JPH10186119A - 光学フィルタの製造方法 - Google Patents

光学フィルタの製造方法

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JPH10186119A
JPH10186119A JP34104096A JP34104096A JPH10186119A JP H10186119 A JPH10186119 A JP H10186119A JP 34104096 A JP34104096 A JP 34104096A JP 34104096 A JP34104096 A JP 34104096A JP H10186119 A JPH10186119 A JP H10186119A
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gel
sol
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glass
filament
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JP34104096A
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Soushiyou Fukuoka
荘尚 福岡
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B19/00Other methods of shaping glass
    • C03B19/12Other methods of shaping glass by liquid-phase reaction processes

Abstract

(57)【要約】 【課題】 位相差型光学フィルタおよびレンズ一体型の
光学フィルタの製造方法を提供する。 【解決手段】 ゾルからゲルを形成する容器中に、ゾル
中の金属成分の濃度を周囲の値に比べて変化させる帯電
した部材、もしくは電位を印加することができる部材の
少なくとも1個の糸状体、棒状体を配置するか、または
ゲルに取りこまれてガラス化し、周囲のガラスとは屈折
率が異なる領域を形成する少なくとも1個の糸状体、棒
状体を配置してゲル化した後にガラス化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゾルゲル法による
ローパスフィルタ等の位相差型光学フィルタおよび屈折
率分布を有したローパスフィルタ等の位相差型光学フィ
ルタ一体レンズおよびモザイクフィルタの製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、多孔体を経由したガラスおよびセ
ラミックスの製造方法として、例えば金属アルコキシ
ド、水ガラス、シリカなどの酸化物粒子を原料としたゾ
ルゲル法が知られている。これは、コロイド粒子が分散
したゾルを作製し、ゲル化させて湿潤ゲル多孔体を作製
し、これを乾燥、焼成して多孔質および緻密なガラスま
たはセラミックスを作製する方法である。
【0003】従来、例えば屈折率分布を有するガラス体
の製造方法として、ゾルゲル法が用いられている。例え
ば、特開平3−295818号公報には、少なくとも一
種の屈折率分布を付与するための金属成分を含有するシ
リカゾルを調製し、ゲル化させた後に、この湿潤ゲルを
水溶液などの上記金属成分を溶解・拡散しうる液中に浸
漬し、屈折率分布を付与する金属成分を溶出後、ゲル中
の溶媒を交換して、ゲル内の細孔に金属塩の微結晶を沈
澱させて、前記金属塩の濃度分布を固定し、乾燥、焼成
するという方法が提案されている。また、特開平61−
183136号公報には、少なくとも一種の金属成分を
含有するシリカゾルを調整し、ゲル化させた後に、この
ウェットゲルを酸などの上記金属成分を溶解・拡散しう
る溶液に浸漬し、屈折率分布を付与する金属成分を溶出
して、前記金属成分に濃度分布を付与した後、乾燥、焼
成するという方法が提案されている。
【0004】一方、CCD等の撮像素子を用いた光学系
にはモアレを除去するために光学的ローパスフィルタが
用いられている。このローパスフィルタは水晶等の複屈
折を利用した複屈折型フィルタ、あるいは特開平48−
27743号に記載されたスパッタリングなどによりガ
ラスの表面に縞状の周期構造の薄膜により位相差を与え
た位相差型フィルタ等がある。また、屈折率Noの基板
内にNoと異なる屈折率Nの領域を周期性をもって形成
したローパスフィルタをイオン交換法によって作製する
ことが特開平61−149923号公報に示されてい
る。水晶の複屈折を用いたローパスフィルタは、原料お
よび加工のコストが非常に高価であり、加工も難しく大
量生産は難しく、また装置の小型化に欠かせないレンズ
一体型のローパスフィルタは加工が難しく製造は困難で
あった。また、特開昭48−27743号に示されてい
るスパッタリング等によりガラス等の基板の表面に周期
的に特定の構造を繰り返す薄膜を作製する方法では、薄
膜の膜厚の精度の非常に高精度な制御を必要とした。
【0005】また、装置の小型化のために、レンズ自体
にローパスフィルタ機能を付与することが考えられる。
このためには、スパッタリングによりレンズ上に周期的
に特定の構造を繰り返す薄膜を形成すればよいが、レン
ズの曲面上に周期的な繰り返し構造を有する薄膜を精度
良く形成することは、平面状の基体上に形成する場合に
比べて難しかった。そのうえ、研磨、スパッタリングと
いう2つの工程が必ず必要になり、工程が複雑になり、
量産には多くの工数が必要であった。
【0006】また、特開昭61−149923号に示さ
れているイオン交換により部分的に屈折率の高い領域を
作る方法は、イオン交換反応は高温で行う必要があり、
母材ガラスが変形することがあった。また、この方法に
よりレンズ一体型のローパスフィルタを製造するために
は、レンズを研磨して曲面加工した後に、イオン交換し
なければならないので、レンズ自体が変形することもあ
り、そのうえ、レンズの屈折率を変える部分にマスクを
設けてイオン交換しなければならないので、研磨・マス
ク・イオン交換のように工程が複雑になり、量産には不
向きであった。
【0007】以上のように、従来の製造方法では、ガラ
スやレンズの表面に精密な処理を行うことによりローパ
スフィルタを製造していたので、量産には複雑な工程が
必要であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる従来の
問題点に鑑みてなされたもので、より少ない工程で光学
フィルタやローパスフィルタ等の位相差型光学フィルタ
を高精度で量産する方法、およびレンズ一体型の光学フ
ィルタ、屈折率分布とローパスフィルタ機能を有した光
学フィルタの製造方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、ゾルのゲル化
による光学フィルタの製造方法において、ゾルからゲル
を形成する容器中に、ゾル中の金属成分の濃度を周囲の
値に比べて変化させる少なくとも1個の糸状体、棒状体
を配置してゾルをゲル化させた後に、得られたゲルを乾
燥の後にガラス化する光学フィルタの製造方法である。
また、金属成分の濃度を変化させる糸状体、棒状体が帯
電した部材、もしくは電位を印加することができる部材
である前記の光学フィルタの製造方法である。糸状体、
棒状体が金属、導電性有機物、炭素、導電性ガラス、導
電性セラミックスから選ばれる前記の光学フィルタの製
造方法である。
【0010】また、ゾルのゲル化による光学フィルタの
製造方法において、ゾルからゲルを形成する容器中に、
ゲルに取りこまれてガラス化し、周囲のガラスとは屈折
率が異なる領域を形成する少なくとも1個の糸状体、棒
状体を配置してゾルをゲル化させた後に、得られたゲル
を乾燥の後にガラス化する光学フィルタの製造方法であ
る。糸状体、棒状体は、少なくともガラスまたはゾルゲ
ル法により作製したゲルのいずれかから選ばれたもので
ある前記の光学フィルタの製造方法である。糸状体、棒
状体は、屈折率分布を有しているものである前記の光学
フィルタの製造方法である。糸状体、棒状体が周期性を
もって配置されている前記の光学フィルタの製造方法で
ある。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、ゾルをゲル化する際
に、ゾル中に電位が異なる領域を設け、電位によって屈
折率に寄与する成分の濃度が周囲と異なる領域を形成し
た状態でゲル化した後にガラス化することによって、ロ
ーパスフィルタ等の位相差型光学フィルタ、さらには位
相差光学フィルタ一体レンズ、モザイクフィルタを製造
するものである。
【0012】ゾル中に形成する電位の異なる領域は、ゾ
ル中に帯電した部材、あるいは導電性部材を配置して電
位を印加することによって形成することができるが、こ
れらの部材として、帯電した繊維あるいは導電性繊維を
配置して電位の異なる領域を形成して金属成分の濃度に
分布を形成することが好ましい。
【0013】本発明の製造方法においては、ゾル中に設
ける帯電した部材、あるいは導電性部材としては、ゲル
形成容器もしくは容器以外の箇所に少なくとも一箇所に
おいて固定した糸状体、棒状体もしくは管状体の少なく
ともいずれか1種(以下、これらを糸状体等とも称す)
を配置した容器中にゾルを流し込むと、容器に配置した
糸状体等の比重がゾルの比重と異なっていても、糸状体
が容器もしくは容器以外の箇所において取り付けられて
いるので、糸状体等を所望の位置に配してゲルを作製す
ることができる。
【0014】ゾル中の金属成分は正または負の電荷を有
している。したがって、この糸状体に正電位を有する部
材を用いると、ゾルまたはゲル中の負電荷を有した金属
成分が糸状体に引き寄せられて近傍に集まり、正電荷を
有した規則成分が糸状体と反発して遠ざかる。逆にこの
糸状体に負電位を有する糸状体を用いると、ゾルまたは
ゲル中の正電荷を有した金属成分が糸状体に引き寄せら
れて近傍に集まり、負電荷を有した金属成分が糸状体と
反発して遠ざかる。このようにすると、糸状体の配置の
仕方によって金属成分にランダムまたは周期性を持った
分布を付与することができる。そこで、この金属成分の
分布を固定し、例えば金属成分の溶解度が低い溶液にゲ
ルを浸漬する。
【0015】この後に、ゲルを乾燥、焼成することによ
り部分的に屈折率が異なったガラス体が得られる。この
ようにガラスの内部に屈折率が部分的に異なる部分が存
在するので、ガラス体から切りだして研磨することによ
りローパスフィルタ等の位相差型光学フィルタを量産す
ることができる。このとき、研磨で曲面加工を施すこと
によってレンズ一体型のローパスフィルタ等の位相差型
光学フィルタを大量生産することができる。以上のよう
な電位を有する帯電性を有する糸状体には、例えばナイ
ロン、セルロースに処理を施し、正の電荷を付与したも
の、イオン交換樹脂を繊維状に加工したものを挙げるこ
とができる。
【0016】また、ゲル内に外部より電位を印加するこ
とが可能な糸状体として、金属、導電性有機物、炭素、
導電性ガラス、導電性セラミック等の導電性部材を挙げ
ることができる。電位を印加する場合には、直流電流を
用いることが好ましい。糸状体の対極は、ゾルをゲル化
させる容器の一部の側面や底面に配置することができ、
容器の一部を対極とすることもできる。また、ゾルをゲ
ル化させた後に取り出して、ゲルを溶液に浸漬するとき
に電位を印加する場合は、液中に対極を配置すればよ
い。このとき、対極とゲルの糸状体からの距離ができる
だけ等距離になるようにゲルの周囲を取り囲むような形
状の対極を配置することが好ましい。また、配置する糸
状体を対極とすることも可能であり、正極、負極を交互
に配置することも可能であり、ランダムにまたは任意の
位置に配置することができる。
【0017】導電性有機物には、ポリアセチレン系、ポ
リフェニレン系、複素環ポリマー、イオン性ポリマー、
ラダーおよびネットワーク状ポリマーを用いることがで
きる。ゾル中には酸やアルカリが含まれていることが多
いので、化学的な耐性の高い材料が好ましい。金属で
は、金や白金などの貴金属が耐性が高いので好ましく、
導電性有機物、炭素はゲルの焼成時に焼失してしまうの
で、取り除く必要がないので好ましい。導電性ガラスは
取り除かずにそのままガラス化してもよい。
【0018】また、電位を有する糸状体、外部から電位
を印加する糸状体として、ゲルと一体にゲル化する糸状
体をゲル中に配置し、この糸状体にゲル母材と屈折率が
異なる繊維を用いることことにより、部分的に屈折率の
異なる部分を作ることができる。このようにすると、糸
状体の配置の方法によって金属成分にランダムにまたは
周期性を持った分布を付与することができる。
【0019】このような目的で用いる糸状体としては、
ガラスまたはゾルゲル法により作製したゲル繊維または
ガラス繊維を用いると良い。これらの繊維をゲル中に配
置してゲルを処理すると、乾燥・焼成後に容易にゲルと
一体化してガラス化するので好ましい。特にゾルゲル法
により作製したガラス繊維を用いると、組成を比較的自
由に選択できるので、基体となる部分との屈折率差の制
御が容易となるので好ましい。
【0020】このように作製したゲルを乾燥・焼成する
ことにより部分的に屈折率が異なったガラス体が得られ
る。このガラス体よりガラスブロックを複数個切り出
し、研磨することによりローパスフィルタ等の位相差型
光学フィルタを大量生産することができる。
【0021】本発明で、屈折率が部分的に異なる部分を
形成する場合等は、形成すべき屈折率の異なる部分の大
きさに応じて糸状体の太さが決定されるが、容器中に繊
維を配置する工程等から0.1μm以上であることが好
ましく、0.5μm〜5μmであることがより好まし
い。
【0022】容器への糸状体の配し方は、様々な方法が
挙げられる。例えば、ゾルと糸状体の比重がほぼ同じ場
合は、ゾルを流し込む容器の一部に糸状体を取り付けて
おけば、所望の位置に糸状体を配することができる。比
重が異なる場合は、糸状体とゾルの比重の違いを利用し
て、重力や遠心力等の加速度を利用して糸状体を所望の
位置に配することができる。一端を固定し、ゾルを流し
て流れの方向に糸状体を流して、所望の位置に糸状体を
配することができる。糸状体の両端を容器に接続してお
くか、糸状体の一端を容器に固定し、もう一端を重りに
固定して、重力または遠心力をかければ比重の関係なく
所望の位置に糸状体を配することができる。
【0023】容器中に配する糸状体の配置が規則的であ
ると、上述したように部分的な金属成分の濃度分布に規
則的な分布を付与することができる。これにより、特開
昭61−149923号に提案されているような位相差
型のローパスフィルタを容易に量産することができる。
規則的な配置のピッチPは例えばカラーCCDの場合P
・sinθ=nλで示される。ここで、θはCCDのピ
ッチをPCCD 、ローパスフィルタとCCDの距離をDと
したときに図4に示される角度である。したがって、位
相差型のローパスフィルタは、電子撮像光学系に用いる
CCD等の撮像素子の大きさ、ローパスフィルタとCC
D等の撮像素子の距離等により、位相差を発生させる部
位のピッチや山の高さが異なる。
【0024】本発明は、容器中に配する糸状体の配置に
より位相差を発生させる部位のピッチが決定され、糸状
体を規則的に配置できれば原理的には位相差を発生させ
る部位のピッチには制限はなく、所望のピッチを有する
ローパスフィルタを製造することができる。ゾルゲル法
で得られるガラスはゲルに比べて収縮が大きく、糸状体
を配置したピッチと最終的な製品のローパスフィルタの
ピッチは概ね1/2程度になる。この数値は製造する組
成により異なるので調整は必要であるが、この収縮を鑑
みて糸状体のピッチを決定すればよい。
【0025】また、位相差を発生させる山の高さに相当
するのは、ガラス中に発生させる屈折率差である。した
がって、用いる糸状体の種類、ゲルの処理条件から決定
される。また、赤、青、緑等の着色したゲル繊維やガラ
ス繊維等の糸状体を用い、CCDのピッチに合わせてゲ
ルの収縮を考慮して、ゲル中に配置すれば、カラーCC
D等に用いることのできるモザイクフィルタを製造する
ことができる。
【0026】図1に、位相差型光学フィルタの製造方法
の一例を示す。図1(A)に示すように、容器1内に電
位を有する糸状体2を配置してゾル3をゲル化すること
によって、図1(B)に示すように糸状体2の近傍に金
属成分濃度に分布を有したゲルを作製する。この後に例
えば特開平3−295818号、特開昭61−1831
36号に記載されているようなゲル中の金属成分を溶
解、拡散しうる溶液にゲルを浸漬すると、図2に示すよ
うに、全体としては放物線状の濃度分布を有するととも
に、部分的に金属成分の濃度に分布を有したゲルを作製
することができる。この濃度分布を固定した後に乾燥・
焼成するとガラス化したときには、図3に示す屈折率分
布形状を有したガラス体を製造することができ、これを
切断研磨することにより、屈折率分布を有し、ローパス
フィルタ等の位相差型光学フィルタとしての特性も併せ
持つ光学素子を製造することができる。
【0027】電位を有する繊維あるいは外部から電位を
印加した糸状体をゲル中に配置して放物線状の濃度分布
を付与すると、金属成分は繊維の電位に引き寄せられる
か、または反発される。その結果、全体的には大きな放
物線状の分布を有するゲルとなるが、繊維の電位に引き
寄せられるか、または反発される金属成分があるので、
図2のような金属成分に部分的な分布と大きな放物線状
の分布を有したゲルを作製することも可能となる。
【0028】ゲルに取りこまれてガラス化する糸状体を
ゲル中に配置した場合は、このゲルに上述したように、
濃度分布を付与して図2のような金属成分に部分的な分
布と放物線状の分布を有したゲルを作製することも可能
である。このように作製したゲルを、乾燥・焼成して、
得られたガラス体よりガラスブロックを複数切り出し、
研磨することによりローパスフィルタ機能を有した屈折
率分布型ガラスを量産できるので、安価で、かつ光学系
を構成する素子の数を削減した、小型の光学系を作るこ
とができる。
【0029】従来提案されている例えば台形状の縞状周
期構造を有したローパスフィルタでは、この周期構造の
パターンが条件によっては画面上に現れてしまうことが
あった。そこで、位相差が徐々に形成される滑らかなパ
ターンとなるように、屈折率に分布を有した糸状体をゲ
ル中に配置して、乾燥・焼成し、得られたガラスを切断
研磨すると位相差型の光学フィルタを製造することがで
きる。これをローパスフィルタとして用いると周期構造
が画面上に現れるのを防止することができる。従来、こ
の様なパターンはイオン交換法により周期的なパターン
を有した開口部よりイオンを拡散させて、イオン交換を
行った製造することが提案されているが、マスクをした
後イオン交換し、さらにマスクを除去する必要があり、
非常に工程が煩雑であった。本発明は、得られたガラス
の内部に屈折率に分布を有した繊維が存在するので、ひ
とつのガラス体より複数の光学素子を切り出して研磨す
ることにより、従来法より容易に量産することが可能で
ある。
【0030】
【実施例】以下に、本発明の実施例を示し、本発明を説
明する。 実施例1 881mlのSi(OCH34に、45.2gのLi
(OCOCH3)・2H2Oを溶解した1518mlのイ
ソプロパノール、107mlの1/100規定HClを
30分間撹拌し、部分加水分解反応を行った後に42
6.4gのTi(OCH(CH324 を添加してさら
に30分間撹拌した。次に720mlの2/100規定
アンモニア水、1987mlのイソプロパノール混合溶
液を滴下して撹拌して加水分解し、ゾルを調整した。4
00mm×400mm×300mmの直方体のポリプロ
ピレン容器の蓋に15mmピッチで均等に正電荷を持つ
6・6ナイロン繊維の両端を固定し、この容器にゾルを
入れ密封してウェットゲルを作製した。このゲルを電気
炉で乾燥後、さらに乾燥ゲルを焼結しガラス化したとこ
ろ、130mm×130mm×100mmの直方体のガ
ラスが得られた。6・6ナイロン繊維は焼成中に消失し
た。繊維の存在した部分のnd はシリカガラスとほぼ同
じ1.4959であり、繊維の存在しなかった部分のn
d は、それより高く1.487でほぼ5mmピッチで屈
折率の異なる領域が周期的に存在した構造を有してい
た。
【0031】実施例2 30mlのSi(OCH34と30mlのSi(OC2
54 および12.4mlのB(OC253 の混合
液に、pH2の塩酸を25ml添加してゾルを調整し、
1.25mol/lの酢酸鉛水溶液を107.63m
l、酢酸15.35mlの混合液を添加し攪拌混合した
後に、5mmピッチで均等に炭素繊維の一端を蓋に固定
し、もう一端を内径35mmの円筒型フッ素樹脂製容器
の下面に固定し、繊維を上面から下面に配した内径35
mmの円筒型フッ素樹脂製容器内でゲル化させて、ウェ
ットゲルを作製した。このゲルを濃度が0.61mol
/lの酢酸鉛溶液に浸漬したのち、イソプロパノール/
アセトンの混合液に浸漬し、ゲル中に均一に酢酸鉛の微
結晶を沈澱させた。この後に、酢酸を含んだ0.61m
ol/lの酢酸カリウムのエタノール溶液に8時間浸漬
した。これにより酢酸鉛の微結晶は溶解し、拡散により
Pbに凸状の濃度分布が付与され、酢酸カリウムはゲル
内部に拡散してKに凹状の濃度分布が付与された。次い
で、太さ3.2μmの炭素繊維(東レ製 トレカT80
0H)に電圧を印加し、Pbイオンを繊維の近傍に引き
寄せた後、イソプロパノール/アセトンの混合液に浸漬
し、濃度分布を固定し、電気炉で乾燥したが、割れは発
生しなかった。さらに、乾燥ゲルを焼結しガラス化した
ところ、直径約13mmのガラスロッドが得られた。こ
のガラスロットを軸に直角に切断して径方向の屈折率分
布を測定したところ、ほぼ放物線の屈折率分布形状に
0.5mmピッチで屈折率の変化した部分を有するロッ
ドが得られた。
【0032】実施例3 120gのSi(OC254 に184gのエタノール
を加え41.8gの1規定塩酸を加えて部分加水分解
し、51.9gのTi(O(CH23CH34をエタノ
ールに溶解して混合した。その後に61.6gの Al
(O(CH3)CHCH2CH3)を添加して2時間60
℃で撹拌した。酢酸水溶液に溶解した116.6gの酢
酸ランタン1.5水和物を添加して撹拌し、ゾルを調整
した。このゾルを7mmピッチでアルミニウム繊維の一
端を容器の蓋に固定し、容器にゾルを流し込んで蓋をし
てゲル化させた。このゲルを0℃のエタノールに浸漬し
て酢酸ランタンの微結晶を固定し、太さ0.5mmのア
ルミニウム繊維(高純度化学製)の糸状体を7mmピッ
チで配置して交互に電圧を印加しながら、メタノール:
水=6:4(体積比)の液に浸漬して、ランタンに濃度
分布を付与した。この後に、繊維を保持してゲルを吊り
下げ、ゲルの自重により繊維を取り外した。次いで、ア
セトンに浸漬し濃度分布を固定し、100℃で乾燥し1
080℃まで焼成してガラスを得た。このガラスロッド
を軸に直角に切断して径方向の屈折率分布を測定したと
ころ、放物線状にほぼ3.5mmピッチの屈折率の高い
部分が形成されていた。
【0033】実施例4 実施例2と同様にしてゾルを調整し、円筒容器に電位を
有する繊維(ゼータプラス繊維 キュノ製)の一端を均
等に20mmピッチで容器の蓋に固定し、他端を容器の
底に固定した繊維を配した容器に流し込んでゲル化させ
た。このゲルを濃度が0.61mol/lの酢酸鉛溶液
に浸漬後、イソプロパノール/アセトンの混合液に浸漬
し、ゲル中に酢酸鉛の微結晶を沈澱させた。この後に、
電気炉で乾燥したが、割れは発生しなかった。さらに乾
燥ゲルを焼結しガラス化したところ、繊維は焼結して消
失し、直径約13mmのガラスロッドが得られた。この
ガラスロッドを軸に直角に切断して径方向の屈折率分布
を測定したところ、約10mmピッチで周期的に屈折率
分布が変化した構造を有していた。
【0034】実施例5 実施例2と同様にしてゾルを調整し、40Na2O・5
0SiO2・10B23の組成の導電性ガラス繊維の一
端を均等に15mmピッチで容器の蓋に固定し、他端を
容器の底に固定した繊維を配した容器に流し込んでゲル
化させた。このゲルを濃度が0.61mol/lの酢酸
鉛溶液に浸漬しながら、導電性ガラスとゲルの周囲の白
金電極に電圧を印加した後、イソプロパノール/アセト
ンの混合液に浸漬し、ゲル中に酢酸鉛の微結晶を沈澱さ
せた。
【0035】この後に、導電性繊維を除去し、電気炉で
乾燥したが、割れは発生しなかった。さらに乾燥ゲルを
焼結しガラス化したところ、直径約13mmのガラスロ
ッドが得られた。このガラスロッドを軸に直角に切断し
て径方向の屈折率分布を測定したところ、約7.5mm
ピッチで周期的に屈折率分布が変化する構造を有してい
た。
【0036】実施例6 176.2mlのSi(OCH34に、151.8ml
のイソプロパノール、10.7mlの1/100規定H
Clを30分間撹拌し、部分加水分解した後に42.6
4gのTi(OCH(CH324 を添加してさらに3
0分間撹拌した。その後に、72.0mlの2/100
規定アンモニア水、198.7mlのイソプロパノール
混合液を滴下して撹拌して加水分解しゾルを調整した。
このゾルを上面から下面にβ−アルミナ繊維を均等に5
mmピッチで配した内径7cmのポリプロピレン容器に
入れ密封し、ゲル化させた。このゲルを10重量%のH
Cl水溶液に浸漬して、β−アルミナ繊維に電位を印加
しながらHCl水溶液を拡散させた。その後に、繊維を
全て取り外してエタノールで洗浄後、100℃まで乾燥
を行ったが、割れやクラックは全く認められなかった。
前記乾燥ゲルを管状炉中に入れ、1230℃まで昇温し
たところ、直径約3cmの割れや発泡のない透明なガラ
ス体が得られた。このガラスロッドを軸に直角に切断し
て径方向の屈折率分布を測定したところ、繊維のあった
部分の屈折率は低く、2.5mmピッチの周期で屈折率
に変化をする構造を有していた。
【0037】実施例7 881mlのSi(OCH34に、1518mlのイソ
プロパノール、107mlの1/100規定HClを3
0分間撹拌し、部分加水分解した後に、720mlの2
/100規定アンモニア水、1987mlのイソプロパ
ノール混合溶液を滴下して撹拌して加水分解しゾルを調
整した。400mm×400mm×300mmの直方体
のポリプロピレン容器に、青、赤、緑を一組として青、
赤、緑色のフィルタ用ガラスから作ったガラス繊維を3
mmピッチで均等に両端を固定し、この容器にゾルを入
れ密封してウェットゲルを作製した。
【0038】このゲルを電気炉で乾燥後、さらに乾燥ゲ
ルを焼結しガラス化したところ、約130mm×130
mm×100mmの直方体のガラス繊維が一体化したガ
ラスが得られた。これを切断研磨してモザイクフィルタ
を製造した。
【0039】実施例8 176.2mlのSi(OCH34に、151.8ml
のイソプロパノール、10.7mlの1/100規定H
Clを加えて30分間撹拌し、部分加水分解した後に、
63.96gのTi(OCH(CH324 を添加して
さらに30分間撹拌し、さらに10.7mlの1/10
0規定のHClを添加した。ゾルの粘度が増加したとこ
ろで、紡糸し、乾燥後、電気炉で酸素雰囲気中700℃
で処理し、TiO2−SiO2系のゲルファイバーを製造
した。また、実施例6と同様にして、加水分解しゾルを
調整した。このゾルを上面から下面にゲルファイバーを
均等に5mmピッチで配した内径7cmのポリプロピレ
ン容器に入れ密封しゲル化させた。このゲルを10重量
%のHCl水溶液に浸漬した。その後に繊維を全て取り
外してエタノールで洗浄後100℃まで乾燥を行ったが
割れやクラックは全く認められなかった。前記乾燥ゲル
を管状炉中に入れ、1230℃まで昇温したところ、ゲ
ルファイバーは一体化して、直径約3cmの割れや発泡
のない透明なガラス体が得られた。このガラスロッドを
軸に直角に切断して径方向の屈折率分布を測定したとこ
ろ、放物線状にほぼ2.5mmピッチの屈折率の高い部
分が形成されていた。
【0040】実施例9 実施例2と同様にして作製したゲルを、内径3mmの容
器に流し込みゲル化させた。このゲルを濃度が0.61
mol/lの酢酸鉛溶液に浸漬後、イソプロパノール/
アセトンの混合液に浸漬し、ゲル中に均一に酢酸鉛の微
結晶を沈澱させた。この後に、酢酸を含んだ0.61m
ol/lの酢酸カリウムのエタノール溶液に30分間浸
漬した。これにより、酢酸鉛の微結晶は溶解し、拡散に
よりPbに凸状の濃度分布が付与され、酢酸カリウムは
ゲル内部に拡散してKに凹状の濃度分布が付与された。
次いで、イソプロパノール/アセトンの混合液に浸漬
し、濃度分布を固定し、電気炉で乾燥し、さらに焼結し
てガラス化したところ、直径約2.5mmの屈折率分布
を有したガラス繊維が得られた。また、実施例3と同様
にゾルを調整した。このゾルを7mmピッチで前記ガラ
ス繊維の一端を容器の蓋に固定し、容器にゾルを流し込
んで蓋をしてゲル化させた。このゲルを0℃のエタノー
ルに浸漬して酢酸ランタンを微結晶として固定し、アル
ミニウム繊維に電位をかけながら、メタノール:水=
6:4(体積比)の溶液に浸漬して、ランタンに濃度分
布を付与した。この後に、アセトンに浸漬して濃度分布
を固定し、100℃で乾燥し、1080℃まで焼成して
ガラス繊維が一体化したガラスを得た。このガラスロッ
ドを軸に直角に切断して径方向の屈折率分布を測定した
ところ、放物線状にほぼ3.5mmピッチで屈折率の大
きな部分が形成されていた。
【0041】以上の実施例では屈折率が部分的に変化し
た規則的な構造を有したガラス体について説明したが、
屈折率が部分的に変化したランダムな構造を有したガラ
ス体についてもゲル中に繊維をランダムに配すれば同様
に製造することが可能である。
【0042】
【発明の効果】以上のように、本発明の方法を用いて、
ゲルや緻密体を製造することにより、種々の特性を有し
た位相差型の光学フィルタを量産することができ、屈折
率分布を有し、かつ、位相差型のフィルタ機能を有した
ガラス体、モザイクフィルタを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】位相差型光学フィルタの製造方法の一例を説明
する図である。
【図2】位相差型光学フィルタの製造方法の一例を説明
する図である。
【図3】位相差型光学フィルタの屈折率分布を説明する
図である。
【図4】位相差型のローパスフィルタとCCDの光学的
関係を説明する図である。
【符号の説明】
1…容器、2…糸状体、3…ゾル

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゾルのゲル化による光学フィルタの製造
    方法において、ゾルからゲルを形成する容器中に、ゾル
    中の金属成分の濃度を周囲の値に比べて変化させる少な
    くとも1個の糸状体、棒状体を配置してゾルをゲル化さ
    せた後に、得られたゲルを乾燥の後にガラス化すること
    を特徴と光学フィルタの製造方法。
  2. 【請求項2】 金属成分の濃度を変化させる糸状体、棒
    状体が帯電した部材、もしくは電位を印加することがで
    きる部材であることを特徴とする請求項1記載の光学フ
    ィルタの製造方法。
  3. 【請求項3】 糸状体、棒状体が金属、導電性有機物、
    炭素、導電性ガラス、導電性セラミックスから選ばれる
    ことを特徴とする請求項1または2記載の光学フィルタ
    の製造方法
  4. 【請求項4】 ゾルのゲル化による光学フィルタの製造
    方法において、ゾルからゲルを形成する容器中に、ゲル
    に取りこまれてガラス化し、周囲のガラスとは屈折率が
    異なる領域を形成する少なくとも1個の糸状体、棒状体
    を配置してゾルをゲル化させた後に、得られたゲルを乾
    燥の後にガラス化することを特徴と光学フィルタの製造
    方法。
  5. 【請求項5】 糸状体、棒状体は、少なくともガラスま
    たはゾルゲル法により作製したゲルのいずれかから選ば
    れたものであることを特徴とする請求項4記載の光学フ
    ィルタの製造方法
  6. 【請求項6】 糸状体、棒状体は、屈折率分布を有して
    いるものであることを特徴とする請求項4または5に記
    載の光学フィルタの製造方法
  7. 【請求項7】 糸状体、棒状体が周期性をもって配置さ
    れていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記
    載の光学フィルタの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005316348A (ja) * 2004-04-30 2005-11-10 Chiba Univ 基盤に固着した貴金属膜からなるホログラフィック光学素子

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005316348A (ja) * 2004-04-30 2005-11-10 Chiba Univ 基盤に固着した貴金属膜からなるホログラフィック光学素子
JP4500996B2 (ja) * 2004-04-30 2010-07-14 国立大学法人 千葉大学 基盤に固着した貴金属膜からなるホログラフィック光学素子

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