JPH10209334A - セラミック基板およびその製造方法 - Google Patents

セラミック基板およびその製造方法

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JPH10209334A
JPH10209334A JP33094596A JP33094596A JPH10209334A JP H10209334 A JPH10209334 A JP H10209334A JP 33094596 A JP33094596 A JP 33094596A JP 33094596 A JP33094596 A JP 33094596A JP H10209334 A JPH10209334 A JP H10209334A
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JP
Japan
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ceramic substrate
photosensitive
powder
weight
inorganic powder
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JP33094596A
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English (en)
Inventor
Takeshi Tanaka
剛 田中
Tomohiko Ogata
知彦 尾形
Yoshiki Masaki
孝樹 正木
Keiji Iwanaga
慶二 岩永
Kuniko Kimura
邦子 木村
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高アスペクト比かつ高精度のセラミックパッケ
ージを可能にするセラミック基板を提供する。 【解決手段】厚みが15〜500μmの焼成基板であっ
て、最密なビアホールパターンがビアホール直径15〜
150μm、ビアホールピッチ25〜200μmである
ことを特徴とするセラミック基板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規なセラミック基
板およびその製造方法に関する。
【0002】本発明のセラミック基板は、半導体素子の
高密度実装用セラミック焼成基板、特に多層セラミック
ス焼成基板に好適に用いられ、基板表面の表層および内
層用電極の微細な回路パターン形成に有効なセラミック
基板である。
【0003】
【従来の技術】近年、コンピューター、通信機等のシス
テムにおいて、小型化、高機能化が進んでおり、それに
伴って、半導体素子搭載用セラミック基板のビアホール
やスルーホール(以下代表してビアホール)形成におけ
る技術向上が望まれている。
【0004】特に、コンピューターのCPU等に用いる
セラミックグリーンシートは高精度であることと共に、
高アスペクト比のビアホール加工が可能な材料が望まれ
ている。
【0005】多層セラミック基板は、大別すると厚膜印
刷積層法とグリーンシート法によるものがある。さらに
グリーンシート法には積層法と印刷法がある。グリーン
シート印刷法はグリーンシート上に導電ペーストと絶縁
ペーストを交互に印刷積層し、多層化するもので、印
刷、乾燥を繰り返し行った後に一回で焼成を完了するも
のである。グリーンシート積層法は、グリーンシート印
刷法とほぼ同様の手法であるが、多層化するときに、導
体を印刷して熱圧着後、焼成して多層基板とする方法で
ある。しかしながら、グリーンシート積層法は微細なビ
アホールの一括形成ができないこと、治具、設備を多く
必要とするなどの欠点があった。このように半導体実装
分野では、セラミック基板を精密に加工する技術が必要
とされているものの、現状では、ビアホールの加工を金
型プレスやNCパンチングなどのメカニカルな方法で行
ったり、パターン形成をスクリーン印刷によって行われ
ているため、回路材料の小型化に伴う高精度のパターニ
ングの要求に対応するための新しい技術が必要とされて
いる。
【0006】一方、厚膜印刷積層法は絶縁性のペースト
をパターン状に印刷する工程を繰り返す方法であるが、
印刷ではパターンの微細化に限界があり、グリーンシー
ト法同様新しい技術が必要とされている。
【0007】これらの問題を改良する方法として、特開
平1−183456号公報、特開平6−202323号
公報において、感光性セラミックグリーンシートを用い
たフォトリソグラフィ技術によるビアホール形成方法が
提案されている。しかしながら、感光性セラミックグリ
ーンシートの感度や解像度が低いために高アスペクト比
のもの、例えば50μmを越えるような厚みのシートに
対し、100μm以下のビアホールを精度良く、かつ均
一に形成できないという欠点があった。
【0008】また、基板上に回路配線のパターンを形成
する方法としては、従来、金属粉末と有機バインダーか
らなるペーストによるスクリーン印刷が多く用いられて
いる。しかしながら、スクリーン印刷は精度の高いパタ
ーンが形成できないという欠点があった。
【0009】また、特開平5−204151号公報、特
開平5−342992号公報では、感光性ペーストを用
いてフォトリソグラフィ技術に形成する方法が提案され
ている。しかしながら、感光性ペーストの感度や解像度
が低いために精度が得られず、例えばライン・アンド・
スペースが80/80μmが限度であった。
【0010】また、特開平4−139733号公報にお
いて紫外線硬化樹脂法を用いてフィルム上にパターンを
形成する方法が記載されている。その要旨は、W、Mo
から選ばれた1種類以上の高融点金属を主成分とする導
電性粉末および紫外線硬化樹脂を主成分とする結合剤よ
りなるペースト状混合物を、柔軟性を供えた樹脂等のフ
ィルム基板上にドクターブレード法等により混合物層を
形成し、前記混合物層上にフォトマスクを介して紫外線
を照射し結合剤を硬化させ、未露光部を除去する。さら
に得られた転写フィルムをセラミックグリーンシート上
に導体パターン側を設置して、導体パターンをセラミッ
クグリーンシートに転写して、フィルムを剥がす方法で
ある。
【0011】この方法、いわゆる転写法は、不良発生を
フィルム上にパターン形成した段階で見つけることがで
き、不良発生率を低減して歩留まりを向上する効果が期
待できる。しかしながら、実際には転写法においては、
パターンを形成したフィルムと転写先のシート、基板と
のアライメントを整合させる方法、フィルムの形状安定
性、パターンの剥離性など多くの課題がある。また、感
光性ペーストの感度や解像度が低いために精度が得られ
ない点は、通常のフォトリソ法と同様であった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、フォ
トリソグラフィ法を用いて高アスペクト比かつ高精細の
ビアホール形成が可能なセラミック基板およびその製造
方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、厚みが
15〜500μmのセラミック焼成基板であって、最密
なビアホールパターンがビアホール直径15〜150μ
m、ビアホールピッチ25〜200μmであることを特
徴とするセラミック基板によって達成される。
【0014】また、本発明の目的は、焼成後の厚みが7
〜80μmの回路配線パターンが形成されたセラミック
成基板であって、該回路配線パターンの最密なライン・
アンド・スペースが、ライン8〜80μm、スペース8
〜400μmであることを特徴とするセラミック基板に
よって達成される。
【0015】また、本発明の目的は、以下の(1)から(3)
の工程を少なくとも含むことを特徴とするセラミック基
板の製造方法によって達成される。
【0016】(1) 無機粉末および感光性有機成分を含む
シート組成物を支持体に塗布し、セラミックグリーンシ
ートを作製する工程、(2) マスクパターンを介して紫外
線照射による露光、および現像によってビアホールを形
成する工程、(3) 焼成する工程。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明は、感光性セラミック組成
物中の有機成分の屈折率制御を行うことによって、無機
成分との界面での反射・散乱を削減し、高アスペクト比
かつ高精度のビアホール形成を行うことを特徴とする回
路材料用セラミック基板、セラミック基板の製造方法お
よび感光性導電ペーストを用いたパターン形成方法に関
する。
【0018】本発明に用いられる感光性セラミック組成
物は、無機粉末と感光性有機成分を必須成分とする。無
機粉末とは、一般的に電子材料に用いられる、ガラスや
金属(金、白金、銀、銅、ニッケル、アルミ、パラジウ
ム、タングステン、酸化ルテニウム等)の粉末である
が、本発明において特に有用であるのは、セラミックス
およびガラス粉末である。
【0019】また、発明者らは無機粉末として、形状が
等軸の粒状または球状であるものを用いることによっ
て、高アスペクト比のビアホールの形成が可能であるこ
とを見い出した。球形率80個数%以上の無機粉末を用
いることが好ましい。
【0020】この場合に用いる無機粉末としては、50
重量%(平均)粒子径が1〜7μm、10重量%粒子径
が0.4〜1μm、90重量%粒子径が2〜10μm、
比表面積0.2〜3m2 /gの無機粉末が適している。
【0021】セラミック粉末としてはアルミナ、ジルコ
ニア、マグネシア、ベリリア、ムライト、コーディライ
ト、スピネル、フォルステライト、アノーサイト、セル
ジアン、シリカおよび窒化アルミの群から選ばれた少な
くとも一種を用いることができる。アルミナ、コーディ
エライト、シリカが特に好ましい。
【0022】ガラスとセラミックスの複合粉末の場合
は、ガラス粉末を30重量%以上用いることが好まし
く、より好ましくは50重量%以上用いることが好まし
い。ガラス粉末としては、特に限定はないが、加工性に
優れ、ポットライフの長いものがよい。粉末が球形であ
れば、充填密度が高くなり、緻密な焼結体が得られるこ
と、表面積が小さくなるため露光の際の光散乱が低減で
きるなどの利点がある。平均屈折率が1.5〜1.65
の範囲のガラス粉末を用いることが望ましい。
【0023】ガラス粉末中の組成としては、SiO2
15〜70重量%の範囲で配合することが好ましく、1
5重量%未満の場合はガラス層の緻密性、強度や安定性
が低下し、また半導体素子であるシリコンと熱膨張係数
のミスマッチが起こり、所望の値から外れる。また70
重量%以下にすることによって、熱軟化点が低くなり、
1000℃以下での焼成が可能になるなどの利点があ
る。Al23は10〜60重量%であることが望まし
い。10%以下では焼成基板の強度を十分保つことが困
難であり、60%以上では基板の誘電率が高くなってし
まう。B23は4〜20重量%の範囲で配合することに
よって、電気絶縁性、強度、熱膨張係数、絶縁層の緻密
性などの電気、機械および熱的特性を向上することがで
きる。
【0024】特に、ガラス粉末が、酸化物換算表記で SiO2 15〜70重量部 Al23 10〜60重量部 B23 4〜20重量部 MgO 1〜25重量部 TiO2 1〜10重量部 およびLi2 O、Na2 O、K2 O、BaO、CaOお
よびPbOの群から選ばれた少なくとも1種の化合物を
1〜25重量部からなるガラス粉末30重量%以上と、
アルミナ、ジルコニア、マグネシア、ベリリア、ムライ
ト、コーディライト、スピネル、フォルステライト、ア
ノーサイト、セルジアン、シリカおよび窒化アルミの群
から選ばれた少なくとも一種のセラミック粉末70重量
%以下との混合物であることが望ましい。
【0025】また、ガラス粉末中には他にもZrO2
SnO、ZnO、Y23などの金属酸化物をなどを含有
することができるが、その量は5重量%以下であること
が好ましい。これらの成分は、あまり多くなると吸湿性
が生じて、ペーストやスラリーの粘度が高くなってしま
う。
【0026】また、本発明において使用される感光性有
機成分とは、感光性セラミック組成物中の感光性化合物
を含む有機成分(無機成分を除いた部分)のことであ
る。
【0027】無機粉末としては屈折率は1.5〜1.8
のものが好ましい。一般に無機粉末は、1.5〜2.5
程度の屈折率を有している。有機成分の平均屈折率が無
機粉末の平均屈折率と大きく異なる場合は、無機粉末と
感光性有機成分の界面での反射・散乱が大きくなり、精
細なパターンが得られない。一般的な有機成分の屈折率
は1.45〜1.7であるため、無機粉末の平均屈折率
を1.5〜1.8にすることにより、無機粉末と有機成
分の屈折率を整合させることができる。さらに好ましく
は、屈折率1.54〜1.8、さらには1.56〜1.
78のものを用いることによって、無機粉末と感光性有
機成分の界面での反射・散乱が低減され、高アスペクト
比で、高精細なビアホールが形成される。
【0028】この場合に、用いる感光性有機成分の屈折
率と無機粉末の屈折率差が重要になり、有機成分の平均
屈折率N1と無機粉末の平均屈折率N2に関して、次式
を満たすことによって、界面での反射・散乱は低減さ
れ、より高アスペクト比のパターンが得られる。
【0029】−0.05≦N2−N1≦0.2 好ましくは、−0.05≦N2−N1≦0.1である。
【0030】本発明における屈折率の測定は、感光性セ
ラミック組成物を膜に形成した後に、照射する光の波長
で測定することが効果を確認する上で正確である。特
に、350〜600nmの範囲の中で、任意の波長の光
で測定することが好ましい。さらには、i線(365n
m)、h線(406nm)もしくはg線(436nm)
での屈折率測定が好ましい。
【0031】感光性有機成分には、感光性モノマー、感
光性オリゴマー、感光性ポリマーのうち少なくとも1種
類から選ばれる感光性化合物を含有し、さらに必要に応
じて、バインダー、光重合開始剤、紫外線吸光剤、増感
剤、増感助剤、重合禁止剤、可塑剤、増粘剤、有機溶
媒、酸化防止剤、分散剤、有機あるいは無機の沈殿防止
剤やレベリング剤などの添加剤成分を加えることも行わ
れる。
【0032】ペースト中の感光性有機成分の含有率は5
〜50重量%、さらには、5〜30重量%であることが
好ましい。グリーンシート法による場合パターン形成後
のシート積層時には、シートとシートの間に空気層が入
り込みやすく、シートの可撓性が低かったり、シートに
通気性がないとシート間の空気は抜け出すことができ
ず、焼成時にシート間に閉じこめられた空気が膨張し、
シートどうしを剥離してしまう問題が生じる。シートの
可撓性を向上するためには、シート成分中の有機成分量
が多い方が望ましいが、あまり多くなると無機粉末の間
隙を埋め尽くしてしまい通気性を損なってしまう。ま
た、焼成時の収縮率がおおきくなり、焼成による形状変
化がおおきくなってしまう。このため、シートの積層性
には可撓性と通気性を両立することが必要である。
【0033】反応性成分としては、光不溶化型のものと
光可溶化型のものがあり、光不溶化型のものとして、 (1)分子内に不飽和基などを1つ以上有する官能性の
モノマー、オリゴマー、およびポリマー (2)芳香族ジアゾ化合物、芳香族アジド化合物、有機
ハロゲン化合物などの感光性化合物含有するもの (3)ジアゾ系アミンとホルムアルデヒドとの縮合物な
どいわゆるジアゾ樹脂といわれるもの 等がある。
【0034】また、光可溶型のものとしては、 (4)ジアゾ化合物の無機塩や有機酸とのコンプレック
ス、キノンジアゾ類を含有するもの (5)キノンジアゾ類を適当なポリマーバインダーと結
合させた、例えばフェノール、ノボラック樹脂のナフト
キノン1,2−ジアジド−5−スルフォン酸エステル等
がある。
【0035】本発明において用いる反応性成分は、上記
のすべてのものを用いることができるものの、感光性ペ
ーストとして、無機粉末と混合して簡便に用いることが
できる感光性成分は、(1)のものが好ましい。
【0036】感光性モノマーとしては、炭素−炭素不飽
和結合を含有する化合物で、その具体的な例として、メ
チルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピル
アクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチル
アクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−
ブチルアクリレート、イソ−ブチルアクリレート、te
rt−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレー
ト、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブト
キシエチルアクリレート、ブトキシトリエチレングリコ
ールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシ
クロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアク
リレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロ
ールアクリレート、グリシジルアクリレート、ヘプタデ
カフロロデシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルア
クリレート、イソボニルアクリレート、2−ヒドロキシ
プロピルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イ
ソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−
メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコ
ールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアク
リレート、オクタフロロペンチルアクリレート、フェノ
キシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ト
リフロロエチルアクリレート、アリル化シクロヘキシル
ジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレー
ト、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、エチ
レングリコールジアクリレート、ジエチレングリコール
ジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレー
ト、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジペンタ
エリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリ
トールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジトリメチ
ロールプロパンテトラアクリレート、グリセロールジア
クリレート、メトキシ化シクロヘキシルジアクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレ
ングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコー
ルジアクリレート、トリグリセロールジアクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレート、アクリルア
ミド、アミノエチルアクリレート、フェニルアクリレー
ト、フェノキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレ
ート、1−ナフチルアクリレート、2−ナフチルアクリ
レート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノ
ールA−エチレンオキサイド付加物のジアクリレート、
ビスフェノールA−プロピレンオキサイド付加物のジア
クリレート、チオフェノールアクリレート、ベンジルメ
ルカプタンアクリレート、また、これらの芳香環の水素
原子のうち、1〜5個を塩素または臭素原子に置換した
モノマー、もしくは、スチレン、p−メチルスチレン、
o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、塩素化スチ
レン、臭素化スチレン、α−メチルスチレン、塩素化α
−メチルスチレン、臭素化α−メチルスチレン、クロロ
メチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、カルボシ
キメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラ
セン、ビニルカルバゾール、および、上記化合物の分子
内のアクリレートを一部もしくはすべてをメタクリレー
トに変えたもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメト
キシシラン、1−ビニル−2−ピロリドンなどが挙げら
れる。本発明ではこれらを1種または2種以上使用する
ことができる。
【0037】これら以外に、不飽和カルボン酸等の不飽
和酸を加えることによって、感光後の現像性を向上する
ことができる。不飽和カルボン酸の具体的な例として
は、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、クロト
ン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、またはこれ
らの酸無水物などがあげられる。
【0038】ところで、一般的な有機成分の屈折率は
1.45〜1.7であるが、無機粉末の平均屈折率は、
これより大きいことが多いので、屈折率を整合するため
には、屈折率が1.5〜1.75、さらに好ましくは、
屈折率1.52〜1.7の感光性有機成分が好ましい。
これにより、より高アスペクト比、高精度のビアホール
形成を実現することを見出した。
【0039】この場合、有機成分中に高屈折率成分を導
入する必要があり、有機成分中に硫黄原子、臭素原子、
ヨウ素原子、ナフタレン環、ビフェニル環、アントラセ
ン環、カルバゾール環の群から選ばれた基を有する化合
物を10重量%以上用いることが高屈折率化に有効であ
る。また、ベンゼン環を有する化合物を20重量%以上
含有することによっても、高屈折率化ができる。
【0040】特に、硫黄原子もしくはナフタレン環を有
する化合物を10重量%以上含有することによって、よ
り簡便に有機成分を高屈折率化することができる。ただ
し、含有量が60重量%以上になると光感度が低下する
という問題が発生するので、硫黄原子とナフタレン環を
有する化合物の合計含有量が60重量%以下であること
が好ましい。分子内に硫黄原子を含有するモノマーとし
ては、次の一般式(a)、(b)または(c)で示され
る化合物などが挙げられる。
【0041】
【化1】 構造式中のRは水素原子もしくはメチル基を示す。Xは
SまたはO、lは1〜3の整数、m、n、p、qは0〜
3の整数を示す。
【0042】また、硫黄原子、臭素原子、ヨウ素原子、
ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、アントラセ
ン環、カルバゾール環の群から選ばれた基の感光性有機
成分中における含有率が5重量%以上であることによっ
て、高アスペクト比、高精度のビアホール形成が可能な
感光性セラミック組成物を実現できる。
【0043】一方、感光性オリゴマーや感光性ポリマー
としては、前述の炭素−炭素不飽和結合を有する化合物
のうち少なくとも1種類を重合して得られた重量平均分
子量500〜10万のオリゴマーやポリマーを用いるこ
とができる。重合する際に、これらのモノマーの含有率
が10重量%以上、さらに好ましくは35重量%以上に
なるように、他の反応性のモノマーを共重合することが
できる。高屈折率化するためには、ベンゼン環、ナフタ
レン環などの芳香環を有するメタクリレートモノマーも
しくはアクリレートモノマー、具体的には、フェニル
(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アク
リレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1−ナフチ
ル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリ
レート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビ
スフェノールA−エチレンオキサイド付加物のジ(メ
タ)アクリレート、ビスフェノールA−プロピレンオキ
サイド付加物のジ(メタ)アクリレート、チオフェノー
ル(メタ)アクリレート、ベンジルメルカプタン(メ
タ)アクリレート、また、これらの芳香環の水素原子の
うち、1〜5個を塩素または臭素原子に置換したモノマ
ー、上記一般式(a)、(b)、(c)に示した化合
物、もしくは、スチレン、p−メチルスチレン、o−メ
チルスチレン、m−メチルスチレン、塩素化スチレン、
臭素化スチレン、α−メチルスチレン、塩素化α−メチ
ルスチレン、臭素化α−メチルスチレン、クロロメチル
スチレン、ヒドロキシメチルスチレンの群から選ばれた
少なくとも1種類を10重量%以上、好ましくは35重
量%以上含むオリゴマーやポリマーを用いることができ
る。
【0044】また、不飽和カルボン酸を共重合すること
によって、感光後の現像性を向上することができる。不
飽和カルボン酸の具体的な例としては、アクリル酸、メ
タアクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、
フマル酸、ビニル酢酸、またはこれらの酸無水物などが
あげられる。
【0045】こうして得られた側鎖にカルボキシル基を
有するポリマーもしくはオリゴマーの酸価(AV)は5
0〜180、さらには70〜140の範囲が好ましい。
【0046】酸価が50未満であると、現像許容幅が狭
くなる。また、酸価が180を越えると未露光部の現像
液に対する溶解性が低下するようになるため現像液濃度
を濃くすると露光部まで可溶化し、高精細なビアホール
が得られにくい。
【0047】以上示した、ポリマーもしくはオリゴマー
に対して、光反応性基を側鎖または分子末端に付加させ
ることによって、感光性を付与することができる。好ま
しい光反応性基は、エチレン性不飽和基を有するもので
ある。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル
基、アクリル基、メタクリル基などがあげられる。
【0048】このような側鎖をオリゴマーやポリマーに
付加させる方法は、ポリマー中のメルカプト基、アミノ
基、水酸基やカルボキシル基に対して、グリシジル基や
イソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物やア
クリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドまたはア
リルクロライドを付加反応させて作る方法がある。
【0049】グリシジル基を有するエチレン性不飽和化
合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グ
リシジル、アリルグリシジルエーテル、エチルアクリル
酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロト
ン酸グリシジルエーテル、イソクロトン酸グリシジルエ
ーテルなどがあげられる。
【0050】イソシアネート基を有するエチレン性不飽
和化合物としては、(メタ)アクリロイルイソシアネー
ト、(メタ)アクリロイルエチルイソシアネート等があ
る。また、グリシジル基やイソシアネート基を有するエ
チレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライド、メタク
リル酸クロライドまたはアリルクロライドは、ポリマー
中のメルカプト基、アミノ基、水酸基やカルボキシル基
に対して0.05〜1モル当量付加させることが好まし
い。
【0051】バインダーとしては、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルブチラール、メタクリル酸エステル重合
体、アクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル−
メタクリル酸エステル共重合体、α−メチルスチレン重
合体、ブチルメタクリレート樹脂などがあげられる。こ
のバインダー成分の高屈折率化を行うことも、感光性有
機成分の高屈折率化には効果的である。バインダー成分
の高屈折率化方法は、前述の感光性ポリマーや感光性オ
リゴマーにおいて、光反応性基であるエチレン性不飽和
基を側鎖または分子末端に付加していないものを用いる
ことができる。つまり、感光性ポリマーや感光性オリゴ
マーの反応性基を付与する工程を省略したものをバイン
ダーとして用いることができる。
【0052】光重合開始剤としての具体的な例として、
ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,
4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−
ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ジク
ロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフ
ェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,
2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−
2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒド
ロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチル
ジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチル
チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソ
プロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベ
ンジル、ベンジルジメチルケタノール、ベンジルメトキ
シエチルアセタール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエ
ーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、
2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキ
ノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズ
アントロン、ジベンゾスベロン、メチレンアントロン、
4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p
−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビ
ス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキ
サノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o
−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロ
パンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシ
ム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o
−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−
エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)
オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−[4−(メチ
ルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノ
ン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホ
ニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、4、4
−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィ
ド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホル
フィン、カンファーキノン、四臭素化炭素、トリブロモ
フェニルスルホン、過酸化ベンゾインおよびエオシン、
メチレンブルーなどの光還元性の色素とアスコルビン
酸、トリエタノールアミンなどの還元剤の組合せなどが
あげられる。本発明ではこれらを1種または2種以上使
用することができる。光重合開始剤は、反応性成分にに
対し、0.05〜10重量%の範囲で添加され、より好
ましくは、0.1〜5重量%である。重合開始剤の量が
少なすぎると、光感度が不良となり、光重合開始剤の量
が多すぎれば、露光部の残存率が小さくなりすぎるおそ
れがある。
【0053】有機染料からなる紫外線吸光剤を添加する
ことも有効である。紫外線吸収効果の高い吸光剤を添加
することによって高アスペクト比、高精細、高解像度が
得られる。紫外線吸光剤としては有機系染料からなるも
のが用いられ、中でも300〜450nmの波長範囲で
高UV吸収係数を有する有機系染料が好ましく用いられ
る。具体的には、アゾ系染料、アミノケトン系染料、キ
サンテン系染料、キノリン系染料、アミノケトン系染
料、アントラキノン系、ベンゾフェノン系、ジフェニル
シアノアクリレート系、トリアジン系、p−アミノ安息
香酸系染料などが使用できる。有機系染料は吸光剤とし
て添加した場合にも、焼成後の絶縁膜中に残存しないで
吸光剤による絶縁膜特性の低下を少なくできるので好ま
しい。これらの中でもアゾ系およびベンゾフェノン系染
料が好ましい。有機染料の添加量は0.05〜5重量部
が好ましい。0.05重量%以下では紫外線吸光剤の添
加効果が減少し、5重量%を越えると焼成後の絶縁膜特
性が低下するので好ましくない。より好ましくは0.1
5〜1重量%である。有機染料からなる紫外線吸光剤の
添加方法の一例を上げると、有機染料を予め有機溶媒に
溶解した溶液を作製し、次に該有機溶媒中に無機粉末を
混合後、乾燥することによってできる。この方法によっ
て無機粉末の個々の粉末表面に有機の膜をコートしたい
わゆるカプセル状の粉末が作製できる。
【0054】本発明において、無機粉末に含まれるP
b、Fe、Cd、Mn、Co、Mgなどの金属およびそ
の酸化物が有機成分中に含有する反応性成分と反応する
ために、無機粉末と有機成分の混合物(シートスラリ
ー)が短時間でゲル化し、シート成形できなくなる場合
がある。このような反応を防止するために安定化剤を添
加してゲル化を防止することが好ましい。用いる安定化
剤としては、トリアゾール化合物が好ましく用いられ
る。トリアゾール化合物の中でも特にベンゾトリアゾー
ルが有効に作用する。本発明において使用されるベンゾ
トリアゾールによるガラス粉末の表面処理の一例を上げ
ると、無機粉末に対して所定の量のベンゾトリアゾール
を酢酸メチル、酢酸エチル、エチルアルコール、メチル
アルコールなどの有機溶媒に溶解した後、これら粉末が
十分に浸す事ができるように溶液中に1〜24時間浸積
する。浸積後、好ましくは20〜30℃下で自然乾燥し
て溶媒を蒸発させてトリアゾール処理を行った粉末を作
製する。使用される安定化剤の割合(安定化剤/無機粉
末)は0.05〜5重量%が好ましい。
【0055】増感剤は、高感度を向上させるために添加
される。増感剤の具体例としては、2,4−ジエチルチ
オキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,3−
ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノ
ン、2,6−ビス(4−ジメチルアミニベンザル)シク
ロヘキサノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベン
ザル)−4−メチルシクロヘキサノン、ミヒラーケト
ン、4,4、−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノ
ン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4
−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミ
ノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベン
ジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニ
ルビニレン)−イソナフトチアゾール、1,3−ビス
(4−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−カ
ルボニル−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)アセト
ン、3,3−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノク
マリン)、N−フェニル−N−エチルエタノールアミ
ン、N−フェニルエタノールアミン、N−トリルジエタ
ノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、ジメチ
ルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸
イソアミル、3−フェニル−5−ベンゾイルチオ−テト
ラゾール、1−フェニル−5−エトキシカルボニルチオ
−テトラゾールなどがあげられる。本発明ではこれらを
1種または2種以上使用することができる。なお、増感
剤の中には光重合開始剤としても使用できるものがあ
る。増感剤を本発明の感光性セラミック組成物に添加す
る場合、その添加量は反応性成分に対して通常0.05
〜5重量%、より好ましくは0.1〜2重量%である。
増感剤の量が少なすぎれば光感度を向上させる効果が発
揮されず、増感剤の量が多すぎれば露光部の残存率が小
さくなりすぎるおそれがある。
【0056】重合禁止剤は、保存時の熱安定性を向上さ
せるために添加される。重合禁止剤の具体的な例として
は、ヒドロキノン、ヒドロキノンのモノエステル化物、
N−ニトロソジフェニルアミン、フェノチアジン、p−
t−ブチルカテコール、N−フェニルナフチルアミン、
2,6−ジ−t−ブチル−p−メチルフェノール、クロ
ラニール、ピロガロールなどが挙げられる。重合禁止剤
を添加する場合、その添加量は、感光性セラミック組成
物中に、通常、0.001〜1重量%である。
【0057】可塑剤の具体的な例としては、ジブチルフ
タレート、ジオクチルフタレート、ポリエチレングリコ
ール、グリセリンなどがあげられる。
【0058】酸化防止剤は、保存時におけるアクリル系
共重合体の酸化を防ぐために添加される。酸化防止剤の
具体的な例として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾ
ール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t
−4−エチルフェノール、2,2−メチレン−ビス−
(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2−
メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノ
ール)、4,4−ビス−(3−メチル−6−t−ブチル
フェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−6
−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2
−メチル−4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)ブタ
ン、ビス[3,3−ビス−(4−ヒドロキシ−3−t−
ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコ−ルエス
テル、ジラウリルチオジプロピオナート、トリフェニル
ホスファイトなどが挙げられる。酸化防止剤を添加する
場合、その添加量は通常、添加量は、感光性セラミック
組成物中に、通常、0.001〜1重量%である。
【0059】本発明の感光性セラミック組成物には、シ
ートスラリーの粘度を調整したい場合、有機溶媒を加え
てもよい。このとき使用される有機溶媒としては、メチ
ルセルソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、
メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘ
キサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、
イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチ
ルスルフォキシド、γ−ブチロラクトン、ブロモベンゼ
ン、クロロベンゼン、ジブロモベンゼン、ジクロロベン
ゼン、ブロモ安息香酸、クロロ安息香酸などやこれらの
うちの1種以上を含有する有機溶媒混合物が用いられ
る。
【0060】感光性セラミックグリーンシートは、通常
次の手順で作製する。まず感光性ポリマー、感光性モノ
マー、光重合開始剤、分散剤および溶媒等を混合後、濾
過をし、有機ビヒクルを作製する。これに紫外線吸光剤
をコーティングした無機粉末を添加し、ボールミル等の
混練機で均質に混合分散しシートスラリーを作製する。
シートスラリーの粘度は無機粉末、増粘剤、有機溶媒、
可塑剤および沈殿防止剤などの添加割合によって適宜調
整されるが、その範囲は1000〜5000cps(セ
ンチ・ポイズ)である。得られたスラリーをドクターブ
レード法、押出し成形法などの一般的な方法でポリエス
テルなどのフィルム上に厚さ0.05〜0.5mmに連続
的に成形する。
【0061】感光性セラミックグリーンシートを用いて
ビアホール加工を行う一例について説明する。グリーン
シートにビアホール形成した後、シート表面に接着剤な
どを塗布し、熱圧着により積層を行うが、この際シート
に歪みや熱硬化による収縮が発生する。この際の収縮率
は0.1%以下に押さえる必要があるが、予めビア形成
する前に熱処理(アニーリング)を行い、充分収縮させ
ておくことが好ましい。シート積層の際の熱圧着は通常
80〜120℃にて行うので、熱処理温度は90℃〜1
40℃で1分から3時間行うのがよい。この処理によっ
て、ビア加工後のシートの収縮率は0.1%以下に低減
できる。
【0062】成形したシート上から、フォトマスクを用
いて、マスク露光する。用いるマスクは、感光性有機成
分の種類によって、ネガ型もしくはポジ型のどちらかを
選定する。この際使用される活性光源は、たとえば、近
紫外線、紫外線、電子線、X線などが挙げられるが、こ
れらの中で紫外線が好ましく、その光源としてはたとえ
ば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンラ
ンプ、殺菌灯などが使用できる。これらのなかでも超高
圧水銀灯が好適である。露光条件は塗布厚みによって異
なるが、5〜100mW/cm2 の出力の超高圧水銀灯
を用いて5秒〜30分間露光を行なう。通常の露光方法
としては、シートの片方の面から紫外線照射を行うが、
より高い解像度を得るために、シートの両面から露光す
る方法がある。両面露光の方法としては、シートの上下
両面から同時に露光する方法、あるいはシートの片面か
ら露光した後、シートの表裏を反転させ、さらに反対の
面を同様に露光する方法がある。両面露光法によって、
通常の片面露光の倍の厚さのセラミックグリーンシート
に対してビアホール形成が可能となる。また、露光量は
片面露光での条件よりも少ない量でそれぞれ上下両面か
ら行えばよい。露光は、一度に所定の露光量を照射する
か、または、何度かに分けて段階的に照射して、合計で
所定の露光量になるようにしてもよい。
【0063】また、感光性セラミックグリーンシートの
表面に酸素遮蔽膜を設けることによって、パターン形状
を向上することができる。酸素遮蔽膜の一例としては、
PVAの膜が挙げられる。PVA膜の形成方法は濃度が
0.5〜5重量%の水溶液をスピナーなどの方法で基板
上に均一に塗布した後に70〜90℃で10〜60分間
好ましいPVAの溶液濃度は、1〜3重量%である。こ
の範囲にあると感度が一層向上する。PVA塗布によっ
て感度が向上するのは次の理由が推定される。すなわち
反応性成分が光反応する際に、空気中の酸素があると光
硬化の感度を妨害すると考えられるが、PVAの膜があ
ると余分な酸素を遮断できるので露光時に感度が向上す
るので好ましい。PVA以外に水溶性で、透明なポリマ
ー例えばセルロース系のメチルセルロースなども使用で
きる。
【0064】露光後、現像液を使用して現像を行なう
が、この場合、浸漬法やスプレー法で行なう。現像液
は、感光性セラミックグリーンシート中の有機成分が溶
解可能である有機溶媒を使用できる。また該有機溶媒に
その溶解力が失われない範囲で水を添加してもよい。感
光性セラミックグリーンシート中にカルボキシル基を持
つ化合物が存在する場合、アルカリ水溶液で現像でき
る。アルカリ水溶液として水酸化ナトリウムや水酸化カ
ルシウム水溶液などのような金属アルカリ水溶液を使用
できるが、有機アルカリ水溶液を用いた方が焼成時にア
ルカリ成分を除去しやすいので好ましい。有機アルカリ
としては、一般的なアミン化合物を用いることができ
る。具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキサ
イド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイ
ド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどが
挙げられる。アルカリ水溶液の濃度は通常0.01〜1
0重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。ア
ルカリ濃度が低すぎれば未露光部が除去されずに、アル
カリ濃度が高すぎれば、露光部を腐食させるおそれがあ
り良くない。
【0065】現像において現像時間を従来よりも短縮
し、かつ硬化部分への侵食が起きず、高精細なビアホー
ルが形成できる現像液の温度範囲を規定できる。現像液
は、感光性グリーンシート中の有機成分が溶解可能であ
る有機溶媒ならばいずれも使用できる。また該有機溶媒
にその溶解力が失われない範囲で水を添加してもよい。
感光性セラミックグリーンシート中にカルボキシル基を
持つ化合物が存在する場合、一般のアルカリ水溶液はい
ずれも使用可能である。アルカリ水溶液として水酸化ナ
トリウムや水酸化カルシウム水溶液、炭酸ナトリウム水
溶液等のような金属アルカリ水溶液を使用できる。しか
し、焼成時にアルカリ成分を除去しやすい点から有機ア
ルカリ水溶液を用いた方がより好ましい。有機アルカリ
としては、一般的なアミン化合物を用いることができ
る。具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキサ
イド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイ
ド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどが
挙げられる。アルカリ水溶液の濃度は通常0.01〜1
0重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。ア
ルカリ濃度が低すぎれば未露光部が除去されずに、アル
カリ濃度が高すぎれば、露光部を腐食させるおそれがあ
り良くない。現像液温度は25〜50℃に加温すること
が好ましく、さらに好ましくは30〜40℃の温度範囲
である。温度が25℃未満である場合、未露光部が除去
されない、現像時間が長い等の問題がある。また、50
℃以上では溶解反応が速く進みすぎ、露光部まで腐食
し、精細なビアホール形状が得られにくい。現像方法と
しては、一般的な浸漬法、スプレー法が用いられる。ス
プレー法は未露光部分をスプレーの物理的な力により除
去しながら溶解反応を進めるので現像時間が短くなる利
点がある。また、常に新しい現像液が流出してくるので
現像液の溶解力が落ちることがないので好ましい。ま
た、超音波を用いて現像時間を短縮する方法もある。こ
れは上記の方法により現像を行った後、現像ムラにより
残った未露光部分を超音波を用いて除去する方法であ
る。超音波は超音波洗浄器を用いて発生させる。超音波
の周波数としては20〜50KHzが好ましい。また、
発振出力は40〜100Wが望ましい。40W以下では
未露光部分が除去しきれず、100W以上では硬化部分
を侵食するため精細なビアホールパターンが形成されな
い。
【0066】本発明において使用される感光性セラミッ
クグリーンシートとは、原則として後述の製造方法にお
いてスラリーを塗布後、溶媒を除去した単層のシートで
あって、露光前の段階のものを言う。またビアホールを
形成するのと同様の方法で、シート積層時のアライメン
ト用ガイド穴をあけておく。
【0067】上述した方法により、焼成前の厚みが20
〜600μm、最密なビアホールパターン部分が、ビア
ホール直径20〜200μm、ビアホールピッチ30〜
250μmであることを特徴とするシートが作製され
る。これより微細なビアホールパターンは、本発明のフ
ォトリソグラフィ法では確認していない。また、これよ
り粗いビアホールパターンは、本発明のフォトリソグラ
フィ法にて作製は可能であるが、敢えて本発明の方法を
用いる意味がない。
【0068】感光性導電ペーストは導電体粉末、感光性
有機成分からなる。導電体粉末としては、Cu、Au、
Ag、Pd、Pt、W、Mn、Ni、Moなどの金属あ
るいはこれらを含む合金などや下記の抵抗体粉末などが
挙げられる。感光性有機成分に関しては、感光性セラミ
ックグリーンシートに用いたのと同様なものが使用でき
る。
【0069】Cu系導電体粉末としては、例えばCu
(97−70)−Ag(3−30)、Cu(95−6
0)−Ni(5−40)、Cu(90−70)−Ag
(5−20)−Cr(3−15)(以上()内は重量%
を表す。以下同様)などの2元系あるいは3元系の混合
金属粉末が用いられる。この中でCu−Ag粉末が好ま
しく、その中でもCuの表面を3〜30重量%のAgで
コートした粉末がCuの酸化を抑えることができるので
特に好ましい。
【0070】Au、Ag、Pd、Pt系導電体粉末とし
ては、例えばAg(30−97)−Pd(70−3)、
Ag(40−70)−Pd(60−10)−Pt(5−
20)、Ag(30−80)−Pd(60−10)−C
r(5−15)、Pt(20−40)−Au(60−4
0)−Pd(20)、Au(75−80)−Pt(25
−20)、Au(60−80)−Pd(40−20)、
Ag(40−95)−Pt(60−5)、Pt(60−
90)−Rh(40−10)などの2元系あるいは3元
系の混合金属粉末が好ましく用いられる。上記の中でC
rやRhを添加した物は高温特性を向上できる点で特に
好ましい。
【0071】W、Mo、Mn系導電性粉末としては、
W、W(92−98)−TiB2 (8−2)、W(92
−98)−ZrB2 (2−8)、W−(92−98)−
TiB2 (1−7)−ZrB2 (1−7)、W(95−
60)−TiN(5−60)、W(90−60)−Ti
N(5−35)−TiO2 (2−10)、W(90−6
0)−TiN(5−35)−TiO2 (2−10)−N
i(1−10)、W(99.7−97)−AlN(0.
3−3)、W(10−90)−Mo(90−10)、W
(92−98)−Al223 (8−2)、Mo、M
o(92−98)−TiB2 (8−2)、Mo(92−
98)−ZrB2 (8−2)、Mo(92−8)−Ti
2 (1−7)−ZrB2 (1−7)、Mo−TiN、
Mo(90−60)−TiN(5−35)−TiO2
(2−10)、Mo(90−60)−TiN(5−3
5)−TiO2 (2−10)−Ni(1−10)、Mo
(99.7−97)−AlN(0.3−3)、Mn(5
0−90)−Mo(10−50)、Mo(60−90)
−Mn(40−10)−SiO2 (0−20)、W(3
0−90)−Mo(30−70)−Mn(3−30)な
どの2元系あるいは3元系の混合金属粉末が用いられ
る。上記の中でTiB2 、ZrB2 、TiN、AlN、
Ni、TiO2 を添加したものは導体膜とアルミナ基板
との接着強度を向上させ、導体膜の抵抗を下げるのに効
果がある点で特に好ましい。
【0072】抵抗体粉末としては、RuO2 、RuO2
系、Al粉末およびB23 を含有するガラス粉末、A
l粉末、遷移金属粉末およびB23 を含有するガラス
粉末、In23 系−ガラス粉末、RuO2 −ガラス粉
末、LaB6 −ガラス粉末、SnO2 添加品−ガラス粉
末、珪化物−ガラス粉末、NiOとLi23 −B23
−SiO2 −RO(RはMg、Ca、Sr、Baの中
から選ばれる一種)などから構成されるガラス粉末など
が挙げられる。
【0073】RuO2 は、無定系および結晶系、あるい
はパイロクロア化合物と称されるCdBiRu27
BiRu27 、BaRuO5 、LaRuO3 、SrR
uO3 、CaRuO3 、Ba2 RuO4 などでもよい。
RuO2 系としては、RuO2 −SiO2 が使用でき
る。
【0074】Al粉末およびB23 を含有するガラス
粉末としては、Alが4〜15重量%、B23 を含有
するガラス粉末が96〜85重量%があげられる。B2
3を含有するガラス粉末としては、B23 −BaO
−SiO2 −TaiO5 −Al23 −CaO−MgO
系などが挙げられる。これにMoSi2 、AlSi2
WSi2 、TiSi2 などの金属珪化物を含むことがで
きる。
【0075】Al粉末、遷移金属粉末およびB23
含有するガラス粉末としては、上記のAl粉末およびB
23 を含有するガラス粉末に加えて、Nb、V、W、
Mo、Zr、Ti、Niなどの遷移金属粉末を含有する
ものである。
【0076】In23 系−ガラス粉末は、30〜80
重量%のIn23 系と、70〜20重量%のガラス粉
末からなるものがあげられる。In23 系としては、
ITO(SnをIn23 にドープしたもの)、In2
3 、SbをドープしたSnO3 +SnO2 などがあげ
られる。また、ガラス粉末としては、SiO2 −Al2
3 −MgO−ZnO−B23 −BaO系などであ
る。この中では、SiO2 −B23 系が低温焼結でき
るので好ましい。
【0077】感光性ペーストは、通常、無機粉末、紫外
線吸光剤、感光性ポリマー、感光性モノマー、光重合開
始剤、ガラスフリットおよび溶媒等の各種成分を所定の
組成となるように調合した後、3本ローラや混練機で均
質に混合分散し作製する。
【0078】ペーストの粘度は無機粉末、増粘剤、有機
溶媒、可塑剤および沈殿防止剤などの添加割合によって
適宜調整されるが、その範囲は2000〜20万cps
(センチ・ポイズ)である。例えばガラス基板への塗布
をスクリーン印刷法以外にスピンコート法で行う場合
は、200〜5000cpsが好ましい。スクリーン印
刷法で1回塗布して膜厚10〜20μmを得るには、5
万〜20万cpsが好ましい。
【0079】セラミックグリーンシート表面にパターン
形成を行う場合において、塗布する感光性ペーストに含
まれる溶媒が前記セラミックグリーンシートを溶解しな
いことが重要である。そうでないと、感光性ペーストの
溶媒とセラミックグリーンシートの樹脂との間で反応が
生じ、パターンが形成できない問題が生じる。このた
め、溶媒にケトン、低級アルコール、脂肪酸高級アルコ
ールエステル、炭化水素から選ばれる、少なくとも1種
を選択することが望ましい。
【0080】上記のように、露光、現像によりビアホー
ルパターンを形成したセラミックグリーンシートに、感
光性導電ペーストを用いて回路配線パターンを形成する
方法について述べる。
【0081】本発明では、具体的な方法として、 (1)ビアホール形成したセラミックグリーンシート表
面に感光性導電ペーストを塗布すると同時に、導体のビ
アホール充填を同時に行う方法 (2)一旦フィルム上に回路配線パターンを形成した
後、熱プレスによりセラミックグリーンシート上に転写
してパターンを形成する方法 がある。
【0082】まず、導体充填とペースト塗布を同時に行
う方法について詳細を述べる。この方法は、セラミック
グリーンシートの表面に感光性ペーストを塗布する際
に、同時にビアホールに導体を埋込むのであるが、ビア
ホール形成したシートの支持体を剥がし、裏面を真空引
きするなどして固定し、シート表面にスクリーン印刷、
スピンコート、アプリケーターなどによって銅、銀、銀
−パラジウム、タングステン、モリブデンあるいは金を
含む感光性導体ペーストを全面塗布すると同時にビアホ
ールを充填することにより、配線用の層間接続用の導体
を形成する。
【0083】続いて、上記の要領でシート表面に所定の
感光性導体、抵抗体、誘電体あるいは絶縁体ペーストを
塗布する。ガラス基板やセラミックスの基板、もしく
は、ポリマー製フィルムの上に、感光性ペーストを全面
塗布、もしくは部分的に塗布する。塗布方法としては、
スクリーン印刷、バーコーター、ロールコーター、ダイ
コーター、ブレードコーター等一般的な方法を用いるこ
とができる。塗布厚みは、塗布回数、スクリーンのメッ
シュ、ペーストの粘度を選ぶことによって調整できる。
【0084】ここでペーストを基板上に塗布する場合、
基板と塗布膜との密着性を高めるために基板の表面処理
を行うことができる。表面処理液としてはシランカップ
リング剤、例えばビニルトリクロロシラン、ビニルトリ
メトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリス−
(2−メトキシエトキシ)ビニルシラン、γ−グリシド
キシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロキ
シプロピル)トリメトキシシラン、γ(2−アミノエチ
ル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルト
リメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシ
ランなどあるいは有機金属例えば有機チタン、有機アル
ミニウム、有機ジルコニウムなどである。シランカップ
リング剤あるいは有機金属を有機溶媒例えばエチレング
リコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノ
エチルエーテル、メチルアルコール、エチルアルコー
ル、プロピルアルコール、ブチルアルコールなどで0.
1〜5%の濃度に希釈したものを用いる。次にこの表面
処理液をスピナーなどで基板上に均一に塗布した後に8
0〜140℃で10〜60分間乾燥することによって表
面処理ができるまた、フィルム上に塗布した場合、フィ
ルム上で乾燥を行った後、次の露光工程を行う場合と、
ガラスやセラミックの基板上に張り付けた後、露光工程
を行う方法がある。感光性ペーストを全面塗布したセラ
ミックグリーンシート上にパターンを形成するために、
回路パターンを有するフォトマスクを用いて紫外線を照
射して露光し、感光性ペーストを光硬化させる。この
時、予め形成されたビアホールの位置を把握するため、
ビアホールのフォトマスクとラインパターンのフォトマ
スクがシート上で一致するように高精度のアライメント
を設けておく必要がある。
【0085】次に、未露光部を現像液で除去してマスク
通りの微細なパターンやビアホールを得る。露光後、感
光部分と非感光部分の現像液に対する溶解度差を利用し
て、現像を行なうが、この場合、浸漬法やスプレー法、
ブラシ法で行なう。用いる現像液は、感光性ペースト中
の有機成分が溶解可能である有機溶媒を使用できる。ま
た該有機溶媒にその溶解力が失われない範囲で水を添加
してもよい。感光性ペースト中にカルボキシル基等の酸
性基を持つ化合物が存在する場合、アルカリ水溶液で現
像できる。アルカリ水溶液として水酸化ナトリウムや炭
酸ナトリウム、水酸化カルシウム水溶液などのような金
属アルカリ水溶液を使用できるが、有機アルカリ水溶液
を用いた方が焼成時にアルカリ成分を除去しやすいので
好ましい。有機アルカリとしては、一般的なアミン化合
物を用いることができる。具体的には、テトラメチルア
ンモニウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアンモ
ニウムヒドロキサイド、モノエタノールアミン、ジエタ
ノールアミンなどが挙げられる。アルカリ水溶液の濃度
は通常0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜
5重量%である。アルカリ濃度が低すぎれば可溶部が除
去されずに、アルカリ濃度が高すぎれば、パターン部を
剥離させ、また非可溶部を腐食させるおそれがあり良く
ない。また、現像時の現像温度は、20〜50℃で行う
ことが工程管理上好ましい。露光に用いられる紫外線の
光源および現像に用いる現像液は、上記感光性セラミッ
クグリーンシートで用いた場合のものと同様である。
【0086】次に、フォトリソグラフィ法を用いた転写
法について一例を挙げて詳細を述べる。転写法に用いる
フィルムとしては、一般的なフィルムが使用できる。た
とえばポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィル
ム、ナイロンフィルムなどが用いられる。転写用フィル
ムとしては転写や露光・現像時のハンドリング性に優
れ、適度な離型性を有するフィルムが好ましい。この様
な転写フィルムの物性としては次の範囲で選択するのが
好ましい (a)フィルム厚み ;25〜200μm (b)強度 ;3000〜5000MPa (c)表面状態 ;0.02〜0.15μm また、上記のフィルムには、必要に応じて表面にワック
スコート、メラミンコートあるいはシリコンコートなど
の離型処理が施される。この処理によって、剥離強度を
ある一定の範囲にすることが必須である。剥離強度は、
24mm幅の接着テープを離型処理を施したフィルム面
に貼付し、引張試験器を用いて一定速度で引き剥がした
際の平均荷重で表される。その荷重範囲は3〜7N/2
4mmが望ましい。これよりも大きいと転写時にパター
ンがフィルムに残り、これよりも小さいと、ペーストが
フィルムにのりにくくパターン形成できない。より好ま
しくは、4〜6N/24mmの範囲である。
【0087】まず、感光性導電ペーストを通常のスクリ
ーン印刷法あるいはドクターブレード法で表面処理した
フィルム上に塗布する。次に回路パターンを有するフォ
トマスクを用いて紫外線を照射して露光し、感光性ペー
ストを光硬化する。次に未露光部を現像液で除去してマ
スク通りの微細なパターンを得る。露光条件はペースト
の塗布厚みによっても異なるが、5〜100mW/cm
2 の出力の超高圧水銀灯を用いて20秒〜30分間露光
を行なうことが好ましい。
【0088】露光後、現像液を使用して現像を行なう
が、この場合、浸漬法やスプレー法で行なう。現像液と
しては、前記の側鎖または分子末端にエチレン性不飽和
基を有するアクリル系共重合体、光反応性化合物および
光重合開始剤の混合物が溶解可能である有機アルカリ水
溶液を使用できる。アルカリ水溶液の濃度は通常0.0
1〜5重量%である。
【0089】こうして得た転写フィルムをセラミックグ
リーンシートに重ね合わせた後、60℃〜90℃に加熱
した加圧用ローラーで1〜1.5MPaで加圧して導体
パターンをセラミックグリーンシートに転写する。
【0090】セラミックグリーンシートのビアホールに
導体を埋め込む場合に、超硬ドリルでビアホールを形成
したセラミックグリーンシートが使用されるが、埋め込
み方は銅、銀、銀−パラジウム、タングステン、モリブ
デンあるいは金導体ペーストを充填してビアホール内に
配線用の層間接続用の導体を形成する。このセラミック
グリーンシートのビアホールに対する導体ペーストの埋
め込みは層数ごとに繰り返し行う。
【0091】このようにセラミックグリーンシート表面
に上記方法と同様に、所定の導体、抵抗体、誘電体ある
いは絶縁体パターンを印刷し、ガイド穴を設ける。
【0092】上述した方法により、焼成前の膜厚が10
〜100μmの回路配線パターンにおいて、最密なライ
ン・アンド・スペースが、ライン10〜100μm、ス
ペース10〜500μmであることを特徴とするパター
ン形成シートが作製される。これより微細な回路配線パ
ターンは、本発明のフォトリソグラフィ法では確認して
いない。また、これより粗いパターンは、本発明のフォ
トリソグラフィ法にて作製は容易であるが、敢えてフォ
トリソ法を用いる意味がない。
【0093】次に必要な枚数のシートをガイド孔を用い
て積み重ね、80〜150℃の温度で5〜25MPaの
圧力で接着し、多層シートを作製する。シートの積層方
法は、予めシート表層に回路配線パターンを形成し、そ
の上にブチルアルコール系、アクリル系などの接着剤を
塗布し、2〜30層を位置合わせして熱ブレスにより行
う。プレス温度は80〜200℃の範囲で、プレス圧力
は5〜20MPaにて行う。シート籍層の際は、シート
に通気性および可撓性が十分あることが必要である。
【0094】予め80〜200℃に加熱した金型プレス
面とセラミックグリーンシートの間に、通気性を有する
フィルムまたは合成紙などを介してプレスするとよい。
または、金型そのものに通気性を持たせるために適度な
表面粗さにすることが必要である。鏡面に近い研磨面で
は、プレス時にシート間に内包された気泡の逃げ場がな
く、閉じこめられてしまうので、焼成時に膨張して膨れ
が発生しやすくなる。
【0095】また、プレス条件は80℃以下では、樹脂
成分の変形がほとんど起こらず積層できない。逆に20
0℃を超えると樹脂成分が軟化してシートの変形量が大
きくなりすぎてしまう。したがって、適正温度は80〜
200℃の範囲がよい。さらに好ましくは、90〜15
0℃である。プレス圧力については、5MPa以下で
は、接着剤があってもシートどうしに十分な接着力を持
たせることができない。逆に20MPa以上では、シー
ト自体が降伏強度に達し、潰れてしまう。通常は5〜2
0MPaの範囲、さらに好ましくは7〜15MPaの範
囲で行う。以上述べたように、適正なプレス条件を選択
することによって、良好な積層シートを得ることができ
る。
【0096】シート積層後、焼成炉にて焼成を行う。焼
成雰囲気や温度はセラミックグリーンシート中の無機粉
末や有機成分の種類によって異なるが、空気中、窒素雰
囲気中または水素還元雰囲気中で焼成する。焼成温度は
600〜1600℃で行う。無機粉末としてアルミナま
たは窒化アルミニウムを用いた場合は、パターン加工用
にタングステンペーストを用いるので、水素還元雰囲気
中で1500〜1600℃の温度にて10〜60分間保
持して焼成を行う。
【0097】ガラスセラミック複合粉末を用いた場合
は、ガラス粉末に焼成過程で、ムライト相、コーディラ
イト相などを主結晶成分として析出し、セラミック粉末
とガラス粉末の界面でもムライト相、コーディライト
相、サフィリン相などを析出することができる。これに
より、ガラス基板自体の機械的強度が向上する。
【0098】また、以上の工程中に、乾燥、脱バインダ
ー処理、予備反応の目的で、100〜500℃での加熱
工程を導入しても良い。
【0099】上述した方法により、厚みが15〜500
μmの焼成基板において、最密なビアホールパターンが
ビアホール直径15〜150μm、ビアホールピッチ2
5〜200μmであり、膜厚が7〜80μmの回路配線
パターンにおいて、最密なライン・アンド・スペース
が、ライン8〜80μm、スペース8〜400μmであ
ることを特徴とするパターン形成されたセラミックパッ
ケージが作製される。
【0100】上記の方法により焼成されたセラミック基
板は、半導体集積回路、水晶発振子を搭載するパッケー
ジ基板に用いることができる。
【0101】
【実施例】以下に、本発明を実施例を用いて、具体的に
説明する。ただし、本発明はこれに限定されない。な
お、実施例、比較例中の濃度は重量%である。
【0102】(セラミックグリーンシートの組成) (1) 無機粉末 A.アルミナ粉末;屈折率1.77、粒状、平均粒径
2.5μm B.コーディライト粉末;屈折率1.56、球形率80
個数%、平均粒径2.0μm、組成はAl23:20、
SiO2 :48、B23:8、MgO:24重量 C.ガラスセラミック粉末;屈折率1.58、球形率は
80個数%、平均粒径2.5μm、組成はAl23:3
4.5、SiO2 :38.2、B23:9.2、Ba
O:5.1、MgO:4.8、CaO:4.4、TiO
2 :2.1重量% D.Cと同じ組成のガラスセラミック粉末60重量部と
アルミナ粉末40重量部の混合粉末 (2) 紫外線吸光剤 アゾ系染料;スダンIV、化学式;C24204 分子
量;380.45 (3) 感光性ポリマー 30%のメタクリル酸、30%のメチルメタクリレート
および40%のスチレンの共重合体に対して30%のグ
リシジルアクリレートを付加反応させたポリマー (4) 感光性モノマー トリメチロールプロパントリアクリレートモディファイ
ドPO (5) 溶媒 イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、および
メチルエチルケトンの混合溶媒 (6) 光重合開始剤 2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2
−モルフォリノプロパノン (7) 増感剤 2,4−ジエチルチオキサントン (感光性ペーストの組成) (1) 導電性粉末 A.Cu粉末;単分散粒状、平均粒子径3.1μm、比表
面積0.44m2 /g B.Ag粉末;単分散粒状、平均粒子径3.7μm、比表
面積0.48m2 /g C.W粉末;単分散粒状、平均粒子径3.0μm、比表面
積0.15m2 /g (2) 感光性ポリマー 40%のメタクリル酸(MAA)、30%のメチルメタ
アクリレート(MMA)および30%のスチレン(S
t)からなる共重合体にMAAに対して0.4当量のグ
リシジルメタアクリレート(GMA)を付加反応させた
ポリマー (3) 感光性モノマー トリメチロールプロパントリアクリレート (4) ガラスフリット ガラスフリット1;(成分重量%)酸化ジルコニウム
(42)、酸化ホウ素(24)、二酸化ケイ素(2
1)、酸化リチウム(7)、アルミナ(4)およびその
他の酸化物(2) ガラスフリット2;(成分重量%)酸化ビスマス(5
0)、二酸化ケイ素(7)、酸化ホウ素(15)、酸化
亜鉛(14)、酸化バリウム(14) (5) 紫外線吸光剤 アゾ系染料;スダン、化学式;C24204 O,分子
量;380.45 (6) 溶媒 γ−ブチロラクトン (7) 光重合開始剤 α−アミノ・アセトフェノンを感光性ポリマーと感光性
モノマーとの総和に対して20%添加した (8) 可塑剤 ジブチルフタレート(DBP)を感光性ポリマーの10
%添加した (9) 増感剤 2,4−ジエチルチオキサントンを感光性ポリマーと感
光性モノマーとの総和に対して20%添加した (10)増感助剤 p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル(EPA)
を感光性ポリマーと感光性モノマーとの総和に対して1
0%添加した (11)増粘剤 酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチルに溶解させた
SiO2 濃度15%溶液を感光性ポリマーに対して4%
添加した (12)レベリング剤 特殊アクリル系重合物溶液:”L−1980−50”
(楠本化成(株))
【0103】(感光性セラミックグリーンシートの製
造) (1) アルミナグリーンシート アルミナ粉末に紫外線吸光剤0.15%となるように添
加し、吸光剤処理したアルミナ粉末86%に、感光性ポ
リマー11.7%、感光性モノマー2.3%で100重
量部のアルミナペーストを作製する。これに光重合開始
剤2%、増感剤2%、増感助剤1%、溶剤12%を加え
感光性アルミナグリーンシート用スラリーを作製する。
【0104】(2) コーディライトグリーンシートおよび
ガラスセラミックグリーンシートコーディライト粉末ま
たはガラスセラミックス粉末に紫外線吸光剤0.18%
となるように添加し、吸光剤処理した上記無機粉末86
%に、感光性ポリマー11.7%、感光性感光性モノマ
ー2.3%で100重量部の無機ペーストを作製する。
これに光重合開始剤2%、増感剤2%、増感助剤1%、
溶剤12%を加え感光性セラミックグリーンシート用ス
ラリーを作製する。
【0105】まず、各有機成分を60℃で加熱しながら
超音波分散した後、400メッシュのフィルターで濾過
して有機ビヒクルを得た。これに吸光剤をコーティング
した無機粉末を添加し、混練機で混練することによって
シートスラリーを得た。該スラリーからドクターブレー
ド法によってポリエステルフィルム上にシートを成形し
た後、80℃で乾燥し、厚さ100μmのセラミックグ
リーンシートを作成した。このシートを200mm角サ
イズに切断し、以下ビアホール加工、パターン加工を行
う。
【0106】(1) 銅ペースト 銅粉末87%、感光性ポリマー6%、感光性モノマー3
%およびガラスフリット1 4%を添加し、銅ペースト
用原料粉末を作製した。この原料粉末100重量部に対
して、光重合開始剤2%、増感剤2%、増加助剤1%、
可塑剤0.6%、増粘剤4%およびレベリング剤0.5
%を添加して銅ペーストとした。
【0107】(2) 銀ペースト 紫外線吸光剤0.18%添加した吸光剤処理済銀粉末8
7%に、感光性ポリマー6%、感光性モノマー3%およ
びガラスフリット2 4%を添加し、100重量部の銀
ペースト用原料粉末を作製した。この原料粉末100重
量部に対して、光重合開始剤2%、増感剤2%、増加助
剤1%、可塑剤0.6%、増粘剤4%およびレベリング
剤0.5%を添加して銀ペーストとした。
【0108】(3) タングステンペースト タングステン粉末90%に、ポリマー6.5%、モノマ
ー3.5%を添加し、100重量部のタングステンペー
スト用原料粉末を作製した。この原料粉末100重量部
に対して、光重合開始剤2%、可塑剤0.6%、増粘剤
4%およびレベリング剤0.5%を添加してタングステ
ンペーストとした。
【0109】上記導電ペーストの作製手順を以下にまと
める。
【0110】A.有機ビヒクルの作製 溶媒およびポリマーを混合し、攪拌しながら80℃まで
加熱し、すべてのポリマーを均一に溶解させた。ついで
溶液を室温まで冷却し、モノマー、可塑剤増感剤、増感
助剤、増粘剤、レベリング剤および光重合開始剤を加え
て溶解させた。その後、溶液を400メッシュのフィル
ターを通し濾過した。
【0111】B.吸光剤添加粉末の作製 有機染料を所定の量秤量し、アセトンに溶解させた溶液
に分散剤を加えて、ホモジナイザーで均一に攪拌した。
この溶液中に、導電粉末およびガラスフリットを所定の
量添加して、局所排気装置内でアセトンを蒸発させなが
ら均質に分散・混合後を行い、導電性粉末およびガラス
フリットの表面を均質にコーティングした(いわゆるカ
プセル処理した)粉末を作製した。
【0112】C.ペースト作製 上記の有機ビヒクルに有機染料でカプセル化処理した導
電性粉末およびガラスフリットを所定の組成となるよう
に添加し、3本ローラーで混合・分散してペーストを作
製した。
【0113】(ビアホール形成) ピッチ200μm、マスクビアホール径120μmで設
計されたクロムマスクを用い、 高圧水銀灯で片面の場
合は5.4J/cm2 、両面の場合は、片面ずつ3J/
cm2 で順次、または同時にて紫外線露光を行った。
【0114】その後、モノエタノールアミンの0.5%
水溶液に30秒浸漬して、現像を行った。
【0115】水洗後、乾燥して平均ビアホール径を測定
したところ、75μmの均一なビアホールが200mm
角サイズで得られた。
【0116】(パターン形成)表面処理液として(2−
アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランのイ
ソプロピルアルコールの0.5重量%溶液を用いる。こ
の溶液1.0mlを基板上に滴下し、スピナーで回転数
3000rpmで10秒塗布した後、室温で乾燥させて
表面処理を行った。 上記のペーストを325メッシュ
のスクリーンを用いて96%アルミナシート、コーディ
ライトシートおよびガラス/セラミックスシート(いず
れも76mm×76mm×0.635mmt)上に50
mm角の大きさにベタ印刷と同時にビアホールに導体を
充填し、80℃で40分間乾燥した。乾燥後の塗布膜の
厚みは25μmであった。
【0117】上記で作製した塗布膜を50μmのファイ
ンパターンを有する電極を形成したクロムマスクを用い
て、上面から500mW/cm2 の出力の超高圧水銀灯
で紫外線露光した。 次に25℃に保持したモノエタノ
ールアミンの0.5%の水溶液に浸漬して現像し、その
後スプレーを用いて未露光部を水洗浄し、その後エア
ーガンで水分を吹き飛ばし、50℃で30分間乾燥を行
った。
【0118】感光性導電ペーストの粘度はB型粘度計を
用いて、回転速度3rpmの条件で測定を行った。
【0119】焼成後の電極については、走査電子顕微鏡
(SEM)を用いてパターン解像度を、また、触針式表
面粗さ計を用いてRaを測定した。
【0120】ビアホール充填とパターン形成までを行っ
たシートはブチルアルコール系接着剤を塗布し、5層重
ね合わせて120℃、10MPaにて熱プレスを行っ
た。この時、金型表面とシートとの間にアラミド合成紙
を介していずれも4層で積層を行った。
【0121】パターン形成したセラミックグリーンシー
トを80℃で1時間乾燥した後、銅系、銀系ペーストの
場合は850℃、大気中で、タングステン系ペーストを
用いた場合は、1550℃、水素還元雰囲気にて焼成を
行った。
【0122】焼成体の評価はパターン断面形状、ビアホ
ール径の均一性を走査型電子顕微鏡によって観察した。
また、有機成分および無機粉末の屈折率は、それぞれエ
リプソメトリー法、ベッケ線検出法によって、436n
mの波長の光に関して測定を行った。ベッケ線検出法
は、光学顕微鏡光源部に高圧水銀灯とg線用の干渉フィ
ルターを用いて、25℃にて測定を行った。
【0123】下記実施例1〜3は、感光性アルミナグリ
ーンシートおよび感光性タングステンペーストを用いて
セラミックパッケージを試作した。
【0124】実施例1 表1に記載の組成からなる感光性セラミック組成物を用
いて、シート厚み100μmのグリーンシートを作製し
た。露光は片面から行い、30℃にてシャワー現像を行
った。パターン形成はセラミックグリーンシート上にペ
ーストを全面塗布し、ビアホールの導体充填を同時に行
った。焼成後も良好なビアホール形状が得られた。
【0125】実施例2 表1に記載の組成からなる感光性セラミック組成物を用
いて、シート厚み200μmのグリーンシートを作製し
た。露光は片面ずつ順次両側から行い、30℃にてシャ
ワー現像を行った。パターン形成はセラミックグリーン
シート上にペーストを全面塗布し、ビアホールの導体充
填を同時に行った。焼成後も良好なビアホール形状が得
られた。
【0126】実施例3 表1に記載の組成からなる感光性セラミック組成物を用
いて、シート厚み200μmのグリーンシートを作製し
た。露光は両面同時に行い、30℃にてシャワー現像を
行った。パターン形成はフィルム上にペーストを全面塗
布し、ビアホール形成した後、セラミックグリーンシー
トへ転写した。転写フィルムには、剥離強度5N/24
mmのポリエステルフィルムを用いた。焼成後も良好な
ビアホール形状が得られた。
【0127】下記実施例4〜6は、感光性コーディライ
トグリーンシートに、感光性銅ペーストまたは感光性銀
ペーストを用いてセラミックパッケージを試作した。
【0128】実施例4 表1に記載の組成からなる感光性セラミック組成物を用
いて、シート厚み150μmのグリーンシートを作製し
た。露光は片面から行い、30℃にてシャワー現像を行
った。パターン形成はセラミックグリーンシート上に銅
ペーストを全面塗布し、ビアホールの導体充填を同時に
行った。焼成後も良好なビアホール形状が得られた。
【0129】実施例5 表1に記載の組成からなる感光性セラミック組成物を用
いて、シート厚み250μmのグリーンシートを作製し
た。露光は片面ずつ順次両側から行い、30℃にてシャ
ワー現像を行った。パターン形成はフィルム上に銀ペー
ストを全面塗布し、ビアホール形成した後、グリーンシ
ートへ転写した。焼成後も良好なビアホール形状が得ら
れた。
【0130】実施例6 表1に記載の組成からなる感光性セラミック組成物を用
いて、シート厚み250μmのグリーンシートを作製し
た。露光は両面同時に行い、30℃にてシャワー現像を
行った。パターン形成はフィルム上に銀ペーストを全面
塗布し、ビアホール形成した後、セラミックグリーンシ
ートへ転写した。焼成後も良好なビアホール形状が得ら
れた。
【0131】下記実施例7〜10は、感光性ガラスセラ
ミックグリーンシートに、感光性銅ペーストまたは感光
性銀ペーストを用いてセラミックパッケージを試作し
た。
【0132】実施例7 表2に記載の組成からなる感光性セラミック組成物を用
いて、シート厚み200μmのグリーンシートを作製し
た。露光は片面から行い、30℃にてシャワー現像を行
った。パターン形成はセラミックグリーンシート上に銅
ペーストを全面塗布し、ビアホールの導体充填を同時に
行った。焼成後も良好なビアホール形状が得られた。
【0133】実施例8 表2に記載の組成からなる感光性セラミック組成物を用
いて、シート厚み300μmのグリーンシートを作製し
た。露光は両面同時に行い、35℃にてシャワー現像を
行った。パターン形成はフィルム上に銅ペーストを全面
塗布し、ビアホール形成した後、セラミックグリーンシ
ートへ転写した。焼成後も良好なビアホール形状が得ら
れた。
【0134】実施例9 表2に記載の組成からなる感光性セラミック組成物を用
いて、シート厚み300μmのグリーンシートを作製し
た。露光は両面同時に行い、35℃にてシャワー現像を
行った。パターン形成はフィルム上に銀ペーストを全面
塗布し、ビアホール形成した後、セラミックグリーンシ
ートへ転写した。焼成後も良好なビアホール形状が得ら
れた。
【0135】実施例10 表2に記載の組成からなる感光性セラミック組成物を用
いて、シート厚み400μmのグリーンシートを作製し
た。露光は両面同時に行い、35℃にてシャワー現像を
行った。パターン形成はフィルム上に銀ペーストを全面
塗布し、ビアホール形成した後、セラミックグリーンシ
ートへ転写した。焼成後も良好なビアホール形状が得ら
れた。
【0136】実施例11 表2に記載の組成からなる感光性セラミック組成物を用
いて、シート厚み200μmのグリーンシートを作製し
た。露光は両面から同時に行い、35℃にて現像液中に
静置し、現像を行った。その後、グリーンシート上に銀
ペーストをスクリーン印刷し、回路形成とビアホール充
填を同時に行った。焼成後も良好なビアホール形状が得
られた。
【0137】比較例1 表3に記載の組成からなる感光性セラミック組成物を用
いて、シート厚み200μmの感光性アルミナグリーン
シートに、片面露光、現像温度30℃にてビアホール形
成を行った。
【0138】無機成分との界面での散乱光により未露光
部が光硬化し、現像時に残膜が形成し、ストレートなビ
アホールが得られなかった。片面では200μmのシー
ト厚みに対して、紫外線が充分透過できないことがわか
った。
【0139】比較例2 表3に記載の組成からなる感光性セラミック組成物を用
いて、シート厚み300μmの感光性コーディライトグ
リーンシートに、片面露光、現像温度30℃にてビアホ
ール形成を行った。
【0140】無機成分の内部での散乱により未露光部が
光硬化し、現像時に残膜が形成し、ストレートなビアホ
ールが得られなかった。片面では300μmのシート厚
みに対して、紫外線が充分透過できないことがわかっ
た。
【0141】
【表1】
【表2】
【表3】
【0142】
【発明の効果】本発明は、半導体素子搭載用セラミック
基板に用いられる無機粉末の屈折率制御を行うことによ
って、高アスペクト比かつ高精度のビアホール形成およ
び回路配線パターン加工を行うことができる。これによ
って、回路材料等の厚膜で、高精度のパターン加工が可
能になり、パッケージの小型化、高密度化および歩留り
の向上が可能になる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩永 慶二 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株 式会社滋賀事業場内 (72)発明者 木村 邦子 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株 式会社滋賀事業場内

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】厚みが15〜500μmのセラミック焼成
    基板であって、最密なビアホールパターンがビアホール
    直径15〜150μm、ビアホールピッチ25〜200
    μmであることを特徴とするセラミック基板。
  2. 【請求項2】焼成後の厚みが7〜80μmの回路配線パ
    ターンが形成されたセラミック基板であって、該回路配
    線パターンの最密なライン・アンド・スペースが、ライ
    ン8〜80μm、スペース8〜400μmであることを
    特徴とするセラミック基板。
  3. 【請求項3】基板の屈折率が1.5〜1.8であること
    を特徴とする請求項1または請求項2記載のセラミック
    基板。
  4. 【請求項4】アルミナ、ジルコニア、マグネシア、ベリ
    リア、ムライト、コーディライト、スピネル、フォルス
    テライト、アノーサイト、セルジアン、シリカおよび窒
    化アルミの群から選ばれた少なくとも一種を含むことを
    特徴とする請求項1または請求項2記載のセラミック基
    板。
  5. 【請求項5】ガラス30重量%以上とアルミナ、ジルコ
    ニア、マグネシア、ベリリア、ムライト、コーディライ
    ト、スピネル、フォルステライト、アノーサイト、セル
    ジアン、シリカおよび窒化アルミの群から選ばれた少な
    くとも一種の無機フィラー70重量%以下からなること
    を特徴とする請求項1または請求項2記載のセラミック
    基板。
  6. 【請求項6】ガラスとアルミナ、ジルコニア、マグネシ
    ア、ベリリア、ムライト、コーディライト、スピネル、
    フォルステライト、アノーサイト、セルジアン、シリカ
    および窒化アルミの群から選ばれた少なくとも一種の無
    機フィラーからなり、ガラスがムライトを主結晶成分と
    して析出し、無機フィラーとガラスの界面でコーディラ
    イトを析出していることを特徴とする請求項1または請
    求項2記載のセラミック基板。
  7. 【請求項7】以下の(1)から(3)の工程を少なくとも含む
    ことを特徴とするセラミック基板の製造方法であって、
    無機粉末として平均屈折率が1.5〜1.8の範囲の無
    機粉末を用いることを特徴とするセラミック基板の製造
    方法。 (1) 無機粉末および感光性有機成分を含む感光性セラミ
    ック組成物を支持体に塗布する工程、 (2) マスクパターンを介して紫外線照射による露光、お
    よび現像によってビアホールを形成する工程、 (3) 焼成する工程。
  8. 【請求項8】以下の(1)から(4)の工程を少なくとも含む
    ことを特徴とするセラミック基板の製造方法であって、
    無機粉末として平均屈折率が1.5〜1.8の範囲の無
    機粉末を用いることを特徴とするパターン形成されたセ
    ラミック基板の製造方法。 (1) 無機粉末および感光性有機成分を含む感光性セラミ
    ック組成物を支持体に塗布する工程、 (2) マスクパターンを介して紫外線照射による露光、お
    よび現像によってビアホールを形成する工程、 (3) 導電ペーストを用いて、回路配線パターンを形成す
    る工程、 (4) 焼成する工程。
  9. 【請求項9】回路配線パターンを形成する工程におい
    て、感光性導電ペーストをビアホールに充填と同時にシ
    ート表面に塗布した後、露光、現像により回路配線パタ
    ーンを形成することを特徴とするパターン形成されたセ
    ラミック基板の製造方法。
  10. 【請求項10】回路配線パターンを形成する工程におい
    て、感光性導電ペーストをフィルム表面に塗布し、露
    光、現像により回路配線パターンを作製した後、無機粉
    末および有機成分からなるセラミック組成物膜表面に転
    写して、パターン形成することを特徴とするパターン形
    成されたセラミック基板の製造方法。
  11. 【請求項11】有機成分の平均屈折率N1と無機粉末の
    平均屈折率N2に関して、次式を満たすことを特徴とす
    る請求項7ないし請求項10記載のセラミック基板の製
    造方法。 −0.05≦N2−N1≦0.2
  12. 【請求項12】平均屈折率が1.5〜1.8の範囲の無
    機粉末を用いることを特徴とする請求項7ないし請求項
    10記載のセラミック基板の製造方法。
  13. 【請求項13】平均屈折率が1.5〜1.75の感光性
    有機成分を用いることを特徴とする請求項7ないし請求
    項10記載のセラミック基板の製造方法。
  14. 【請求項14】無機粉末が、アルミナ、ジルコニア、マ
    グネシア、ベリリア、ムライト、コーディライト、スピ
    ネル、フォルステライト、アノーサイト、セルジアン、
    シリカおよび窒化アルミの群から選ばれた少なくとも一
    種であることを特徴とする請求項7ないし請求項10記
    載のセラミック基板の製造方法。
  15. 【請求項15】ガラス粉末30重量%以上と、アルミ
    ナ、ジルコニア、マグネシア、ベリリア、ムライト、コ
    ーディライト、スピネル、フォルステライト、アノーサ
    イト、セルジアン、シリカおよび窒化アルミの群から選
    ばれた少なくとも一種の無機フィラー粉末70重量%以
    下との混合物からなることを特徴とする請求項7ないし
    請求項10記載のセラミック基板の製造方法。
  16. 【請求項16】ガラス粉末が焼成によって、ムライトを
    主結晶成分として析出し、無機フィラーとガラス組成粉
    末との界面でコーディライトを析出することを特徴とす
    る請求項15記載のセラミック基板の製造方法。
  17. 【請求項17】無機粉末として、球形率80個数%以上
    の無機粉末を用いることを特徴とする請求項7ないし請
    求項10記載のセラミック基板の製造方法。
  18. 【請求項18】無機粉末として球形率80個数%以上の
    アルミナ、コーディライト、またはシリカを用いること
    を特徴とする請求項7ないし請求項10記載のセラミッ
    ク基板の製造方法。
  19. 【請求項19】無機粉末と有機成分の比率が50〜95
    重量部/5〜50重量部であることを特徴とする請求項
    7ないし請求項10記載のセラミック基板の製造方法。
  20. 【請求項20】感光性有機成分として、スチレン、ハロ
    ゲン化スチレン、α−メチルスチレン、ハロゲン化α−
    メチルスチレンの群から選ばれる少なくとも1種類を1
    0重量%以上含有するオリゴマーもしくはポリマーを用
    いることを特徴とする請求項7ないし請求項10記載の
    セラミック基板の製造方法。
  21. 【請求項21】感光性有機成分として、ベンゼン環を有
    するアクリレートまたはメタクリレートを10重量%以
    上含有するモノマー、もしくはそのモノマーを10重量
    %以上含む組成物を重合したオリゴマーもしくはポリマ
    ーを用いることを特徴とする請求項7ないし請求項10
    記載のセラミック基板の製造方法。
  22. 【請求項22】硫黄原子、臭素原子、ヨウ素原子、ベン
    ゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、アントラセン
    環、カルバゾール環の群から選ばれた基の感光性有機成
    分中における含有率が5重量%以上であることを特徴と
    する請求項7ないし請求項10記載のセラミック基板の
    製造方法。
  23. 【請求項23】感光性有機成分として、紫外線吸光剤を
    0.05〜5重量%含有することを特徴とする請求項7
    ないし請求項10記載のセラミック基板の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004256345A (ja) * 2003-02-25 2004-09-16 Kyocera Corp 低温焼成磁器組成物および低温焼成磁器並びに配線基板
JP2008085034A (ja) * 2006-09-27 2008-04-10 Kyocera Corp 配線基板

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