JP2006104483A - 接着性組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】飽和炭化水素系重合体をベースとしたヒドロシリル化により硬化する液状ゴムにおいては、従来、100℃以下、例えば80℃以下の硬化温度での接着性は確保できていない。さらにプラスチック基材に対する接着性は全体的に低く、満足し得るものではなかった。
【解決手段】(A)平均して1分子中に少なくとも1.2個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を有する数平均分子量2000〜30000の飽和炭化水素系重合体、(B)平均して1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を含有する有機ケイ素化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、(D)分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する環式脂肪族エポキシ樹脂、(E)アルミキレート化合物、(F)加水分解性ケイ素化合物からなる接着性組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】(A)平均して1分子中に少なくとも1.2個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を有する数平均分子量2000〜30000の飽和炭化水素系重合体、(B)平均して1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を含有する有機ケイ素化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、(D)分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する環式脂肪族エポキシ樹脂、(E)アルミキレート化合物、(F)加水分解性ケイ素化合物からなる接着性組成物。
【選択図】 なし
Description
本発明は接着性組成物に関し、さらに詳しくは、未硬化状態では液状であり、かつ硬化後には各種基材、特にポリカーボネートやエポキシ樹脂等のプラスチック基材に対しても100℃以下の温度で硬化し、良好な接着性を示す耐久性に優れた接着性組成物に関するものである。
飽和炭化水素系重合体をベースとした液状ゴムは、従来から知られている炭素−炭素二重結合を有する液状ポリブタジエンやポリイソプレンに比較し、耐熱性や耐候性といった耐久性が優れることから幅広い用途への展開が期待される。中でもヒドロシリル化反応による炭素−ケイ素結合の生成を架橋に利用した付加型硬化系は、シリコーンで古くから実績を蓄積しているように、硬化時にアウトガスが出ない、各種耐久性に優れる、硬化速度を幅広い範囲で制御できるとともに、高温で数十秒レベルでの硬化も可能であるなどの特徴を有しており、従来のウレタン架橋や硫黄加硫などに比較し、その使用形態も幅広く展開できる。その期待される用途としてはシート、チューブ、ガスケット等の各種ゴム成形体のほか、電気電子分野を中心に使用されるポッティング材やコーティング材等の封止材、各種分野で使用される粘着剤や接着剤などが挙げられる。
しかし一般に、液状ゴム自体では接着性を発現させることは困難であり、特に接着性が求められる用途への適用にあたっては何らかの接着性付与技術が必要とされる。このような液状ゴムへの接着性付与技術としては、例えば特開平4−185687に示されているような、シランカップリング剤の添加が挙げられる。また、特開平9−316293ではシランカップリング剤に加え有機アルミニウム化合物および/あるいは有機チタン化合物を添加することにより、さらに特開平10−204222では該組成物に多価アルコキシシランおよび/またはその縮合体を加えることにより耐久接着性を改善した硬化性組成物が示されている。さらにエポキシ樹脂を用いた系における接着技術としては、エポキシ樹脂/非アミン系エポキシ樹脂用硬化剤を加えることにより十分な機械特性と接着性を兼ね備えた硬化性組成物が得られることが、特開平6−200123に示されている。
しかしながら、いずれの組成物においても硬化温度が高い場合(すなわち120℃以上の場合)においては接着性が発現するものの、100℃以下、例えば80℃以下の硬化温度で硬化させた物については接着性が確保できていない。
特開平4−185687号公報
特開平9−316293号公報
特開平10−204222号公報
特開平6−200123号公報
本発明はかかる課題に取り組み、100℃以下、例えば80℃といった比較的低い硬化温度においてもポリカーボネート樹脂やエポキシ樹脂等のプラスチック基材に対する良好な接着性を示し得る接着性組成物を提供するものである。
本発明は、ヒドロシリル化反応を架橋反応として利用した飽和炭化水素系重合体をベースとした液状ゴム組成物への接着性発現にあたって、エポキシ樹脂の接着性発現機能に着目したものである。具体的には、エポキシ樹脂、アルミキレート化合物、加水分解性ケイ素基を有する化合物等からなる組成物において、ある特定のエポキシ樹脂を用いることにより、接着性に関する上記の目的を達成し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、(A)平均して1分子中に少なくとも1.2個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を有する数平均分子量2000〜30000の飽和炭化水素系重合体、(B)平均して1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を含有する有機ケイ素化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、(D)環式脂肪族エポキシ樹脂、(E)アルミキレート化合物、(F)加水分解性ケイ素基を有する化合物からなる接着性組成物に関するものである。
本発明によって得られる接着性組成物は、未硬化状態では液状であり各種成形加工方法に適用し得るとともに、硬化状態では耐久性に優れるものであり、従来より困難とされていた各種基材、特にポリカーボネートやエポキシ樹脂等のプラスチック基材に対しても100℃以下の比較的低い温度において硬化可能な、接着性の良好な接着性組成物である。
本発明の接着性組成物は、ベース樹脂として飽和炭化水素系重合体から構成されるため、耐熱性、耐候性、耐薬品性に優れるほか、特にイソブイチレン系重合体を用いた場合には、低透湿性、低気体透過性、高振動吸収性も併せ持つことができ、例えば電気絶縁材料として各種電気・電子部品の封止材料としての応用も期待できる。
本発明に用いる(A)成分は、分子中に少なくともヒドロシリル化反応可能な1個のアルケニル基を有するイソブチレン系重合体である。ここで、イソブチレン系重合体とは、アルケニル基を除く主鎖を構成する繰り返し単位が主にイソブチレンから構成されるものを意味し、主鎖中に芳香環以外の炭素−炭素不飽和結合を実質的に含有しない重合体を意味する概念である。また、ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基とは、ヒドロシリル化反応に対して活性のある炭素−炭素2重結合を含む基であれば特に制限されるものではない。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、メチルビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の脂肪族不飽和炭化水素基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環式不飽和炭化水素基が挙げられる。本発明においては、(A)成分は、1分子中にアルケニル基を1〜10個有していることが好ましく、1〜5個有することがさらに好ましい。さらに、本発明における(A)成分は、上記ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を重合体末端に有していることが望ましい。このようにアルケニル基が重合体末端にあるときは、最終的に形成される硬化物の有効網目鎖量が多くなり、高強度で高伸びのゴム状硬化物が得られやすくなるなどの点から好ましい。
前記イソブチレン系重合体は、単量体単位のすべてがイソブチレン単位から形成されていてもよく、イソブチレンと共重合性を有する単量体単位をイソブチレン系重合体中の好ましくは50%(重量%、以下同様)以下、更に好ましくは30%以下、特に好ましくは20%以下の範囲で含有してもよい。
このような単量体成分としては、例えば炭素数4〜12のオレフィン、ビニルエ−テル、芳香族ビニル化合物、ビニルシラン類、アリルシラン類等が挙げられる。このような共重合体成分の具体例としては、例えば1−ブテン、2−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ヘキセン、ビニルシクロヘキサン、メチルビニルエ−テル、エチルビニルエ−テル、イソブチルビニルエ−テル、スチレン、α−メチルスチレン、ジメチルスチレン、p−t−ブトキシスチレン、p−ヘキセニルオキシスチレン、p−アリロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、β−ピネン、インデン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメチルシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジメチルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリビニルメチルシラン、テトラビニルシラン、アリルジメチルメトキシシラン、アリルトリメチルシラン、ジアリルジメトキシシラン、ジアリルジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
また、本発明中(A)成分として用いるイソブチレン系重合体には、本発明の目的が達成される範囲でブタジエン、イソプレンのようなポリエン化合物のごとき重合後2重結合の残るような単量体単位を少量、好ましくは10%以下、さらに好ましくは2%以下の範囲で含有させてもよい。
前記イソブチレン系重合体の数平均分子量(GPC法により得る。ポリスチレン換算値。)は通常50000以下であり、500〜30000程度であるのが好ましく、特に500〜20000程度であるのが、重合体が液状物であって流動性を有するため取り扱いやすいという点から好ましい。
また、本発明の(A)成分の製造方法としては、特開平3−152164や特開平7−304909各公報に開示されているような、水酸基などの官能基を有する重合体に不飽和基を有する化合物を反応させて重合体に不飽和基を導入する方法が挙げられる。またハロゲン原子を有する重合体に不飽和基を導入するのにアルケニルフェニルエーテルとフリーデルクラフツ反応を行う方法、ルイス酸存在下アリルトリメチルシランなどと置換反応を行う方法、種々のフェノール類とフリーデルクラフツ反応を行い水酸基を導入した上でさらに前記のアルケニル基導入方法を併用する方法などが挙げられる。さらに米国特許第4316973号、特開昭63−105005号公報、特開平4−288309号公報に開示されているような単量体の重合時に不飽和基を導入する方法も可能である。
本発明の(B)成分は硬化剤として用いるものであるが、分子内に少なくとも2個のヒドロシリル基を含有するものであれば、従来公知のものを制限なく使用することができる。ここで、ヒドロシリル基1個とはSiH基1個をさす。従って、一つのケイ素原子に水素原子が2個結合している場合はヒドロシリル基2個と計算する。
(B)成分として好ましいものとしては、例えばオルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。ここで言うオルガノハイドロジェンポリシロキサンとは、Si原子上に炭化水素基あるいは水素原子を有するポリシロキサンを指し、その構造について具体的に示すと、
上記の各種オルガノハイドロジェンポリシロキサンの中でも、本発明の(A)成分の飽和炭化水素系重合体等との相溶性が比較的良好であるという理由から、特に下記のものが好ましい。
またこれら(B)成分に含まれるヒドロシリル基の個数については少なくとも1分子中に2個あればよいが、2〜30個が好ましく、2〜15個であるのがさらに好ましい。本発明の組成物をヒドロシリル化反応により硬化させる場合には、該ヒドロシリル基の個数が2より少ないと、硬化が遅く硬化不良を起こす場合が多い。また、該ヒドロシリル基の個数が30より多くなると、(B)成分である硬化剤の安定性が悪くなる傾向があり、その上硬化後も多量のヒドロシリル基が硬化物中に残存し、ボイドやクラックの原因となることがある。
本発明の(C)成分であるヒドロシリル化触媒については、従来公知のものを特に制限なく使用することができる。具体的に例示すれば、塩化白金酸、白金の単体、アルミナ、シリカ、カ−ボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの;白金ービニルシロキサン錯体{例えば、Ptn(ViMe2SiOSiMe2Vi)n、Pt〔(MeViSiO)4〕m};白金ーホスフィン錯体{例えば、Pt(PPh3)4、Pt(PBu3)4};白金ーホスファイト錯体{例えば、Pt〔P(OPh)3〕4、Pt〔P(OBu)3〕4(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは整数を表す)、Pt(acac)2が挙げられ、またAshbyらの米国特許第3159601及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、並びにLamoreauxらの米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラ−ト触媒も挙げられる。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh3)3、RhCl3、Rh/Al2O3、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4、等が挙げられる。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用しても構わない。触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、Pt(acac)2等が好ましい。触媒量としては特に制限はないが、(A)成分中のアルケニル基1molに対して10-1〜10-8molの範囲で用いるのがよい。好ましくは10-2〜10-6molの範囲で用いるのがよい。また、ヒドロシリル化触媒は、一般に高価で腐食性であり、また、水素ガスを大量に発生して硬化物が発泡してしまう場合があるので10-1モル以上用いない方がよい。
本発明においては、貴金属触媒を用いたアルケニル基に対するSi−H基の付加反応によって硬化性組成物が硬化するので、硬化速度が非常に速く、ライン生産を行う上で好都合である。
本発明の(D)成分である環式脂肪族エポキシ樹脂は、環状の脂肪族基及びエポキシ基を有する化合物よりなる樹脂を表すものである。環式脂肪族エポキシ樹脂は、(E)アルミキレート化合物、(F)加水分解性ケイ素基を有する化合物の存在下では、他のエポキシ樹脂に比べて特異的に速く硬化することが出来る。このような(D)成分のエポキシ樹脂としては、例えば
本発明の(E)成分であるアルミキレート化合物は、アルミニウム錯体を表し、キレート錯体であることが好ましい。(E)成分は、(F)成分との組み合わせにより(D)成分であるエポキシ樹脂の硬化を促進するための触媒である。このような(E)成分としては、例えばアルミニウムイソプロピレート、アルミニウムsec−ブチレート、アルミニウムtert−ブチレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、トリスヘキサフルオロアセチルアセトナートアルミニウム、トリスエチルアセトアセテートアルミニウムトリス(n−プロピルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(iso−プロピルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(n−ブチルアセトアセテート)アルミニウム、トリスサリチルアルデヒドアルミニウム、トリス(2−エトキシカルボニルフェノラート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウムなどが挙げられる。また、その使用量が本発明の組成物に含有されるエポキシ樹脂100重量部に対して0.1重量部に満たない場合には該エポキシ樹脂の硬化が不十分となり十分な接着性が発現しない傾向があるため、エポキシ樹脂100重量部に対して0.1重量部以上使用することが好ましい。
本発明の(F)成分は、加水分解性ケイ素基を有する化合物であって本発明の(B)成分を除くものである。(F)成分は、(E)成分のアルミキレート化合物との併用において(D)成分のエポキシ樹脂を硬化させる触媒として作用するものと考えられる。本発明における加水分解性ケイ素基とは、加水分解可能な置換基が結合したケイ素原子を表し、加水分解可能な置換基としては、例えばアルコキシ基、アシロキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基又は水酸基を挙げることができる。
このような(F)成分としては、例えばジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジイソプロポキシシラン、ジフェニルジアセトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、ジフェニルビニルエトキシシランなどのアルコキシシラン化合物、ジフェニルジシラノール、ジフェニルメチルシラノール、トリメチルシラノール、トリフェニルシラノールなどのアルキルシラノール化合物などが挙げられる。また、その使用量は本発明の組成物に含有されるエポキシ樹脂100重量部に対して1重量部に満たない場合は該エポキシ樹脂の硬化が不十分となり十分な接着性が発現しない傾向があり、また100重量部を越えると(F)成分自体のブリードアウト等の問題が生じることが多いので、その使用量はエポキシ樹脂100重量部に対して1〜100重量部であることが好ましい。
本発明の(G)成分である環式脂肪族エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型樹脂、芳香環を有する臭素化エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂が例示される。中でも接着強度の点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、芳香環を有する臭素化エポキシ樹脂であることが好ましい。また、その使用量は(D)成分との合計が(A)成分100重量部に対して0.5〜100重量部であることが好ましい。
また、本発明の(H)成分である分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を有する分子量1000以下の有機化合物とは、本発明の組成物の作業性を改善するために使用される反応性希釈剤であり、硬化後は硬化物の中に硬化剤との化学結合により取り込まれるものである。(H)成分の具体例としては、アルケニル基を1個有するものとして:C6〜C20、好ましくはC8〜C18のα−オレフィン、スチレン、α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマー、アリルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサンなど、アルケニル基を2個有するものとして:テトラメチルジビニルシロキサン、ビスフェノールAアリルエーテル、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、1,9−ノナンジオールジアリルエーテル、1,9−ノナンジオールジメタクリレートなど、アルケニル基を3個有するものとして:トリメチルトリビニルシクロシロキサン、トリメリット酸トリアリル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロシロキサン、アルケニル基を4個有するものとしてテトラメチルテトラビニルシクロシロキサンなど、アルケニル基をそれ以上に有するものとして1,2−ポリブタジエンオリゴマーなどが挙げられる。
さらに本発明の硬化性組成物の保存安定性を改良する目的で、保存安定性改良剤を使用することができる。この保存安定性改良剤は、本発明の(B)成分の保存安定剤として知られている通常の安定剤であり、所期の目的を達成するものであれば従来公知のものを特に制限無く使用できる。具体的には、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機硫黄化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等を好適に用いることができる。さらに具体的には、2−ベンゾチアゾリルサルファイド、ベンゾチアゾ−ル、チアゾ−ル、ジメチルアセチレンダイカルボキシレ−ト、ジエチルアセチレンダイカルボキシレ−ト、BHT、ブチルヒドロキシアニソ−ル、ビタミンE、2−(4−モルフォジニルジチオ)ベンゾチアゾ−ル、3−メチル−1−ブテン−3−オ−ル、アセチレン性不飽和基含有オルガノシロキサン、エチレン性不飽和基含有オルガノシロキサン、アセチレンアルコ−ル、3−メチル−1−ブチル−3−オ−ル、ジアリルフマレ−ト、ジアリルマレエ−ト、ジエチルフマレ−ト、ジエチルマレエ−ト、ジメチルマレエ−ト、2−ペンテンニトリル、2,3−ジクロロプロペン等が挙げられる。
また、本発明の硬化性組成物には、流動性を改善する目的で一般的に使用されている可塑剤を使用することもできる。但し、使用に当たっては、本発明の組成物の硬化反応であるヒドロシリル化反応への阻害の有無、(A)成分との相溶性を考慮する必要がある。これらの点から、例えばポリブテン、水添ポリブテン、α−メチルスチレンオリゴマ−、液状ポリブタジエン、水添液状ポリブタジエン、パラフィン油、ナフテン油、アタクチックポリプロピレン、ポリ(α−オレフィン)等の炭化水素系可塑剤が好適なものとして挙げられる。その中でも好ましくは不飽和結合を含まない水添ポリブテン、水添液状ポリブタジエン、パラフィン油、ナフテン油、アタクチックポリプロピレン、ポリ(α−オレフィン)が好ましい。
また、本発明の硬化性組成物には、流動性を損なわない範囲でその他の充填剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、界面活性剤等を適宜添加することができる。この充填剤の具体例としては、例えばヒュームドシリカや湿式シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ等のケイ酸、重質炭酸カルシウムや膠質炭酸カルシウム、タルク、カーボンブラック等の各種無機フィラーが挙げられる。但し、これらの使用にあたっては可塑剤と同様に、ヒドロシリル化反応への阻害の有無を考慮しなければならない。
本発明の硬化性組成物を作製するにあたっては、通常使用される各種混合装置が使用できる。無機フィラーをはじめとする組成物中に溶解しない成分を添加する場合には、2軸ミキサーやロール等のようにせん断をかけながら均一に分散できるような方法により混合することが有効である。
このようにして得られる組成物を使用するにあたっては、各種成型加工方法を利用できる。組成物の粘度に応じてディッピングやコーティング、ポッティング、また液状シリコーンで開発された液状射出成型、あるいはプレス成型、押し出し成型等の各種成形加工方法を使い分けることが好ましい。組成物の硬化反応の条件には特に制限はないが、常温でのポットライフを確保するためには加熱してから硬化することが好ましい。硬化条件は(C)成分であるヒドロシリル化触媒と、貯蔵安定性改良剤の添加量により幅広い範囲で設定が可能であるが、ヒドロシリル化触媒は高価であるため、硬化時間を短くするには温度を高く設定することが好ましい。本発明では、特にポリカーボネート樹脂やエポキシ樹脂などのプラスチック基材に対する接着性を確保することを目的としており、100℃以下、例えば80℃、2時間の加熱条件でも十分な物性を発現し得るよう設定が可能である。
以下に実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明する。
本実施例に示す化合物Aの分子量及び末端官能基数は、GPC、1H-NMRで測定した。
GPC分析:システム;Waters社製システム(ポンプ600E、示差屈折計401)、カラム;昭和電工(株)Shodex K-804、移動相;クロロホルム、数平均分子量などはポリスチレン換算で表す。
GPC分析:システム;Waters社製システム(ポンプ600E、示差屈折計401)、カラム;昭和電工(株)Shodex K-804、移動相;クロロホルム、数平均分子量などはポリスチレン換算で表す。
1H-NMR:Varian社製 Gemini-300、測定溶媒;四塩化炭素/重アセトン混合溶媒接着性評価にはJIS K 6850記載の碁盤目試験を採用した。
(実施例1)特開昭63ー105005号公報により合成した下記に構造を示す(A)成分である化合物A(分析値は表1に示す)
実施例2(D)成分としてエピコート171を(A)成分100重量部に対して5重量部、(G)成分としてビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート825(油化シェルエポキシ(株))を5重量部使用した以外は実施例1と同様に行い、接着性の評価を行った。配合を表2に、結果を表3に示す。
(比較例1〜3)(D)成分の代わりに比較例1ではフェノールノボラック型エポキシ樹脂のエピコート152(油化シェルエポキシ(株))、比較例2ではエピコート825、比較例3ではグリシジルエステル型エポキシ樹脂のエピコート871(油化シェルエポキシ(株))を(A)成分100重量部に対してそれぞれ10重量部使用した以外は実施例1と同様に行い、接着性の評価を行った。配合を表2に、結果を表3に示す。
比較例4(D)成分の代わりにエピコート825を使用した以外は実施例3と同様に行い、接着性の評価を行った。配合を表4に、結果を表5に示す。
Claims (9)
- (A)平均して1分子中に少なくとも1.2個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を有する数平均分子量2000〜30000の飽和炭化水素系重合体、(B)平均して1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を含有する有機ケイ素化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、(D)環式脂肪族エポキシ樹脂、(E)アルミキレート化合物、(F)加水分解性ケイ素基を有する化合物からなる接着性組成物。
- 上記(A)〜(F)成分に(G)環式脂肪族エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂を少なくとも1種加えた請求項1記載の接着性組成物。
- (G)成分が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、芳香環を有する臭素化エポキシ樹脂からなる群より選ばれる請求項1及び2記載の接着性組成物。
- 上記(A)〜(F)成分に(H)分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を有する分子量1000以下の有機化合物を少なくとも1種加えた請求項1〜3記載の接着性組成物。
- (A)成分が、イソブチレン系重合体である請求項1〜4記載の接着性組成物。
- (A)成分が、分子鎖末端にヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を有する重合体である請求項1〜5記載の接着性組成物。
- (B)成分が、平均して1分子中に少なくとも2個を越えるケイ素原子結合水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである請求項1〜6記載の接着性組成物。
- (D)成分の配合量が(A)成分100重量部に対して0.5〜100重量部であり、(E)成分の配合量が(D)成分100重量部に対して0.1重量部以上であり、また(F)成分の配合量が(D)成分100重量部に対して1〜100重量部である請求項1〜7記載の接着性組成物。
- (D)成分の配合量が(A)成分100重量部に対して0.5〜100重量部であり、(E)成分の配合量が(D)成分と(G)成分とを合わせたもの100重量部に対して0.1重量部以上であり、また(F)成分の配合量が(D)成分と(G)成分とを合わせたもの100重量部に対して1〜100重量部である請求項2〜7記載の接着性組成物。
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