JP2001308682A - 水晶フィルタ - Google Patents

水晶フィルタ

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JP2001308682A
JP2001308682A JP2000124696A JP2000124696A JP2001308682A JP 2001308682 A JP2001308682 A JP 2001308682A JP 2000124696 A JP2000124696 A JP 2000124696A JP 2000124696 A JP2000124696 A JP 2000124696A JP 2001308682 A JP2001308682 A JP 2001308682A
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electrodes
filter function
electrode
input
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JP2000124696A
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English (en)
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Hiroyuki Arimura
有村  博之
Hiroshi Maeda
浩 前田
Kazuya Yamahashi
一也 山橋
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Daishinku Corp
Original Assignee
Daishinku Corp
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  • Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気的特性を損なうことなく、より広帯域化
が可能な水晶フィルタを提供する。 【解決手段】 水晶板1の一方の主面に入力電極21,
23と出力電極22,24が形成され、当該水晶板の他
方の主面に前記入力電極と前記出力電極の形成領域に対
応して共通電極が形成されてなるフィルタ機能領域を少
なくとも2つ以上具備してなる水晶フィルタであって、
前記各フィルタ機能領域の中心周波数が近接した状態で
異なってなり、かつ、 前記各入力電極を入力端子Nに
より、前記各出力電極を出力端子Sにより、さらに前記
各共通電極もアース端子E1,E2により共通接続し
て、各フィルタ機能領域が多段並列接続されてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、通信機器等に用いられ
る厚み系振動を用いた水晶フィルタに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来の圧電フィルタとして、水晶板を用
いたモノリシック水晶フィルタ(以下、MCFと称す
る)について説明する。一般的なMCFは、図19に示
すように、水晶板を挟んで対向して形成された入出力電
極と共通電極部分を共振領域として、対称モード振動
(1,1,1)と斜対称モード振動(1,1,2)が励
振され、これらが音響的に結合することにより主振動を
形成し、所定の通過帯域を有するフィルタを構成してい
る。
【0003】図20は、従来のMCFにおける一般的な
構成を示す図であり、同図20(a)は電極構成を示す
平面図であり、同図20(b)は結線状態を示す断面図
である。
【0004】水晶板1はATカット水晶板であり、その
表面にギャップ寸法Gを介して、入力電極71、出力電
極72とこれら電極を水晶板外周に導く引出電極71
1,721が設けられ、裏面には入出力電極に対応した
共通電極73とこれら電極を水晶板外周に導く引出電極
(図示せず)が設けられている。
【0005】このようなMCFにおいては、共通電極に
質量負荷を与えれば、入出力電極のギャップ中央に振動
エネルギが集中するため、結合が密となって通過帯域幅
を広げることができる。そして、このMCFの通過帯域
幅は、電極の膜厚と入出力電極間のギャップ寸法Gによ
り決定される。そこで、通過帯域幅を広げるためには、
電極膜を薄くする手法と、入出力電極間のギャップ
寸法Gを狭くする手法が一般的に採用される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、電極
膜を薄くする手法では、振動モードのQ値が劣化しがち
であり、フィルタの挿入損失を増大させることとなる。
スプリアス振動が主振動近傍に励起しやすいといった問
題があった。ギャップ寸法Gを狭くする手法では、特
に、蒸着マスクを用いて電極形成する場合、隣接する入
出力電極が短絡しないように形成するには、蒸着マスク
で製作可能な寸法幅には物理的限界があった。そして、
ギャップ寸法Gを狭くすると、入出力間の矯絡容量が増
加するため、保証減衰量が悪化するといった実用上限界
が生じることが考えられる。このように、従来のMC
Fでは、広帯域化にも限度があり、水晶のQ値の高さか
らも、急峻なフィルタ特性を有するため、広帯域化も困
難とされていた。そして、前記従来のMCFでは、通過
帯域幅として±30KHz以上は不可能であった。
【0007】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたもので、従来のMCFに比べて電気的特性を損なう
ことなく、より広帯域化が可能な水晶フィルタを提供す
ることを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の目的を達成する
ために、請求項1に対応する水晶フィルタは、水晶板の
一方の主面に入力電極と出力電極が並列して形成され、
当該水晶板の他方の主面に前記入力電極と前記出力電極
の形成領域に対応して共通電極が形成されてなるフィル
タ機能領域を少なくとも2つ以上具備してなる水晶フィ
ルタであって、前記各フィルタ機能領域の中心周波数が
近接した状態で異なってなり、かつ、前記各入力電極を
共通接続し、かつ前記各出力電極も共通接続し、さらに
前記各共通電極も共通接続して、各フィルタ機能領域が
多段並列接続されてなることによって特徴付けられてい
る。
【0009】以上の構成により、対称モード振動(1,
1,1)と斜対称モード振動(1,1,2)とを音響的
に結合させたMCFフィルタ特性を有する各フィルタ機
能領域があり、前記各フィルタ機能領域の中心周波数が
近接した状態で異ならせるとともに、これら各フィルタ
機能領域のフィルタ特性を外部フィルタ回路により電気
的に結合させて一つのフィルタ特性を得ることで、より
一層の広帯域化がはかれる。さらに、水晶を用いたMC
F特有のQ値の高いより急峻なフィルタ特性が得られ、
高性能広帯域フィルタが得られる。また、MCFフィル
タとSAWフィルタを同一周波数にてのフィルタを構成
した場合、MCFフィルタを採用することにより、SA
Wフィルタ特有のIDT電極による反射器が不要とな
り、SAWフィルタなどに比べて、パッケージ容積が飛
躍的(1/10程度)に縮小することが可能であり、機
器の小型化に大きく貢献できる。
【0010】また、請求項2に対応する水晶フィルタ
は、前記各フィルタ機能領域の中心周波数が10〜50
KHzの間隔を隔てて近接してなることによって特徴付
けられている。
【0011】以上の構成により、上記作用効果に加え
て、各フィルタ機能領域のフィルタ特性を電気的に結合
させてより一層の広帯域化がはかりながら、リップルの
発生を抑えたより好ましいフィルタ特性が得られる。つ
まり、中心周波数差が10KHz以下では、従来の手法
と変わりのない広帯域化でしか実現できず、中心周波数
差が50KHz以上では、一般的なリップルの許容範囲
を大きく超えてしまうことが考えられる。図15から図
18は、図1に示されるような、一枚のATカット水晶
板に第1のフィルタ機能領域と第2のフィルタ機能領域
が形成された30.798MHz帯域の水晶フィルタに
おいて、第1のフィルタ機能領域と第2のフィルタ機能
領域との中心周波数差を5KHz、10KHz、50K
Hz、70KHzに変えた場合の各フィルタ特性を示す
図である。また、これらの周波数差で得られた通過帯域
幅は、5KHzの場合が15KHz、10KHzの場合
が30KHz、50KHzの場合が65KHz、70K
Hzの場合が85KHzであった。これらのフィルタ特
性図、ならびに通過帯域幅特性から明らかなように、中
心周波数差が10KHzの場合と、中心周波数差が50
KHzの場合において、より一層の広帯域化がはかりな
がら、リップルの発生を抑えたより好ましいフィルタ特
性が得られているのがわかる。
【0012】また、請求項3に対応する水晶フィルタ
は、少なくとも前記入力電極と前記出力電極の全てが、
パッケージに独立的に設けられた個別の端子により、当
該パッケージの外部に取り出され、前記各入力電極に対
応する端子を共通接続し、かつ前記各出力電極に対応す
る端子も共通接続し、さらに前記各共通電極に対応する
端子も共通接続して、各フィルタ機能領域が多段並列接
続されてなることによって特徴付けられている。
【0013】以上の構成により、上記作用効果に加え
て、少なくとも前記入力電極と前記出力電極の全てが、
パッケージに独立的に設けられた個別の端子により、当
該パッケージの外部に取り出されているので、各フィル
タ機能領域はお互いに音響的には完全に分離されている
とともに、相互に並列接続する前に個別に最終調整を行
うことが可能となり、容易に所望の特性を持つ高性能の
多段並列接続水晶フィルタが得られる。
【0014】また、請求項4に対応する水晶フィルタで
は、前記フィルタ機能領域を一つの水晶板の複数箇所に
形成し、これらのフィルタ機能領域は相互に干渉しない
位置に隔離して形成されてなることによって特徴付けら
れている。
【0015】以上の構成により、上記作用効果に加え
て、一つの水晶板に複数のフィルタ機能領域を形成して
いるので、より一層のパッケージの低背化、省スペース
化を実現し、さらに、各フィルタ機能領域の電極群間で
の電磁的結合による悪影響を受けにくくし、良好な保証
減衰量特性が得られるより信頼性の高い水晶フィルタが
得られる。
【0016】また、請求項5に対応する水晶フィルタで
は、少なくとも一つの前記フィルタ機能領域を具備する
水晶板を複数枚用い、当該フィルタ機能領域を具備する
各水晶板を厚み方向に複数枚重ねて配置してなることに
よって特徴付けられている。
【0017】以上の構成により、上記作用効果に加え
て、一つの前記フィルタ機能領域を具備する水晶板を複
数枚用い、厚み方向に重ねて構成することで、パッケー
ジへの水晶板の高密度実装が行え、かつ回路基板へのパ
ッケージの搭載面積を縮小化することができる。さら
に、各フィルタ機能領域で相互に伝搬する振動の悪影響
を受けにくくでき、良好な保証減衰量特性が得られるよ
り信頼性の高い水晶フィルタが得られる。
【0018】また、請求項5に対応する水晶フィルタで
は、前記水晶板が、ATカット水晶板であることによっ
て特徴付けられている。
【0019】以上の構成により、上記作用効果に加え
て、従来のMCFに比べてより広帯域特性が得られると
ともに、より実用性の高い水晶フィルタを提供すること
ができる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施の形態につい
て、図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実
施形態を示す水晶板の表面の平面図、図2は同裏面の平
面図、図3は同A−A断面図とB−B断面図である。ま
た、図4は第1の実施形態に基づくフィルタ特性図であ
る。
【0021】水晶板1はATカットの水晶板からなり、
矩形状に加工されている。裏面には、ギャップ寸法Gを
介して、入力電極21と出力電極22、ならびに入力電
極23と出力電極24が、所定の間隔(H1)を介し
て、それぞれ並列に設けられ、それぞれの電極から水晶
板の角部、あるいは水晶板長手方向中央の端部に向かっ
て引出電極211,221,231,241により引き
出されている。表面には前記入力電極21と出力電極2
2に対応する共通電極25、ならびに前記入力電極23
と出力電極24に対応する共通電極26が設けられ、水
晶板の角部に向かって引出電極251,261により引
き出されている。これら各電極はマスキング手段を用い
た真空蒸着法、スパッタリング法等によって形成するこ
とができ、電極材料にはアルミニウムや銀等の材料が用
いられる。そして、前記入出力電極21,22と水晶板
の板面で対向する共通電極25とにより第1のフィルタ
機能領域を構成し、前記入出力電極23,24と水晶板
の板面で対向する共通電極26とにより第2のフィルタ
機能領域を構成している。第1の実施形態では、例え
ば、前記共通電極25の幅寸法W1と、前記間隔寸法H
1と、前記共通電極26の幅寸法W2とを同一寸法に形
成し、各フィルタ機能領域を隔離している。なお、これ
らの隔離寸法に限定されるものではなく、お互いのフィ
ルタ機能領域で影響が受けない範疇であれば、前記H1
寸法をより小さくしても特に問題はない。
【0022】そして、前記入力電極21,23は、パッ
ケージPに独立的に設けられた個別のリード端子21
N,23Nにより、当該パッケージの外部に取り出さ
れ、入力端子Nにより共通接続され、前記出力電極2
2,24は、パッケージPに独立的に設けられた個別の
リード端子22S,24Sにより、当該パッケージの外
部に取り出され、出力端子Sにより共通接続されるとと
もに、前記共通電極25,26は、パッケージPに独立
的に設けられた個別のリード端子25E,26Eによ
り、当該パッケージの外部に取り出され、アース端子E
1,E2にそれぞれ接続されている。また、このアース
端子E1,E2について、共通接続しても特に問題はな
い。
【0023】また、前記第1のフィルタ機能領域と前記
第2のフィルタ機能領域では、中心周波数がお互いに近
接した状態で異なるように構成されており、前記各フィ
ルタ機能領域の中心周波数が10〜50KHzの間隔を
隔てて構成されることが実施するうえで好ましいものと
なる。なお、このように中心周波数を異ならせる方法と
して、電極の厚みを各フィルタ機能領域で変えたり、水
晶板の厚みを各フィルタ機能領域で変えるなどの公知の
手法により容易に行える。第1の実施形態では、前記共
通電極25の厚みを前記共通電極26の厚みより厚く形
成することにより、第1のフィルタ機能領域の中心周波
数と、第2のフィルタ機能領域の中心周波数の周波数差
を20KHzとした。
【0024】また、図4は、110MHz帯の水晶フィ
ルタにおいて、低周波数側の第1のフィルタ機能領域と
高周波数側の第2のフィルタ機能領域を電気的に結合さ
せたフィルタ特性図である。図中、点線は各々のフィル
タ機能領域を単独に励起させた場合のフィルタ特性図を
示す。水晶板を挟んで対向して形成された2つの入出力
電極と共通電極部分をフィルタ機能領域として、2つの
フィルタ機能領域を電気的結合することにより主振動を
形成し、より広帯域の通過帯域を有するフィルタ特性
(実線)を構成している。この実施形態により、通過帯
域幅として、約60KHzを実現することができた。
【0025】次に、本発明の第2の実施の形態につい
て、図面を参照して説明する。図5は本発明の第2の実
施形態を示す水晶板の表面の平面図、図6は同裏面の平
面図、図7は同CーC断面図とD−D断面図とE−E断
面図である。また、図8は第2の実施形態に基づくフィ
ルタ特性図である。なお、第1の実施の形態と同様の構
成部分については、同番号を付し、一部説明を割愛す
る。
【0026】水晶板1はATカットの水晶板からなり、
矩形状に加工されている。裏面には、ギャップ寸法Gを
介して、入力電極31と出力電極32、入力電極33と
出力電極34、ならびに入力電極35,36が、所定の
間隔(H2,H3)を介して、それぞれ並列に設けら
れ、それぞれの電極から水晶板の角部、あるいは水晶板
長手方向の端部に向かって引出電極311,321,3
31,341,351,361により引き出されてい
る。表面には前記入力電極31と出力電極32に対応す
る共通電極37、前記入力電極33と出力電極34に対
応する共通電極38、ならびに前記入力電極35と出力
電極36に対応する共通電極39が設けられており、こ
れら共通電極37,38,39は連結電極378,38
9によりお互いに共通接続されている。そして、前記共
通電極37,39は、水晶板の角部に向かって引出電極
371,391により引き出されている。これら各電極
はマスキング手段を用いた真空蒸着法、スパッタリング
法等によって形成することができ、電極材料にはアルミ
ニウムや銀等の材料が用いられる。そして、前記入出力
電極31,32と水晶板の板面で対向する共通電極37
とにより第1のフィルタ機能領域を構成し、前記入出力
電極33,34と水晶板の板面で対向する共通電極38
とにより第2のフィルタ機能領域を構成し、前記入出力
電極35,36と水晶板の板面で対向する共通電極39
とにより第3のフィルタ機能領域を構成している。第2
の実施形態では、例えば、前記共通電極37の幅寸法W
3と、前記間隔寸法H2と、前記共通電極38の幅寸法
W4と、前記間隔寸法H3と、前記共通電極39の幅寸
法W5とを同一寸法に形成し、各フィルタ機能領域を隔
離している。なお、これらの隔離寸法に限定されるもの
ではなく、お互いのフィルタ機能領域で影響が受けない
範疇であれば、前記H1寸法、H2寸法をより小さくし
ても特に問題はない。
【0027】そして、前記入力電極31,33,35
は、パッケージPに独立的に設けられた個別のリード端
子31N,33N,35Nにより、当該パッケージの外
部に取り出され、入力端子Nにより共通接続され、前記
出力電極32,34,36は、パッケージPに独立的に
設けられた個別のリード端子32S,34S,36Sに
より、当該パッケージの外部に取り出され、出力端子S
に共通接続されるとともに、前記共通電極37,38,
39は、パッケージPに独立的に設けられた個別のリー
ド端子37E,39Eにより、当該パッケージの外部に
取り出され、アース端子E1により共通接続されてい
る。
【0028】また、前記第1のフィルタ機能領域と前記
第2のフィルタ機能領域と前記第3のフィルタ機能領域
とでは、中心周波数がお互いに近接した状態で異なるよ
うに構成されており、前記各フィルタ機能領域の中心周
波数が10〜50KHzの間隔を隔てて構成されること
が実施するうえで好ましいものとなる。なお、このよう
に中心周波数を異ならせる方法として、電極の厚みを各
フィルタ機能領域で変えたり、水晶板の厚みを各フィル
タ機能領域で変えるなどの公知の手法により容易に行え
る。第2の実施形態では、前記共通電極37の厚みを前
記共通電極38の厚みより厚く形成し、前記共通電極3
8の厚みを前記共通電極39の厚みより厚く形成するこ
とにより、第1のフィルタ機能領域の中心周波数と、第
2のフィルタ機能領域の中心周波数と、第3のフィルタ
機能領域の中心周波数との各周波数差を20KHzとし
た。
【0029】また、図8は、110MHz帯の水晶フィ
ルタにおいて、低周波数側の第1のフィルタ機能領域と
中間周波数の第2のフィルタ機能領域と高周波数側の第
3のフィルタ機能領域を電気的に結合させたフィルタ特
性図である。図中、点線は各々のフィルタ機能領域を単
独に励起させた場合のフィルタ特性図を示す。水晶板を
挟んで対向して形成された3つの入出力電極と共通電極
部分をフィルタ機能領域として、3つのフィルタ機能領
域を電気的結合することにより主振動を形成し、より広
帯域の通過帯域を有するフィルタ特性(実線)を構成し
ている。この実施形態により、通過帯域幅として、約8
0KHzを実現することができた。
【0030】次に、本発明の第3の実施形態について、
図面を参照して説明する。図9は本発明の第3の実施形
態を示す水晶板の表面の平面図、図10は同裏面の平面
図、図11は同FーF断面図である。また、図12は第
3の実施形態におけるパッケージ基板への搭載形態を示
した断面図であり、図13は第3の実施形態におけるパ
ッケージ基板への搭載形態の他の例を示した斜視図であ
り、図14は第3の実施形態におけるパッケージ基板へ
の搭載形態の変形例を示した断面図である。
【0031】水晶板41,42はATカットの水晶板か
らなり、矩形状に加工されている。水晶板41の裏面に
は、ギャップ寸法Gを介して、入力電極51と出力電極
52が、並列に設けられ、水晶板42の裏面には、ギャ
ップ寸法Gを介して、入力電極53と出力電極54が、
並列に設けられ、それぞれの電極から水晶板の角部に向
かって引出電極511,521,531,541により
引き出されている。水晶板41の表面には前記入力電極
51と出力電極52に対応する共通電極55が設けら
れ、水晶板42の表面には前記入力電極53と出力電極
54に対応する共通電極56が設けられ、それぞれの電
極55,56から水晶板の角部に向かって引出電極55
1,561により引き出されている。これら各電極はマ
スキング手段を用いた真空蒸着法、スパッタリング法等
によって形成することができ、電極材料にはアルミニウ
ムや銀等の材料が用いられる。そして、前記水晶板41
が第1のフィルタ機能領域を構成し、前記水晶板42が
第2のフィルタ機能領域を構成している。
【0032】前記入力電極51,53は、パッケージP
に独立的に設けられた個別のリード端子51N,53N
により、当該パッケージの外部に取り出され、入力端子
Nにより共通接続され、前記出力電極52,54は、パ
ッケージPに独立的に設けられた個別のリード端子52
S,54Sにより、当該パッケージの外部に取り出さ
れ、出力端子Sにより共通接続されるとともに、前記共
通電極55,56は、パッケージPに独立的に設けられ
た個別のリード端子55E,56Eにより、当該パッケ
ージの外部に取り出され、アース端子E1,E2にそれ
ぞれ接続されている。また、このアース端子E1,E2
について、共通接続しても特に問題はない。
【0033】また、前記第1のフィルタ機能領域と前記
第2のフィルタ機能領域とでは、中心周波数がお互いに
近接した状態で異なるように構成されており、前記各フ
ィルタ機能領域の中心周波数が10〜50KHzの間隔
を隔てて構成されることが実施するうえで好ましいもの
となる。なお、このように中心周波数を異ならせる方法
として、電極の厚みを各フィルタ機能領域で変えたり、
水晶板の厚みを各フィルタ機能領域で変えるなどの公知
の手法により容易に行える。第3の実施形態では、前記
圧電板41の厚みを前記圧電板42の厚みより厚く形成
することにより、第1のフィルタ機能領域の中心周波数
と、第2のフィルタ機能領域の中心周波数の周波数差を
30KHzとした。
【0034】ベース基板6は、例えばセラミックや樹脂
等の絶縁基板からなり、水晶板の収容スペース61が形
成されているとともに、当該収容スペース61には、前
記水晶板41が搭載される間隔の狭い下段部611,6
11と、前記水晶板42が搭載される間隔の広い上段部
612,612とが設けられている。また、図示してい
ないが、前記下段部611,611に形成された素子導
通パッド、ならびに前記上段部612,612に形成さ
れた素子導通パッドから、前記ベース基板の底面に形成
される回路導通パッドにかけてリード端子等により必要
な接続が施されている。そして、図12に示すように、
前記下段部611,611に前記水晶板41を搭載して
導電性接合材Dにより接合し、前記上段部612,61
2に前記水晶板42を搭載して導電性接合材Dにより接
合することで、各水晶板を厚み方向に重ねて配置してお
り、蓋体7により気密封止することで水晶フィルタの完
成となる。
【0035】なお、第3の実施形態のようなベース基板
を使用する場合、前記下段部611,611と前記上段
部612,612の寸法差を考慮して、水晶板41と水
晶板42の外形寸法を変える必要がある。しかしなが
ら、図13のように。上側の段部間の配置と下側の段部
間の配置を直交させる方向に構成することで、上下の水
晶板外形寸法を同一とすることができる。
【0036】また、第3の実施形態では、一つの水晶板
における入力電極と出力電極が形成された主面を下側に
配し、共通電極が形成された主面を上側に配してベース
基板に搭載するとともに、厚み方向に重ねられる他の水
晶板についても同様に入力電極と出力電極が形成された
主面を下側に配し、共通電極が形成された主面を上側に
配してベース基板に搭載することで、次のような効果が
生じる。各水晶板の周波数調整を行う際、上面のベース
基板開口部から共通電極に向けて行えるため、入出力間
の短絡を生じることなく確実かつ容易に行える。一方の
水晶板の入出力電極形成側の主面と他方の水晶板の共通
電極電極側の主面とが向かい合う形で厚み方向に配置さ
れるため、一方の水晶板の入出力電極間で電磁波が飛び
交うことがあっても向かい合った他方の水晶板の共通電
極により基準電位に落とされ、電磁結合による悪影響も
受けにくくできる。従って、周波数調整が容易かつ確実
に行えるとともに、電磁的結合による悪影響の少ないた
めにより良好な保証減衰量特性が得られる。
【0037】なお、上記第3の実施形態、ならびに図1
3のように、複数の水晶板を厚み方向に重ねて配置する
ベース基板の構成に限らず、図14に示すような形態で
あっても特に問題はない。さらに、2枚以上の水晶板を
重ねて配置する構成にも適用できる。
【0038】
【発明の効果】本発明により、対称モード振動(1,
1,1)と斜対称モード振動(1,1,2)とを音響的
に結合させたMCFフィルタ特性を有する各フィルタ機
能領域があり、前記各フィルタ機能領域の中心周波数が
近接した状態で異ならせるとともに、これら各フィルタ
機能領域のフィルタ特性を外部フィルタ回路により電気
的に結合させて一つのフィルタ特性を得ることで、より
一層の広帯域化がはかれる。さらに、水晶を用いたMC
F特有のQ値の高いより急峻なフィルタ特性が得られ、
高性能広帯域フィルタが得られる。また、MCFフィル
タとSAWフィルタを同一周波数にてのフィルタを構成
した場合、MCFフィルタを採用することにより、SA
Wフィルタ特有のIDT電極による反射器が不要とな
り、SAWフィルタなどに比べて、パッケージ容積が飛
躍的(1/10程度)に縮小することが可能であり、機
器の小型化に大きく貢献できる。
【0039】また、広帯域化の手法として、電極膜を極
端に薄くする必要がないので、振動モードのQ値が劣化
することがなく、フィルタの挿入損失を増大させること
がない。また、入出力電極間のギャップ寸法を極端に狭
くする必要がないので、蒸着マスクを用いて極めて容易
に電極形成できる範疇で、ギャップ寸法を形成すること
ができる。さらに、入出力間の矯絡容量が増加するた
め、保証減衰量が悪化するといった実用上限界が生じる
こともない。
【0040】従って、従来のMCFに比べて電気的特性
を損なうことなく、より広帯域化が可能な水晶フィルタ
を提供することを目的とするものである。
【0041】また、請求項2によれば、上記作用効果に
加えて、各フィルタ機能領域のフィルタ特性を電気的に
結合させて広帯域化がはかりながら、リップルの発生を
抑えたより好ましいフィルタ特性が得られる。
【0042】また、請求項3によれば、上記作用効果に
加えて、少なくとも前記入力電極と前記出力電極の全て
が、パッケージに独立的に設けられた個別の端子によ
り、当該パッケージの外部に取り出されているので、各
フィルタ機能領域はお互いに音響的には完全に分離され
ているとともに、相互に並列接続する前に個別に最終調
整を行うことが可能となり、容易に所望の特性を持つ高
性能の多段並列接続水晶フィルタが得られる。
【0043】また、請求項4によれば、上記作用効果に
加えて、一つの水晶板に複数のフィルタ機能領域を形成
しているので、より一層のパッケージの低背化、省スペ
ース化を実現し、さらに、各フィルタ機能領域の電極群
間での電磁的結合による悪影響を受けにくくし、良好な
保証減衰量特性が得られるより信頼性の高い水晶フィル
タが得られる。
【0044】また、請求項5によれば、上記作用効果に
加えて、一つの前記フィルタ機能領域を具備する水晶板
を複数枚用い、厚み方向に重ねて構成することで、パッ
ケージへの水晶板の高密度実装が行え、かつ回路基板へ
のパッケージの搭載面積を縮小化することができる。さ
らに、各フィルタ機能領域で相互に伝搬する振動の悪影
響を受けにくくでき、良好な保証減衰量特性が得られる
より信頼性の高い水晶フィルタが得られる。
【0045】また、請求項6によれば、従来のMCFに
比べてより広帯域特性が得られるとともに、より実用性
の高い水晶フィルタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す水晶板の表面の
平面図。
【図2】図1の裏面の平面図。
【図3】図1のA−A断面図とB−B断面図。
【図4】第1の実施形態に基づくフィルタ特性図。
【図5】本発明の第2の実施形態を示す水晶板の表面の
平面図。
【図6】図5の裏面の平面図。
【図7】図5のC−C断面図とD−D断面図とE−E断
面図。
【図8】第2の実施形態に基づくフィルタ特性図。
【図9】本発明の第3の実施形態を示す水晶板の表面の
平面図。
【図10】図9の裏面の平面図。
【図11】図9のFーF断面図。
【図12】第3の実施形態におけるパッケージ基板への
搭載形態を示した断面図。
【図13】第3の実施形態におけるパッケージ基板への
搭載形態の他の例を示した斜視図。
【図14】第3の実施形態におけるパッケージ基板への
搭載形態の変形例を示した断面図。
【図15】30.798MHz帯域の水晶フィルタにお
いて、第1のフィルタ機能領域と第2のフィルタ機能領
域との中心周波数差を5KHzとした場合のフィルタ特
性図。
【図16】30.798MHz帯域の水晶フィルタにお
いて、第1のフィルタ機能領域と第2のフィルタ機能領
域との中心周波数差を10KHzとした場合のフィルタ
特性図。
【図17】30.798MHz帯域の水晶フィルタにお
いて、第1のフィルタ機能領域と第2のフィルタ機能領
域との中心周波数差を50KHzとした場合のフィルタ
特性図。
【図18】30.798MHz帯域の水晶フィルタにお
いて、第1のフィルタ機能領域と第2のフィルタ機能領
域との中心周波数差を70KHzとした場合のフィルタ
特性図。
【図19】従来のMCFの変位分布を示す模式図。
【図20】従来例を示す図。
【符号の説明】
1,41,42・・・水晶板 21,23,31,33,35,51,53,71・・
・入力電極 22,24,32,34,36,52,54,72・・
・出力電極 25,26,37,38,39,55,56,73・・
・共通電極 6・・・ベース基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5J108 AA01 AA07 BB02 CC04 DD02 EE03 EE07 EE18 FF13 GG03 GG14 GG16 GG18 JJ01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水晶板の一方の主面に入力電極と出力電
    極が並列して形成され、当該水晶板の他方の主面に前記
    入力電極と前記出力電極の形成領域に対応して共通電極
    が形成されてなるフィルタ機能領域を少なくとも2つ以
    上具備してなる水晶フィルタであって、 前記各フィルタ機能領域の中心周波数が近接した状態で
    異なってなり、かつ、前記各入力電極を共通接続し、か
    つ前記各出力電極も共通接続し、さらに前記各共通電極
    も共通接続して、各フィルタ機能領域が多段並列接続さ
    れてなることを特徴とする水晶フィルタ。
  2. 【請求項2】 前記各フィルタ機能領域の中心周波数が
    10〜50KHzの間隔を隔てて近接してなることを特
    徴とする特許請求項1記載の水晶フィルタ。
  3. 【請求項3】 少なくとも前記入力電極と前記出力電極
    の全てが、パッケージに独立的に設けられた個別の端子
    により、当該パッケージの外部に取り出され、前記各入
    力電極に対応する端子を共通接続し、かつ前記各出力電
    極に対応する端子も共通接続し、さらに前記各共通電極
    に対応する端子も共通接続して、各フィルタ機能領域が
    多段並列接続されてなることを特徴とする特許請求項
    1,2記載の水晶フィルタ。
  4. 【請求項4】 前記フィルタ機能領域を一つの水晶板の
    複数箇所に形成し、これらのフィルタ機能領域は相互に
    干渉しない位置に隔離して形成されてなることを特徴と
    する特許請求項1,2,3記載の水晶フィルタ。
  5. 【請求項5】 少なくとも一つの前記フィルタ機能領域
    を具備する水晶板を複数枚用い、当該フィルタ機能領域
    を具備する各水晶板を厚み方向に複数枚重ねて配置して
    なることを特徴とする特許請求項1,2,3記載の水晶
    フィルタ。
  6. 【請求項6】 特許請求項1〜5記載の水晶フィルタに
    おいて、前記水晶板が、ATカット水晶板であることを
    特徴とする。
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