JPH10192952A - 熱延鋼板の製造方法 - Google Patents
熱延鋼板の製造方法Info
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- JPH10192952A JPH10192952A JP12397A JP12397A JPH10192952A JP H10192952 A JPH10192952 A JP H10192952A JP 12397 A JP12397 A JP 12397A JP 12397 A JP12397 A JP 12397A JP H10192952 A JPH10192952 A JP H10192952A
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- Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課 題】難スケール剥離材であるSi及びNi含有鋼
に対して適切なデスケーリングを実施することにより、
スケール疵のない表面性状の良好な熱延鋼板を製造でき
るようにする。 【解決手段】粗圧延から仕上圧延前までの各パスの圧下
率が25%以上、圧延開始からの累積圧下率が85%以
上であり、鋼材温度が850〜1000℃の鋼材に対
し、仕上圧延機2入側に設けたノズル高さ(鋼材表面か
らノズル先端までの距離)を50〜150mm、ノズルの
迎え角度を10〜45°としたFSB3より、吐出流量
50〜100l/min/ノズル、吐出圧力100〜300kg
f/cm2 、噴射水の温度20℃以下でデスケーリングす
る。
に対して適切なデスケーリングを実施することにより、
スケール疵のない表面性状の良好な熱延鋼板を製造でき
るようにする。 【解決手段】粗圧延から仕上圧延前までの各パスの圧下
率が25%以上、圧延開始からの累積圧下率が85%以
上であり、鋼材温度が850〜1000℃の鋼材に対
し、仕上圧延機2入側に設けたノズル高さ(鋼材表面か
らノズル先端までの距離)を50〜150mm、ノズルの
迎え角度を10〜45°としたFSB3より、吐出流量
50〜100l/min/ノズル、吐出圧力100〜300kg
f/cm2 、噴射水の温度20℃以下でデスケーリングす
る。
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、熱間圧延時に鋼材
表面に高圧水ジェットを噴射してデスケーリングを行
い、スケール疵やスケール模様の発生を防止し、表面性
状の優れた熱延鋼板を製造する方法に関する。
表面に高圧水ジェットを噴射してデスケーリングを行
い、スケール疵やスケール模様の発生を防止し、表面性
状の優れた熱延鋼板を製造する方法に関する。
【0002】
【従来技術】鋼板の製造に当たっては、素材のスラブを
酸化性雰囲気の加熱炉により、通常1100〜1300
℃の温度で数時間加熱し、ついでホットストリップミル
にて熱間圧延されるのが一般的であるが、この際、スラ
ブ表面に生成したスケールが十分に除去されない状態の
まゝで鋼材が圧延されると、スケールが製品の表面に押
し込まれ、スケール疵やスケール模様として残る。
酸化性雰囲気の加熱炉により、通常1100〜1300
℃の温度で数時間加熱し、ついでホットストリップミル
にて熱間圧延されるのが一般的であるが、この際、スラ
ブ表面に生成したスケールが十分に除去されない状態の
まゝで鋼材が圧延されると、スケールが製品の表面に押
し込まれ、スケール疵やスケール模様として残る。
【0003】このようなスケール疵やスケール模様は、
圧延後の製品(黒皮製品)の外観を悪化させるのみなら
ず、酸洗によりスケールを除去した後の製品(白皮製
品)の表面に凹凸状の欠陥を残存させる原因となり、ま
た曲げ加工時のクラックの起点となったり、熱間圧延工
程内の鋼板矯正冷却時にスケール残存部と剥離部の冷却
能の差により、材質の機械的特性値にムラが発生する
等、鋼板の表面に重大な悪影響を及ぼす。
圧延後の製品(黒皮製品)の外観を悪化させるのみなら
ず、酸洗によりスケールを除去した後の製品(白皮製
品)の表面に凹凸状の欠陥を残存させる原因となり、ま
た曲げ加工時のクラックの起点となったり、熱間圧延工
程内の鋼板矯正冷却時にスケール残存部と剥離部の冷却
能の差により、材質の機械的特性値にムラが発生する
等、鋼板の表面に重大な悪影響を及ぼす。
【0004】通常、このようなスケール疵の発生を防止
するための方法としては、圧延ラインに100〜150
kgf/cm2 の吐出圧力の水ジェットによるデスケーリング
装置を設置し、これによって鋼材表面のスケールを剥離
し除去した後に圧延を行う方法がとられている。しかし
ながらスケールの剥離性の良否は、スケールの組成及び
構造によって大きく左右され、特にSiやNiを多く含
む鋼のスケールの場合、著しく剥離性が悪くなることが
知られている。
するための方法としては、圧延ラインに100〜150
kgf/cm2 の吐出圧力の水ジェットによるデスケーリング
装置を設置し、これによって鋼材表面のスケールを剥離
し除去した後に圧延を行う方法がとられている。しかし
ながらスケールの剥離性の良否は、スケールの組成及び
構造によって大きく左右され、特にSiやNiを多く含
む鋼のスケールの場合、著しく剥離性が悪くなることが
知られている。
【0005】この原因は、高温酸化に際して鋼中のSi
が選択酸化されてFeO(ウスタイト)と地鉄の界面に
2FeO・SiO2 (ファイアライト)が形成され、こ
れが低融点(1170℃)のため溶融状態となり、スケ
ールと地鉄中に楔状に侵入するため、スケールと地鉄界
面が複雑に入り組んだ特有構造のスケール層が形成され
るためである。また鋼中にNiを含む場合は、酸化が進
行すると、Niの濃化部が凸状として残存し、界面形状
が凹凸となる。そのためスケールの剥離性が悪くなる。
が選択酸化されてFeO(ウスタイト)と地鉄の界面に
2FeO・SiO2 (ファイアライト)が形成され、こ
れが低融点(1170℃)のため溶融状態となり、スケ
ールと地鉄中に楔状に侵入するため、スケールと地鉄界
面が複雑に入り組んだ特有構造のスケール層が形成され
るためである。また鋼中にNiを含む場合は、酸化が進
行すると、Niの濃化部が凸状として残存し、界面形状
が凹凸となる。そのためスケールの剥離性が悪くなる。
【0006】このような悪影響は、鋼の化学組成に依存
するものであるが、特にSiの影響が大きく、Si含有
量が0.2%以上の場合に著しく増大し、この範囲の鋼
を熱間圧延する場合には、スケール疵の発生を完全に防
止することは極めて困難であった。これを改善する手段
としては、例えば加熱温度をファイアライト溶融点(1
170℃)以下とする方法や、加熱前のスラブ表面にス
ケールを改質し、剥離性を向上させるための薬剤を塗布
する方法(特開昭57−6493号)、ブラシロールを
使用して機械的にスケールを剥離させる方法(特開昭5
9−13926号)などが提案されているが、いづれも
繁雑で作業性に劣る、製造コストの面で問題がある、温
度低下により仕上圧延が制約される等の問題があり、い
づれもスケール疵を防止する抜本的な対策とはなってい
ない。
するものであるが、特にSiの影響が大きく、Si含有
量が0.2%以上の場合に著しく増大し、この範囲の鋼
を熱間圧延する場合には、スケール疵の発生を完全に防
止することは極めて困難であった。これを改善する手段
としては、例えば加熱温度をファイアライト溶融点(1
170℃)以下とする方法や、加熱前のスラブ表面にス
ケールを改質し、剥離性を向上させるための薬剤を塗布
する方法(特開昭57−6493号)、ブラシロールを
使用して機械的にスケールを剥離させる方法(特開昭5
9−13926号)などが提案されているが、いづれも
繁雑で作業性に劣る、製造コストの面で問題がある、温
度低下により仕上圧延が制約される等の問題があり、い
づれもスケール疵を防止する抜本的な対策とはなってい
ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解消することを目的としてなされたもので、デスケー
リングを最適な条件で実施することにより、スケール疵
がなく、表面性状が良好な熱延鋼板を製造する方法を提
供しようとするものである。
を解消することを目的としてなされたもので、デスケー
リングを最適な条件で実施することにより、スケール疵
がなく、表面性状が良好な熱延鋼板を製造する方法を提
供しようとするものである。
【0008】
【課題の解決手段】上記の目的を達成するための第1の
発明は、スラブを熱間圧延して熱延鋼板を製造するに際
し、デスケーリングを鋼材表面からノズル先端までの距
離であるノズル高さ50〜150mm、吐出流量50〜1
00l/min/ノズル、吐出圧力100〜300kgf/cm2 で
実施することを特徴とする。
発明は、スラブを熱間圧延して熱延鋼板を製造するに際
し、デスケーリングを鋼材表面からノズル先端までの距
離であるノズル高さ50〜150mm、吐出流量50〜1
00l/min/ノズル、吐出圧力100〜300kgf/cm2 で
実施することを特徴とする。
【0009】第1の発明において、ノズル高さを50〜
150mmとしたのは、次の理由による。ノズル高さは、
低くなるほど鋼材表面のスプレー水膜が薄くなり、一ノ
ズル当たりの噴射面積が減少して単位面積当たりの衝突
力が増大する。デスケーリング効果を上げ、スケールの
剥離性を向上させるには、ノズル高さを低くして衝突圧
を増大させるとよいが、粗圧延を終え、仕上圧延に搬送
させる際の鋼材の先後端は通常、上下方向に反っている
ため、ノズル高さを50mm以下にすると、先後端が上反
りした鋼材に対しては、ノズルと鋼材の衝突頻度が増大
し、機器の損傷が生じるため好ましくない。一方、ノズ
ル高さを150mm以上にすると、スプレー水膜が厚くな
り、単位面積当たりの衝突力が低下してスケール残存率
が増加する。衝突圧を上げるため、ポンプの吐出圧力及
び流量を上げるのは、デスケーリング設備やその付帯設
備の巨大化による設備費及び稼働費の増加をもたらすう
え、メンテナンス性も悪化するようになり好ましくな
い。
150mmとしたのは、次の理由による。ノズル高さは、
低くなるほど鋼材表面のスプレー水膜が薄くなり、一ノ
ズル当たりの噴射面積が減少して単位面積当たりの衝突
力が増大する。デスケーリング効果を上げ、スケールの
剥離性を向上させるには、ノズル高さを低くして衝突圧
を増大させるとよいが、粗圧延を終え、仕上圧延に搬送
させる際の鋼材の先後端は通常、上下方向に反っている
ため、ノズル高さを50mm以下にすると、先後端が上反
りした鋼材に対しては、ノズルと鋼材の衝突頻度が増大
し、機器の損傷が生じるため好ましくない。一方、ノズ
ル高さを150mm以上にすると、スプレー水膜が厚くな
り、単位面積当たりの衝突力が低下してスケール残存率
が増加する。衝突圧を上げるため、ポンプの吐出圧力及
び流量を上げるのは、デスケーリング設備やその付帯設
備の巨大化による設備費及び稼働費の増加をもたらすう
え、メンテナンス性も悪化するようになり好ましくな
い。
【0010】一方、吐出流量に関しては1ノズル当たり
の吐出流量が50l/min 以下だと、スケール残存率が大
であり、1ノズル当たりの吐出流量が100l/min 以上
になると、スケール残存率は低下する反面、鋼材が過冷
却され、仕上圧延機での通板性の悪化をもたらすほか、
特殊鋼の一部においては、コイルエッジ部分の延性の低
下による耳割れを発生するようになり好ましくない。
の吐出流量が50l/min 以下だと、スケール残存率が大
であり、1ノズル当たりの吐出流量が100l/min 以上
になると、スケール残存率は低下する反面、鋼材が過冷
却され、仕上圧延機での通板性の悪化をもたらすほか、
特殊鋼の一部においては、コイルエッジ部分の延性の低
下による耳割れを発生するようになり好ましくない。
【0011】吐出圧力を100〜300kgf/cm2 とした
のは、100kgf/cm2 以下では単位面積当たりのスケー
ル残存率が大きくなり、また300kgf/cm2 以上だとデ
スケーリング設備やその付帯設備の巨大化による設備費
及び稼働費の増加をもたらすうえ、メンテナンス性も悪
化するようになり好ましくないからである。第2の発明
は上記第1の発明のデスケーリングをSi含有量が0.
2〜2.0%の鋼板に実施することを特徴とし、第3の
発明は、上記デスケーリングをNi含有量が0.2〜
2.0%の鋼板に実施することを特徴とする。
のは、100kgf/cm2 以下では単位面積当たりのスケー
ル残存率が大きくなり、また300kgf/cm2 以上だとデ
スケーリング設備やその付帯設備の巨大化による設備費
及び稼働費の増加をもたらすうえ、メンテナンス性も悪
化するようになり好ましくないからである。第2の発明
は上記第1の発明のデスケーリングをSi含有量が0.
2〜2.0%の鋼板に実施することを特徴とし、第3の
発明は、上記デスケーリングをNi含有量が0.2〜
2.0%の鋼板に実施することを特徴とする。
【0012】鋼中のSi含有量が0.2%以上になる
と、加熱時のスケールや二次スケール中に生成するファ
イアライトが地鉄中に深く侵入してスケール剥離が困難
を極める。第1の発明のデスケーリングを実施すれば、
Siを0.2%以上含有するような難スケール剥離材に
対しても、より効果的なスケール剥離が可能となる。上
限は本来限定する必要はないが、2.0%としたのは、
それ以上だと溶接性、冷間加工性が悪化するためであ
る。
と、加熱時のスケールや二次スケール中に生成するファ
イアライトが地鉄中に深く侵入してスケール剥離が困難
を極める。第1の発明のデスケーリングを実施すれば、
Siを0.2%以上含有するような難スケール剥離材に
対しても、より効果的なスケール剥離が可能となる。上
限は本来限定する必要はないが、2.0%としたのは、
それ以上だと溶接性、冷間加工性が悪化するためであ
る。
【0013】一方Niも含有量が0.2%以上になる
と、地鉄界面の凹凸が著しくなり、スケール剥離が困難
となる。Ni含有量が0.2%を越えるNi鋼に対して
も、第1の発明のデスケーリングを実施すれば、より効
果的なデスケーリングが可能となる。上限は本来限定す
る必要はないが、靱性、延性や経済性等を総合的に判断
してNi含有量を2.0%以下とした。
と、地鉄界面の凹凸が著しくなり、スケール剥離が困難
となる。Ni含有量が0.2%を越えるNi鋼に対して
も、第1の発明のデスケーリングを実施すれば、より効
果的なデスケーリングが可能となる。上限は本来限定す
る必要はないが、靱性、延性や経済性等を総合的に判断
してNi含有量を2.0%以下とした。
【0014】第4の発明は、上記各発明のデスケーリン
グを粗圧延から仕上圧延前までの各パスの圧下率が25
%以上であり、かつ圧延開始からの累積圧下率が85%
以上の鋼材に対して行うことを特徴とする。本発明者ら
は、熱間圧延時の鋼材表面に生成するスケールの剥離性
は、地鉄とスケール界面の構造(凹凸性)のほか、鋼材
の表面清浄に起因し、デスケーリングによるスケール剥
離性を向上させるには、地鉄とスケール界面をフラット
にさせると共に、鋼材表面にクラックを生じさせること
が必要であると考えた。そこで本発明者らは、この要因
と考えた、粗圧延から仕上圧延前までの各パスの圧下率
及び圧延開始からの累積圧下率について、上記各パスの
圧下率及び累積圧下率を変えた時のスケール発生割合の
変化を調査した。その結果、粗圧延から仕上圧延前まで
の各パスの圧下率及び圧延開始からの累積圧下率は、特
に前者の各パスの圧下率が25%以上で、かつ後者の累
積圧下率が85%以上の鋼材に対し、上記発明のデスケ
ーリングを実施すると、スケール残存率の著しい低下が
見られた。このことは上記圧下率による圧延により、鋼
材表面にクラックが入り易くなり、スケールが容易に剥
離し易くなったためと思われる。
グを粗圧延から仕上圧延前までの各パスの圧下率が25
%以上であり、かつ圧延開始からの累積圧下率が85%
以上の鋼材に対して行うことを特徴とする。本発明者ら
は、熱間圧延時の鋼材表面に生成するスケールの剥離性
は、地鉄とスケール界面の構造(凹凸性)のほか、鋼材
の表面清浄に起因し、デスケーリングによるスケール剥
離性を向上させるには、地鉄とスケール界面をフラット
にさせると共に、鋼材表面にクラックを生じさせること
が必要であると考えた。そこで本発明者らは、この要因
と考えた、粗圧延から仕上圧延前までの各パスの圧下率
及び圧延開始からの累積圧下率について、上記各パスの
圧下率及び累積圧下率を変えた時のスケール発生割合の
変化を調査した。その結果、粗圧延から仕上圧延前まで
の各パスの圧下率及び圧延開始からの累積圧下率は、特
に前者の各パスの圧下率が25%以上で、かつ後者の累
積圧下率が85%以上の鋼材に対し、上記発明のデスケ
ーリングを実施すると、スケール残存率の著しい低下が
見られた。このことは上記圧下率による圧延により、鋼
材表面にクラックが入り易くなり、スケールが容易に剥
離し易くなったためと思われる。
【0015】第5の発明は、仕上前の上記各発明のデス
ケーリングを850〜1000℃の鋼材に対して行うこ
とを特徴とする。第5の発明において、デスケーリング
を実施する鋼材温度を850〜1000℃に限定したの
は、次の理由による。デスケーリングを850℃以下の
鋼材に対して実施すると、スケールの強度が地鉄強度よ
り上昇してしまい、スケール剥離が困難となる。また、
過度に鋼材温度が低下すると、圧延性、通板性が悪化
し、圧延不可となる場合がある。850℃以上では、冷
却歪み効果が生じ易くなってスケール剥離効果が増大
し、効率よくデスケーリングが可能となる。一方100
0℃以上の鋼材では、生成スケールの状況が異なること
を見出した。本発明者らは、数多くの生成スケールの状
況を観察した結果、スケール中の空孔がスケール剥離性
の良否に大きく影響することを見出した。すなわち10
00℃以上になると、酸化の進行が著しく速くなるた
め、スケール厚が増加すると共に、スケール中に大きな
空孔が生成し、この空孔による緩衝でスケール剥離が困
難となり、スケールが残存し易くなるのである。
ケーリングを850〜1000℃の鋼材に対して行うこ
とを特徴とする。第5の発明において、デスケーリング
を実施する鋼材温度を850〜1000℃に限定したの
は、次の理由による。デスケーリングを850℃以下の
鋼材に対して実施すると、スケールの強度が地鉄強度よ
り上昇してしまい、スケール剥離が困難となる。また、
過度に鋼材温度が低下すると、圧延性、通板性が悪化
し、圧延不可となる場合がある。850℃以上では、冷
却歪み効果が生じ易くなってスケール剥離効果が増大
し、効率よくデスケーリングが可能となる。一方100
0℃以上の鋼材では、生成スケールの状況が異なること
を見出した。本発明者らは、数多くの生成スケールの状
況を観察した結果、スケール中の空孔がスケール剥離性
の良否に大きく影響することを見出した。すなわち10
00℃以上になると、酸化の進行が著しく速くなるた
め、スケール厚が増加すると共に、スケール中に大きな
空孔が生成し、この空孔による緩衝でスケール剥離が困
難となり、スケールが残存し易くなるのである。
【0016】第6の発明は、デスケーリングノズルの鋼
材に対する迎え角度を10〜45°とすることを特徴と
する。迎え角度45°以上の場合は、ノズルと鋼材間距
離が増大し、デスケーリングの衝突圧が低下することに
より、スケール残存率が増加するため好ましくない。下
限は0°以上であれば特に限定する必要はないが、角度
が小さくなるに従い、デスケーリングの鋼材に対する水
平方向の速度成分が小さくなり、このため剥離後のスケ
ールを飛ばす力が低下するため10°以上とするのが望
ましい。
材に対する迎え角度を10〜45°とすることを特徴と
する。迎え角度45°以上の場合は、ノズルと鋼材間距
離が増大し、デスケーリングの衝突圧が低下することに
より、スケール残存率が増加するため好ましくない。下
限は0°以上であれば特に限定する必要はないが、角度
が小さくなるに従い、デスケーリングの鋼材に対する水
平方向の速度成分が小さくなり、このため剥離後のスケ
ールを飛ばす力が低下するため10°以上とするのが望
ましい。
【0017】第7の発明は、デスケーリング噴射水の温
度が20℃以下であることを特徴とする。デスケーリン
グ噴射水の温度が20℃以上であると、デスケーリング
水による鋼材表面の熱歪み効果が弱まり、スケール剥離
性が悪化するためである。
度が20℃以下であることを特徴とする。デスケーリン
グ噴射水の温度が20℃以上であると、デスケーリング
水による鋼材表面の熱歪み効果が弱まり、スケール剥離
性が悪化するためである。
【0018】
【発明の実施の形態】図1に示す仕上圧延機2の入側に
は、スラブの移動方向と直行する方向にノズル高さ50
〜150mmとした1ないし複数列のノズルヘッダーより
なるスケールブレーカー(以下「FSB」という)3が
配置され、粗圧延機1から仕上圧延機2までの各パスの
圧下率が25%以上、圧延開始からの累積圧下率が85
%以上であり、かつ鋼材温度850〜1000℃のSi
及びNi含有鋼(Si含有量0.2〜2.0%、Ni含
有量0.2〜2.0%)4に対し、FSB3よりデスケ
ーリングを1ノズル当たりの流量50〜100l/min/ノ
ズル、吐出圧力100〜300kgf/cm2 で、図2に示す
ノズル迎え角度θを10〜45°、デスケーリング噴射
水温度を20℃以下で実施する。
は、スラブの移動方向と直行する方向にノズル高さ50
〜150mmとした1ないし複数列のノズルヘッダーより
なるスケールブレーカー(以下「FSB」という)3が
配置され、粗圧延機1から仕上圧延機2までの各パスの
圧下率が25%以上、圧延開始からの累積圧下率が85
%以上であり、かつ鋼材温度850〜1000℃のSi
及びNi含有鋼(Si含有量0.2〜2.0%、Ni含
有量0.2〜2.0%)4に対し、FSB3よりデスケ
ーリングを1ノズル当たりの流量50〜100l/min/ノ
ズル、吐出圧力100〜300kgf/cm2 で、図2に示す
ノズル迎え角度θを10〜45°、デスケーリング噴射
水温度を20℃以下で実施する。
【0019】
【実施例】表1に示す組成の鋼材A、B及びCに対し、
図1の仕上圧延機2入側に設けたFSB3より表2に示
した条件で粗圧延機1より送り出された鋼材に対し、デ
スケーリングしたのち仕上圧延を行い、得られたコイル
をリコイルし、画像解析により鋼材表面のスケール残存
率%を測定した。その結果を表2に併記した。
図1の仕上圧延機2入側に設けたFSB3より表2に示
した条件で粗圧延機1より送り出された鋼材に対し、デ
スケーリングしたのち仕上圧延を行い、得られたコイル
をリコイルし、画像解析により鋼材表面のスケール残存
率%を測定した。その結果を表2に併記した。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】表2に示されるように、ノズル高さが50
〜150mm、1ノズル当たりの流量が50〜100l/mi
n/ノズル、吐出圧力100〜300kgf/cm2 の本発明範
囲内にあるNo.1、3、10の鋼材はそれぞれ、スケ
ール残存率が1%以下となったが、吐出圧力で外れたN
o.2、5、9、及び吐出流量で外れたNo.4、8、
またノズル高さで外れたNo.4、5、6はそれぞれ、
No.2で38%、No.4で21%、No.5で12
%、No.6で20%、No.8で10%、No.9で
49%となった。
〜150mm、1ノズル当たりの流量が50〜100l/mi
n/ノズル、吐出圧力100〜300kgf/cm2 の本発明範
囲内にあるNo.1、3、10の鋼材はそれぞれ、スケ
ール残存率が1%以下となったが、吐出圧力で外れたN
o.2、5、9、及び吐出流量で外れたNo.4、8、
またノズル高さで外れたNo.4、5、6はそれぞれ、
No.2で38%、No.4で21%、No.5で12
%、No.6で20%、No.8で10%、No.9で
49%となった。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、従来スケール除去が困
難と考えられていた高Si鋼及び高Ni鋼に対しても、
ノズル高さを50〜150mm、1ノズル当たりの流量を
50〜100l/min/ノズル、吐出圧力を100〜300
kgf/cm2 でデスケーリングを実施することによりスケー
ル除去が行われ、スケールの疵の無い表面性状の良好な
圧延鋼板を得ることができる。
難と考えられていた高Si鋼及び高Ni鋼に対しても、
ノズル高さを50〜150mm、1ノズル当たりの流量を
50〜100l/min/ノズル、吐出圧力を100〜300
kgf/cm2 でデスケーリングを実施することによりスケー
ル除去が行われ、スケールの疵の無い表面性状の良好な
圧延鋼板を得ることができる。
【0024】また、デスケーリングを請求項4記載のよ
うに、粗圧延機から仕上圧延機までの各パスの圧下率が
25%以上であり、圧延開始からの累積圧下率が85%
以上の鋼材に対して行ったり、請求項5記載のように、
鋼材温度850〜1000℃の鋼材に対して行うことに
より、また請求項6記載のように、ノズル迎え角度を1
0〜45°としたり、請求項7記載のようにデスケーリ
ング噴射水温度を20℃以下でデスケーリングを実施す
ることにより、デスケーリングによる剥離性をより一層
向上させることができる。
うに、粗圧延機から仕上圧延機までの各パスの圧下率が
25%以上であり、圧延開始からの累積圧下率が85%
以上の鋼材に対して行ったり、請求項5記載のように、
鋼材温度850〜1000℃の鋼材に対して行うことに
より、また請求項6記載のように、ノズル迎え角度を1
0〜45°としたり、請求項7記載のようにデスケーリ
ング噴射水温度を20℃以下でデスケーリングを実施す
ることにより、デスケーリングによる剥離性をより一層
向上させることができる。
【図1】圧延ラインの模式図。
【図2】デスケーリングの迎え角を示した図。
【符号の説明】 1・・粗圧延機 2・・仕上圧延機 3・・FSB 4・・鋼材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22C 38/40 C22C 38/40 C23G 3/00 C23G 3/00 A 3/02 3/02
Claims (7)
- 【請求項1】スラブを熱間圧延して熱延鋼板を製造する
に際し、デスケーリングを鋼材表面からノズル先端まで
の距離であるノズル高さ50〜150mm、吐出流量50
〜100l/min/ノズル、吐出圧力100〜300kgf/cm
2 の高圧水ジェットによりデスケーリングすることを特
徴とする熱延鋼板の製造方法。 - 【請求項2】Si含有量が0.2〜2.0%の鋼材を対
象とする請求項1記載の熱延鋼板の製造方法。 - 【請求項3】Ni含有量が0.2〜2.0%の鋼材を対
象とする請求項1又は2記載の熱延鋼板の製造方法。 - 【請求項4】デスケーリングを粗圧延から仕上圧延前ま
での各パスの圧下率が25%以上であり、かつ圧延開始
からの累積圧下率が85%以上の鋼材に対して行う請求
項1ないし3のいづれかの請求項に記載の熱延鋼板の製
造方法。 - 【請求項5】デスケーリングが鋼材温度850〜100
0℃の鋼材に対して行われる請求項1ないし4のいづれ
かの請求項に記載の熱延鋼板の製造方法。 - 【請求項6】デスケーリングノズルの鋼材に対する迎え
角度を10〜45°とする請求項1ないし5のいづれか
の請求項に記載の熱延鋼板の製造方法。 - 【請求項7】デスケーリング噴射水の温度が20℃以下
である請求項1ないし6のいづれかの請求項に記載の熱
延鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12397A JPH10192952A (ja) | 1997-01-06 | 1997-01-06 | 熱延鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12397A JPH10192952A (ja) | 1997-01-06 | 1997-01-06 | 熱延鋼板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10192952A true JPH10192952A (ja) | 1998-07-28 |
Family
ID=11465270
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12397A Withdrawn JPH10192952A (ja) | 1997-01-06 | 1997-01-06 | 熱延鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10192952A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006212671A (ja) * | 2005-02-04 | 2006-08-17 | Nippon Steel Corp | Ni含有鋼の圧延表面疵防止方法 |
-
1997
- 1997-01-06 JP JP12397A patent/JPH10192952A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006212671A (ja) * | 2005-02-04 | 2006-08-17 | Nippon Steel Corp | Ni含有鋼の圧延表面疵防止方法 |
JP4514137B2 (ja) * | 2005-02-04 | 2010-07-28 | 新日本製鐵株式会社 | Ni含有鋼の圧延表面疵防止方法 |
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Legal Events
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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