JP3109547B2 - モノリシック水晶フィルタ - Google Patents

モノリシック水晶フィルタ

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JP3109547B2
JP3109547B2 JP04152829A JP15282992A JP3109547B2 JP 3109547 B2 JP3109547 B2 JP 3109547B2 JP 04152829 A JP04152829 A JP 04152829A JP 15282992 A JP15282992 A JP 15282992A JP 3109547 B2 JP3109547 B2 JP 3109547B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は通信機器等に用いられる
モノリシック水晶フィルタに関するものであり、特に水
晶板に設けられた電極構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来技術を図11、図12、図13とと
もに説明する。図11はモノリシック水晶フィルタの表
面の電極構成を示す図、図12は同裏面の電極構成を示
す図、図13は同断面から見た電極構成並びに振動モー
ドを示す図である。水晶板1はATカット水晶板であ
り、その表面に入力電極81、出力電極82が真空蒸着
法等の薄膜形成手段にて設けられ、裏面には同様の手段
にて共通電極83が設けられている。なお、図示してい
ないが、上記入出力電極81,82はそれぞれ入出力端
子に接続され、共通電極はアース端子に接続された状態
で気密封止されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記構成の周波数特性
は、一般的に図10に示すように動作減衰量を大きくと
ることができるが、公称周波数近傍に第1スプリアスが
発生しやすくなる傾向がある。これは図13に示すよう
に、(1.1.1)モードと一般に称される対称モード
の高次モードである(1.1.3)モードあるいは
(1.3.1)モードと称されるスプリアスモードが励
起され、公称周波数の第1スプリアスとして発生するこ
とによるものであるが、従来の電極構成ではこれらモー
ドの振動が比較的強く励起され、周波数変動等の原因と
なっていた。
【0004】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたもので、公称周波数近傍に発生していた第1スプリ
アスを抑制し、かつ実用的な動作減衰量を得ることの可
能なモノリシック水晶フィルタを提供することを目的と
するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに、本発明によるモノリシック水晶フィルタは、水晶
板の表面に入力電極、出力電極を形成し、かつ当該裏面
に前記入力電極、出力電極にそれぞれ対応した2つの共
通電極を設けたモノリシック水晶フィルタにおいて、前
記裏面の共通電極間の無電極部分に対応する前記表面の
みの一部または全部に、前記共通電極と共通接続される
少なくとも1つの遮断電極を設け、かつ前記共通電極と
前記遮断電極をアース接続したことを特徴とするもので
ある。また、請求項2に示すように、水晶板の表面に入
力電極、出力電極を形成し、かつ当該裏面に前記入力電
極、出力電極にそれぞれ対応した2つの共通電極を設け
るとともに、この共通電極間のほぼ中間に中間電極を設
けたモノリシック水晶フィルタにおいて、前記表面に設
けられた入力電極、出力電極間に、前記共通電極と共通
接続される少なくとも1つの遮断電極を設け、当該遮断
電極は前記中間電極と表裏で重ならない位置に形成され
るとともに、前記共通電極、中間電極と共通接続されア
ース接続したことを特徴とする構成であってもよい。
【0006】
【作用】共通電極を分割し、この間に対応する表面、す
なわち入出力電極間に遮断電極を設けたので、これが負
荷質量として作用し、従来励起され易かった(1.1.
3)モード等のスプリアスモードのバランスが崩れ、こ
のモードの振動が励起されにくくなった。また、この遮
断電極により入出力電極間を直接伝播する電磁波が遮断
されるので、動作減衰量はさほど低下しない。
【0007】
【実施例】本発明について、図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施例を示す斜視図であり、図2
は図1で用いた水晶板の表面の平面図、図3は同裏面の
平面図、図4は同断面図である。モノリシック水晶フィ
ルタは、電極形成された水晶板1と、この水晶板1を支
持する支持体31,32,33と、これら支持体に各々
つながるリード端子51,52,53を有するベース4
とからなる。水晶板1はATカット水晶板であり、上部
に平坦部分が設けられているが、ほぼ円形に加工されて
いる。表面には入力電極21、出力電極22が設けら
れ、それぞれの電極から水晶板の端面に引出電極21
1,221が引き出されている。入出力電極間には幅の
細い帯状の遮断電極23が、入出力電極の上部とほぼ同
じ高さの位置から水晶板の下方端面に延ばされている。
この遮断電極23は、後述する裏面の2つの共通電極間
にある無電極部であって、水晶板を介して面対称となる
位置の一部または全部に形成される。すなわち、遮断電
極の幅寸法は共通電極間の間隔と同じかそれ以下に設計
され、本実施例の場合、入出力電極間のほぼ中間に設け
られている。裏面には前記入出力電極21,22に対応
する共通電極24,25が設けられ、引出電極241,
251を介して、水晶板の下方端面で共通接続されてい
る。ベース4は、金属性のシェルに絶縁ガラス41,4
2を介して植設したリード端子51,53と、このシェ
ルに直接溶接したアース端子52を有している。前記水
晶板を挿入するスリットを有する支持体31,32,3
3は金属薄板からなり、このうち支持体31,32はベ
ースから突出した前記リード端子51、52の上部に溶
接され、支持体33は前記ベースの上面に溶接される。
電極形成された水晶板をこの支持体の溶接されたベース
に導電接合し、図示していないが、金属性のキャップで
気密封止を行いモノリシック水晶フィルタの完成とな
る。なお、図5に示すように、裏面の共通電極26,2
7を共通電極下部で共通接続してもよい。
【0008】本発明による第2の実施例を図6,図7,
図8とともに説明する。図6は水晶板表面の平面図、図
7は同裏面の平面図、図8は同断面図である。表面には
入力電極71、出力電極72が設けられ、それぞれの電
極から水晶板の端面に引出電極711,721が引き出
されている。遮断電極73,74は入出力電極間の中心
線からそれぞれ入力電極、出力電極側に偏った位置に配
置され、入出力電極の上部とほぼ同じ高さの位置から水
晶板の下方端面に延ばされ、後述の共通電極と共通接続
される。裏面には、前記入出力電極71,72に対応す
る位置に水晶板の下方端面で共通接続される共通電極7
5,76が設けられている。そして、これら共通電極間
でかつ前記遮断電極73,74間の無電極部に対応する
位置に中間電極77が設けられ、前記共通電極64,6
5と水晶板の下方端面にて電気的につながっている。こ
の実施例によれば、遮断電極が入出力電極間を直接伝播
する電磁波がより遮断され易くなり、中間電極の存在と
も相俟って、動作減衰量をより大きくとることができ
る。なお、この実施例において、中間電極77を設けな
い構成としてもよい。この場合、スプリアスとなる振動
モードが励起されにくくなるとともに、動作減衰量も比
較的大きくとることができる。
【0009】
【比較データ】従来品と本発明品の周波数特性の比較を
図9と図10に示す。従来品、本発明品とも、水晶板の
外形が5φで上部に平坦部が設けられており、中心周波
数21.4MHz、通過帯域幅±3.75で、従来品は
従来例に示した電極構造、本発明品は第1の実施例に示
したもの(遮断電極を1つ入出力電極の中間に形成した
もの)とした。図9、図10から動作減衰量はほぼ同等
であるにもかかわらず、公称周波数近傍に現れる第1ス
プリアスが本発明品では抑制されていることが明らかに
理解できる。
【0010】
【発明の効果】共通電極を分割し、この間に対応する表
面、すなわち入出力電極間に遮断電極を設けたので、従
来励起され易かったスプリアス振動である(1.1.
3)モードあるいは(1.3.1)モード等のバランス
が崩れ、このモードの振動が励起されにくくなり、周波
数変動のない安定した周波数特性が得られる。また、こ
の入出力電極間を直接伝播する電磁波が遮断されるので
動作減衰量はほとんど低下せず、全体として電気的特性
の良好なモノリシック水晶フィルタを得ることができ
る。さらに、特許請求項第2項に記載のように、裏面の
共通電極間にこれら共通電極と電気的に接続される中間
電極を設けたことにより、動作減衰量をより大きくとる
ことができる。なお、遮断電極の幅、数あるいは中間電
極の要否は、モノリシック水晶フィルタの要求される電
気的特性(動作減衰量、通過帯域幅等)に応じて決定す
ればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例によるモノリシック水晶
フィルタを示す斜視図。
【図2】図1に示した水晶板の表面の電極構成を示す平
面図。
【図3】図1に示した水晶板の裏面の電極構成を示す平
面図。
【図4】図1に示した水晶板の断面図。
【図5】水晶板の裏面の他の電極構造を示す平面図。
【図6】第2の実施例を示す水晶板の表面の電極構成を
示す平面図。
【図7】図6に示した水晶板の裏面の電極構成を示す平
面図。
【図8】図6に示した水晶板の断面図。
【図9】本発明品の周波数特性を示す図。
【図10】従来品の周波数特性を示す図。
【図11】従来例を示す水晶板の表面の電極構成を示す
平面図。
【図12】図11で示したの水晶板の裏面の電極構成を
示す平面図。
【図13】図11で示した水晶板の電極構造並びに振動
モードを示す断面図。
【符号の説明】
1 水晶板 21,71,81 入力電極 22,72,82 出力電極 24,25,65,75,76,83 共通電極 23,73,74 遮断電極 77 中間電極

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水晶板の表面に入力電極、出力電極を形
    成し、かつ当該裏面に前記入力電極、出力電極にそれぞ
    れ対応した2つの共通電極を設けたモノリシック水晶フ
    ィルタにおいて、 前記裏面の共通電極間の無電極部分に対応する前記表面
    のみの一部または全部に、前記共通電極と共通接続され
    る少なくとも1つの遮断電極を設け、かつ前記共通電極
    と前記遮断電極をアース接続したことを特徴とするモノ
    リシック水晶フィルタ。
  2. 【請求項2】 水晶板の表面に入力電極、出力電極を形
    成し、かつ当該裏面に前記入力電極、出力電極にそれぞ
    れ対応した2つの共通電極を設けるとともに、この共通
    電極間のほぼ中間に中間電極を設けたモノリシック水晶
    フィルタにおいて、 前記表面に設けられた入力電極、出力電極間に、前記共
    通電極と共通接続される少なくとも1つの遮断電極を設
    け、当該遮断電極は前記中間電極と表裏で重ならない位
    置に形成されるとともに、前記共通電極、中間電極と共
    通接続されアース接続したことを特徴とするモノリシッ
    ク水晶フィルタ。
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