JPH10192669A - 脱気膜 - Google Patents

脱気膜

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JPH10192669A
JPH10192669A JP536597A JP536597A JPH10192669A JP H10192669 A JPH10192669 A JP H10192669A JP 536597 A JP536597 A JP 536597A JP 536597 A JP536597 A JP 536597A JP H10192669 A JPH10192669 A JP H10192669A
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membrane
porous
oxygen
coating
degassing
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JP536597A
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English (en)
Inventor
Takanori Anazawa
孝典 穴澤
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DIC Corp
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 脱気効率に優れ、従来の複合膜よりも脱気速
度が高い脱気膜を提供すること。 【解決手段】 中空糸多孔質膜が重合体により被覆及び
/又は目止めされた中空糸複合膜から成る脱気膜であっ
て、酸素透過速度定数が1.0×10-6〜1.0×10
-1cm3(STP)・cm-2・s-1・cmHg-1の範囲にあり、かつ
全膜面積に占める非多孔質膜部分の面積比が90〜9
9.9%の範囲にある脱気膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体に溶解してい
る気体を膜を介して除去あるいは回収する為の膜(以
下、これを脱気膜と称する)に関し、更に詳しくは、ボ
イラー缶体の腐食防止、上水配管や給湯配管の腐食防
止、半導体、電気部品、機械部品などの洗浄時の酸化防
止、食品の酸化防止、などの酸化防止分野、土壌生息性
生物害の防除、水性生物の繁殖抑制など生物の繁殖防止
分野、洗浄、染色、現像などにおける脱泡分野などの分
野で利用される中空糸型の脱気膜に関し、より詳しく
は、中空糸多孔質膜が被覆及び/又は目止めされた複合
膜から成る脱気膜に関する。
【0002】
【従来の技術】脱気膜は、膜の一方に液体を接触させ、
他方を減圧したり、他方に不活性ガスを流通させたり、
他方にガス吸収体を設置することにより、液体に含まれ
る気体を膜を介して除去あるいは回収することができる
膜であり、そのような脱気膜としては、シリコン樹脂な
どの高い気体透過性を示す重合体で構成された均質膜、
ポリプロピレンなどの疎水性重合体で構成された多孔質
膜、同一素材の多孔質層と非多孔質層からなる不均質
膜、多孔質膜をシリコン樹脂などの疎水性樹脂で被覆及
び/又は目止めされた複合膜が使用できることが知られ
ている。
【0003】これらの中で、多孔質膜は膜の表裏を連通
する連通孔を有するため、液体が膜を透過して漏洩する
場合がある他、例えば水の隔膜真空脱気においては、水
蒸気の透過が多いため、高度の脱気には大容量の真空ポ
ンプが必要となり、非常に非効率である。これに対し、
均質膜、不均質膜及び複合膜は、膜の表裏を連通する連
通孔を実質的に有しないため、例えば、水の隔膜真空脱
気においては、水蒸気の透過が少なく、小型の真空ポン
プを使用することができ、かつ、水の蒸気圧以下まで減
圧できるため高度の脱気が可能であるという特徴を有し
ている。中でも複合膜は、均質膜に比べて脱気速度が高
いこと、不均質膜に比べて素材選択の幅が広く、脱気目
的に応じて、多孔質膜と被覆材(又は目止め材)にそれ
ぞれ最適の素材が選べるといったメリットを有してい
る。また、脱気膜の形状としては、平膜や管状膜に比べ
て、中空糸膜が脱気膜モジュールの単位容積当りの脱気
速度を高くすることができ、また高度の脱気が可能であ
るので、最も好ましいことが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、複合膜
を用いて脱気する場合、ほぼ完全に被覆及び/又は目止
された複合膜は、脱気速度の点で必ずしも満足できるも
のではなかった。
【0005】本発明が解決しようとする課題は、脱気効
率に優れ、従来の複合膜よりも脱気速度が高い脱気膜を
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、多孔質膜
の有する欠点を排除しつつ、かつ脱気効率を増す方法に
ついて鋭意検討した結果、被覆や目止めが完全でなく、
部分的に連通孔が残存している複合膜が、ほぼ完全に被
覆及び/又は目止された複合膜に比べて高い脱気速度を
有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明は上記課題を解決するため
に、(1)中空糸多孔質膜が重合体により被覆及び/又
は目止めされた中空糸複合膜から成る脱気膜であって、
酸素透過速度定数が1.0×10-6〜1.0×10-1cm
3(STP) cm-2-1 cmHg-1 の範囲にあり、かつ下記式
(1)で計算される全膜面積に占める非多孔質膜部分の
面積比yが90〜99.9%の範囲にあることを特徴と
する脱気膜、(2)中空糸多孔質膜が、水との接触角が
85°以上の重合体で構成されたものである上記(1)
記載の脱気膜、(3)中空糸多孔質膜がポリオレフィン
から構成されたものである上記(2)記載の脱気膜、
(4)ポリオレフィンがポリプロピレンである上記
(3)記載の脱気膜、(5)中空糸多孔質膜の被覆及び
/又は目止に用いられる重合体が、水との接触角が90
°以上の重合体から構成されたものである上記(1)〜
(4)のいづれか1に記載の脱気膜、(6)中空糸多孔
質膜の被覆及び/又は目止に用いられる重合体が、シリ
コン樹脂である上記(5)記載の脱気膜(7)被覆及び
/又は目止めの部位が、中空糸膜の表面である上記
(1)〜(6)のいづれか1に記載の脱気膜、を提供す
る。
【0008】
【数3】
【0009】{式中、QOは、脱気膜の酸素透過速度定
数[cm3(STP) cm-2-1 cmHg-1]を表わし、Q
O2は、多孔部(=被覆及び/又は目止めされる前の多孔
質膜)の酸素透過速度定数[cm3(STP) cm-2-1 cmH
g-1]を表わし、 PO1は、非多孔部の素材(=被覆及び
/又は目止樹脂)の酸素透過速度係数[cm3(STP) cm
・cm-2-1 cmHg-1]を表わす。 また、Lは、非多孔部
の非多孔層の厚み[cm]であって、次式(2)で計算さ
れる値である。
【0010】
【数4】
【0011】(式中、αは、脱気膜の酸素/窒素分離係
数を表わし、α1 は、非多孔部(=被覆及び/又は目止
樹脂)の酸素/窒素分離係数を表わし、α2 は、多孔部
(=被覆及び/又は目止される前の多孔質膜)の酸素/
窒素分離係数(=0.9357)を表わす。)}
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の脱気膜(以下、簡略化の
ため、中空糸膜であることは必要で無い限り記述しな
い)は、特定の範囲の酸素透過速度を有し、かつ全膜面
積に占める非多孔質膜部分の面積比が特定の範囲にある
ことを特徴とする。ここで、酸素透過速度及び窒素透過
速度はASTM−D1434圧力法により測定したもの
である。
【0013】本発明の脱気膜は、20℃にて測定した酸
素透過速度定数の下限が、1.0×10-6[cm3(STP)
cm-2-1 cmHg-1](STPは、0℃1気圧換算値である
ことを示す)以上であり、1.0×10-5[同単位]以
上であることが好ましく、1.0×10-4[同単位]以
上であることがさらに好ましい。酸素透過速度がこれよ
り低い場合には、脱気効率、即ち、膜面積当りの脱気速
度が低下するので、好ましくない。酸素透過速度定数の
上限は、高いほど好ましく、特に限定する必要は無い
が、高すぎても脱気効率は飽和し、それ以上の効果が見
られない上、高くするためには、技術的、コスト的困難
があるため、通常、1.0×10-1[同単位]以下であ
ることが好ましい。
【0014】本発明の脱気膜は、連通孔が存在する部分
(多孔部)が残存する複合膜であって、上記式(1)で
計算される全膜面積に占める非多孔質膜部分(非多孔
部)の面積比yが90%以上であり、95%以上である
ことが好ましく、98%以上であることがさらに好まし
い。また、上限については99.9%以下であり、9
9.7%以下であることが好ましく、99.5%以下で
あることがさらに好ましい。非多孔部の面積比yが90
%より低い場合には、多孔質膜と同様の欠点が生じ、ま
た非多孔部の面積比yが99.9%より高い場合には、
脱気効率、即ち、膜面積当りの脱気速度が低下するので
好ましくない。
【0015】気体透過/分離特性と膜構造との関係の理
論的背景について以下に説明する。
【0016】一般に、多孔質膜、即ち、多数の連通細孔
を有する膜の場合、気体はクヌーセン流又はポアズイユ
流機構により膜を透過するため、酸素/窒素の分離係数
(=酸素透過係数を窒素透過係数で除した値、または、
酸素透過速度定数を窒素透過速度定数で除した値)は、
0.9357以下となることが知られている(例えば、
中川勤:「高圧ガス」、第18巻、第9号、第471頁
(1981年))。即ち、クヌーセン流の場合、酸素の
分子量31.9986、窒素の分子量28.0134
(化学便覧、丸善、1975より)より、酸素/窒素の
分離係数、即ち、透過係数比は(31.9986/2
8.0134)-1/2=0.9357となる。また、ポア
ズイユ流の場合には、20℃における酸素の粘度2.0
52×10-4ポイズ、窒素の粘度1.766×10-4
イズ(化学便覧、丸善、1975より)より、酸素/窒
素の分離係数は(2.052/1.766)-1=0.8
606となる。ここで、連通細孔の孔径が小さい場合、
クヌーセン流となることが知られている。
【0017】一方、複合膜が完全に被覆及び/又は目止
めされており、膜の表裏を連通する細孔が無い場合に
は、気体は膜中を溶解拡散機構で透過し、この値は膜の
非多孔質層を構成する素材固有の値となる(例えば、中
川勤:「高圧ガス」、第18巻、第9号、第471頁
(1981年))。この値は、被覆/目止される多孔質
膜の素材の酸素透過係数に比べて、被覆及び/又は目止
めに用いられる樹脂の酸素透過係数が大きい場合には、
この寄与が大となり、実質上、被覆/目止めに用いた樹
脂の値となる。この場合の酸素/窒素分離係数の値は、
現在知られているところでは1.7〜9である。
【0018】本発明の脱気膜は、不完全な被覆又は目止
により部分的な連通孔(多孔部)が残存する複合膜であ
るため、膜の酸素/窒素分離係数の値は、溶解拡散機構
による分離係数の値と、クヌーセン又はポアズイユ流機
構による分離係数の値の中間領域にある。
【0019】気体が多孔部を透過する速度は、非多孔部
を透過する速度に比べて同一膜面積当りでは100〜1
0000倍も大きいため、極小面積の多孔部が存在して
も、そこを透過する気体の寄与が大となり、酸素/窒素
分離係数の値は大きく低下する。多孔部の占める面積が
増加すると、それに伴い、酸素/窒素分離係数の値は
0.9357〜0.8606の中間の或る値に収束する
(その値は多孔質膜の孔径及び測定圧力に依存するが、
本発明で好ましく用いられる孔径が1μm以下の多孔質
膜の場合には、ASTM D1474圧力法で測定した
値は、通常クヌーセン流れの値0.9357になる)。
【0020】以上の理論に従い、部分的に連通孔を有す
る複合膜を、便宜的に非多孔質膜部分(非多孔部)と多
孔質膜部分(多孔部)に分け、膜を透過する気体は非多
孔部を透過する部分と多孔部を透過する部分の和である
とし(並列機構)、上記式(1)に示したように、全膜
面積に占める非多孔部の面積比yと、酸素/窒素分離係
数α及び酸素透過速度定数QOの測定値との関係式を導
くことができる。 勿論、この場合、多孔部や非多孔部
は複数に別れていてもよいし、1つの多孔部は1個の細
孔で構成されていてもよい。
【0021】上記式(1)及び(2)において、QO2
多孔部の酸素透過速度定数であり、被覆及び/又は目止
(以下、「被覆及び/又は目止」を「被覆/目止」と記
述する。)される前の多孔質膜の酸素透過速度定数を用
いる。PO1は非多孔部の素材の酸素透過速度係数であ
り、被覆/目止に用いる素材の酸素透過係数が多孔質膜
素材のそれより大きい場合には、被覆/目止樹脂の酸素
透過係数の値を用いる。
【0022】非多孔部の酸素/窒素分離係数α1は、 完
全に(連通孔が無く)被覆/目止された複合膜の酸素/
窒素分離係数であり、被覆/目止に用いる素材の酸素透
過係数が多孔質膜素材のそれより大きい場合には、被覆
/目止に用いる素材の酸素/窒素分離係数の値を用い
る。また、 多孔部の酸素/窒素分離係数α2は被覆/目
止される前の多孔質膜の酸素/窒素分離係数であり、被
覆/目止される前の多孔質膜の酸素/窒素分離係数の値
を用いるが、本発明に使用するに好ましい細孔径の場合
にはクヌーセン流れの値を示すため、クヌーセン流れの
酸素/窒素分離係数の値(=0.9357)を用いる。
【0023】本発明の脱気膜を構成する中空糸多孔質膜
の素材は、特に限定されないが、長期的使用における安
定性の面から、水との接触角が60°以上であるものが
好ましく、85°以上のものがさらに好ましく、90°
以上のものが最も好ましい。但し、水との接触角は多孔
質膜の表面構造の影響を受けるため、別途平滑な表面を
成形して測定することが必要である。水との接触角が小
さい素材を使用した場合、水系液体の脱気において、液
体が細孔に入り込み、膜を通して漏洩する場合があるの
で、好ましくない。
【0024】本発明の脱気膜を構成する中空糸多孔質膜
に用いることができる素材としては、例えば、ポリプロ
ピレン、ポリ−4−メチルペンテン等のポリオレフィ
ン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンの如きスルホ
ン系重合体、塩化ビニリデンの如き塩素系重合体、フッ
化ビニリデンの如きフッ素系重合体、アクリロニトリ
ル、メチルメタクリレートの如き(メタ)アクリル系重
合体、スチレン系重合体、ポリアミド系重合体、ポリイ
ミド系重合体、ポリカーボネート等が挙げられる。これ
らの中で、ポリオレフィンが好ましく、中でもポリプロ
ピレンが優れた物性、疎水性の強さ、成形の容易さ、被
覆や目止めの容易さの点から最も好ましい。その他に、
フッ素系重合体も疎水性の強さから好ましく、中でもポ
リフッ化ビニリデンが成形の容易さから好ましい。ま
た、ポリスルホンやポリエーテルスルホンも成形の容易
さの面から好ましい。
【0025】本発明の脱気膜を構成する中空糸多孔質膜
は、被覆/目止される部分の平均孔径が0.005〜1
μmの範囲にあることが好ましい。中空糸多孔質膜は、
厚み方向に孔径分布を有する、いわゆる非対称膜であっ
てもよいし、孔径分布を有しない等方性膜であってもよ
い。
【0026】中空糸多孔質膜を被覆/目止している重合
体は、脱気しようとする気体種の透過係数が10〜10
000[barrer=10-10 cm3(STP) cm cm-2
-1cmHg-1]のものであることが好ましい。また、水と
の接触角が90°以上の重合体であることが好ましい。
被覆/目止される中空糸多孔質膜が水との接触角90°
未満の素材で構成されている場合には、被覆/目止して
いる重合体は水との接触角が90°以上の重合体である
ことが必要である。
【0027】被覆/目止に用いることができる樹脂とし
ては、例えば、ポリ−4−メチルペンテン等のポリオレ
フィン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のスル
ホン系重合体、メチルメタクリレート等の(メタ)アク
リル系重合体、スチレン系重合体、ポリアミド系重合
体、ポリイミド系重合体、ポリカーボネート、シリコン
樹脂、ポリアセチレン系重合体などが挙げられる。これ
らの中でも、シリコン樹脂、ポリアセチレン系重合体が
が好ましく、中でもシリコン樹脂が疎水性の強さと、被
覆や目止めの容易さの点から最も好ましい。
【0028】中空糸多孔質膜の被覆又は目止は、任意の
方法で行なうことができ、例えば、被覆や目止用の樹脂
を中空糸多孔質膜を犯さない溶剤に溶解させた溶液を中
空糸多孔質膜にコーティングした後、乾燥もしくは凝固
させる方法が挙げられる。乾燥方法としては、例えば、
気流、加熱、真空による方法が挙げられ、凝固方法とし
ては、凝固浴中への浸漬、熱や光による重合、による方
法が挙げられる。コーティングされた樹脂は、多孔質膜
表面を被覆した状態で固化する場合もあり得るし、多孔
質部に入り込み、多孔質部を充填(目止)した状態で固
化する場合もあり得る。勿論、その両者が同時に生じて
いる場合もあり得る。
【0029】中空糸多孔質膜が被覆及び/又は目止めさ
れている部分は、中空糸多孔質膜のいづれの部分であっ
てもよい。例えば、外表面、内表面、多孔質部の外表面
寄り、多孔質部の内表面寄り、多孔質部中央部、及びこ
れらの複合や、多孔質部全体などであり得る。これらの
中で、膜の表面もしくは表面寄りであることが好まし
く、片側の表面もしくは表面寄りのみであることがさら
に好ましい。この場合、脱気膜としての使用に際し、液
体と接する側の表面もしくは表面寄りのみであることが
好ましい。
【0030】本発明に成る中空糸脱気膜の寸法は任意で
あるが、外径は0.1〜1mmの範囲が好ましく、0.1
5〜0.3mmの範囲がさらに好ましい。内径は外径の4
0〜85%の範囲にあることが好ましく、55〜70%
の範囲にあることがさらに好ましい。
【0031】酸素透過速度定数が1.0×10-6〜1.
0×10-1cm3(STP) cm-2-1・cmHg-1の範囲にあ
り、かつ、全膜面積に占める非多孔質膜部分の面積比y
が90〜99.9%の範囲にある本発明の脱気膜は、例
示した中空糸多孔質膜に、例示した被覆/目止に用いる
ことができる樹脂を含有する溶液の濃度及びコーティン
グ回数を適宜変更することによって容易に得られる。
【0032】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に
説明するが、これにより本発明がこれらの実施例の範囲
に限定されるものではない。
【0033】[実施例1] (脱気膜の製造)外径250μm、内径200μm、走
査型電子顕微鏡(SEM)で観察した外表面及び内表面
の平均孔径がそれぞれ0.24μm、0.19μmのポ
リプロピレン製多孔質中空糸膜の外側に、シリコン樹脂
(東芝シリコーン社製YE5822)のt−ブタノール
溶液をコートし、気流にて乾燥させる方法により、多孔
質部の外表面側がシリコン樹脂により被覆/目止めされ
た多孔質複合膜を作製した。SEM観察によると、シリ
コン樹脂の一部は細孔の外表面付近に入り込み、また一
部は中空糸膜の外表面を覆っていた。
【0034】この時、シリコン樹脂溶液の濃度及びコー
ティング回数を変えて、異なる気体透過/分離特性を有
する6種の脱気膜を作製した。これらの気体透過特性、
及びその値から前記式(1)によって計算される非多孔
部面積比yを表1に示した。
【0035】また、使用したポリプロピレン製中空糸多
孔質膜の酸素透過速度定数Q2は5.0×10-2[m
3(STP) cm-2-1 cmHg-1、シリコン樹脂の酸素透過
係数は180barrer、酸素/窒素分離係数α1
2.080であった。
【0036】(脱気モジュールの製作)このようにして
得た中空糸脱気膜を簾状に編んだシート状物を、多数の
孔が穿たれたパイプに巻きつけてこれをハウジングに納
め、中空糸両端部においてエポキシ樹脂により封止する
ことにより、膜面積(中空糸外表面積)40m2のクロ
スフロー外部潅流型脱気モジュールを作製した。
【0037】(脱気試験)作製した脱気モジュールの中
空糸外側に、温度20℃の水道水を毎時1トンの流量で
流し、中空糸内側を排気量200L/分の真空ポンプに
接続した。原水である水道水の溶存酸素濃度は7600
重量ppbであった。この時の、脱気モジュールから流
出する水の溶存酸素濃度の測定結果を表1に示した。
【0038】(接触角の測定)別途調製したポリプロピ
レンフィルムの水との接触角は95°、別途調整したシ
リコン樹脂塗膜の水との接触角は101°であった。
【0039】[比較例1]実施例1において、素材とし
て使用したポリプロピレン中空糸多孔質膜を被覆/目止
せずにそのまま使用したこと以外は実施例1と同様にし
て脱気モジュールを作製した。この脱気モジュールを使
用して、実施例1と同様にして測定した脱気試験の結果
を表1中に示した。
【0040】[比較例2]実施例1において、非多孔部
面積比yが76.9%と成るように被覆/目止した以外
は、実施例1と同様にして脱気膜及び脱気モジュールを
作製した。実施例1と同様にして測定した脱気試験の結
果を表1に示した。
【0041】[比較例3]実施例1において、非多孔部
面積比yが99.95%と成るように被覆/目止した以
外は、実施例1と同様にして脱気膜及び脱気モジュール
を作製した。実施例1と同様にして測定した脱気試験の
結果を表1に示した。
【0042】[比較例4]実施例1において、脱気膜と
して、酸素/窒素分離係数が、被覆/目止素材であるシ
リコン樹脂のそれと一致する脱気膜(非多孔部面積比1
00%)を使用した以外は、実施例1と同様にして脱気
膜及び脱気モジュールを作製した。実施例1と同様にし
て測定した脱気試験の結果を表1に示した。
【0043】
【表1】 (*:10-5cm3(STP) cm-2-1 cmHg-1
【0044】
【発明の効果】本発明の脱気膜は、公知の脱気用複合膜
と比較して、液体の漏洩や液体蒸気の過剰な透過を抑え
ながら、脱気速度を高くすることができるため、高度の
脱気が可能になる利点を有する。また、本発明の脱気膜
は、公知の脱気用複合膜と比較して、処理量が増大し、
処理液の残存気体濃度を低くすることができる。更に、
本発明の脱気膜によれば、より小形の脱気モジュールを
製造することができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空糸多孔質膜が重合体により被覆及び
    /又は目止めされた中空糸複合膜から成る脱気膜であっ
    て、酸素透過速度定数が1.0×10-6〜1.0×10
    -1cm3(STP) cm-2-1 cmHg-1の範囲にあり、 かつ下
    記式(1)で計算される全膜面積に占める非多孔質膜部
    分の面積比yが90〜99.9%の範囲にあることを特
    徴とする脱気膜。 【数1】 {式中、QOは、脱気膜の酸素透過速度定数[cm3(ST
    P) cm-2-1 cmHg-1]を表わし、QO2は、多孔部(=
    被覆及び/又は目止めされる前の多孔質膜)の酸素透過
    速度定数[cm3(STP) cm-2-1 cmHg-1]を表わし、
    O1は、非多孔部の素材(=被覆及び/又は目止樹脂)
    の酸素透過速度係数[cm3(STP) cm cm-2-1 cmH
    g-1]を表わす。 また、Lは、非多孔部の非多孔層の厚
    み[cm]であって、次式(2)で計算される値である。 【数2】 (式中、αは、脱気膜の酸素/窒素分離係数を表わし、
    α1 は、非多孔部(=被覆及び/又は目止樹脂)の酸素
    /窒素分離係数を表わし、α2 は、多孔部(=被覆及び
    /又は目止される前の多孔質膜)の酸素/窒素分離係数
    (=0.9357)を表わす。)}
  2. 【請求項2】 中空糸多孔質膜が、水との接触角が85
    °以上の重合体で構成されたものである請求項1記載の
    脱気膜。
  3. 【請求項3】 中空糸多孔質膜がポリオレフィンから構
    成されたものである請求項2記載の脱気膜。
  4. 【請求項4】 ポリオレフィンがポリプロピレンである
    請求項3記載の脱気膜。
  5. 【請求項5】 中空糸多孔質膜の被覆及び/又は目止に
    用いられる重合体が、水との接触角が90°以上の重合
    体から構成されたものである請求項1〜4のいずれか1
    項に記載の脱気膜。
  6. 【請求項6】 中空糸多孔質膜の被覆及び/又は目止に
    用いられる重合体が、シリコン樹脂である請求項5記載
    の脱気膜。
  7. 【請求項7】 被覆及び/又は目止めの部位が、中空糸
    膜の表面である請求項1〜6のいずれか1項に記載の脱
    気膜。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2000176261A (ja) * 1998-12-11 2000-06-27 Fuji Photo Film Co Ltd 水系塗工液の脱気方法
JP2009131824A (ja) * 2006-12-28 2009-06-18 Shin Etsu Polymer Co Ltd 選択透過材料及び空調システム

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