JP3425017B2 - 熱延鋼板の製造方法 - Google Patents
熱延鋼板の製造方法Info
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Description
表面に高圧水ジェットを噴射してデスケーリングを行
い、スケール疵やスケール模様の発生を防止し、表面性
状の優れた熱延鋼板を製造する方法に関する。
酸化性雰囲気の加熱炉により、通常1100〜1300
℃の温度で数時間加熱し、ついでホットストリップミル
にて熱間圧延されるのが一般的であるが、この際、スラ
ブ表面に生成したスケールが充分に除去されない状態の
まゝで鋼材が圧延されると、スケールが成品の表面に押
し込まれ、スケール疵やスケール模様として残る。
圧延後の成品(黒皮成品)の外観を悪化させるのみなら
ず、酸洗によりスケールを除去した後の成品(白皮成
品)の表面に凹凸状の欠陥を残存させる原因となり、ま
た曲げ加工時のクラックの起点となったり、熱間圧延工
程内の鋼板強制冷却時に、スケール残存部と剥離部の冷
却能の差により、材質の機械的特性値にムラが発生する
等鋼板の品質に重大な悪影響を及ぼすものである。
るための方法としては、圧延ラインに100〜150kg
f/cm2 の吐出圧力の水ジェットによるデスケーリング装
置を設置し、これによって鋼材表面のスケールを剥離し
除去した後に圧延を行う方法がとられている。しかしな
がらスケールの剥離性の良否は、スケールの組成及び構
造によって大きく左右され、特にSi含有量の多い鋼
(以下、高Si鋼という)やNiを多く含む鋼のスケー
ルの場合、著しく剥離性が悪くなることが知られてい
る。
が選択酸化されてFeO(ウスタイト)と地鉄の界面に
2FeO・SiO2 (ファイアライト)が形成され、こ
れが低融点(1170℃)のため溶融状態となり、スケ
ールと地鉄中に楔状に侵入するため、スケールと地鉄界
面が複雑に入り組んだ特有構造のスケール層が形成され
るためである。また鋼中にNiを含む場合は、酸化が進
行するとNiの濃化部が凸状として残存し、界面形状が
凹凸となる。そのためスケールの剥離性が悪くなる。
するものであるが、特にSiの影響が大きく、Si含有
量が0.2%以上の場合に著しく増大し、この範囲の鋼
を熱間圧延する場合には、スケール疵の発生を完全に防
止することは極めて困難であった。これを改善する手段
としては、例えば加熱温度をファイアライト溶融点(1
170℃)以下とする方法や、加熱前のスラブ面にスケ
ールを改質し、剥離性を向上させるための薬剤を塗布す
る方法(特開昭57−6493号)、ブラシロールを使
用して機械的にスケールを剥離させる方法(特開昭59
−13926号)などが提案されているが、いづれも繁
雑で作業性に劣る、製造コストの面で問題がある、温度
低下により仕上圧延が制約される等の問題があり、いづ
れもスケール疵を防止する抜本的な対策とはなっていな
い。
を解消することを目的としてなされたもので、デスケー
リングを最適な条件で実施することにより、スケール疵
がなく、表面性状が良好な熱延鋼板を製造する方法を提
供しようとするものである。
ある、Si含有鋼及びNi含有鋼について、デスケーリ
ング条件を変えた調査を行った。調査は、表1に示す組
成の鋼材A、B及びCに対し、図1に示す実機ホットス
トリップミルの仕上圧延機入側のスケールブレーカー
(以下、「FSB」という)の吐出圧力及び吐出流量を
変えることにより行った。
れるように、鋼材A、B及びC共、デスケーリングの吐
出圧力が250kgf/cm2 以下では、単位面積当たりのス
ケール残存率が大きくなる一方、吐出圧力が250kgf/
cm2 を越えると、スケール残存率がほゞ1%未満となる
ことを見出した。一方、吐出流量に関しては、1ノズル
当たりの吐出流量が100l/min 以下だと、スケール残
存率が大であり、1ノズル当たりの吐出流量が300l/
min 以上になると、スケール残存率は低下する反面、鋼
材が過冷却され、仕上圧延機での通板性の悪化をもたら
すほか、特殊鋼の一部においては、コイルエッジ部分の
延性の低下による耳割れを発生することがあることが分
かった。
に生成するスケールの剥離性は、地鉄とスケール界面の
構造(凹凸性)のほか、鋼材の表面性状に起因し、デス
ケーリングによるスケール剥離性を向上させるには、地
鉄とスケール界面をフラットにさせると共に、鋼材表面
にクラックを生じさせることが必要であると考えた。そ
こで本発明者らは、この要因と考えた仕上圧延前の粗圧
延における各パスの圧下率及び仕上圧延前までの累積圧
下率について、上記各パスの圧下率及び累積圧下率を変
えたときのスケール残存率の変化を調査した。その結
果、仕上圧延前までの各パスの圧下率及び圧延開始点か
ら仕上圧延前までの累積圧下率は、とくに前者の各パス
の圧下率が25%以上で、かつ後者の累積圧下率が85
%以上の鋼材に対し上記デスケーリングを実施すると、
スケール残存率の著しい低下が見られた。このことは、
上記圧下率による圧延により、鋼材表面にクラックが入
り易くなり、スケールが容易に剥離し易くなったためと
思われる。
れたもので、粗圧延から仕上圧延前までの各パスの圧下
率が25%以上であり、かつ圧延開始からの累積圧下率
が85%以上の圧延を行ったのち、仕上圧延直前で、吐
出圧力250〜600kgf/cm 2 、1ノズル当たりの吐出
流量100〜300l/min の高圧水ジェットによりデス
ケーリングすることを特徴とする。
600kgf/cm2 としたのは、圧延後の鋼板のスケール残
存率は低減できても、ポンプの高圧化に伴うモータの大
型化やヘッダー、配管の肉厚増加等、設備が大型化し、
コストアップとなるなどの不都合をもたらすようになる
ためである。Si含有鋼は、Siの含有量が0.2%以
上になると、加熱時のスケールや二次スケール中にファ
イアライトが地鉄界面に深く侵入し、スケール剥離は困
難を極め、またNi含有鋼もNi含有量が0.2%を越
えると、地鉄界面の凹凸が激しくなり、スケール剥離が
困難となるが、本発明は、上述の鋼材A、B及びCのよ
うに、Si及びNi含有量がそれぞれ0.2%以上ある
ような鋼材に対しても十分なスケール剥離効果がある。
のデスケーリングをSi含有量が0.2〜2.0%の鋼
材に実施したことを特徴とし、第3の発明は、上記発明
のデスケーリングをNi含有量が0.2〜2.0%の鋼
材に対して実施することを特徴とする。Siの含有量は
0.2%以上になると、加熱時のスケールや二次スケー
ル中にファイアライトが生成するため、そのファイアラ
イトが地鉄界面に深く侵入し、スケール剥離は困難を極
める。本発明方法によると、このようにスケール剥離が
困難なSiを0.2%以上含有する鋼板に対し、より効
果的なデスケールが可能である。上限は本来限定する必
要はないが、溶接性、冷間加工性が悪化するため、Si
含有量を2.0%以下に限定した。一方、Niは0.2
%を越えると地鉄界面の凹凸が著しくなり、スケール剥
離が困難となる。本発明法によると、このような鋼板に
対し、より効果的にデスケールが可能となる。上限は本
来限定する必要はないが、靱性、延性や経済性等を総合
的に判断してNi含有量を2.0%以下とした。
鋼材温度が850〜1000℃の鋼材に対して実施する
のが望ましい。デスケーリングを850℃以下で実施す
ると、スケールの強度が地鉄強度より上昇してしまい、
スケール剥離が困難となる。また、過度に鋼板温度が低
下すると、圧延性、通板性が悪化し、圧延不可となる場
合もある。850℃以上では冷却ひずみ効果が生じ易く
なってスケール剥離効果が増大し、効率よくデスケーリ
ング可能である。一方、1000℃以上では生成スケー
ルの状況が異なることを知見した。本発明者らは数多く
の生成スケールの状況を観察した結果、スケール中の空
孔がスケール剥離性の良否に大きく影響することを見出
した。すなわち1000℃以上になると、酸化の進行が
著しく早くなるため、スケール厚が増加するとともに、
スケール中に大きな空孔が生成し、この空孔による緩衝
でスケール剥離が困難となり、スケールが残存し易くな
る。
明のデスケーリングを鋼材温度が850〜1000℃の
鋼材に対して行うことを特徴とする。
は、スラブの移動方向と直交する方向に配置した1列又
は複数列のノズルヘッダー(ノズル高さ250〜300
mm)よりなるFSB3が配置され、粗圧延機1での各パ
スの圧下率が25%以上、仕上圧延前までの累積圧下率
が85%以上であり、かつ鋼材温度が850〜1000
℃の鋼材4に対し、FSB3よりデスケーリングを吐出
圧力250〜600kgf/cm2、吐出流量100〜300l
/min/ノズルの高圧水ジェットでデスケーリングする。
の仕上圧延機2入側に設けたFSB3より表2に示した
操業条件で粗圧延機1より送り出された鋼材4に対し、
デスケーリングしたのち、仕上圧延を行い、得られた鋼
材表面のスケール残存率を定量的に評価した。その結果
を表2に併記した。
あるNo.2、4、6〜8、10の鋼材は、それぞれス
ケール残存率が1%以下となり、更に吐出圧力、圧下
率、吐出流量を調整したNo.4、6、7の鋼材ではス
ケール残存は皆無であった。しかしながら、吐出圧力で
本発明の範囲を外れたNo.1の鋼材のスケール残存率
は56%、圧下率で本発明の範囲を外れたNo.3の鋼
材のスケール残存率は8%、吐出流量で本発明の範囲を
外れたNo.5及び9の鋼材のスケール残存率はそれぞ
れ1.2%及び12%に達した。なおNo.5の鋼材に
関しては、スケール残存率は1.2%であったが、仕上
圧延時に耳割れが発生し、成品に成り得なかった。
難と考えられていた高Si含有鋼やNi含有鋼に対して
も、粗圧延から仕上圧延前までの各パスの圧下率が25
%以上であり、かつ圧延開始からの累積圧下率が85%
以上の圧延を行ったのちの鋼材に対し、デスケーリング
を吐出圧力250〜600kgf/cm2 、吐出流量100〜
300l/min/ノズルで実施することにより、スケール除
去が行われ、スケール疵のない表面性状の良好な熱延鋼
板を得ることができる。
1000℃の鋼材に対して行うことにより、デスケーリ
ングによるスケールの剥離性をより一層向上させること
ができる。
の関係を示す図。
Claims (4)
- 【請求項1】熱間圧延して熱延鋼板を製造するのに際
し、粗圧延から仕上圧延前までの各パスの圧下率が25
%以上であり、かつ圧延開始からの累積圧下率が85%
以上の圧延を行ったのちの鋼板に対し、仕上圧延直前
で、吐出圧力250〜600kgf/cm2 、吐出流量100
〜300l/min/ノズルの高圧水ジェットによりデスケー
リングすることを特徴とする熱延鋼板の製造方法。 - 【請求項2】Si含有量が0.2〜2.0%の鋼材を対
象とする請求項1記載の熱延鋼板の製造方法。 - 【請求項3】Ni含有量が0.2〜2.0%の鋼材を対
象とする請求項1又は2記載の熱延鋼板の製造方法。 - 【請求項4】デスケーリングが鋼材温度850〜100
0℃の鋼材に対して行われる請求項1ないし3のいづれ
かの請求項に記載の熱延鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP25981095A JP3425017B2 (ja) | 1995-10-06 | 1995-10-06 | 熱延鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP25981095A JP3425017B2 (ja) | 1995-10-06 | 1995-10-06 | 熱延鋼板の製造方法 |
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Family Applications (1)
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JP25981095A Expired - Fee Related JP3425017B2 (ja) | 1995-10-06 | 1995-10-06 | 熱延鋼板の製造方法 |
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Families Citing this family (3)
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---|---|---|---|---|
CN103341498B (zh) * | 2013-06-05 | 2016-03-30 | 武汉钢铁(集团)公司 | 减少热轧钢板表面氧化铁皮厚度的方法 |
CN103406368B (zh) * | 2013-08-16 | 2015-08-05 | 武汉钢铁(集团)公司 | 优化热轧钢板表面质量的轧制方法 |
CN105803173A (zh) * | 2016-03-31 | 2016-07-27 | 舞阳钢铁有限责任公司 | 去除含Ni钢表面铁皮的生产方法 |
-
1995
- 1995-10-06 JP JP25981095A patent/JP3425017B2/ja not_active Expired - Fee Related
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