JP3522063B2 - 片面ガスシールドアーク溶接方法 - Google Patents
片面ガスシールドアーク溶接方法Info
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Description
アーク溶接方法に関し、特に、耐割れ性及びビード外観
が良好で溶接時のスパッタ発生量が少なく、かつ、高靱
性の溶接部を高能率に溶接することが可能な片面ガスシ
ールドアーク溶接方法に関するものである。
溶接コスト低減及び高能率化が図れることから、ガスシ
ールドアーク溶接方法の適用が各分野において急速に増
大している。中でも突合せ溶接の比率が高い造船や橋梁
等の分野での適用が著しい。しかし、溶接のトータルコ
スト低減の観点から短尺から長尺の片面溶接の高速化が
大きな課題となっている。
ジアーク溶接方法が造船の板継溶接として盛んに研究さ
れている。例えば特公昭60-59072号公報に提案されてい
る。この方法は、特に電極揺動に伴う溶接ビード溶込み
深さの減少及びビード外観形状の劣化を防止し、初層ビ
ードにおける割れ防止をも、併せて実現しようとするも
のである。しかし、このサブマージアーク溶接法は、設
備が大がかりとなり、短尺溶接では煩雑で適用できない
等の問題がある。
りワイヤを用いた高電流密度条件のガスシールド下向溶
接法が提案されている。この溶接法は、細径複合ワイヤ
を使用し、ワイヤ突出し長さを大とした上、大電流の高
溶接速度で下向溶接を高能率に行い溶接コストを低減し
ている。しかし、ワイヤ突出し長が35〜70mmと長いの
で、シールド不良やワイヤ曲りぐせによる狙い位置のず
れ、更には片面溶接時の初層ビード割れ等の問題があ
る。
当接した開先内に鋼粒または鉄粉を適量に充填し、ワイ
ヤにウィービングモーションを行わせながら細径ワイヤ
によって溶接することが開示されている。しかし、この
方法は開先間隙を設けなければ良好な溶接ができず、開
先角度も大きいことから開先横断面積(開先内空間)が
大きく能率面に問題がある。
から長尺の溶接構造物の片面溶接において、溶接作業
性,耐割れ性および裏ビードが良好で、建全かつ高靱性
の溶接部を得ることを第1の目的とし、安易に高能率な
溶接を実現することを第2の目的とする。
状の開先に裏当材を当接し突合せ片面溶接するに当たっ
て、開先内に鋼粒または鉄粉を板厚の1/4以上2/3以下の
高さまで散布し、溶接トーチから開先内に溶接ワイヤを
給送しかつ該溶接ワイヤを開先の長手方向yを横切る方
向に40回/分以上150回/分以下で往復揺動駆動し、ワ
イヤ単位断面積当り230A/mm2以上の溶接電流で溶接す
ることを特徴とする片面ガスシールドアーク溶接方法。
0.10%以下,Si:0.50%以上 1.00%以下,Mn:1.5
0%以上 2.50%以下,Mo:0.10%以上 1.50%以下,
Ti:0.10%以上 0.50%以下,B:0.0030%以上 0.01
00%以下、そして残部が実質的にFeおよび不可避不純
物よりなる鋼ワイヤである。
接ワイヤの周りに第1シ−ルドガスを吹き出し、該溶接
ト−チから更に、第1シ−ルドガスの外側に第2シ−ル
ドガスを吹き出して溶接ワイヤ周りを二重シ−ルドす
る。
に用いた片面ガスシールドアーク溶接装置の概要を説明
する。これらの図面に示した溶接装置は、特願平8−6
4705号にて本出願人が特許出願した開先倣い溶接装
置の機構を用いたものである。特願平8−64705号
に開示した溶接装置は、開先が延びる方向に2つの溶接
ト−チを配列した、いわゆる2電極方式の開先自動倣い
装置であるが、図1および図2に示す溶接装置は一電極
方式の開先自動倣い装置である。
(ワーク)WL,WRは左右に並べられ、それらの隣接
し相対向する端面は、V型の開先を形成している。この
開先に裏当材20が当てられている。左側のワーク(W
L)の上面には、予め開先に沿ってy方向に延びるレー
ルrが敷設される。溶接装置の台車10の左側面の支持
板13には、台車進行方向yで前後にレールrを受入れ
る溝付ロ−ラ13f,13b(13bは13fの後方に
あり図示せず)が回転自在に装着されており、台車10
をレールrに沿ってy方向に案内する。台車10には、
開先面センサワイヤSが搭載されており、センサオシレ
ート機構15で支持され、左右方向x(開先を横切る方
向)に往復駆動される。溶接ト−チ1は、オシレート機
構16で支持され、左右方向xに往復駆動される。
モ−タM1(図2)を含む台車駆動機構があり、この駆
動機構で、左右1対の車輪12R,12Lならびに同様
なもう1対の図示しない車輪(12R,12Lの後方に
ある)が回転駆動され、これにより台車10が図1紙面
と垂直なy方向に移動する。溝付ロ−ラ13fがレ−ル
rで案内されているので、台車10はレ−ルrに沿って
移動する。
を指示するスイッチ,溶接ト−チ1の上/下移動を指示
するスイッチおよび溶接開始/停止を指示するスイッチ
を含む手元操作端19(図2)があるが、図1において
は図示を省略した。台車10には、センサオシレート機
構15が装着されている。センサオシレート機構15の
フレーム51が台車10に固着されており、フレ−ム5
1の内部には、センサオシレートモータM5(図2)が
あり、モータM5が正回転すると、支持棒55がx方向
(右方向)に移動する。モ−タM5が逆回転すると、支
持棒55が左方向に移動する。リンクア−ム14を介し
て支持棒55で、センサワイヤSが支持されている。セ
ンサワイヤSは、リンクア−ム14および支持棒55を
通して、接触検知回路110(図2)に電気接続されて
いる。
には、トーチオシレート機構16のベ−ス板が固着され
ている。ベ−ス板にト−チオシレ−ト機構が昇降可に装
着されており、図示しない昇降モ−タにより昇,降駆動
される。手元操作端19(図2)のト−チ上/下移動指
示スイッチを作業者が操作することにより昇降モ−タが
正転通電又は逆転通電されて、ト−チオシレ−ト機構が
上昇又は下降する。
モータM7(図2)を含み、モータM7が正転通電され
るとト−チ支持ア−ム81が右方に移動し、逆転通電さ
れると左方に移動する。ト−チ支持ア−ム81には、ト
ーチ支持機構80が結合している。トーチ支持機構80
は、その下端のピンを中心に相対的に回転(図1紙面に
垂直な方向)しうる2つのア−ムと、両ア−ムが相対的
に回転しないようにロックするための上端部の締めねじ
と、一方のア−ムに固着されたトーチ挟持部材87より
なる。締めねじを緩めて溶接溶接ト−チ1の傾斜角(開
先中心線を含む平面上での開先中心線に対するト−チ傾
斜角)を変更し締めねじを締めることにより、溶接ト−
チ1の傾斜角を調整しうる。
−ルおよびそれよりワイヤ3を繰出して溶接ト−チ1に
送り出すワイヤ送給装置が備わっており、溶接中には該
装置が溶接ワイヤ3を、溶接速度に対応する速度でト−
チ1に送給する。
ワイヤSを往復駆動するシステム構成を示す。接触検知
回路110にはセンサワイヤSが電気接続されており、
このセンサワイヤSは、機器ア−スレベルから絶縁され
ている。接触検知回路110はセンサワイヤSに抵抗器
を介して定電圧を印加しており、センサワイヤSがワ−
クWL又はWRのいずれにも接触していないときには、
センサワイヤSは該定電圧の電位(高レベルH)であ
り、センサワイヤSがワ−クWL又はWRのいずれかに
接触すると、機器ア−スレベル(低レベルL)となる。
接触検知回路110は、この接触(低レベルL),非接
触(高レベルH)を表わす2値信号を制御回路100に
与える。制御回路100は、センサワイヤSを右駆動し
ているときに2値信号が高レベルHから低レベルLに切
換わると、センサワイヤSがワ−クWRに接触したと判
断しセンサワイヤSの駆動方向を反転し、センサワイヤ
Sを左駆動しているときに2値信号が高レベルHから低
レベルLに切換わると、センサワイヤSがワ−クWLに
接触したと判断しセンサワイヤSの駆動方向を反転す
る。
ートモータM5はステッピングモ−タであり、その回転
方向および回転量(ステップ数)は、モータードライバ
MD1を介して制御回路100により制御される。制御
回路100がドライバMD1にモータM5の正転を指示
すると、ドライバMD1が所定周期の正転パルス電圧を
モータM5に印加し、これによりモ−タM5がステップ
回転(正転)しセンサワイヤSが右方に移動する。反対
に、制御回路100がドライバMD1にモータM5の逆
転を指示すると、ドライバMD1が所定周期の逆転パル
ス電圧をモータM5に印加し、これによりモ−タM5が
ステップ回転(逆転)しセンサワイヤSが左方に移動す
る。制御回路100がドライバMD1に正転指示信号又
は逆転指示信号を与えている間、ドライバMD1はモ−
タM5に所定周期の回転駆動パルス電圧を継続して与
え、モ−タM5は回転を継続する。
ート機構16を介して開先の延びる方向yに対して垂直
方向x(左右方向)に往復駆動される。ト−チオシレー
ト機構16のオシレートモータM7はステッピングモ−
タであり、その回転方向および回転量(ステップ数)
は、モータードライバMD2を介して制御回路100に
より制御される。制御回路100がドライバMD2にモ
ータM7の正転を指示すると、ドライバMD2が所定周
期の正転パルス電圧をモータM7に印加し、これにより
モ−タM7がステップ回転(正転)し溶接ト−チ1が右
方に移動する。反対に、制御回路100がドライバMD
2にモータM7の逆転を指示すると、ドライバMD2が
所定周期の逆転パルス電圧をモータM7に印加し、これ
によりモ−タM7がステップ回転(逆転)し溶接ト−チ
1が左方に移動する。制御回路100がドライバMD2
に正転指示信号又は逆転指示信号を与えている間、ドラ
イバMD2はモ−タM7に所定周期の回転駆動パルス電
圧を継続して与え、モ−タM7は回転を継続する。
者が予め与えた溶接速度に反比例する周期でx方向に往
復走査駆動する。また、作業者が溶接開始前に設定した
ト−チ位置(x方向)を中心に左右に、作業者が設定し
た繰返し速度(回/分)およびオシレ−ション幅(往復
動幅)のト−チ往復駆動を行ない、センサの往復駆動に
より得られる開先中心位置の変化分、オシレ−ション幅
の中心をx方向にシフトする。すなわち、操作盤OBに
作業者が設定した繰返し速度(回/分)および幅の往復
駆動を行ない、オシレ−ション幅の中心を、センサの往
復駆動により得られる開先中心位置のx方向変化分、同
方向にシフトする。なお、ト−チ往復駆動の繰返し速度
(回/分)の最小単位(回)は、一往復動である。
復駆動の繰返し速度(回/分)および溶接条件(溶接速
度,溶接電流値,その他)を制御回路100に入力し、
その前又は後に、ワ−クWL上での台車10のy位置調
整,ワ−クに対するト−チの高さ調整(z位置調整),
ト−チのx位置調整およびセンサのx位置調整を、手元
操作端19のスイッチを操作して行ない、そして溶接開
始指示スイッチをオンにすると、制御回路100が、以
上に説明した台車10の走行駆動,図示しないワイヤ送
給装置を介した、ト−チ1へのワイヤ3の送給,センサ
ワイヤSの繰返し往復駆動および溶接ト−チ1の繰返し
往復駆動と、開先中心位置の検出,検出した開先中心位
置の変化量分の、ト−チオシレ−ション幅の中心のx方
向シフトを行なう。溶接時の台車10の走行は、溶接ト
−チ1に対してセンサワイヤSが前方となる方向であ
る。
ために二重シールド4が装着されている。図3に、二重
シールド7の縦断面を拡大して示す。溶接ト−チ1はそ
の先端の溶接チップ2から溶接ワイヤ3を開先内に給送
しかつシ−ルドガスを吹出すものである。この溶接ト−
チ1に二重シ−ルド4が装着されている。二重シ−ルド
4は、溶接ト−チ1に固着されたアタッチメント5,こ
のアタッチメント5に固着されている内ノズル6および
外ノズル7を含む。内ノズル5は溶接チップ2を包囲し
溶接ト−チ1から吹き出されるシ−ルドガス(第1シ−
ルドガス)をチップ2に沿って下方に案内する。この第
1シ−ルドガスは、内ノズル6の下端開口から、チップ
2の外方に露出する溶接ワイヤ2の周辺に吹き出す。外
ノズル7は下半分が円錐筒状に拡がったものであり、こ
の外ノズル7に溶接ト−チ1の外部から第2シ−ルドガ
スGが供給され、これが内ノズル6の外周面に沿って下
端開口から、第1シ−ルドガスの外側に吹き出される。
溶接ワイヤ3直下の溶融部は、第1シ−ルドガスと第2
シ−ルドガスで二重にシールドされる。以下において、
第1シ−ルドガスに加えて第2シ−ルドガスをも吹き出
す態様を「二重シ−ルド」と称し、第1シ−ルドガスの
みを吹き出す態様を「二重シ−ルドなし」、又は「単一
シ−ルド」と称す。
先を、溶接ト−チ1を開先の長手方向yを横切る方向に
繰返し往復駆動する片面溶接において、開先角度は30°
以上55°以下の比較的に挟い開先とし、開先内に鋼粒ま
たは鉄粉を被溶接材の板厚の1/4以上2/3以下の高さに散
布し、溶接ト−チ1の繰返し往復駆動の速度を40回/分
以上150回/分とし、溶接電流をワイヤ3の単位断面積
当り230A/mm2以上とした片面ガスシールドアーク溶接
により、アークが安定し、良好な裏ビードが得られると
ともに高能率な溶接ができる。
ーク溶接における鋼粒散布高さと裏ビードの形状の関係
を示す。その時の溶接諸条件を表1に示す。なお、表1
上の「ル−トギャップ」は、開先横断面での、相対向ワ
−クWR,WL間の最短距離を意味する。図2にル−ト
ギャップを明示した。
電圧,ト−チ揺動幅(ウィ−ビング幅),ト−チの繰返
し往復駆動の速度(回/分)を変化させた。図4の評価
の欄の丸記号は裏ビート形状良好を意味し、三角記号は
裏ビード形状不良を意味し、×記号は裏ビード形状が悪
いあるいは溶け落ちが発生したことを意味する。
上2/3以下の高さ散布して溶接することにより裏ビード
形状が良好になることが分かる。散布高さが板厚の2/3
を超えると裏ビードが形状が悪いか、裏ビードが形成さ
れない。また1/4未満では溶け落ちが発生した。
1.5mm以下であることがアークの安定性および裏ビード
の形状を良好にすることから好ましい。また、鋼粒また
は鉄の成分は、主にFeからなるが、耐割れ性からCは
0.10%以下、SおよびPは0.020%以下が好ましく、他
の成分は溶接金属の強度靱性を考慮してSi,Mn,M
oその他の脱酸剤や合金剤を含有させることができる。
以上の粒度と成分を満足すれば、各種サイズの鋼ワイヤ
をカットした粒状体でも良い。
性が悪くなり、開先角度が55°を超えると開先断面積が
大きくなるので溶接能率が低下する。
り、溶接中のギャップ変動を少なくなり、ギャップ変動
による溶接条件の乱れが少く、溶接品質がより安定す
る。開先内面への仮付けは溶接長全線または部分的でも
良い。また、仮付けビードの高さは裏ビードを安定に出
すために7mm以下で、かつ、仮付けを完全にするため
に2mm以上とすることが好ましい。
使用した場合は、被溶接材裏面に裏当材20を接合させ
るだけの弱い支持力で、被溶接材に対して裏当材20を
支持すれば良く、マグネットや拘束用治具を用いる必要
がなくなる。したがって、労力の低減が図れる。裏当材
20として、セラミック固形裏当材の他に、ガラステー
プ併用の銅板裏当材またはフラックス銅裏当材のいずれ
を用いても同様の効果が得られる。
ートフェイスは3mm以下であることが仮付け溶接の安易
さおよび裏ビードが安定して出るので好ましい。図2に
はルートギャップおよびルートフェイスを明示した。ル
ートギャップが5mmを超えると開先断面積が広くなるの
で溶接能率が低下する。
0A/mm2未満では、安定した裏ビードが得られない。特
に仮付け部での未溶融部が発生する。なお、溶接ワイヤ
3の直径は、ワイヤ単位断面積当りの溶接電流密度が高
いことから、溶接作業性および裏ビード形状を良好とす
るために1.4mm以上〜2.0mm以下であることが好ましい。
溶接ワイヤ3(溶接ト−チ1)の繰返し往復動すなわ
ち揺動(オシレ−ション)は、裏ビード形状を良好にす
るためであり、一往復動を1回とすると、40回/分未満
の繰返し速度ではビード波形が粗くなり良好な裏ビード
形状が得られない。150回/分超の繰返し速度ではアー
クが不安定となり均一で良好な裏ビード形状が得られな
い。
ト幅(揺動幅)については、ビード表面を綺麗にする目
的で、板厚に応じて段階的に変化させる。板厚10mm程度
では4mm、板厚25mm程度では15mmとするのが好ましい。
が、2層目以降は、ソリッドワイヤまたはフラックス入
りワイヤを用いたガスシールドアーク溶接法またはサブ
マージアーク溶接法で行えば良い。
根拠を記述する。 C:0.10%以下 Cは割れ感受性を高める成分であり、片面溶接では特に
影響が高いため0.10%以下とした。 Si:0.50%以上1.00%以下 Siは主に脱酸剤として添加するが、そのほかビード形
状を改善する作用がある。しかし、0.50%未満ではそれ
らの効果が得られず、また1.00%超ではスラグ発生量が
増加し、次の(第2層以下の)溶接前にスラグを除去す
る必要が生じて板継ぎ作業能率が低下するため、その範
囲を0.50%以上1.00%以下とした。 Mn:1.50%以上2.50%以下 MnはSiと同様に脱酸剤として作用するほか、ビード
形状および耐割れ性改善を目的に添加する。しかし、1.
50%未満ではビード形状及び耐割れ性の改善効果が得ら
れない。また2.50%超では、溶接金属の硬化が著しくな
るためその範囲を1.50%以上2.50%以下とした。 Mo:0.10%以上1.50%以下 Moは比較的入熱量の高い溶接における溶接金属の軟化
抵抗を増加して強度低下を軽減する目的で添加する。し
かし、0.10%未満ではこの効果は得られず、1.50%超で
はMoの炭化物が生成して、溶接金属の著しい硬化と靱
性劣化を生ずるためにその範囲を0.10%以上1.50%以下
とした。 Ti:0.10%以上0.50%以下 Tiは強脱酸元素であり、溶接金属のミクロ組織の微細
化により靱性を向上させる作用がある。しかし、比較的
入熱量の高い溶接において、0.10%未満では靱性改善効
果が期待できず、0.50%超では炭化物を生成して著しく
靱性を損なうためその範囲を0.10%以上0.50%以下とし
た。 B:0.0030%以上0.0100%以下 Bは微量の添加で焼入れ性を高めミクロ組織を微細化
し、靱性の向上に効果がある。過剰になると溶接金属が
著しく硬化し延性低下を招き耐割れ性が劣化する。この
ためその添加量について十分な注意が必要である。溶接
ワイヤ3中の含有量が0.0030%以上0.0100%以下であれ
ば溶接金属の著しい硬化を招くことなく、靱性を向上で
きる。
るためフラックス入りワイヤに比べ溶け込みの深い鋼ワ
イヤを用いるが、ワイヤ単位断面積当りの電流密度を高
くし、さらには溶接ワイヤ3(溶接ト−チ1)を揺動す
るためスパッタの発生量が多い。したがって、シールド
効果が高く、スパッタ発生量が少なくなる2重シールド
とした。表2にスパッタ発生量調査時の溶接諸条件を、
図5に溶接電流とスパッタ発生量の関係を示す。従来法
でのスパッタ発生量は、電流を高めるにつれて増加する
が2.0〜5.0 g/min程度であるので、それ以下の発生量
を良好と評価した。二重シールドとした場合は、従来法
に比べ電流の変化に関係なくスパッタ発生量は2.0 g/
min以下であった。
ド形成性から15〜45 cm/minであることが好ましい。以
下に、本発明の実施例と比較例を説明する。
せ、表5および表6に示す開先形状,鋼粒または鉄粉お
よび溶接条件で、初層のみ溶接長1000mmの片面ガスシー
ルドアーク溶接を行った。なお、開先内面の仮付けは、
被覆アーク溶接棒を用い250mmおきに30mm長さで5カ所
行った。溶接後に表,裏ビード外観、割れの有無および
溶接後の試験体の裏面2mmからJIS Z 2202 4号の衝撃試
験片を採取して衝撃値を調査した。なお、割れの有無は
浸透深傷試験およびマクロ断面でした。それらの結果も
表5,表6に示す。表5と表6とは、本来1つの表を示
すものであるが、A4サイズに収まらないので、該表を
2分割したものであり、表6のNo.1〜21のそれぞ
れの行を表5のNo.1〜21のそれぞれの行に継ぐこ
とにより、1つの表が現われる。
る溶接方法の実施例、No.9〜21は比較例である。
本発明の実施例No.1〜8は、開先形状,鋼粒または
鉄粉の散布高さ,溶接ワイヤの往復動の繰返し速度(回
/分),溶接電流密度および溶接ワイヤの化学成分が適
正で、溶接ワイヤ3(W1〜W4)の、溶接チップ2か
らの突出部およびその直下の溶融金属を、二重シ−ルド
4が吹出す第1および第2シ−ルドガスで覆うので、
表,裏ビード外観とも良好であり、高温割れ等の欠陥も
なく衝撃値も極めて良好なものになった。
また溶接ワイヤ3(W6)のSiが低いので、裏ビード
が出なかった。No.10は、開先角度が広過ぎ、溶接
による盛り上がりが少なく、また裏ビードが出過ぎた。
またワイヤ3(W7)のSiが高いのでスラグ発生量が
多かった。No.11は、鋼粒の散布量が少いので溶融
金属の溶け落ちが発生した。No.12は、鋼粒の散布
量が多いので、裏ビードが出なかった。またワイヤ3
(W11)のTiが低いので、衝撃値が低くなった。
5)のCが高いので、高温割れが発生した。No.14
は、ワイヤ3(W8)のMnが低いので、表のビード外
観がやや不揃いとなった。また高温割れも発生した。N
o.15は、ワイヤ3(W9)のMoが低いので、別途
実施した引張試験で480N/mm2と鋼材より強度が低くなっ
た。No.16は、ワイヤ3(W10)のMoが高いの
で衝撃値が低下した。No.17は、溶接電流密度が低
いので、裏ビードが出なかった。またワイヤ3(W1
2)のTiが高いので、衝撃値が低下した。No.18
は、ワイヤ3の往復動の繰返し速度(回/分)が低いの
で、裏ビードが不揃になった。またワイヤ3(W13)
のBが低いので、衝撃値が低下した。No.19は、ワ
イヤ3(W14)のBが高いので、高温割れが発生し
た。No.20は、ワイヤ3の往復動の繰返し速度(回
/分)が高いので、アークが不安定となり裏ビードが不
揃になった。No.21は、二重シールドなしであるの
ですなわち単一シ−ルドであるので、スパッタ発生量が
多かった。
尺から長尺の溶接構造物の片面溶接において、溶接作業
性,耐割れ性および裏ビードが良好で、健全かつ高靱性
の溶接部が得られるとともに、開先断面積を小さくで
き、溶接中に複雑な操作を必要としないため安易に板継
ぎ作業能率を大幅に向上できる。
す正面図である。
示すブロック図であり、被溶接材の開先を斜視図で示
す。
る。
厚の被溶接材の開先を溶接したときの、板厚と鋼粒散布
高さとの組合せの分布を示すグラフであり、組合せ点
に、裏ビード形状の良否を示す記号を付した。
グラフである。
ク(被溶接材) 10:台車 11:台車フレ
−ム 12R,12L:車輪 13f:溝付ロ
−ラ r:レ−ル 14:リンクア−
ム S:開先面センサワイヤ 15:センサオシ
レ−ト機構 16:ト−チオシレ−ト機構 20:裏当材 51:フレ−ム 55:支持棒 81:ト−チ支持ア−ム 87:ト−チ挟
持部材
Claims (4)
- 【請求項1】被溶接材の、開先角度30°〜55°のYまた
はV形状の開先に裏当材を当接し突合せ片面溶接するに
当たって、開先内に鋼粒または鉄粉を板厚の1/4以上2/3
以下の高さまで散布し、溶接トーチから開先内に溶接ワ
イヤを給送しかつ該溶接ワイヤを開先の長手方向yを横
切る方向に40回/分以上150回/分以下で往復揺動駆動
し、ワイヤ単位断面積当り230A/mm2以上の溶接電流で
溶接することを特徴とする片面ガスシールドアーク溶接
方法。 - 【請求項2】開先内面を仮付けした被溶接材の、開先角
度30°〜55°のYまたはV形状の開先に裏当材を当接し
突合せ片面溶接するに当たって、開先内に鋼粒または鉄
粉を板厚の1/4以上2/3以下の高さまで散布し、溶接トー
チから開先内に溶接ワイヤを給送しかつ該溶接ワイヤを
開先の長手方向yを横切る方向に40回/分以上150回/
分以下で往復揺動駆動し、ワイヤ単位断面積当り230A
/mm2以上の溶接電流で溶接することを特徴とする片面
ガスシールドアーク溶接方法。 - 【請求項3】前記溶接ワイヤは、重量%で、 C:0.10%以下,Si:0.50%以上 1.00%以下,M
n:1.50%以上 2.50%以下,Mo:0.10%以上 1.50%
以下,Ti:0.10%以上 0.50%以下,B:0.0030%以
上 0.0100%以下、そして残部が実質的にFeおよび不
可避不純物よりなる鋼ワイヤである、請求項1又は請求
項2記載の片面ガスシールドアーク溶接方法。 - 【請求項4】溶接ト−チから、開先に送給する溶接ワイ
ヤの周りに第1シ−ルドガスを吹き出し、該溶接ト−チ
から更に、第1シ−ルドガスの外側に第2シ−ルドガス
を吹き出して溶接ワイヤ周りを二重シ−ルドする、請求
項1,請求項2又は請求項3記載の片面ガスシールドア
ーク溶接方法。
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JP01046997A JP3522063B2 (ja) | 1997-01-23 | 1997-01-23 | 片面ガスシールドアーク溶接方法 |
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JPH10202367A JPH10202367A (ja) | 1998-08-04 |
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