JPH10200373A - モノリシック水晶フィルタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な減衰特性を得るとともに、スプリアス
振動（不要振動）モードを抑制し、電気機械フィルタと
しての良好な電気的特性を得る。 【解決手段】 水晶板１の表面には入力電極２１、出力
電極２２がＺ’軸方向に並んで所定の間隔で近接して設
けられ、裏面には前記入力電極、出力電極２１，２２に
対応する２つの共通電極２３，２４が設けられている。
共通電極はそれぞれ対向する入出力電極の電極サイズよ
り大きく形成されている。裏面においては、前記共通電
極に近接させて重み付け電極２５，２６が形成されてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は通信機器等に用いられる
厚み系振動を用いたモノリシック水晶フィルタに関する
ものであり、一般に非調和（インハーモニック）振動と
称されるスプリアス（不要）振動の影響を抑制するとと
もに、良好な減衰特性を得ることの可能なモノリシック
水晶フィルタに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】モノリシック水晶フィルタは、水晶板を
挟んで対向して形成された入出力電極と共通電極部分を
共振領域として、対称モード振動（ｆｓ）と斜対称モー
ド振動（ｆａ）が励振され、これらが音響的に結合する
ことにより主振動を形成し、所定の通過帯域を有するフ
ィルタを構成している。

【０００３】従来技術を図１０、図１１、図１２、図１
３とともに説明する。図１０はモノリシック水晶フィル
タの従来の一構成例を示す平面図、図１１は図１０のＤ
−Ｄ断面図であり、この従来例は特願平４−１５２８２
９号に開示された構成である。

【０００４】水晶板１はＡＴカット水晶板であり、その
表面に入力電極６１、出力電極６２とこれら電極を水晶
板外周に導く引出電極６１１，６２１が真空蒸着法等の
薄膜形成手段にて設けられ、裏面には同様の手段にて共
通電極６３とこれら電極を水晶板外周に導く引出電極
（図示せず）が設けられている。入出力電極間にはシー
ルド電極７１が形成されており、このシールド電極は共
通電極と接続され、アース接続される。この構成によ
り、入出力電極間を直達波と称される直接伝播する電磁
波をシールドすることができ、これにより保証減衰量等
の減衰特性を良好にしていた。

【０００５】また、図１２，図１３は他の従来例を示す
図であり、図１２はモノリシック水晶フィルタの他の従
来例を示す表面図、図１３は裏面図である。この従来例
は、特願平７−１１３７７０号に開示されている構成で
あり、裏面の共通電極６４の外側面に重み付け電極８
１，８２を近接させた構成としている。モノリシック水
晶フィルタは上記対称モード、斜対称モード振動以外
に、各振動モードに対して、励振電極の外周端面が境界
条件となって励振される複数のスプリアス振動モード
（非調和振動）も同時に励振されることが知られてい
る。これらスプリアス振動モードは、その振動エネルギ
ーの分布が前記対称、斜対称モード振動の音響的結合で
構成される主振動モードよりやや外側に偏っている。上
記重み付け電極８１，８２によりスプリアス振動モード
の振動を減衰させることができ、スプリアスの抑制され
たモノリシック水晶フィルタを得ることができる。な
お、図示していないが、上記入出力電極はそれぞれ入出
力端子に接続され、共通電極はアース端子に接続された
状態で気密封止されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上述したシールド電極
を形成した構成では、保証減衰量等の減衰特性をあるレ
ベルまでは良好にすることができる。しかしながらこの
ような工夫を行った場合スプリアスが発生し易くなる問
題点があった。また他の従来例で示した重み付け電極を
用いた工夫では、スプリアス抑制は可能であるが減衰特
性の改善をはかることができない問題点があった。

【０００７】上記従来例を組み合わせることにより、両
者の問題点を補完することが可能であるが、より良好な
減衰特性を得ようとする場合、当該入出力電極間に、よ
り広幅のシールド電極を形成することが考えられるが、
入出力電極の中間領域に比較的面積の大きいシールド電
極を形成すると、スプリアスがより大きく励振され、圧
電フィルタとしての電気的特性が大きく損なわれること
があった。

【０００８】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたもので、より良好な減衰特性を得るとともに、主振
動（公称周波数）近傍に発生していたスプリアス振動
（不要振動）モードを抑制し、電気機械フィルタとして
の良好な電気的特性を得ることの可能なモノリシック水
晶フィルタを提供することを目的とするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに、請求項１によるモノリシック水晶フィルタは、水
晶板の表面に入力電極、出力電極を所定の間隔で近接さ
せて形成し、かつ当該裏面に前記入力電極、出力電極に
それぞれ対応した共通電極を設けることにより共振領域
を形成するとともに、前記各電極を外部に導出する引出
電極を形成し、厚み系振動を用いたモノリシック水晶フ
ィルタにおいて、共通電極の少なくとも対向する辺の間
隔を、前記入出力電極の対応する辺の間隔より小さくす
るとともに、共通電極の前記対向する各辺以外の辺の近
傍に、所定の間隔を隔てて重み付け電極を形成したこと
を特徴とするものである。

【００１０】また請求項２に示すように、水晶板の表面
に入力電極、出力電極を所定の間隔で近接させて形成
し、かつ当該裏面に前記入力電極、出力電極にそれぞれ
対応した共通電極を設けることにより共振領域を形成す
るとともに、前記各電極を外部に導出する引出電極を形
成し、厚み系振動を用いたモノリシック水晶フィルタに
おいて、水晶板表面の前記入出力電極間に細幅のシール
ド電極を配設するとともに、共通電極の少なくとも対向
する辺の間隔を、前記入出力電極の対応する辺の間隔よ
り小さくし、かつ共通電極の前記対向する各辺以外の辺
の近傍に、所定の間隔を隔てて重み付け電極を形成した
ことを特徴とする構成としてもよい。

【００１１】

【作用】請求項１の構成によれば、共通電極の少なくと
も対向する辺の間隔を、前記入出力電極の対応する辺の
間隔より小さくしている構成であるので、共通電極が近
接し、入力電極で電磁波が発生したとしても、出力電極
に到達せず、共通電極の拡大部分に吸収されるために、
電磁波が出力電極側には到達しない。従って、入出力電
極間で発生する直達波をシールドすることができ、これ
により保証減衰量等の減衰特性を良好にする。特に入出
力電極の中間領域に面積の大きいシールド電極を形成す
ることがないので、スプリアスの発生を抑制できる。ま
た、共通電極の前記対向する各辺以外の辺の近傍に、所
定の間隔を隔てて重み付け電極を形成したことにより、
共通電極の近接によってスプリアスが発生したとして
も、これを極力抑制することができる。

【００１２】また請求項２の構成によれば、請求項１の
構成に加えて、水晶板表面の前記入出力電極間に細幅の
シールド電極を配設した構成であり、これにより直達波
のシールドをより効率的に行うことができるので、より
減衰特性を良好にすることができる。また、共通電極の
近接あるいはシールド電極の形成により、スプリアスが
発生したとしても、重み付け電極により極力抑制するこ
とができる。

【００１３】

【発明の実施の形態】本発明の第１の実施の形態につい
て、図面を参照して説明する。図１は本発明の第１の実
施例を示す水晶板の表面の平面図、図２は同裏面の平面
図、図３は同Ａ−Ａ断面図である。水晶板１はＡＴカッ
ト水晶板であり、矩形状に加工されている。表面には入
力電極２１、出力電極２２がＺ’軸方向に並んで所定の
間隔で近接して設けられ、それぞれの電極から水晶板の
端面に引出電極２１１，２２１が引き出されている。裏
面には前記入力電極、出力電極２１，２２に対応する２
つの共通電極２３，２４が設けられ、これら共通電極は
その下方で共通接続され、水晶板の下方端面に引出電極
２３１が引き出されている。これら共通電極はそれぞれ
対向する入出力電極の電極サイズより大きく形成され、
これにより共通電極の対向する辺の間隔が、前記入出力
電極の対応する辺の間隔より小さくなっており、両者が
近接した構成となっている。

【００１４】また、裏面においては、前記共通電極に近
接させて重み付け電極２５，２６が形成されており、こ
れら重み付け電極は水晶板表面の引出電極に対応する裏
面部分に延在した構成となっている。この実施例では、
表面の引出電極２１１，２２１に対応させて重み付け電
極２５，２６を設けているが、必ずしも正確に重なって
いる必要はない。これは振動エネルギーがある一定のエ
リアに分布しているからである。この重み付け電極の厚
さは共通電極等と同じ厚さでもよいが、重み付け効果を
より得るために、厚くしてもよい。ただし、厚くしすぎ
ると主振動自体に悪影響を与えることがあり、また他の
新たな不要振動を生ぜしめる場合があるので、設計には
注意が必要である。なお、これら各電極の材料は例えば
銀が用いられている。

【００１５】以上の構成により、共通電極の少なくとも
対向する辺の間隔を、前記入出力電極の対応する辺の間
隔より小さくしている構成であるので、共通電極が近接
し、入力電極で電磁波が発生したとしても、出力電極に
到達せず、共通電極の拡大部分に吸収されるために、電
磁波が出力電極側には到達しない。従って、入出力電極
間で発生する直達波をシールドすることができ、これに
より保証減衰量等の減衰特性を良好にする。特に入出力
電極の中間領域に面積の大きいシールド電極を形成する
ことがないので、スプリアスの発生を抑制できる。

【００１６】また、共通電極の前記対向する各辺以外の
辺の近傍に、所定の間隔を隔てて重み付け電極を形成し
たことにより、共通電極の近接によってスプリアスが発
生したとしても、これを極力抑制することができる。

【００１７】なお、図示していないがリード端子を有す
るベースに搭載し、気密封止することにより、あるいは
表面実装用のベースに搭載し、気密封止することにより
モノリシック水晶フィルタの完成となる。

【００１８】本発明による第２の実施の形態について図
４，図５，図６とともに説明する。図４は水晶板表面の
平面図、図５は同裏面の平面図、図６は同Ｂ−Ｂ断面図
である。なお、第１の実施の形態と同じ構成部分につい
ては同番号により説明する。

【００１９】この実施の形態においては、上述した実施
の形態の構成に、入出力電極間に細幅のシールド電極３
１を付加形成し、裏面の共通の引出電極３３と共通接続
した構成である。このシールド電極３１の幅寸法は、裏
面の共通電極の間隔より小となる寸法にすることがスプ
リアスの発生を抑制する上で好ましい。これにより直達
波のシールドをより効率的に行うことができるので、よ
り減衰特性を良好にすることができる。また、重み付け
電極によりスプリアスの抑制も効率的に行うことができ
る。

【００２０】本発明による第３の実施の形態について図
７，図８，図９とともに説明する。図７は水晶板表面の
平面図、図８は同裏面の平面図、図９は同Ｃ−Ｃ断面図
である。この実施の形態においては、裏面の共通電極の
サイズを大きくするとともに、重み付け電極を表面の入
出力電極側に近接させて配設し、この重み付け電極は裏
面の共通電極の端面にまでおよぶ構成となっている。

【００２１】水晶板１はＡＴカット水晶板であり、矩形
状に加工されている。表面には入力電極４１、出力電極
４２がＺ’軸方向に並んで所定の間隔で近接して設けら
れ、それぞれの電極から水晶板の端面に引出電極４１
１，４２１が引き出されている。裏面には前記入力電
極、出力電極４１，４２に対応する共通電極４３が設け
られ、これら共通電極は水晶板端面に引出電極４３１，
４３２により引き出されている。この共通電極は、対向
する表面の入力電極、出力電極のそれぞれのＣ−Ｃ方向
の端面より大きく形成されている。また、入出力電極間
には細幅のシールド電極３２が形成され、水晶板の上下
端面に引き出されている。

【００２２】また、表面においては、前記入力電極４
１、出力電極４２に近接させて重み付け電極５１，５２
が形成されている。この重み付け電極５１，５２は裏面
の共通電極部分にまでおよぶよう構成されており、共通
電極の端部にあるスプリアス振動を効率的に抑制するこ
とができる。すなわち、スプリアス振動は、その振動エ
ネルギーの分布が主振動モードよりやや外側に偏ってい
るので、共通電極の外形サイズを入出力電極より大きく
構成することにより、共通電極の端部にスプリアス振動
の振動エネルギーが漏れ出てくる。この共通電極の端部
の反対面に重み付け電極を配置させることにより、スプ
リアス振動の振動エネルギーを急激に減衰させることが
できる。

【００２３】この第３の実施の形態によれば、共通電極
が一体的に形成されており、かつシールド電極が形成さ
れているので、保証減衰量をはじめとする減衰特性を良
好にすることができる。また、シールド電極形成等によ
って生じやすくなったスプリアスを極力抑制することが
できる。

【００２４】なお、上記実施の形態において、共通電極
が２つに分かれた構成、一体化された構成を例示してい
るが、これら各構成は要求される電気的特性に応じて選
択すればよい。すなわち、減衰特性をより良好にする場
合は、一体化した構成あるいは２つの共通電極の連結領
域を大きくした構成を選択すればよい。

【００２５】

【発明の効果】請求項１の構成によれば、共通電極の少
なくとも対向する辺の間隔を、前記入出力電極の対応す
る辺の間隔より小さくしている構成であるので、共通電
極が近接し、入力電極で電磁波が発生したとしても、出
力電極に到達せず、共通電極の拡大部分に吸収されるた
めに、電磁波が出力電極側には到達しない。従って、入
出力電極間で発生する直達波をシールドすることがで
き、これにより保証減衰量等の減衰特性を良好にする。
特に入出力電極の中間領域に面積の大きいシールド電極
を形成することがないので、スプリアスの発生を抑制で
きる。また、共通電極の前記対向する各辺以外の辺の近
傍に、所定の間隔を隔てて重み付け電極を形成したこと
により、共通電極の近接によってスプリアスが発生した
としても、これを極力抑制することができる。よって、
電気機械フィルタとしての良好な電気的特性を得ること
の可能なモノリシック水晶フィルタを得ることができ
る。

【００２６】また請求項２の構成によれば、請求項１の
構成に加えて、水晶板表面の前記入出力電極間に細幅の
シールド電極を配設した構成であり、これにより直達波
のシールドをより効率的に行うことができるので、より
減衰特性を良好にすることができる。また、共通電極の
近接あるいはシールド電極の形成により、スプリアスが
発生したとしても、重み付け電極により極力抑制するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１の実施の形態による水晶板の表面の電極構
成を示す平面図。

【図２】第１の実施の形態による水晶板の裏面の電極構
成を示す平面図。

【図３】図１のＡ−Ａ断面図。

【図４】第２の実施の形態による水晶板の表面の電極構
成を示す平面図。

【図５】第２の実施の形態による水晶板の裏面の電極構
成を示す平面図。

【図６】図４のＢ−Ｂ断面図。

【図７】第３の実施の形態による水晶板の表面の電極構
成を示す平面図。

【図８】第３の実施の形態による水晶板の裏面の電極構
成を示す平面図。

【図９】図７のＣ−Ｃ断面図。

【図１０】従来例を示す図。

【図１１】従来例を示す図。

【図１２】従来例を示す図。

【図１３】従来例を示す図。

【符号の説明】

１ 水晶板 ２１，４１、６１ 入力電極 ２２，４２，６２ 出力電極 ２３，４３，６３、６４ 共通電極 ２５，２６、５１，５２、８１，８２ 重み付け電極 ３１，３２、７１ シールド電極

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水晶板の表面に入力電極、出力電極を所
   定の間隔で近接させて形成し、かつ当該裏面に前記入力
   電極、出力電極にそれぞれ対応した共通電極を設けるこ
   とにより共振領域を形成するとともに、前記各電極を外
   部に導出する引出電極を形成し、厚み系振動を用いたモ
   ノリシック水晶フィルタにおいて、 共通電極の少なくとも対向する辺の間隔を、前記入出力
   電極の対応する辺の間隔より小さくするとともに、共通
   電極の前記対向する各辺以外の辺の近傍に、所定の間隔
   を隔てて重み付け電極を形成したことを特徴とするモノ
   リシック水晶フィルタ。
2. 【請求項２】 水晶板の表面に入力電極、出力電極を所
   定の間隔で近接させて形成し、かつ当該裏面に前記入力
   電極、出力電極にそれぞれ対応した共通電極を設けるこ
   とにより共振領域を形成するとともに、前記各電極を外
   部に導出する引出電極を形成し、厚み系振動を用いたモ
   ノリシック水晶フィルタにおいて、 水晶板表面の前記入出力電極間に細幅のシールド電極を
   配設するとともに、共通電極の少なくとも対向する辺の
   間隔を、前記入出力電極の対応する辺の間隔より小さく
   し、かつ共通電極の前記対向する各辺以外の辺の近傍
   に、所定の間隔を隔てて重み付け電極を形成したことを
   特徴とするモノリシック水晶フィルタ。