JPH10194410A - 搬送台車における昇降ベルトの巻取構造及び搬送台車 - Google Patents

搬送台車における昇降ベルトの巻取構造及び搬送台車

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JPH10194410A
JPH10194410A JP240697A JP240697A JPH10194410A JP H10194410 A JPH10194410 A JP H10194410A JP 240697 A JP240697 A JP 240697A JP 240697 A JP240697 A JP 240697A JP H10194410 A JPH10194410 A JP H10194410A
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JP
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belts
winding
lifting
belt
drum
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JP240697A
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Kazuhiro Suzuki
和宏 鈴木
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Toyota Industries Corp
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Toyoda Automatic Loom Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 二重巻き方式のベルト巻取機構において、2
本の昇降ベルトの巻取差を許容範囲内に抑え、荷台を昇
降位置によらず常に水平に保持する。 【解決手段】 キャリッジを構成する昇降台8を吊り下
げている前後一対のベルト5,6は、アイドラ20を介
してドラム19に二重巻きされている。2本のベルト
5,6は軸部19aに対して180度正反対位置で固定
されており、一方のベルト5を調整用アイドラ21で案
内してその巻出し角θ1(水平面となす角度)を他方の
ベルト6の巻出し角θ2に合わせることで、両巻出し角
θ1,θ2が互いに等しく設定されている。従って、各
ベルト5,6が次層の巻取りに移行するタイミングが各
巻取り層でほぼ同じになり、次層の巻取りに移行するタ
イミングのずれに起因するドラム1回転当たりの巻取差
の累積が、キャリッジを必要な水平度に保持し得る所定
値未満になるようになっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、架設レールを走行
する台車に荷台を昇降可能に吊り下げている昇降ベルト
を巻取り・繰り出すための昇降装置を備えた搬送台車に
おける昇降ベルトの巻取構造及び搬送台車に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】例えば特開昭63−258389号公報
や実開昭62−200067号公報には、天井に架設さ
れた案内レールを走行する搬送台車が開示されている。
この搬送台車は、4本のベルトにより吊り下げられた昇
降台(フレーム)にハンガーユニットが取付けられて構
成される荷台を備え、4本のベルトの巻き取り・繰り出
しにより荷台が昇降するようになっている。
【0003】従来、この種の搬送台車におけるベルトの
巻取方式として、ベルト1本ずつをドラム(またはリー
ル)に巻き取る方式と、1つのドラムに2本のベルトを
共通に巻き取る二重巻き方式との主に2つの方式が採用
されていた。二重巻き方式を採用すれば、ドラム等の内
蔵部品の部品点数を低減でき、さらには搬送台車の小型
化を図ることもできる。
【0004】図7は、二重巻き方式のベルト巻取機構を
示す。同図に示すように、ドラム51には、2本のベル
ト52がその円筒状の軸部51aに対して180°反対
の位置にて固定(クランプ)されている。ドラム51か
ら巻出された2本のベルト52は、ドラム51の両側に
配置された一対の案内ローラ53に掛装されて垂下し、
その下端で昇降台54に連結されている。昇降モータ
(図示せず)の駆動によりドラム51が正転・逆転され
てベルト52が巻き取り・繰り出しされることで、昇降
台54が所定ストロークを昇降する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、荷台はその
昇降時に常に水平に保たれることが望ましい。しかしな
がら、二重巻き方式を採用した場合、荷台を最上昇時に
水平に調整しておいても下降させたときに荷台が若干傾
き、その水平精度がで難いという問題があった。
【0006】そこで、本願出願人はその原因を調べたと
ころ、次の結論を見いだした。図8に示すように、2本
のベルト52は巻き取り開始されてからそれぞれ相手側
のベルト52の上側に巻き取られることになり、巻き取
り径はベルト52が巻き取られるに連れて徐々に大きく
なる。しかし、ドラム51の軸部51aから延びる2本
のベルト52の巻出し角θ1,θ2(ベルトが水平面と
なす角度)が異なっていると(θ1<θ2)、巻出し角
の大きい方のベルト52は巻取開始時に既に長さLだけ
巻き取られており、ドラム51が巻取方向(同図の矢印
方向)に回転したときに、相手側のベルト52よりも先
に相手側のベルト52の上層側に巻き取られることにな
る。
【0007】例えば軸部51aの外周面の半径をR、ベ
ルト52の厚みをtとすると、ドラム51が図8の初期
状態から半回転したときには、巻出し角θ1側のベルト
52が軸部51aの外周面に全て巻き取られ、その巻取
長さL1がL1=R・πとなる。これに対し、巻出し角
θ2側のベルト52は最初に長さLだけ既に巻き取られ
ていたので、その巻取り最後の部分で2層目に回転角Δ
θ(=θ2−θ1)分が巻き取られ、その巻取長さL2
がL2=(R(π−Δθ)+(R+t)・Δθ=Rπ+
t・Δθになる。つまり巻出し角θ2側のベルト52
が、長さΔL=t・Δθだけ余分に巻き取られることに
なる。
【0008】こうしてドラム51が半回転する度に、巻
出し角θ2側のベルト52が僅かにΔLずつ余分に巻き
取られ、これが累積されて、巻取長さが2本のベルト5
2間で異なることになっていた(但し、巻出し角θ1,
θ2が巻取径が増大するに連れて変化するため、ΔLも
巻取径の増加に応じて変化する)。そのため、荷台を最
上昇位置で水平になるように設定しておいても、下降さ
せたときに荷台が若干傾くことになっていた。
【0009】本発明は上記の問題点に鑑みてなされたも
のであって、その第1の目的は、二重巻き方式のベルト
巻取構造において、2本の昇降ベルトの巻取差を許容範
囲内に抑え、荷台を昇降位置によらず常に水平に保持す
ることができる搬送台車における昇降ベルトの巻取構造
及び搬送台車を提供することにある。第2の目的は、ベ
ルト巻取機構を構成するドラムや案内部材等の各種構成
部品の台車内におけるレイアウトの自由度を高めること
にある。第3の目的は、2本の昇降ベルトの巻取量を等
しく調整するために付加する部品の点数を少なく済ませ
ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るため請求項1に記載の発明では、軌道に沿って走行す
る台車から荷台を昇降可能に吊り下げている複数本の昇
降ベルトが、昇降装置を構成するドラムに2本ずつ二重
巻きされている搬送台車における昇降ベルトの巻取構造
であって、二重巻きされた2本の昇降ベルトが次層の巻
き取りに移行するタイミングのずれに起因するドラム1
回転当たりの巻取差の累積が、荷台を必要な水平度に保
持し得る所定値未満となるように、両昇降ベルトのドラ
ムに対する固定端位置と、前記ドラムの巻取面から延び
る両昇降ベルトの巻出し角とが設定されている。
【0011】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の昇降ベルトの巻取構造において、前記2本の昇降ベ
ルトの固定端位置が前記ドラムの軸心を挟んだ正反対に
対峙しており、該2本の昇降ベルトの巻出し角の差が前
記荷台を必要な水平度に保持し得る所定値未満になるよ
うに両巻出し角が互いにほぼ等しく設定されている。
【0012】第2の目的を達成するため請求項3に記載
の発明では、請求項2に記載の昇降ベルトの巻取構造に
おいて、前記2本の昇降ベルトを前記荷台の吊り下げ位
置に案内している一対の案内部材と前記ドラムとの間に
は、少なくとも一方の昇降ベルトの巻出し角を調整する
ための調整用案内部材が配置されている。
【0013】第3の目的を達成するため請求項4に記載
の発明では、請求項3に記載の昇降ベルトの巻取構造に
おいて、前記昇降ベルトの一方のみが前記調整用案内部
材に案内されている。
【0014】請求項5に記載の発明では、搬送台車に
は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の前記昇
降ベルトの巻取構造が備えられている。 (作用)従って、請求項1に記載の発明によれば、軌道
に沿って走行する台車に昇降可能に吊り下げられた荷台
は、昇降ベルトが巻取り・繰出しされることで所定スト
ロークを昇降する。昇降装置を構成するドラムに二重巻
きされた2本の昇降ベルトの巻取り・繰り出し時には、
各昇降ベルトのドラムに対する固定端位置と、各昇降ベ
ルトの巻出し角との設定から、2本の昇降ベルトが次層
の巻き取りに移行するタイミングのずれに起因するドラ
ム1 回転当たりの巻取差の累積が、荷台を必要な水平度
に保持し得る所定値未満となる。そのため、ドラムに巻
き取られる、もしくはドラムから繰り出される2本の昇
降ベルトは、ほぼ同じタイミングで次の層の巻き取り、
もしくは繰り出しに移行することになるので、ドラム1
回転毎の巻取り量・繰出し量がほぼ等しくなる。その結
果、荷台がその昇降ストロークを移動する間で、2本の
昇降ベルトの巻取り量・繰出し量がほぼ等しくなり、荷
台がどんな昇降位置でも必要な水平度に保持される。
【0015】請求項2に記載の発明によれば、2本の昇
降ベルトはドラムに対する固定端位置がそれぞれドラム
の軸心を挟んだ正反対に対峙しており、その双方の巻出
し角の差が荷台を必要な水平度に保持し得る所定値未満
となるように互いにほぼ等しい。そのため、2本の昇降
ベルトがドラムに巻き取られるときにはほぼ同じタイミ
ングで次層の巻き取りに移行することになり、荷台の昇
降ストローク分の長さが巻き取られる際の2本の昇降ベ
ルトの巻取量がほぼ等しくなる。従って、荷台が昇降位
置によらずほぼ水平に保持される。
【0016】請求項3に記載の発明によれば、2本の昇
降ベルトのうち少なくとも一方が、案内部材とドラムと
の間に設けられた調整用案内部材に案内されることで、
両巻出し角を、その角度差が所定値未満となる範囲でほ
ぼ等しく合わせる調整がなされる。従って、調整用案内
部材が用いられることで、にドラムや案内部材のレイア
ウトの自由度が昇降ベルトの巻出し角の設定のために制
限されることが極力回避される。
【0017】請求項4に記載の発明によれば、2本の昇
降ベルトのうち一方だけが調整用案内部材に案内され
て、その巻出し角を他方のベルトの巻出し角に合わせ込
む調整が行われる。そのため、調整用案内部材を片側の
昇降ベルトにだけ設ければよく、ベルト巻取構造の構成
部品の部品点数の低減を図り易くなる。
【0018】請求項5に記載の発明によれば、搬送台車
には、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の昇降
ベルトの巻取構造が備えられているので、請求項1〜請
求項4のいずれか一項に記載の発明と同様の作用が得ら
れる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した一実施
形態を図1〜図4に基づいて説明する。図4はモノレー
ル式の搬送台車1を示す。搬送台車1は天井に沿って架
設された軌道としての案内レール2に懸架状態で走行可
能に配備されている。台車としての本体1aの上部に取
り付けられた給電トロリ3は、案内レール2に配線され
た給電線(トロリー線)4にその集電子を接触させた状
態で配置されており、搬送台車1は給電トロリ3を介し
て給電線4から電力を得るようになっている。
【0020】搬送台車1は、本体1aの底部から垂下す
る昇降ベルトとしての4本のベルト5,6の下端に連結
部材7を介して連結されて吊り下げられた昇降台8を備
える。昇降台8は、本体1aに内蔵された後述する昇降
装置としての昇降機構9によりベルト5,6が巻き取り
・繰り出しされることで昇降するようになっている。
【0021】昇降台8の下面には、搬送システムに応じ
たアタッチメントが装着され、本実施形態では、格子状
のかご体からなるいわゆるケージタイプのハンドリング
部10が取付けられている。荷Wはこのハンドリング部
10に載置される。なお、昇降台8とハンドリング部1
0とで荷台としてのキャリッジ11が構成される。
【0022】搬送台車1はその走行時には昇降台8を本
体1aまで上昇させ、案内レール2に沿った地上側所定
箇所に設けられたステーション12の真上まで走行して
停止し、荷Wの積み込み・積み卸しのためにキャリッジ
11を昇降させる。
【0023】ステーション12にはローラコンベア13
が備えられている。ハンドリング部10はその両側部に
突設された一対のガイドリング10a(但し、同図では
片側のみ図示)に、ローラコンベア13の両側で上方に
突出する一対のガイドピン14が挿通することで、ロー
ラコンベア13上の所定位置に位置決めされて着地する
ようになっている。
【0024】ハンドリング部10の底部を構成する複数
本の格子枠10bと、コンベアローラ13の各ローラ1
3aは互いに等しい間隔で列設されている。ハンドリン
グ部10がコンベアローラ13上に着地したときに、格
子枠10bがローラ13a間の間隙に埋没することで格
子枠10b上の荷Wがローラ13aに当接するようにな
っている。従って、この着地状態でローラコンベア13
が駆動されれば、ステーション12とハンドリング部1
0との間で荷Wの搬出・搬入が行われる。
【0025】次に、搬送台車1の本体1aの内部構造に
ついて説明する。図2,図3に示すように、本体1aは
略四角箱状に形成され、その下部に開口1bを有してい
る。本体1aに内蔵された昇降機構9は、昇降モータ1
5,ギヤボックス16,駆動軸17,左右一対のベルト
巻取機構18等を備える。昇降モータ15はコントロー
ラ(図示せず)により駆動制御される正逆転可能なモー
タであって、その駆動力はギヤボックス16を介して昇
降モータ15の回転軸に直交する駆動軸17の回転に変
換される。昇降モータ15及びギヤボックス16は本体
1aの上面側に設けられたフレーム1c(図2に示す)
に支持されている。
【0026】左右一対のベルト巻取機構18は、昇降用
ドラム19,案内部材としてのアイドラ20,調整用案
内部材としての調整用アイドラ21を備えている。2個
の昇降用ドラム19は駆動軸17の両端部に一体回転可
能に連結されており、チェーン等の伝動装置を介さない
ダイレクトドライブ機構が採用されている。
【0027】本実施形態における二重巻き方式では、本
体1aの四隅から垂下する4本のベルト5,6のうち前
後2本の組が1つのドラム19に二重巻きされている。
ドラム19の前後には一対のアイドラ20が、ベルト
5,6を昇降台8の四隅に向かって真っ直ぐ垂下させる
ように案内可能な位置に配置されている。本実施形態で
は、本体1aの内蔵部品をコンパクトに収納するための
レイアウトの関係上、一対のアイドラ20はドラム19
に対して前後対称となる斜め上方位置に配置されてい
る。調整用アイドラ21は、ドラム19から延びるベル
ト5の巻出し角を調整するために各ベルト巻取機構18
毎に1個ずつ設けられたものであり、その機能について
は後述する。ドラム19,アイドラ20,21は本体1
a内の幅方向両側を延びるフレーム1d(図3に示す)
に支持されている。
【0028】また、コイル状のカールケーブル22が駆
動軸17の外周側に巻回状に配設されている。カールケ
ーブル22は給電トロリ3から送られた電力をハンドリ
ング部10に設けられたモータ等に供給するためのもの
であり、キャリッジ11の下降をその径が小さくなる絞
め付け方向の変形で許容するようになっている。
【0029】また、本体1a内には開口1bと対向する
位置にその底部を構成するようにフレーム1eが設けら
れている。図2,図3に示すように、昇降台8の上面に
は上方に突出するガイドピン8a(図1等では図示省
略)が三箇所に設けられている。昇降台8は最上昇位置
において、3本のガイドピン8aがフレーム1eに設け
られた3つのガイド23にそれぞれ挿通することで、本
体1aに対して位置決めされるようになっている。
【0030】次に、ベルト巻取機構18について説明す
る。図1に示すように、ドラム19に二重巻きされた2
本のベルト5,6は、ドラム19の軸部19aの外周面
上において180°対峙する正反対位置でクランプ(固
定)されており、各々の固定端位置A1,A2がドラム
19の回転中心を挟んで互いに対向している。
【0031】本実施形態では、一方のベルト5を1個の
調整用アイドラ21を設けて案内することで、その巻出
し角(ドラムから延びる部分が水平面となす角度)θ1
が相手側のベルト6の巻出し角θ2に等しくなるように
合わせ込みを行っている(θ1=θ2)。
【0032】固定端位置(クランプ点)A1,A2が1
80°反対位置に対峙していることに加え、巻出し角θ
1,θ2が互いに等しいことから、昇降台8の最下降状
態(図1の初期状態)における各ベルト5,6の巻き代
が共に等しくなっている(共に零の場合を含む)。その
ため、ベルト5,6の軸部19aに対する接点となる巻
出点から、相手側のベルト5,6の固定端位置(クラン
プ点)A1,A2までのベルト巻取方向における周長
(すなわち各ベルト5,6の巻出点が相手側のベルト
5,6の固定端位置A1,A2に移動するまでの巻取り
に必要なドラム19の回転角)が相等しくなっている。
【0033】ところで、本実施形態では、ベルト5の巻
出し角θ1を決めているアイドラ21とドラム19との
軸心間距離と、ベルト6の巻出し角θ2を決めているア
イドラ20とドラム19との軸心間距離とが異なるた
め、図1に示す昇降台8の最下降位置で巻出し角を等し
くしておいも(θ1=θ2)、巻取径が太るに連れて厳
密にはθ1の方がθ2より僅かながら徐々に大きくなる
(θ1−θ2=δ(δは微小角度量))。そのため、ド
ラム1回転当たりのベルト5の巻取量がベルト6巻取量
より極く僅かながら徐々に多くなる。しかし、昇降台8
が最上昇位置から最下降位置まで下降する間のドラム回
転数N(例えばN=10〜20)では、2本のベルト
5,6の巻取差は昇降台8の水平度に問題ない程の微差
である。そのため、初期状態で巻出し角θ1,θ2を等
しく設定しておけば、キャリッジ11に必要な水平度が
確保される。なお、巻取径によって巻出し角θ1,θ2
に差が生じることを考慮し、θ1をθ2よりも予め少し
小さめに設定しておくことで、キャリッジ11の水平度
をより高める工夫をしてもよい。また、キャリッジ11
に必要な水平度が確保される範囲であれば、θ1をθ2
より大きく設定しても構わない。
【0034】次に、上記のように構成された搬送台車1
のベルト巻取機構18の作用を説明する。搬送台車1は
指定されたステーション12まで走行してその真上で停
止すると、モータ7を逆転駆動させてキャリッジ11を
下降させ、ローラコンベア13上に着地させる。キャリ
ッジ11が着地すると、ローラコンベア13が駆動さ
れ、キャリッジ11とステーション12との間で荷Wの
搬入・搬出が行われる。ステーション12での積み込み
・積み卸し作業を終えると、モータ7が正転駆動されて
ベルト5,6がドラム19に巻き取られ、キャリッジ1
1は所定速度で真っ直ぐ最上昇位置まで上昇して停止す
る。そして、搬送台車1は次のステーション12に向か
って走行を開始する。
【0035】図1に示すように、2本のベルト5,6は
キャリッジ11の最下降位置(巻取開始の初期状態)に
おいて、その固定端位置A1,A2が正反対に対峙する
とともに、その巻出し角θ1,θ2が互いに等しいの
で、それぞれ軸部19aに対する自身の巻出点から相手
側のベルト5,6の固定端位置A1,A2に至るまでの
巻取方向における各周長が互いに等しい。従って、初期
状態から巻き取られたベルト5,6がそれぞれ相手側の
ベルト5,6の上側に巻き取られることになる、次層の
巻取りに移行するタイミングが両ベルト5,6間でほぼ
同じになる。つまり、ドラム半回転の巻取りにおいて、
n層に巻き取られるドラム回転角と、(n+1)層に巻
き取られるドラム回転角との角度量の比率が双方のベル
ト5,6間でほぼ等しくなり、ドラム半回転当たりにお
けるベルト5,6の巻取差が、あっても極く僅かとな
る。
【0036】例えばベルト5,6が巻き取られる各層に
おける巻取面の半径をRL (但し、添字Lは巻取層を指
し、半径RL は巻取層Lによって決まる値である)、ベ
ルト5,6の厚みをtとすると、ドラム半回転毎に巻取
り層が1層ずつ増えていくことになるので、ドラム半回
転毎のベルト5,6の巻取量の差(巻取差)ΔLは、Δ
L=RL ・Δθ(但し、本実施形態ではΔθ=|θ1−
θ2|とみなせる)となる。従って、最下降位置から最
上昇位置までの昇降ストローク分の長さのベルト5,6
が巻き取られるまでのドラム19の回転数をNとする
と、2本のベルト5,6の巻取差のトータルΔLt は、
ドラム半回転毎の巻取差の累積となるため、ΔLt ≒
(R1 +R2 +…+R2N)・Δθとなる。
【0037】ここで、本実施形態では2本のベルト5,
6の初期状態での巻出し角θ1,θ2が等しいうえ、巻
取り層を増す毎のΔθの変化はほとんど無視でき、Δθ
≒0とみなせるので、2本のベルト5,6の昇降ストロ
ーク分の巻取差のトータルΔLt がΔLt ≒0となる。
こうしてドラム19に対する2本のベルト5,6の巻取
量がほぼ等しくなる。キャリッジ11に許容される水平
度(傾き)が決まれば、各ベルト5、6の昇降台8に対
する連結間距離からキャリッジ11が最下降位置にある
ときに許容されるベルト5,6の長さの差ΔBが決ま
る。よって、ΔLt ≦ΔBが満たされれば必要な水平度
は確保される。
【0038】ベルト5,6を繰り出すときにはこの逆の
経路を辿ることになるので、当然ベルト5,6のドラム
19の1回転当たりの繰出量が2本のベルト5,6間で
ほぼ等しくなる。その結果、キャリッジ11を最上昇位
置で水平となるようにベルト5,6の長さを調整してお
けば、最下降位置でも水平に保持されることになる。よ
って、キャリッジ11は昇降位置によらず常に水平に保
持される。
【0039】また、調整用アイドラ21を1個設け、一
方のベルト5の巻出し角θ1を他方のベルト6の巻出し
角θ2に合わせ込む方法を採用したので、ドラム19や
アイドラ20が巻出し角θ1,θ2を等しく設定するう
えでのレイアウト上の制限を受け難くなる。そのため、
ドラム19やアイドラ20のレイアウトの自由度が高ま
り、各部品19,20の配置位置を適宜に設定すること
で、本体1aの内蔵部品がコンパクトに収納される。
【0040】以上詳述したように本実施形態によれば、
以下に示す効果が得られる。 (a)ドラム19の軸部19aに180°正反対位置で
クランプされた2本のベルト5,6の巻出し角θ1,θ
2を、ドラム半回転毎のベルト5,6の巻取差の累積が
所定値未満に収まるようにほぼ等しく設定したので、キ
ャリッジ11が昇降ストロークを移動するときに2本の
ベルト5,6の巻取り・繰出し量をほぼ等しくできる。
そのため、キャリッジ11を昇降位置にかかわらず常に
必要な水平度に保持できる。
【0041】(b)調整用アイドラ21を1個設け、調
整用アイドラ21によりベルト5の巻出し角θ1を、も
う一方のベルト6の巻出し角θ2に合わせ込んだので、
ベルト巻取機構18を構成する各部品19〜21のレイ
アウトの自由度を高めることができる。従って、本体1
aの内蔵部品の収納効率を高めるレイアウト設計がし易
くなり、これにより本体1aの小型化を図ることができ
る。
【0042】(c)調整用アイドラ21を1個設けただ
けなので、ベルト巻取機構18を構成する部品の点数を
少なくできる。また、調整用アイドラ21が1個であっ
てベルト5のアイドラとの接触箇所をさほど増やさず済
むことから、ベルト5の摩耗の進行が速まる心配もさほ
どない。
【0043】尚、実施の形態は上記に限定されるもので
はなく、次のような形態で実施してもよい。 (1)調整用アイドラ21を廃止し、図5に示すよう
に、ベルト5,6の巻出し角θ1,θ2が等しくなるよ
うに、ドラム19に対するアイドラ20の位置を調整し
た構成としてもよい。図5では、各ベルト5,6がその
固定端位置A1,A2が軸部19aの外周面に対し18
0°正反対に位置するようにクランプされている。一対
のアイドラ20は、ベルト5,6の巻出し角θ1,θ2
が共に等しく、しかもドラム19との間の軸心間距離が
互いに等しくなるように位置設定されている。そのた
め、2本のベルト5,6は巻取径が増大しても互いに平
行を保持したままその巻出し角θ1,θ2を変化させ、
常にθ1=θ2が成立することになる。
【0044】そのため、昇降台8の最下降時における初
期状態(図5の状態)で、各ベルト5,6の巻出点から
固定端位置A1,A2までの巻取方向における各周長が
等しくなるように設定しておけば、ドラム半回転毎の巻
取り長が両ベルト5,6間で等しくなる。従って、昇降
台8が昇降ストロークを移動する際のベルト5,6の巻
取り・繰出し量を常に等しくできる。この構成による
と、ドラム19に対するアイドラ20のレイアウトが制
限されるが、キャリッジ11をその昇降位置にかかわら
ず常に必要な水平度に保持することができる。もちろ
ん、必要な水平度が確保されれば、巻出し角θ1,θ2
は必ずしも等しくなくてもよく、この場合、巻出し角θ
1,θ2の差が必要な水平度を確保し得る所定値未満を
満たしていればよい。また、ドラム19と各アイドラ1
8との軸心間距離を異ならせてもよい。この場合、軸心
間距離の違いを考慮して巻出し角θ1,θ2に多少の差
をもたせるとなお良い。
【0045】(2)前記実施形態では、荷台の最下降位
置における巻出し角θ1,θ2を等しく設定したが、巻
出し角θ1,θ2を等しくする荷台の昇降高さはどこで
あってもよい。例えば荷台の最上昇位置において巻出し
角θ1,θ2が等しくなるように設定し、荷台が最上昇
位置に近づくに連れて2本のベルトの巻取差が徐々に無
くなる構成であってもよい。
【0046】2本のベルト5,6の巻取差のトータルΔ
Lt は、各巻取り層毎のΔθL を考慮すると、ΔLt ≒
R1 ・Δθ1 +R2 ・Δθ2 …+R2N・Δθ2Nとなる。
従って、ΔLt を最小とし得るΔθL を選ぶとキャリッ
ジ11の傾きをさらに小さくできる。例えば巻取り層L
が増えるに連れてΔθL が小さくなって、キャリッジ1
1が最下降位置にあるときに零になるようにΔθL を選
択すれば、前記実施形態よりも高い水平精度を得ること
ができる。また、巻取り層Lが増すに連れてΔθL が小
さくなって途中の所定巻取り層Lo で零になり、その後
巻取り層が増えるに連れて増えるようにΔθL を選択し
ても、前記実施形態よりも高い水平精度を得ることがで
きる。
【0047】(3)2本のベルト5,6の両方に調整用
アイドラ21を設けてもよい。また、ベルト1本に対し
て設ける調整用アイドラの個数が複数個であってもよ
い。 (4)一方のベルトをドラムからアイドラを介さずに直
接垂下して荷台に連結させ、案内部材としてのアイドラ
20を1個とした構成を採用してもよい。
【0048】(5)調整用案内部材は、回転可能なアイ
ドラに限定されず、ベルトが接触する案内面が例えば円
弧面に形成されたロッドでもよい。その他、ベルトを案
内可能な部材であれば、調整用案内部材として適宜使用
できる。
【0049】(6)二重巻きされた2本のベルトの巻出
し角をそれぞれ決めている案内部材(アイドラ20もし
くは調整用アイドラ21)の少なくとも一方を巻出し角
を調整可能に位置変更可能に設けた構成としてもよい。
【0050】前記実施形態から把握され、特許請求の範
囲に記載されていない技術思想を、その効果とともに以
下に記載する。 (イ)請求項2に記載の発明において、前記2本の昇降
ベルトを前記荷台の吊り下げ位置に案内している一対の
案内部材が、前記2本の昇降ベルトの巻出し角をその差
が所定値未満となるように互いにほぼ等しくし得る位置
関係に配置されている。この構成によれば、調整用案内
部材を設けなくても、一対の案内部材の位置関係を所定
の位置関係に調整することで、2本の昇降ベルトの巻取
量をほぼ等しくすることができる。
【0051】(ロ)請求項4に記載の発明において、前
記調整用案内部材は1つ設けられている。この構成によ
れば、調整用案内部材が1つであるので、付加する部品
点数が最小個数で済み、しかも昇降ベルトの磨耗の低減
が図られる。
【0052】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1及び請求項
5に記載の発明によれば、ドラムに二重巻きされた2本
の昇降ベルトが次層の巻き取りに移行するタイミングの
ずれに起因するドラム1 回転当たりの巻取差の累積が、
荷台を必要な水平度に保持し得る所定値未満となるよう
に、各昇降ベルトのドラムに対する固定端位置と、各昇
降ベルトの巻出し角とを設定したので、2本の昇降ベル
トの巻取量が許容範囲内で相等しくなり、荷台をその昇
降位置にかかわらず常に必要な水平度に保持することが
できる。
【0053】請求項2及び請求項5に記載の発明によれ
ば、ドラムの軸心を挟んだ正反対位置に固定端位置が対
峙する2本の昇降ベルトを、その巻出し角の差が荷台を
必要な水平度に保持し得る所定値未満になるように、各
々の巻出し角が互いにほぼ等しくなるように設定したの
で、2本の昇降ベルトの巻取量をほぼ等しくでき、荷台
をその昇降位置にかかわらず常にほぼ水平に保持するこ
とができる。
【0054】請求項3及び請求項5に記載の発明によれ
ば、2本の昇降ベルトを荷台の吊り下げ位置に案内して
いる一対の案内部材とドラムとの間に、少なくとも一方
の昇降ベルトの巻出し角を調整するための調整用案内部
材を配置したので、ドラムや案内部材のレイアウトの自
由度を高めることができる。
【0055】請求項4及び請求項5に記載の発明によれ
ば、2本の昇降ベルトのうち一方を調整用案内部材にて
案内して、他方のベルトの巻出し角に合わせ込むように
したので、調整用案内部材を片側だけに設ければよく、
部品点数を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態におけるベルト巻取機構を示す模式
図。
【図2】搬送台車の一部破断側面図。
【図3】同じく一部破断平面図。
【図4】搬送台車の斜視図
【図5】別例のベルト巻取機構の摸式図。
【図6】従来のベルト巻取構造の側面図。
【図7】同じく側面図。
【符号の説明】
1…搬送台車、2…、1a…台車としての本体、2…軌
道としての案内レール、5…昇降ベルトとしてのベル
ト、11…荷台としてのキャリッジ、9…昇降装置とし
ての昇降機構、19…ドラム、20…案内部材としての
アイドラ、21…調整用案内部材としての調整用アイド
ラ、A1,A2…固定端位置、θ1,θ2…巻出し角、
ΔLt …巻取差の累積としてのトータル、ΔB…所定
値。Δθ…巻出し角の差。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軌道に沿って走行する台車から荷台を昇
    降可能に吊り下げている複数本の昇降ベルトが、昇降装
    置を構成するドラムに2本ずつ二重巻きされている搬送
    台車における昇降ベルトの巻取構造であって、 二重巻きされた2本の昇降ベルトが次層の巻き取りに移
    行するタイミングのずれに起因するドラム1 回転当たり
    の巻取差の累積が、荷台を必要な水平度に保持し得る所
    定値未満となるように、両昇降ベルトのドラムに対する
    固定端位置と、前記ドラムの巻取面から延びる両昇降ベ
    ルトの巻出し角とが設定されている搬送台車における昇
    降ベルトの巻取構造。
  2. 【請求項2】 前記2本の昇降ベルトの固定端位置が前
    記ドラムの軸心を挟んだ正反対に対峙しており、該2本
    の昇降ベルトの巻出し角の差が前記荷台を必要な水平度
    に保持し得る所定値未満になるように両巻出し角が互い
    にほぼ等しく設定されている請求項1に記載の搬送台車
    における昇降ベルトの巻取構造。
  3. 【請求項3】 前記2本の昇降ベルトを前記荷台の吊り
    下げ位置に案内している一対の案内部材と前記ドラムと
    の間には、少なくとも一方の昇降ベルトの巻出し角を調
    整するための調整用案内部材が配置されている請求項2
    に記載の搬送台車における昇降ベルトの巻取構造。
  4. 【請求項4】 前記昇降ベルトの一方のみが前記調整用
    案内部材に案内されている請求項3に記載の搬送台車に
    おける昇降ベルトの巻取構造。
  5. 【請求項5】 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記
    載の前記昇降ベルトの巻取構造を備えている搬送台車。
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