JPH10192224A - 多方向首振り構造 - Google Patents

多方向首振り構造

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JPH10192224A
JPH10192224A JP9000894A JP89497A JPH10192224A JP H10192224 A JPH10192224 A JP H10192224A JP 9000894 A JP9000894 A JP 9000894A JP 89497 A JP89497 A JP 89497A JP H10192224 A JPH10192224 A JP H10192224A
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JP
Japan
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bending
fixed
rotating
pulling wire
rotation
Prior art date
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Pending
Application number
JP9000894A
Other languages
English (en)
Inventor
Manabu Murayama
学 村山
Osamu Toyama
修 遠山
Masahisa Sugihara
正久 杉原
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Mitsubishi Cable Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Cable Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 首振り構造の細径化や形状記憶コイルばねの
伸縮制御を容易に行うことができ、任意の方向に首振り
させることができる多方向首振り構造の提供。 【解決手段】 光ファイバ1が貫通した先端リング11
に屈曲用牽引ワイヤ12の一端が固定され、他端が屈曲
用可動体10に固定されている。屈曲用可動体10を右
方向へ変位させることにより、屈曲用牽引ワイヤ12が
牽引され、先端リング11の屈曲用牽引ワイヤ12が固
定された方向に首振り動作を行う。回転用牽引ワイヤ1
4,15の一端が回転体13を回転させ得るように固定
され、他端が回転用アクチュエータ3の回転用可動体2
0にも固定されている。回転用可動体20を変位させる
ことにより、回転体13が回転して、屈曲部を含めた回
転部が回転する。従って、光ファイバ1を多方向に首振
りさせることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医療分野や工業分
野において、肉眼では見にくいような狭い場所での観察
をするために用いられるファイバスコープ等の長尺体を
多方向(複数方向)に首振りさせるための多方向首振り
構造に関する。
【0002】
【従来の技術】生体内や設備内の細部、屈曲した配管の
奥深くに挿入され、その先端側に付与された種々の機能
を発揮させることが可能な長尺状の機器が知られてい
る。例えば、ファイバスコープ、カテーテルやマニピュ
レーターなどが挙げられる。このような長尺状の機器に
対して、先端部や中間部の屈曲状態を自在に操作できる
ような機構を付与することが求められている。
【0003】上記の要求に応えるものとして、図8に示
すような、形状記憶合金の伸縮を利用して、ファイバス
コープ等の長尺体を屈曲させる機構のものが知られてい
る。図8は従来の首振り構造を示す断面図である。図8
に示す首振り構造においては、屈曲可能なコイルばね7
0の観察側端部に牽引ワイヤ71,72の一端が固定さ
れ、他端が形状記憶コイルばね73,74に固定されて
いる。形状記憶コイルばね73,74は、予め密巻状態
を記憶させておいて、伸張された状態でファイバスコー
プ1の長手方向に対して並列に配置されている。
【0004】図8に示す首振り構造は、形状記憶コイル
ばね73,74を加熱することにより首振り動作が行わ
れる。即ち、一方の形状記憶コイルばね73を加熱する
と、形状回復力により形状記憶コイルばね73が収縮
し、形状記憶コイルばね73に固定された牽引ワイヤ7
1が牽引されるので、コイルばね70が牽引ワイヤ71
側に屈曲する(図8に示した状態)。次いで、形状記憶
コイルばね73の加熱を止めると、形状回復力の低下と
ともに牽引力が弱まり、コイルばね70及び他方の形状
記憶コイルばね74の弾性力によりコイルばね70が元
の状態に復帰して、一方向の首振り動作が行われる。同
様に、他方の形状記憶コイルばね74を加熱すると、形
状記憶コイルばね74が収縮して、コイルばね70が牽
引ワイヤ72側に屈曲し、形状記憶コイルばね74の加
熱を止めると、コイルばね70が元の状態に復帰して、
反対方向の首振り動作が行われる。従って、図8に示す
首振り構造によれば、二方向に首振り動作を行うことが
できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図8に示す首
振り構造では、首振り方向の数に応じて形状記憶コイル
ばねを設ける必要があるので、複数方向に首振りをさせ
る場合には、同数の形状記憶コイルばねが必要となり、
首振り構造の細径化や形状記憶コイルばねの伸縮制御が
困難となる。
【0006】また、加熱時はもちろん加熱しない時にお
いても、形状記憶コイルばね73,74の弾性力により
牽引ワイヤに牽引力が加わるので、ファイバスコープ1
の首振り部が座屈してしまうことがある。これを防止す
るための部材を設けた場合には、該部材を設けることに
より首振り動作のために必要な力も大きくなり、形状記
憶コイルばね73,74を大きくする必要が生じ、首振
り構造の細径化がさらに困難になる。あるいは形状記憶
コイルばね73,74を大きくしなければ、首振り動作
が小さくなるという問題がある。
【0007】そこで、本発明は首振り構造の細径化や形
状記憶コイルばねの伸縮制御を容易に行うことができ、
任意の方向に首振りさせることができる多方向首振り構
造を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の多方向首振り構
造は、以下の特徴を有するものである。 (1)首振り部を有する長尺体の長手方向に変位し得る
屈曲用可動体に屈曲用牽引ワイヤの一端部が固定され、
該屈曲用牽引ワイヤの他端部が該首振り部の先端側に直
接的または間接的に固定され、該屈曲用可動体の変位に
より該屈曲用牽引ワイヤを牽引して、該長尺体を屈曲さ
せる屈曲機構と、該首振り部と該屈曲用牽引ワイヤとの
固定部分を該長尺体の軸に対して回転させ得る回転体を
回転させる回転機構とを有する、多方向首振り構造。
【0009】(2)首振り部を有する長尺体の首振り部
の先端側に固定された屈曲用牽引ワイヤを牽引すること
により該長尺体を屈曲させる屈曲機構と、該長尺体の長
手方向に変位し得る回転用可動体に回転用牽引ワイヤの
一端部が固定され、該回転用可動体の変位によって、該
首振り部と該屈曲用牽引ワイヤとの固定部分を該長尺体
の軸に対して回転させ得る回転体を回転させるべく、該
回転体に該回転用牽引ワイヤの他端部が固定された回転
機構とを有する、多方向首振り構造。
【0010】(3)首振り部を有する長尺体の長手方向
に変位し得る屈曲用可動体に屈曲用牽引ワイヤの一端部
が固定され、該屈曲用牽引ワイヤの他端部が該長尺体の
首振り部の先端側に直接的または間接的に固定され、該
屈曲用可動体の変位により該屈曲用牽引ワイヤを牽引し
て、該長尺体を屈曲させる屈曲機構と、該長尺体の長手
方向に変位し得る回転用可動体に回転用牽引ワイヤの一
端部が固定され、該回転用可動体の変位によって、該首
振り部と該屈曲用牽引ワイヤとの固定部分を該長尺体の
軸に対して回転させ得る回転体を回転させるべく、該回
転体に該回転用牽引ワイヤの他端部が固定された回転機
構とを有する、多方向首振り構造。
【0011】(4)該屈曲用及び/又は回転用可動体の
変位が形状記憶部材の形状回復力によるものである上記
(1)〜(3)いずれか記載の構造。
【0012】(5)該屈曲用及び/又は回転用可動体
が、長尺体の長手方向に直列に配置された二本のコイル
ばねの間に介在し、各コイルばねの可動体側端部が該可
動体に固定されており、二本のコイルばねのうち少なく
とも一方が形状記憶部材からなるコイルばねである上記
(1)〜(3)いずれか記載の構造。
【0013】(6)該屈曲用及び回転用可動体を変位さ
せる各手段が長尺体の長手方向に直列に配置された上記
(3)〜(5)いずれか記載の構造。
【0014】本発明において長尺体は、どのような断面
形状の柱状物であってもよいが、屈曲に方向性がないと
いう点からは円柱状物が好ましい。また、内部は中空、
中実のいずれであってもよい。本発明の多方向首振り構
造は、ファイバスコープ、カテーテルやマニピュレータ
ーなど、生体内や設備内の細部、屈曲した配管の奥深く
に挿入される器具に付与されることによって特に有用と
なる。
【0015】牽引ワイヤの端部と可動体又は長尺体との
固定は、直接的な固定、間接的な固定のいずれであって
もよく、ボルトなど固定用の機械要素を用いた固定、互
いに溶着された固定、リンク状の結合による固定、種々
の連結部品を介して連結された固定などが挙げられる。
特に牽引ワイヤにステンレス製のワイヤを用い、レーザ
溶接にて固定する方法は、容易でかつ高い接合強度が得
られるので好ましい。
【0016】牽引ワイヤは、弾性伸びが少なく引張り機
構による引張り量を適正に他端側に伝え、屈曲させるた
めに必要な張力に耐え得るものであればよいが、省スペ
ースの点からは細くて強いものが好ましく、また、クリ
ープの少ないものや、使用目的の環境に対して耐食性を
有するものがより好ましい。このような牽引ワイヤとし
ては、ステンレス、タングステンなどの金属製の極細線
などが好ましいものとして挙げられる。また、牽引ワイ
ヤの構造は、単糸であっても複数の素線が集合してなる
ものであってもよい。
【0017】長尺体の首振り部の先端側に固定された屈
曲用牽引ワイヤを牽引する手段、又は回転体を回転させ
る手段としては特に限定されず、例えば変位を大きくと
れることからコイルばねの弾性力による復帰動作を利用
したものが挙げられ、また加熱などにより形状回復して
復帰動作を示すなど駆動、制御が容易であることから、
特に形状記憶部材からなるコイルばねが好適に用いられ
る。
【0018】形状記憶部材は、形状記憶効果が発現する
条件が与えられればいつでも形状回復力により原形状に
復帰動作を行い得るものであってもよく、また、形状記
憶部材が原形状のままで使用に臨んで原形状から変形さ
れて、さらに原形状に復帰動作を行い得るものであって
もよい。形状記憶部材の原形状への復帰動作を伸張とす
るか、逆に収縮とするかは限定されず、目的に応じて選
択すればよい。
【0019】形状記憶部材は、上記形状記憶効果を示す
ものならば、形状記憶合金であっても形状記憶ポリマで
あってもよいが、形状記憶部材自体への通電による加熱
が可能であることや、発生力が大きいことから、形状記
憶合金が特に好ましい。
【0020】形状記憶合金としては、Ti−Ni系、銅
系、ステンレス系の合金が好ましく、Ti−Ni系合
金、Ti−Ni−Cu系合金、Ti−Ni−Fe系合
金、Ni−Al系合金、Ag−Cd系合金、Au−Cd
系合金、Cu−Al−Ni系合金、Cu−Zn−Al系
合金、In−Tl系合金、In−Cd系合金などが挙げ
られる。一般的には、強度、耐食性や信頼性の点では、
Ti−Ni系のものが優れており、加工性や経済性の点
では銅系のものが優れている。
【0021】
【作用】本発明の多方向首振り構造によれば、長尺体の
首振り部の先端側に固定された屈曲用牽引ワイヤを牽引
することにより長尺体を屈曲させることができ、また長
尺体の首振り部と牽引ワイヤとの固定部分を長尺体の軸
に対して回転し得る回転体を回転させることができる。
従って、長尺体を屈曲させる機構と、回転体を回転させ
る機構との二つの機構を組み合わせることにより、任意
の方向に首振りさせることができる。多方向の首振り動
作を二つの機構を制御するだけで行うことができ、制御
が容易である。また、長尺体の長手方向に変位し得る屈
曲用及び回転用可動体を変位させることにより、牽引ワ
イヤを牽引することができるので、長尺体を屈曲させ、
あるいは回転体を回転させることができる。
【0022】屈曲用及び/又は回転用可動体が、長尺体
の長手方向に直列に配置された二本のコイルばねの間に
介在し、各コイルばねの可動体側端部が該可動体に固定
されている場合には、一方のコイルばねの収縮又は伸張
による屈曲動作後、他方のコイルばねの弾性力によって
元の状態へ速く戻すことができ、応答性が良くなる。ま
た、首振り動作が行われない状態のとき、二本のコイル
ばねがつりあい状態となり、屈曲用牽引ワイヤに牽引力
が加わらない状態にして、首振り部の座屈を防止するこ
とができる。二本のコイルばねのうち少なくとも一方が
形状記憶部材からなるコイルばねである場合には、コイ
ルばねの収縮又は伸張の制御が容易となり好ましい。
【0023】屈曲用及び回転用可動体を変位させる各手
段が長尺体の長手方向に直列に配置されていれば、多方
向首振り構造の細径化が容易となる。
【0024】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の多方向首振り構
造の一実施態様を用いたファイバスコープの断面図であ
る。図1のファイバスコープは、長尺体である光ファイ
バ1と、光ファイバ1が長手方向に貫通するアクチュエ
ータ2,3と、光ファイバ1及びアクチュエータ2,3
を被覆する、ポリイミド等からなる外被チューブ4とか
ら主として構成されている。両アクチュエータ2,3の
うち一方のものは、ファイバスコープの首振り部を屈曲
させるための屈曲用アクチュエータ2であり、他方のも
のはファイバスコープの回転部を回転させるための回転
用アクチュエータ3である。
【0025】屈曲用アクチュエータ2は、外被チューブ
4内に固定されたステンレス製等のパイプ5と、パイプ
5の両端にて固定された円筒状の固定部材6,7と、両
固定部材6,7の間に直列状態で挿入された二本のコイ
ルばね8,9と、二本のコイルばね8,9の間に設けら
れた中空を有する円板状の屈曲用可動体10とからそれ
ぞれ構成されている。各コイルばね8,9は、一端が固
定部材6,7に、他端が屈曲用可動体10にそれぞれ固
定されている。
【0026】外被チューブ4の観察側端部には、光ファ
イバ1が貫通した先端リング11が固定されている。屈
曲用可動体10には先端リング11を牽引するための屈
曲用牽引ワイヤ12の一端が固定され、屈曲用牽引ワイ
ヤ12の他端が先端リング11の周面に固定されてい
る。
【0027】両アクチュエータ2,3の間には、屈曲用
アクチュエータ2を含む外被チューブ4の観察側(回転
部)を回転させるために、光ファイバ1の軸に対して回
転し得る、径が異なる二つの円筒体からなる回転体13
が設けられ、回転体13の径が大きな円筒体の観察側面
には、屈曲用アクチュエータ2の固定部材7が固定され
ている。
【0028】回転用アクチュエータ3の構造は、基本的
には屈曲用アクチュエータ2の構造と同様であるが、回
転用可動体20に二本の回転用牽引ワイヤ14,15の
各一端が固定されていることが屈曲用アクチュエータ2
の構造と相違する。回転用牽引ワイヤ14,15をそれ
ぞれ回転体13へと導くための案内管16,17が、外
被チューブ4内の径方向両端(光ファイバ1の軸を中心
として相互に対極する位置)に固定されている。両回転
用牽引ワイヤ14,15は、回転用可動体20から相互
に離反する方向に延びて、案内管16,17内を通って
回転体13へと導かれ、回転体13の径が小さな円筒体
の周面の異なる位置(光ファイバ1の軸を中心として相
互に対極する位置)に、その他端が固定されており、一
方の回転用牽引ワイヤ15は回転体13の径が小さな円
筒体の周面を螺旋状に略一周巻いた状態で固定されてい
る。
【0029】両アクチュエータ2,3における屈曲用及
び回転用可動体10,20は、二本のコイルばね8,9
の間に介在しているので、一方のコイルばねの収縮又は
伸張による屈曲動作後、他方のコイルばねの弾性力によ
って元の状態へ速く戻すことができ、応答性が良くな
る。また、首振り動作が行われない状態のとき、二本の
コイルばね8,9がつりあい状態となり、屈曲用牽引ワ
イヤ12に牽引力が加わらない状態にして、首振り部の
座屈を防止することができる。コイルばね8,9の一方
が形状記憶部材からなる場合には、コイルばねの収縮又
は伸張の制御が容易となり好ましく、また両コイルばね
8,9がともに形状記憶部材からなる場合には、屈曲状
態から元の状態に戻る動作をより速くすることができ、
さらに好ましい。
【0030】なお、変態及び逆変態により二方向に形状
回復する二方向性の形状記憶部材を用いてコイルばねと
した場合には、コイルばねは形状回復力により収縮及び
伸張するので、一本のコイルばねで可動体を自在に変位
させることができる。
【0031】形状記憶部材からなるコイルばね(以下
「形状記憶コイルばね」ともいう。)は、使用時におけ
る外部の温度変化によっても動作することが可能である
が、形状記憶効果を発現させるための加熱手段を設ける
ことが好ましい態様である。加熱手段は限定さず、例え
ば、二条コイルのように形状記憶コイルばねの素線に
沿って設けられる線状の熱源、または形状記憶合金自
体に対する通電などが挙げられる。
【0032】上記の形状記憶コイルばねに沿って設け
られる熱源としては、発熱体であっても発熱能力のない
熱伝導体であってもよい。発熱体としては、電気エネル
ギーによって発熱するヒータや温度降下する素子が制御
性の観点から好適である。熱伝導体としては、熱伝導性
の良好な銀、銅、アルミニウム、鉄、タングステン、ス
テンレス鋼等の金属線が好ましい。熱伝導体は、加熱手
段や冷却手段に接続されることで、加熱、冷却の両方に
用いられる。
【0033】また、形状記憶コイルばねに沿って熱伝導
体を設け、手元側の端部から熱伝導体までは光ファイバ
を敷設し、該光ファイバを用いてレーザ光を熱伝導体に
照射し形状記憶コイルばねを加熱する方法が挙げられ
る。
【0034】屈曲用及び回転用可動体10,20の材質
について特に制限はないが、形状記憶コイルばねの加熱
を通電加熱により行う場合、リード線の接続が容易であ
るなどの理由から、屈曲用及び回転用可動体10,20
は導電性を有するものが好ましい。
【0035】図2は、図1におけるファイバスコープの
回転部における屈曲動作を説明するための断面図であ
る。屈曲用アクチュエータ2のコイルばね9が予め密巻
状態を記憶させた一方向性の形状記憶コイルばねであっ
て、伸張状態にて屈曲用可動体10及び固定部材7に固
定されている場合には、コイルばね9を加熱すると、コ
イルばね9の形状回復力によりコイルばね9は収縮し、
コイルばね9に固定された屈曲用可動体10が変位す
る。図2において屈曲用可動体10は右方向へ変位す
る。屈曲用可動体10の変位により、先端リング11の
周面に固定された屈曲用牽引ワイヤ12が牽引され、光
ファイバ1が外被チューブ4とともに、先端リング11
の屈曲用牽引ワイヤ12が固定された方向に屈曲動作を
行う。
【0036】コイルばね9の加熱を停止するか、あるい
はコイルばね9を冷却すると、コイルばね9の形状回復
力の低下とともに、光ファイバ1、外被チューブ4及び
他方のコイルばね8の弾性力によってコイルばね9が伸
張し、屈曲用可動体10が元の位置へ次第に変位し、屈
曲用牽引ワイヤ12に働く牽引力が次第に弱まる。従っ
て、首振り部が屈曲状態から元の状態に戻り、首振り動
作が行われる。
【0037】図3は、図1に示された回転機構を説明す
るための概略図である。図4は、回転体13の回転動作
を説明するための図であり、図4〔A〕は図3に示され
たA方向から見た図、図4〔B〕は図3における回転体
13部分の拡大図である。図4(a)に示されるよう
に、案内管16,17は、光ファイバ1の軸を中心とし
て相互に対極する位置に設けられ、案内管16,17の
開口部が回転体13の操作側(図4において軸方向の下
方)に位置している。回転用牽引ワイヤ14,15の端
部は、案内管16,17よりも観察側(図4において軸
方向の上方)であって、回転体13の周縁近傍に固定さ
れ、一方の回転用牽引ワイヤ15は回転体13の周面を
螺旋状に略一回転して巻きついている。図4(a)にお
いては、回転用牽引ワイヤ15が回転体13に固定され
た箇所を始点として、回転用牽引ワイヤ15は図4
〔A〕において時計回り(右回り)に巻きついている。
また、回転用牽引ワイヤ14が回転体13に固定された
箇所から案内管16の開口部までの距離が最短となって
いる。図4(a)において、牽引ワイヤ15が回転体1
3に固定された箇所は、図4〔A〕において時計の3時
の位置にあり、回転用牽引ワイヤ14が回転体13に固
定された箇所は、図4〔A〕において時計の9時の位置
にある。
【0038】回転用アクチュエータ3における回転用可
動体20の変位により(図3における回転用可動体20
の右方向への変位により)、回転用牽引ワイヤ15が牽
引され,回転体13は光ファイバ1の軸を中心として図
3におけるA方向から見て時計回りに回転する。これに
伴って、他方の回転用牽引ワイヤ14は、回転用牽引ワ
イヤ14が回転体13に固定された箇所を始点として、
図3におけるA方向から見て反時計回り(左回り)に回
転体13の周面を螺旋状に巻きついていく〔図4(b)
〜(d)〕。図4(b)〜(d)は、回転用牽引ワイヤ
15が回転体13に固定された箇所が、それぞれ図4
〔A〕において時計の6時、9時、12時の位置にある
状態を示している。
【0039】そして、回転用牽引ワイヤ15が回転体1
3に固定された箇所と、案内管17の開口部とが、回転
体13の周方向において同じ位置(図4〔A〕において
時計の3時の位置)となったとき、回転用牽引ワイヤ1
5が回転体13に固定された箇所から案内管17の開口
部までの距離が最短となり、回転体13の回転が停止す
る〔図4(e)〕。このとき、回転用牽引ワイヤ14は
回転体13の周面を螺旋状に略一回転して巻きついてい
る。このようにして、回転体13は一回転の動作を行う
ことができる。
【0040】図5は回転機構の別の実施態様を説明する
ための概略図であり、図6〔A〕は図5に示すA方向か
ら見た図、図6〔B〕は図5に示すB方向から見た図で
ある。本実施態様が図3に示される態様と異なるのは、
両案内管16,17が互いに接触して外被チューブ4
内に固定されていること、両牽引ワイヤ14,15の
端部が回転体13の周面の同じ箇所で固定され、両牽引
ワイヤ14,15が全体として回転体13の周面を略一
回転して巻きついていることである。なお、牽引ワイヤ
として一本のループ状のワイヤを用い、そのワイヤの一
部を回転体13の周面に一点で固定してもよい。
【0041】本実施態様の回転動作は、図3に示される
態様の動作と同様であり、図5の回転用アクチュエータ
3における回転用可動体20が右方向へ変位することに
より、回転用牽引ワイヤ15が牽引されると、回転体1
3は図6〔A〕において時計回りに回転する。同様に回
転用牽引ワイヤ14が牽引されると、回転体13は図6
〔A〕において反時計回りに回転する。このようにし
て、回転体13を略一回転させることができる。
【0042】本実施態様の回転動作が図3に示される態
様の動作と異なる点は、本実施態様では回転体13が一
回転する間において両回転用牽引ワイヤ14,15が全
体として回転体13の周面を常に略一回転して巻きつい
ている点である。従って、本実施態様では、両回転用牽
引ワイヤ14,15が回転動作中に互いに干渉すること
なく、円滑に回転体13を回転させることができる。
【0043】以上のように、図1に示すファイバスコー
プによれば、一方向にだけ屈曲する屈曲機構全体(回転
部)を、回転機構により光ファイバ1を軸として一回転
させることができるので、任意の方向に首振り動作を行
うことができる。
【0044】図7は、本発明の多方向首振り構造の他の
実施態様を用いたファイバスコープの断面図である。図
7に示される屈曲機構及び回転機構は基本的に図1に示
されるものと同様であるが、本態様の多方向首振り構造
では、回転体13に屈曲用牽引ワイヤ12が固定され、
屈曲用牽引ワイヤ12は光ファイバ1を軸として一回転
させることができる。具体的には、回転体13は、両ア
クチュエータ2,3の間ではなく、外被チューブ4内の
観察側端部に、光ファイバ1を軸として略一回転し得る
ように固定されている。回転体13の操作側(図7にお
いて右方向)周縁に屈曲用牽引ワイヤ12の端部が固定
されている。また、屈曲用牽引ワイヤ12が回転体13
に固定された箇所の回転に追従して、屈曲用牽引ワイヤ
12が光ファイバ1の軸と常に略平行に保持するための
円形の支持板18が、固定箇所と屈曲用アクチュエータ
2との間に設けられている。
【0045】図7に示すファイバスコープによれば、首
振り部全体を回転させるのではなく、回転体13だけを
回転させることにより、回転体13に固定された牽引ワ
イヤ12を光ファイバ1を軸として回転させることがで
きる。従って、回転体13を回転させることにより、屈
曲方向を光ファイバ1を軸として回転させることができ
るので、任意の方向に首振り動作を行うことができる。
【0046】図1及び図7に示される多方向首振り構造
においては、屈曲用アクチュエータ2が観測側にあり、
回転用アクチュエータ3が操作側にあるが、これらの位
置関係は逆であってもよく、また両アクチュエータ2,
3が光ファイバ1の長手方向に対して並列に設けられて
いてもよいが、両アクチュエータ2,3が光ファイバ1
により貫通され、光ファイバ1の長手方向に直列に配置
されていることは、ファイバスコープの細径化の観点か
ら好ましい。
【0047】本発明の多方向首振り構造を、長尺体の長
手方向全長における任意の部位に任意の数だけ配置する
ことによって、マニピュレータのように自由度の高い屈
曲アームを得ることができる。また、本発明の多方向首
振り構造を屈曲の関節として用い、長尺体に限らず所望
の形状の物体同士を連結してもよい。
【0048】
【発明の効果】本発明の多方向首振り構造によれば、長
尺体を屈曲させる機構と、回転体を回転させる機構との
二つの機構を組み合わせることにより、任意の方向に首
振りさせることができる。多方向の首振り動作が二つの
機構を制御するだけで行うことができ、制御が容易であ
る。
【0049】屈曲用及び/又は回転用可動体が、長尺体
の長手方向に直列に配置された二本のコイルばねの間に
介在し、各コイルばねの可動体側端部が該可動体に固定
されている場合には、一方のコイルばねの収縮又は伸張
による屈曲動作後、他方のコイルばねの弾性力によって
元の状態へ速く戻すことができ、応答性が良くなる。ま
た、首振り部の座屈を防止することができる。二本のコ
イルばねのうち少なくとも一方が形状記憶部材からなる
コイルばねである場合には、コイルばねの収縮又は伸張
の制御が容易となり好ましい。
【0050】屈曲用及び回転用可動体を変位させる各手
段が長尺体の長手方向に直列に配置されていれば、多方
向首振り構造の細径化が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多方向首振り構造の一実施態様を用い
たファイバスコープの断面図である。
【図2】図1におけるファイバスコープの回転部におけ
る屈曲動作を説明するための断面図である。
【図3】図1に示された回転機構を説明するための概略
図である。
【図4】回転体13の回転動作を説明するための図であ
り、図4〔A〕は図3に示されたA方向から見た図、図
4〔B〕は図3における回転体13部分の拡大図であ
る。
【図5】回転機構の別の実施態様を説明するための概略
図である。
【図6】図5に示されたA方向〔A〕及びB方向〔B〕
から見た図である。
【図7】本発明の多方向首振り構造の他の実施態様を用
いたファイバスコープの断面図である。
【図8】従来の首振り構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ファイバスコープ(長尺体) 10 屈曲用可動体 12 屈曲用牽引ワイヤ 13 回転体 14,15 回転用牽引ワイヤ 20 回転用可動体

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 首振り部を有する長尺体の長手方向に変
    位し得る屈曲用可動体に屈曲用牽引ワイヤの一端部が固
    定され、該屈曲用牽引ワイヤの他端部が該首振り部の先
    端側に直接的または間接的に固定され、該屈曲用可動体
    の変位により該屈曲用牽引ワイヤを牽引して、該長尺体
    を屈曲させる屈曲機構と、 該首振り部と該屈曲用牽引ワイヤとの固定部分を該長尺
    体の軸に対して回転させ得る回転体を回転させる回転機
    構とを有する、多方向首振り構造。
  2. 【請求項2】 首振り部を有する長尺体の首振り部の先
    端側に固定された屈曲用牽引ワイヤを牽引することによ
    り該長尺体を屈曲させる屈曲機構と、 該長尺体の長手方向に変位し得る回転用可動体に回転用
    牽引ワイヤの一端部が固定され、該回転用可動体の変位
    によって、該首振り部と該屈曲用牽引ワイヤとの固定部
    分を該長尺体の軸に対して回転させ得る回転体を回転さ
    せるべく、該回転体に該回転用牽引ワイヤの他端部が固
    定された回転機構とを有する、多方向首振り構造。
  3. 【請求項3】 首振り部を有する長尺体の長手方向に変
    位し得る屈曲用可動体に屈曲用牽引ワイヤの一端部が固
    定され、該屈曲用牽引ワイヤの他端部が該長尺体の首振
    り部の先端側に直接的または間接的に固定され、該屈曲
    用可動体の変位により該屈曲用牽引ワイヤを牽引して、
    該長尺体を屈曲させる屈曲機構と、 該長尺体の長手方向に変位し得る回転用可動体に回転用
    牽引ワイヤの一端部が固定され、該回転用可動体の変位
    によって、該首振り部と該屈曲用牽引ワイヤとの固定部
    分を該長尺体の軸に対して回転させ得る回転体を回転さ
    せるべく、該回転体に該回転用牽引ワイヤの他端部が固
    定された回転機構とを有する、多方向首振り構造。
  4. 【請求項4】 該屈曲用及び/又は回転用可動体の変位
    が形状記憶部材の形状回復力によるものである請求項1
    〜3いずれか記載の構造。
  5. 【請求項5】 該屈曲用及び/又は回転用可動体が、長
    尺体の長手方向に直列に配置された二本のコイルばねの
    間に介在し、各コイルばねの可動体側端部が該可動体に
    固定されており、二本のコイルばねのうち少なくとも一
    方が形状記憶部材からなるコイルばねである請求項1〜
    3いずれか記載の構造。
  6. 【請求項6】 該屈曲用及び回転用可動体を変位させる
    各手段が長尺体の長手方向に直列に配置された請求項3
    〜5いずれか記載の構造。
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