JPH101954A - プレキャストコンクリート塀・擁壁の施工法及びプレキャストコンクリート部材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】プレキャストコンクリート部材が建て込み時に
自立可能で、簡単にレベル調整、モルタル注入ができ、
フーチング部を基礎地盤上に密着し、確実に支持固定で
き、施工が容易で工期短縮が計れる。 【解決手段】プレキャストコンクリート部材１の壁部１
ａとフーチング部１ｂとを建て込み時に自立可能に一体
形成し、このフーチング部１ｂを基礎地盤５３上に建て
込みプレキャストコンクリート部材１を自立させ、フー
チング部１ｂに設けたレベル調整部３によりレベル調整
を行なうとともに基礎地盤５３とフーチング部１ｂとの
間に隙間を形成し、その後フーチング部１ｂに設けたモ
ルタル注入孔部２からモルタルを隙間６全体に注入して
フーチング部１ｂを基礎地盤５３上に支持固定する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、プレキャストコ
ンクリート塀・擁壁の施工法及びプレキャストコンクリ
ート部材に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば、防火塀には、鉄筋コンクリート
造の現場打ち施工法に代えて、工場で製造されたブロッ
クを積み上げ、またプレキャストコンクリート部材によ
り構築するものがある。さらに、プレキャストコンクリ
ート部材により構築するものには、図１１に示すよう
に、プレキャストコンクリート部材１００のフーチング
部１００ａを現場打ち基礎スラブ１０１上に建て込み、
レベル調整し、基礎スラブ１０１に埋め込まれたアンカ
ーボルト１０３により基礎スラブ１０１上に固定する施
工法がある。また、実開昭５７−９７０５８号公報に開
示されるように、プレキャストコンクリート部材のフー
チング部を基礎地盤上に建て込み仮止めし、フーチング
部の開口部からコンクリートを充填してフーチング部と
基礎地盤との間にコンクリートを回り込ませて固定し、
下部を根固めするものがある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このようにプレキャス
トコンクリート部材により防火塀を構築するものは、ブ
ロックを積み上げるものより施工が容易になるが、プレ
キャストコンクリート部材を建て込んだ状態では転倒し
やすいため、前記のいずれの施工法もフーチング部を支
持固定するのに手間がかかる。

【０００４】この発明は、上記課題を解決し、プレキャ
ストコンクリート部材が建て込み時に自立可能で、簡単
にレベル調整、モルタル注入ができ、フーチング部を基
礎地盤上に密着し、確実に支持固定でき、施工が容易で
工期短縮が計れるプレキャストコンクリート塀・擁壁の
施工法及びプレキャストコンクリート部材を提供するこ
とを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決し、かつ
目的を達成するために、請求項１記載の発明は、プレキ
ャストコンクリート部材の壁部とフーチング部とを建て
込み時に自立可能に一体形成し、このフーチング部を基
礎地盤上に建て込みプレキャストコンクリート部材を自
立させ、前記フーチング部に設けたレベル調整部により
レベル調整を行なうとともに前記基礎地盤とフーチング
部との間に隙間を形成し、その後前記フーチング部に設
けたモルタル注入孔部からモルタルを隙間全体に注入し
て前記フーチング部を前記基礎地盤上に支持固定するこ
とを特徴としている。

【０００６】プレキャストコンクリート部材を基礎地盤
上に建て込み、この状態でプレキャストコンクリート部
材が自立しており、アンカーボルト等で締付固定する作
業や仮止めする作業が不要である。また、プレキャスト
コンクリート部材が自立した状態で、フーチング部に設
けられたレベル調整部により容易にレベル調整を行なう
ことができる。このレベル調整により基礎地盤とフーチ
ング部との間に形成された隙間にモルタル注入孔部から
モルタルを注入するので、フーチング部が基礎地盤上に
密着し、確実に支持固定され、施工が容易で工期短縮が
計れる。

【０００７】請求項２記載の発明は、プレキャストコン
クリート部材の壁部とフーチング部とを建て込み時に自
立可能に一体形成し、このフーチング部にレベル調整部
とモルタル注入孔部とを設けたことを特徴としている。
プレキャストコンクリート部材は建て込み時に基礎地盤
上に自立することができ、容易にレベル調整を行なうこ
とができる。また、従来の敷モルタルやレベル調整用の
ライナーが不要であり、施工が容易で工期短縮が計れ
る。

【０００８】

【発明の実施の形態】次に、この発明のプレキャストコ
ンクリート塀・擁壁の施工法及びプレキャストコンクリ
ート部材の実施例を添付図面に基づき説明する。この実
施例は、ガソリンスタンド用の防火塀の施工法について
説明するが、この発明はこれに限定されず、プレキャス
トコンクリート塀に広く適用でき、さらに擁壁の施工法
にも同様に適用することができる。

【０００９】図１乃至図５はプレキャストコンクリート
部材を示し、図１は正面図、図２は平面図、図３は側面
図、図４は背面図、図５は図２のV-V線に沿う断面図で
ある。

【００１０】プレキャストコンクリート部材１は、壁部
１ａとフーチング部１ｂとが一体に製造される。フーチ
ング部１ｂは基礎地盤に接し、壁部１ａを自立可能に支
えるもので、建て込み時に自立可能な重量や大きさに一
体形成されている。

【００１１】フーチング部１ｂの中央部には、モルタル
注入孔部２が貫通して設けられ、モルタル注入孔部２は
埋設されたスリーブ２０で構成されている。モルタル注
入孔部２は、これに限定されず、任意の位置に、しかも
複数設けることができる。

【００１２】フーチング部１ｂの隅部には、それぞれレ
ベル調整部３が設けられている。レベル調整部３は、図
５に示すようにフーチング部１ｂに埋設されたスリーブ
３０と、このスリーブ３０の下端部に溶接され中央部に
ボルト３３を挿通可能な孔３１ａが形成された鋼板３１
と、この鋼板３１の内側に溶接されたナット３２と、こ
のナット３２に螺着されるボルト３３から構成され、鋼
板３１の孔３１ａから突出するボルト３３の突出量によ
ってレベル調節が行なわれる。レベル調整部３の構成
は、この実施例に限定されず、３箇所に設けると、より
レベル調節が容易になる。

【００１３】壁部１ａの背面上部両側には、切欠部１ｃ
が設けられ、この切欠部１ｃにメタルインサート４が埋
設されている。

【００１４】次に、ガソリンスタンド用の防火塀の施工
の手順を、図６乃至図１０に基づいて説明する。図６は
防火塀の断面図、図７は防火塀の立面図、図８は防火塀
の平面図、図９はレベル調整部の断面図、図１０は壁部
頂部同士の連結を示す図である。

【００１５】防火塀５０の敷設地盤に沿ってプレキャス
トコンクリート部材１のフーチング部１ｂが入る溝を掘
削し、底部に敷砂利５１、捨てコンクリート５２を打設
して基礎地盤５３を形成する。

【００１６】ついで、プレキャストコンクリート部材１
を、例えば図示しないトラッククレーンにより基礎地盤
５３上に順次建て込む。プレキャストコンクリート部材
１は、フーチング部１ｂにより自立し、フーチング部１
ｂがガソリンスタンド側に位置している。

【００１７】そして、プレキャストコンクリート部材１
のレベル調整を行なう。このレベル調整は、図９に示す
ようにレベル調整部３のボルト３３を回動し、その先端
部３３ａが鋼板３１から突出して基礎地盤５３上にセッ
トされた受け鋼板５４に接し、これによりプレキャスト
コンクリート部材１が持ち上げられる。このレベル調整
により基礎地盤５３とフーチング部１ｂとの間に所定の
隙間６が形成される。

【００１８】しかる後、壁部１ａの頂部背面側の両側に
形成された切欠部１ｃにおいて、この壁部頂部同士に連
結プレート７を当てがい、ボルト８をメタルインサート
４に螺着して締付固定し、隣接するプレキャストコンク
リート部材１相互を連結する。連結プレート７には、位
置ずれを吸収するように長孔７ａが形成されている。

【００１９】次に、フーチング部１ｂのモルタル注入孔
部２からフーチング部１ｂと、基礎地盤５３との隙間６
全体に注入する。モルタル硬化後、割りぐり石６０、土
間コンクリートスラブ６１等の次工程に移る。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１記載の発
明では、プレキャストコンクリート部材を基礎地盤上に
建て込み、この状態でプレキャストコンクリート部材が
自立しており、アンカーボルト等で締付固定する作業や
仮止めする作業が不要である。また、プレキャストコン
クリート部材が自立した状態で、フーチング部に設けら
れたレベル調整部により容易にレベル調整を行なうこと
ができる。また、レベル調整により基礎地盤とフーチン
グ部との間に形成された隙間にモルタル注入孔部からモ
ルタルを注入するので、フーチング部が基礎地盤上に密
着し、確実に支持固定され、施工が容易で工期短縮が計
れる。

【００２１】請求項２記載の発明では、プレキャストコ
ンクリート部材は建て込み時に基礎地盤上に自立するこ
とができ、容易にレベル調整を行なうことができる。ま
たフーチング部にレベル調整部とモルタル注入孔部とが
設けられており、従来の敷モルタルやレベル調整用のラ
イナーが不要であり、施工が容易で工期短縮が計れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】プレキャストコンクリート部材の正面図であ
る。

【図２】プレキャストコンクリート部材の平面図であ
る。

【図３】プレキャストコンクリート部材の側面図であ
る。

【図４】プレキャストコンクリート部材の背面図であ
る。

【図５】図２のV-V線に沿う断面図である。

【図６】防火塀の断面図である。

【図７】防火塀の立面図である。

【図８】防火塀の平面図である。

【図９】レベル調整部の断面図である。

【図１０】壁部頂部同士の連結を示す図である。

【図１１】従来の防火塀の断面図である。

【符号の説明】

１ プレキャストコンクリート部材 １ａ 壁部 １ｂ フーチング部 ２ モルタル注入孔部 ３ レベル調整部 ６ 隙間 ５３ 基礎地盤

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】プレキャストコンクリート部材の壁部とフ
   ーチング部とを建て込み時に自立可能に一体形成し、こ
   のフーチング部を基礎地盤上に建て込みプレキャストコ
   ンクリート部材を自立させ、前記フーチング部に設けた
   レベル調整部によりレベル調整を行なうとともに前記基
   礎地盤とフーチング部との間に隙間を形成し、その後前
   記フーチング部に設けたモルタル注入孔部からモルタル
   を隙間全体に注入して前記フーチング部を前記基礎地盤
   上に支持固定することを特徴とするプレキャストコンク
   リート塀・擁壁の施工法。
2. 【請求項２】プレキャストコンクリート部材の壁部とフ
   ーチング部とを建て込み時に自立可能に一体形成し、こ
   のフーチング部にレベル調整部とモルタル注入孔部とを
   設けたことを特徴とするプレキャストコンクリート部
   材。