスにおいて、第1nMOSFETの反転電圧
はチャネル領域4とポケット領域9との不純物濃度で決
定され、第2nMOSFETの反転電圧はp型ウエル2
aとポケット領域9との不純物濃度で決定され、第1p
MOSFETの反転電圧はチャネル領域6とポケット領
域10との不純物濃度で決定され、第2pMOSFET
の反転電圧はn型ウエル2bとポケット領域10との不
純物濃度で決定される。すなわち、相異なる反転電圧を
有する2つのMOSFETを搭載したMT−nMOSデ
バイスとMT−pMOSデバイスとからなるMT−CM
OSデバイスが構成される。
【0177】本実施形態の製造工程では、反転電圧制御
のためのフォトマスクが2枚で済む点は上記第3の実施
形態と同様である。加えて、本実施形態の製造工程で
は、pMOSFETのLDD領域12と、nMOSFE
Tのポケット領域9とを自己整合的に同時に形成するの
で、他方の領域を覆うフォトマスク(レジスト膜)が不
要となり、上記第3実施形態における図7(c)に示す
工程に比べ、さらに2枚のフォトマスクを省略でき、工
程が簡略化できる。
【0178】また、本実施形態におけるMT−CMOS
デバイスでは、第1,第2nMOSFETは、LDD構
造とならずシングルドレイン構造になるが、ソース・ド
レイン領域14を形成するための不純物イオンとして燐
イオンを用いており、砒素イオンを用いた場合と比較し
てドレイン近傍の電界強度が低くホットキャリアの発生
確率が低いので信頼性が悪化する虞れはない。そして、
本実施形態におけるMT−CMOSデバイスにおいて
も、nMOSFET及びpMOSFETの双方が、相異
なる反転電圧を有する第1,第2nMOSFETと、相
異なる反転電圧を有する第1,第2pMOSFETとを
備えているので、上記第3の実施形態と同様の効果を発
揮することができる。
【0179】なお、最少ゲート長と電源電圧によっては
砒素をもちいたシングルドレイン構造を採用できる場合
も考えられる。
【0180】(第6の実施形態)次に、第6の実施形態
に係るMT−nMOSデバイスについて、図10(a)
−(c)を参照しながら説明する。
【0181】本実施形態においては、図10(a)に示
す工程までに上記第1の実施形態で説明した図3(a)
と同様の工程を行う。この工程については、図示及び説
明を省略する。
【0182】そして、図10(a)に示す工程で、半導
体基板1の全面上に厚みが8−12nmのシリコン酸化
膜を堆積し、さらにその上に厚みが250−300nm
のポリシリコン膜を堆積し、通常のフォトリソグラフィ
ー工程、エッチング工程により、ゲート電極8及びゲー
ト絶縁膜7をパターニングする。次に、このゲート電極
8の側面上にサイドウォール13を形成した後、ゲート
電極8とサイドウォール13をマスクとして砒素イオン
(As+ )を40KeV,4−6X1014cm-2の条件
で注入し、n+ 型のソース・ドレイン領域14を形成す
る。さらに、チタン膜を50nm程度の厚みで堆積した
後、熱処理を行って、チタンとソース・ドレイン領域1
4及びゲート電極8を構成するシリコンとを反応させ、
ゲート電極8とソース・ドレイン領域14との表面上に
厚みが約100nmのチタンシリサイド膜17a,17
bをそれぞれ形成する。その後、サイドウォール13を
選択的エッチングにより除去する。
【0183】次に、図10(b)に示す工程で、各チタ
ンシリサイド膜17a,17bをマスクとして、BF2
イオン(BF2+)を100−150KeV,2−8×1
12cm-2の条件で注入し、各pMOSFETのサイド
ウォール13が除去された領域の下方にp型のポケット
領域9を形成する。
【0184】次に、図10(c)に示す工程で、各チタ
ンシリサイド膜17a,17bをマスクとして、燐イオ
ン(P+ )を30−40KeV,2−8×1013cm-2
の条件で注入し、ポケット領域9で囲まれるn- 型のL
DD領域11を形成する。
【0185】以上の製造工程では、上記第1の実施形態
と同様に、MT−nMOSデバイスにおける各nMOS
FETの反転電圧制御のために必要なフォトマスクが1
枚で済み、従来の方法と比較して工程が簡略化できる。
【0186】また、本実施形態の製造工程で形成される
MT−nMOSFETにおいて、第1nMOSFETの
反転電圧はチャネル領域4とポケット領域9のp型不純
物濃度により決定され、第2nMOSFETの反転電圧
は基板領域1aとポケット領域9のp型不純物濃度によ
り決定される。したがって、上記第1の実施形態で説明
したと同様に、サブスレッショルド特性が良好でリーク
電流を低減できるという効果を発揮することができる。
この効果は第2nMOSFETにおいてより顕著であ
る。また、ポケット領域9によりパンチスルーや短チャ
ネル効果を抑制できる。
【0187】さらに、本実施形態では、ポケット領域9
をゲート電極8とソース・ドレイン領域14上のチタン
シリサイド膜17a,17bをマスクとして用いるイオ
ン注入により形成するので、ポケット領域9が極めて局
所的に形成される。つまり、図10(c)に示す構造で
は、第1実施形態における図1に示す構造と比較して、
ポケット領域9がソース・ドレイン領域14の下方にま
で延びていない。そのために、ソース・ドレイン領域1
4と基板領域1aとの間にpnジャンクションが形成さ
れることになり、ソース・ドレイン領域14とポケット
領域9との間にpnジャンクションが形成される第1の
実施形態等に比べ、pnジャンクションのp側領域の不
純物濃度を小さくできるため、寄生容量の低減を図るこ
とができる。通常、MT−MOSデバイスは、1.0−
2.0Vの低い電源電圧で動作させるため、pnジャン
クションの空乏層の伸びが小さく寄生容量が大きくなる
という不利な点を有するが、本実施形態では、上述のご
とく寄生容量を低減し得るので、その効果は極めて大き
く、高速で動作しかつ消費電力が非常に少ないLSIを
実現できる。
【0188】(第1〜第6の実施形態に関する変形形
態)上記第1,第2の実施形態で説明したMT−nMO
Sデバイスの構造は、MT−pMOSデバイスについて
も、同様に適用することができ、同様の効果を発揮する
ことができる。
【0189】また、第2の実施形態の構造を有する第
1,第2nMOSFETと、この第1,第2nMOSF
ETの不純物の導電型のみを逆にした構造を有する第
1,第2pMOSFETとを設けて、MT−CMOSデ
バイスを構成してもよい。
【0190】さらに、上記第6の実施形態では、第1の
実施形態の図1に示すような第2nMOSFETでは基
板領域1aがチャネル領域として機能するMT−nMO
Sデバイスについて説明したが、第6の実施形態におい
て、第2nMOSFETに、第1nMOSFETのチャ
ネル領域4における不純物濃度よりも不純物濃度の低い
チャネル領域を設けてもよい。
【0191】(第7の実施形態)以下、第7の実施形態
について、図11,図12及び図13(a)〜(d)を
参照しながら説明する。
【0192】図11は、第7の実施形態に係るMT−n
MOSデバイスの断面図である。図11に示すように、
p型不純物がドープされたシリコン単結晶からなる半導
体基板1の表面付近の領域は、シリコン酸化膜からなる
素子分離3により、多数の活性領域に区画されている。
各活性領域には、高反転電圧型の第1nMOSFETを
形成するための第1nMOSFET形成領域Rn1と、低
反転電圧型の第2nMOSFETを形成するための第2
nMOSFET形成領域Rn2とが設けられている。第1
及び第2nMOSFET形成領域Rn1,Rn2において、
シリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜7と、該ゲート絶
縁膜7の上に設けられたポリシリコン膜からなるゲート
電極8と、該ゲート電極8の各側面上に形成されたシリ
コン酸化膜からなるサイドウォール13とが設けられて
いる。そして、第1nMOSFET形成領域Rn1及び第
2nMOSFET形成領域Rn2の双方において、ゲート
絶縁膜7の直下方の基板領域1aがチャネル領域として
機能する。
【0193】そして、各nMOSFET形成領域Rn1,
Rn2において、半導体基板1内のゲート電極8の両側方
に位置する領域に形成され高濃度のn型不純物を含むn
+ 型のソース・ドレイン領域14と、チャネル領域と各
ソース・ドレイン領域14との間に形成され低濃度のn
型不純物を含むn- 型のLDD領域11と、LDD領域
11及びソース・ドレイン領域14を取り囲むように形
成されp型の不純物を含むパンチスルーストッパとなる
p型のポケット領域9a,9bとが設けられている。
【0194】図12(a),(b)は、上記第1,第2
nMOSFETにおける互いに逆導電型の2種類の不純
物で相殺される分を除いた実効的な不純物の濃度の分
布、つまりキャリアの濃度分布を示す。実線は本実施形
態では第1導電型キャリアとなるn型キャリアの濃度分
布を、破線は第2導電型キャリアであるp型キャリアの
濃度分布をそれぞれ示す。また、図12(a),(b)
では、各nMOSFETのチャネル方向を横軸にとって
いる。図12(a),(b)からわかるように、各nM
OSFETを比較すると、LDD領域11及びソース・
ドレイン領域14におけるn型キャリアの濃度は同じで
ある。しかし、第1nMOSFETのポケット領域9a
におけるp型キャリアの濃度p1 は、第2nMOSFE
Tのポケット領域9bにおけるp型キャリアの濃度p2
よりも高い。その結果、第1nMOSFETの反転電圧
(しきい値電圧)は第2nMOSFETの反転電圧より
も高くなっている。そのため、従来の2種類の反転電圧
を有するMOSFETを搭載したMT−MOSデバイス
と同様に、動作速度が高いかつ消費電力の小さいMT−
MOSデバイスを得ることができる。
【0195】加えて、本実施形態では、反転電圧の異な
る2種類のnMOSFETを同じ半導体基板1上に搭載
するために、ポケット領域9a,9bにおける不純物濃
度を制御することにより、以下の利点が得られる。すな
わち、ソース・ドレイン領域(本実施形態ではLDD領
域11)とチャネル領域との間にポケット領域を設けた
トランジスタは、パンチスルーや短チャネル効果を抑制
できる。このため、従来の半導体装置のごとく各MOS
FETのチャネル領域に2種類の濃度でしきい値制御用
の不純物イオンの注入を行なうものに比べ、微細化に有
利な構造となる。また、いずれのnMOSFETにおい
てもポケット領域9a又は9bが形成されているので、
チャネル領域として機能する基板領域1aの不純物濃度
を低くしても、パンチスルーや短チャネル効果を十分抑
制できる。このように、チャネル領域における不純物濃
度を通常のMOSFETより低くできるので、ゲート空
乏層容量が小さくなり、サブスレッショルド特性が良好
でリーク電流が小さいという効果が得られる。
【0196】特に、本実施形態においては、第1の実施
形態等とは異なり、第1,第2nMOSFETの双方に
ついてもチャネル領域にしきい値制御用不純物の注入を
行なわずに基板領域1aをそのままチャネル領域として
利用している結果、チャネル領域の不純物濃度が極めて
低くなることになり、上述の効果を顕著に発揮すること
ができる。
【0197】次に、本実施形態に係るMT−nMOSデ
バイスの製造工程について、図13(a)−(d)を参
照しながら説明する。
【0198】まず、図13(a)に示す工程で、p型不
純物がドープされたシリコン単結晶で構成される半導体
基板1上に、LOCOS法,トレンチ分離法等を用いて
厚みが約400nmのシリコン酸化膜からなる素子分離
3を形成し、この素子分離3により、第1nMOSFE
T形成領域Rn1と第2nMOSFET形成領域Rn2とを
区画する。そして、基板の全面上に厚みが8−12nm
のシリコン酸化膜を堆積し、さらにその上に厚みが25
0−300nmのポリシリコン膜を堆積し、通常のフォ
トリソグラフィー工程、エッチング工程により、ゲート
電極8及びゲート絶縁膜7を形成する。さらに、このゲ
ート電極8をマスクとして燐イオン(P+ )を30−4
0KeV,2−8×1013cm-2の条件で注入し、LD
D領域11を形成する。
【0199】次に、図13(b)に示す工程で、ゲート
電極8をマスクとして、各nMOSFET形成領域Rn
1,Rn2にホウ素イオン(B+ )を20−30KeV,
5−10×1012cm-2の条件で注入し、各nMOSF
ET形成領域Rn1,Rn2にp型ポケット領域9a,9b
を形成する。
【0200】次に、図13(c)に示す工程で、第2n
MOSFET形成領域Pn2を覆い第1nMOSFET形
成領域Rn1の上を開口したレジスト膜16hを形成した
後、このレジスト膜16hとゲート電極8とをマスクと
して、第1nMOSFET形成領域Rn1内にホウ素イオ
ン(B+ )を20−30KeV,2−5×1012cm-2
の条件で注入し、第1nMOSFETのポケット領域9
aの不純物濃度つまりキャリアの濃度のみを濃くする。
【0201】次に、図13(d)に示す工程で、ゲート
電極8の各側面上にサイドウォール13を形成し、ゲー
ト電極8とそのサイドウォール13をマスクとしてヒ素
イオンを40KeV,4−6X1014cm-2の条件で注
入しソース・ドレイン領域14を形成する。
【0202】以上の製造工程によって、図11に示す構
造を有するMT−nMOSデバイスが容易に形成される
ことがわかる。特に、図13(a)−(d)に示す製造
工程において、フォトマスクとなる1枚のレジスト膜1
6hのみで、nMOSFETの反転電圧制御のための不
純物イオンの注入を行なうことができる。したがって、
反転電圧制御のための不純物イオン注入に際し2枚のフ
ォトマスク(図30(a),(b)に示すレジスト膜1
6a,16b)を必要とする従来の方法と比較して、工
程が簡略化でき製造コストの低減を図ることができると
いう利点がある。
【0203】(第8の実施形態)次に、第8の実施形態
に係るMT−nMOSデバイスについて、図14を参照
しながら説明する。
【0204】図14に示すように、本実施形態において
も、上記第7の実施形態に係るMT−nMOSデバイス
と同様に、p型不純物がドープされた半導体基板1の表
面付近の領域は、素子分離3により第1nMOSFET
形成領域Rn1と第2nMOSFET形成領域Rn2とに区
画されている。そして、第1nMOSFET形成領域R
n1に形成されている第1nMOSFETと、第2nMO
SFET形成領域Rn2に形成されている第2nMOSF
ETとの構造は、基本的に上記第7の実施形態における
各nMOSFETの構造と同じであって、ゲート絶縁膜
7,ゲート電極8,サイドウォール13,ソース・ドレ
イン領域14,LDD領域11及びポケット領域9a,
9bが設けられている。
【0205】ここで、本実施形態の特徴として、第1n
MOSFETのポケット領域9aの幅Wp1は、第2nM
OSFETのポケット領域の幅Wp2よりも大きい。ただ
し、各ポケット領域9a,9bにおける不純物濃度は同
じである。このような構造は、例えば上記第1の実施形
態の製造工程において、図13(c)に示す工程で、第
1nMOSFETのポケット領域9aに第1導電型不純
物(ボロン)を再度注入する際に、半導体基板1の主面
に垂直な方向に対してゲート電極8に対向する側に大き
く傾いた方向からイオン注入を行なうことにより実現で
きる。あるいは、各nMOSFETのポケット領域9
a,9bを形成する際のイオン注入を傾き角を変えて行
なってもよい。
【0206】本実施形態では、第1nMOSFETのポ
ケット領域9aの幅Wp1が第2nMOSFETのポケッ
ト領域9bの幅Wp2よりも広いので、第1nMOSFE
Tの反転電圧が第2nMOSFETの反転電圧よりも高
くなる。このように、ポケット領域の幅を変えるだけで
2種類の反転電圧を有するnMOSFETを同じ半導体
基板上に形成できるので、簡素な工程で図14の構成を
実現することができ、上記第7の実施形態の製造方法と
ほぼ同じ効果を発揮することができる。
【0207】(第9の実施形態)次に、第9の実施形態
に係るMT−CMOSデバイスについて、図15及び図
16(a)−(f)を参照しながら説明する。
【0208】図15に示すように、本実施形態では、半
導体基板内にp型不純物を含むp型ウエル2aと、n型
不純物を含むn型ウエル2bとが形成されている。そし
て、半導体基板内には、nMOSFET形成領域Rn と
pMOSFET形成領域Rpとが存在する。さらに、素
子分離3により、nMOSFET形成領域Rn は第1n
MOSFET形成領域Rn1と第2nMOSFET形成領
域Rn2とに区画され、pMOSFET形成領域Rp は第
1pMOSFET形成領域Rp1と第2pMOSFET形
成領域Rp2とに区画されている。上記第1,第2nMO
SFET形成領域Rn1,Rn2にそれぞれ形成される第
1,第2nMOSFETの構造は、上記第7の実施形態
における図11に示す構造と同じである。また、第1,
第2pMOSFETの構造は、それぞれ図11に示す第
1,第2nMOSFETの構造において不純物の導電型
を逆にしただけである。すなわち、第1,第2pMOS
FETは、それぞれゲート電極8と、ゲート絶縁膜7
と、サイドウォール13と、p+ 型のソース・ドレイン
領域15と、p- 型のLDD領域12と、n型のポケッ
ト領域10a,10bとを備えている。
【0209】本実施形態に係るMT−CMOSデバイス
のうちMT−nMOSデバイスの構造により、上記第7
の実施形態と同様の効果が得られる。また、MT−pM
OSデバイスの構造においても、第1pMOSFETの
ポケット領域10aにおけるn型不純物の濃度(n型キ
ャリアの濃度)を第2pMOSFETのポケット領域1
0bにおけるn型不純物の濃度よりも濃くしておくこと
で、第1pMOSFETの反転電圧を第2pMOSFE
Tの反転電圧よりも高くするようにしている。したがっ
て、上記第7の実施形態と同様に、サブスレッショルド
特性が良好となりリーク電流を低減し得ることになる。
現実に使用される半導体デバイスはほとんどCMOSデ
バイスの構造を有しているので、本実施形態に係るMT
−CMOSデバイスの実用性は極めて大きい。
【0210】次に、本実施形態に係るMT−CMOSデ
バイスの製造工程について、図16(a)−()を参
照しながら説明する。
【0211】まず、図16(a)に示す工程で、単結晶
シリコンで構成される半導体基板1上に、p型ウエル2
aとn型ウエル2bとを形成した後、厚みが約400n
mのシリコン酸化膜からなる素子分離3を形成し、第1
nMOSFET形成領域Rn1,第2nMOSFET形成
領域Rn2,第2pMOSFET形成領域Rp2及び第1p
MOSFET形成領域Rp1を区画する。そして、半導体
基板1上に厚みが8−12nmのシリコン酸化膜を形成
し、さらにその上に厚みが250−300nmのポリシ
リコン膜を堆積し、通常のリソグラフィー工程、エッチ
ング工程により、ゲート絶縁膜7及びゲート電極8を形
成する。そして、通常のフォトリソグラフィー工程によ
り、nMOSFET形成領域Rn の上のみを開口したレ
ジスト膜16iを形成し,このレジスト膜16i及びゲ
ート電極8をマスクとして第1及び第2nMOSFET
形成領域Rn1,Rn2に燐イオン(P+ )を30−40K
eV,2−8×1013cm-2の条件で注入し、各nMO
SFETのLDD領域11を形成する。次に、同じレジ
スト膜16i及びゲート電極8とをマスクとして、第1
及び第2nMOSFET形成領域Rn1,Rn2にホウ素イ
オン(B+ )を20−30KeV,2−5×1012cm
-2の条件で注入し、p型のポケット領域9a,9bを形
成する。
【0212】次に、図16(b)に示す工程で、第1n
MOSFET形成領域Rn1の上のみを開口したレジスト
膜16jを形成し、このレジスト膜16jをマスクとし
て、第1nMOSFET形成領域Rn1内にホウ素イオン
(B+ )を20−30KeV,2−5×1012cm-2
条件で注入し、第1nMOSFETのポケット領域9a
の不純物濃度のみを濃くする。
【0213】次に、図16(c)に示す工程で、pMO
SFET形成領域Rp の上のみを開口したレジスト膜1
6kを形成した後、このレジスト膜16k及びゲート電
極8をマスクとしてpMOSFET形成領域Rp にホウ
素イオン(B+ )を30−40KeV,2−8×1013
cm-2の条件で注入し、各pMOSFETのLDD領域
12を形成する。さらに、同じレジスト膜16k及びゲ
ート電極8をマスクとしてpMOSFET形成領域Rp
に燐イオン(P+ )を80−120KeV,5−10×
1012cm-2の条件で注入し、各pMOSFETのn型
のポケット領域10a,10bを形成する。
【0214】次に、図16(d)に示す工程で、第1p
MOSFET形成領域Rp1の上のみを開口したレジスト
膜16lを形成し、このレジスト膜16l及びゲート電
極8をマスクとして、第1pMOSFET形成領域Rp1
内に燐イオン(P+ )を80−120KeV,2−5×
1012cm-2の条件で注入し、第1pMOSFETのポ
ケット領域10aのみ不純物濃度を濃くする。
【0215】次に、図16(e)に示す工程で、各MO
SFETのゲート電極8の各側面上にサイドウォール1
3を形成した後、nMOSFET形成領域Rn の上を開
口したレジスト膜16mを形成し、このレジスト膜16
m,ゲート電極8及びサイドウォール13をマスクとし
て、nMOSFET形成領域Rn にヒ素イオン(As+
)を40KeV,4−6X1014cm-2の条件で注入
し、nMOSFETのソース・ドレイン領域14を形成
する。
【0216】次に、図16(f)に示す工程で、pMO
SFET形成領域Rp の上を開口したレジスト膜16n
を形成した後、このレジスト膜16n,ゲート電極8及
びサイドウォール13をマスクとして、pMOSFET
形成領域Rp にホウ素イオン(B+ )を10−20Ke
V,4−6×1014cm-2の条件で注入し、各pMOS
FETのソース・ドレイン領域15を形成する。
【0217】以上の工程によって、上記図15に示す構
造を有するMT−CMOSデバイスが容易に形成され
る。
【0218】本実施形態のMT−CMOSデバイスの製
造工程では、反転電圧制御のためのレジスト膜が2枚で
済む(レジスト膜16j,16l)ので、従来の方法と
比較して工程が簡略化できる。
【0219】(第10の実施形態)次に、第10の実施
形態について、図17(a)−(d)を参照しながら説
明する。図17(a)−(d)は、2種類の反転電圧を
有するMT−pMOSデバイスの製造工程を示す断面図
である。
【0220】まず、図17(a)に示す工程で、シリコ
ン単結晶で構成される半導体基板1中のn型ウエル2b
上に、LOCOS法,トレンチ分離法等を用いて厚みが
約400nmのシリコン酸化膜からなる素子分離3を形
成し、この素子分離3により、第1pMOSFET形成
領域Rp1と第2pMOSFET形成領域Rp2とを区画す
る。そして、基板の全面上に厚みが8−12nmのシリ
コン酸化膜を堆積し、さらにその上に厚みが250−3
00nmのポリシリコン膜を堆積し、通常のフォトリソ
グラフィー工程、エッチング工程により、ゲート電極8
及びゲート絶縁膜7を形成する。しかる後、ゲート電極
8をマスクとしてBF2 イオン(BF2+)を30−40
KeV,2−8×1013cm-2の条件で注入し、各pM
OSFETのp型LDD層12を形成する。
【0221】次に、図17(b)に示す工程で、ゲート
電極8をマスクとしてpMOSFET形成領域Rp に燐
イオン(P+ )を80−120KeV,5−10×10
12cm-2の条件で注入し、各pMOSFETのn型のポ
ケット領域10a,10bを形成する。
【0222】次に、図示は省略するが、各pMOSFE
Tのゲート電極8の各側面上にサイドウォール13を形
成した後、ゲート電極及びサイドウォール13をマスク
としてボロンイオンを高濃度で注入し、各pMOSMO
SFET形成領域Rp1,Rp2にp+ 型のソース・ドレイ
ン領域15を形成する。その後、図17(c)に示す工
程で第1pMOSFET形成領域Rp1の上のみを開口し
たレジスト膜16oを形成し、このレジスト膜16o,
ゲート電極8及びサイドウォール13をマスクとして、
第1pMOSFET形成領域Rp1内に窒素イオン(N+
)を10−20KeV,4−6×1014cm-2の条件
で注入しする。
【0223】次に、図17(d)に示す工程で、半導体
基板1に850℃,30分間の熱処理を施すことによ
り、p+ 型のソース・ドレイン領域15を形成する際に
第1,第2pMOSFETのゲート電極8内に導入され
た高濃度のホウ素イオンを半導体基板1内に拡散させ
る。そのとき、第1pMOSFETのゲート電極8内に
は窒素が導入されているので、ゲート絶縁膜7中に酸窒
化膜が形成される等の作用によって、ホウ素のポケット
領域10aへの拡散が阻止あるいは抑制される。一方、
第2pMOSFETのゲート電極8には窒素が導入され
ていないので、ゲート電極8中のホウ素がポケット領域
10bまで拡散し、その結果、第1pMOSFETのポ
ケット領域10aよりも第2pMOSFETのポケット
領域10bの方がn型不純物の実効的濃度つまりn型キ
ャリアの濃度が低くなるので、第1pMOSFETに比
べ第2pMOSFETの反転電圧が小さくなる。
【0224】以上の工程により、2種類の反転電圧を有
するpMOSFETからなるMT−pMOSデバイスが
形成される。
【0225】本実施形態に係るMT−pMOSデバイス
は、上記第7〜第9の実施形態と同様に、パンチスルー
や短チャネル効果を抑制でき、微細化に有利な構造とな
る。また、ゲート空乏層容量も小さく、サブスレッショ
ルド特性が良好でリーク電流が小さい特性を有する。
【0226】本実施形態の製造方法では、反転電圧制御
のためのレジスト膜が1枚で済むので(レジスト膜16
o)、従来の方法と比較して工程が簡略化できるという
利点がある。
【0227】(第11の実施形態)次に、第11の実施
形態について、図18(a)−(d)を参照しながら説
明する。図18(a)−(d)は、2種類の反転電圧を
有するMT−pMOSデバイスの製造工程を示す断面図
である。
【0228】まず、図18(a)に示す工程で、シリコ
ン単結晶で構成される半導体基板1中のn型ウエル2b
上に、LOCOS法,トレンチ分離法等を用いて厚みが
約400nmのシリコン酸化膜からなる素子分離3を形
成し、この素子分離3により、第1pMOSFET形成
領域Rp1と第2pMOSFET形成領域Rp2とを区画す
る。そして、基板の全面上に厚みが8−12nmのシリ
コン酸化膜を堆積し、さらにその上に厚みが250−3
00nmのポリシリコン膜を堆積し、通常のフォトリソ
グラフィー工程、エッチング工程により、ゲート電極8
及びゲート絶縁膜7を形成する。しかる後、ゲート電極
8をマスクとしてホウ素イオン(B+ )を30−40K
eV,2−8×1013cm-2の条件で注入し、各pMO
SFETのp型LDD層12を形成する。
【0229】次に、図18(b)に示す工程で、ゲート
電極8をマスクとしてpMOSFET形成領域Rp に燐
イオン(P+ )を80−120KeV,5−10×10
12cm-2の条件で注入し、各pMOSFETにn型のポ
ケット領域10a,10bを形成する。
【0230】次に、図示は省略するが、各pMOSFE
Tのゲート電極8の各側面上にサイドウォール13を形
成した後、ゲート電極8及びサイドウォール13をマス
クとしてボロンイオンを高濃度で注入し、各pMOSM
OSFET形成領域Rp1,Rp2にp+ 型のソース・ドレ
イン領域15を形成する。その後、図18(c)に示す
工程で、第2pMOSFET形成領域Rp2の上を開口し
たレジスト膜16pを形成し、このレジスト膜16p,
ゲート電極8及びサイドウォール13をマスクとして、
第2pMOSFET形成領域Rp2内にフッ素イオン(F
+ )を10−20KeV,4−6×1014cm-2の条件
で注入する。
【0231】次に、図18(d)に示す工程で、半導体
基板1に850℃,30分間の熱処理を施すことによ
り、各pMOSFET中のホウ素イオンを半導体基板1
内に拡散させる。そのとき、第2pMOSFET形成領
域Rp2のゲート電極8内にはフッ素が導入されているの
で、ホウ素のポケット領域10bへの拡散が促進され
る。一方、第1pMOSFETのゲート電極8にはフッ
素が導入されていないので、ゲート電極8中のホウ素が
ポケット領域10aまで拡散するものの、その拡散量は
第2pMOSFETのポケット領域10bへの拡散量よ
りも少ない。その結果、第1pMOSFETのポケット
領域10aよりも第2pMOSFETのポケット領域1
0bの方がn型不純物の実効的濃度つまりn型キャリア
の濃度が低くなるので、第1pMOSFETに比べ第2
pMOSFETの反転電圧が小さくなる。
【0232】以上の工程により、2種類の反転電圧を有
するpMOSFETからなるMT−pMOSデバイスが
形成される。
【0233】本実施形態に係るMT−pMOSデバイス
は、上記各実施形態と同様に、パンチスルーや短チャネ
ル効果を抑制でき、微細化に有利な構造となる。また、
ゲート空乏層容量も小さく、サブスレッショルド特性が
良好でリーク電流が小さい特性を有する。
【0234】本実施形態の製造方法では、反転電圧制御
のためのレジスト膜が1枚で済むので(レジスト膜16
p)、従来の方法と比較して工程が簡略化できるという
利点がある。
【0235】(第12の実施形態)次に、第12の実施
形態について、図19(a)−(d)を参照しながら説
明する。図19(a)−(d)は、2種類の反転電圧を
有するMT−pMOSデバイスの製造工程を示す断面図
である。
【0236】まず、図19(a)に示す工程で、シリコ
ン単結晶で構成される半導体基板1中のn型ウエル2b
上に、LOCOS法,トレンチ分離法等を用いて厚みが
約400nmのシリコン酸化膜からなる素子分離3を形
成し、この素子分離3により、第1pMOSFET形成
領域Rp1と第2pMOSFET形成領域Rp2とを区画す
る。そして、基板の全面上に厚みが8−12nmのシリ
コン酸化膜を堆積し、さらにその上に厚みが250−3
00nmのポリシリコン膜を堆積し、通常のフォトリソ
グラフィー工程、エッチング工程により、ゲート電極8
及びゲート絶縁膜7をパターニングする。しかる後、ゲ
ート電極8をマスクとしてホウ素イオン(B+ )を30
−40KeV,2−8×1013cm-2の条件で注入し、
各pMOSFETのp型LDD層12を形成する。
【0237】次に、図19(b)に示す工程で、ゲート
電極8をマスクとしてpMOSFET形成領域Rp に燐
イオン(P+ )を80−120KeV,5−10×10
12cm-2の条件で注入し、各pMOSFETにn型のポ
ケット領域10a,10bを形成する。
【0238】次に、図示は省略するが、各pMOSFE
Tのゲート電極8の各側面上にサイドウォール13を形
成した後、ゲート電極8及びサイドウォール13をマス
クとしてボロンイオンを高濃度で注入し、各pMOSF
ET形成領域Rp1,Rp2にp+ 型のソース・ドレイン領
域15を形成する。その後、図19(c)に示す工程
で、第2pMOSFET形成領域Rp2の上を開口したレ
ジスト膜16qを形成し、このレジスト膜16q,ゲー
ト電極8及びサイドウォール13をマスクとして、第2
pMOSFET形成領域Rp2内にホウ素イオン(B+ )
を10−20KeV,4−6×1014cm-2の条件で注
入する。
【0239】次に、図19(d)に示す工程で、半導体
基板1に850℃,30分間の熱処理を施すことによ
り、各pMOSFET中のホウ素イオンを半導体基板1
内に拡散させる。そのとき、第2pMOSFET形成領
域Rp2のゲート電極8内には再度ホウ素が導入されてい
るので、ホウ素の濃度が濃くなっている。したがって、
第2pMOSFETのポケット領域10bへのホウ素の
拡散量は第1pMOSFETのポケット領域10aへの
拡散量よりも多い。このホウ素によるカウンタドープ量
の相違によって、第1pMOSFETのn型ポケット領
域10aよりも第2pMOSFETのn型ポケット領域
10bの方がn型不純物の実効的濃度つまりn型キャリ
アの濃度が低くなるので、第1pMOSFETに比べ第
2pMOSFETの反転電圧が小さくなる。
【0240】以上の工程により、2種類の反転電圧を有
するpMOSFETからなるMT−pMOSデバイスが
形成される。
【0241】本実施形態に係るMT−pMOSデバイス
は、上記各実施形態と同様に、パンチスルーや短チャネ
ル効果を抑制でき、微細化に有利な構造となる。また、
ゲート空乏層容量も小さく、サブスレッショルド特性が
良好でリーク電流が小さい特性を有する。
【0242】本実施形態の製造方法では、反転電圧制御
のためのレジスト膜が1枚で済むので(レジスト膜16
q)、従来の方法と比較して工程が簡略化できるという
利点がある。
【0243】(第13の実施形態)次に、第13の実施
形態に係るMT−nMOSデバイスについて、図20
(a)−(d)を参照しながら説明する。
【0244】本実施形態においては、図20(a)に示
す工程までに上記第7の実施形態で説明した図13
(a)と同様の工程を行う。この工程については、図示
及び説明を省略する。
【0245】そして、図20(a)に示す工程で、各n
MOSFET形成領域Rn1,Rn2内の基板の全面上に厚
みが8−12nmのシリコン酸化膜を堆積し、さらにそ
の上に厚みが250−300nmのポリシリコン膜を堆
積し、通常のフォトリソグラフィー工程、エッチング工
程により、ゲート電極8及びゲート絶縁膜7を形成す
る。次に、このゲート電極8の側面上にサイドウォール
13を形成した後、ゲート電極8とサイドウォール13
をマスクとして砒素イオン(As+ )を40KeV,4
−6X1014cm-2の条件で注入し、n+ 型のソース・
ドレイン領域14を形成する。さらに、チタン膜を50
nm程度の厚みで堆積した後、熱処理によりチタンとソ
ース・ドレイン領域14及びゲート電極8を構成するシ
リコンとを反応させ、ゲート電極8とソース・ドレイン
領域14との表面上に厚みが約100nmのチタンシリ
サイド膜17a,17bをそれぞれ形成する。その後、
サイドウォール13を選択的エッチングにより除去す
る。
【0246】次に、図20(b)に示す工程で、各チタ
ンシリサイド膜17a,17bをマスクとして、燐イオ
ン(P+ )を30−40KeV,2−8×1013cm-2
の条件で注入し、各nMOSFETのサイドウォール1
3が除去された領域の下方にn- 型のLDD領域11を
形成する。
【0247】次に、図20(c)に示す工程で、各チタ
ンシリサイド膜17a,17bをマスクとして、BF2
イオン(BF2+)を100−150KeV,1−5×1
12cm-2の条件で注入し、各nMOSFETのLDD
領域11の奥方にp型のポケット領域9a,9bを形成
する。
【0248】次に、図20(d)に示す工程で、第1n
MOSFET形成領域Rn1の上を開口したレジスト膜1
6rを形成し、このレジスト膜16r及びゲート電極8
をマスクとして、BF2 イオン(BF2+)を100−1
50KeV,1−5×1012cm-2の条件で注入し、第
1nMOSFETのポケット領域9aの不純物濃度のみ
を濃くする。その結果、第1nMOSFETの反転電圧
が第2nMOSFETの反転電圧よりも高くなる。
【0249】本実施形態の製造工程では、上記第7の実
施形態と同様に、MT−nMOSデバイスにおける各n
MOSFETの反転電圧制御のために必要なフォトマス
クが1枚で済み、従来の方法と比較して工程が簡略化で
きる。
【0250】また、本実施形態の製造工程で形成される
MT−nMOSFETにおいて、第1,第2nMOSF
ETの各ポケット領域9a,9bの不純物濃度が異なる
ことで、第1nMOSFETと第2nMOSFETの反
転電圧が異なる。したがって、第1の実施形態と同様
に、反転電圧の異なる2つのMOSFETを搭載しなが
ら、各nMOSFETのポケット領域9a,9bにより
パンチスルーや短チャネル効果を抑制できる。また、第
1の実施形態と同様に、各nMOSFETの空乏層容量
が小さい構成となっているので、サブスレッショルド特
性が良好でリーク電流を低減できるという効果を発揮す
ることができる。
【0251】さらに、本実施形態の製造工程では、ポケ
ット領域9a,9bをゲート電極8とソース・ドレイン
領域14上のチタンシリサイド膜17a,17bをマス
クとして用いるイオン注入により形成するので、ポケッ
ト領域9a,9bが極めて局所的に形成される。つま
り、図20(d)に示す構造では、第7の実施形態にお
ける図11に示す構造と比較して、ポケット領域9a,
9bがソース・ドレイン領域14の下方にまで延びてい
ない。そのために、ソース・ドレイン領域14と基板領
域1aとの間にpnジャンクションが形成されることに
なり、ソース・ドレイン領域14とポケット領域9a,
9bとの間にpnジャンクションが形成される第7の実
施形態等に比べ、pnジャンクションのp側領域の不純
物濃度を小さくできるため、寄生容量を増大させること
がない。通常、MT−MOSデバイスは、1.0−2.
0Vの低い電源電圧で動作させるため、pnジャンクシ
ョンの空乏層の伸びが小さく寄生容量が大きくなるとい
う不利な点を有するが、本実施形態では、上述のごとく
寄生容量を低減し得るので、その効果は極めて大きく、
高速で動作しかつ消費電力が非常に少ないLSIを実現
できる。
【0252】(第7〜第13の実施形態に関する変形形
態)上記第13の実施形態で説明したMT−nMOSデ
バイスの構造は、MT−pMOSデバイスについても、
同様に適用することができ、同様の効果を発揮すること
ができる。また、それぞれ異なる2種類の反転電圧を有
するnMOSFETとpMOSFETとを搭載したMT
−CMOデバイスにも適用し得ることはいうまでもな
い。
【0253】また、第7〜第13の実施形態において、
各MOSFETのゲート電極8の下方のチャネル領域内
にしきい値制御用不純物を導入して、VT制御用不純物
拡散領域を設けてもよい。ただし、その場合にも、各M
OSFETで不純物濃度を変える必要はなく、VT制御
用不純物拡散領域の濃度が同じでもポケット領域におけ
る不純物濃度が異なることで、2種類の反転電圧を有す
るMOSFETを形成できる。
【0254】上記第13の実施形態において、図20
(d)に示す工程中のBF2 イオンの注入方向を大きく
傾けて、第1nMOSFETのポケット領域9aの幅を
第2nMOSFETのポケット領域9bの幅よりも大き
くすることにより、2種類の反転電圧を有するMOSF
ETを形成してもよい。その場合にも、上述の第13の
実施形態と同じ効果を発揮することができる。
【0255】(第14の実施形態)図21(a)〜図2
1(d)は、第14の実施形態におけるnチャネルMO
SFETの製造工程を示す断面図である。
【0256】まず図21(a)に示す工程で、p型半導
体基板21の上に厚みが4〜8nmのシリコン酸化膜か
らなるゲート酸化膜24と、厚みが100〜200nm
のポリシリコン膜からなるゲート電極25とを形成す
る。
【0257】次に、図21(b)に示す工程で、ゲート
電極25と、半導体基板21内のゲート電極25の両側
方に位置する領域30とに砒素イオン(As+ )を注入
する。
【0258】次に、図21(c)に示す工程で、CVD
法によりゲート電極25及びp型半導体基板21の上に
シリコン酸化膜(図示せず)を堆積した後、これをエッ
チバックして、ゲート電極25の両側面上にサイドウォ
ール27を形成する。そして、このサイドウォール27
をマスクとして、ゲート電極25と、p型半導体基板2
1内の各サイドウォール7の側方に位置する領域Rfと
にフッ素イオン(F+)を注入する。このときの注入条
件は、加速エネルギーが40〜60keVで、注入量が
1〜5×1015cm-2である。
【0259】次に、図21(d)に示す工程で、サイド
ウォール27をマスクとして用いて燐イオン(P+ )の
注入を行い、ゲート電極25と、p型半導体基板21内
のゲート電極25の両側方に位置する領域とに燐を導入
する。このときの注入条件は、加速エネルギーが5〜2
0keV、注入量が1〜4×1015cm-2である。さら
に、図21(d)に示す状態で、975〜1050℃,
10秒の条件、あるいは850℃,20〜30分の条件
による熱処理を行い、不純物イオン(P+ )を活性化し
て、ゲート電極25を低抵抗化されたn型ゲート電極2
5aとするとともに、p型半導体基板21中にn型LD
D領域30aとn型ソース・ドレイン領域32aとを形
成する。
【0260】以下の工程は省略するが、層間絶縁膜を介
して何層かの金属配線を形成することで、MOSFET
が形成される。
【0261】本実施形態の製造工程によって形成された
nMOSFETは、以下のような特性を発揮することが
できる。
【0262】第1に、ソース・ドレイン領域32aにお
いて、燐の導入によってソース・ドレイン領域32aを
形成することで、砒素を導入して形成されたソース・ド
レイン領域に比べ、ソース・ドレイン領域32aの不純
物濃度の変化が緩やかとなる。したがって、キャリアの
インパクトイオン化作用によるnMOSFETの特性の
劣化や、寄生容量及びリーク電流の増大を抑制すること
ができる。
【0263】第2に,図21(d)に示す工程で、熱処
理を行う際に燐が注入された領域と同じ領域にフッ素が
導入されていると、燐の拡散が抑制される。この作用が
生じる理由はまだ解明されていないが、例えば以下のよ
うな現象が生じるためと推定することができる。一般
に、活性化のための熱処理を行うと、燐は格子間シリコ
ンとのダングリングボンドを形成しながらシリコン基板
内を拡散すると考えられている。ところが、燐と同じ部
位にフッ素が存在すると、フッ素の方が燐よりも格子間
シリコンとの親和力が強いので、格子間シリコンはフッ
素によって取り込まれ、燐と格子間シリコンとのダング
リングボンドの形成が妨げられる結果、燐の拡散が抑制
されると推測される。したがって、燐イオンのみの注入
によって形成されたソース・ドレイン領域に比べると、
ソース・ドレイン領域32aの拡散層深さを抑制するこ
とができ、短チャネル効果を抑制することができる。す
なわち、従来、nMOSFETのソース・ドレイン領域
を砒素イオンの注入によって形成していたのは、単に燐
イオンの注入のみでソース・ドレイン領域を形成すると
短チャネル効果が顕著になるそれがあるためである。そ
れに対し、本実施形態では、フッ素を燐とともに導入し
ているので、燐の導入によってソース・ドレイン領域3
2aを形成しながら短チャネル効果を抑制することがで
きるのである。
【0264】第3に、フッ素及び燐の導入によって形成
されたn型のゲート電極25aを有するため、高温,長
時間の熱処理を行なわなくても燐が十分活性化される。
したがって、砒素の不活性化に起因するゲート電極25
aの空乏化を抑制することができ、nMOSFETの駆
動力が高くなる。
【0265】なお、本実施形態では、フッ素及び燐の導
入をイオン注入により行ったが、本発明は必ずしも斯か
る実施形態に限定されるものではない。例えば、フッ素
や燐をゲート電極や半導体基板に気相拡散法やプラズマ
処理法を利用して導入することもできる。あるいは、ゲ
ート電極を構成するポリシリコン膜をCVD法により堆
積する際に、フッ素や燐をポリシリコン膜内に導入する
こともできる。
【0266】また、上記第14の実施形態において、上
記サイドウォール27やLDD領域30aは必ずしも形
成する必要はない。ただし、サイドウォール27を形成
し、かつLDD領域30aを形成しておくことで、微細
化に適したMOSFETを形成することができるという
著効を発揮することができる。
【0267】また、本実施形態では、サイドウォール2
7を形成した後にフッ素イオンの注入行っているが、フ
ッ素の導入をサイドウォール27の形成前に行うことが
可能である。ただし、サイドウォール用のシリコン酸化
膜を堆積する際に高温でのCVDが行われると燐の拡散
を抑制するというフッ素の機能が失われる可能性がある
ので、その場合には、光CVD法やプラズマCVD法等
の低温成膜法を利用することが好ましい。
【0268】さらに、本実施形態のごとくフッ素の導入
を燐の導入の前に行う必要はなく、熱処理前であれば燐
を導入してからフッ素を導入しても、本実施形態と同様
に燐の拡散を抑制する機能を発揮することができる。
【0269】なお、サイドウォール27を形成する前
に、例えば図21(b)に示す状態で、チャネル長さ調
整用サイドウォールを形成しておき、このサイドウォー
ルに対してLDD領域を形成するようにしてもよい。特
に、その場合には、LDD領域を燐イオンの注入によっ
て形成しても、適切なチャネル長さを確保することがで
きる。
【0270】(第15の実施形態)図22(a)〜
(e)は、第15の実施形態に係るCMOSFETの製
造工程を示す断面図である。
【0271】まず、図22(a)に示す工程で、単結晶
シリコンで構成されるp型半導体基板21の上に、nM
OSFET形成領域Rn にはp型半導体領域22a(p
型ウエル或いは基板領域)を、pMOSFET形成領域
Rp にはn型半導体領域22b(n型ウエル或いは基板
領域)をそれぞれ形成し、厚みが約400nmのシリコ
ン酸化膜からなる素子分離23を形成して、p型半導体
領域22aとn型半導体領域22bとを区画する。ただ
し、本実施形態では、p型半導体領域22aはp型半導
体基板21と同じ不純物濃度を有する領域である。上記
p型半導体領域22a及びn型半導体領域22bの上に
厚みが4〜8nmのシリコン酸化膜からなるゲート酸化
膜24と、厚みが100〜200nmのポリシリコン膜
からなるゲート電極25とを形成する。
【0272】次に、図22(b)に示す工程で、nMO
SFET形成領域Rn においては、砒素イオン(As+
)の注入を行い、ゲート電極25と、p型半導体領域
22a内のゲート電極25の両側方に位置する領域30
とに砒素を導入する。ただし、図示しないがp型半導体
領域22aに不純物イオンの注入を行う間、n型半導体
領域22bはレジストマスクで覆われている。また、n
型半導体領域22bにおいては、ホウ素イオン(B+ )
の注入を行い、ゲート電極25と、n型半導体領域22
b内のゲート電極25の両側方に位置する領域31とに
ホウ素を導入する。ただし、図示しないがn型半導体領
域22bに不純物イオンの注入を行う間、p型半導体領
域22aはレジストマスクで覆われている。
【0273】次に、図22(c)に示す工程で、CVD
法により基板の全面上にシリコン酸化膜を堆積した後、
異方性ドライエッチングを行ってシリコン酸化膜をエッ
チバックしゲート電極25の両側面上にサイドウォール
27を形成する。その後、n型半導体領域22bの上を
覆うレジスト膜Rm1を形成し、このレジスト膜Rm1
及び各サイドウォール27をマスクとして用いて、p型
半導体領域22a内においてフッ素イオン(F+ )の注
入を行い、ゲート電極25と、p型半導体領域22a内
の各サイドウォール27の側方に位置する領域Rfとに
フッ素を導入する。このときの注入条件は、加速エネル
ギーが40〜60keV程度、注入量が1〜5×1015
cm-2である。続いて、同じレジスト膜Rm1及び各サ
イドウォール27をマスクとして用いて、p型半導体領
域22a内において燐イオン(P+ )の注入を行い、ゲ
ート電極25と、p型半導体領域22a内の各サイドウ
ォール27の側方に位置する領域32とに燐を導入す
る。このときの注入条件は、加速エネルギーが5〜20
keV、注入量が2〜4×1015cm-2である。
【0274】次に、図22(d)に示す工程で、p型半
導体領域22aの上を覆うレジスト膜Rm2を形成し、
このレジスト膜Rm2及び各サイドウォール27をマス
クとして用いて、n型半導体領域22b内においてホウ
素イオン(B+ )の注入を行い、ゲート電極5と、n型
半導体領域22b内の各サイドウォール27の側方に位
置する領域33とにホウ素を導入する。このときの注入
条件は、加速エネルギーが5〜20keV、注入量が1
〜4×1015cm-2である。
【0275】さらに、図22(e)に示す状態で、97
5〜1050℃,10秒の条件による熱処理を行い、不
純物(P,B)を活性化する。この処理によって、nM
OSFET形成領域Rn においては、ゲート電極25を
低抵抗化されたn型ゲート電極25aとするとともに、
n型LDD領域30aと、n型ソース・ドレイン領域3
2aとを形成する。また、pMOSFET形成領域Rp
においては、ゲート電極25を低抵抗化されたp型ゲー
ト電極25bとするとともに、p型LDD領域31a
と、p型ソース・ドレイン領域33aとを形成する。
【0276】以下の工程は省略するが、層間絶縁膜を介
して何層かの金属配線を形成することで、半導体装置が
形成される。
【0277】本実施形態に係るCMOS型半導体装置
は、以下の特徴を有している。
【0278】第1に、CMOSFET中のnMOSFE
Tは、上記第1の実施形態と同様の効果を発揮すること
ができる。
【0279】第2に、nMOSFETのLDD領域30
a及びソース・ドレイン領域32aは燐を導入して形成
されているので、同じ条件下における熱処理後に、nM
OSFETのLDD領域30a及びソース・ドレイン領
域32aをpMOSFETのLDD領域31a及びソー
ス・ドレイン領域33aとほぼ同様の形状とすることが
でき、各MOSFETの性能のバランスがよくなる。
【0280】第3に、nMOSFETのn型ゲート電極
25aが燐イオンの注入により形成されているため、p
MOSFETのp型ゲート電極25bにおいてホウ素が
突き抜けを起こさない程度の短時間あるいは低温条件下
の熱処理でも、n型ゲート電極25aが十分活性化され
る。すなわち、nMOSFETは高い駆動力を得ること
ができる。
【0281】特に、pMOSFET形成領域Rp におい
て、ゲート電極25内にBF2 イオンではなくホウ素イ
オンを注入しているので、ポリシリコン膜内におけるフ
ッ素のようなホウ素の拡散促進作用が生じることがな
い。すなわち、従来、pMOSFETに導入する不純物
としてBF2 が用いられてきた理由は、フッ素の存在に
よってシリコン基板中でのホウ素の拡散を抑制し、ソー
ス・ドレイン領域の形状をnMOSFETのソース・ド
レイン領域の形状と適合させることにより、良好な特性
を得るためである。しかし、ソース・ドレイン領域はゲ
ート電極に対してセルフアライメントで形成されるの
で、必然的にpMOSFETのゲート電極にもBF2 が
導入されることになる。このBF2 中のフッ素は、シリ
コン単結晶内ではホウ素及び燐のいずれの拡散をも抑制
する機能を有するが、ポリシリコン膜内では、燐の拡散
は抑制するもののホウ素の拡散を促進するという悪影響
を与える。そのため、pMOSFETのゲート電極にお
けるホウ素の突き抜けが促進される虞れがある。それに
対し、本実施形態では、nMOSFETにおいてソース
・ドレイン領域に砒素ではなく燐を導入して活性化のた
めの熱処理条件を弱くしているので、pMOSFETの
ソース・ドレイン領域にBF2 を導入しなくても、ソー
ス・ドレイン領域の形状を適正化することは容易であ
る。よって、pMOSFETのゲート電極及びソース・
ドレイン領域に導入する不純物をホウ素のみとすること
ができ、上述のような不具合を解消することができるの
である。
【0282】(第16の実施形態)次に、第16の実施
形態について説明する。図23(a)〜(c)は、第3
の実施形態に係るCMOS型半導体装置の製造工程を示
す断面図である。
【0283】まず、図23(a)に示す工程で、単結晶
シリコンで構成されるp型半導体基板21の上に、nM
OSFET形成領域Rn にはp型半導体領域22aを、
pMOSFET形成領域Rp にはn型半導体領域22b
をそれぞれ形成し、厚みが約400nmのシリコン酸化
膜からなる素子分離23を形成して、p型半導体領域2
2aとn型半導体領域22bとを区画する。ただし、本
実施形態では、p型半導体領域22aはp型半導体基板
21と同じ不純物濃度を有する領域である。上記p型半
導体領域22a及びn型半導体領域22bの上に厚みが
4〜8nmのシリコン酸化膜からなるゲート酸化膜24
と、厚みが100〜200nmのポリシリコン膜からな
るゲート電極25とを形成する。
【0284】次に、図23(b)に示す工程で、nMO
SFET形成領域Rn においては、砒素イオン(As+
)の注入を行い、ゲート電極25と、p型半導体領域
22a内のゲート電極25の両側方に位置する領域30
とに砒素を導入する。ただし、図示しないがp型半導体
領域22aに不純物イオンの注入を行う間、n型半導体
領域22bはレジストマスクで覆われている。また、p
MOSFET形成領域Rp においては、ホウ素イオン
(B+ )の注入を行い、ゲート電極25と、n型半導体
領域22b内のゲート電極25の両側方に位置する領域
31とにホウ素を導入する。ただし、図示しないがn型
半導体領域22bに不純物イオンの注入を行う間、p型
半導体領域22aはレジストマスクで覆われている。
【0285】次に、CVD法により基板の全面上にシリ
コン酸化膜を堆積した後、異方性ドライエッチングを行
ってシリコン酸化膜をエッチバックしゲート電極25の
両側面上にサイドウォール27を形成する。その後、p
型半導体領域22a及びn型半導体領域22bの双方に
おいて、全面にフッ化ゲルマニュウムイオン(GeF4
+)を注入し、ゲート電極25と、各半導体領域22
a,22b内の各サイドウォール27の側方に位置する
領域Rfgとにフッ素及びゲルマニウムを同時に導入す
る。注入条件は、加速エネルギーが20〜80keV、
注入量が1〜4×1014cm-2である。
【0286】その後、図23(c)に示す工程で、上記
第15の実施形態における図22(c)〜(e)に示す
工程と同じ工程を行って(ただし、再度フッ素イオンの
注入は行わない)、nMOSFET形成領域Rn におい
ては、ゲート電極25を低抵抗化されたn型ゲート電極
25aとするとともに、n型低濃度ソース・ドレイン領
域30aと、n型高濃度ソース・ドレイン領域32aと
を形成する。また、pMOSFET形成領域Rp におい
ては、ゲート電極25を低抵抗化されたp型ゲート電極
25bとするとともに、p型低濃度ソース・ドレイン領
域31aと、p型高濃度ソース・ドレイン領域33aと
を形成する。
【0287】以下の工程は省略するが、層間絶縁膜を介
して何層かの金属配線を形成することで、半導体装置が
形成される。
【0288】本実施形態のCMOS型半導体装置は、基
本的に、各MOSトランジスタのゲート電極とソース・
ドレイン領域とにフッ素とゲルマニウムとが導入されて
いることで以下のような特徴を有する。
【0289】まず、nMOSFETにおいては、n型ゲ
ート電極25a及びソース・ドレイン領域32aに燐と
共にフッ素が導入されていることで、上記第15の実施
形態と同じ効果を発揮することができる。加えて、ゲル
マニウムが導入されていることで、n型ゲート電極25
a及び半導体基板内のソース・ドレイン領域32aを形
成しようとする領域内が非晶質化されるので、その後に
燐イオンを注入すると燐イオンのチャネリングが抑制さ
れる。したがって、燐イオンの注入時における注入深さ
を浅くでき、nMOSFETにおける上述の問題をより
確実に解消できる。
【0290】また、pMOSFETにおいては、p型ゲ
ート電極25b及びソース・ドレイン領域33aにフッ
化ゲルマニウムイオンがホウ素イオンの注入前に注入さ
れている。このフッ化ゲルマニウム中のフッ素は、上述
のようにゲート電極25b内におけるホウ素の拡散を促
進する。しかし、ゲルマニウムも同時に注入されている
ので、ポリシリコン膜が非晶質化され、ホウ素イオンの
注入深さが浅くなる。しかも、フッ化ゲルマニウムイオ
ンの注入量は、ソース・ドレイン領域33aを形成する
際のBF2 イオンの注入量ほど多くする必要はないの
で、pMOSFETのゲート電極25b内にフッ素が存
在していても全体としてはホウ素の突抜けを抑制するこ
とができる。したがって、本実施形態では、フッ素の存
在による拡散抑制機能に加えて、ゲルマニウムの存在に
よる微細なソース・ドレイン領域33aの形状の調整が
可能である。特に、フッ化ゲルマニウムイオンの注入を
行うことで、フッ素の導入とゲルマニウムの導入とを同
時に行うことができる利点がある。
【0291】ただし、本実施形態における図23(b)
に示す工程において、フッ化ゲルマニウムのイオン注入
をp型半導体領域22a側においてのみ行うようにして
もよい。その場合には、pMOSFETにはフッ化ゲル
マニウムは注入されないので、nMOSFETにおいて
のみ、上述の燐イオンの注入深さの抑制効果と燐の拡散
抑制機能とを発揮することができる。
【0292】また、本実施形態では、CMOS型半導体
装置の製造工程について説明したが、nMOSFETの
みを形成する場合についても、図21(b)に示すフッ
素イオンの代わりにフッ化ゲルマニウムのイオン注入を
行ってもよい。
【0293】(第17の実施形態)図24は本実施形態
に係るMT−CMOSデバイスの断面図、図25(a)
〜(c)は、本実施形態に係るMT−CMOSデバイス
の製造工程を示す断面図である。
【0294】図24に示すように、本実施形態では、半
導体基板41内に、p型不純物を含むp型ウエル42a
と、n型不純物を含むn型ウエル42bが形成されてい
る。そして、p型ウエル42aの付近の領域がnMOS
FETを形成するためのnMOSFET形成領域Rn で
あり、n型ウエル42bの付近の領域がpMOSFET
を形成するためのpMOSFET形成領域Rpである。
さらに、素子分離43により、nMOSFET形成領域
Rn は第1nMOSFET形成領域Rn1と第2nMOS
FET形成領域Rn2とに区画され、pMOSFET形成
領域Rp は第1pMOSFET形成領域Rp1と第2pM
OSFET形成領域Rp2とに区画されている。第1nM
OSFET形成領域Rn1に形成される第1nMOSFE
Tは高反転電圧を有するMOSFETであり、第2nM
OSFET形成領域Rn2に形成される第2nMOSFE
Tは低反転電圧を有するMOSFETである。第1pM
OSFET形成領域Rp1に形成される第1pMOSFE
Tは高反転電圧を有するMOSFETであり、第2pM
OSFET形成領域Rp2に形成される第2pMOSFE
Tは低反転電圧を有するMOSFETである。
【0295】第1nMOSFETは、ゲート電極48
と、ゲート絶縁膜47と、比較的高濃度のp型のチャネ
ル領域44aと、n+ 型のソース・ドレイン領域54と
を備えている。また、第2nMOSFETは、ゲート電
極48と、ゲート絶縁膜47と、比較的低濃度のp型の
チャネル領域44bと、n+ 型のソース・ドレイン領域
54とを備えている。第1pMOSFETは、ゲート電
極48と、ゲート絶縁膜47と、比較的高濃度のn型の
チャネル領域46aと、p+ 型のソース・ドレイン領域
55とを備えている。一方、第2pMOSFETは、ゲ
ート電極48と、ゲート絶縁膜47と、比較的低濃度の
n型のチャネル領域46bと、p+ 型のソース・ドレイ
ン領域55とに加えて、ゲート絶縁膜47の直下方にホ
ウ素イオンを導入してなるホウ素拡散領域Rboを備えて
いる。
【0296】本実施形態のMT−CMOSデバイスは、
それぞれ相異なる反転電圧を有する第1,第2nMOS
FETと、第1,第2pMOSFETとを有している。
そして、第1nMOSFETのチャネル領域44aに
は、第2nMOSFETのチャネル領域44bよりも高
濃度のp型不純物(ホウ素)が導入されていて、この不
純物濃度の差によって、第2nMOSFETに対する反
転電圧の高低差を設けている。また、第2pMOSFE
Tのチャネル領域46bには、ホウ素拡散領域Rboが設
けられており、このカウンタドープされた結果生じるn
型キャリア濃度の差によって第1pMOSFETに対す
る反転電圧の高低差を設けている。
【0297】本実施形態では、第2pMOSFETのチ
ャネル領域46bにホウ素拡散領域Rboが設けられてい
るので、第2pMOSFETのチャネル領域46bにお
けるn型不純物の濃度を第1pMOSFETのチャネル
領域におけるn型不純物の濃度と同じ濃度にしても、第
2pMOSFETの反転電圧を第1pMOSFETの反
転電圧よりも小さくすることができる。そのため、通常
低反転電圧MOSFETにとって避けがたい短チャネル
効果を緩和することが可能になる。したがって、耐圧が
大きく、かつ低反転電圧MOSFETの短チャネル効果
を抑制しうるMT−CMOSデバイスの提供を図ること
ができる。
【0298】次に、本実施形態に係るMT−CMOSデ
バイスの製造工程について、図25(a)−()を参
照しながら説明する。
【0299】まず、図25(a)に示す工程で、単結晶
シリコンで構成される半導体基板41上に、p型ウエル
42aとn型ウエル42bとを形成し、厚みが約400
nmのシリコン酸化膜からなる素子分離43を形成し、
第1nMOSFET形成領域Rn1,第2nMOSFET
形成領域Rn2,第2pMOSFET形成領域Rp2及び第
1pMOSFET形成領域Rp1を区画する。そして、通
常のフォトリソグラフィー工程により、nMOSFET
形成領域Rn のみを開口してpMOSFET形成領域R
p を覆うレジスト膜(図示せず)を形成し,このレジス
ト膜をマスクとして、nMOSFET形成領域Rn にホ
ウ素イオン(B+ )を注入し、第1,第2nMOSFE
Tのチャネル領域44a,44bを形成する。ホウ素イ
オンの注入条件は、10−40KeV,4−8×1012
cm-2である。また、pMOSFET形成領域Rp のみ
を開口してnMOSFET形成領域Rn を覆うレジスト
膜(図示せず)を形成し,このレジスト膜をマスクとし
て、pMOSFET形成領域Rp に燐イオン(P+ )を
注入し、第1,第2pMOSFETのチャネル領域46
a,46bを形成する。燐イオンの注入条件は、10−
40KeV,4−8×1012cm-2である。
【0300】次に、図25(b)に示す工程で、通常の
フォトリソグラフィー工程により、第1nMOSFET
形成領域Rn1及び第2pMOSFET形成領域Rp2のみ
を開口したレジスト膜56aを形成し、このレジスト膜
56aをマスクとして、第1nMOSFET形成領域R
n1及び第2pMOSFET形成領域Rp2にホウ素イオン
(B+ )を注入し、第1nMOSFETのチャネル領域
44aに追加注入を行う一方、第2pMOSFETのチ
ャネル領域46bにカウンタードープを行う。このとき
のイオン注入条件は、10−40KeV,2−6×10
12cm-2である。
【0301】次に、図25(c)に示す工程で、厚みが
8−12nmのシリコン酸化膜を形成し、さらにその上
に厚みが150−250nmのポリシリコン膜を堆積
し、通常のリソグラフィー工程、エッチング工程によ
り、各MOSFETのゲート絶縁膜47及びゲート電極
48をパターニングする。さらに、上記各実施形態に示
される条件と同様の工程により、nMOSFET形成領
域Rn には砒素を、pFET形成Rp にはホウ素イオン
(B+ 又はBF2+ )をそれぞれ注入して、各nMOSF
ETのソース・ドレイン領域54と、各pMOSFET
のソース・ドレイン領域55とを形成する。
【0302】すなわち、図25(a)に示す工程におい
て導入されたp型不純物、n型不純物の濃度をそれぞれ
p25a ,n25a とし、図25(b)に示す工程において
導入されたp型不純物の濃度をp25bとすると、各領域
の実効的な不純物濃度(キャリア濃度)は、それぞれ以
下のようになる。ただし、各ウエルにおける不純物濃度
は無視する。
【0303】 第1nMOSFETのチャネル領域44a p25a +p25b 第2nMOSFETのチャネル領域44b p25a 第1pMOSFETのチャネル領域46a n25a 第2pMOSFETのチャネル領域46b n25a −p25b 以上の工程によって、上記図24に示すMT−CMOS
デバイスの構造が容易に得られる。特に、本実施形態の
製造方法では、図25(a),(b)に示す工程で、反
転電圧制御のためのフォトマスクが2枚で済む。一方、
従来の図30(a)−(d)に示す工程をMT−CMO
Sデバイスにそのまま適用すると、第1nMOSFET
と、第2nMOSFETと、第1pMOSFETと、第
2pMOSFETとにおけるチャネル領域を形成するた
めに、各MOSFET形成領域Rn1,Rn2,Rp1,Rp2
のみを開口した4種類のレジスト膜を形成する必要があ
ることが容易に理解される。したがって、本実施形態に
係る半導体装置の製造方法では、従来の方法と比較して
2回のフォトマスク形成工程を削減でき、工程が簡略化
できる。
【0304】(第18の実施形態)図26は本実施形態
に係るMT−CMOSデバイスの断面図、図27(a)
〜(c)は、本実施形態に係るMT−CMOSデバイス
の製造工程を示す断面図である。
【0305】図26に示すように、本実施形態に係るM
T−CMOSデバイスの構造は、上記第17の実施形態
に係るMT−CMOSデバイスの構造と基本的に同じで
ある。すなわち、本実施形態における各MOSFET
は、ゲート絶縁膜47と、ゲート電極48と、ソース・
ドレイン領域54又は55を備えている点は、上記第1
7の実施形態と同じである。ここで、上記第17の実施
形態と異なる点について説明すると、第1nMOSFE
Tのチャネル領域44aは比較的高濃度のホウ素を含ん
でいるが、第2nMOSFETのチャネル領域44bに
は、燐がカウンタドープされてなる燐拡散領域Rphが設
けられている。そして、この燐拡散領域Rphの存在によ
り、第2nMOSFETの反転電圧を低下させるように
構成されている。また、第1pMOSFETのチャネル
領域46aには、第2pMOSFETのチャネル領域4
6bよりも高濃度のn型不純物(燐)が導入されてい
て、この不純物濃度の差によって、第2pMOSFET
に対する反転電圧の高低差を設けている。
【0306】本実施形態では、第2nMOSFETのチ
ャネル領域44bに燐拡散領域Rphが設けられているの
で、第2nMOSFETのチャネル領域44bにおける
p型不純物の濃度を第1nMOSFETのチャネル領域
におけるp型不純物の濃度と同じ濃度にしても、第2n
MOSFETの反転電圧を第1nMOSFETの反転電
圧よりも小さくすることができる。そのため、通常低反
転電圧MOSFETにとって避けがたい短チャネル効果
を緩和することが可能になる。したがって、耐圧が大き
く、かつ低反転電圧MOSFETの短チャネル効果を抑
制しうるMT−CMOSデバイスの提供を図ることがで
きる。
【0307】次に、本実施形態に係るMT−CMOSデ
バイスの製造工程について、図27(a)−()を参
照しながら説明する。
【0308】まず、図27(a)に示す工程で、上記図
25(a)に示す工程と同じ条件で、各種の処理を行
う。各チャネル領域44a,44b及び46a,46b
を形成するためのイオン注入の条件も、上述の第17の
実施形態と同じである。
【0309】次に、図27(b)に示す工程で、通常の
フォトリソグラフィー工程により、第2nMOSFET
形成領域Rn2及び第1pMOSFET形成領域Rp1のみ
を開口したレジスト膜56bを形成し、このレジスト膜
56bをマスクとして、第2nMOSFET形成領域R
n2及び第1pMOSFET形成領域Rp1に燐イオン(P
+ )を注入し、第1pMOSFETのチャネル領域46
aに追加注入を行う一方、第2nMOSFETのチャネ
ル領域44bにカウンタードープを行う。このときのイ
オン注入条件は、20−60KeV,2−6×1012
-2である。
【0310】次に、図27(c)に示す工程で、厚みが
8−12nmのシリコン酸化膜を形成し、さらにその上
に厚みが150−250nmのポリシリコン膜を堆積
し、通常のリソグラフィー工程、エッチング工程によ
り、各MOSFETのゲート絶縁膜47及びゲート電極
48をパターニングする。さらに、上記各実施形態に示
される条件と同様の工程により、nMOSFET形成領
域Rn には砒素を、pFET形成Rp にはホウ素イオン
(B+ 又はBF2+ )をそれぞれ注入して、各nMOSF
ETのソース・ドレイン領域54と、各pMOSFET
のソース・ドレイン領域55とを形成する。
【0311】すなわち、図27(a)に示す工程におい
て導入されたp型不純物、n型不純物の濃度をそれぞれ
p27a ,n27a とし、図27(b)に示す工程において
導入されたp型不純物の濃度をp27bとすると、各領域
の実効的な不純物濃度(キャリア濃度)は、それぞれ以
下のようになる。ただし、各ウエルにおける不純物濃度
は無視する。
【0312】 第1nMOSFETのチャネル領域44a p27a 第2nMOSFETのチャネル領域44b p27a −n27b 第1pMOSFETのチャネル領域46a n27a +n27b 第2pMOSFETのチャネル領域46b n27a 以上の工程によって、上記図26に示すMT−CMOS
デバイスの構造が容易に得られる。特に、本実施形態の
製造方法では、図27(a),(b)に示す工程で、反
転電圧制御のためのフォトマスクが2枚で済む。一方、
従来の図30(a)−(d)に示す工程をMT−CMO
Sデバイスにそのまま適用すると、第1nMOSFET
と、第2nMOSFETと、第1pMOSFETと、第
2pMOSFETとにおけるチャネル領域を形成するた
めに、各MOSFET形成領域Rn1,Rn2,Rp1,Rp2
のみを開口した4種類のレジスト膜を形成する必要があ
ることが容易に理解される。したがって、本実施形態に
係る半導体装置の製造方法では、従来の方法と比較して
2回のフォトマスク形成工程を削減でき、工程が簡略化
できる。
【0313】(第19の実施形態)図28は本実施形態
に係るMT−CMOSデバイスの断面図、図29(a)
〜(c)は、本実施形態に係るMT−CMOSデバイス
の製造工程を示す断面図である。
【0314】図28に示すように、本実施形態では、p
型ウエル42aと、n型ウエル42bとが形成され、p
型ウエル42a(nMOSFET形成領域Rn )には高
反転電圧型の第1nMOSFETと低反転電圧型の第2
nMOSFETとが設けられている。p型ウエル42b
(pMOSFET形成領域Rp )には高反転電圧型の第
1pMOSFETと低反転電圧型の第2pMOSFET
とが設けられている。
【0315】第1nMOSFETは、ポリシリコン膜か
らなるゲート電極48aと、酸化膜からなるゲート絶縁
膜47aと、p型のチャネル領域44と、n+ 型のソー
ス・ドレイン領域54とを備えている。また、第2nM
OSFETは、窒素が導入されたポリシリコン膜からな
るゲート電極48bと、窒素を含む酸化膜つまり窒化酸
化膜からなるゲート絶縁膜47bと、p型のチャネル領
域44と、n+ 型のソース・ドレイン領域54とを備え
ている。第1pMOSFETは、ポリシリコン膜からな
るゲート電極48aと、酸化膜からなるゲート絶縁膜4
7aと、n型のチャネル領域46と、p+ 型のソース・
ドレイン領域55とを備えている。一方、第2pMOS
FETは、窒素が導入されたポリシリコン膜からなるゲ
ート電極48bと、窒素を含む酸化膜つまり窒化酸化膜
からなるゲート絶縁膜47bと、n型のチャネル領域4
6と、p+ 型のソース・ドレイン領域55とを備えてい
る。
【0316】本実施形態では、低反転電圧型の第2nM
OSFET及び第2pMOSFETのゲート絶縁膜47
bを構成するシリコン酸化膜内に窒素を導入することに
よって反転電圧を低下させ、それぞれ第1nMOSFE
T,第1pMOSFETとの反転電圧に対する高低差を
生じるように構成されている。すなわち、シリコン酸化
膜よりもシリコン窒化膜の方が誘電率が高いので、シリ
コン窒化酸化膜をゲート絶縁膜として使用することによ
り、同じ膜厚でも反転電圧を低くできるのである。ここ
で、シリコン酸化膜の誘電率が約3.8であるのに対
し、シリコン窒化膜の誘電率は約6.7であるので、窒
素の注入量を適宜調整することにより、MOSFETの
反転電圧が所望の値になるようにシリコン窒化酸化膜の
誘電率を調整できる。また、窒化酸化膜は耐圧などの特
性が酸化膜よりも良好であるので、半導体装置の信頼性
の向上をも期待できる。
【0317】次に、本実施形態に係るMT−CMOSデ
バイスの製造工程について説明する。
【0318】まず、図29(a)に示す工程で、上記図
25(a)に示す工程と同じ条件で、各種の処理を行
う。ただし、第1,第2nMOSFETのチャネル領域
44を形成する際のホウ素イオンの注入条件は、10−
40KeV,2−8×1013cm-2である。また、第
1,第2pMOSFETのチャネル領域46を形成する
際の燐イオンの注入条件は、10−40KeV,2−8
×1013cm-2である。
【0319】次に、図29(b)に示す工程で、厚みが
8−12nmのシリコン酸化膜を形成し、さらにその上
に厚みが150−250nmのポリシリコン膜を堆積
し、通常のリソグラフィー工程、エッチング工程によ
り、各MOSFETのゲート絶縁膜47a,47b及び
ゲート電極48a、48bをパターニングする。さら
に、通常のフォトリソグラフィー工程により、第2nM
OSFET形成領域Rn2及び第2pMOSFET形成
領域Rp2のみを開口したレジスト膜56cを形成し、こ
のレジスト膜56cをマスクとして、第2nMOSFE
T形成領域Rn2及び第2pMOSFET形成領域Rp2に
窒素イオン(N+ )を注入する。このときのイオン注入
条件は、20−60KeV,8×1015−2×1016
-22−6×1012cm-2である。この窒素イオンの注
入によって、導入された窒素は後の熱処理工程を経ると
速やかに拡散して、第2nMOSFET及び第2pMO
SFETのゲート絶縁膜47bまで到達するので、シリ
コン酸化膜が窒化され窒化酸化膜となる。
【0320】次に、図29(c)に示す工程で、さら
に、上記各実施形態に示される条件と同様の工程によ
り、nMOSFET形成領域Rn には砒素を、pFET
形成Rpにはホウ素イオン(B+ 又はBF2+ )をそれぞ
れ注入して、各nMOSFETのソース・ドレイン領域
54と、各pMOSFETのソース・ドレイン領域55
とを形成する。
【0321】以上の工程によって、上記図28に示すM
T−CMOSデバイスの構造が容易に得られる。特に、
本実施形態の製造方法では、図29(a),(b)に示
す工程で、反転電圧制御のためのフォトマスクが2枚で
済む。一方、従来の図30(a)−(d)に示す工程を
MT−CMOSデバイスにそのまま適用すると、第1n
MOSFETと、第2nMOSFETと、第1pMOS
FETと、第2pMOSFETとにおけるチャネル領域
を形成するために、各MOSFET形成領域Rn1,Rn
2,Rp1,Rp2のみを開口した4種類のレジスト膜を形
成する必要があることが容易に理解される。したがっ
て、本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、従来
の方法と比較して2回のフォトマスク形成工程を削減で
き、工程が簡略化できる。
【0322】(第17〜第19の実施形態に関する変形
形態)上記第17〜第19の実施形態においては、各M
OSFETにLDD領域やポケット領域を形成していな
いが、上述の第1〜第16の実施形態におけると同様の
LDD領域やポケット領域を設けて、より微細化に適し
た構造とすることができることはいうまでもない。
【0323】
【発明の効果】請求項1〜10によれば、反転電圧の異
なる2種類のMISFETを備えた半導体装置におい
て、一方のチャネル領域を基板領域で構成し、或いはL
DD領域の有無などにより反転電圧の差を生じるように
したので、設計の容易化や、寄生容量の低減による動作
の高速化と消費電力の低減とを図りながら、高速、低消
費電力のLSIに適したMT−MISデバイスの提供を
図ることができる。
【0324】請求項10〜15によれば、反転電圧の異
なる2種類のMISFETを備えた半導体装置におい
て、各MISFETをLDD構造としかつ濃度が異なる
ポケット領域を形成することにより、反転電圧を変える
ようにしたので、簡素な工程で、高速、低消費電力のL
SIに適したMT−MISデバイスの提供を図ることが
できる。
【0325】請求項16〜22によれば、少なくともn
MISFETを搭載した半導体装置において、nMIS
FETのゲート電極とソース・ドレイン領域とに、少な
くともフッ素を含む不純物と燐とを共に導入しておく構
造としたので、フッ素による燐の拡散抑制機能を利用し
て、駆動力が高くかつ微細化に適した良好な特性を有す
る半導体装置の提供を図ることができる。
【0326】請求項23〜25によれば、反転電圧の異
なる2種類のMISFETを備えた半導体装置におい
て、低反転電圧MISFETのチャネル領域をカウンタ
ドープされた構造とすることでキャリア濃度を薄くする
ようにしたので、耐圧特性と短チャネル効果抑制機能の
向上を図りつつMT−MISデバイスの提供を図ること
ができる。
【0327】請求項26によれば、反転電圧の異なる2
種類のMISFETを備えた半導体装置において、低反
転電圧MISFETのゲート絶縁膜を窒化酸化膜で構成
することにより、反転電圧の差を生ぜしめるようにした
ので、信頼性の向上を図りつつMT−MISデバイスの
提供を図ることができる。
【0328】請求項27〜31によれば、反転電圧の異
なる2種類のMISFETを備えた半導体装置の製造方
法として、反転電圧の制御のために必要なフォトマスク
数の低減を図りながら、上記請求項1〜9の構成を有す
るMT−MISデバイスの形成の容易化を図ることがで
きる。
【0329】請求項32〜40によれば、反転電圧の異
なる2種類のMISFETを備えた半導体装置の製造方
法として、反転電圧の制御のために必要なフォトマスク
数の低減を図りながら、上記請求項10〜15の構成を
有するMT−MISデバイスの形成の容易化を図ること
ができる。
【0330】請求項41〜48によれば、少なくともn
MISFETを搭載した半導体装置の製造方法として、
nMISFET形成領域において不純物の導入を行う
際、少なくともフッ素を含む不純物と燐とをゲート電極
及びソース・ドレイン領域となる領域とに導入するよう
にしたので、フッ素による燐の拡散抑制機能を利用し
て、駆動力が高くかつ微細化に適した良好な特性を有す
る半導体装置の形成を図ることができる。
【0331】請求項49〜50によれば、反転電圧の異
なる2種類のMISFETを備えた半導体装置の製造方
法として、反転電圧の制御のために必要なフォトマスク
数の低減を図りながら、上記請求項23〜25の構成を
有するMT−MISFETの形成の容易化を図ることが
できる。
【0332】請求項51によれば、反転電圧の異なる2
種類のMISFETを備えた半導体装置の製造方法とし
て、低反転MISFETのゲート電極に窒素イオンの注
入を行った後、これを拡散させて窒化酸化膜を形成する
ようにしたので、請求項26の構成を有するMT−MI
Sデバイスの形成の容易化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係るMT−nMOSデバイス
の構造を示す断面図である。
【図2】第1の実施形態に係るMT−MOSデバイスに
基板バイアスを印加した状態を示す断面図である。
【図3】第1の実施形態に係るMT−nMOSデバイス
の製造工程を示す断面図である。
【図4】第2の実施形態に係るMT−nMOSデバイス
の構造を示す断面図である。
【図5】第3の実施形態に係るMT−CMOSデバイス
の構造を示す断面図である。
【図6】第3の実施形態に係るMT−CMOSデバイス
に基板バイアスを印加した状態を示す断面図である。
【図7】第3の実施形態に係るMT−CMOSデバイス
の製造工程を示す断面図である。
【図8】第4の実施形態に係るMT−CMOSデバイス
の製造工程を示す断面図である。
【図9】第5の実施形態に係るMT−CMOSデバイス
の製造工程を示す断面図である。
【図10】いわゆるSPI構造を有する第6の実施形態
に係るMT−nMOSデバイスの製造工程を示す断面図
である。
【図11】第7の実施形態に係るMT−nMOSデバイ
スの構造を示す断面図である。
【図12】第7の実施形態に係るMT−nMOSデバイ
スの半導体基板表面付近における実効的な不純物濃度つ
まりキャリア濃度を示す図である。
【図13】第7の実施形態に係るMT−nMOSデバイ
スの製造工程を示す断面図である。
【図14】第8の実施形態に係るMT−nMOSデバイ
スの構造を示す断面図である。
【図15】第9の実施形態に係るMT−CMOSデバイ
スの構造を示す断面図である。
【図16】第9の実施形態に係るMT−CMOSデバイ
スの製造工程を示す断面図である。
【図17】第10の実施形態に係るMT−pMOSデバ
イスの製造工程を示す断面図である。
【図18】第11の実施形態に係るMT−pMOSデバ
イスの製造工程を示す断面図である。
【図19】第12の実施形態に係るMT−pMOSデバ
イスの製造工程を示す断面図である。
【図20】第13の実施形態に係るMT−nMOSデバ
イスの製造工程を示す断面図である。
【図21】第14の実施形態に係るnMOSFETの製
造工程を示す断面図である。
【図22】第15の実施形態に係るCMOSデバイスの
製造工程を示す断面図である。
【図23】第16の実施形態に係るMT−nMOSデバ
イスの製造工程を示す断面図である。
【図24】第17の実施形態に係るMT−CMOSデバ
イスの構造を示す断面図である。
【図25】第17の実施形態に係るMT−CMOSデバ
イスの製造工程を示す断面図である。
【図26】第18の実施形態に係るMT−CMOSデバ
イスの構造を示す断面図である。
【図27】第18の実施形態に係るMT−CMOSデバ
イスの製造工程を示す断面図である。
【図28】第19の実施形態に係るMT−CMOSデバ
イスの構造を示す断面図である。
【図29】第19の実施形態に係るMT−CMOSデバ
イスの製造工程を示す断面図である。
【図30】従来のMT−nMOSデバイスの製造工程を
示す断面図である。
【図31】従来のCMOSデバイスの製造工程を示す断
面図である。
【符号の説明】 1 半導体基板 1a 基板領域 2a p型ウエル(p型基板領域) 2b n型ウエル(n型基板領域) 3 素子分離 4,6 チャネル領域 7 ゲート絶縁膜 8 ゲート電極 9,10 ポケット領域 11,12 LDD領域 13 サイドウォール 14,15 ソース・ドレイン領域 16 レジスト膜 17 チタンシリサイド膜

Claims (51)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基板上に、所定の反転電圧(V
    T)を有する第1MISFETと該第1MISFETと
    よりも低い反転電圧を有する第2MISFETとを搭載
    した半導体装置であって、 上記第1MISFETは、 上記半導体基板の一部の上に形成されたゲート絶縁膜
    と、上記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上
    記ゲート電極の各側面上に形成された絶縁体サイドウォ
    ールと、上記ゲート絶縁膜直下方の半導体基板内にVT
    制御レベル濃度の第1導電型不純物を導入して形成され
    たチャネル領域と、上記半導体基板内で上記チャネル領
    域を挟んで相対向するように形成され高濃度の第2導電
    型不純物を含むソース・ドレイン領域と、上記各ソース
    ・ドレイン領域と上記チャネル領域との間の上記半導体
    基板の表面を少なくとも含む領域に形成され第1導電型
    不純物を含むポケット領域と、上記ポケット領域と各ソ
    ース・ドレイン領域との間に形成され低濃度の第2導電
    型不純物を含むLDD領域とを備える一方、 上記第2MISFETは、 上記半導体基板の一部の上に形成されたゲート絶縁膜
    と、上記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上
    記ゲート電極の各側面上に形成された絶縁体サイドウォ
    ールと、上記半導体基板の表面から奥方に亘る領域に形
    成され上記第1MISFETのチャネル領域におけるよ
    りも低濃度のVT制御レベル濃度の第1導電型不純物を
    含んで上記ゲート絶縁膜の直下方においてチャネル領域
    となる基板領域と、上記半導体基板内で上記チャネル領
    域を挟んで相対向するように形成され高濃度の第2導電
    型不純物を含むソース・ドレイン領域と、上記各ソース
    ・ドレイン領域と上記チャネル領域との間の上記半導体
    基板の表面を少なくとも含む領域に形成され第1導電型
    不純物を含むポケット領域と、上記各ポケット領域と各
    ソース・ドレイン領域との間に形成され低濃度の第2導
    電型不純物を含むLDD領域とを備えていることを特徴
    とする半導体装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の半導体装置において、 上記第1MISFETは第1nMISFETであり、 上記第2MISFETは第2nMISFETであり、 上記第1導電型不純物はp型不純物で、上記第2導電型
    不純物はn型不純物であり、 上記半導体基板の一部の上に形成されたゲート絶縁膜
    と、上記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上
    記ゲート電極の各側面上に形成された絶縁体サイドウォ
    ールと、上記ゲート絶縁膜直下方の半導体基板内にVT
    制御レベル濃度のn型不純物を導入して形成されたチャ
    ネル領域と、上記半導体基板内で上記チャネル領域を挟
    んで相対向するように形成され高濃度のp型不純物を含
    むソース・ドレイン領域と、上記各ソース・ドレイン領
    域と上記チャネル領域との間の上記半導体基板の表面を
    少なくとも含む領域に形成されn型不純物を含むポケッ
    ト領域とからなる第1pMISFETと、 上記半導体基板の一部の上に形成されたゲート絶縁膜
    と、上記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上
    記ゲート電極の各側面上に形成された絶縁体サイドウォ
    ールと、上記半導体基板の表面から奥方に亘る領域に形
    成され上記第1pMISFETのチャネル領域における
    よりも低濃度のVT制御レベル濃度のn型不純物を含ん
    で上記ゲート絶縁膜の直下方においてチャネル領域とな
    る基板領域と、上記半導体基板内で上記チャネル領域を
    挟んで相対向するように形成され高濃度のp型不純物を
    含むソース・ドレイン領域と、上記各ソース・ドレイン
    領域と上記チャネル領域との間の上記半導体基板の表面
    を少なくとも含む領域に形成されn型不純物を含むポケ
    ット領域とからなる第2pMISFETとをさらに備え
    ていることを特徴とする半導体装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の半導体装置において、 上記第1MISFETは第1pMISFETであり、 上記第2MISFETは第2pMISFETであり、 上記第1導電型不純物はn型不純物で、上記第2導電型
    不純物はp型不純物であり、 上記半導体基板の一部の上に形成されたゲート絶縁膜
    と、上記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上
    記ゲート電極の各側面上に形成された絶縁体サイドウォ
    ールと、上記ゲート絶縁膜直下方の半導体基板内にVT
    制御レベル濃度のp型不純物を導入して形成されたチャ
    ネル領域と、上記半導体基板内で上記チャネル領域を挟
    んで相対向するように形成され高濃度のn型不純物を含
    むソース・ドレイン領域と、上記各ソース・ドレイン領
    域と上記チャネル領域との間の上記半導体基板の表面を
    少なくとも含む領域に形成されp型不純物を含むポケッ
    ト領域とからなる第1nMISFETと、 上記半導体基板の一部の上に形成されたゲート絶縁膜
    と、上記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上
    記ゲート電極の各側面上に形成された絶縁体サイドウォ
    ールと、上記ゲート絶縁膜直下方の半導体基板内にVT
    制御レベル濃度の第1導電型不純物を導入して形成され
    たチャネル領域と、上記半導体基板内で上記チャネル領
    域を挟んで相対向するように形成され高濃度のn型不純
    物を含むソース・ドレイン領域と、上記各ソース・ドレ
    イン領域と上記チャネル領域との間の上記半導体基板の
    表面を少なくとも含む領域に形成されp型不純物を含む
    ポケット領域とからなる第2nMISFETとをさらに
    備えていることを特徴とする半導体装置。
  4. 【請求項4】 半導体基板上に、所定の反転電圧を有す
    る第1MISFETと、該第1MISFETよりも低い
    反転電圧を有する第2MISFETとを搭載した半導体
    装置であって、 上記第1MISFETは、 上記半導体基板の一部の上に形成されたゲート絶縁膜
    と、上記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上
    記ゲート電極の各側面上に形成された絶縁体サイドウォ
    ールと、上記ゲート絶縁膜直下方の半導体基板内にVT
    制御レベル濃度の第1導電型不純物を導入して形成され
    たチャネル領域と、上記半導体基板内で上記チャネル領
    域を挟んで相対向するように形成され高濃度の第2導電
    型不純物を含むソース・ドレイン領域と、上記各ソース
    ・ドレイン領域と上記チャネル領域との間の上記半導体
    基板の表面を少なくとも含む領域に形成され第1導電型
    不純物を含むポケット領域と、上記各ポケット領域と各
    ソース・ドレイン領域との間に形成され低濃度の第2導
    電型不純物を含むLDD領域とを備え、 上記第2MISFETは、 上記半導体基板の一部の上に形成されたゲート絶縁膜
    と、上記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上
    記ゲート電極の各側面上に形成された絶縁体サイドウォ
    ールと、上記ゲート絶縁膜直下方の半導体基板内にVT
    制御レベル濃度の第1導電型不純物を導入して形成され
    たチャネル領域と、上記半導体基板内で上記チャネル領
    域を挟んで相対向するように形成され高濃度の第2導電
    型不純物を含むソース・ドレイン領域と、上記チャネル
    領域と各ソース・ドレイン領域との間に形成され低濃度
    の第2導電型不純物を含むLDD領域とを備えているこ
    とを特徴とする半導体装置。
  5. 【請求項5】 半導体基板上に、所定の反転電圧を有す
    る第1MISFETと該第1MISFETよりも低い反
    転電圧を有する第2MISFETとを搭載した半導体装
    置であって、 上記第1MISFETは、 上記半導体基板の一部の上に形成されたゲート絶縁膜
    と、上記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上
    記ゲート絶縁膜直下方の半導体基板内にVT制御レベル
    の濃度の第1導電型不純物を導入して形成されたチャネ
    ル領域と、上記半導体基板内で上記チャネル領域を挟ん
    で相対向するように形成され高濃度の第2導電型不純物
    を含むソース・ドレイン領域と、上記各ソース・ドレイ
    ン領域と上記チャネル領域との間で上記半導体基板表面
    から延びて上記ソース・ドレイン領域のゲート側端部に
    接するように形成され第1導電型不純物を含むポケット
    領域と、上記各ポケット領域と各ソース・ドレイン領域
    との間に形成され低濃度の第2導電型不純物を含むLD
    D領域と、上記ゲート電極及びソース・ドレイン領域の
    上に形成されたシリサイド膜とを備えている一方、 上記第2MISFETは、 上記半導体基板の一部の上に形成されたゲート絶縁膜
    と、上記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上
    記半導体基板の表面から奥方に亘る領域に形成され上記
    第1MISFETのチャネル領域におけるよりも低濃度
    のVT制御レベル濃度の第1導電型不純物を含んで上記
    ゲート絶縁膜の直下方においてチャネル領域となる基板
    領域と、上記半導体基板内で上記チャネル領域を挟んで
    相対向するように形成され高濃度の第2導電型不純物を
    含むソース・ドレイン領域と、上記各ソース・ドレイン
    領域とチャネル領域との間で上記半導体基板表面から延
    びて上記ソース・ドレイン領域のゲート側端部に接する
    ように形成され第1導電型不純物を含むポケット領域
    と、上記各ポケット領域と各ソース・ドレイン領域との
    間に形成され低濃度の第2導電型不純物を含むLDD領
    域と、上記ゲート電極及びソース・ドレイン領域の上に
    形成されたシリサイド膜とを備えていることを特徴とす
    る半導体装置。
  6. 【請求項6】 半導体基板上に、所定の反転電圧を有す
    る第1MISFETと該第1MISFETよりも低い反
    転電圧を有する第2MISFETとを搭載した半導体装
    置であって、 上記第1MISFET及び第2MISFETは、 上記半導体基板の一部の上に形成されたゲート絶縁膜
    と、上記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上
    記ゲート絶縁膜直下方の半導体基板内にVT制御レベル
    濃度の第1導電型不純物を導入して形成されたチャネル
    領域と、上記半導体基板内で上記チャネル領域を挟んで
    相対向するように形成され高濃度の第2導電型不純物を
    含むソース・ドレイン領域と、上記各ソース・ドレイン
    領域と上記チャネル領域との間で上記半導体基板表面か
    ら延びて上記ソース・ドレイン領域のゲート側端部に接
    するように形成され第1導電型不純物を含むポケット領
    域と、上記各ポケット領域と各ソース・ドレイン領域と
    の間に形成され低濃度の第2導電型不純物を含むLDD
    領域と、上記ゲート電極及びソース・ドレイン領域の上
    に形成されたシリサイド膜とを備えており、 上記第1MISFETの上記第2の半導体領域における
    不純物濃度は、上記第2MISFETの上記第2の半導
    体領域における不純物濃度よりも濃いことを特徴とする
    半導体装置。
  7. 【請求項7】 請求項1,4,5又は6記載の半導体装
    置において、 上記第1MISFETには、第1nMISFETと第1
    pMISFETとが含まれ、 上記第2MISFETには、第2nMISFETと第2
    pMISFETとが含まれることを特徴とする半導体装
    置。
  8. 【請求項8】 請求項1,4,5又は6記載の半導体装
    置において、 上記第1及び第2MISFETには、共通の基板バイア
    スが印加されるように構成されていることを特徴とする
    半導体装置。
  9. 【請求項9】 請求項2,3又は7記載の半導体装置に
    おいて、 上記第1nMISFET及び第2nMISFETには、
    共通の負の基板バイアスが印加され、 上記第1pMISFET及び第2pMISFETには、
    共通の正の基板バイアスが印加されるように構成されて
    いることを特徴とする半導体装置。
  10. 【請求項10】 半導体基板上に、所定の反転電圧を有
    する第1MISFETと該第1MISFETよりも低い
    反転電圧を有する第2MISFETとを搭載した半導体
    装置であって、 上記第1及び第2MISFETは、 上記半導体基板の一部の上に形成されたゲート絶縁膜
    と、上記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上
    記ゲート電極の各側面上に形成された絶縁体サイドウォ
    ールと、上記ゲート電極直下の部分を含む領域に第1導
    電型キャリアを生成するための第1導電型不純物を導入
    してなる基板領域と、上記ゲート電極の両側方に位置す
    る上記半導体基板内に第2導電型キャリアを生成するた
    めの高濃度の第2導電型不純物を導入してなる高濃度ソ
    ース・ドレイン領域と、上記各高濃度ソース・ドレイン
    領域と上記基板領域のゲート電極直下の部分との間に低
    濃度の上記第2導電型不純物を導入してなる低濃度ソー
    ス・ドレイン領域と、上記低濃度ソース・ドレイン領域
    と上記基板領域との間の上記半導体基板の表面を少なく
    とも含む領域に上記第1導電型不純物を導入してなるポ
    ケット領域とを備えていて、 上記第1MISFETの上記ポケット領域の第1導電型
    キャリアの濃度が、上記第2MISFETの第1導電型
    キャリアの濃度よりも濃いことを特徴とする半導体装
    置。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の半導体装置におい
    て、 上記第1MISFETには、第1nMISFETと第1
    pMISFETが含まれており、 上記第2MISFETには、第2nMISFETと第2
    pMISFETとが含まれていることを特徴とする半導
    体装置。
  12. 【請求項12】 半導体基板上に、所定の反転電圧を有
    する第1MISFETと該第1MISFETよりも低い
    反転電圧を有する第2MISFETとを搭載した半導体
    装置であって、 上記第1及び第2MISFETは、 上記半導体基板の一部の上に形成されたゲート絶縁膜
    と、上記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上
    記ゲート電極の各側面上に形成された絶縁体サイドウォ
    ールと、上記ゲート電極直下の部分を含む領域に第1導
    電型キャリアを生成するための第1導電型不純物を導入
    してなる基板領域と、上記ゲート電極の両側方に位置す
    る上記半導体基板内に第2導電型キャリアを生成するた
    めの高濃度の第2導電型不純物を導入してなる高濃度ソ
    ース・ドレイン領域と、上記各高濃度ソース・ドレイン
    領域と上記チャネル領域との間に低濃度の上記第2導電
    型不純物を導入してなる低濃度ソース・ドレイン領域
    と、上記低濃度ソース・ドレイン領域と上記基板領域と
    の間の上記半導体基板の表面を少なくとも含む領域に上
    記第1導電型不純物を導入してなるポケット領域とを備
    えていて、 上記第1MISFETのポケット領域における上記半導
    体基板の表面と接する部分のゲート長方向の幅が、上記
    第1MISFETのポケット領域における上記半導体基
    板の表面と接する部分のゲート長方向の幅よりも大きい
    ことを特徴とする半導体装置。
  13. 【請求項13】 請求項12記載の半導体装置におい
    て、 上記第1MISFETには、第1nMISFETと第1
    pMISFETが含まれており、 上記第2MISFETには、第2nMISFETと第2
    pMISFETとが含まれていることを特徴とする半導
    体装置。
  14. 【請求項14】 半導体基板上に、所定の反転電圧を有
    する第1MISFETと該第1MISFETよりも低い
    反転電圧を有する第2MISFETとを搭載した半導体
    装置であって、 上記第1及び第2MISFETは、 上記半導体基板の一部の上に形成されたゲート絶縁膜
    と、上記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上
    記ゲート電極直下の部分を含む領域に第1導電型キャリ
    アを生成するための第1導電型不純物を導入してなる基
    板領域と、上記ゲート電極の両側方に位置する上記半導
    体基板内に第2導電型キャリアを生成するための高濃度
    の第2導電型不純物を導入してなる高濃度ソース・ドレ
    イン領域と、上記各高濃度ソース・ドレイン領域と上記
    基板領域のゲート電極直下の部分との間に低濃度の第2
    導電型不純物を導入してなる低濃度ソース・ドレイン領
    域と、上記低濃度ソース・ドレイン領域と上記基板領域
    との間で上記半導体基板表面から上記高濃度ソース・ド
    レイン領域のゲート電極側端部に亘る領域に第1導電型
    不純物を導入してなるポケット領域と、上記ゲート電極
    及び高濃度ソース・ドレイン領域の上に形成されたシリ
    サイド膜とを備えていて、 上記第1MISFETの上記ポケット領域の第1導電型
    キャリアの濃度が、上記第2MISFETの第1導電型
    キャリアの濃度よりも濃いことを特徴とする半導体装
    置。
  15. 【請求項15】 請求項14記載の半導体装置におい
    て、 上記第1MISFETには、第1nMISFETと第1
    pMISFETが含まれており、 上記第2MISFETには、第2nMISFETと第2
    pMISFETとが含まれていることを特徴とする半導
    体装置。
  16. 【請求項16】 半導体基板の一部に形成されたnMI
    SFETとを少なくとも有する半導体装置において、 上記nMISFETは、 上記半導体基板上に形成されたゲート絶縁膜と、 上記ゲート絶縁膜の上に形成され、少なくともフッ素を
    含む不純物と燐とが導入されたゲート電極と、 上記半導体基板の上記ゲート電極の両側方に位置する領
    域に形成され、少なくともフッ素を含む不純物と燐とが
    導入されたn型ソース・ドレイン領域とを備えているこ
    とを特徴とする半導体装置。
  17. 【請求項17】 請求項16記載の半導体装置におい
    て、 上記半導体基板の上記nMISFETとは別の部位に形
    成されたpMISFETをさらに有し、 上記pMISFETは、 上記半導体基板の上に形成されたゲート絶縁膜と、 上記ゲート絶縁膜の上に形成され、p型不純物イオンが
    導入されたゲート電極と、 上記半導体基板の上記ゲート電極の両側方に位置する領
    域に形成され、p型不純物イオンが導入されたp型ソー
    ス・ドレイン領域とを備えていることを特徴とする半導
    体装置。
  18. 【請求項18】 請求項16又は17記載の半導体装置
    において、 上記ゲート電極の両側面上に形成されたサイドウォール
    と、 上記ソース・ドレイン領域のゲート電極側に隣接した領
    域に形成され、低濃度のn型不純物が導入された低濃度
    ソース・ドレイン領域とをさらに備えていることを特徴
    とする半導体装置。
  19. 【請求項19】 請求項17記載の半導体装置におい
    て、 上記p型不純物は、ホウ素のみであることを特徴とする
    半導体装置。
  20. 【請求項20】 請求項16記載の半導体装置におい
    て、 上記少なくともフッ素を含む不純物は、フッ化ゲルマニ
    ウムであることを特徴とする半導体装置。
  21. 【請求項21】 請求項20記載の半導体装置におい
    て、 上記半導体基板の上記nMISFETとは別の部位に形
    成されたpMISFETをさらに有し、 上記pMISFETは、 上記半導体基板の上に形成されたゲート絶縁膜と、 上記ゲート絶縁膜の上に形成され、p型不純物イオンが
    導入されたゲート電極と、 上記半導体基板の上記ゲート電極の両側方に位置する領
    域に形成され、p型不純物イオンが導入されたp型ソー
    ス・ドレイン領域とを備えていることを特徴とする半導
    体装置。
  22. 【請求項22】 請求項20記載の半導体装置におい
    て、 上記半導体基板の上記nMISFETとは別の部位に形
    成されたpMISFETをさらに有し、 上記pMISFETは、 上記半導体基板の上に形成されたゲート絶縁膜と、 上記ゲート絶縁膜の上に形成され、p型不純物イオンが
    導入されたゲート電極と、 上記半導体基板の上記ゲート電極の両側方に位置する領
    域に形成され、p型不純物イオンが導入されたp型ソー
    ス・ドレイン領域とを備え、 上記pMISFETのp型ゲート電極及びp型ソース・
    ドレイン領域にも上記フッ化ゲルマニウムが導入されて
    いることを特徴とする半導体装置。
  23. 【請求項23】 半導体基板上に、所定の反転電圧を有
    する少なくとも1つの第1MISFETと該第1MIS
    FETとよりも低い反転電圧を有する少なくとも1つの
    第2MISFETとを搭載した半導体装置であって、 上記第1MISFETは、 上記半導体基板の一部の上に形成されたゲート絶縁膜
    と、上記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上
    記ゲート絶縁膜直下方の半導体基板内に第1導電型キャ
    リアを生ぜしめるための第1導電型不純物を導入して形
    成されたチャネル領域と、上記半導体基板内で上記チャ
    ネル領域を挟んで相対向するように形成され高濃度の第
    2導電型不純物を含むソース・ドレイン領域とを備える
    一方、 上記第2MISFETは、 上記半導体基板の一部の上に形成されたゲート絶縁膜
    と、上記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上
    記ゲート絶縁膜直下方の半導体基板内に上記第1MIS
    FETのチャネル領域と同じ濃度の第1導電型不純物と
    第2導電型キャリアを生ぜしめるための第2導電型不純
    物とを導入して形成されたチャネル領域と、上記半導体
    基板内で上記チャネル領域を挟んで相対向するように形
    成され高濃度の第2導電型不純物を含むソース・ドレイ
    ン領域とを備え、 上記第1MISFETのチャネル領域における第1導電
    型キャリアの濃度は、上記第2MISFETのチャネル
    領域における第1導電型キャリアの濃度よりも濃いこと
    を特徴とする半導体装置。
  24. 【請求項24】 請求項23記載の半導体装置におい
    て、 上記第1,第2MISFETは、いずれもpMISFE
    Tであり、 上記第2導電型不純物はホウ素であることを特徴とする
    半導体装置。
  25. 【請求項25】 請求項23記載の半導体装置におい
    て、 上記第1,第2MISFETは、いずれもnMISFE
    Tであり、 上記第2導電型不純物は燐であることを特徴とする半導
    体装置。
  26. 【請求項26】 半導体基板上に、所定の反転電圧を有
    する少なくとも1つの第1MISFETと該第1MIS
    FETとよりも低い反転電圧を有する少なくとも1つの
    第2MISFETとを搭載した半導体装置であって、 上記第1MISFETは、 上記半導体基板の一部の上に形成された酸化膜からなる
    ゲート絶縁膜と、上記ゲート絶縁膜上に形成されたゲー
    ト電極と、上記ゲート絶縁膜直下方の半導体基板内に第
    1導電型キャリアを生ぜしめるための第1導電型不純物
    を導入して形成されたチャネル領域と、上記半導体基板
    内で上記チャネル領域を挟んで相対向するように形成さ
    れ高濃度の第2導電型不純物を含むソース・ドレイン領
    域とを備える一方、 上記第2MISFETは、 上記半導体基板の一部の上に形成され窒化酸化膜からな
    るゲート絶縁膜と、上記ゲート絶縁膜上に形成されたゲ
    ート電極と、上記ゲート絶縁膜直下方の半導体基板内に
    上記第1導電型不純物を導入して形成されたチャネル領
    域と、上記半導体基板内で上記チャネル領域を挟んで相
    対向するように形成され高濃度の第2導電型不純物を含
    むソース・ドレイン領域とを備えていることを特徴とす
    る半導体装置。
  27. 【請求項27】 半導体基板に第1MISFETと第2
    MISFETとを形成する半導体装置の製造方法であっ
    て、 各MISFET形成領域に第2MISFETのVT制御
    レベル濃度の第1導電型不純物を含む基板領域を形成す
    る第1の工程と、 上記基板領域のうち第1MISFET形成領域のみにさ
    らに第1導電型不純物を導入して第1MISFETのV
    T制御レベル濃度の第1導電型不純物を含むチャネル領
    域を形成する第2の工程と、 上記各MISFET形成領域内の半導体基板上にゲート
    絶縁膜を形成する第3の工程と、 上記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する第4の工程
    と、 上記各ゲート電極をマスクとして低濃度の第1導電型不
    純物イオンを上記半導体基板内に注入して、ポケット領
    域を形成する第5の工程と、 上記各ゲート電極をマスクとして低濃度の第2導電型不
    純物イオンを上記半導体基板内に注入して、上記ポケッ
    ト領域に囲まれる領域にLDD領域を形成する第6の工
    程と、 上記ゲート電極の各側面上に絶縁体サイドウォールを形
    成する第7の工程と、 上記ゲート電極と上記各絶縁体サイドウォールをマスク
    として高濃度の第2導電型不純物のイオンを半導体基板
    内に注入して、ソース・ドレイン領域を形成する第8の
    工程とを備えていることを特徴とする半導体装置の製造
    方法。
  28. 【請求項28】 半導体基板に第1n,第2nMISF
    ETと第1,第2pMISFETとを形成するための半
    導体装置の製造方法であって、 nMISFET形成領域に第2nMISFETのVT制
    御レベル濃度のp型不純物を含むp型基板領域を形成
    し、pMISFET形成領域に第2pMISFETのV
    T制御レベル濃度のn型不純物を含むn型基板領域を形
    成する第1の工程と、 上記p型基板領域のうち第1nMISFET形成領域の
    みにp型不純物をさらに導入する一方、上記n型基板領
    域のうち第1pMISFET形成領域のみにn型不純物
    を導入して、上記第1nMISFET及び第1pMIS
    FETのVT制御レベル濃度の不純物を含むp型チャネ
    ル領域及びn型チャネル領域をそれぞれ形成する第2の
    工程と、 上記各MISFET形成領域内の半導体基板上にゲート
    絶縁膜を形成する第3の工程と、 上記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する第4の工程
    と、 上記nMISFET形成領域において、上記各ゲート電
    極をマスクとしてp型不純物イオンを上記半導体基板内
    に注入してp型ポケット領域を形成する一方、上記p型
    ポケット領域に囲まれる領域にn型不純物イオンを注入
    してn型LDD領域を形成する第5の工程と、 上記pMISFET形成領域において、上記各ゲート電
    極をマスクとしてn型不純物イオンを上記半導体基板内
    に注入してn型ポケット領域を形成する一方、上記n型
    ポケット領域に囲まれる領域にp型不純物イオンを注入
    してp型LDD領域を形成する第6の工程と、 上記各ゲート電極の各側面上に絶縁体サイドウォールを
    形成する第7の工程と、 上記nMISFET形成領域においては上記各ゲート電
    極及び上記各絶縁体サイドウォールをマスクとして高濃
    度のn型不純物イオンを上記半導体基板内に注入する一
    方、上記pMISFET形成領域においては上記各ゲー
    ト電極及び上記各絶縁体サイドウォールをマスクとして
    高濃度のp型不純物イオンを上記半導体基板内に注入し
    て、各MISFETのソース・ドレイン領域を形成する
    第8の工程とを備えていることを特徴とする半導体装置
    の製造方法。
  29. 【請求項29】 半導体基板に第1n,第2nMISF
    ETと第1,第2pMISFETとを形成するための半
    導体装置の製造方法であって、 nMISFET形成領域に第2nMISFETのVT制
    御レベル濃度のp型不純物を含むp型基板領域を形成
    し、pMISFET形成領域に第2pMISFETのV
    T制御レベル濃度のn型不純物を含むn型基板領域を形
    成する第1の工程と、 上記p型基板領域のうち第1nMISFET形成領域の
    みにp型不純物をさらに導入する一方、上記n型基板領
    域のうち第1pMISFET形成領域のみにn型不純物
    を導入して、上記第1nMISFET及び第1pMIS
    FETのVT制御レベル濃度の不純物を含むp型チャネ
    ル領域及びn型チャネル領域をそれぞれ形成する第2の
    工程と、 上記各MISFET形成領域内の半導体基板上にゲート
    絶縁膜を形成する第3の工程と、 上記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する第4の工程
    と、 上記nMISFET形成領域において、上記各ゲート電
    極をマスクとしてn型不純物を上記半導体基板内に注入
    して、各nMISFETのポケット領域を形成する第5
    の工程と、 上記nMISFET形成領域及びpMISFET形成領
    域において、上記各ゲート電極をマスクとして低濃度の
    n型不純物のイオンを半導体基板内に注入し、nMIS
    FET形成領域にn型LDD領域を形成する一方、pM
    ISFET形成領域にn型ポケット領域を形成する第6
    の工程と、 上記各ゲート電極の各側面上に絶縁体サイドウォールを
    形成する第7の工程と、 上記nMISFET形成領域においては上記各ゲート電
    極及び上記各絶縁体サイドウォールをマスクとして高濃
    度のn型不純物イオンを上記半導体基板内に注入する一
    方、上記pMISFET形成領域においては上記各ゲー
    ト電極及び上記各絶縁体サイドウォールをマスクとして
    高濃度のp型不純物イオンを上記半導体基板内に注入し
    て、各MISFETのソース・ドレイン領域を形成する
    第8の工程とを備えていることを特徴とする半導体装置
    の製造方法。
  30. 【請求項30】 半導体基板に第1n,第2nMISF
    ETと第1,第2pMISFETとを形成するための半
    導体装置の製造方法であって、 nMISFET形成領域に第2nMISFETのVT制
    御レベル濃度のp型不純物を含むp型基板領域を形成
    し、pMISFET形成領域に第2pMISFETのV
    T制御レベル濃度のn型不純物を含むn型基板領域を形
    成する第1の工程と、 上記p型基板領域のうち第1nMISFET形成領域の
    みにp型不純物をさらに導入する一方、上記n型基板領
    域のうち第1pMISFET形成領域のみにn型不純物
    を導入して、上記第1nMISFET及び第1pMIS
    FETのVT制御レベル濃度の不純物を含むp型チャネ
    ル領域及びn型チャネル領域をそれぞれ形成する第2の
    工程と、 上記各MISFET形成領域内の半導体基板上にゲート
    絶縁膜を形成する第3の工程と、 上記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する第4の工程
    と、 上記pMISFET形成領域において、上記各ゲート電
    極をマスクとしてn型不純物のイオンを半導体基板内に
    注入して、ポケット領域を形成する第5の工程と、 上記nMISFET形成領域及びpMISFET形成領
    域において、上記各ゲート電極をマスクとして低濃度の
    p型不純物のイオンを半導体基板内に注入して、pMI
    SFET形成領域にp型LDD領域を形成する一方、n
    MISFET形成領域にp型ポケット領域を形成する第
    6の工程と、 上記各ゲート電極の各側面上に絶縁体サイドウォールを
    形成する第7の工程と、 上記nMISFET形成領域においては上記各ゲート電
    極及び上記各絶縁体サイドウォールをマスクとして高濃
    度のn型不純物イオンを上記半導体基板内に注入する一
    方、上記pMISFET形成領域においては上記各ゲー
    ト電極及び上記各絶縁体サイドウォールをマスクとして
    高濃度のp型不純物イオンを上記半導体基板内に注入し
    て、各MISFETのソース・ドレイン領域を形成する
    第8の工程とを備えていることを特徴とする半導体装置
    の製造方法。
  31. 【請求項31】 半導体基板に第1MISFETと第2
    MISFETとを形成する半導体装置の製造方法であっ
    て、 上記各MISFET形成領域に第2MISFETのVT
    制御レベル濃度の第1導電型不純物を含む基板領域を形
    成する第1の工程と、 上記基板領域のうち第1MISFET形成領域のみにさ
    らに第1導電型不純物を導入して第1MISFETのV
    T制御レベル濃度の第1導電型不純物を含むチャネル領
    域を形成する第2の工程と、 上記各MISFET形成領域内の半導体基板上にゲート
    絶縁膜を形成する第3の工程と、 上記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する第4の工程
    と、 上記ゲート電極の各側面上に絶縁体サイドウォールを形
    成する第5の工程と、 上記ゲート電極及び上記各絶縁体サイドウォールをマス
    クとして高濃度の第2導電型不純物のイオンを半導体基
    板内に注入して、上記各MISFET形成領域にソース
    ・ドレイン領域を形成する第6の工程と、 上記各絶縁体サイドウォールを除去する第7の工程と、 上記ゲート電極及びソース・ドレイン領域の上にシリサ
    イド膜を形成する第8の工程と、 上記各シリサイド膜をマスクとして第1導電型不純物の
    イオンを半導体基板内に注入して、上記各MISFET
    形成領域にポケット領域を形成する第9の工程と、 上記各シリサイド層をマスクとして低濃度の第2導電型
    不純物のイオンを半導体基板中に注入して、上記ポケッ
    ト領域に囲まれる領域にLDD領域を形成する第10の
    工程とを備えていることを特徴とする半導体装置の製造
    方法。
  32. 【請求項32】 半導体基板に第1MISFETと第2
    MISFETとを形成する半導体装置の製造方法であっ
    て、 各MISFET形成領域に上記各MISFETのVT制
    御レベル濃度の第1導電型不純物を含む基板領域を形成
    する第1の工程と、 上記各MISFET形成領域内の半導体基板上にゲート
    絶縁膜を形成する第2の工程と、 上記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する第3の工程
    と、 上記ゲート電極をマスクとして上記各MISFET形成
    領域の上記半導体基板内に低濃度の第2導電型不純物イ
    オンを注入して、各MISFETの低濃度ソース・ドレ
    イン領域を形成する第4の工程と、 上記各ゲート電極をマスクとして上記各MISFET形
    成領域の上記半導体基板内に第1導電型不純物イオンを
    注入して、上記低濃度ソース・ドレイン領域と上記基板
    領域との間に各MISFETのポケット領域を形成する
    第5の工程と、 上記第1MISFET形成領域において、上記ゲート電
    極をマスクとして上記ポケット領域にさらに第1導電型
    不純物を注入して、上記第1MISFETのポケット領
    域における第1導電型キャリアの濃度を上記第2MIS
    FETのポケット領域における第1導電型キャリアの濃
    度よりも濃くする第6の工程と、 上記各MISFET形成領域の上記ゲート電極の各側面
    上に絶縁体サイドウォールを形成する第7の工程と、 上記各MISFET形成領域において、上記ゲート電極
    及び上記各絶縁体サイドウォールをマスクとして上記半
    導体基板内に高濃度の第2導電型不純物のイオンを注入
    して、各MISFETの高濃度ソース・ドレイン領域を
    形成する第8の工程とを備えていることを特徴とする半
    導体装置の製造方法。
  33. 【請求項33】 請求項32記載の半導体装置の製造方
    法において、 上記第6の工程では、上記半導体基板に垂直な方向に対
    して上記ゲート電極に対向する側に大きく傾いた方向か
    ら第1導電型不純物イオンを注入することを特徴とする
    半導体装置の製造方法。
  34. 【請求項34】 半導体基板に第1MISFETと第2
    MISFETとを形成する半導体装置の製造方法であっ
    て、 各MISFET形成領域に上記各MISFETのVT制
    御レベル濃度の第1導電型不純物を含む基板領域を形成
    する第1の工程と、 上記各MISFET形成領域内の半導体基板上にゲート
    絶縁膜を形成する第2の工程と、 上記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する第3の工程
    と、 上記各MISFET形成領域において、上記ゲート電極
    をマスクとして上記半導体基板内に低濃度の第2導電型
    不純物イオンを注入して、各MISFETの低濃度ソー
    ス・ドレイン領域を形成する第4の工程と、 上記各MISFET形成領域において、上記各ゲート電
    極をマスクとして上記半導体基板内に第1導電型不純物
    イオンを注入して、上記低濃度ソース・ドレイン領域と
    上記基板領域との間にポケット領域を形成する第5の工
    程と、 上記各MISFET形成領域の上記ゲート電極の各側面
    上に絶縁体サイドウォールを形成する第6の工程と、 上記各MISFET形成領域において、上記ゲート電極
    及び上記各絶縁体サイドウォールをマスクとして上記半
    導体基板内に高濃度の第2導電型不純物のイオンを注入
    して、高濃度ソース・ドレイン領域を形成する第7の工
    程と、 上記第1MISFET形成領域において、上記ゲート電
    極及び上記半導体基板内に窒素イオンを注入する第8の
    工程と、 上記半導体基板を熱処理することにより、少なくとも上
    記第2MISFETの上記ゲート電極中の第2導電型不
    純物を上記ゲート絶縁膜を通して上記半導体基板内に拡
    散させて、上記第2MISFETのポケット領域におけ
    る第1導電型キャリアの濃度を上記第1MISFETの
    ポケット領域における第1導電型キャリアの濃度よりも
    低くする第9の工程とを備えていることを特徴とする半
    導体装置の製造方法。
  35. 【請求項35】 請求項34記載の半導体装置の製造方
    法において、 上記第7の工程では、第2導電型不純物として、少なく
    ともボロンを含む不純物のイオンを注入することを特徴
    とする半導体装置の製造方法。
  36. 【請求項36】 半導体基板に第1MISFETと第2
    MISFETとを形成する半導体装置の製造方法であっ
    て、 各MISFET形成領域に上記各MISFETのVT制
    御レベル濃度の第1導電型不純物を含む基板領域を形成
    する第1の工程と、 上記各MISFET形成領域内の半導体基板上にゲート
    絶縁膜を形成する第2の工程と、 上記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する第3の工程
    と、 上記各MISFET形成領域において、上記ゲート電極
    をマスクとして上記半導体基板内に低濃度の第2導電型
    不純物イオンを注入して、低濃度ソース・ドレイン領域
    を形成する第4の工程と、 上記各MISFET形成領域において、上記各ゲート電
    極をマスクとして上記半導体基板内に第1導電型不純物
    イオンを注入して、上記低濃度ソース・ドレイン領域と
    上記基板領域との間にポケット領域を形成する第5の工
    程と、 上記各MISFET形成領域の上記ゲート電極の各側面
    上に絶縁体サイドウォールを形成する第6の工程と、 上記各MISFET形成領域において、上記ゲート電極
    及び上記各絶縁体サイドウォールをマスクとして上記半
    導体基板内に高濃度の第2導電型不純物のイオンを注入
    して、高濃度ソース・ドレイン領域を形成する第7の工
    程と、 上記第2MISFET形成領域において、上記ゲート電
    極及び上記半導体基板内に少なくともフッ素を含む不純
    物のイオンを注入する第8の工程と、 上記半導体基板を熱処理することにより、上記各MIS
    FETにおいて上記ゲート電極中の第2導電型不純物を
    上記ゲート絶縁膜を通して上記半導体基板内に拡散させ
    て、上記第2MISFETのポケット領域における第1
    導電型キャリアの濃度を上記第1MISFETのポケッ
    ト領域における第1導電型キャリアの濃度よりも薄くす
    る第9の工程とを備えていることを特徴とする半導体装
    置の製造方法。
  37. 【請求項37】 請求項36記載の半導体装置の製造方
    法において、 上記第7の工程では、第2導電型不純物として、少なく
    ともボロンを含む不純物のイオンを注入することを特徴
    とする半導体装置の製造方法。
  38. 【請求項38】 半導体基板に第1MISFETと第2
    MISFETとを形成する半導体装置の製造方法であっ
    て、 各MISFET形成領域に上記各MISFETのVT制
    御レベル濃度の第1導電型不純物を含む基板領域を形成
    する第1の工程と、 上記各MISFET形成領域内の半導体基板上にゲート
    絶縁膜を形成する第2の工程と、 上記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する第3の工程
    と、 上記各MISFET形成領域において、上記ゲート電極
    をマスクとして上記半導体基板内に低濃度の第2導電型
    不純物イオンを注入して、低濃度ソース・ドレイン領域
    を形成する第4の工程と、 上記各MISFET形成領域において、上記ゲート電極
    をマスクとして上記半導体基板内に第1導電型不純物イ
    オンを注入して、上記低濃度ソース・ドレイン領域と上
    記基板領域との間にポケット領域を形成する第5の工程
    と、 上記各MISFET形成領域において上記各ゲート電極
    の各側面上に絶縁体サイドウォールを形成する第6の工
    程と、 上記各MISFET形成領域において、上記ゲート電極
    及び上記各絶縁体サイドウォールをマスクとして上記半
    導体基板内に高濃度の第2導電型不純物のイオンを注入
    して、高濃度ソース・ドレイン領域を形成する第7の工
    程と、 上記第2MISFET形成領域において、上記ゲート電
    極及び上記半導体基板内に第2導電型不純物のイオンを
    注入する第8の工程と、 上記半導体基板を熱処理することにより、上記各ゲート
    電極中の第2導電型不純物を上記ゲート絶縁膜を通して
    上記半導体基板内に拡散させて、上記第2MISFET
    のポケット領域における第1導電型キャリアの濃度を上
    記第1MISFETのポケット領域における第1導電型
    キャリアの濃度よりも薄くする第9の工程とを備えてい
    ることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  39. 【請求項39】 請求項38記載の半導体装置の製造方
    法において、 上記第7の工程では、第2導電型不純物として、少なく
    ともボロンを含む不純物のイオンを注入することを特徴
    とする半導体装置の製造方法。
  40. 【請求項40】 半導体基板に第1MISFETと第2
    MISFETとを形成する半導体装置の製造方法であっ
    て、 各MISFET形成領域に上記各MISFETのVT制
    御レベル濃度の第1導電型不純物を含む基板領域を形成
    する第1の工程と、 上記各MISFET形成領域内の半導体基板上にゲート
    絶縁膜を形成する第2の工程と、 上記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する第3の工程
    と、 上記各ゲート電極の各側面上に絶縁体サイドウォールを
    形成する第4の工程と、 上記各MISFET形成領域において、上記ゲート電極
    及び上記各絶縁体サイドウォールをマスクとして上記半
    導体基板内に高濃度の第2導電型不純物のイオンを注入
    して、高濃度ソース・ドレイン領域を形成する第5の工
    程と、 上記各絶縁体サイドウォールを除去する第6の工程と、 上記各MISFET形成領域において、上記ゲート電極
    及び上記高濃度ソース・ドレイン領域の上にシリサイド
    膜を形成する第7の工程と、 上記各MISFET形成領域において、上記各シリサイ
    ド膜をマスクとして上記半導体基板内に低濃度の第2導
    電型不純物のイオンを注入して、上記高濃度ソース・ド
    レイン領域と上記基板領域との間に低濃度ソース・ドレ
    イン領域を形成する第8の工程と、 上記各MISFET形成領域において、上記各シリサイ
    ド膜をマスクとして上記半導体基板内に第1導電型不純
    物のイオンを注入して、上記低濃度ソース・ドレイン領
    域と基板領域との間にポケット領域を形成する第9の工
    程と、 上記第1MISFET形成領域において、上記各シリサ
    イド層をマスクとして上記半導体基板内に第1導電型不
    純物のイオンを注入して、上記第1MISFETのポケ
    ット領域における第1導電型キャリアの濃度を上記第2
    MISFETのポケット領域における第1導電型キャリ
    アの濃度よりも濃くする第10の工程とを備えているこ
    とを特徴とする半導体装置の製造方法。
  41. 【請求項41】 半導体基板内のnMISFET形成領
    域の上にゲート絶縁膜を形成する第1の工程と、 上記ゲート絶縁膜の上にゲート電極を形成する第2の工
    程と、 上記nMISFET形成領域内において、上記ゲート電
    極と上記半導体基板内の上記ゲート電極の両側方に位置
    する領域とに少なくともフッ素を含む不純物を導入する
    第3の工程と、 上記第3の工程の後又は前に、上記nMISFET形成
    領域内において、上記ゲート電極と上記半導体基板内の
    上記ゲート電極の両側方に位置する領域とに燐を導入す
    る第4の工程と、 上記第3及び第4の工程の後に、熱処理により上記燐を
    拡散,活性化させて、上記ゲート電極を低抵抗のn型ゲ
    ート電極にするとともに上記半導体基板内の上記ゲート
    電極の両側方に位置する領域にn型ソース・ドレイン領
    域を形成する第5の工程とを備えていることを特徴とす
    る半導体装置の製造方法。
  42. 【請求項42】 請求項41記載の半導体装置の製造方
    法において、 上記第2の工程の後、上記第3及び第4の工程の前に、
    上記ゲート電極と上記半導体基板内の上記ゲート電極の
    両側方に位置する領域とに低濃度のn型不純物を導入す
    る工程と、 上記低濃度のn型不純物を導入した後に上記ゲート電極
    の両側面上に絶縁体サイドウォールを形成する工程とを
    さらに備え、 上記第4の工程は、上記絶縁体サイドウォールをマスク
    として行われることを特徴とする半導体装置の製造方
    法。
  43. 【請求項43】 請求項41記載の半導体装置の製造方
    法において、 上記第1及び第2の工程では、上記半導体基板内のpM
    ISFET形成領域の上にも上記nMISFET形成領
    域におけると同じゲート絶縁膜及びゲート電極を形成
    し、 上記第2の工程の後上記第5の工程の前に、上記pMI
    SFET形成領域において、上記ゲート電極と上記半導
    体基板内の上記ゲート電極の両側方に位置する領域とに
    p型不純物を導入する工程をさらに備え、 上記第5の工程では、上記pMISFET形成領域内の
    p型不純物を拡散,活性化させて、上記ゲート電極を低
    抵抗のp型ゲート電極にするとともに上記半導体基板内
    の上記ゲート電極の両側方に位置する領域にp型ソース
    ・ドレイン領域を形成することを特徴とする半導体装置
    の製造方法。
  44. 【請求項44】 請求項43記載の半導体装置の製造方
    法において、 上記第2の工程の後、上記第3及び第4の工程の前に、 上記nMISFET形成領域において、上記ゲート電極
    と上記半導体基板内の上記ゲート電極の両側方に位置す
    る領域とに低濃度のn型不純物を導入する工程と、 上記pMISFET形成領域において、上記ゲート電極
    と上記半導体基板内の上記ゲート電極の両側方に位置す
    る領域とに低濃度のp型不純物を導入する工程と、 上記低濃度の不純物を導入した後に上記ゲート電極の両
    側面上に絶縁体サイドウォールを形成する工程とをさら
    に備え、 上記第4の工程及びp型不純物を導入する工程は、上記
    絶縁体サイドウォールをマスクとして行われることを特
    徴とする半導体装置の製造方法。
  45. 【請求項45】 請求項43又は44記載の半導体装置
    の製造方法において、 上記p型不純物は、ホウ素のみであることを特徴とする
    半導体装置の製造方法。
  46. 【請求項46】 請求項41記載の半導体装置の製造方
    法において、 上記第3の工程における少なくともフッ素を含む不純物
    の導入をフッ化ゲルマニウムイオンの注入により行い、 上記第4の工程を上記第3の工程の後に行い、かつ燐の
    導入を燐イオンの注入により行うことを特徴とする半導
    体装置の製造方法。
  47. 【請求項47】 請求項46記載の半導体装置の製造方
    法において、 上記第1及び第2の工程では、上記半導体基板内のpM
    ISFET形成領域の上にも上記nMISFET形成領
    域におけると同じゲート絶縁膜及びゲート電極を形成
    し、 上記第3の工程では、上記nMISFET形成領域のみ
    において、上記ゲート電極と上記半導体基板内の上記ゲ
    ート電極の両側方に位置する領域とにフッ化ゲルマニウ
    ムを導入し、 上記第3の工程の後上記第5の工程の前に、上記pMI
    SFET形成領域において、上記ゲート電極と上記半導
    体基板内の上記ゲート電極の両側方に位置する領域とに
    p型不純物イオンを注入する工程をさらに備え、 上記第5の工程では、上記pMISFET形成領域内の
    p型不純物を拡散,活性化させて、上記ゲート電極を低
    抵抗のp型ゲート電極にするとともに上記半導体基板内
    の上記ゲート電極の両側方に位置する領域にp型ソース
    ・ドレイン領域を形成することを特徴とする半導体装置
    の製造方法。
  48. 【請求項48】 請求項46記載の半導体装置の製造方
    法において、 上記第1及び第2の工程では、上記半導体基板内のpM
    ISFET形成領域の上にも上記nMISFET形成領
    域におけると同じゲート絶縁膜及びゲート電極を形成
    し、 上記第3の工程では、上記nMISFET形成領域及び
    上記pMISFET形成領域において、上記ゲート電極
    と上記半導体基板内の上記ゲート電極の両側方に位置す
    る領域とにフッ化ゲルマニウムを導入し、 上記第3の工程の後上記第5の工程の前に、上記pMI
    SFET形成領域において、上記ゲート電極と上記半導
    体基板内の上記ゲート電極の両側方に位置する領域とに
    p型不純物イオンを注入する工程をさらに備え、 上記第5の工程では、上記pMISFET形成領域内の
    p型不純物を拡散,活性化させて、上記ゲート電極を低
    抵抗のp型ゲート電極にするとともに上記半導体基板内
    の上記ゲート電極の両側方に位置する領域にp型ソース
    ・ドレイン領域を形成することを特徴とする半導体装置
    の製造方法。
  49. 【請求項49】 半導体基板に第1n,第2nMISF
    ETと第1,第2pMISFETとを形成するための半
    導体装置の製造方法であって、 第1,第2nMISFET形成領域の少なくともチャネ
    ル領域となる領域にp型不純物を同時に導入する第1の
    工程と、 第1,第2pMISFET形成領域の少なくともチャネ
    ル領域となる領域にn型不純物を同時に導入する第2の
    工程と、 上記第2nMISFET形成領域及び第1pMISFE
    T形成領域を覆い、上記第1nMISFET形成領域及
    び上記第2pMISFET形成領域を開口したマスク部
    材を用いて、上記第1nMISFET形成領域及び第2
    pMISFET形成領域の少なくともチャネル領域とな
    る領域にp型不純物を導入する第3の工程と、 上記各MISFET形成領域内の半導体基板上にゲート
    絶縁膜を形成する第4の工程と、 上記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する第5の工程
    と、 上記各nMISFET形成領域において、上記各ゲート
    電極をマスクとしてn型不純物イオンを上記半導体基板
    内に注入してn型ソース・ドレイン領域を形成する一
    方、上記pMISFET形成領域において、上記各ゲー
    ト電極をマスクとしてp型不純物イオンを上記半導体基
    板内に注入してp型ソース・ドレイン領域を形成する第
    6の工程とを備えていることを特徴とする半導体装置の
    製造方法。
  50. 【請求項50】 半導体基板に第1n,第2nMISF
    ETと第1,第2pMISFETとを形成するための半
    導体装置の製造方法であって、 第1,第2nMISFET形成領域の少なくともチャネ
    ル領域となる領域にp型不純物を同時に導入する第1の
    工程と、 第1,第2pMISFET形成領域の少なくともチャネ
    ル領域となる領域にn型不純物を同時に導入する第2の
    工程と、 上記第1nMISFET形成領域及び第2pMISFE
    T形成領域を覆い、上記第2nMISFET形成領域及
    び上記第1pMISFET形成領域を開口したマスク部
    材を用いて、上記第2nMISFET形成領域及び第1
    pMISFET形成領域の少なくともチャネル領域とな
    る領域にn型不純物を導入する第3の工程と、 上記各MISFET形成領域内の半導体基板上にゲート
    絶縁膜を形成する第4の工程と、 上記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する第5の工程
    と、 上記各nMISFET形成領域において、上記各ゲート
    電極をマスクとしてn型不純物イオンを上記半導体基板
    内に注入してn型ソース・ドレイン領域を形成する一
    方、上記pMISFET形成領域において、上記各ゲー
    ト電極をマスクとしてp型不純物イオンを上記半導体基
    板内に注入してp型ソース・ドレイン領域を形成する第
    6の工程とを備えていることを特徴とする半導体装置の
    製造方法。
  51. 【請求項51】 半導体基板に第1MISFETと第2
    MISFETとを形成する半導体装置の製造方法であっ
    て、 各MISFET形成領域の少なくともチャネル領域とな
    る領域に第1導電型不純物を導入する第1の工程と、 上記各MISFET形成領域内の半導体基板上に酸化膜
    からなるゲート絶縁膜を形成する第2の工程と、 上記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する第3の工程
    と、 上記第2MISFET形成領域において、少なくともゲ
    ート電極内に窒素を導入する第3の工程と、 熱処理により、上記第2MISFETのゲート電極中の
    窒素を拡散させて、上記ゲート絶縁膜を窒化酸化膜にす
    る第4の工程と、 上記各MISFET形成領域において、上記各ゲート電
    極をマスクとして不純物イオンを上記半導体基板内に注
    入してソース・ドレイン領域を形成する第5の工程とを
    備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
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