JPH10204441A - 含浸用ピッチの製造方法およびその製造装置 - Google Patents

含浸用ピッチの製造方法およびその製造装置

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JPH10204441A
JPH10204441A JP9008489A JP848997A JPH10204441A JP H10204441 A JPH10204441 A JP H10204441A JP 9008489 A JP9008489 A JP 9008489A JP 848997 A JP848997 A JP 848997A JP H10204441 A JPH10204441 A JP H10204441A
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coal
temperature
liquid
carbon
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JP9008489A
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Kozo Yumitate
浩三 弓立
Hironori Morioka
洋典 森岡
Shinichiro Matsumoto
新一郎 松本
Yoichi Tajima
洋一 田島
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JFE Steel Corp
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 含浸用ピッチとしての含浸性および炭化特性
を更に一段と向上させ、品質的により一層安定性の高い
含浸用ピッチを、経済的にしかも工業的規模で製造でき
る方法とその製造装置を提案すること。 【解決手段】 フリーカーボンを1〜10wt%含有する高
温乾留コールタールに対し、 0.3〜3.0 倍量の石炭系ガ
ス軽油を添加して混合し、その混合液から、フリーカー
ボンを含む石炭系ガス軽油の不溶性成分を重液として遠
心分離し、次いで、分離重液の除去によって得られる軽
液から、フリーカーボンおよびキノリン可溶性成分であ
る高分子成分を重力沈降分離して除去し、その後、重力
沈降分離で得られる上澄液から、さらに低分子成分を 2
50〜 370℃の温度で蒸留して留去することを特徴とする
含浸用ピッチの製造方法とその製造装置を提案する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、含浸用ピッチの製
造方法およびその製造装置に関し、特に、製鋼用黒鉛電
極や機械用・化学構造用カーボン、炭素耐火物等の炭素
製品への含浸処理に用いて有利なピッチの製造方法とそ
の製造装置について提案する。
【0002】
【従来の技術】製鋼用黒鉛電極や機械用・化学構造用カ
ーボン、炭素耐火物等の炭素製品は、一般に、石油コー
クスやピッチコークス等の骨材コークスをバインダーピ
ッチなどの結合材で固め、焼成及び黒鉛化の過程を経て
製造される。ところが、この焼成及び黒鉛化の過程で
は、結合材中の低分子量成分が蒸発したり、高分子量成
分が熱分解したりするので、得られる炭素製品は、気孔
の多いものとなり、カサ比重が低く、しかも機械強度や
電気抵抗の特性が悪いという欠点があった。これに対
し、かかる欠点を補償するために、上記炭素製品中の気
孔内にピッチ等を含浸して焼成あるいは黒鉛化処理を行
う、含浸−焼成・黒鉛化工程を、1〜10回繰り返すこと
により、炭素製品のカサ比重を大きくさせる工夫がなさ
れている。
【0003】このような炭素製品への上記含浸に用いら
れるピッチは、主に、コールタールを原料として製造さ
れ、 .炭素製品の微細な気孔にまで含浸でき、かつ含浸速
度が早いこと、即ち含浸性に優れることと、 .焼成時の炭化歩留が高いこと、即ち炭化特性に優れ
ること、が要求される。
【0004】しかしながら、このコールタール中には、
炭素製品中の気孔を閉塞させてピッチの含浸性を著しく
妨げるフリーカーボンが存在する。このため、上記特性
を満足する含浸用ピッチを製造するためには、コールタ
ール中に存在するフリーカーボンを分離、除去する必要
があった。
【0005】これに対し従来、上記コールタールからフ
リーカーボンを分離、除去して含浸用ピッチを製造する
方法として、例えば、特公平3−54994 には、コールタ
ール中に芳香族系溶剤を添加混合し、該溶剤に不溶の成
分としてフリーカーボンを分離し除去する方法が開示さ
れている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記コ
ールタール中に含まれるフリーカーボンは、直径が1μ
m以下の極めて微細なカーボン粒子であり、分離除去に
は多大の時間と労力を要するという問題があった。
【0007】そこで、本発明の主たる目的は、含浸用ピ
ッチとしての含浸性および炭化特性を更に一段と向上さ
せ、品質的により一層安定性の高い含浸用ピッチを、経
済的にしかも工業的規模で製造できる方法を提案するこ
とにある。本発明の他の目的は、上記製造方法を好適に
実施することができる製造装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記目的の
実現に向け鋭意研究を行った結果、以下に述べる内容を
要旨構成とする本発明を完成するに至った。即ち、本発
明は、フリーカーボンを1〜10wt%含有する高温乾留コ
ールタールに対し、 0.3〜 3.0倍量の石炭系ガス軽油を
添加して混合し、その混合液から、フリーカーボンを含
む石炭系ガス軽油の不溶性成分を重液として遠心分離
し、次いで、分離重液の除去によって得られる軽液か
ら、フリーカーボンおよびキノリン可溶性成分である高
分子成分を重力沈降分離して除去し、その後、重力沈降
分離で得られる上澄液から、さらに低分子成分を 250〜
370℃の温度で蒸留して留去することを特徴とする含浸
用ピッチの製造方法である。
【0009】なお、上記本発明の方法において、遠心分
離は、30〜70℃の温度で、遠心力1000G以上、遠心時間
30秒以上の条件で処理することが望ましく、また、重力
沈降分離は、重力沈降槽として、沈降断面積(S)が
0.1m2以上でタンクの高さ(L)とSの比(L/S)が
0.04〜0.50の円筒型タンクあるいは箱型タンクを用い、
30〜70℃の温度で処理することが望ましい。
【0010】そして、上述した本発明にかかる製造方法
を好適に実施することができる製造装置として本発明
は、フリーカーボンを含有する高温乾留コールタールに
石炭系ガス軽油を添加して混合する混合装置、混合液か
らフリーカーボンを含む石炭系ガス軽油の不溶性成分を
重液として遠心分離する遠心分離装置、分離重液の除去
によって得られる軽液からフリーカーボンおよびキノリ
ン可溶性成分である高分子成分を分離して除去する重力
沈降装置、および重力沈降分離で得られる上澄液からさ
らに低分子成分を蒸留して留去する蒸留装置、を組み合
わせて構成したことを特徴とする含浸用ピッチの製造装
置を提案する。
【0011】
【発明の実施の形態】さて、石炭を高温乾留(1000〜13
00℃)すると、フリーカーボンを含むキノリン不溶成分
がタール中に存在する。この含有量はコークス炉の構造
および操業条件に依存し、更にこのフリーカーボンの大
きさは直径1μm以下の微粒子であることが知られてい
る。このフリーカーボンは、コークス炉内で石炭の熱分
解により生成したコールタールの蒸気が1000〜1300℃の
熱履歴を受けて生成するものであり(気相熱分解)、一
般にはコークス炉の操業条件がより高温である程、この
フリーカーボンの生成量は多くなる。
【0012】本発明にかかる含浸用ピッチの製造方法
は、この石炭の高温乾留によって得られるコールタール
を出発原料とした点に1の特徴がある。これにより、炭
化特性の優れた含浸用ピッチを製造することができる。
なぜなら、石炭の高温(1000〜1300℃)乾留タールは、
石炭の低温( 500〜 800℃)乾留タールや石油系タール
と比較して芳香族性が高く、窒素や硫黄の如きヘテロ原
子が少なく品質の優れたタールだからである。
【0013】この高温乾留コールタールより得られるピ
ッチは、軟化点が低い割には、フリーカーボンと呼ばれ
る粒径1μm以下のカーボンを主体とする固体粒子を含
有する。この固体粒子は、含浸用ピッチの含浸性を著し
く阻害するので、分離除去する必要がある。なぜなら、
含浸用ピッチ中に存在するフリーカーボンは、電極等の
炭素製品中の微細な気孔を閉塞し、ピッチの含浸性を悪
くするからである。
【0014】本発明の製造方法は、このフリーカーボン
を確実に分離除去できる方法に他の特徴がある。即ち、
高温乾留コールタールからフリーカーボンを分離除去す
る方法として、本発明は、まず最初に、大部分のフリー
カーボンを遠心分離除去し、引き続き、残存するフリー
カーボンとキノリン可溶分のうちの高分子成分を重力沈
降分離して除去する、という2段の分離除去方法を採用
した。これにより、コールタールからフリーカーボンと
キノリン可溶分のうちの高分子成分を確実に分離除去
し、含浸性に優れたピッチを効率よく製造することがで
きる。
【0015】このような2段階の分離除去操作を実施す
るにあたり、本発明では、高温乾留コールタールに対し
0.3〜3倍量の石炭系ガス軽油を添加して混合する。こ
の石炭系ガス軽油は、コールタールの粘度を下げて分離
効率を良くする働き(粘度低減効果)の他に、フリーカ
ーボンを不溶性成分として取り込み凝集させて分離効率
を良くする働き(凝集効果)があるからである。これに
より、コールタール中に均一に分散しているフリーカー
ボンは、石炭系ガス軽油の不溶成分として凝集し分離さ
れる。
【0016】ここで、上記石炭系ガス軽油の添加量が
0.3倍量未満であると、粘度低減効果と凝集効果が不十
分となる。一方、添加量が3倍量を超えると、粘度低減
効果と凝集効果は充分であるが、後に行うこの石炭系ガ
ス軽油の回収という事を考えると、経済的な点で不利で
ある。更には、コールタール中のピッチとしての有効成
分までが石炭系ガス軽油の不溶性成分として分離除去さ
れるために、ピッチの固定炭素量が上がらないという問
題点がある。結局、石炭系ガス軽油の添加混合比はコー
ルタール量に対して 0.3〜3倍量が最も好ましく、この
範囲であれば粘度低減効果と凝集効果が十分となり、か
つ経済的な点でも有利となる。
【0017】また、このような2段階の分離除去操作を
実施するにあたり、本発明では、フリーカーボンの含有
量が1〜10wt%の範囲内にある高温乾留コールタールを
用いる。フリーカーボンの含有量が1wt%未満のコール
タールは、コークス炉における熱履歴が充分でなく、後
の工程でピッチ化する際に固定炭素量が大きくならない
という問題がある。一方、フリーカーボンの含有量が10
wt%を超えるコールタールは、粘度が大きく、石炭系ガ
ス軽油を混合する際に、混合液の粘度を下げるためにガ
ス軽油を多量に使用しなければならないという問題点が
あり、しかもフリーカーボンの分離も不十分となるから
である。
【0018】そして、上述した2段階の分離除去操作の
うち、フリーカーボンを分離除去する1段目の遠心分離
処理では、フリーカーボンのうちの95%以上が、大きい
遠心力を利用して分離され、石炭系ガス軽油の不溶性成
分として分離除去される。この遠心分離処理をまず最初
に行うのは、フリーカーボンを効率良く、かつ短時間で
分離除去できるからである。この時、石炭系ガス軽油の
不溶性成分量(GLOI:GLO-Insoluble )は、フリーカー
ボンを含むキノリン不溶成分量(QI:quinoline-Insolu
ble )とほぼGLOI≒2×QIの関係があり、GLOIの方が大
きい。
【0019】ここで、上記遠心分離処理は、30〜70℃の
温度で、遠心力1000G以上、遠心時間30秒以上の条件で
処理することが望ましい。コールタールと石炭系ガス軽
油の混合液の粘度は温度に大きく依存し、処理温度が30
℃未満であると、その混合液の粘度が下がらずフリーカ
ーボンの充分な分離効率が得られない。一方、処理温度
が70℃を超えると、石炭系ガス軽油(石炭系ガス軽油の
組成は、ベンゼン、トルエン、キシレンで約90%)の一
部が蒸発してしまい、分離操作上、問題となるからであ
る。また、遠心力については、1000G未満であると、遠
心効果が充分に機能ぜず、コールタール中のフリーカー
ボンの分離効率が著しく悪くなるからである。
【0020】また、2段階の分離除去操作のうち、フリ
ーカーボンとキノリン可溶性成分のうちの高分子成分を
分離除去する2段目の重力沈降分離処理では、上記遠心
分離処理で得られたフリーカーボン含有量の少ない軽液
から、フリーカーボンとキノリン可溶性成分である高分
子成分が、重力差を利用した沈降処理によって分離除去
される。コールタール中のキノリン可溶性成分のうちの
高分子成分を分離除去するのは、その高分子成分は、含
浸用ピッチ中に存在するとかなり粘稠な成分となり、炭
素製品への含浸プロセスにおいて、炭素材表面および気
孔中でゴム状物質となり、ピッチの含浸性を妨げるから
である。なお、キノリン可溶性成分のうちの高分子成分
の分離除去は、重力沈降によってのみ可能である。
【0021】ここで、上記重力沈降分離処理は、重力沈
降槽として、沈降断面積(S)が0.1m2 でタンクの高
さ(L)とSの比がL/S=0.04〜0.50の円筒型タンク
あるいは箱型タンクを用い、30〜70℃の温度で処理する
ことが望ましい。このような重力沈降槽を用いる重力沈
降によれば、2〜150 時間の滞留時間で、フリーカーボ
ンが完全に除去されると同時にキノリン可溶性成分のう
ちの高分子成分も分離除去できる。これに対し、重力沈
降槽におけるタンク断面積が 0.1m2 未満であると、い
わゆる壁効果により沈降速度が小さくなり、分離効率が
悪くなる。また、タンクの高さ(L)とSの比が0.04未
満および0.50を超えると、連続で重力沈降処理する際
に、滞留時間の分布が大きくなり、完全にフリーカーボ
ンが除去できず、かつ完全に除去するには多大の時間が
かかる。さらに、処理温度が30℃未満だと、処理液の粘
度が高くて沈降速度が小さく分離効率が悪く、一方、処
理温度が70℃を超えると、石炭系ガス軽油の一部が蒸発
して、作業性に問題が生じるからである。
【0022】このようにして、フリーカーボンおよびコ
ールタールのキノリン可溶性成分のうちの高分子成分が
分離除去されたコールタールは、蒸留によりコールター
ル中の軽質分(アントラセン油など)が留去される。同
時に、熱による重縮合反応が起こり、高分子成分が生成
し、軟化点40〜 120℃の含浸用ピッチが得られる。
【0023】ここで生成する高分子成分は、メソフェー
ズと呼ばれるキノリン不溶性成分ではなく、キノリンに
可溶でトルエンに不溶な成分(β−レジン成分)であ
る。一方、ピッチを熱処理する際に生成するメソフェー
ズは光学的異方性組織でキノリン不溶分である。そのた
め、蒸留温度は、メソフェーズが生成する熱処理温度よ
りも低い 250〜370 ℃とすることが望ましい。蒸留温度
が 250℃未満であると、軽質分の留去が充分でなくピッ
チの炭化特性が悪くなる。一方、 370℃を超えると、ピ
ッチ中に新たなメソフェーズであるキノリン不溶性成分
が生成し、このキノリン不溶性成分がピッチの含浸性を
阻害させるからである。
【0024】なお、この蒸留は、常圧でも良いが、より
好ましくは 500mmHg以下の減圧下、あるいはスチームを
用いた水蒸気蒸留を用いることが、熱重合によるメソフ
ェーズ(キノリン不溶性成分)の生成を抑制し、低分子
成分を効率よく留去するために、より好ましい。
【0025】以上説明したようにして得られる含浸用ピ
ッチは、軟化点が40〜 120℃で、フリーカーボンおよび
メソフェーズのキノリン不溶性成分を全く含まず、固定
炭素量も40〜65wt%と高く、優れた特性を示す。
【0026】以上説明したような本発明にかかる製造方
法を好適に実施することができる製造装置として本発明
は、その一実施態様を図1に示すように、フリーカーボ
ンを含有する高温乾留コールタールと石炭系ガス軽油を
混合する混合装置1、遠心力を利用する遠心分離装置
2、重力差を利用する重力沈降装置3および蒸留装置4
を組み合わせて構成した含浸用ピッチの製造装置を提案
する。
【0027】ここで、上記遠心分離装置2は、混合装置
1で混合された混合液からフリーカーボンを含む石炭系
ガス軽油の不溶性成分を重液として遠心分離する装置で
あり、遠心分離された重液と軽液とに分離排出する排出
口を設けると共に、その軽液排出側で重力沈降装置3と
接続することが望ましい。
【0028】上記重力沈降装置3は、遠心分離重液の除
去によって得られる軽液からフリーカーボンおよびキノ
リン可溶性成分である高分子成分を重力沈降分離して除
去する装置であり、該装置内底部に重力沈降したフリー
カーボンや高分子成分を系外に連続的に排出する排出手
段を具えることが望ましい。この排出手段としてはコン
ベア機構からなる掻き出し装置を用いてもよい。
【0029】上記蒸留装置4は、重力沈降分離で得られ
る上澄液から石炭系ガス軽油6ならびに低分子成分11を
250〜 370℃の温度で蒸留して留去するための装置であ
る。
【0030】このような製造装置を用いて含浸用ピッチ
を製造するに当たり、まず、フリーカーボンを含有する
高温乾留コールタール5と石炭系ガス軽油6は、それぞ
れの供給管から一定重量比率で混合装置1に供給され、
均一に混合されたのち遠心分離装置2内に導入される。
次いで、遠心分離装置2内に導入された混合液は、その
混合液中の遠心分離した不溶性成分が重液7としてまず
系外に排出されると共に、その混合液中の上澄液が軽液
8として重力沈降装置3に導入される。そして、重力沈
降装置3内に導入された軽液8は、その軽液中の重力沈
降したもの(フリーカーボンおよびキノリン可溶性成分
である高分子成分)9が系外に排出されると共に、その
軽液中の上澄液10が回収されて蒸留装置4内に導入され
る。そしてさらに、回収された上澄液10は、蒸留装置4
にて蒸留され、製品ピッチ12になる。
【0031】
【実施例】以下、実施例にて説明する。 (実施例1) (1) フリーカーボンを4wt%含有する高温乾留コールタ
ール 100重量部に石炭系ガス軽油 100重量部を添加して
混合した混合液に対し、60℃で、遠心力1000G、遠心時
間30秒の条件で遠心分離処理し、コールタールからフリ
ーカーボンを含む石炭系ガス軽油の不溶性成分を重液と
して分離除去した。この時、分離重液を除去して得られ
た軽液中のキノリン不溶分量は 0.1wt%で、この軽液の
収率は混合液に対して88wt%であった。
【0032】(2) 次に、前記(1) で得られた軽液を、断
面積(S)が 0.5m2 で高さ(L)が0.2m(L/S=
0.2/ 0.5= 0.4)の円筒型タンク内に供給し、60℃で1
5時間の条件にて重力沈降分離処理し、コールタール中
のフリーカーボンおよびキノリン可溶分中の高分子成分
を分離除去した。この時、重力沈降分離で得られた上澄
液の80wt%を回収した。
【0033】(3) そして、前記(2) で回収した上澄液
を、20l オートクレーブを用い、減圧下(50mmHg)、 2
80℃の温度で蒸留し、石炭系ガス軽油およびコールター
ル中の低分子成分を留去して含浸用ピッチを製造した。
【0034】このようにして製造した含浸用ピッチの特
性は、軟化点=90℃、キノリン不溶分=トレース、固定
炭素量=55wt%であった。なお、これらの測定はJIS K
2425に基づいて行い、その結果を表1に示す。
【0035】(実施例2、3、比較例1、2)高温乾留
コールタール中に含まれるフリーカーボンの量を表1に
示すように変化させたこと以外は、実施例1と同様の方
法により含浸用ピッチを製造した。その結果を表1に示
す。
【0036】(実施例4) (1) フリーカーボンを8wt%含有する高温乾留コールタ
ール 100重量部に石炭系ガス軽油 150重量部を添加して
混合した混合液に対し、35℃で、遠心力2000G、遠心時
間30秒の条件で遠心分離処理し、コールタールからフリ
ーカーボンを含む石炭系ガス軽油の不溶性成分を重液と
して分離除去した。この時、分離重液を除去して得られ
た軽液中のキノリン不溶分量は0.15wt%で、この軽液の
収率は混合液に対して85wt%であった。
【0037】(2) 次に、前記(1) で得られた軽液を、断
面積(S)が2m2 (1m×2m)で高さ(L)が 0.3
m(L/S=0.15)の箱型タンク内に供給し、50℃で10
時間の条件にて重力沈降分離処理し、コールタール中の
フリーカーボンおよびキノリン可溶分中の高分子成分を
分離除去した。この時、重力沈降分離で得られた上澄液
の75wt%を回収した。
【0038】(3) そして、前記(2) で回収した上澄液
を、スチーミングの条件下( 200kg/hr)、 250℃の温
度で蒸留し、石炭系ガス軽油およびコールタール中の低
分子成分を留去して含浸用ピッチを製造した。
【0039】このようにして製造した含浸用ピッチの特
性は、軟化点=78℃、キノリン不溶分=トレース、固定
炭素量=53wt%であった。その結果を表1に示す。
【0040】(実施例5、6、比較例3、4)石炭系ガ
ス軽油の添加量を表1に示すように変化させたこと以外
は、実施例2と同様の方法により含浸用ピッチを製造し
た。その結果を表1に示す。
【0041】(実施例7) (1) フリーカーボンを4wt%含有する高温乾留コールタ
ール 100重量部に石炭系ガス軽油 150重量部を添加して
混合した混合液に対し、40℃で、遠心力1500G、遠心時
間50秒の条件で遠心分離処理し、コールタールからフリ
ーカーボンを含む石炭系ガス軽油の不溶性成分を重液と
して分離除去した。この時、分離重液を除去して得られ
た軽液中のキノリン不溶分量は0.15wt%で、この軽液の
収率は混合液に対して85wt%であった。
【0042】(2) 次に、前記(1) で得られた軽液を、断
面積(S)が4m2 (2m×2m)で高さ(L)が 0.3
m(L/S=0.075 )の箱型タンク内に供給し、40℃で
20時間の条件にて重力沈降分離処理し、コールタール中
のフリーカーボンおよびキノリン可溶分中の高分子成分
を分離除去した。この時、重力沈降分離で得られた上澄
液の75wt%を回収した。
【0043】(3) そして、前記(2) で回収した上澄液
を、スチーミングの条件下(200kg/hr)、 330℃の温度
で蒸留し、石炭系ガス軽油およびコールタール中の低分
子成分を留去して含浸用ピッチを製造した。
【0044】このようにして製造した含浸用ピッチの特
性は、軟化点=85℃、キノリン不溶分=トレース、固定
炭素量=52wt%であった。その結果を表1に示す。
【0045】(実施例8、9、比較例5、6)重力沈降
で得られた上澄液の蒸留温度を表1に示すように変化さ
せたこと以外は、実施例7と同様の方法により含浸用ピ
ッチを製造した。その結果を表1に示す。
【0046】(比較例7) (1) フリーカーボン6wt%含有する高温乾留コールター
ル 100重量部に石炭系ガス軽油 150重量部を添加して混
合した混合液を、実施例4で用いた箱型タンク(断面
積:S=2m2 ,高さ:L= 0.3m)内に供給し、50℃
で10時間の条件にて重力沈降分離処理した。その処理液
の上澄液の10wt%を取り出し、キノリン不溶分を測定し
たところ2wt%であった。更に60時間重力沈降分離処理
し、その処理後の上澄液の50wt%を取り出し、キノリン
不溶分を分析したところ 0.5wt%であった。
【0047】(2) 前記(1) の重力沈降分離で得られた上
澄液を、35℃で、遠心力2000G、遠心時間30秒の条件で
遠心分離処理し、フリーカーボンを含む石炭系ガス軽油
の不溶性成分を重液として分離除去した。この時、軽液
中のキノリン不溶成分量はTrace で、軽液の収率は前記
(1) の重力沈降分離で得られた上澄液に対して70wt%で
あった。
【0048】(3) 前記(2) で得られた軽液を、スチーミ
ングの条件下( 200kg/hr)、 330℃の温度で蒸留し、
石炭系軽油およびコールタール中の軽質分を留去して含
浸用ピッチを製造した。
【0049】このようにして製造した含浸用ピッチの特
性は、軟化点=80℃、キノリン不溶分=トレース,固定
炭素量=48wt%であった。この比較例では、実施例2と
比較して、フリーカーボンの分離除去に要する時間が長
く、しかも固定炭素量が小さかった。
【0050】(比較例8) (1) フリーカーボン3wt%含有する高温乾留コールター
ル 100重量部に石炭系軽油 100重量部を添加して混合し
た混合液に対し、40℃で、遠心力3000G、遠心時間30秒
の条件で遠心分離処理し、コールタールからフリーカー
ボンを含む石炭系ガス軽油の不溶性成分を重液として分
離除去した。この時、分離重液を除去して得られた軽液
中のキノリン不溶成分量は 0.3wt%で、軽液の収率は混
合液に対して85wt%であった。 (2) 次に、前記(1) で得られた軽液を、断面積(S)が
0.07m2 で高さ(L)が0.1m(L/S= 0.1/0.07=
1.43)の円筒型容器内に供給し、40℃で40時間の条件に
して重力沈降分離処理した。この時、重力沈降分離で得
られた上澄液の50wt%を回収し、キノリン不溶分を測定
したところ 0.2wt%で、フリーカーボンは完全に分離除
去できていなかった。
【0051】(比較例9)実施例1の遠心分離で得られ
たキノリン不溶分 0.1wt%の軽液を、20l オートクレー
ブを用い、減圧下(50mmHg)、 280℃の温度で蒸留して
含浸用ピッチを製造した。このようにして製造した含浸
用ピッチの特性は、軟化点=88℃、キノリン不溶分=
0.4wt%、固定炭素量=55wt%であった。
【0052】
【表1】
【0053】表1に示す実施例1〜9と比較例1〜6の
比較から明らかなように、本発明によれば、含浸性およ
び炭化特性に優れた含浸用ピッチを確実に製造すること
ができる。また、表1に示す実施例1〜9と比較例7〜
9の比較から明らかなように、混合工程、遠心分離工
程、重力沈降工程、蒸留工程を経る本発明の方法によれ
ば、品質に優れる含浸用ピッチを、経済的にしかも工業
的にも効率よく製造することができる。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、含
浸用ピッチとしての含浸性および炭化特性を更に一段と
向上させ、品質的により一層安定性の高い含浸用ピッチ
を、経済的にしかも工業的規模で製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる製造装置の一実施形態を示す図
である。
【符号の説明】 1 混合装置 2 遠心分離装置 3 重力沈降装置 4 蒸留装置 5 高温乾留コールタール 6 石炭系ガス軽油 7 重液 8 軽液 9 フリーカーボンおよびキノリン可溶性成分である高
分子成分 10 上澄液 11 低分子成分 12 製品ピッチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C21C 5/52 C21C 5/52 (72)発明者 松本 新一郎 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 田島 洋一 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フリーカーボンを1〜10wt%含有する高温
    乾留コールタールに対し、 0.3〜3.0倍量の石炭系ガス
    軽油を添加して混合し、その混合液から、フリーカーボ
    ンを含む石炭系ガス軽油の不溶性成分を重液として遠心
    分離し、次いで、分離重液の除去によって得られる軽液
    から、フリーカーボンおよびキノリン可溶性成分である
    高分子成分を重力沈降分離して除去し、その後、重力沈
    降分離で得られる上澄液から、さらに低分子成分を 250
    〜 370℃の温度で蒸留して留去することを特徴とする含
    浸用ピッチの製造方法。
  2. 【請求項2】上記遠心分離は、30〜70℃の温度で、遠心
    力1000G以上、遠心時間30秒以上の条件で処理すること
    を特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】上記重力沈降分離は、重力沈降槽として、
    沈降断面積(S)が 0.1m2以上でタンクの高さ(L)と
    Sの比(L/S)が0.04〜0.50である円筒型タンクある
    いは箱型タンクを用い、30〜70℃の温度で処理すること
    を特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】フリーカーボンを含有する高温乾留コール
    タールに石炭系ガス軽油を添加して混合する混合装置、
    混合液からフリーカーボンを含む石炭系ガス軽油の不溶
    性成分を重液として遠心分離する遠心分離装置、分離重
    液の除去によって得られる軽液からフリーカーボンおよ
    びキノリン可溶性成分である高分子成分を分離して除去
    する重力沈降装置、および重力沈降分離で得られる上澄
    液からさらに低分子成分を蒸留して留去する蒸留装置、
    を組み合わせて構成したことを特徴とする含浸用ピッチ
    の製造装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004278862A (ja) * 2003-03-13 2004-10-07 Fuji Electric Systems Co Ltd 直流電気抵抗式還元溶融炉
JP2007002124A (ja) * 2005-06-24 2007-01-11 Jfe Chemical Corp 含浸用ピッチ及びその製造方法
JP2011521072A (ja) * 2008-05-22 2011-07-21 グラフテック インターナショナル ホールディングス インコーポレーテッド 高いコークス化値を有するピッチ
CN105807036A (zh) * 2016-03-29 2016-07-27 西安公路研究院 一种乳化沥青储存稳定性的测定评价方法

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