JP2804693B2 - シロキサン系表面処理剤とその製造方法及びその使用方法 - Google Patents
シロキサン系表面処理剤とその製造方法及びその使用方法Info
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Description
造方法に関するものである。さらに詳しくは、基材表面
に耐久性が高く、極めて薄く且つ撥水撥油離水性にも優
れた高離水性の化学吸着保護膜を形成することを目的と
した表面処理剤及びその製造方法およびそれを用いた高
離水被膜の製造方法に関するものである。
は、たとえば車のワックス剤、床やインテリア製品のワ
ックス剤、つや出し剤、毛皮のポリッシャー剤、襖や障
子の潤滑剤、機械部品の摺動部などの潤滑剤などがあ
り、さまざな分野で使用されている。これら従来のつや
出し剤などの表面処理剤は、固形タイプやエマルジョン
タイプがあるが、基体に対して殆ど不活性な石油系溶剤
やシリコーン、ワックス、低級アルコールなどの混合物
に研磨材を混合したものが主流であった。
理剤は、つや性や撥水性がそれ程高くなく、得らた保護
膜は単に基材表面に塗布されているだけであり、耐久性
や堅牢性も十分ではなく、さらに撥油性、離水性を長期
間維持できるほどの優れたものは殆ど無かった。これは
単に基材表面に処理剤が物理的に付着していることに起
因している。
ため、単につや性や撥水性に優れるのみでなく、基材表
面と化学結合していて耐久性や堅牢性が高く、さらに離
水性に優れ且つ撥油性のある保護膜を形成することを目
的とした表面処理剤とその製造方法およびその使用方法
を提供することを目的とする。
め、本発明の表面処理剤は、オルガノシロキサン結合鎖
およびクロロシリル基を少なくとも一個含む化学吸着剤
と非水系の粘性液体または固形状媒体とを含有する組成
物を調製する。
キサン結合鎖およびクロロシリル基を少なくとも一個含
む物質に加えさらにフッ化炭素鎖およびクロロシリル基
を一個含む物質を混合して用いると撥油性も付加できて
都合がよい。
く脱水した(水分はできだけ少ない方がよいが、10p
pm程度以下なら十分である。)化学吸着剤に不活性な
非水系の粘性液体または固形状媒体を調製する工程と、
少なくともオルガノシロキサン結合鎖およびクロロシリ
ル基を一個含む化学吸着剤を混合する工程とを含む。
いて、少なくともオルガノシロキサン結合鎖およびクロ
ロシリル基を一個含む物質として、R−(SiR2 O)
n −SiCl3 (Rはアルキル基、nは整数)、Cl
(SiR2 O)n −SiR2 Cl、またはCl3 SiO
−(SiR2 O)n −SiCl3 (Rはアルキル基、n
は整数)を用い、さらに少なくともフッ化炭素鎖および
クロロシリル基を一個含む物質クロロシリル基を一個含
む物質として、CF3 −(CF2 )n −(R)m−Si
Xp Cl3-p (m、nは0または整数、Rはアルキル
基、ビニル基、エチニル基、アリール基、シリコン若し
くは酸素原子を含む置換基、XはH,アルキル基,アル
コキシル基,含フッ素アルキル基又は含フッ素アルコキ
シ基の置換基、pは0、1または2)を添加混合して作
製した表面処理剤を用いれば、離水性がきわめて高く且
つ撥油性の被膜を作製できる。
媒体を調製する工程において、活性水素を含まない3級
アミンまたはアミドを添加混合しておくと表面処理剤の
安定性がきわめて良い。
洗浄乾燥する工程と、オルガノシロキサン結合鎖および
クロロシリル基を少なくとも一個含む化学吸着剤と非水
系の粘性液体または固形状媒体とを含有する組成物を塗
布する工程と、反応および乾燥させる工程と、拭き取る
工程とでおこなう方がよい。ここで塗布する工程と反応
および乾燥させる工程は必須である。また、反応乾燥工
程は、50℃程度まで加熱した方がより効率的である。
このことより、離水性に優れた被膜を提供できる。
土が1000cps以上であると塗布時に処理液の流れ
が少なく取扱いが便利である。さらに、粘性液体または
固形状媒体が沸点が200℃以上のものと沸点が100
〜150℃以下のものの混合物であれば、塗布後低沸点
成分が速やかに蒸発し塗膜が硬化するので除去が極めて
容易になる。
下のアルミナ、炭化珪素炭化ホウ素、酸化クロム、酸化
鉄、人造ダイヤまたはシリカ微粒子を入れておくと、塗
布時に基材表面の光沢を損なうことなくかつ基材表面が
きわめて少量除去され清浄面に直接少なくともクロロシ
リル基を一個含む化学吸着剤分子とを反応できるので都
合がよい。なお、この発明における研磨剤の好ましい含
有量は、1〜10wt%である。
表面に水酸基(−OH)等の活性水素が含まれているも
の、例えばAl、Cu若しくはステンレス等の金属、セ
ラミックス、ガラス、プラスチック、紙、繊維、皮革等
に適用できる。なお、表面に活性水素を含まないプラス
チックや繊維の場合は、予め表面を100W程度でで2
0分程度のプラズマ処理、若しくはコロナ処理して親水
性化即ち表面に水酸基を導入しておけばよい。もっと
も、ポリアミド樹脂やポリウレタン樹脂の場合は、表面
にイミノ基(>NH)が存在しており、このイミノ基
(>NH)の水素と化学吸着剤のオルガノシロキサン結
合鎖及びクロロシリル基(−SiCl)とが脱塩化水素
反応し、シリコン−ナイトロジェン結合(−Si−N
<)を形成するのでとくに表面処理を必要としない。さ
らには、この被膜作製方法では、シロキサン系の被膜を
基材と密着性よく且つ薄く形成することが可能なため、
輸送機器の外装や窓ガラスあるいは建物の外装や窓ガラ
スや外壁など雨水が付着する部分へ適用すれば極めて高
い効果が期待できる。
ロキサン結合鎖及びクロロシリル基を少なくとも一個含
む物質の好ましい含有量は、1〜30wt%である。ま
た、粘性液体または固形状媒体としては前記化学吸着剤
に対して不活性な非水系の有機物であれば何でも使用で
きる。例えば、石油系の溶剤や、シリコーン、パラフィ
ン系ワックス等が格安で使用できる。具体的には、石油
ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジ
ン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、
工業ガソリン、灯油、リグロイン、ジメチルシリコー
ン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポ
リエーテルシリコーン、パラフィンワックス、マイクロ
クリスタルワックス、ポリエチレンワックス、エステル
ワックス、酸化ワックス、石油ロウ等を挙げることがで
きる。これらは1種単独で用いても良いし、2種以上を
組み合わせてもよい。この発明における粘性液体または
固形状媒体の好ましい含有量は、50〜90wt%であ
る。
理を行なえば、任意の基材表面にシロキサン系の化学吸
着剤が共有結合で固定されるため、極めて離水性が高
く、且つ薄くて撥水撥油性、耐久性に優れた保護膜を極
めて容易に形成できる作用がある。また塗布操作も容易
で、おおがかりな反応設備を必要としない。
脱水した(10ppm以下)非水系の粘性液体または固
形状媒体を調製することで、水に対して不安定なオルガ
ノシロキサン結合鎖およびクロロシリル基を一個含む化
学吸着剤を活性な状態で含有した表面処理剤を製造でき
る作用がある。
親水性基を表面に含む基材に対して、少なくともオルガ
ノシロキサン結合鎖およびクロロシリル基を一個含む化
学吸着剤と前記化学吸着剤に不活性な非水系の粘性液体
または固形状媒体を含有する表面処理剤を塗布し、その
後室温(100℃程度までなら加熱してもよい)で基材
表面と少なくともオルガノシロキサン結合鎖およびクロ
ロシリル基を一個含む物質とを反応させるとともに乾燥
させる。このとき、基材表面に活性水素が含まれている
と前記クロロシリル基と活性水素で脱塩酸反応が生じ、
少なくともオルガノシロキサン結合鎖およびクロロシリ
ル基を一個含む物質がSi原子を介して基材表面に共有
結合で固定される。その後、未反応の表面処理剤をふき
とるか洗剤と水で洗い流す。このとき、少なくともオル
ガノシロキサン結合鎖およびクロロシリル基を一個含む
化学吸着分子は空気中の水分とも反応するが、非水系の
粘性液体または固形状媒体は、基材表面の活性水素とク
ロロシリル基との脱塩酸反応を妨げる空気中の水分か
ら、表面処理剤と基材との界面部、すなわち基材表面部
での反応が妨げられないように保護する機能がある。ま
た、沸点が200℃±50℃程度の溶媒を含む媒体であ
れば、溶媒の蒸発は適度でありクロロシリル基と水との
反応すなわちHClの発生を穏やかにすることが可能で
ある。
ガノシロキサン結合鎖およびクロロシリル基を有する物
質がSi原子を介して基材表面に共有結合で固定された
離水性に優れたオルガノシロキサン系の超薄膜が基材表
面に形成できる。
説明する。本発明のシロキサン系高離水性被膜の作製に
は、直鎖状のシロキサン結合を有し、その一端にクロル
シラン基(SiCln X3-n 基、nは1,2または3、
Xは官能基)を結合させたクロロシラン系界面活性剤な
ら殆どすべてが使用可能であるが、少なくともオルガノ
シロキサン結合鎖およびクロロシリル基を一個含む物
質、例えば、R−(SiR2 O)m −SiCln X3-n
(mは整数で好ましくは2〜5がよい、nは1,2また
は3、Xは官能基、Rはアルキル基)を用いると好都合
である。
ロキサン系高離水性被膜の作製には、両端にクロルシラ
ン基(SiCln X3-n 基、nは1,2または3、Xは
官能基)を有する直鎖状のシロキサン結合を含むクロロ
シラン系界面活性剤なら殆どすべてが使用可能である
が、特にCl(SiR2 O)n −SiR2 Cl、または
Cl3 SiO−(SiR2 O)n −SiCl3 (Rはア
ルキル基、nは整数、好ましくは2〜5が良い)を用い
ると好都合である。
離水性のシロキサン系被膜の作製には、シロキサン結合
鎖及びフッ化炭素基を含む被膜(シロキサン系やフッ化
炭素系の物質を混合して形成した被膜)を作製すれば良
いが、特に、オルガノシロキサン結合鎖およびクロロシ
リル基を有する物質として、R−(SiR2O)n−Si
Cl3(Rはアルキル基、nは整数)、Cl(SiR
2O)n−SiR2Cl、またはCl3SiO−(SiR2
O)n−SiCl3(Rはアルキル基、nは整数)を用
い、さらに少なくともフッ化炭素鎖およびクロロシリル
基を一個含む物質として、CF3−(CF2)n−(R)m
−SiXpCl3-p(m,nは0または整数、Rはアルキ
ル基、ビニル基、エチニル基、アリール基、シリコン若
しくは酸素原子を含む置換基、XはH,アルキル基,ア
ルコキシル基,含フッ素アルキル基又は含フッ素アルコ
キシ基の置換基、pは0、1または2)を添加混合して
用いれば良い。
ガノシロキサン結合鎖およびクロロシリル基を有する物
質である(CH3 )3 SiO−(Si(CH3 )2 O)
3 −SiCl3 を単独で用いた例を説明する。
基を有する直鎖状のシロキサン結合を含むクロロシラン
系界面活性剤であるCl3 SiO−(Si(CH3 )2
O) 3 −SiCl3 を用いて表面がやや親水性の被膜を
形成する例を示す。
ン結合鎖およびクロロシリル基を有する物質としてCl
−(Si(CH3 )2 O)4 −SiCl3 、少なくとも
フッ化炭素鎖およびクロロシリル基を一個含む物質とし
てCF3 −(CH2 )5 −SiCl3 を用い、撥油性で
かつ離水性のシロキサン系被膜の作製の例を示す。
キサン結合鎖およびクロロシリル基を有する物質として
Cl−(Si(CH3 )2 O)3 −SiCl3 、少なく
ともフッ化炭素鎖およびクロロシリル基を一個含む物質
としてCF3 −CF2 −(CH2 )2 −SiCl3 を用
い、撥油性でかつ離水性のシロキサン系被膜の作製の例
を示す。
加熱しながら撹拌すると白色の懸濁液を得た。その後さ
らに、少なくともオルガノシロキサン結合鎖及びクロロ
シリル基を一個含む化学吸着剤として (CH3 )3 SiO−(Si(CH3 )2 O)3 −SiCl3 6g を三角フラスコに入れて混合し、室温まで冷却すると、
固形状のやわらかいワックスとなった。
ミック、ガラス、その他表面が酸化された親水性の基材
ならそのままでよいが、プラスチック等の撥水性基体の
場合は表面を重クロム酸で処理したり、酸素プラズマや
コロナ処理して表面を酸化し親水性にしておけばよい)
を用いた(図1(a))。一般にガラス1の表面には活
性水素を含むOH基2が多量に含まれている。そこで、
前記のように調整した表面処理剤をスポンジを用いてガ
ラス表面にこすり付けるように塗布する。その後20〜
30分室温で放置するとするとn−パラフィンが蒸発し
て、白色の塗膜が形成された。このとき、親水性基体の
表面は水酸基2が多数含まれているので、化学吸着剤の
クロロシリル(−SiCl)基と前記水酸基が反応し脱
塩酸反応が生じ基体表面全面に亘り、下記式(化1)で
表わされる共有結合が生成される。
ると残りのクロロシリル基は空気中の水と反応し、多数
の化学吸着剤分子がSiOのネットワーク結合を介して
基材表面に共有結合で固定された下記式(化2)で示さ
れるシロキサン系被膜3が表面と化学結合した状態で約
10オングストロームの膜厚で形成できた(図1
(b))。なお、この被膜の生成は、FTIRで確認さ
れた。
リコンオイルやパラフィンが存在しても、ある確率で化
学吸着剤と基材表面のOH基が出会う。そして、基材表
面にOH基の活性水素と前記化学吸着剤のクロロシリル
基とが脱塩酸反応して化学吸着剤の分子がSiO結合を
介して基材表面に共有結合で固定される。
分とも反応するが、非水系の粘性液体または固形状媒体
であるシリコンオイルやパラフィンは、基材表面の活性
水素とクロロシリル基との脱塩酸反応を妨げる空気中の
水分が、表面処理剤と基材との界面部、即ち基材表面部
に入り込むのを防止する機能があった。
良く洗浄し撥水性(すなわち水に対する濡れ角度)およ
び離水性(すなわち、化学吸着膜を表面に有する基材の
上に一定の量の水滴を静置し、基材を静かに傾け、水滴
が転落する角度で測定する)を評価すると、発水角度は
101度であった。また、転落角度は0.08ccの水
滴の場合15度であった。さらにまた、ヘキサデカンを
用いて撥油性(すなわち油に対する濡れ角度)を測定す
ると、45度であった。
も剥離することがなかった。 実施例2 a.表面処理剤の調製 化学吸着剤としてクロロシリル基を分子両末端に2個含
むシロキサン系の物質、例えば、Cl3 SiO−(Si
(CH3 )2 O)3 −SiCl3 を用い、下記に示すよ
うな表面処理剤を調整した。あらかじめ、 n−オクタン(bp.126℃) 20g n−パラフィン(bp.220〜240℃) 30g シリコーンオイル(信越化学工業KF−96、1000cps) 20g パラフィン(和光純薬 mp.95℃) 15g アルファアルミナ(1ミクロン) 5g n−メチルピロリジノン 3g を三角フラスコに入れて混合し、その後さらに化学吸着
剤として、クロロシリル基を分子両末端に2個含むシロ
キサン系の物質、 Cl3 SiO−(Si(CH3 )2 O)3 −SiCl3 7g を混合し、室温まで冷却すると、流動性の液状ワックス
様の処理材を得た。
2(a))、よく乾燥した後、前記のように調整した表
面処理剤をスポンジを用いてガラス表面にこすり付ける
ように塗布した。その後、50℃で20〜30分加熱し
た。その結果、n−オクタンおよびn−パラフィンが蒸
発して、白色の塗膜が形成された。このミラー1のガラ
ス表面には活性水素を含むOH基2が多数に含まれてい
る。そこで、クロロシリル(−SiCl)基を分子両末
端に複数個含む物質の何れか片方のSiCl基と前記水
酸基が反応し脱塩酸反応が生じ基体表面全面に亘り、下
記式(化3)で示される被膜4が生成された。
残留した余分のワックスを除去し、水洗すれば、前記式
(化3)で示される被膜が空中の水分と反応して下記式
(化4)で示される被膜4となった(図2(b))。こ
の反応も、FTIRで追跡確認された。
膜は、やや親水性であり表面と化学結合した状態で約1
0オングストロームの膜厚で形成できた(図2
(b))。ちなみに、この膜の水に対する濡れ角度は8
8度であり、転落角度は0.08ccの水滴の場合10
度であった。さらにまた、ヘキサデカンを用いて撥油性
(すなわち油に対する濡れ角度)を測定すると、58度
であった。
SiCl3 およびCF 3 −(CH2 )5 −SiCl3 を
モル比1:1で混合して用い、他の条件は実施例1と同
様に行なった。
基を分子末端に複数個含む物質が2種混合されていたの
で、得られた被膜をFTIRで測定すると、下記式(化
5)および下記式(化6)で示される分子が混合した被
膜が形成された。
面の水酸基がそれぞれ反応し脱塩酸反応が生じ、表面全
面に亘り、フッ化炭素基を含む物質とシロキサン系の物
質が混合した被膜5が表面と化学結合した状態で形成さ
れていることが判った(図3)。
103度であり、転落角度は0.08ccの水滴の場合
8度であった。また、ヘキサデカンを用いて撥油性(す
なわち油に対する濡れ角度)を測定すると、70度であ
った。
キサン系の物質(Cl−(Si(CH3 )2 O)3 −S
iCl3 )にさらにCF3 −CF2 −(CH2)2 −S
iCl3 をモル比4:1で加えて、実施例2と同様に実
験をした。
基を分子末端に複数個含む物質が2種混合されていたの
で、得られた被膜をFTIRで測定すると、下記式(化
7)および下記式(化8)で示される分子が混合した被
膜が形成された(図4)。
ラス表面の水酸基が反応し脱塩酸反応が生じ表面全面に
亘り、フッ化炭素基を含む物質とシロキサン系の物質が
混合した被膜6が表面と化学結合した状態で形成されて
いることが判った(図4)。
96度であり、転落角度は0.08ccの水滴の場合5
度であった。また、ヘキサデカンを用いて撥油性(すな
わち油に対する濡れ角度)を測定すると、68度であっ
た。
すべてスライドガラスに代え、比較実験を行なった。結
果を表1に示す。 比較例1 実施例1の(CH3 )3 SiO−(Si(CH3 )
2 O)3 −SiCl3 の代わりにCF3 (CF2 )7 −
(CH2 )2 −SiCl3 を用い、さらに基体をスライ
ドガラスに代えて実施例1と同様の実験をした。処理結
果を表1に示す。なお、ヘキサデカンを用いて撥油性
(すなわち油に対する濡れ角度)を測定すると、75度
であった。
3 を除去し、さらに基体をスライドガラスに代えて実施
例4と同様の実験をした。処理結果を表1に示す。な
お、ヘキサデカンを用いて撥油性(すなわち油に対する
濡れ角度)を測定すると、72度であった。
例、全ての表面処理剤を用いて処理したものは、洗剤を
含んだ布で繰り返し擦って洗浄した後でも、撥水・撥油
性を保持していた。ところが、本発明のシロキサン結合
鎖を含む表面処理剤で処理したものでは、撥水角度はフ
ッ化炭素系の比較例1、2の被膜に劣るが、水滴の転落
角度を大幅に小さくできる。これに対し、比較例1、2
のフッ化炭素系の被膜では、撥水角度は高いにも関わら
ず、転落角度が大きくなることが判った。
ン結合鎖及びクロロシリル基を物質末端に複数個含む物
質として、 (CH3)3SiO-(Si(CH3)2O)3-SiCl3 , Cl3SiO-(Si(CH3)2O)3-SiCl3, Cl-(Si(CH3)2O)4-SiCl3 , CF3-(CH2)3-SiCl3 , Cl-(Si(CH3)2O)3-SiCl3 、および CF3-CF2-(CH2)5-SiCl3 を例として取り上げたが、上記のもの以外のでも以下に
挙げたものをそれぞれ、あるいは適宜混合して利用でき
た。 (CH3)3SiO-Si(CH3)2O-SiCl3 , (CH3)3SiO-(Si(CH3)2O)2-SiCl3 , (CH3)3SiO-(Si(CH3)2O)4-SiCl3 , (CH3)3SiO-(Si(CH3)2O)5-SiCl3 , Cl3SiO-Si(CH3)2O-SiCl3 , Cl3SiO-(Si(CH3)2O)2-SiCl3 , Cl3SiO-(Si(CH3)2O)4-SiCl3 , Cl3SiO-(Si(CH3)2O)5-SiCl3 , Cl-Si(CH3)2O-SiCl3 , Cl-(Si(CH3)2O)2-SiCl3 , Cl-(Si(CH3)2O)5-Si(Cl)3 , Cl-Si(CH3)2O-Si(CH3)2Cl, Cl-(Si(CH3)2O)2-Si(CH3)2Cl, Cl-(Si(CH3)2O)3-Si(CH3)2Cl, Cl-(Si(CH3)2O)4-Si(CH3)2Cl, Cl-(Si(CH3)2O)5-Si(CH3)2Cl, Cl3Si-(CH2)2-(CF2)6-(CH2)2-SiCl3 , CF3-(CH2)2-SiCl3 , CF3-(CH2)3-SiCl3 , CF3-CF2-(CH2)2-SiCl3 , CF3-CF2-(CH2)3-SiCl3 , CF3-CF2-(CH2)5-SiCl3 , CF3-(CF2)2-(CH2)2-SiCl3 , CF3-(CF2)3-(CH2)2-SiCl3 , CF3-(CF2)3-(CH2)8-SiCl3 , (CH3)3Si-(CH2)10-SiCl3 , CH3-(CH2)10-SiCl3 , Cl3Si-(CH2)8-SiCl3 , Br-(CH2)14-SiCl3 . また、活性水素を含まない3級アミンとしては、トリエ
チルアミン、トリメチルアミン、ピリジン、N−メチル
ピロール、N,N−ジメチルアニリン、トリアジン、ジ
メチルブチルアミン、ジピリジン、インドール、N,N
−ジメチルナフチルアミン等がアミドとしてはN−メチ
ルピロリジノン等が利用できる。なお、この発明におけ
る3級アミンまたはアミドの添加量は、少なくとも複数
個クロロシリシリル基を含む物質及びクロロシリル基を
一個含む物質がすべて分解して発生される塩酸量と等モ
ル以上(すなわち、化学吸着分子がクロロシリル基を一
個含んでいる場合は、含有されている化学吸着分子と等
モルでよい。また化学吸着分子がオルガノシロキサン結
合鎖及びクロロシリル基を2個含んでいる場合は、含有
されている化学吸着分子と2倍モルでよい。さらにま
た、化学吸着分子がオルガノシロキサン結合鎖及びクロ
ロシリル基を3個含んでいる場合は、含有されている化
学吸着分子と3倍モルで十分である。)でよいが、過剰
に入っていても何等問題はない。
基材表面の活性水素を利用して被膜を固定形成するた
め、プラスチック、セラミックス、ガラス、その他各種
材料にも、効率よく高離水性の保護膜を形成できる効果
がある。
オルガノシロキサン結合鎖およびクロロシリル基を一個
含む物質とフッ化炭素鎖およびクロロシリル基を一個含
む物質を混合して用いると撥油性があり且つ高離水性の
被膜が得られる効果がある。
機器、鏡、眼鏡レンズ等の高離水性で且つ耐熱性、耐候
性、耐摩耗性超薄膜コーティングを必要とする機器等に
適用できる。
説明するためのもので、基材表面を分子レベルまで拡大
した模式断面図である。
説明するためのもので、基材表面を分子レベルまで拡大
した模式断面図である。
基材表面を分子レベルまで拡大した模式断面図である。
基材表面を分子レベルまで拡大した模式断面図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 オルガノシロキサン結合鎖およびクロロ
シリル基(−SiCl n X3-n 基、nは1,2または
3、Xは官能基)を少なくとも一個含む化学吸着剤と前
記化学吸着剤に不活性な非水系の粘性液体または固形状
媒体とを含有する組成物であるシロキサン系表面処理
剤。 - 【請求項2】 化学吸着剤として、少なくともオルガノ
シロキサン結合鎖およびクロロシリル基を一個含む物質
とフッ化炭素鎖およびクロロシリル基を一個含む物質を
混合して用いる請求項1に記載のシロキサン系表面処理
剤。 - 【請求項3】 あらかじめ化学吸着剤に不活性な非水系
の粘性液体または固形状媒体を調製する工程と、少なく
ともオルガノシロキサン結合鎖およびクロロシリル基を
一個含む化学吸着剤を混合する工程とを含むことを特徴
とするシロキサン系表面処理剤の製造方法。 - 【請求項4】 非水系の粘性液体または固形状媒体を調
製する工程において、活性水素を含まない3級アミンま
たはアミドを混合しておく請求項3に記載のシロキサン
系表面処理剤の製造方法。 - 【請求項5】 化学吸着剤として少なくともオルガノシ
ロキサン結合鎖およびクロロシリル基を一個含む物質と
フッ化炭素鎖およびクロロシリル基を一個含む物質を混
合して用いる請求項3に記載のシロキサン系表面処理剤
の製造方法。 - 【請求項6】 オルガノシロキサン結合鎖およびクロロ
シリル基を一個含む化学吸着剤として、R−(SiR2
O)n −SiCl3 (Rはアルキル基、nは整数)、C
l(SiR2 O)n −SiR2 Cl、またはCl3 Si
O−(SiR2O)n −SiCl3 (Rはアルキル基、
nは整数)を用い、少なくともフッ化炭素鎖およびクロ
ロシリル基を一個含む化学吸着剤として、CF3 −(C
F2 )n−(R)m −SiXp Cl3-p (m,nは0ま
たは整数、Rはアルキル基、ビニル基、エチニル基、ア
リール基、シリコン若しくは酸素原子を含む置換基、X
はH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ素アルキル
基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、pは0、1また
は2)を用いる請求項5に記載のシロキサン系表面処理
剤の製造方法。 - 【請求項7】 基体表面を洗浄乾燥した後、オルガノシ
ロキサン結合鎖およびクロロシリル基を少なくとも一個
含む化学吸着剤と前記化学吸着剤に不活性な非水系の粘
性液体または固形状媒体とを含有する組成物を塗布し、
基体表面の水酸基と前記クロロシリル基とを脱塩酸反応
させ、次に乾燥させ、拭き取る工程とを含む表面処理剤
の使用方法。
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US08/173,779 US5435839A (en) | 1992-12-24 | 1993-12-27 | Finishing agents and method of manufacturing the same |
US08/420,650 US5645633A (en) | 1992-12-24 | 1995-04-12 | Finishing agents and method of manufacturing the same |
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JP5059782A JP2804693B2 (ja) | 1993-03-19 | 1993-03-19 | シロキサン系表面処理剤とその製造方法及びその使用方法 |
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