JPH10202368A - 2電極片面ガスシールドアーク溶接方法 - Google Patents

2電極片面ガスシールドアーク溶接方法

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JPH10202368A
JPH10202368A JP1047097A JP1047097A JPH10202368A JP H10202368 A JPH10202368 A JP H10202368A JP 1047097 A JP1047097 A JP 1047097A JP 1047097 A JP1047097 A JP 1047097A JP H10202368 A JPH10202368 A JP H10202368A
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木 洋 三 鈴
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野 忠 星
Hirobumi Sano
野 博 文 佐
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 短尺から長尺の溶接構造物の片面溶接の、溶
接作業性,耐割れ性の向上,裏ビードの好適化,健全か
つ高靱性の溶接部の形成。板継ぎ作業能率を安易に高く
する。 【解決手段】 2電極片面ガスシールドアーク溶接方法
において、被溶接材の開先形状をまたは形状、該開先角
度を30〜55°とし、開先内面を仮付けした開先裏面
に裏当材を当て、前記開先内に鋼粒または鉄粉を被溶接
材板厚の1/4〜2/3の高さまで充填し、先行溶接電
極ワイヤを40〜150回/分、後行溶接電極ワイヤを
30〜120回/分で揺動し、該先行溶接電極の溶接電
流密度を230A/mm2以上、後行溶接電極の溶接電
流密度を150/mm2以上で、かつ先行および後行電
極の極間距離を100〜600mmで溶接する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被溶接材により形
成された開先の2電極片面ガスシールドアーク溶接に関
し、特に、耐割れ性およびビード外観が良好で溶接時の
スパッタ発生量が少なく、かつ、高靱性が得られる高能
率な2電極片面ガスシールドアーク溶接に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、各種溶接構造物の建造において、
溶接コスト低減及び高能率化が図れることからガスシー
ルドアーク溶接法の適用が各分野において急速に増大し
ている。中でも突合せ溶接の比率が高い造船や橋梁等の
分野での適用が著しい。しかし、溶接のトータルコスト
低減の観点から短尺から長尺の片面溶接の高速化が大き
な課題となっている。
【0003】片面溶接方法としては、従来よりサブマー
ジアーク溶接法が造船の板継溶接として盛んに研究され
ている。例えば特公昭60-59072号公報に提示されたサブ
マージアーク溶接法は、特に電極揺動に伴う溶接ビード
溶込み深さの減少及びビード外観形状の劣化を防止し、
初層ビードにおける割れ防止をも、併せて実現しようと
するものである。しかし、このサブマージアーク溶接法
は実施設備が大がかりとなり、短尺溶接では煩雑で適用
できない等の問題がある。
【0004】また、特公昭61-49027号公報に提示の、フ
ラックス入りワイヤを用い高電流密度のガスシールド下
向溶接法は、細径複合ワイヤを使用し、ワイヤ突出し長
さを大とした上、大電流の高溶接速度で下向溶接を高能
率に行い溶接コストを低減している。しかし、ワイヤ突
出し長が35〜70mmと長いので、シールド不良やワイヤ曲
りぐせによる狙い位置のずれ、更に片面溶接時の初層ビ
ード割れ等の問題がある。
【0005】特公昭50-7543号公報には、裏当材を当接
した開先内に鋼粒または鉄粉を適量に充填し、細径ワイ
ヤを揺動させながら溶接することが開示されている。し
かし、この方法は、開先間隙を設けなければ良好な溶接
ができず、開先角度も大きいことから開先断面積が大き
く板継き作業能率面に問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、短尺
から長尺の溶接構造物の片面溶接の溶接作業性,耐割れ
性および裏ビードを良好にして健全で高靱性の溶接部を
得ることを第1の目的とし、板継ぎ作業能率を安易に高
能率にすることを第2の目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(1)被溶接材の、開先角度30〜55°のYまたはV
形状の開先に裏当材を当接し該開先を片面溶接するに当
たって、該開先内に鋼粒または鉄粉を被溶接材板厚の1/
4以上2/3以下の高さまで充填し、先行および後行の溶接
電極ワイヤ間の極間距離を100mm以上600mm以下とし、先
行および後行の溶接電極ワイヤの溶接電流密度をそれぞ
れ200A/mm2以上および150A/mm2以上とし、かつ先行
および後行の溶接電極ワイヤをそれぞれ40回/分以上15
0回/分以下および30回/分以上120回/分以下で揺動駆
動することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
(2)開先は、その内面を仮付けしたものである。
【0009】(3)後行溶接電極ワイヤは、ワイヤ全重
量に対して重量%で、 TiO2:2.5%以上 7.0%以下 ZrO2:0.4%以上 1.0%以下 Al22:0.1%以上 1.0%以下 Si:0.2%以上 1.2%以下 Mn:1.0%以上 4.0%以下 Mg:0.1%以上 1.0%以下 を含有し、更にNaおよびKの1種または2種の合計が
0.03%以上0.3%以下であるフラックスを充填したフラ
ックス入りワイヤである。
【0010】(4)後行溶接電極ワイヤは更に、ワイヤ
全重量に対して重量%で、 Ni:0.3%以上 3.0%以下 Ti:0.02%以上 0.2%以下 B:0.002%以上 0.015%以下 を含有するフラックスを充填したフラックス入りワイヤ
である。
【0011】(5)少なくとも先行電極ワイヤを第1シ
−ルドガスおよび第2シ−ルドガスで二重シールドす
る。
【0012】図1,図2および図3を参照して、本発明
の実施に用いた2電極片面ガスシールドアーク溶接装置
の概要を説明する。これらの図面に示した溶接装置は、
特願平8−64705号にて本出願人が特許出願した開
先倣い溶接装置である。図1〜図3において、厚板であ
るワークWL,WRは左右(図2)に並べられ、上部に
はy方向に延びるV型の開先が形成されている。溶接装
置Aは、該開先の幅方向xの中央位置(Wo)を溶接の
ねらい位置として、レールrに沿ってy方向に溶接す
る。溶接装置Aは、先行,後行の2本の溶接トーチT
f,Tbをy方向に並べた状態で台車1に搭載したもの
であり、両方の溶接トーチにそれぞれ溶接を行わせなが
ら台車1をy方向に走行させることで、一度の走行で2
段重ねの溶接ビードを実現する。
【0013】左側のワーク(WL)の上面には、予め開
先に沿ってy方向に延びるレールrが敷設される。溶接
装置Aの台車1の左側面の支持板13(図2)には前進
方向と後方向にそれぞれレールrを受入れる溝付ロ−ラ
3f,3b(図1)が回転自在に装着されており、台車
1をレールrに沿ってy方向に案内する。溶接装置Aの
台車1にはさらに、y方向に並んで配置された先行セン
サSfと後行センサSb(図1)が搭載されており、そ
れぞれ先行,後行のセンサオシレート機構5f,5bに
支持され、左右方向(開先を横切る方向)にオシレート
される。先行溶接トーチTfは、先行トーチオシレート
機構6fに支持され、左右方向にオシレートされる。後
行溶接トーチTbは、後行トーチオシレート機構6bに
支持され、左右方向にオシレートされる。
【0014】図2は、図1に1点鎖線2Aで示す台車1
およびセンサオシレート機構5fの縦断面を示す。台車
下部の進行方向側には、車輪2fR,2fLを固着した
前輪シャフト21があり、台車フレーム11に回転自在
に支持されている。この前輪シャフト21にスプロケッ
トホィ−ル22,24が固着されている。台車フレーム
11には台車駆動モータM1が固着支持されており、そ
の回転軸には駆動スプロケットホィ−ルが固着され、そ
れに結合した駆動チェ−ンがスプロケットホィ−ル22
に結合している。さらに台車フレームの後方には、図示
しないがx方向に延び、両端に右後車輪2bRと左後車
輪を固着支持し、さらに従動スプロケットホィ−ルが一
体固着された後輪シャフトが回転自在に支持されてい
る。この従動スプロケットホィ−ルと前述の前輪シャフ
ト21のスプロケットホィ−ル24に従動チェ−ンが結
合しており、前輪シャフト21の回転を後輪シャフトに
伝達する。
【0015】モータM1が正転通電されて、その回転軸
の回転に伴い前輪シャフト21および後輪シャフトが回
転して前後あわせて4つの車輪が同時に回転し、台車1
が前進する。溝付ロ−ラ3f,3bがレ−ルrで案内さ
れているので、台車1はレ−ルrに沿ってy方向に前進
する。モ−タM1が逆転通電されると台車1はy方向で
後退(又は後進)する。
【0016】台車1の上部には、台車1の前/後進を指
示するスイッチ,ト−チTf,Tbのそれぞれの上/下
移動を指示するスイッチおよび溶接開始/停止を指示す
るスイッチを含む手元操作端9fを支持するフレーム7
がある。手元操作端9fは、フレーム7からの取り外し
が可能であり、本実施例では手元操作端9fをフレ−ム
7から取り外して使用しているので、図2には手元操作
端9fをフレ−ム7に取り付けた状態を2点鎖線で示
す。
【0017】台車1には、先行センサオシレート機構5
fが装着されている。センサオシレート機構5fのフレ
ーム51が台車1に固着されており、フレ−ム51の内
部には、センサオシレートモータM5fがあり、その回
転軸は右方向に延び、x方向に延びて回動自在に支持さ
れたねじ棒52の左端に連結されている。モータM5f
の回転軸に伴い、ねじ棒52が回転駆動される。ねじ棒
52にはスライダ54がねじ結合しており、スライダ5
4はフレーム51の底面にx方向に敷設された案内レー
ル53で、回転不可、x方向の前,後進可、に案内され
る。モータM5fが正回転すると、ねじ棒52が回転
し、スライダ54が案内レール53で案内されてx方向
(右方向)に移動する。モ−タM5fが逆回転すると、
スライダ54が左方向に移動する。
【0018】スライダ54の右端にはx方向に延び、フ
レーム51の右側面より突出した支持棒55fが固着さ
れている。支持棒55fの先端には、アーム41の上端
が固着されており、その下端にはy方向に延びるアーム
42が固着されている。ア−ム41と42とは逆T字形
に結合している。アーム42の右側面には右方に突出す
る円柱形のピンがあり、このピンに支持ア−ム43が、
蝶ねじ44で固着されている。先行センサSfは、導電
体ワイヤであり、支持ア−ム43の先端の通し穴を貫通
し、蝶ねじ45で支持ア−ム43に固定されている。蝶
ねじ44を緩めてピン44に対して支持ア−ム43を回
転させることにより、z軸に対する先行センサSfの角
度を調整することができ、また、蝶ねじ45を緩めて先
行センサSfを上,下にシフトすることにより開先に対
する先行センサSfの先端の進入深さを調整することが
できる。先行センサSfを交換又は修理(被着したスパ
ッタの削除)をするときには、蝶ねじ45を緩めて先行
センサSfを抜き取ればよい。
【0019】先行センサSfは導電体ワイヤ,支持ア−
ム43,41および支持棒55fは導電体(鋼材)であ
り、支持棒55fは絶縁体を介してスライダ54に固着
されている。すなわち、先行センサSf,支持ア−ム4
3,41および支持棒55fは電気的には一体連続であ
り、これらは、機器ア−スレベルとなるスライダ54お
よびフレ−ム51から絶縁されている。つまり、電気的
には機器ア−スから浮いている。支持棒55fにはフレ
−ム51内で電気リ−ドが接続されており、この電気リ
−ドが、図3に示す接触検知回路110に接続されてい
る。
【0020】先行センサオシレート機構5fのフレーム
51には、先行トーチオシレート機構6fのベ−ス板が
固着されている。トーチオシレート機構6fは、支持ア
ーム81を上下駆動する電動のト−チ高さ調整機構と、
このト−チ高さ調整機構を支持し、それを支持ア−ム8
1が延びるx方向に揺動(オシレ−ト)駆動する電動の
揺動機構を含み、オペレ−タのアップ,ダウン指示に応
じて支持ア−ムを上,下駆動し、また、溶接中には、自
動的に支持ア−ム81をx方向でオシレ−ト駆動(揺動
駆動すなわち繰返し往復駆動)する。
【0021】支持アーム81は、トーチ支持機構80f
を介して、先行溶接トーチTfを支持する。支持アーム
81には、先行溶接トーチTfのx方向移動量を表す目
盛りがふられている。
【0022】図1および図2を参照すると、トーチ支持
機構80fは、倒立の略2等辺3角形である支持盤82
と、支持盤82にピン86により回転自在に下支持さ
れ、支持盤82に対してピン86を中心にyz平面に平
行に回転する回転盤83および、回転盤83にねじ85
により固定されたトーチ挟持部材87よりなる。支持盤
82は、支持アーム81の右端部にねじ81aにより固
着される。支持盤82の上部には、その下端部に開けら
れた丸穴を中心とする円弧を画く案内溝があり、支持盤
82の左面より挿入される止めねじ84を案内する。回
転盤83はz方向に長い直方形であり、その下端には、
ピン86を案内する丸穴が開いている。回転盤83の下
端と支持盤82の下端に開けられた穴には、ピン86が
挿入され、ピン86は、回転盤83の下端を支持盤82
の下端に対して回動自在に支持する。回転盤83の上部
には、ねじ穴が開いており、支持盤82の案内溝を貫通
して突出した止めねじ84の右端部がねじ結合する。止
めねじ84を締めつけることにより回転盤83が支持盤
82に密着し、固定される。
【0023】作業者は、止めねじ84を緩めて回転盤8
3をピン86を基準として、基準位置より止めねじ84
が支持盤82の案内溝に案内される範囲内(基準位置よ
り15°)で回転させ、所要の角度で止めねじ84を締
めつけて回転盤83を支持盤82に固定する。回転盤8
3には、ねじ85により先行溶接トーチTfを支持する
トーチ挟持部材87が固定されており、回転盤83の回
転に伴い、先行溶接トーチTfがその先端を回転させる
ことができる。これにより、z軸に対するト−チTfの
角度(y方向で前進側,後進側への傾斜)を調整でき
る。
【0024】後行トーチTbおよび後行センサSbをオ
シレートする機構(4b,5b,6b,80b)と台車
1上の支持構造は、前述した先行溶接トーチTfおよび
先行センサSfの機構(4f,5f,6f,80f)と
同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0025】図3に、先行溶接トーチTfおよび先行セ
ンサSfをオシレートするシステム構成を示す。後行ト
ーチTbおよび後行センサSbをオシレートするシステ
ム構成も、これと同様であるので、それに関する図示は
省略した。ただし、図3の制御回路200は、先行溶接
トーチTfおよび先行センサSfをオシレートするシス
テムと後行トーチTbおよび後行センサSbをオシレー
トするシステムに共用のものである。
【0026】接触検知回路110には、支持棒55fに
接続され、この支持棒55fおよび支持ア−ム43,4
1を介して先行センサSfに電気的に一体連続の電気リ
−ドが接続されており、機器ア−スレベルから電気的に
浮いている。接触検知回路110は該電気リ−ドに抵抗
器を介して定電圧を印加しており、先行センサSfがワ
−クWL又はWRのいずれにも接触していないときに
は、該電気リ−ドは該定電圧の電位(高レベルH)であ
り、先行センサSfがワ−クWL又はWRのいずれかに
接触すると、機器ア−スレベル(低レベルL)となる。
接触検知回路110は、この接触(低レベルL),非接
触(高レベルH)を表わす2値信号を制御回路200に
与える。制御回路200は、先行センサSfを右駆動し
ているときに2値信号が高レベルHから低レベルLに切
換わると、先行センサSfがワ−クWRに接触したと判
断し、先行センサSfを左駆動しているときに2値信号
が高レベルHから低レベルLに切換わると、先行センサ
Sfがワ−クWLに接触したと判断する。
【0027】さて、先行センサSfは、前述のセンサオ
シレート機構5fを介して開先の延びる方向yに対して
垂直方向x(左右方向)にオシレートされる。センサオ
シレート機構5fのセンサオシレートモータM5fはス
テッピングモ−タであり、その回転方向および回転量
(ステップ数)は、モータードライバMDf1を介して
制御回路200により制御される。制御回路200がド
ライバMDf1にモータM5fの正転を指示すると、ド
ライバMDf1が所定周期の正転パルス電圧をモータM
5fに印加し、これによりモ−タM5fがステップ回転
(正転)し先行センサSfが右方に移動する。反対に、
制御回路200がドライバMDf1にモータM5fの逆
転を指示すると、ドライバMDf1が所定周期の逆転パ
ルス電圧をモータM5fに印加し、これによりモ−タM
5fがステップ回転(逆転)し先行センサSfが左方に
移動する。制御回路200がドライバMDf1に正転指
示信号又は逆転指示信号を与えている間、ドライバMD
f1はモ−タM5fに所定周期の回転駆動パルス電圧を
継続して与え、モ−タM5fは回転を継続する。
【0028】一方先行溶接トーチTfは、前述のト−チ
オシレート機構6fを介して開先の延びる方向yに対し
て垂直方向x(左右方向)にオシレートされる。ト−チ
オシレート機構6fのオシレートモータM7fはステッ
ピングモ−タであり、その回転方向および回転量(ステ
ップ数)は、モータードライバMDf2を介して制御回
路200により制御される。制御回路200がドライバ
MDf2にモータM7fの正転を指示すると、ドライバ
MDf2が所定周期の正転パルス電圧をモータM7fに
印加し、これによりモ−タM7fがステップ回転(正
転)し先行ト−チTfが右方に移動する。反対に、制御
回路200がドライバMDf2にモータM7fの逆転を
指示すると、ドライバMDf2が所定周期の逆転パルス
電圧をモータM7fに印加し、これによりモ−タM7f
がステップ回転(逆転)し先行ト−チTfが左方に移動
する。制御回路200がドライバMDf2に正転指示信
号又は逆転指示信号を与えている間、ドライバMDf2
はモ−タM7fに所定周期の回転駆動パルス電圧を継続
して与え、モ−タM7fは回転を継続する。
【0029】制御回路200はセンサSf,Sbを、溶
接速度(y方向)に反比例する周期でx方向に往復走査
駆動(オシレ−ション駆動)し、作業者が溶接開始前に
設定したト−チ位置(x方向)を中心に左右に、作業者
が設定したオシレ−ション幅のト−チオシレ−ションを
行ない、センサのオシレ−ションにより得られる開先中
心位置の変化分、オシレ−ション幅の中心をx方向にシ
フトする。すなわち、操作盤OBに作業者が設定した幅
のト−チオシレ−ションを行ない、オシレ−ションの中
心を、センサのオシレ−ションにより得られる開先中心
位置のx方向変化分、同方向にシフトする。
【0030】オシレ−ション幅および溶接条件(溶接速
度,溶接電流値,その他)は作業者が操作盤0Bを介し
て制御回路200に入力する。ワ−クWL上での台車1
のy位置調整,ワ−クに対するト−チの高さ調整(z位
置調整),ト−チのx位置調整およびセンサのx位置調
整は、手元操作端9fのスイッチを操作することにより
作業者が行なう。
【0031】溶接ト−チTfおよびTbのそれぞれの先
端には、本発明の実施のために二重シールド100fお
よび100bが装着されている。図4に、溶接ト−チT
bに装着されている二重シールド100b縦断面を拡大
して示す。溶接ト−チTbはその先端の溶接チップWC
から溶接ワイヤ9bを開先内に給送しかつシ−ルドガス
を吹出すものである。この溶接ト−チTbに二重シ−ル
ド100bが装着されている。二重シ−ルド100b
は、溶接ト−チTbに固着されたアタッチメント10
1,このアタッチメント101に固着されている内ノズ
ル102および外ノズル103を含む。内ノズル102
は溶接チップWCを包囲し溶接ト−チTbから吹き出さ
れるシ−ルドガス(第1シ−ルドガス)をチップWCに
沿って下方に案内する。この第1シ−ルドガスは、内ノ
ズル102の下端開口から、チップWCの外方に露出す
る溶接ワイヤ9bの周辺に吹き出す。外ノズル103は
下半分が円錐筒状に拡がったものであり、この外ノズル
103に溶接ト−チTbの外部から第2シ−ルドガスG
が供給され、これが内ノズル103の外周面に沿って下
端開口から、第1シ−ルドガスの外側に吹き出される。
溶接ワイヤ9b直下の溶融部は、第1シ−ルドガスと第
2シ−ルドガスで二重にシールドされる。以下におい
て、第1シ−ルドガスに加えて第2シ−ルドガスをも吹
き出す態様を「二重シ−ルド」と称し、第1シ−ルドガ
スのみを吹き出す態様を「二重シ−ルドなし」、又は
「単一シ−ルド」と称す。二重シールド100fの構造
も100bの構造と同じである。
【0032】ワ−クWR,WL(被溶接材)が形成する
開先は、開先角度30〜55°のVまたはY(図3)形
状とし、溶接中に開先ずれを起こさないように、開先内
面を仮付け溶接により仮付けするのが好ましい。開先の
裏面には裏当材BPを当て、開先内に鋼粒または鉄粉を
板厚の1/4以上2/3以下の高さに散布し、先行溶接電極ワ
イヤ9f(ト−チTf)に40回/分以上150回/分以
下、後行溶接電極ワイヤ9b(ト−チTb)に30回/分
以上120回/分以下の揺動を与える。この揺動の一単位
すなわち一回は、一往復動である。先行溶接電極ワイヤ
9fの溶接電流密度をワイヤ断面積当り230A/mm2
上、後行溶接電極ワイヤ9bの溶接電流密度をワイヤ断
面積当り150A/mm2以上とし、先行および後行の溶接
電極ワイヤ9f,9bの極間距離Dwを100mm以上600mm
以下として2電極片面ガスシールドアーク溶接を行うこ
とにより、アークが安定し耐割れ性および良好な表,裏
ビードが得られるとともに高能率な溶接ができる。な
お、極間距離Dwは、図6に示すように、ワ−クの開先
に沿っての、先行溶接電極ワイヤ9fと後行溶接電極ワ
イヤ9bとの距離である。
【0033】図5に、数種の板厚の2電極片面ガスシー
ルドアーク溶接における鋼粒散布高さと裏ビードの形状
の関係を示す。その時の溶接諸条件を表1に示す。実験
にあたっては、各板厚に応じて電流,揺動幅(オシレ−
ト幅),揺動回数(オシレ−ト回数;回/分)を変化さ
せた。なお、表1上の「ル−トギャップ」は、開先横断
面での、相対向ワ−クWR,WL間の最短距離を意味す
る。図3にル−トギャップを示した。
【0034】
【表1】
【0035】なお、図5上の丸記号,三角記号および×
記号は測定点を示し、かつ丸記号は裏ビード形状良好を
意味し、三角記号は裏ビード形状不良を意味し、×記号
は裏ビード形状悪いあるいは溶け落ちが発生したことを
意味する。
【0036】図5より、各板厚の開先内に鋼粒を板厚の
1/4以上2/3以下の高さに散布して溶接することにより、
裏ビード形状が良好になることが分かる。散布高さが板
厚の2/3を超えると裏ビード形状が悪いか、裏ビードが
形成されない。また1/4未満では溶け落ちが発生した。
【0037】なお、鋼粒または鉄粉の粒度分布は粒径1.
5mm以下であることがアークの安定性および裏ビードの
形状を良好にすることから好ましい。また、成分は主に
Feからなるが、耐割れ性からCは0.10%以下、S
およびPは0.020%以下が好ましく、他の成分は、溶接
金属の強度靱性を考慮してSi,Mn,Moを、その他に
脱酸剤や合金剤を含有させることもできる。以上の粒度
と成分を満足すれば、各種サイズの鋼ワイヤをカットし
た粒状体でも良い。
【0038】開先角度30°未満では裏ビードの均一性が
悪くなり、開先角度が55°を超えると開先断面積が大き
くなるので溶接能率が低下する。
【0039】開先内面を仮付けをすることにより、溶接
中のギャップ変動を少なくできる。また、裏当材BPと
してセラミック固形裏当材を使用の場合は、被溶接部裏
面に裏当材BPを接合させるだけの弱い支持力で、被溶
接材に対して裏当材BPを支持すればよく、マグネット
や拘束用治具を用いる必要がなくなる。したがって、労
力の低減が図れる。裏当材BPは、セラミック固形裏当
材の他に、ガラステープ併用の銅板裏当材またはフラッ
クス銅裏当材のいずれを用いても同様の効果が得られ
る。
【0040】なお、開先内面への仮付けは溶接長全線ま
たは部分的でも良い。また、仮付けビードの高さは裏ビ
ードを安定に出すために7mm以下で、かつ、仮付けを完
全にするために2mm以上とすることが好ましい。
【0041】また、ルートギャップは5mm以下、Y開先
でのルートフェイス(図3参照)は3mm以下であること
が、板継ぎ溶接の安易さおよび裏ビードが安定して出る
ので好ましい。ルートギャップが5mmを超えると開先断
面積が広くなるので溶接能率が低下する。
【0042】先行溶接電極ワイヤ9fのワイヤ断面積当
りの溶接電流密度が230A/mm2未満では、安定した裏ビ
ードが得られない。特に仮付け部での未溶融部が発生す
る。後行溶接電極ワイヤ9bのワイヤ断面積当りの溶接
電流密度が150A/mm2未満では、溶け込み不良が発生
する。
【0043】なお、先行溶接電極ワイヤ9fは、JIS Z
3312およびZ 3325に規定される軟鋼および高張力鋼用,
低温用鋼用のソリッドワイヤのいずれにおいても良好な
結果が得られるが、特に溶接金属に高い靱性を要求され
る場合はJIS Z 3325に規定される低温用鋼用ソリッドワ
イヤを用いることが好ましい。
【0044】また、ワイヤ径は、ワイヤ断面積当りの溶
接電流密度が高いことから、溶接作業性および裏ビード
形状を良好とするために、先行電極ワイヤ9fでは1.4m
m以上2.0mm以下、後行電極ワイヤ9bでは1.2mm以上2.0
mm以下であることが好ましい。
【0045】先行電極ワイヤ9f(ト−チTf)の揺動
回数(回/分)は、裏ビード形状を良好にするために40
回/分以上150回/分以下とする。40回/分未満ではビ
ード波形が粗くなり良好な裏ビード形状が得られない。
150回/分超ではアークが不安定となり良好な裏ビード
形状が得られない。また、後行電極ワイヤ9bの揺動回
数(回/分)は、表ビード形状を良好にするために30回
/分以上120回/分以下とする。30回/分未満ではビー
ド波形が粗くなり良好な表ビード形状が得られない。12
0回/分超ではアークが不安定となり良好な表ビード形
状が得られない。
【0046】電極ワイヤの揺動幅(オシレ−ト幅)は、
ビード表面を良好にする目的で板厚に応じて段階的に変
化させる。板厚10mm程度では先行電極ワイヤ9fの揺動
幅は4mm、後行電極ワイヤ9bの揺動幅は6mmとするのが
好ましく、板厚25mm程度では先行電極ワイヤ9fの揺動
幅を10mm、後行電極ワイヤ9bの揺動幅を15mmとするの
が好ましい。
【0047】先行,後行電極ワイヤ間の電極間距離Dw
(図6)は、100mm未満ではアークが不安定となり、か
つ裏ビードが出すぎとなり、600mmを超えると靱性改善
には効果があるものの装置が大きくなるので好ましくな
い。
【0048】なお、溶接速度は板厚に応じて決められる
が、板厚10mm程度の場合40cm/min以上45cm/min以下、板
厚25mm程度では15cm/min以上20cm/min以下で良好な溶接
が可能となる。
【0049】次に本発明における後行電極ワイヤ9bに
用いるフラックス入りワイヤの成分限定根拠を記述す
る。 TiO2:2.5%以上 7.0%以下 TiO2は、溶接ビードに対するスラグ形成剤およびア
ーク安定剤としての性質を示すが、ワイヤ全重量に対し
て2.5%未満では良好な表ビード形状が得られない。ま
た7.0%を超えると溶接金属中に酸素量が増加し、大形
の非金属介在物が増加するためミクロ組織が微細化され
ず、靱性が低下するのでその範囲を2.5%以上 7.0%以
下とした。 ZrO2:0.4以上1.0% 以下 ZrO2は、スラグの凝固速度と溶融金属のスラグ被包
性を高めビード外観を良好にする。また高温での蒸気圧
が低く溶滴の細粒化にも効果がありスパッタが減少す
る。しかし、0.4%未満ではこの効果が得られず、表ビ
ード外観が不良になるとともにスパッタ発生量が多くな
る。また1.0%を超えると凝固温度が高いためスラグ巻
き込み等の欠陥が発生し易くなるのでその範囲を0.4以
上1.0% 以下とした。 Al23:0.1%以上 1.0%以下 Al23は、ZrO2と同様にスラグの凝固速度と溶融
金属のスラグ被包性を高めビード外観を良好にする。し
かし、0.1%未満ではこの効果が得られない。また1.0%
を超えるとスラグ巻き込み等の欠陥が発生し、スラグの
剥離性が低下するのでその範囲を0.1%以上 1.0%以下
とした。 Si:0.2以上 1.2%以下 Siは、脱酸剤として作用し溶接金属の酸素量を低減さ
せる上で効果がある。しかし、0.2%未満では脱酸力が
不足しブローホールが発生し、また1.2%を超えるとフ
ェライトを固溶硬化させ靱性を低下させるので、その範
囲を0.2以上 1.2%以下とした。 Mn:1.0以上 4.0%以下 Mnは、脱酸を補助し溶融金属の流動性を高め、ビード
形状を改善するとともに、強度靱性を改善する上でも効
果がある。しかし、1.0%未満では脱酸不足となり溶接
欠陥が発生し易く、また4.0%を超えると溶接金属が脱
酸過剰となりピットやブローホールが発生し易くなるの
でその範囲を1.0以上 4.0%以下とした。
【0050】Mg:0.1以上 1.0%以下 Mgは、高温のアーク中において酸素と反応し、ワイヤ
先端の溶滴の段階で脱酸反応が行われる。その結果、脱
酸生成物が溶融池内に残留しないこと、更には溶融池内
で反応するSi,Mnの脱酸反応を助け、溶接金属の酸
素量を減少させ靱性を向上する上で効果がある。しか
し、0.1%未満では上記効果が不足し、また1.0%を超え
るとアーク長が過大となりビード形状が悪くなるので、
その範囲を0.1以上 1.0%以下とした。 Na,K:Na,Kの1種または2種の合計で0.003以
上 0.3%以下 Na,Kは、アーク安定性を高め母材の掘り込みを緩和
する効果がある。しかし、0.03%未満では上記効果が得
られない。また0.3%を超えるとアーク長が長くなりす
ぎスパッタ量,ヒューム量が増加する。
【0051】また、低温における靱性を要求される場合
は、前記フラックス入りワイヤに、更にNi,Tiおよ
びBを下記の範囲で添加する。 Ni:0.3以上 3.0%以下 Niは、強度,低温靱性を確保するために添加するが、
0.3%未満では十分な靱性改善効果が得られず、また3.0
%を超えると高温割れが発生し易くなるので0.3以上 3.
0%とした。 Ti:0.02以上 0.2%以下 Tiは、強脱酸剤であり溶接金属の酸化を防ぎ、かつT
i酸化物の生成により溶接金属のミクロ組織を微細化
し、靱性改善に効果がある。しかし、0.02%未満ではミ
クロ組織の微細化による靱性改善効果が得られず、また
0.2%を超えると炭化物を著しく形成し靱性を損なうの
で、その範囲を0.02以上 0.2%以下とした。
【0052】B:0.002以上 0.015%以下 Bは、溶接金属のミクロ組織を微細化し、靱性改善に効
果がある。しかし、0.002%未満ではミクロ組織の微細
化による靱性改善効果が得られず、また0.015%を超え
ると耐割れ性が劣化するとともに、炭化物を形成し著し
く靱性を損なうので、その範囲を0.002以上 0.015%以
下とした。
【0053】なお、溶接金属のミクロ組織をさらに微細
にして靱性を改善するためにAl:0.30%以下、Zr:
0.20%以下の範囲で添加できる。また、溶接金属の強度
の調整として、Crを2.5%以下、Moを2%以下で添加
できる。
【0054】本発明では、開先内に鋼粒または鉄粉を散
布するため、先行電極ワイヤ9fにはフラックス入りワ
イヤに比べ溶け込みの深い鋼ワイヤを用いるが、ワイヤ
断面積当りの電流密度を高くし、さらには電極ワイヤを
揺動するためスパッタの発生量が多い。したがって、シ
ールド効果が高く、スパッタ発生量を少なくするため
に、少なくとも先行電極ワイヤ9fを二重シールドす
る。
【0055】表2に示す溶接諸条件により、特にスパッ
タ発生量の多い先行溶接におけるスパッタ発生量を調査
した。
【0056】
【表2】
【0057】電流を300A、400A、500A、の3段階に
変化させ、従来法(単一シ−ルド)と2重シールドした
場合のスパッタ発生量を調査した。通常、従来法でのス
パッタ発生量は電流を高めるにつれて増加するが2.0〜
5.0g/min程度であるので、それ以下を良好と評価し
た。図7に溶接電流とスパッタ発生量の関係を示す。二
重シールドすると、従来法(単一シ−ルド)に比べ電流
の変化に関係なくスパッタ発生量は2.0g/min以下であ
った。
【0058】以下実施例と比較例を説明する。
【0059】
【実施例】
−実施例1− 表3に示す鋼材と表4に示す先行電極(9f)用鋼ワイ
ヤおよび表5に示す後行電極(9b)用のフラックス入
りワイヤとを組合せ、表6〜表11に示す開先形状,鋼
粒または鉄粉の散布、および溶接条件で、溶接長1500mm
の2電極片面ガスシールドアーク溶接を行った。溶接速
度は板厚に応じて、15m/min以上 450m/min以下で行っ
た。なお、開先内面の仮付けは、被覆アーク溶接棒を用
い300mmおきに30mm長さで6カ所行った。
【0060】溶接後に、表,裏ビード外観,割れの有無
および衝撃値を調査した。衝撃値は、溶接後の試験体の
板厚中央部からJIS Z 2202 4号の衝撃試験片を採取して
0℃でその衝撃値を測定した。
【0061】なお、割れの有無は浸透探傷試験およびマ
クロ断面で調査した。それらの結果も表6〜表11にま
とめて示す。なお、表6〜表11は、1つの大きな表を
6分割したものであり、それらの表を、次の配列として 表6 表8 表10 表7 表9 表11 隣り合う表中の重複表記部を重ね合せて同一面上に並べ
ることにより、1つの表が現われる。
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】
【0065】
【表6】
【0066】
【表7】
【0067】
【表8】
【0068】
【表9】
【0069】
【表10】
【0070】
【表11】
【0071】表6〜表11中のNo.1〜8が本発明に
よる溶接方法の実施例、No.9〜28が比較例であ
る。本発明の実施例であるNo.1〜8は、開先形状,
鋼粒または鉄粉の散布高さ,電極の揺動回数,溶接電流
密度および後行電極9bのワイヤ成分が適正で、しかも
少くとも先行溶接電極ワイヤ9fを二重シールドしたの
で、表,裏ビード外観共良好であり高温割れ等の欠陥も
無く衝撃値も極めて良好な結果であった。
【0072】比較例中No.9は、鋼粒の散布量が低い
ので、溶接金属の溶け落ちが発生した。No.10は、
鋼粒の散布量が高いので、裏ビ−ドが出なかった。N
o.11は開先が広く、溶接による盛り上がりが少な
く、また裏ビ−ドが出過ぎた。さらに、後行電極ワイヤ
9b(F6)のSiが高いので靱性が低く、またMgが
高いので表ビ−ドの外観が不良となった。No.12
は、開先角度が狭いので裏ビ−ドが不均一になり、後行
電極ワイヤ9b(F5)のSiおよびMnが低いので、
ブロ−ホ−ルが発生した。No.13は、後行電極ワイ
ヤ9b(F7)のMnが高いので、ブローホールが発生
した。またNa,Kの合計量が多いので、スパッタ発生
量が多くなった。No.14は、後行電極ワイヤ9b
(F8)のMgが少ないので、靱性が低く、またNa,
Kの合計量が少ないので、アークが不安定となり、表ビ
−ドが不良となった。No.15は、先行電極ワイヤ9
fの溶接電流密度が低いので、裏ビードが出なかった。
No.16は、後行電極ワイヤ9bの溶接電流密度が低
いので、表ビードの外観が不良であった。No.17
は、先行電極ワイヤ9fの揺動回数が少ないので、裏ビ
ードが不揃いになった。No.18は、後行電極ワイヤ
9bの揺動回数が少ないので、表ビード外観が不良であ
った。No.19は、先行電極ワイヤ9fの揺動回数が
多いので、アークが不安定となり裏ビードが不揃いにな
った。No.20は、後行電極ワイヤ9bの揺動回数が
多いので、アークが不安定となり表ビードが不良であっ
た。No.21は、先行および後行電極ワイヤ9f,9
bの極間距離Dwが小さいので、アークが不安定とな
り、また溶接金属の溶け落ちが発生した。No.22
は、後行電極ワイヤ9b(F9)のTiO2が少ないの
で、表ビードの外観が不良であった。No.23は、後
行電極ワイヤ9b(F10)中のTiO2が多いので、
靱性が低かった。No.24は、後行電極ワイヤ9b
(F11)のZrO2が少ないので、溶融金属へのスラ
グ被包性が悪く、ビード外観が不良で、スパッタ発生量
も多くなった。No.25は、後行電極ワイヤ9b(F
12)のZrO2が多いので、スラグ巻込みが発生し
た。No.26は、後行電極ワイヤ9b(F13)のA
23が少ないので、溶接金属へのスラグ被包性が悪く
表ビード外観が不良であった。No.27は、後行電極
ワイヤ9b(F14)のAl23が多いので、スラグ巻
き込み欠陥が発生し、かつスラグ剥離が悪くなった。N
o.28は、二重シールドしていないので、スパッタ発
生量が多くなった。 −実施例2− 表12に示す低温用鋼材と表4に示す鋼ワイヤおよび表
13に示すフラックス入りワイヤとを組合せ、実施例1
と同様に2電極片面ガスシールドアーク溶接を行った。
なお、各試験とも先行および後行電極ワイヤ9f,9b
を二重シールドした。また、靱性の評価は、−20℃での
衝撃値を調べた。それらの結果を表14,表15,表1
6にまとめて示す。なお、表14〜表16は、1つの大
きな表を3分割したものであり、それらの表を、次の配
列として 表14 表15 表16 隣り合う表中の重複表記部を重ね合せて同一面上に並べ
ることにより、1つの表が現われる。
【0073】
【表12】
【0074】
【表13】
【0075】
【表14】
【0076】
【表15】
【0077】
【表16】
【0078】表14〜表16中のNo.29〜33が本
発明による溶接方法の実施例、No.34〜39が比較
例である。本発明例であるNo.29〜33は、開先形
状,鋼粒または鉄粉の散布高さ,電極の揺動回数,溶接
電流密度および後行電極ワイヤ9b(F15〜F18:
表13)の充填フラックス成分が適正で、しかも先行お
よび後行溶接電極ワイヤ9f,9bを二重シールドして
あるので、表,裏ビード外観共良好であり、高温割れ等
の欠陥も無く靱性も極めて良好な結果であった。
【0079】比較例中No.34は、後行電極ワイヤ9
b(F19)のNiが少ないので、靱性が低かった。N
o.35は、後行電極ワイヤ9b(F20)のNiが多
いので、高温割れが発生した。No.36は、後行電極
ワイヤ9b(F21)のTiが少ないので、靱性が低か
った。No.37は、後行電極ワイヤ9b(F22)の
Tiが多いので、靱性が低かった。No.38は、後行
電極ワイヤ9b(F23)のBが少ないので、靱性が低
かった。No.39は、後行電極ワイヤ9b(F24)
中のBが多いので、高温割れが発生した。
【0080】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、短
尺から長尺の溶接構造物の片面溶接を、溶接作業性,耐
割れ性および裏、表ビードが良好で、健全で高靱性の溶
接部が得られるとともに、開先断面積を小さくでき、溶
接中に複雑な操作を必要としない1ラン溶接のため、板
継ぎ作業能率を安易に大幅に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を一態様で実施する装置装置Aの側面
図であり、開先および裏当材BPは縦断面を示す。
【図2】 図1に示す溶接装置Aの、図1の2A−2A
線断面図である。
【図3】 図1に示す先行溶接ト−チTfおよび後行溶
接ト−チTbをオシレ−トするシステム構成を示すブロ
ック図であり、溶接対象材WR,WLは斜視図で示す。
【図4】 図1に示す溶接ト−チTbに装備された二重
シールド100bの拡大縦断面図である。
【図5】 明細書上の表1に示す溶接条件で、数種の板
厚の被溶接材の開先を溶接したときの、板厚と鋼粒散布
高さとの組合せの分布を示すグラフであり、組合せ点
に、裏ビ−ド形状の良否を示す記号を付した。
【図6】 図1に示す溶接装置Aの、先行電極ワイヤ9
fと後行電極ワイヤ9bとの間の距離すなわち極間距離
Dwを示す側面図である。
【図7】 溶接電流値とスパッタ発生量との関係を示す
グラフであり、従来法は単一シ−ルドの場合を示す。
【符号の説明】
A:溶接装置 r:レール Sf:先行センサ Sb:後行センサ Tf:先行溶接トーチ Tb:後行溶接ト
ーチ WL,WR:ワーク Wo:開先中央位
置 1:台車 2fL,2fR,2bL,2bR:車輪 3f,3b:溝付
ロ−ラ 11,12:台車フレーム 13:支持板 21:シャフト 23,24:スプ
ロケットホィ−ル M1:台車駆動モータ 4f,4b:センサ支持機構 41,42:アーム 43:支持アーム 44,45:ねじ 5f,5b:センサオシレート機構 51:フレーム 52:ねじ棒 53:案内レール 54:スライダ 55f:支持棒 M5f:先行セン
サオシレートモータ 6f,6b:トーチオシレート機構 80f,80b:トーチ支持機構 81:支持アーム 81a:ねじ 82:支持盤 83:回転盤 84:止めねじ 85:ねじ 86:ピン 87:トーチ挟持
部材 M8f:トーチ回転モータ 7:フレーム 9f:手元操作端 100f,100b:二重シ−ルド 101:アタッチメント 102:内ノズル 103:外ノズル MDf1,MDF2,MDF3:ステッピングモータードライバ PF:溶接電源 110:接触検知
回路 200:制御回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B23K 35/368 B23K 35/368 B (72)発明者 星 野 忠 千葉県習志野市東習志野7丁目6番1号 日鐵溶接工業株式会社機器事業部内 (72)発明者 佐 野 博 文 東京都中央区築地三丁目5番4号 日鐵溶 接工業株式会社研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被溶接材の、開先角度30〜55°のYま
    たはV形状の開先に裏当材を当接し該開先を片面溶接す
    るに当たって、該開先内に鋼粒または鉄粉を被溶接材板
    厚の1/4以上2/3以下の高さまで充填し、先行および後行
    の溶接電極ワイヤ間の極間距離を100mm以上600mm以下と
    し、先行および後行の溶接電極ワイヤの溶接電流密度を
    それぞれ230A/mm2以上および150A/mm2以上とし、か
    つ先行および後行の溶接電極ワイヤをそれぞれ40回/分
    以上150回/分以下および30回/分以上120回/分以下で
    揺動駆動することを特徴とする2電極片面ガスシールド
    アーク溶接方法。
  2. 【請求項2】開先角度30〜55°のYまたはV形状の
    開先の内面を仮付けした被溶接材の該開先に裏当材を当
    接し該開先を片面溶接するに当たって、該開先内に鋼粒
    または鉄粉を被溶接材板厚の1/4以上2/3以下の高さまで
    充填し、先行および後行の溶接電極ワイヤ間の極間距離
    を100mm以上600mm以下とし、先行および後行の溶接電極
    ワイヤの溶接電流密度をそれぞれ230A/mm2以上および
    150A/mm2以上とし、かつ先行および後行の溶接電極ワ
    イヤをそれぞれ40回/分以上150回/分以下および30回
    /分以上120回/分以下で揺動駆動することを特徴とす
    る2電極片面ガスシールドアーク溶接方法。
  3. 【請求項3】 後行溶接電極ワイヤは、ワイヤ全重量に
    対して重量%で、 TiO2:2.5%以上 7.0%以下 ZrO2:0.4%以上 1.0%以下 Al22:0.1%以上 1.0%以下 Si:0.2%以上 1.2%以下 Mn:1.0%以上 4.0%以下 Mg:0.1%以上 1.0%以下 を含有し、更にNaおよびKの1種または2種の合計が
    0.03%以上0.3%以下であるフラックスを充填したフラ
    ックス入りワイヤである、請求項1又は請求項2記載の
    2電極片面ガスシールドアーク溶接方法。
  4. 【請求項4】 後行溶接電極ワイヤは、ワイヤ全重量に
    対して重量%で、 Ni:0.3%以上 3.0%以下 Ti:0.02%以上 0.2%以下 B:0.002%以上 0.015%以下 を含有するフラックスを充填したフラックス入りワイヤ
    である請求項3記載の2電極片面ガスシールドアーク溶
    接方法。
  5. 【請求項5】 少なくとも先行電極ワイヤを第1シ−ル
    ドガスおよび第2シ−ルドガスで二重シールドする、請
    求項1,請求項2,請求項3又は請求項4記載の2電極
    片面ガスシールドアーク溶接方法。
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