JPH10204421A - 表面改質方法 - Google Patents

表面改質方法

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JPH10204421A
JPH10204421A JP1219397A JP1219397A JPH10204421A JP H10204421 A JPH10204421 A JP H10204421A JP 1219397 A JP1219397 A JP 1219397A JP 1219397 A JP1219397 A JP 1219397A JP H10204421 A JPH10204421 A JP H10204421A
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JP
Japan
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group
substrate
acid halide
carboxylic acid
fluorine
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JP1219397A
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Yoshiaki Kai
義昭 貝
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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  • Materials Applied To Surfaces To Minimize Adherence Of Mist Or Water (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガラス、セラミック、金属およびプラスチッ
クなどの基材表面を撥水、撥油性に改質する表面改質方
法において、世界的に規制または廃止方向にあるフロン
にしか溶解しないフッ素系シランカップリング剤を用い
ずに、基材を撥水、撥油性の優れた表面に改質する方法
を提供する。 【解決手段】 フッ素非含有のシランカップリング剤で
基材を処理した後、フッ素含有のカルボン酸ハライドで
カップリング処理済基材を処理し、基材表面にフッ素含
有基を固定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はガラス、セラミッ
ク、金属およびプラスチックなどの基材表面を撥水、撥
油性に改質する表面改質方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、基材表面を撥水、撥油性に改質す
る表面改質方法としては、特開昭64−56688号公
報に(化4)および(化5)で示されるフッ素系シラン
カップリング剤などをフッ素系溶媒に希釈溶解し、基材
表面を処理する方法が開示されている。
【0003】
【化4】
【0004】
【化5】
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来のフ
ッ素系シランカップリング剤は分子中にパーフロロアル
キル基またはパーフロロポリオキシアルキル基からなる
フッ素含有基と末端にアルコキシシラン基を有する炭化
水素鎖部分からなるフッ素非含有基を有する分子構造で
あるため、これを溶解する溶媒が極めて限定されるとい
う問題があった。
【0006】特に、(化4)で示されるフッ素系シラン
カップリング剤は分子中にパーフロロアルキル基を2個
有する分子構造であり、(化5)で示されるフッ素系シ
ランカップリング剤は長鎖のパーフロロポリオキシアル
キル基を有する分子構造であるため、これらの化合物は
トリフロロトリクロロエタン(フロン113)、ジフロ
ロテトラクロロエタン(フロン112)やペンタフロロ
ジクロロプロパン(フロン225)などの世界的に規制
または廃止方向にあるフロンにしか溶解しないという問
題があった。
【0007】また、シランカップリング剤と基材との反
応率すなわち表面被覆率を高くするため、シランカップ
リング剤の処理法はアルコキシシラン基を含水有機溶媒
中またはpH3〜5に調整した含水有機溶媒中で加水分
解させてシラノール基としてから基材表面の水酸基と反
応させることが一般的に行われているが、前記フッ素系
シランカップリング剤は親水性溶媒に溶解しないのでこ
のアルコキシシラン基を溶媒中で加水分解させてシラノ
ール基とすることができず、基材の表面被覆率を高くす
ることが困難であった。
【0008】一方、分子量500〜600のフッ素系シ
ランカップリング剤は親水性溶媒に溶解するが、フッ素
含有基が炭素数8個程度の短鎖長であるため、充分な撥
水、撥油性が得られていない。
【0009】本発明は上記の従来の問題を解決するもの
で、ガラス、セラミック、金属およびプラスチックなど
の基材表面を撥水、撥油性に改質する表面改質方法の提
供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明の表面改質方法は、分子中に少なくとも1種
類の極性基とアルコキシシラン基の加水分解生成物であ
るシラノール基を有するシランカップリング剤で表面に
水酸基を有する基材を処理し、前記水酸基とシラノール
基を反応させて基材表面に前記極性基を固定させた後、
直鎖または分岐のフロロアルキルカルボン酸ハライドも
しくはパーフロロポリオキシアルキルカルボン酸ハライ
ドで前記基材を処理し、前記極性基とカルボン酸ハライ
ドを反応させて基材表面にフッ素含有基を固定すること
であり、基材表面を撥水、撥油性に改質するものであ
る。
【0011】前記極性基としては水酸基、アミノ基また
はイミノ基が適しており、これらの少なくとも1個が分
子中に存在する必要がある。シランカップリング剤の具
体例としては、たとえば4-アミノブチルトリエトキシシ
ラン、2-アミノエチルアミノメチルベンジロキシジメチ
ルシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリ
メトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピ
ルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-ア
ミノプロピルトリメトキシシラン、N-(6-アミノヘキシ
ル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(m-アミノフ
ェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、m-アミノフェ
ニルトリメトキシシラン、p-アミノフェニルトリメトキ
シシラン、3-(1-アミノプロポキシ)-3,3-ジメチル-1-プ
ロペニルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルジイソ
プロピルエトキシシラン、3-アミノプロピルジメチルエ
トキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラ
ン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリス
(メトキシエトキシエトキシ)シラン、3-アミノプロピル
トリス(トリメチルシロキシ)シラン、ビス(2-ヒドロキ
シエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシランなどが
ある。
【0012】これらのシランカップリング剤のアルコキ
シシラン基を加水分解し、シラノール基を生成させる方
法としては、含水有機溶媒中にシランカップリング剤を
0.5〜5%となるように加え、5〜30分間撹拌する
ことで実現される。シランカップリング剤の分子中にア
ミノ基、イミノ基(第3アミンは除く)が存在しない場
合は、蟻酸、酢酸、乳酸、塩酸などでpH3〜5に調整
した含水有機溶媒をアルコキシシラン基の加水分解に用
いることで生成するシラノール基を安定に保つことがで
きる。
【0013】前記直鎖のフロロアルキルカルボン酸ハラ
イド、分岐のフロロアルキルカルボン酸ハライドおよび
パーフロロポリオキシアルキルカルボン酸ハライドとし
てはそれぞれ(化6)、(化7)および(化8)で示さ
れる化合物が適している。
【0014】
【化6】
【0015】
【化7】
【0016】
【化8】
【0017】(化6)で示される化合物の具体例として
は、たとえばパーフロロオクタン酸ハライド、パーフロ
ロステアリン酸ハライド、2-(パーフロロオクチル)エタ
ン酸ハライド、11-(パーフロロオクチル)ウンデカン酸
ハライドなどがある。ここで、Rfの炭素数は6〜20
が適しており、炭素数が5以下では撥水、撥油性が低下
し、炭素数が21以上では溶解性が低下する。nは0も
しくは10以下の整数が適しており、11以上では溶解
性が低下する。
【0018】(化7)で示される化合物の具体例として
は、たとえばパーフロロ-2-(3-メチルブチル)-7-メチル
オクタン酸ハライド、パーフロロ-2-(1-メチルブチル)-
5-メチルオクタン酸ハライド、パーフロロ-2-ヘキシル
デカン酸ハライド、パーフロロ-2-(1-メチル-3,3-ジメ
チルブチル)-5-メチル-7,7-ジメチルオクタン酸ハライ
ド、パーフロロ-2-(3-メチルヘキシル)-7-メチルデカン
酸ハライド、パーフロロ-2-オクチルドデカン酸ハライ
ド、パーフロロ-2-デシルドデカン酸ハライド、パーフ
ロロ-2-ドデシルテトラデカン酸ハライド、パーフロロ-
2-ウンデシルペンタデカン酸ハライド、パーフロロ-2-
テトラデシルヘキサデカン酸ハライド、パーフロロ-2-
ヘキサデシルオクタデカン酸ハライド、パーフロロ-2-
オクタデシルエイコサン酸ハライド、パーフロロ-3-ペ
ンチルオクタン酸ハライド、パーフロロ-3-ヘプチルデ
カン酸ハライド、パーフロロ-3-ノニルドデカン酸ハラ
イド、パーフロロ-3-ウンデシルテトラデカン酸ハライ
ド、パーフロロ-3-トリデシルヘキサデカン酸ハライド
などがある。
【0019】ここで、Rf、Rf'の炭素数は4〜18が
適しており、炭素数が3以下では撥水、撥油性が低下
し、炭素数が19以上では溶解性が低下する。これらの
化合物は米国特許5,332,790号に開示されているフッ素
ガスによる直接フッ素化法によって、それぞれ対応する
脂肪族アルキルカルボン酸ハライドから得られるパーフ
ロロアルキルカルボン酸を従来公知の方法によってハラ
イド化することにより得ることができる。
【0020】なお、この原料の脂肪族アルキルカルボン
酸は日産化学工業(株)からイソミリスチン酸、イソパル
ミチン酸、イソステアリン酸、ファインオキソコールN
A、イソアラキン酸、イソヘキサコ酸、和光純薬工業
(株)から2-分岐脂肪酸FOM-1551〜FOM-1555、3-分
岐脂肪酸FOM-1571〜FOM-1575として商品化されて
いる。
【0021】(化8)で示される化合物の具体例として
は、たとえばデュポン社製クライトックス157FSL(平均
分子量2,500)、クライトックス157FSM(平均分子量4,5
00)、クライトックス157FSH(平均分子量7,000)、ア
ウジモント(株)製フォンブリンZ-DIAC(平均分子量2,00
0)、ダイキン工業(株)製デムナムSH-1(平均分子量2,0
00)、デムナムSH-2(平均分子量3,600)、デムナムSH-
3(平均分子量5,000〜6,000)などから従来公知の方法
によってハライド化したものがある。
【0022】ここで、パーフロロポリオキシアルキルカ
ルボン酸ハライドの平均分子量は1,000〜50,000、好ま
しくは、2,000〜10,000が適しており、平均分子量が1,0
00未満では撥水、撥油性が低下し、平均分子量が50,000
を超えると溶解性が低下する。
【0023】基材としてはガラス、セラミック、金属お
よびシロキサン鎖からなる無機高分子膜を被覆したプラ
スチックが適している。これらの基材はいずれも表面に
水酸基が存在しており、その存在量は基材表面にフッ素
含有基を固定し、基材表面を撥水、撥油性に改質するの
に充分である。
【0024】プラスチックに前記無機高分子膜を被覆す
る方法としては、テトラアルコキシシランまたはテトラ
クロロシランの部分加水分解物のコロイド分散液を刷毛
塗り、噴霧塗り、浸漬塗りなどの公知の方法で塗布した
後、湿気硬化させることで実現される。このコロイド分
散液の具体例としては、たとえばコルコート(株)製コル
コートN-103X、コルコートN-108X、コルコートP、コル
コートRなどがある。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の表面改質方法はフッ素非
含有のシランカップリング剤で基材を処理する過程とフ
ッ素含有のカルボン酸ハライドでカップリング処理済基
材を処理する過程からなる。これらの過程を以下に説明
する。
【0026】含水有機溶媒中にシランカップリング剤を
0.5〜5%となるように加え、5〜30分間撹拌した
溶液に有機溶媒などで洗浄した基材を浸し、ゆるやかに
動かして1〜2分後に取り出す。含水有機溶媒はメタノ
ール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール
類に蒸留水を5%程度混合したもの、シランカップリン
グ剤の分子中にアミノ基、イミノ基(第3アミンは除
く)が存在しない場合は、さらに蟻酸、酢酸、乳酸、塩
酸などでpH3〜5に調整したものが適している。
【0027】つぎに、基材をアルコール類に浸して過剰
の溶液を洗い落とした後、110℃で5〜10分間の熱
処理または60%湿度の室温で24時間の放置を行う。
この過程で基材表面はシランカップリング剤の単分子層
で被覆され、その分子中には少なくとも1個の水酸基、
アミノ基またはイミノ基からなる極性基が存在してい
る。
【0028】この極性基とフッ素含有のカルボン酸ハラ
イドを反応させるため、カップリング処理済基材に直鎖
または分岐のフロロアルキルカルボン酸ハライドもしく
はパーフロロポリオキシアルキルカルボン酸ハライドを
0.5〜5%溶解したフッ素系溶媒を刷毛塗り、噴霧塗
り、浸漬塗りなどの公知の方法で塗布した後、80〜1
50℃で30〜180分間の熱処理を行う。
【0029】つぎに、基材をフッ素系溶媒に浸して超音
波洗浄を行い、過剰のフッ素含有のカルボン酸ハライド
を洗い落として乾燥させる。この過程で基材表面はフッ
素含有の単分子層で被覆され、撥水、撥油性に改質され
る。フッ素系溶媒としては非フロン系のパーフロロカー
ボンやハイドロフロロカーボンが適している。これらの
具体例としては、たとえばスリーエム社製フロリナー
ト、アウジモント(株)製ガルデンSV、BNFLフロロ
ケミ社製フルテック、トーケムプロダクツ(株)製エフト
ップEF-L、デュポン社製バートレルXFなどがあ
る。つぎに、本発明の具体例を説明する。
【0030】
【実施例】
(実施例1)以下、本発明のガラスの表面改質の実施例
について具体的に説明する。
【0031】ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロ
ピルトリエトキシシランを酢酸でpH4に調整した蒸留
水5%含有エタノール溶液に2%加え、10分間撹拌し
た溶液に清浄なソーダガラス板(100×150×3mm)を浸
し、ゆるやかに動かして1〜2分後に取り出した。さら
に、ガラス板をエタノールに浸して過剰の溶液を洗い落
とした後、110℃で10分間の熱処理を行った。
【0032】つぎに、このガラス板を(化9)で示され
るデュポン社製クライトックス157FSH(平均分子量7,00
0)をクロライド化したパーフロロポリオキシアルキル
カルボン酸クロライドを1%溶解したフロリナートFC-7
7溶液で浸漬塗りした後、100℃で60分間の熱処理
を行った。
【0033】
【化9】
【0034】この後、ガラス板をフロリナートFC-77溶
媒に浸して超音波洗浄を行い、過剰のクライトックス15
7FSHクロライドを洗い落として乾燥させた。以上の処理
でガラスの表面はパーフロロポリオキシアルキル基含有
の単分子層で被覆され、撥水、撥油性に改質される。
【0035】なお、本実施例では基材としてガラスを用
いたが、セラミック、金属およびこれらの複合材料の場
合も同様な処理で表面改質ができる。
【0036】また、本実施例ではフッ素含有のカルボン
酸ハライドとしてパーフロロポリオキシアルキルカルボ
ン酸クロライドを用いたが、直鎖または分岐のフロロア
ルキルカルボン酸ハライドの場合も同様な処理で表面改
質ができる。
【0037】(実施例2)つぎに、本発明のプラスチッ
クの表面改質の実施例について具体的に説明する。
【0038】コルコート(株)製コルコートN-103Xに清浄
なアクリル板(100×150×3mm)を浸し、1分間に21
0mmの速度で引き上げた後、常温常湿中で24時間放置
し、湿気硬化させてシロキサン鎖からなる無機高分子膜
を被覆した。
【0039】つぎに、このアクリル板を3-アミノプロピ
ルトリエトキシシランを2%溶解した蒸留水5%含有エ
タノール溶液に浸し、ゆるやかに動かして1〜2分後に
取り出した。さらに、アクリル板をエタノールに浸して
過剰の溶液を洗い落とした後、80℃で180分間の熱
処理を行った。
【0040】つぎに、このアクリル板を(化10)で示
されるパーフロロ-2-ヘキシルデカン酸クロライドを1
%溶解したバートレルXF溶液で浸漬塗りした後、80
℃で60分間の熱処理を行った。
【0041】
【化10】
【0042】この後、アクリル板をバートレルXF溶媒
に浸して超音波洗浄を行い、過剰のパーフロロ-2-ヘキ
シルデカン酸クロライドを洗い落として乾燥させた。以
上の処理でアクリル板の表面は分岐のパーフロロアルキ
ル基含有の単分子層で被覆され、撥水、撥油性に改質さ
れる。
【0043】なお、本実施例ではフッ素含有のカルボン
酸ハライドとして分岐のパーフロロアルキルカルボン酸
クロライドを用いたが、直鎖のフロロアルキルカルボン
酸ハライドまたはパーフロロポリオキシアルキルカルボ
ン酸ハライドの場合も同様な処理で表面改質ができる。
【0044】(実施例3)基材にフェライト板、シラン
カップリング剤にN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピ
ルトリメトキシシラン、フッ素含有のカルボン酸ハライ
ドにパーフロロステアリン酸クロライドを用いて、実施
例1と同様の処理を行ってフェライト板表面を撥水、撥
油性に改質した。
【0045】(実施例4)基材にアルミ板、シランカッ
プリング剤にp-アミノフェニルトリメトキシシラン、フ
ッ素含有のカルボン酸ハライドにパーフロロ-2-(1-メチ
ル-3,3-ジメチルブチル)-5-メチル-7,7-ジメチルオクタ
ン酸クロライドを用いて、実施例1と同様の処理を行っ
てアルミ板表面を撥水、撥油性に改質した。
【0046】(比較例1)ソーダガラス板を(化4)で
示されるフッ素系シランカップリング剤を2%溶解した
フロン225溶液に浸し、ゆるやかに動かして1〜2分
後に取り出した。さらに、ガラス板をフロン225溶媒
に浸して過剰の溶液を洗い落とした後、110℃で10
分間の熱処理を行ってガラス板表面を撥水、撥油性に改
質した。
【0047】(比較例2)アクリル板を(化5)で示さ
れるフッ素系シランカップリング剤を2%溶解したフロ
ン225溶液に浸し、ゆるやかに動かして1〜2分後に
取り出した。さらに、アクリル板をフロン225溶媒に
浸して過剰の溶液を洗い落とした後、80℃で180分
間の熱処理を行ってアクリル板表面を撥水、撥油性に改
質した。
【0048】(実施例5)つぎに、本発明の表面改質方
法で処理した各種基材の撥水、撥油性について具体的に
説明する。
【0049】実施例1〜4および比較例1、2の基材に
ついてそれぞれ撥水性と撥油性を調べた。撥水性は基材
表面の50μlの蒸留水の転落角を測定することにより
調べ、試験結果は撥水性を3等級に分類し、30°以下
をA級、31〜60°をB級、61°以上をC級とし
た。撥油性は黒色の油性マジックインキの弾き具合いと
このマジックインキの綿布乾拭きでの取れ安さを観察す
ることにより調べ、試験結果は撥油性を3等級に分類
し、マジックインキを弾いて乾拭きで取れる場合をA
級、マジックインキを弾かないが乾拭きで取れる場合を
B級、マジックインキを弾かず乾拭きで取れない場合を
C級とした。これらの試験結果を(表1)に示す。
【0050】
【表1】
【0051】(表1)より、本発明の表面改質方法で処
理された基材は、いずれも良好な撥水、撥油性を示すこ
とがわかる。一方、疎水性溶媒のフロン225を溶媒と
した従来のフッ素系シランカップリング剤で処理された
基材は、表面被覆率が低く、撥水、撥油性が不十分であ
った。
【0052】
【発明の効果】以上のように本発明は、フッ素非含有の
シランカップリング剤で基材を処理した後、フッ素含有
のカルボン酸ハライドでカップリング処理済基材を処理
し、基材表面にフッ素含有基を固定することにより、ガ
ラス、セラミック、金属およびプラスチックなどの基材
表面を撥水、撥油性に改質できる優れた表面改質方法で
ある。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子中に少なくとも1種類の極性基とア
    ルコキシシラン基の加水分解生成物であるシラノール基
    を有するシランカップリング剤で表面に水酸基を有する
    基材を処理し、前記水酸基とシラノール基を反応させて
    基材表面に前記極性基を固定させた後、直鎖または分岐
    のフロロアルキルカルボン酸ハライドもしくはパーフロ
    ロポリオキシアルキルカルボン酸ハライドで前記基材を
    処理し、前記極性基とカルボン酸ハライドを反応させて
    基材表面にフッ素含有基を固定し、基材表面を撥水、撥
    油性に改質する表面改質方法。
  2. 【請求項2】 前記極性基が水酸基、アミノ基またはイ
    ミノ基の少なくとも1個から選ばれたシランカップリン
    グ剤からなる請求項1記載の表面改質方法。
  3. 【請求項3】 前記直鎖のフロロアルキルカルボン酸ハ
    ライド、分岐のフロロアルキルカルボン酸ハライドおよ
    びパーフロロポリオキシアルキルカルボン酸ハライドが
    それぞれ(化1)、(化2)および(化3)で示される
    化合物である請求項1記載の表面改質方法。 【化1】 【化2】 【化3】
  4. 【請求項4】 前記基材がガラス、セラミック、金属お
    よびシロキサン鎖からなる無機高分子膜を被覆したプラ
    スチックである請求項1記載の表面改質方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0896019A2 (en) * 1997-08-05 1999-02-10 Nitto Denko Corporation Treatment method for surface energy reduction
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JP2019119747A (ja) * 2017-12-28 2019-07-22 信越化学工業株式会社 表面処理剤、物品及び表面処理方法

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