JP4978121B2 - 金属板の突合せ接合方法 - Google Patents

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本発明は、自動車部品の外板パネルに適用するテーラードブランクのための金属板の突合せ接合方法関する。
複数の金属板を相互に突き合わせて溶接等によって接合する方法としては、例えば電気抵抗シーム溶接法、アーク溶接法およびレーザ溶接法が用いられている。
電気抵抗シーム溶接法は、2枚の金属板の端部を上下一対の円盤状の電極によって加圧しながら電流を流し、金属板の固有抵抗により発熱・溶融して2枚の金属板相互を溶接する方法である。
また、アーク溶接法としては、汎用されているものとして、ティグ溶接、プラズマ溶接およびガスメタルアーク溶接が知られている。
ティグ溶接は、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気中で、タングステン電極と母材間にアークを発生させて溶接する方法である。また、プラズマ溶接は、溶接トーチ内の2電極間に通電してアークを発生させ、その周囲にアルゴンと水素とを混合した作動ガスを送り込むことで、この作動ガスがアークの熱で電離してイオンと電子とが混在したガス体であるプラズマとなり、このプラズマの熱で溶接する方法である。これらティグ溶接およびプラズマ溶接は、非消耗電極方式溶接法と呼ばれている。また、ガスメタルアーク溶接は、アルゴンなどの不活性ガスや炭酸ガスおよびこれらの混合ガス雰囲気中で、溶接用ワイヤを連続的に供給しながらこの溶接用ワイヤおよび母材間にアークを発生させ、これにより両者を溶融させて溶接する方法であり、消耗電極方式溶接法と呼ばれている。
これに対し、レーザ溶接法は、エネルギー密度の極めて高い集中熱源として、非常に強い集光性があるレーザ光を用いるので、溶接する部分での溶け込み深さが深く、高速で溶接を行うことができる。そのため、このレーザ溶接法によれば、溶接速度が速く、またビード幅が狭いので、上述のアーク溶接法や電気抵抗シーム溶接法に比べて溶接速度が速く、生産性を向上させることができる。また、そのビード幅が狭いので、溶接接合金属板のプレス成形性が優れる等の利点を有する。
つまり、例えば上述の電気抵抗シーム溶接法は、金属板の固有抵抗により発熱・溶融して2枚の金属板相互を溶接するので、溶接する部分の厚さが厚く、また、その幅が広くなる。そのため、プレス成形性がレーザ溶接法およびアーク溶接法に比べて劣っている。さらに、上述のアーク溶接法では、レーザ溶接法に比べて熱源の収束性が劣ることや溶接速度が遅いため、金属板を突合せ溶接する場合、溶接入熱が過大となり、溶け落ち欠陥が発生しやすく、また、熱変形も大きくなるのである。
そこで、近年、金属板の突合せ溶接方法として、レーザ溶接法が多く採用されるようになってきた。ここで、この種のレーザ溶接法を用い、金属板として、板厚や強度の異なる複数の薄鋼板を相互に突合せて溶接したものとしては、例えばテーラードブランクが知られている。テーラードブランクは、自動車車体の軽量化の有力技術の一つであり、この種のテーラードブランクは、主に自動車部品の内板および補強板に適用されており、これを適用することで軽量化の効果が大きいものである。
藤長、大橋、浦上、片山、松縄;「YAGレーザによるフィラワイヤ添加全姿勢突合せ溶接技術の開発」、溶接学会論文集、第22巻、第3号、p369−374(2004) 村山、外舘;「パイプの全姿勢レーザ溶接法の開発」、レーザ加工学会、第63回レーザ加工学会講演論文集 p34−41(2005.5)
しかしながら、例えば自動車部品の外板パネルにおいては、サイドパネル等のように面積が広く、1パネル当りの重量が重いため、テーラードブランクにすることによる軽量化の効果が大きいにもかかわらず、外板パネルにテーラードブランクが適用された事例は無かった。
テーラードブランクが外板パネルに適用されていない理由としては、以下に挙げるような問題点が考えられる。
まず、レーザ溶接法は、各種アークおよびシーム溶接法に比べて溶接熱変形が小さい等の面品質やプレス成形性に優れているものの、レーザ光の集光性が高いという特長の裏返しとして、被溶接物の突合せ間隙(隙間)を厳格に管理する必要がある。この突合せ間隙の許容量は、被溶接物の板厚の10%程度であり、これを越えると溶接する部分が溶け落ちて溶接部(溶接継手)の強度が低下することになる。そのため、従来のレーザ溶接法において、例えばレーザ単独溶接による突合せ溶接では隙間の許容量が小さい範囲に制限され、突合せ間隙をできるだけ小さく(例えば0.05mm以下など)管理する必要がある。したがって、例えば突合せ面を極めて精度高く切断し、さらに、その精度高く切断した突合せ面相互を正確に突合せなければならない。しかし、切断した突合せ面の曲がりやバリなどによって間隙が許容限度を超える場合もあり、突合せ間隙の許容限度の大きい溶接技術が望まれていた。
また、炭素鋼板同士を突合せ溶接すると、レーザ溶接法が高速溶接という裏返しとして、溶接部では、溶融した金属が急速に冷却され、いわば焼入れされた状態となる。そのため、溶接部は他の部分に比べて硬化する。これにより、その溶接部でのプレス成形性が低下することになる。したがって、高い表面品質が要求される外板パネルに適用し得るテーラードブランクを製造するには未だ不十分であった。
さらに、レーザ溶接時に溶融した金属板(鋼板)が飛び散り、これがスパッタとして溶接部に近い金属板の表面に付着する。そのため、このスパッタを除去する必要があるが、スパッタは金属板に強固に溶着しており且つ硬いため除去するのが困難である。また、スパッタを除去しても溶接部が他の部分に比べて硬いためプレス成形後に溶接部が浮き出てしまうので、この点においても品質上の解決すべき課題が残されている。
ここで、上記突合せ間隙の許容量を緩和させる技術として、レーザ照射時に炭素鋼系のワイヤを突合せ部に供給して溶接する技術が知られている(例えば非特許文献1ないし2参照)。しかし、これら非特許文献1ないし2に記載の技術を採用しても、レーザ照射時に供給するワイヤが炭素鋼系のワイヤであるため、溶接速度がレーザ単独溶接に比べて低下することや、特に、上述した表面品質上の問題点であるスパッタの付着が避けられないため、例えば外板パネルに適用し得るテーラードブランクを製造するには未だ解決すべき課題が残されている。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、スパッタの付着を防止または抑制するとともに、成形性に優れる接合金属板を製造可能な、自動車部品の外板パネルに適用するテーラードブランクのための金属板の突合せ接合方法提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明のうち第一の発明は、複数の金属板を相互に突き合わせて接合する方法であって、前記金属板相互を突き合わせた突合せ部にレーザを照射するレーザ照射工程と、そのレーザ照射工程の際に前記突合せ部にワイヤを供給するワイヤ供給工程とを含み、前記ワイヤとしてその化学組成が、Si:1〜10mass%、Mn:0.5〜5mass%、Ni:1.25〜35mass%およびAl:15mass%以下、残部Cuおよび不可避不純物よりなる銅系ろう材を用いて前記金属板相互をろう付けによって接合することを特徴とする自動車部品の外板パネルに適用するテーラードブランクのための金属板の突合せ接合方法である
第一の発明によれば、複数の金属板を突き合わせて銅(Cu)系ろう材を用いてレーザでろう付けによって接合するので、急速に冷却されることによる接合部の硬さの程度を銅系ろう材によって抑制可能である。さらに、銅系ろう材は鋼および炭素鋼系ワイヤに比べて低融点なので、その低融点な分だけ照射するレーザの出力を抑えることができる。そのため、接合部で溶融する金属板の飛び散りを抑制可能であり、これにより、金属板表面へのスパッタの付着を防止または抑制することができる。この結果、第一の発明に係る金属板の突合せ接合方法によれば、成形性を向上させることができるとともに、スパッタの付着を防止または抑制することができる。これにより、従来技術では実用化できなかった用途、例えば外板部品用接合鋼板として適用可能な接合金属板を製造することができる。
そして、第一の発明に係る金属板の突合せ接合方法において、前記ワイヤとして供給する銅系ろう材は、その化学組成が、Si:1〜10mass%、Mn:0.5〜5mass%、Ni:1.25〜35mass%およびAl:15mass%以下、残部Cuおよび不可避不純物よりなるので、この銅系ろう材(Cu系ワイヤ)は、その融点が約1000℃となり、例えば炭素鋼系ワイヤの融点約1500℃に比べて融点を大幅に低くすることができる。そのため、その低融点な分だけ照射するレーザの出力を抑制し得て、母材を溶融させずに、ろう付けによって接合することができるので、接合部で溶融する鋼板の飛び散りを防止または抑制する上で好適である。また、上記の化学組成をもつこの銅系ろう材は、レーザ単独溶接での溶接接合金属板に比較して接合金属板のプレス成形性の大幅な低下は認められないという利点をも有している。
そして、本発明に係る金属板の突合せ接合方法は、自動車部品の外板パネルに適用するテーラードブランクのためのものなので、これによって製造される接合金属板は、スパッタの付着がなく成形性に優れたものであるから、特に、自動車部品の外板パネルに適用するテーラードブランクとして好適である。
ここで、第一の発明に係る金属板の突合せ接合方法において、前記複数の金属板として、その厚さが0.4mm以上4.5mm未満の薄鋼板に適用することは好ましい。このような構成であれば、スパッタの付着がなく成形性に優れた金属板の突合せ接合方法に適用する自動車部品の外板パネルに適用するテーラードブランクのための金属板として好適である。
また、第一の発明に係る金属板の突合せ接合方法において、前記複数の金属板として、亜鉛めっきがなされており、その亜鉛めっき量が0g/mを超え120g/m以下の薄鋼板に適用することは好ましい。このような構成であれば、スパッタの付着がなく成形性に優れた金属板の突合せ接合方法に適用する自動車部品の外板パネルに適用するテーラードブランクのための金属板として好適である。
以上述べたように、本発明によれば、スパッタの付着を防止または抑制するとともに、成形性に優れる接合金属板を製造可能な、自動車部品の外板パネルに適用するテーラードブランクのための金属板の突合せ接合方法提供することができる。
以下、本発明に係る金属板の突合せ接合方法および接合金属板の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
まず、本発明に係るレーザ接合装置の一実施形態について図1を適宜参照しつつ説明する。なお、図1はそのレーザ接合装置の概略構成を示す説明図である。
同図に示すように、このレーザ接合装置20は、ブラケット23を有し、このブラケット23に、レーザ照射装置21およびワイヤ供給ノズル24が装備されている。
レーザ照射装置21は、不図示のレーザ発振器から出力されたレーザビームが光ファイバーケーブルや光学系を介して導入されて、そのレーザビームLが被接合部材である複数(この例では二枚)の金属板1,2上の突合せ部に対して集光されて照射可能になっている。
また、ワイヤ供給ノズル24は、接合部3となる突合せ部の方向を指向するようにブラケット23に固定されており、さらに、コンジットチューブ25を介してワイヤ供給装置22に接続している。このワイヤ供給装置22は、ワイヤリール26を備えている。そして、このワイヤリール26にフィラワイヤ(以下、単に「ワイヤ」という)4が巻回されており、不図示のモータを駆動することで、ワイヤリール26からワイヤ4を繰り出しつつ上記ワイヤ供給ノズル24にワイヤ4を連続して供給可能になっている。
そして、このレーザ接合装置20は、固定された二枚の金属板1,2に対し、レーザ照射装置21のヘッド21aを接合する方向に沿って移動させつつ、その接合動作にワイヤ供給装置22を同調させて、ワイヤ4を所定速度で金属板1,2同士の突合せ部に連続供給することにより、金属板1,2同士をろう付けによって接合し、突合せ部に接合部3を形成可能になっている。
ここで、本実施形態の金属板の突合せ接合方法は、上述のレーザ接合装置20を使用して、図1ないし図2に示すように、二枚の金属板1,2を相互に突き合わせて接合し、接合金属板10の製造に供するものである。そして、特にこの接合金属板10は、自動車部品の外板パネルに適用するテーラードブランクに好適なものである。
この突合せ接合方法に適用可能な金属板1,2の材質は、炭素鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金等があげられる。また、本実施形態では、金属板1,2として、その厚さが0.4mm以上4.5mm未満の薄鋼板に適用した例である。なお、突合せ接合する複数の金属板1,2は、相互の厚みが同じ或いは異なるものであってもよい。また、これらの金属板1,2には、亜鉛めっきがなされており、その亜鉛めっき量が0g/mを超え120g/m以下の薄鋼板を使用した例である。
そして、この突合せ接合方法は、レーザ照射工程とワイヤ供給工程とを含む接合方法であり、さらに、図2に示すように、金属板1,2相互を突き合わせた突合せ部5に隙間Sを有する突合せ接合である。そして、この突合せ部5に、銅系ろう材(Cu系ワイヤ)を供給し、母材である金属板1,2を溶融させずに、ろう付けによって接合することで、上述した種々の溶接方法に比べて溶け落ち等の欠陥の無い接合部3を形成可能とするものである。なお、この突合せ接合方法は、上述した従来のレーザ溶接法に対し、以下説明する点以外は同様の方法で接合するので、異なる点について主に説明し、それ以外の点については説明を省略する。
詳しくは、この突合せ接合方法では、二枚の金属板1,2を相互に突き合わせた突合せ部5に、上記レーザ照射装置21によってレーザLを照射するレーザ照射工程と、このレーザ照射工程の際に、上記ワイヤ供給装置22からワイヤ供給ノズル24等を介して、レーザLを照射すると同時に突合せ部5にワイヤ4を供給するワイヤ供給工程とを含む接合方法である。なお、このレーザ照射工程で照射するレーザとしては、例えば、CO2レーザ、COレーザ、スラブレーザ、Nd−YAGレーザ、ガラスレーザ、エキシマレーザ、ファイバーレーザ、半導体レーザ等、熱加工に使用できる任意のレーザ方式を適用可能である。
そして、この突合せ接合方法では、上記ワイヤ供給工程で供給するワイヤ4として、銅系ろう材(Cu系ワイヤ)を用いている。この銅系ろう材は、その化学組成が、Si:2〜10mass%、Ni:35mass%以下、Al:15mass%以下、Mn:5mass%以下、残部Cu及び不可避不純物よりなる。
ここで、SiはCuの強度を高め、且つ融点も高める元素である。このため、Siの添加量は1mass%以上とすれば好ましい。また、Siの添加量を2mass%以上とすればより好ましい。しかし、Siの添加量をあまり高くし過ぎると脆くなるので10mass%を以下とすることが好ましい。そこで、この銅系ろう材は、その化学組成のうち、Siを2〜10mass%としている。また、NiおよびAlはいずれも強度を著しく高める元素である。このため、Niを35mass%或いはAlを15mass%単独で添加すると、引張強度が540MPaを超える。しかし、これ以上添加すると脆くなるので、NiおよびAlは上記の添加量を上限とすることが好ましい。そこで、この銅系ろう材は、その化学組成のうち、Niを35mass%以下、Alを15mass%以下としている。さらに、MnはCuの強度を高め、且つ融点も高める元素である。このため、Mnの添加量は0.5mass%以上とすることが好ましい。しかし、Mnの添加量をあまり高くし過ぎると脆くなるので5.0mass%を以下とすることが好ましい。そこで、この銅系ろう材は、その化学組成のうち、Mnを0.5〜5.0mass%以下としている。さらに、この銅系ろう材は、残部は実質的に銅(Cu)および不可避的不純物からなるが、本発明の作用効果を妨げない範囲であれば不可避的不純物以外の微量元素を含んでもよい。
上記の化学組成をもつこの銅系ろう材は、レーザ単独溶接に比較して接合金属板のプレス成形性の大幅な低下は認められないという利点をも好適に有している(後述する実施例1を参照)。
また、上述の化学組成をもつこのCu系ワイヤ(銅系ろう材)は、その融点が約1000℃となり、例えば炭素鋼系ワイヤの融点約1500℃に比べて融点を大幅に低くすることができる。そのため、その低融点な分だけ照射するレーザの出力を、母材である金属板1,2を溶融させず且つCu系ワイヤを溶融可能な出力に抑制し得て、これにより、母材を溶融させずに、ろう付けによって接合することができるので、接合部3で溶融する金属板1,2の飛び散りを防止または抑制可能であり、金属板1,2表面へのスパッタの付着を防止または抑制する上で好適なものである(後述する実施例2を参照)。
次に、上記金属板の突合せ接合方法および接合金属板の作用・効果について説明する。
上述のように、この金属板の突合せ接合方法によれば、二枚の金属板1,2を相互に突き合わせて、互いの突合せ部5を銅(Cu)系ろう材を用いてレーザでろう付けによって接合するので、形成される接合部3の硬さを銅系ろう材の硬さで抑制可能である。
つまり、上述のように、レーザ照射工程の際に突合せ部5に供給するCu系ワイヤは、その融点が約1000℃であり、炭素鋼系ワイヤの融点1500℃より大幅に低い。そのため、その低融点な分だけ照射するレーザの出力を抑えることができる。したがって、母材を溶融させずに、ろう付けによって接合することができるので、接合部3で溶融する金属板1,2の飛び散りを防止または抑制可能であり、これにより、金属板1,2表面へのスパッタの付着を防止または抑制することができる。
また、上記の化学組成をもつこの銅系ろう材は、レーザ単独溶接に比較して接合金属板10のプレス成形性の大幅な低下は認められないという利点をも有している。この結果、成形性を向上させることが可能であり、これにより、従来技術では実用化できなかった用途、例えば上述した外板パネルに適用し得るテーラードブランクなどのように、外板部品用接合鋼板として適用可能な接合金属板を製造することができる。
そして、この金属板の突合せ接合方法によって製造された接合金属板10は、上記の化学組成をもつCu系ワイヤを用いてレーザでろう付けによって接合されているので、その表面にスパッタの付着がなく成形性に優れたものである。したがって、従来技術では実用化できなかった外板部品用接合鋼板等の用途、例えば上述した自動車部品の外板パネルに適用可能なテーラードブランクとして好適である。
以上説明したように、この金属板の突合せ接合方法によれば、2枚の金属板1,2を突合せて銅系ワイヤを用いてレーザで接合するので、スパッタの付着がなく成形性に優れる接合金属板10を製造可能である。そして、これにより製造される接合金属板10は、スパッタの付着がなく成形性に優れるという有用な効果が得られる。
なお、本発明に係る金属板の突合せ接合方法および接合金属板は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、ワイヤとして供給する銅系ろう材は、その化学組成が、Si:2〜10mass%、Ni:35mass%以下、Al:15mass%以下、Mn:5mass%以下、残部Cuおよび不可避不純物よりなるもの(以下、同化学組成をもつ銅系ろう材を、「本発明に係る銅系ろう材」ともいう)を用いた例で説明したが、これに限定されず、本発明に係る金属板の突合せ接合方法は、金属板相互を突き合わせる突合せ部にレーザを照射するレーザ照射工程と、そのレーザ照射工程の際に前記突合せ部にワイヤを供給するワイヤ供給工程とを含み、ワイヤ供給工程で供給するワイヤとして銅系ろう材を用いて金属板相互を接合するものであれば、供給するワイヤには種々の銅系ろう材を適用可能である。しかし、その融点を約1000℃とし、また、レーザ単独溶接に比較して溶接接合金属板のプレス成形性の大幅な低下は認められないという利点を有する銅系ろう材を用いることによって、スパッタの付着を防止または抑制するとともに、成形性に優れる接合金属板をより好適に製造可能とする上では、上記本発明に係る銅系ろう材を用いることは好ましい。
また、例えば、上記実施形態では、本発明に係る金属板の突合せ接合方法を、金属板として、その厚さが0.4mm以上4.5mm未満の薄鋼板に適用し、これを相互に突き合わせて、母材を溶融させずに、ろう付けによって接合する例で説明したが、適用可能な金属板の板厚の範囲は、突合せ接合が可能な範囲であれば特に限定されない。しかし、本発明に係る金属板の突合せ接合方法を適用する上で、好適な金属板の板厚の範囲としては、ろう付けの入熱、ろう付け速度等の接合条件に依存はするものの、板厚の範囲が0.4mm以上4.5mm以下であれば好ましい。
また、上記実施形態では、本発明に係る金属板の突合せ接合方法を、金属板として、亜鉛めっきがなされており、その亜鉛めっき量が0g/mを超え120g/m以下の薄鋼板に適用し、これを相互に突き合わせて接合する例で説明したが、これに限定されず、めっきの有無、あるいは、めっきがなされている場合のそのめっき量についても、突合せ接合が可能な範囲であれば特に限定されない。しかし、本発明に係る金属板の突合せ接合方法を適用する上で、好適な金属板としては、対象とする金属板が、亜鉛めっきを有し、その亜鉛めっき量が0〜120g/mの範囲であることは好ましい。
次に、実施例について説明する。
[実施例1]
まず、実施例1について説明する。
この実施例1では、相互に突き合わせて接合(溶接)する接合部材となる金属板1,2として、図3に示すように、二枚の薄鋼板を相互に突き合わせて接合(溶接)した接合金属板を、本発明に係る突合せ接合方法(以下、「適用例」という)および従来のレーザ溶接方法(以下、「比較例」という)によってそれぞれ製作した。
これら金属板1,2の突合せ部5に照射するレーザには、YAGレーザを使用した。そして、この突合せ部5に供給するワイヤ(溶接ワイヤ)として、適用例では、上記本発明に係る銅系ワイヤを使用した。これに対し、比較例では、炭素鋼の溶接ワイヤを使用した。そして、接合(溶接)速度およびワイヤ(溶接ワイヤ)を変えて、いろいろな接合金属板を作成した。その後、それぞれの接合金属板に対し、球頭張り出し試験、および穴拡げ試験を行ない、接合(溶接)部3の成形性を調査した。なお、この接合(溶接)に用いた金属板1,2は、適用例および比較例ともに、厚み0.8、1.6、2.4mmの340MPa級冷延鋼板である。
以下、接合(溶接)条件を表1に、ワイヤの組成を表2に示す。また、球頭張り出し試験片およびその試験条件を図3および表3に示す。また、穴拡げ試験片およびその試験条件を図4および表4に示す。さらに、試験結果を表5に示す。
Figure 0004978121
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Figure 0004978121
Figure 0004978121
Figure 0004978121
表5から分かるように、適用例においては、本発明に係る銅系ろう材である銅系ワイヤ(表中、「銅合金1〜4」)を用いた接合金属板10の接合部3の硬さは、Hv100〜157であった。これに対し、比較例においては、炭素鋼の溶接ワイヤ(表中、「炭素鋼」)を用いた溶接接合金属板の溶接部の硬さは、Hv285〜350であった。さらに、球頭張り出し試験においては、適用例の接合金属板10での張り出し高さは、最も低いものでも18mmであり、ほとんどが20mm以上であるのに対し、比較例の溶接接合金属板での張り出し高さは、最も高いもので18mmであり、いずれも10mm台である。また、穴拡げ試験においては、適用例の接合金属板10での穴拡げ率は、いずれも53%以上であるのに対し、比較例の溶接接合金属板での穴拡げ率は、いずれも23%以下である。
これにより、適用例の接合部3の硬さは比較例の溶接部の硬さに比べて著しく低いことが確認された。したがって、上記本発明に係る金属板の突合せ接合方法によれば、成形性に優れる接合金属板を製造可能であり、また、これによって製造された接合金属板10によれば、その成形性が優れていることが確認された。
[実施例2]
次に、実施例2について説明する。
この実施例2では、上記実施例1での「適用例」および「比較例」と同様に準備したいろいろな接合金属板を作成し、その接合部(溶接部)近傍に付着したスパッタの数量を調査した。その試験結果を以下の表6に示す。なお、同表では、表面品質を評価するにあたり、接合部(溶接部)での溶接線長さ10cm当りに付着しているスパッタの数量が5個以下の場合を良好「○」とし、5個以上の場合を不良「×」とした。
Figure 0004978121
表6から分かるように、比較例においては、炭素鋼の溶接ワイヤを用いた溶接接合金属板の溶接部は、その表面品評価結果がいずれも「×」であり、多量のスパッタが付着しており表面品質は不良であることが確認された。これに対し、適用例においては、本発明に係る銅系ろう材である銅系ワイヤを用いた接合金属板10の接合部3は、その表面品評価結果がいずれも「○」であり、スパッタの付着が少なく品質が良好であることがわかる。これにより、上記本発明に係る金属板の突合せ接合方法によれば、スパッタの付着を防止または抑制した接合金属板を製造可能であり、また、これによって製造された接合金属板10によれば、スパッタの付着が防止または抑制され、その表面品質が優れていることが確認された。
本発明に係るレーザ接合装置の一実施形態の概略構成を示す説明図である。 本発明に係る金属板の突合せ接合方法および接合金属板の一実施形態を説明する図である。 本発明に係る金属板の突合せ接合方法および接合金属板の実施例を説明する図である。 本発明に係る金属板の突合せ接合方法および接合金属板の実施例を説明する図である。
符号の説明
1 (突き合わせる一方の)金属板
2 (突き合わせる他方の)金属板
3 接合部
4 フィラワイヤ(ワイヤ)
5 突合せ部
10 接合金属板
20 レーザ接合装置
21 レーザ照射装置
22 ワイヤ供給装置
23 ブラケット
24 ワイヤ供給ノズル
25 コンジットチューブ
26 ワイヤリール

Claims (3)

  1. 複数の金属板を相互に突き合わせて接合する方法であって、
    前記金属板相互を突き合わせた突合せ部にレーザを照射するレーザ照射工程と、そのレーザ照射工程の際に前記突合せ部にワイヤを供給するワイヤ供給工程とを含み、
    前記ワイヤとしてその化学組成が、Si:1〜10mass%、Mn:0.5〜5mass%、Ni:1.25〜35mass%およびAl:15mass%以下、残部Cuおよび不可避不純物よりなる銅系ろう材を用いて前記金属板相互をろう付けによって接合することを特徴とする自動車部品の外板パネルに適用するテーラードブランクのための金属板の突合せ接合方法。
  2. 前記複数の金属板として、その厚さが0.4mm以上4.5mm未満の薄鋼板に適用することを特徴とする請求項1に記載の金属板の突合せ接合方法。
  3. 前記複数の金属板として、亜鉛めっきがなされており、その亜鉛めっき量が0g/mを超え120g/m以下の薄鋼板に適用することを特徴とする請求項1または2に記載の金属板の突合せ接合方法。
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