JPH10204233A - 硬化性組成物 - Google Patents

硬化性組成物

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JPH10204233A
JPH10204233A JP31922197A JP31922197A JPH10204233A JP H10204233 A JPH10204233 A JP H10204233A JP 31922197 A JP31922197 A JP 31922197A JP 31922197 A JP31922197 A JP 31922197A JP H10204233 A JPH10204233 A JP H10204233A
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祥道 山中
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誠 千波
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敏彦 岡本
Yuriko Asai
有里子 浅井
Junji Takase
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】アルケニル基を有するイソブチレン系重合体を
用いたヒドロシリル化反応により硬化し得る硬化性組成
物において、アルケニル基あるいはアルキニル基を有す
る低分子量有機化合物を用いることにより、従来の可塑
剤使用系における課題、耐熱性及び機械特性の低下を改
善する。 【解決手段】下記の成分(A)、(B)、(C)及び
(D)を必須成分としてなる硬化性組成物。 (A)分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可
能なアルケニル基を含有するイソブチレン系重合体 (B)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を含有
する硬化剤 (C)ヒドロシリル化触媒 (D)分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可
能なアルケニル基あるいはアルキニル基を含有する有機
化合物

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硬化性に優れ、そ
の硬化物がゴム状物質であり、ヒドロシリル化反応によ
り硬化する硬化性組成物に関する。特に本発明の硬化性
組成物から得られる硬化物は、飽和炭化水素系重合体で
あるイソブチレン骨格を有していることから、低透湿
性、低吸湿性、低気体透過性、耐熱性、耐候性、電気絶
縁性、振動吸収性、耐薬品性等に優れており、応用分野
としては、電気・電子部品等の封止材料や各種コーティ
ング材、ガスケット材料、シーリング材、成形材料、塗
料、接着剤等幅広く挙げられる。
【0002】
【従来の技術】従来より、硬化によりゴム状物質を生成
する硬化性液状樹脂組成物として、種々のものが開発さ
れている。中でもヒドロシリル化反応を架橋反応として
利用した、いわゆる付加型硬化系シリコーンは優れた耐
候性、耐熱性、耐水性を有するのみならず、さらに硬化
反応時に低分子化合物が発生しないので硬化前後におけ
る形状変化が少ない、高温速硬化のため消費エネルギー
が少なくて済む、安全性が高いなどの優れた特性を有す
る。付加型硬化系シリコーンは、シリコーン系シーリン
グ材やポッティング材として使用されている。しかし、
付加型硬化系シリコーンは、高価であるためコストが高
くつき、接着性も悪く、かびが発生しやすいといった理
由からその用途が制限されている。
【0003】一方、このような高価なオルガノポリシロ
キサンを使用しない系として、分子中に少なくとも1個
のアルケニル基を有する重合体を、分子中に2個以上の
ケイ素原子に結合した水素原子を有する炭化水素系硬化
剤で架橋する硬化性組成物が、特開平2−75644
号、特開平3−181565号公報等に開示されてい
る。これらのうち飽和炭化水素系重合体であるイソブチ
レン系重合体からなる硬化性組成物は、優れた耐候性、
耐熱性に加え、上記シリコーン系ではなし得ない低透湿
性、低気体透過性、耐薬品性、高振動吸収性等を有して
おり、幅広い用途への利用が期待されている。
【0004】しかしながらこのイソブチレン系重合体の
液状組成物は、比較的粘度が高く各種添加剤やフィラー
を配合するために樹脂成分の粘度を低下させる必要に迫
られることがある。そのために一般的には、プロセスオ
イルをはじめとする非反応性の可塑剤が使用されてい
る。しかし、これらの可塑剤は非反応性であるため架橋
反応には関与せず、したがって架橋体の網目とは結合し
ないので、可塑剤の添加による機械特性、耐熱性等の大
幅な低下は避けられなかった。特に耐熱性については、
高い温度での可塑剤の揮発が問題となっており、その改
善方法が模索されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、低透
湿性、低吸湿性、低気体透過性、耐熱性、耐候性、電気
絶縁性、振動吸収性に優れたイソブチレン系重合体から
なる、ヒドロシリル化反応により硬化し得る硬化性組成
物において、各種添加剤やフィラーの配合を容易にする
等作業性を向上させるために、従来の可塑剤を使用した
場合に比較し、機械特性、耐熱性等の各種特性の低下を
低減し得る、低粘度化技術を完成させることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、イソブチ
レン系重合体をヒドロシリル化反応により硬化し得る硬
化系(付加型硬化系)に適用する際に、架橋反応と同じ
ヒドロシリル化反応により硬化剤と結合し得る反応性希
釈剤を使用することにより、従来の可塑剤を使用した場
合に比べて、機械特性、耐熱性等の各種特性の低下を抑
制し得る、低粘度化技術を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、 (A)分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可
能なアルケニル基含有するイソブチレン系重合体 (B)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を含有
する硬化剤 (C)ヒドロシリル化触媒 (D)分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可
能なアルケニル基あるいはアルキニル基を有する有機化
合物 を必須成分としてなる硬化性組成物に関するものであ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に用いる(A)成分は、分
子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可能なアル
ケニル基を有するイソブチレン系重合体である。ここ
で、イソブチレン系重合体とは、重合体の骨格をなす単
量体単位が主としてイソブチレン単位からなるものを意
味する。この場合。単量体のすべてがイソブチレン単位
から形成されていてもよく、イソブチレンと共重合性を
有する単量体単位をイソブチレン系重合体中の好ましく
は50%(重量%、以下同様)以下、更に好ましくは3
0%以下、特に好ましくは20%以下の範囲で含有して
もよい。但し、これらの重合体において、耐熱性、耐候
性等の点から、該アルケニル基を除く主鎖を構成する繰
り返し単位が芳香環以外の炭素−炭素不飽和結合を含有
しない飽和炭化水素から構成されることが特に好まし
い。また、本発明中(A)成分として用いるイソブチレ
ン系重合体には、本発明の目的が達成される範囲でブタ
ジエン、イソプレン、1,9−デカジエン、1,5−ヘ
キサジエンのようなポリエン化合物のごとき重合後二重
結合の残るような単量体単位を少量、好ましくは10%
以下の範囲で含有させてもよい。
【0009】このようなイソブチレン系重合体の主鎖骨
格を構成する共重合体成分としては、例えば1−ブテ
ン、2−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル
−1−ブテン、ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、
ヘキセン、ビニルシクロヘキサン、メチルビニルエ−テ
ル、エチルビニルエ−テル、イソブチルビニルエ−テ
ル、スチレン、α−メチルスチレン、ジメチルスチレ
ン、p−t−ブトキシスチレン、p−ヘキセニルオキシ
スチレン、p−アリロキシスチレン、p−ヒドロキシス
チレン、β−ピネン、インデン、ビニルジメチルメトキ
シシラン、ビニルトリメチルシラン、ジビニルジメトキ
シシラン、ジビニルジメチルシラン、1,3−ジビニル
−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリビ
ニルメチルシラン、テトラビニルシラン、アリルジメチ
ルメトキシシラン、アリルトリメチルシラン、ジアリル
ジメトキシシラン、ジアリルジメチルシラン、γ−メタ
クリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メ
タクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等
が挙げられる。
【0010】また、ヒドロシリル化反応可能なアルケニ
ル基は、ヒドロシリル化反応に対して活性のある炭素−
炭素二重結合を有する基であれば特に制限されるもので
はない。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、
メチルビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニ
ル基、ヘキセニル基等の脂肪族不飽和炭化水素基、シク
ロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル
基、シクロヘキセニル基等の環式不飽和炭化水素基が挙
げられる。本発明においては、(A)成分は、1分子中
にアルケニル基を1〜10個有していることが望まし
い。
【0011】前記イソブチレン系重合体の数平均分子量
(GPC法、ポリスチレン換算)は500〜10000
0程度であるのが好ましく、特に1000〜40000
程度の液状物、流動性を有するものが取り扱いやすさな
どの点から好ましい。また、本発明の(A)成分は、特
開平08−134220に記載された方法により製造す
ることができる。
【0012】本発明の(B)成分である硬化剤として
は、分子内に少なくとも2個のヒドロシリル基を含有す
るものであれば、特に制限はない。ここで、ヒドロシリ
ル基1個とはSi−H結合1個をさす。従って、同一S
iに水素原子が2個結合している場合はヒドロシリル基
2個と計算する。(B)成分としては、合成方法の簡便
さや安定性を考慮すればオルガノハイドロジェンポリシ
ロキサンが好ましい。ここで言うオルガノハイドロジェ
ンポリシロキサンとは、Si原子上に炭化水素基あるい
は水素原子を有するポリシロキサンを指し、その構造に
ついて具体的に示すと、
【0013】
【化1】
【0014】などで示される鎖状、環状のものが挙げら
れる。さらに上記のヒドロシリル基(Si−H基)を有
する化合物のうち、(A)成分との相溶性が良いという
点から、特に下記のものが好ましい。
【0015】
【化2】
【0016】また、これら(B)成分中に含まれるヒド
ロシリル基は少なくとも1分子中に2個あればよいが、
2〜40個が好ましい。本発明の組成物をヒドロシリル
化反応により硬化させる場合には、該ヒドロシリル基の
個数が2より少ないと、硬化が遅く硬化不良を起こすこ
とが多い。また、該ヒドロシリル基の個数が40より多
くなると、(B)成分である硬化剤の安定性が悪くなる
ほか、ヒドロシリル基の反応率の低下により未反応のヒ
ドロシリル基が硬化物中に残存し、ボイドやクラックの
原因となる。
【0017】(B)成分の硬化剤は(A)成分の重合体
100重量部に対し0.5〜1000重量部、好ましく
は0.5〜100重量部、特には1〜50重量部用いる
ことが好ましい。本発明の(C)成分であるヒドロシリ
ル化触媒については、特に制限はなく、従来公知のもの
全てが使用できる。
【0018】具体的には、塩化白金酸、白金の単体、あ
るいはアルミナ、シリカ、カ−ボンブラック等の担体に
固体白金を担持させたもの;白金−ビニルシロキサン錯
体{例えば、Ptn(ViMe2SiOSiMe2
i)n、Pt〔(MeViSiO)4m};白金−ホス
フィン錯体{例えば、Pt(PPh34、Pt(PBu
34};白金−ホスファイト錯体{例えば、Pt〔P
(OPh)34、Pt〔P(OBu)34} (式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニ
ル基、Phはフェニル基を表し、n、mは整数を表す) Pt(acac)2、また、アシュビ−(Ashby)
の米国特許第3159601及び3159662号明細
書中に記載された白金−炭化水素複合体、並びにラモロ
−(Lamoreaux)の米国特許第3220972
号明細書中に記載された白金アルコラ−ト触媒を挙げる
ことができる。
【0019】また、白金化合物以外の触媒の例として
は、RhCl(PPh33、RhCl 3、Rh/Al2
3、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、P
dCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4等が挙げられ
る。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併
用しても構わない。触媒活性の点から塩化白金酸、白金
−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、Pt
(acac)2等が好ましい。触媒量については特に制
限はないが、(A)成分中のアルケニル基1molに対
して10-1〜10-8molの範囲で用いるのがよい。好
ましくは10-2〜10-6molの範囲で用いるのがよ
い。また、ヒドロシリル化触媒は、一般に高価で腐食性
であり、また、水素ガスを大量に発生して硬化物が発泡
してしまう場合があるので10-1モル以上用いない方が
よい。
【0020】本発明の(D)成分である分子中に少なく
とも1個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基ある
いはアルキニル基を有する有機化合物は、硬化前の組成
物の粘度を低下させるとともに、硬化反応時には(B)
成分である硬化剤のSi−H基とヒドロシリル化反応に
より結合し、結局網目構造に取り込まれるものである。
このため本発明においては、分子中に少なくとも1個の
ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基あるいはアルキ
ニル基を有する低分子有機化合物であれば特に制限はな
いが、本発明の(A)成分との相溶性が良好であるとい
う観点から、極性の低い炭化水素系化合物が好ましい。
また(D)成分の分子量は400以下であることが好ま
しい。また、本発明の組成物の特徴である耐熱性、耐候
性等の観点からは、(D)成分中にはヒドロシリル化に
対する活性の低い炭素−炭素不飽和結合は有さないこと
がさらに好ましい。
【0021】また(D)成分として、硬化養生中に揮発
し得るような低沸点の化合物を用いた場合は、硬化前後
で形状変化を起こしたり、揮発物により環境にも悪影響
を及ぼすことから、炭素数が8以上の炭化水素系化合物
が特に好ましい。(D)成分の具体例としては、C6
20、好ましくはC8〜C20のα−オレフィン、C18
20のα,ω−ジエン、α−メチルスチレン、スチレ
ン、ジビニルベンゼン、ビスフェノールアリルエーテル
などが挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。このうち、特にC8〜C20のα−オレフィンが好ま
しい。
【0022】これらの(D)成分を使用するにあたって
は、以下のことに留意するのがよい。本組成物から得ら
れる硬化物の機械特性は(D)成分中の官能基数に大き
く依存する。アルケニル基あるいはアルキニル基の含有
数が多くなるに従い、モジュラスは高くなり、得られる
硬化物は硬く伸びないものとなることが多い。低モジュ
ラス・高伸びを要求する場合には、(D)成分として、
アルケニル基あるいはアルキニル基を分子中に1個のみ
含有する化合物を選ぶことが望ましい。但し、これらの
機械特性は当然(D)成分の添加量にも大きく左右され
る。
【0023】一方、(D)成分の添加量は、(A)成分
であるイソブチレン系重合体と(B)成分である硬化剤
とのヒドロシリル化反応による3次元的架橋構造の形成
を妨げない範囲内であれば、特に制限はない。すなわ
ち、(D)成分の添加量が過剰になった場合、(B)成
分のSi−H基は(D)成分の不飽和基とのヒドロシリ
ル化反応により消費されてしまい、(A)成分による3
次元的架橋構造の形成が不十分になることがある。
【0024】(D)成分の有機化合物は(A)成分の重
合体100重量部に対し0.1〜100重量部、好まし
くは0.5〜70重量部、特には1〜50重量部用いる
ことが好ましい。また、本発明の硬化性組成物には、さ
らに目的に応じて各種無機フィラーを添加することがで
きる。本発明の(D)成分は重合体に結合し揮散しなく
なるので、(D)成分として低粘度のものが使用でき
る。(D)成分として低粘度のものを使用すると高粘度
の可塑剤を用いる場合と比べて無機フィラーを大量に添
加できるので、チクソ性が高く、タレ性の小さい組成物
を得ることができる。
【0025】無機フィラーとしては、炭酸カルシウム、
タルク、シリカ、カーボンブラックといった一般的な無
機フィラ−が使用できる。しかし、本発明の硬化性組成
物はヒドロシリル化反応による硬化を利用するため、そ
の使用にあたっては、ヒドロシリル化反応に対する阻害
の有無を考慮しなければならない。例えば組成物に水分
が多く含まれると硬化反応時に副反応等が起こる可能性
がある。
【0026】さらに本発明の硬化性組成物の保存安定性
を改良する目的で、保存安定性改良剤を使用することが
できる。この保存安定性改良剤は、本発明の(B)成分
の保存安定性改良剤として一般に知られている安定剤で
あり、所期の目的を達成するものであればよく、特に限
定されるものではない。具体的には、脂肪族不飽和結合
を含有する化合物、有機リン化合物、有機硫黄化合物、
窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等を好適
に用いることができる。さらに具体的には、2−ベンゾ
チアゾリルサルファイド、ベンゾチアゾ−ル、チアゾ−
ル、ジメチルアセチレンダイカルボキシレ−ト、ジエチ
ルアセチレンダイカルボキシレ−ト、BHT、ブチルヒ
ドロキシアニソ−ル、ビタミンE、2−(4−モルフォ
ジニルジチオ)ベンゾチアゾ−ル、3−メチル−1−ブ
テン−3−オ−ル、アセチレン性不飽和基含有オルガノ
シロキサン、アセチレンアルコ−ル、3−メチル−1−
ブチル−3−オ−ル、ジアリルフマレ−ト、ジアリルマ
レエ−ト、ジエチルフマレ−ト、ジエチルマレエ−ト、
ジメチルマレエ−ト、2−ペンテンニトリル、2,3−
ジクロロプロペン等が挙げられ、特にポットライフ/速
硬化性の両立という点でチアゾ−ル、ベンゾチアゾ−ル
が好ましいが、これらに限定されるわけではない。
【0027】またさらに、本発明の硬化性組成物には、
必要に応じてその他の充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収
剤、顔料、界面活性剤等を適宜添加することができる。
この充填剤の具体例としては、例えば酸化チタン、亜鉛
華、硫酸バリウム等を挙げることができる。本発明の組
成物は、低透湿性、低吸湿性、低気体透過性、耐熱性、
耐候性、電気絶縁性、振動吸収性に優れたイソブチレン
系重合体を用いた、ヒドロシリル化反応により硬化し得
る硬化性組成物において、従来から低粘度化技術として
使用してきた可塑剤に代わり、上記ヒドロシリル化反応
により硬化剤に結合し得る有機化合物を使用することに
より、良好な諸特性を示す硬化物を得ることが可能とな
る。
【0028】
【実施例】以下に、実施例により本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらにより何ら制限を受けるもの
ではない。 実施例1 (A)成分としては、特開平08−134220に記載
されている方法により合成した下記に構造を示す化合物
A(A1及びA2)のうち、A1(分析値は表1に示
す)を使用した。
【0029】
【表1】
【0030】
【化3】
【0031】まず、(A)成分100重量部に対して、
(D)成分としてオクタデセン(和光純薬(株)製)を
10重量部混合し、その混合物の粘度をE型粘度計にて
測定した。さらに、この混合物の(A)成分100重量
部に対して、酸化防止剤としてイルガノックス1010
(チバ・ガイギー社製)を1重量部秤量し混合し、ロー
ルにて3回混練した。続いて、この混合物に下記に構造
を示す(B)成分である化合物B、
【0032】
【化4】
【0033】を(A)成分のアルケニル基量と(B)成
分中のSi−H基量の比が1:4となるように秤量し混
合した。更に保存安定性改良剤としてジメチルマレエー
トを白金に対し3モル当量、及び(C)成分の触媒とし
てビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメ
チルジシロキサン)白金錯体触媒(8.3×10-5mm
ol/μl、キシレン溶液)を白金が(A)成分のアル
ケニル基量のモル数に対して5×10-4当量になるよう
に秤量し、均一に混合した。該組成物を10cm×10
cmの金型に流し込み、約1MPaの圧力をかけて13
0℃の温度で30分間硬化させた。得られた硬化物シー
トをダンベル型に打ち抜き、ダンベル引張特性(測定は
JIS K6301に準じた)を測定した。 実施例2 (D)成分の添加量を(A)成分100重量部に対して
20重量部とした以外は実施例1と同様にして、粘度及
びダンベル引張特性を測定した。 実施例3 (D)成分の添加量を(A)成分100重量部に対して
40重量部、また、(B)成分の添加量を(A)成分の
アルケニル基量と(B)成分中のSi−H基量の比が
1:8となるよう設定した以外は実施例1と同様にし
て、粘度及びダンベル引張特性を測定した。 比較例1 (D)成分の代わりに可塑剤としてパラフィン系プロセ
スオイル(出光石油(株):商品名、PS−32)を
(A)成分100重量部に対して25重量部加えた以外
は、実施例1と同様にし粘度を測定した。また、試験片
作成にあたっては、(B)成分として下記に構造を示す
化合物C、
【0034】
【化5】
【0035】を(A)成分のアルケニル基量と(B)成
分中のSi−H基量の比が1:2となるように使用し実
施した。 比較例2 (D)成分の代わりに可塑剤としてパラフィン系プロセ
スオイル(出光石油(株):商品名、PS−32)を
(A)成分100重量部に対して50重量部加えた以外
は、比較例1と同様にし、粘度測定及び引張特性を測定
した。 比較例3 (D)成分の代わりに可塑剤としてパラフィン系プロセ
スオイル(出光石油(株):商品名、PS−32)を
(A)成分100重量部に対して100重量部加えた以
外は、比較例1と同様にし、粘度測定及び引張特性を測
定した。 実施例4 (A)成分として化合物A2を使用した以外は実施例1
と同様にして粘度及びダンベル引張特性を測定した。 実施例5 (A)成分として化合物A2を使用し、(D)成分の添
加量を(A)成分100重量部に対して20重量部、ま
た、(B)成分の添加量を(A)成分のアルケニル基量
と(B)成分中のSi−H基量の比が1:6となるよう
設定したた以外は実施例1と同様にして粘度及びダンベ
ル引張特性を測定した。 比較例4 (A)成分として化合物A2を使用した以外は比較例1
と同様にして粘度及びダンベル引張特性を測定した。 比較例5 (A)成分として化合物A2を使用した以外は比較例2
と同様にして粘度及びダンベル引張特性を測定した。各
配合表を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】実施例6 (A)成分としては上記化合物A1を使用し、(A)成
分100重量部に対して、(D)成分としてオクタデセ
ン(和光純薬(株)製)を10重量部、酸化防止剤とし
てイルガノックス1010(チバ・ガイギー社製)を1
重量部、無機フィラーとしてタルク(日本タルク、商品
名、MS)を50重量部秤量しロールにて3回混練し
た。この混合物の粘度をBS型粘度計にて測定した。続
いて、この混合物に上記に構造を示す(B)成分である
化合物Bを(A)成分のアルケニル基量と(B)成分中
のSi−H基量の比が1:4となるように秤量し混合し
た。更に保存安定性改良剤としてジメチルマレエートを
白金に対し3モル当量、及び(C)成分の触媒としてビ
ス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチル
ジシロキサン)白金錯体触媒(8.3×10-5mmol
/μl、キシレン溶液)を白金が(A)成分のアルケニ
ル基量のモル数に対して5×10-4当量になるように秤
量し、均一に混合した。該組成物を10cm×10cm
の金型に流し込み、約1MPaの圧力をかけて130℃
の温度で30分間硬化させた。得られた硬化物シートを
ダンベル型に打ち抜き、ダンベル引張特性(測定はJI
S K6301に準じた)を測定した。 実施例7 (D)成分の添加量を(A)成分100重量部に対して
20重量部とした以外は実施例6と同様にして、粘度及
びダンベル引張特性を測定した。 比較例6 (D)成分の代わりに可塑剤としてパラフィン系プロセ
スオイル(出光石油(株):商品名、PS−32)を
(A)成分100重量部に対して25重量部加えた以外
は、実施例6と同様にし粘度を測定した。また、試験片
作製にあたっては、(B)成分として前記化合物Cを
(A)成分のアルケニル基量と(B)成分中のSi−H
基量の比が1:2となるように使用し実施した。 比較例7 (D)成分の代わりに可塑剤としてパラフィン系プロセ
スオイル(出光石油(株):商品名、PS−32)を
(A)成分100重量部に対して50重量部加えた以外
は、比較例6と同様にし、粘度測定及び引張特性を測定
した。
【0038】各配合表を表3に示す。
【0039】
【表3】
【0040】上記各測定結果を表4に示す。
【0041】
【表4】
【0042】実施例8 また、本発明により得られる硬化物の耐熱性を調べるた
めに、上記実施例6〜7及び比較例6〜7で作製した硬
化物のサンプル片を、150℃の条件下で約30日間放
置し、その重量変化を測定した。結果を表5に示す。
【0043】
【表5】
【0044】表4〜5の結果より、本発明における反応
性希釈剤を用いた配合系においては、該飽和炭化水素系
樹脂との相溶性、発現強度の点から従来使用している可
塑剤を用いた配合系に比較し、同一粘度ではさらに高強
度が発現できることが明らかである。また、耐熱性試験
においては、同可塑剤配合系が150℃において徐々に
ではあるが、揮発するのに比較し、反応性希釈剤を使用
する配合系においては、加熱減量は殆ど見られず、耐熱
性に優れることが確認できる。
【0045】
【発明の効果】本発明の組成物は、従来から使用してい
るパラフィン系プロセスオイルのような非反応性可塑剤
の代わりに、アルケニル基あるいはアルキニル基含有化
合物を反応性希釈剤として使用している。このため、本
発明の組成物では、低粘度の反応性希釈剤の使用が可能
なので作業性に優れた組成物を得ることが出来て、なお
かつその硬化物が高強度で加熱減量も小さいという利点
を有する。
【0046】また、本発明の組成物には無機フィラーを
大量に配合できるので、チクソ性が高い、タレのない組
成物を得ることが可能である。本発明の組成物の硬化物
は、低透湿性、低吸湿性、低気体透過性、耐熱性、耐候
性、電気絶縁性、振動吸収性等の各種特性に優れたゴム
状弾性体であり、従来の非反応性可塑剤を使用する場合
に比べ、耐熱性が向上する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅井 有里子 明石市西明石北町3−3−26−106 (72)発明者 高瀬 純治 明石市西明石町5丁目5番20号

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の成分(A)、(B)、(C)及び
    (D)を必須成分としてなる硬化性組成物; (A)分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可
    能なアルケニル基を含有するイソブチレン系重合体 (B)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を含有
    する硬化剤 (C)ヒドロシリル化触媒 (D)分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可
    能なアルケニル基あるいはアルキニル基を含有する有機
    化合物
  2. 【請求項2】 (A)成分の重合体中、ヒドロシリル化
    反応可能なアルケニル基が重合体の末端に含有されてな
    る請求項1記載の硬化性組成物。
  3. 【請求項3】 (A)成分の重合体中、イソブチレンに
    起因する繰り返し単位の総量が50重量%以上である請
    求項1又は2記載の硬化性組成物。
  4. 【請求項4】 (A)成分の重合体中、イソブチレンに
    起因する繰り返し単位の総量が80重量%以上である請
    求項1又は2記載の硬化性組成物。
  5. 【請求項5】 (B)成分の硬化剤が分子中に少なくと
    も2個のヒドロシリル基を含有するオルガノハイドロジ
    ェンポリシロキサンである請求項1〜4記載の硬化性組
    成物。
  6. 【請求項6】 (D)成分のアルケニル基含有有機化合
    物の分子量が400以下である請求項1〜5記載の硬化
    性組成物。
  7. 【請求項7】 (D)成分のアルケニル基含有有機化合
    物が炭素数6〜20のα−オレフィンである請求項1〜
    6記載の硬化性組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999060063A1 (fr) * 1998-05-20 1999-11-25 Kaneka Corporation Composition durcissable
JP2002080733A (ja) * 2000-04-21 2002-03-19 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 光学材料用組成物、光学用材料、その製造方法およびそれを用いた液晶表示装置およびled
JP2002105263A (ja) * 2000-10-04 2002-04-10 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 硬化性組成物
JP2003055528A (ja) * 2001-08-10 2003-02-26 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 熱可塑性エラストマー組成物
JP2017035809A (ja) * 2015-08-07 2017-02-16 キヤノン株式会社 液体吐出ヘッド及びその製造方法

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