JPH10212552A - 耐摩耗性、耐腐食性に優れた製鉄熱間圧延設備用部材 - Google Patents

耐摩耗性、耐腐食性に優れた製鉄熱間圧延設備用部材

Info

Publication number
JPH10212552A
JPH10212552A JP3325797A JP3325797A JPH10212552A JP H10212552 A JPH10212552 A JP H10212552A JP 3325797 A JP3325797 A JP 3325797A JP 3325797 A JP3325797 A JP 3325797A JP H10212552 A JPH10212552 A JP H10212552A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
base material
molten metal
hot rolling
resistance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3325797A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiromichi Saito
弘道 斉藤
Shinichi Sakamoto
眞一 坂本
Taira Ri
平 李
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujiko KK
Fujikoo KK
Original Assignee
Fujiko KK
Fujikoo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujiko KK, Fujikoo KK filed Critical Fujiko KK
Priority to JP3325797A priority Critical patent/JPH10212552A/ja
Publication of JPH10212552A publication Critical patent/JPH10212552A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Reduction Rolling/Reduction Stand/Operation Of Reduction Machine (AREA)
  • Winding, Rewinding, Material Storage Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ラッパーロール、ピンチロール、マンドレル
及び鋼板搬送ローラなどに使用する耐摩耗性、耐腐食性
に優れた製鉄熱間圧延設備用部材を提供する。 【解決手段】 〔C〕0.5〜2.5重量%、〔Si〕
0.3〜3.0重量%、〔Mn〕0.3〜3.0重量
%、〔Cr〕2.0〜15.0重量%、〔Mo〕2.0
〜15.0重量%、〔V〕2.0〜15.0重量%、
〔W〕10.0重量%以下、〔Co〕10.0重量%以
下、及び〔Nb〕0.5〜5.0重量%、〔Ti〕0.
5〜5.0重量%、〔Zr〕0.5〜5.0重量%から
なる群から選ばれた1種又は2種以上、残部は実質的に
Fe及び不可避的不純物元素からなると共に、−2≦C
−(0.06Cr+0.063Mo+0.033W+
0.236V+0.129Nb+0.251Ti+0.
132Zr)≦0を満足する成分を有する溶湯19を、
母材17外表面に凝固して肉盛層21を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製鉄熱間圧延設備
用ラッパーロール、ピンチロール、マンドレル及び鋼板
搬送ローラ等に使用する耐摩耗性、耐腐食性に優れた製
鉄熱間圧延設備用部材に関する。
【0002】
【従来の技術】製鉄熱間圧延設備におけるコイラー用ラ
ッパーロール、ピンチロール、マンドレル及び鋼板搬送
ローラは、鋼板が断続的に圧延されることにより、鋼板
先端部の衝突力を受ける。また、一般にこれらのロール
の周速度は、鋼板の巻き取り形状を良くするため、更
に、ミスコイルのような操業トラブルを防止し、初期巻
き付きを良くするために、鋼板との速度差を持たせてお
り、その結果、ロールと鋼板との間でスリップが発生し
ている。また、圧延機スタンドの前後に配置された鋼板
搬送ローラには、鋼板が圧延機に噛み込む時や反転する
時に、鋼板との間で激しいスリップが発生する。一方、
高温の鋼板表面に発生したスケールを圧延前に除去する
ための高圧水や、鋼板及びロール表面を冷却するための
冷却水がこれらのロール表面に掛かる構造となってい
る。これらのロール表面の耐摩耗性、耐腐食性を向上さ
せるため、「わが国における最近のホットストリップの
製造技術」(日本鉄鋼協会、昭和62年8月10日発
行)、頁295、296に示されているように、〔C
r〕<13重量%以下、主として3〜7重量%CrのC
r系の肉盛材料が採用されてきた。具体的には、構造用
鋼、鋳鋼などからなるロール母材の表面に〔Cr〕の他
に、〔C〕<0.4重量%、〔Mo、V〕<10.0重
量%の組成からなる、鉄系材料を溶接肉盛法により被覆
した後、熱処理により硬度をHs>70とするか又は、
同組成の鉄系材料を鋳掛けする方法により硬化層を被覆
していた。
【0003】本出願人が提案した特開平3−23810
7号公報において、〔C〕0.3〜1.0重量%、〔S
i〕0.3〜1.5重量%、〔Mn〕0.3〜1.5重
量%、〔Ni〕0.5〜3.0重量%、〔Cr〕3.0
〜8.0重量%、〔Mo〕0.5〜3.0重量%、V、
Nb及びWの中の1種又は2種以上0.1〜1.0重量
%を含有した溶湯を、母材の外表面に溶着させながら冷
却により凝固させる特殊鋳掛け法により製造されたコイ
ラー用鉄基ロール材は、従来のCr系の溶接肉盛ロール
に比べて、2.5倍以上の耐久性を有している。また、
特願平7−256836号において、特殊鋳掛け法によ
り〔C〕0.5〜2.0重量%、〔Si〕0.1〜1.
5重量%、〔Mn〕0.1〜1.5重量%、〔Cr〕
2.0〜15.0重量%、〔Mo〕2.0〜10.0重
量%、〔V〕1.0〜8.0重量%、〔W〕1.0〜1
0.0重量%、〔Co〕1.0〜15.0重量%を含有
した鉄基耐摩耗、耐腐食ロール材が提案され、耐摩耗性
と耐腐食性の向上が図られた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
鋼の熱間圧延ラインにおいては、高圧化、高速連続圧延
化、ステンレス鋼や珪素鋼のような難圧延材の増加、或
いは製品の薄物化が進み、この結果ロールの使用条件が
苛酷化の一途を辿っている。例えば、コイラー用ラッパ
ーロール、ピンチロール、マンドレル及び鋼板搬送ロー
ラについて、摩耗、腐食が激しく、耐摩耗性、耐腐食性
向上のニーズが高くなっている。上記摩耗、腐食が増大
することによって、鋼板製品の表面性状が悪化すると共
に、ロールの取り替え頻度も多くなり圧延効率が低下し
ている。前記刊行物に記載されたCr系の肉盛材料にお
いては必ずしも、熱間圧延ラインの益々高くなってきた
要求レベルを満足するものではなく、前記特開平3−2
38107号公報及び特願平7−256836号に記載
されている特殊鋳掛け法により製造されたロール材にお
いても、更に耐久性を向上する必要がある。
【0005】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
ので、耐摩耗性、耐腐食性を高位の水準に高め、耐久性
の優れたコイラー用ラッパーロール、ピンチロール、マ
ンドレル及び鋼板搬送ローラなどに使用する耐摩耗性、
耐腐食性に優れた製鉄熱間圧延設備用部材を提供するこ
とを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う請求項1
記載の耐摩耗性、耐腐食性に優れた製鉄熱間圧延設備用
部材は、電磁誘導加熱コイルを備えた耐火性加熱型の下
部に、冷却型を一体的に配置した組み合わせモールドを
用い、該組み合わせモールドの内部に鋼を素材とする中
実又は、中空の母材を同心垂直に挿入し、該母材の外周
の環状空隙部に、別途準備した溶湯を注入し、前記母材
を断続的に降下させて、該母材外表面に前記溶湯を溶着
させながら、冷却により凝固せしめて、該母材の外周に
肉盛層を形成し、所定の熱処理、機械加工を行なって製
造される耐摩耗性、耐腐食性に優れた製鉄熱間圧延設備
用部材であって、前記溶湯の成分は、〔C〕0.5〜
2.5重量%、〔Si〕0.3〜3.0重量%、〔M
n〕0.3〜3.0重量%、〔Cr〕2.0〜15.0
重量%、〔Mo〕2.0〜15.0重量%、〔V〕2.
0〜15.0重量%、〔W〕10.0重量%以下、〔C
o〕10.0重量%以下、及び〔Nb〕0.5〜5.0
重量%、〔Ti〕0.5〜5.0重量%、〔Zr〕0.
5〜5.0重量%からなる群から選ばれた1種又は2種
以上、残部は実質的にFe及び不可避的不純物元素から
なると共に、−2≦C−(0.06Cr+0.063M
o+0.033W+0.236V+0.129Nb+
0.251Ti+0.132Zr)≦0の式を満足す
る。
【0007】請求項2記載の耐摩耗性、耐腐食性に優れ
た製鉄熱間圧延設備用部材は、電磁誘導加熱コイルを備
えた耐火性加熱型の下部に、冷却型を一体的に配置した
組み合わせモールドを用い、該組み合わせモールドの内
部に鋼を素材とする中実又は、中空の母材を同心垂直に
挿入し、該母材の外周の環状空隙部に、別途準備した溶
湯を注入し、前記母材を断続的に降下させて、該母材外
表面に前記溶湯を溶着させながら、冷却により凝固せし
めて、該母材の外周に肉盛層を形成し、所定の熱処理、
機械加工を行なって製造される耐摩耗性、耐腐食性に優
れた製鉄熱間圧延設備用部材であって、前記溶湯の成分
は、〔C〕0.5〜2.5重量%、〔Si〕0.3〜
3.0重量%、〔Mn〕0.3〜3.0重量%、〔C
r〕2.0〜15.0重量%、〔Mo〕2.0〜15.
0重量%、〔V〕2.0〜15.0重量%、〔W〕1
0.0重量%以下、〔Co〕10.0重量%以下、〔N
i〕0.5〜10.0重量%、残部は実質的にFe及び
不可避的不純物元素からなると共に、−2≦C−(0.
06Cr+0.063Mo+0.033W+0.236
V)≦0の式を満足する。
【0008】そして、請求項3記載の耐摩耗性、耐腐食
性に優れた製鉄熱間圧延設備用部材は、電磁誘導加熱コ
イルを備えた耐火性加熱型の下部に、冷却型を一体的に
配置した組み合わせモールドを用い、該組み合わせモー
ルドの内部に鋼を素材とする中実又は、中空の母材を同
心垂直に挿入し、該母材の外周の環状空隙部に、別途準
備した溶湯を注入し、前記母材を断続的に降下させて、
該母材外表面に前記溶湯を溶着させながら、冷却により
凝固せしめて、該母材の外周に肉盛層を形成し、所定の
熱処理、機械加工を行なって製造される耐摩耗性、耐腐
食性に優れた製鉄熱間圧延設備用部材であって、前記溶
湯の成分は、〔C〕0.5〜2.5重量%、〔Si〕
0.3〜3.0重量%、〔Mn〕0.3〜3.0重量
%、〔Cr〕2.0〜15.0重量%、〔Mo〕2.0
〜15.0重量%、〔V〕2.0〜15.0重量%、
〔W〕10.0重量%以下、〔Co〕10.0重量%以
下、〔Ni〕0.5〜10.0重量%、及び〔Nb〕
0.5〜5.0重量%、〔Ti〕0.5〜5.0重量
%、〔Zr〕0.5〜5.0重量%からなる群から選ば
れた1種又は2種以上、残部は実質的にFe及び不可避
的不純物元素からなると共に、−2≦C−(0.06C
r+0.063Mo+0.033W+0.236V+
0.129Nb+0.251Ti+0.132Zr)≦
0の式を満足する。
【0009】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。ここに、図1は本発明の実施の形態
に係る耐摩耗性、耐腐食性に優れた製鉄熱間圧延設備用
部材の製造に好適に使用できる組み合わせモールドの概
略説明図、図2は発明材及び比較材を使用したロールの
単位面積当たり摩耗減量を示すグラフ、図3は発明材及
び比較材を使用したロールの単位面積当たり腐食減量を
示すグラフである。まず、本発明の実施の形態に係る耐
摩耗性、耐腐食性に優れた製鉄熱間圧延設備用部材の製
造に好適に使用できる組み合わせモールド10は、図1
に示すように、電磁誘導加熱コイル11が内部に配置さ
れた中空環状の耐火枠12を備えた耐火性加熱型13
と、耐火性加熱型13の下部に配置され、これと同軸の
内孔を有する冷却型14とを有し、その下部には図示し
ない油圧シリンダーなどの昇降手段によって上下し、上
部に搭載されたロールからなる製鉄熱間圧延設備用部材
15を徐々に降下させる昇降装置16を備えている。
【0010】この組み合わせモールド10を使用して、
製鉄熱間圧延設備用部材15を製造する場合には、組み
合わせモールド10の中央に中実又は、中空の母材17
を挿入する。次いで、別途溶解炉18にて準備した外層
になる肉盛材の溶湯19を、前記母材17と組み合わせ
モールド10との環状空隙部20に、電磁誘導加熱コイ
ル11に電流を流しながら注入し、母材17を断続的に
降下させる。これによって、溶湯19は母材17の表面
に溶着しながら、前記冷却型14によって順次冷却凝固
され肉盛層21が特殊な鋳掛け法により形成される。こ
の後、製品より少し大きい外径寸法に機械加工し、次に
所定の焼入れ、焼き戻し等の熱処理を行い、更に製品寸
法への機械加工を行って製鉄熱間圧延設備用部材15が
製造される。この場合において、母材17の外周に予め
ホウケイ酸ガラス皮膜22を形成させておき、組み合わ
せモールド10の上に配置された予熱用の電磁誘導加熱
コイル23によって母材17を予熱すると共に、ホウケ
イ酸ガラス皮膜22が溶融焼成されることによって、母
材17の表面を清浄に保ちながら肉盛層21を形成でき
る。なお、図1において、24は芯出し装置、25は溶
融部、26は溶融フラックスを示す。
【0011】ここで、前記肉盛層21の成分、即ち溶湯
19の成分としては、第1の実施の形態として、〔C〕
0.5〜2.5重量%、〔Si〕0.3〜3.0重量
%、〔Mn〕0.3〜3.0重量%、〔Cr〕2.0〜
15.0重量%、〔Mo〕2.0〜15.0重量%、
〔V〕2.0〜15.0重量%、〔W〕10.0重量%
以下、〔Co〕10.0重量%以下、及び〔Nb〕0.
5〜5.0重量%、〔Ti〕0.5〜5.0重量%、
〔Zr〕0.5〜5.0重量%からなる群から選ばれた
1種又は2種以上、残部は実質的にFe及び不可避的不
純物元素からなると共に、−2≦C−(0.06Cr+
0.063Mo+0.033W+0.236V+0.1
29Nb+0.251Ti+0.132Zr)≦0の式
を満足する。
【0012】また、第2の実施の形態として、前記肉盛
層21の成分、即ち溶湯19の成分は、〔C〕0.5〜
2.5重量%、〔Si〕0.3〜3.0重量%、〔M
n〕0.3〜3.0重量%、〔Cr〕2.0〜15.0
重量%、〔Mo〕2.0〜15.0重量%、〔V〕2.
0〜15.0重量%、〔W〕10.0重量%以下、〔C
o〕10.0重量%以下、〔Ni〕0.5〜10.0重
量%、残部は実質的にFe及び不可避的不純物元素から
なると共に、−2≦C−(0.06Cr+0.063M
o+0.033W+0.236V)≦0の式を満足す
る。
【0013】さらに、第3の実施の形態として、前記肉
盛層21の成分、即ち溶湯19の成分は、〔C〕0.5
〜2.5重量%、〔Si〕0.3〜3.0重量%、〔M
n〕0.3〜3.0重量%、〔Cr〕2.0〜15.0
重量%、〔Mo〕2.0〜15.0重量%、〔V〕2.
0〜15.0重量%、〔W〕10.0重量%以下、〔C
o〕10.0重量%以下、〔Ni〕0.5〜10.0重
量%、及び〔Nb〕0.5〜5.0重量%、〔Ti〕
0.5〜5.0重量%、〔Zr〕0.5〜5.0重量%
からなる群から選ばれた1種又は2種以上、残部は実質
的にFe及び不可避的不純物元素からなると共に、−2
≦C−(0.06Cr+0.063Mo+0.033W
+0.236V+0.129Nb+0.251Ti+
0.132Zr)≦0の式を満足する。
【0014】次に前記肉盛層21の成分、即ち溶湯19
の成分を上記のように限定した理由について説明する。 (1)C:0.5〜2.5重量% CはCr、Mo、W、V、Nb、Ti、ZrなどとM23
6 、M2 C、MC型の極めて硬い炭化物を形成し、耐
摩耗性を向上させる。また、基地に固溶し、焼入れ性を
向上させると共に、基地の強度、硬さを向上させる。
0.5重量%未満では、炭化物が減少して耐摩耗性が低
下し、また、2.5重量%を越えると、ネット状の炭化
物が多くなり、靱性が低下すると共に、Cr炭化物も増
え、基地への固溶Crが減少し、耐腐食性が低下するた
めである。 (2)Si:0.3〜3.0重量% Siは脱酸剤として必要であるが、0.3重量%未満で
は効果がなく、また、3.0重量%を越えると脱酸効果
も飽和するため、下限、上限をそれぞれ0.3、3.0
重量%とした。
【0015】(3)Mn:0.3〜3.0重量% Mnは脱酸剤として働くほか、不純物として混入する有
害なSをMnSとして固定するが、0.3重量%未満で
は効果がなく、3.0重量%を越えてもそれ以上の効果
はないため、下限を0.3重量%、上限を3.0重量%
とした。 (4)Cr:2.0〜15.0重量% Crは基地に固溶し、硬化性を高めると共に、耐腐食
性、耐酸化性を向上させるのに必要であるが、2.0重
量%未満ではその効果が小さく、15.0重量%を越え
ると耐焼付き性を劣化させ、粗大なCr炭化物が生成す
るため、下限、上限をそれぞれ2.0重量%、15.0
重量%とした。特に、耐腐食性を高めるためには7.5
重量%以上添加することが好ましい。
【0016】(5)Mo:2.0〜15.0重量% Moは一部基地に固溶し、焼戻し軟化抵抗を高め、また
Cと結びついて耐摩耗性に有効なM2 C炭化物を形成す
る。2.0重量%未満ではその効果が小さく、15.0
重量%を越えるとM2 C炭化物が顕著に粗大化すること
から、下限、上限をそれぞれ2.0重量%、15.0重
量%とした。 (6)V:2.0〜15.0重量% Vは最も炭化物の形成傾向が大きくMC炭化物を形成
し、2.0重量%未満ではMCの量が少なく、耐摩耗性
が十分得られず、またM2 C炭化物の粗大化を抑制でき
ず、15.0重量%を越えるとMC炭化物が粗大化し、
機械的性質を低下させることから、下限を2.0重量
%、上限を15.0重量%とした。特に、MC炭化物の
効果を高めるために5.0重量%以上添加することが好
ましい。 (7)W:10.0重量%以下 Wは、Moと同じように、焼戻し軟化抵抗を高めると共
に、耐摩耗性に有効なM2 C炭化物を形成するが、1
0.0重量%を越えるとM2 C炭化物が粗大化すること
から、上限を10.0重量%とした。
【0017】(8)Co:10.0重量%以下 Coは、大部分が基地に固溶し、基地強度を向上させ、
特に、高温でその効果が大きい。MC炭化物、M2 C炭
化物などの極めて硬く、耐摩耗性に有効な炭化物が存在
する場合、基地も炭化物にバランスした硬さ、強度がな
いと炭化物の周囲の基地が極めて短時間で摩耗し肌荒れ
をもたらすので、炭化物に見合った基地の強度が必要と
なる。また、Coは耐腐食性に極めて有効である。上限
を10.0重量%としたのは、それを越えて加えても効
果がなく、また高価なためである。 (9)Ni:0.5〜10.0重量% Niは、大部分が基地に固溶し、基地の強度、硬さ、耐
腐食性及び材料の焼入れ性を向上させるが、0.5重量
%未満ではその効果がなく、10.0重量%を越えると
残留オーステナイトの増加がもたらされ、割れや肌荒れ
などの問題が生じることがあり、下限、上限をそれぞれ
0.5重量%、10.0重量%とした。
【0018】(10)Nb:0.5 〜5.0 重量%、Ti:
0.5 〜5.0 重量%、Zr:0.5 〜5.0 重量%の中の1種
又は2種以上 Nb、Ti、Zrを適量添加することがロール性能を向
上させるのに有効である。Nb、Ti、ZrはVと同様
Cと結合し易く、MC炭化物を形成することによって、
耐摩耗性を向上させる。Nb、Ti、Zrの効果が実質
的に認められる下限として0.5重量%とした。5.0
重量%を越えるとMC炭化物が顕著に粗大化することか
ら、上限を5.0重量%とした。また、Nb、Ti、Z
rは共に高価なものであるため、コストとの関連で、実
用的にはNb、Ti、Zrの中の1種又は2種以上とし
た。
【0019】本実施の形態の特徴は、前記各合金元素の
含有量を限定すると共に、第1、第3の実施の形態にお
いては、−2≦C−(0.06Cr+0.063Mo+
0.033W+0.236V+0.129Nb+0.2
51Ti+0.132Zr)≦0の式を満足すること、
及び第2の実施の形態においては、−2≦C−(0.0
6Cr+0.063Mo+0.033W+0.236
V)≦0の式を満足することにある。上記( )内の値
は各合金元素の炭化物として化学量論的にバランスする
C量(%)である。Cr、Mo、W、V、Nb、Ti及
びZrは、それぞれM236 、M2 C、M2 C、MC、
MC、MC、MCを形成するので、これらの炭化物の種
類及び各合金元素の原子量によって、表1に示すような
炭化物係数(前記式の各合金元素の定数)が得られる。
【0020】
【表1】
【0021】第1、第3の実施の形態における〔C−
(0.06Cr+0.063Mo+0.033W+0.
236V+0.129Nb+0.251Ti+0.13
2Zr)〕の値及び第2の実施の形態における〔C−
(0.06Cr+0.063Mo+0.033W+0.
236V) 〕の値が0より大きい場合は、耐腐食性が十
分得られず、耐肌荒れ性が劣化し、一方前記〔〕の値が
−2より小さい場合は、焼入れ性の低下によって、基地
の強化及び耐摩耗性が十分得られず、耐焼付き性も劣化
するため好ましくない。更には、従来、コイラー用ロー
ル、マンドレル及び鋼板搬送ローラは主として、溶接肉
盛層法により造られていたが、本実施の形態の前記化学
組成の肉盛層のように、C、Cr、Mo、Vの含有量が
高い合金材料の場合では、溶接性が悪く、溶接時に予熱
温度、層間温度などに細心の注意を払っても、なお、割
れ発生の懸念があり、安定した品質を得ることは困難
で、しかも、歩留まり、能率も低くならざるを得なかっ
た。
【0022】前記したような電磁誘導加熱法を利用した
製鉄熱間圧延設備用部材においては、割れ発生の懸念も
なく、いわば、1パスで極めて厚い肉盛層を得ることが
可能で、高能率で安価に複合材を得ることができる。ま
た、冷却型による外表面からの急冷と、低温の母材によ
る内部からの抜熱により急速に凝固冷却するため、成分
組成、金属組成とも極めて均一で、Cr、Mo、V、
W、Nb、Ti、Zrなどの炭化物も均一微細で分布
し、十分な耐摩耗性、耐腐食性を有する製鉄熱間圧延設
備用部材となる。
【0023】
【実施例】以下に、更に本実施の形態に係る耐摩耗性、
耐腐食性に優れた製鉄熱間圧延設備用部材の作用、効果
を確認するために行った実施例を、比較例と共に説明す
る。表2は外層材(肉盛層)の成分組成、硬さ及び製造
法を示したもので、比較材A、B、C及びDは従来から
のコイラー用ロール及び鋼板搬送ローラに適用されてい
る代表的な材料である。発明材E、F及びGは本実施の
形態の代表的な3例である。これらの比較材、及び発明
材は、いずれも所定の焼入れ、焼戻し処理を施した後、
使用層である外層から、それぞれの試験片を切り出し、
摩耗試験及び腐食試験を行い、耐摩耗性及び耐腐食性を
評価した。
【0024】
【表2】
【0025】(摩耗試験結果)摩耗試験は、150rp
mで回転する直径305mm、粒度#220のエメリー
ペーパーに、9kgfの荷重で10mm角の試験片をエ
メリーペーパーの中心より60mmの箇所に押し付け、
10分後の摩耗減量を測定し、摩耗減量を試験面の面積
で除した値を求め、耐摩耗性を評価した。図2は摩耗試
験結果を示したもので、本発明材は比較材に比べて、極
めて優れた耐摩耗性を有することが判明した。 (腐食試験結果)腐食試験は、コンデンサーを有する三
角フラスコの中に、熱間圧延設備用冷却水を入れて、6
0℃に保持し、長さ20mm×幅15mm×厚み3mm
の試験片を浸漬することによって、試験片の表面を腐食
させ、100時間経過した後に、表面の腐食生成物を除
去し、腐食減量を試験片の面積で除した値を求め、耐腐
食性を評価した。図3は腐食試験結果を示したもので、
本発明材は比較材Dなみで、極めて優れた耐腐食性を有
することが判明した。これらの試験結果から、本発明材
は従来ロール材に比較して、2倍以上の極めて優れた耐
摩耗性を有し、かつ耐腐食性も従来ロール材と同等以上
で、総合的に際立った特性を有することが明らかであ
る。なお、発明材E、F、Gの〔C−(0.06Cr+
0.063Mo+0.033W+0.236V+0.1
29Nb+0.251Ti+0.132Zr)〕の値は
それぞれ、−1.059、−1.054、−0.907
である。
【0026】
【発明の効果】請求項1〜3記載の耐摩耗性、耐腐食性
に優れた製鉄熱間圧延設備用部材においては、特殊鋳掛
け法により基地中に微細なCr、Mo、V、W、必要に
応じてNb、Ti、Zrなどの炭化物及び、これらの成
分の複合の炭化物を均一に分散させているため、以下の
効果がある。まず、硬いMC炭化物の量が多いこと、及
びCo、必要に応じてNiが基地を強化することによっ
て、本発明材は、硬度がHs85以上で、優れた耐摩耗
性を有する。また、基地が選択的に腐食され、比較的大
きな晶出炭化物が欠落するような腐食摩耗形態が発生し
にくいため、高硬度の炭化物が安定的に表面に付与さ
れ、耐腐食性に優れている。その結果、本発明材はロー
ルの寿命を著しく向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る耐摩耗性、耐腐食性
に優れた製鉄熱間圧延設備用部材の製造に好適に使用で
きる組み合わせモールドの概略説明図である。
【図2】発明材及び比較材を使用したロールの単位面積
当たり摩耗減量を示すグラフである。
【図3】発明材及び比較材を使用したロールの単位面積
当たり腐食減量を示すグラフである。
【符号の説明】
10 組み合わせモールド 11 電磁誘導
加熱コイル 12 耐火枠 13 耐火性加
熱型 14 冷却型 15 製鉄熱間
圧延設備用部材 16 昇降装置 17 母材 18 溶解炉 19 溶湯 20 環状空隙部 21 肉盛層 22 ホウケイ酸ガラス皮膜 23 予熱用の
電磁誘導加熱コイル 24 芯出し装置 25 溶融部 26 溶融フラックス
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B22D 11/00 B22D 11/00 N 19/16 19/16 E C22C 38/38 C22C 38/38

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電磁誘導加熱コイルを備えた耐火性加熱
    型の下部に、冷却型を一体的に配置した組み合わせモー
    ルドを用い、該組み合わせモールドの内部に鋼を素材と
    する中実又は、中空の母材を同心垂直に挿入し、該母材
    の外周の環状空隙部に、別途準備した溶湯を注入し、前
    記母材を断続的に降下させて、該母材外表面に前記溶湯
    を溶着させながら、冷却により凝固せしめて、該母材の
    外周に肉盛層を形成し、所定の熱処理、機械加工を行な
    って製造される耐摩耗性、耐腐食性に優れた製鉄熱間圧
    延設備用部材であって、 前記溶湯の成分は、〔C〕0.5〜2.5重量%、〔S
    i〕0.3〜3.0重量%、〔Mn〕0.3〜3.0重
    量%、〔Cr〕2.0〜15.0重量%、〔Mo〕2.
    0〜15.0重量%、〔V〕2.0〜15.0重量%、
    〔W〕10.0重量%以下、〔Co〕10.0重量%以
    下、及び〔Nb〕0.5〜5.0重量%、〔Ti〕0.
    5〜5.0重量%、〔Zr〕0.5〜5.0重量%から
    なる群から選ばれた1種又は2種以上、残部は実質的に
    Fe及び不可避的不純物元素からなると共に、−2≦C
    −(0.06Cr+0.063Mo+0.033W+
    0.236V+0.129Nb+0.251Ti+0.
    132Zr)≦0の式を満足することを特徴とする耐摩
    耗性、耐腐食性に優れた製鉄熱間圧延設備用部材。
  2. 【請求項2】 電磁誘導加熱コイルを備えた耐火性加熱
    型の下部に、冷却型を一体的に配置した組み合わせモー
    ルドを用い、該組み合わせモールドの内部に鋼を素材と
    する中実又は、中空の母材を同心垂直に挿入し、該母材
    の外周の環状空隙部に、別途準備した溶湯を注入し、前
    記母材を断続的に降下させて、該母材外表面に前記溶湯
    を溶着させながら、冷却により凝固せしめて、該母材の
    外周に肉盛層を形成し、所定の熱処理、機械加工を行な
    って製造される耐摩耗性、耐腐食性に優れた製鉄熱間圧
    延設備用部材であって、 前記溶湯の成分は、〔C〕0.5〜2.5重量%、〔S
    i〕0.3〜3.0重量%、〔Mn〕0.3〜3.0重
    量%、〔Cr〕2.0〜15.0重量%、〔Mo〕2.
    0〜15.0重量%、〔V〕2.0〜15.0重量%、
    〔W〕10.0重量%以下、〔Co〕10.0重量%以
    下、〔Ni〕0.5〜10.0重量%、残部は実質的に
    Fe及び不可避的不純物元素からなると共に、−2≦C
    −(0.06Cr+0.063Mo+0.033W+
    0.236V)≦0の式を満足することを特徴とする耐
    摩耗性、耐腐食性に優れた製鉄熱間圧延設備用部材。
  3. 【請求項3】 電磁誘導加熱コイルを備えた耐火性加熱
    型の下部に、冷却型を一体的に配置した組み合わせモー
    ルドを用い、該組み合わせモールドの内部に鋼を素材と
    する中実又は、中空の母材を同心垂直に挿入し、該母材
    の外周の環状空隙部に、別途準備した溶湯を注入し、前
    記母材を断続的に降下させて、該母材外表面に前記溶湯
    を溶着させながら、冷却により凝固せしめて、該母材の
    外周に肉盛層を形成し、所定の熱処理、機械加工を行な
    って製造される耐摩耗性、耐腐食性に優れた製鉄熱間圧
    延設備用部材であって、 前記溶湯の成分は、〔C〕0.5〜2.5重量%、〔S
    i〕0.3〜3.0重量%、〔Mn〕0.3〜3.0重
    量%、〔Cr〕2.0〜15.0重量%、〔Mo〕2.
    0〜15.0重量%、〔V〕2.0〜15.0重量%、
    〔W〕10.0重量%以下、〔Co〕10.0重量%以
    下、〔Ni〕0.5〜10.0重量%、及び〔Nb〕
    0.5〜5.0重量%、〔Ti〕0.5〜5.0重量
    %、〔Zr〕0.5〜5.0重量%からなる群から選ば
    れた1種又は2種以上、残部は実質的にFe及び不可避
    的不純物元素からなると共に、−2≦C−(0.06C
    r+0.063Mo+0.033W+0.236V+
    0.129Nb+0.251Ti+0.132Zr)≦
    0の式を満足することを特徴とする耐摩耗性、耐腐食性
    に優れた製鉄熱間圧延設備用部材。
JP3325797A 1997-01-30 1997-01-30 耐摩耗性、耐腐食性に優れた製鉄熱間圧延設備用部材 Pending JPH10212552A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3325797A JPH10212552A (ja) 1997-01-30 1997-01-30 耐摩耗性、耐腐食性に優れた製鉄熱間圧延設備用部材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3325797A JPH10212552A (ja) 1997-01-30 1997-01-30 耐摩耗性、耐腐食性に優れた製鉄熱間圧延設備用部材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10212552A true JPH10212552A (ja) 1998-08-11

Family

ID=12381464

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3325797A Pending JPH10212552A (ja) 1997-01-30 1997-01-30 耐摩耗性、耐腐食性に優れた製鉄熱間圧延設備用部材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10212552A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017086281A1 (ja) 2015-11-17 2017-05-26 株式会社フジコー 熱延プロセス用ロールおよびその製造方法
CN107891138A (zh) * 2017-11-09 2018-04-10 常州凯达重工科技有限公司 一种用于制作金属瓦楞板的超高钒高速钢压辊的制备工艺

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017086281A1 (ja) 2015-11-17 2017-05-26 株式会社フジコー 熱延プロセス用ロールおよびその製造方法
EP3636360A1 (en) 2015-11-17 2020-04-15 Fujico Co., Ltd. Roll for hot rolling process and method for manufacturing same
US11207721B2 (en) 2015-11-17 2021-12-28 Fujico Co., Ltd. Roll for hot rolling process and method for manufacturing same
CN107891138A (zh) * 2017-11-09 2018-04-10 常州凯达重工科技有限公司 一种用于制作金属瓦楞板的超高钒高速钢压辊的制备工艺

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0309587B1 (en) Abrasion-resistant composite roll and process for its production
EP0646052B1 (en) Rolls for metal shaping
WO1994022606A1 (en) Wear- and seizure-resistant roll for hot rolling
WO2020032144A1 (ja) 圧延用遠心鋳造複合ロール及びその製造方法
TWI629366B (zh) 肥粒鐵系不銹鋼板
JP2700591B2 (ja) 遠心鋳造製複合ロール
JPH10212552A (ja) 耐摩耗性、耐腐食性に優れた製鉄熱間圧延設備用部材
JP2848646B2 (ja) 熱間圧延設備に於けるコイラ用ロールの製造法
JP6621650B2 (ja) 熱延プロセス用ロールおよびその製造方法
JP3294846B2 (ja) Fe−Cr−Al合金鋼板及びその製造方法
JPH0970655A (ja) 耐摩耗、耐腐食性に優れた製鉄熱間圧延設備用部材
JPH0649914B2 (ja) 圧延用焼入ロール及び圧延機
JP3030078B2 (ja) 耐肌荒れ性に優れた耐摩耗複合ロール及びその製造方法
JP2002346613A (ja) 熱間圧延用複合ロールおよびそれを用いた熱間圧延方法
JPS6332543B2 (ja)
JP2000158020A (ja) 耐衝撃性及び耐食性に優れた製鉄圧延設備用複合ロール
JP2878544B2 (ja) 遠心鋳造製複合ロール
JPH0775808A (ja) 形鋼圧延用耐摩耗複合ロール
JP3030077B2 (ja) 耐クラック性に優れた耐摩耗複合ロール及びその製造方法
JP3230899B2 (ja) 黒鉛を有するハイス系鋳鉄材及び複合ロールの熱処理法
JPH03126838A (ja) 複合ロール
JP3019240B2 (ja) 遠心鋳造製複合ロール
JPH0692007B2 (ja) 熱間圧延用作業ロール及びその圧延方法
JPH05320747A (ja) 高耐摩耗ロールの製造法
JP2810762B2 (ja) 耐摩耗複合ロール