JP3477225B2 - ガラスの製造方法 - Google Patents

ガラスの製造方法

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JP3477225B2
JP3477225B2 JP13296193A JP13296193A JP3477225B2 JP 3477225 B2 JP3477225 B2 JP 3477225B2 JP 13296193 A JP13296193 A JP 13296193A JP 13296193 A JP13296193 A JP 13296193A JP 3477225 B2 JP3477225 B2 JP 3477225B2
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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B19/00Other methods of shaping glass
    • C03B19/12Other methods of shaping glass by liquid-phase reaction processes

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  • Organic Chemistry (AREA)
  • Glass Melting And Manufacturing (AREA)
  • Manufacture, Treatment Of Glass Fibers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カメラ、顕微鏡などの
光学素子に応用可能な、バリウムを含有するガラスやバ
リウムを含有した屈折率分布を有するガラスの製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】バリウムを含有した光学ガラスは、高屈
折率が得られること、鉛などと比べて毒性が低いことな
どから、広く用いられている。また、屈折率分布型光学
素子は、媒質に屈折率分布を付与することによって、媒
質自体にパワー(屈折力)を持たせたものであり、優れ
た収差補正能力を有するために、レンズの構成枚数を減
らすことができ、次世代の光学系に欠くことのできない
光学素子として注目されている。
【0003】一般に、屈折率分布を有する屈折率分布型
光学素子の製造方法としては、ゾル・ゲル法、イオン交
換法、分子スタッフィング法等が用いられている。中で
も、特にゾル・ゲル法は、大口径のガラスが得られるこ
と、また多価金属の酸化物に分布を持たせることが可能
であり、得られる屈折率分布型光学素子の光学特性にバ
リエーションを持たせることができるなどの特徴を持つ
ため、注目されている方法である。
【0004】Microoptics News、Vo
l.9−3(1991)13−18、Japan Op
tics '92講演予稿集(1992)127−12
8、特開平3−141302号公報、SPIE Vo
l.1780(1992)456−463等には、白色
光源下に適用が可能である、色収差補正能力に優れた屈
折率分布型光学素子として、屈折率が大きくなるにつれ
て、アッベ数が大きくなる媒質(以下、「低・負分散分
布」と略記する)が有効であることが開示されている。
【0005】そして、バリウム成分は、大きな屈折率を
得られること、他成分を含有できる組成範囲が広いこと
から、低・負分散分布の主成分として最適であることが
考えられ、ガラスの光学特性、径方向の熱膨張率分布等
を考慮して、低・負分散分布を持った屈折率分布型光学
素子を安定して供給するために、バリウムを含有したガ
ラス組成が提案されている。
【0006】ゾル・ゲル法による屈折率分布型光学素子
の作製方法として、特開昭63−277525号公報記
載の方法がある。この方法は、シリコンのアルコキシド
を主体とする溶液を加水分解して得られるゾルに、屈折
率分布を付与するための水溶性金属塩を含む溶液を加え
てゲル状多孔質体を得た後、径方向に金属成分の分布を
付与し、目的の屈折率分布を有するガラスを得る方法で
ある。
【0007】この方法を以下に詳しく説明する。図1
に、金属塩を用いて、ゾル・ゲル法により屈折率分布型
光学素子を作製する基本工程を示す。シリコンのアルコ
キシドを主体とする溶液を加水分解して得られる溶液
に、濃度分布付与する第1金属成分の水溶性金属塩を含
有する水溶液を加えてゾルを調製し、ゲル化させてウエ
ットゲルを得る。該ゲルを金属塩の溶解度が低い溶媒に
順次浸漬していくことにより、図2(a)に示したよう
に、第1金属成分の金属塩の微結晶1をゲル2中の細孔
壁面3に析出させ、固定する。ここで、金属塩の固定操
作は、所望の分布形状を保持するために行われる、必須
工程である。
【0008】次に、該ゲル2を分布付与溶液中に浸漬し
て金属組成の分布を付与し、再び金属塩の溶解度が低い
溶媒に順次浸漬して、図2(b)に示したように、金属
濃度分布を固定する。ここで用いる分布付与溶液には、
第1金属成分の金属塩の溶解度が高い有機溶剤を用い、
その溶液中には第2金属成分を溶解しておく。該ゲル2
を該分布付与溶液に浸漬することにより、第1金属成分
と第2金属成分とがイオン交換するため、第2金属成分
を第1金属成分とは反対方向の濃度勾配を付与すること
ができる。図2(b)において、符号4は第2金属成分
の金属塩の微結晶である。この第2金属成分は、第1金
属成分の濃度分布によるガラスの熱膨張係数の差をキャ
ンセルするために用いられる。そして、得られた該ウエ
ットゲルを乾燥させ、燒結することにより、図3(a)
に示すように、金属成分に濃度分布を有し、図3(b)
に示すような屈折率分布をもつガラスを得ることができ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の方
法により大量にバリウムを含有した多孔質体を得ようと
しても、多孔質体にバリウム塩を固定することが困難で
あった。例えば、バリウム原料として、酢酸バリウムを
使用して、ゲルを作製し、乾燥させてゲル中の溶媒を蒸
発させると、酢酸バリウムの結晶がゲル中に析出してし
まう。また、上記のゲルを溶液に浸漬して、酢酸バリウ
ム塩の固定を試みた場合に、溶解度の高いメタノール等
の溶媒を用いると(表1に酢酸バリウムの各溶媒への溶
解度を示す)、透明な多孔質体が得られるが、ほとんど
の酢酸バリウムは溶液に溶出しまい、バリウム成分をガ
ラス中の僅か1wt%にも満たない量しかゲル中に固定
することができなかった。一方、比較的溶解度の低いエ
タノール、イソプロパノール等の溶媒を用いると、多孔
質体中または多孔質体表面に酢酸バリウムの結晶が急速
に析出して多孔質体が白化し、さらに結晶が大きく成長
して多孔質体に応力をかけ、破壊してしまうため、バル
ク体を得ることができなかった。また、メタノールとエ
タノールとを混合するなどして、任意の溶解度を持つ有
機溶剤を調製してゲルを浸漬したが、これらの如何なる
溶解度の溶液を使用しても、ゲル中に大量にバリウムを
含有した透明で割れのない多孔質体を得ることはできな
かった。
【0010】
【表1】
【0011】つまり、従来では、多孔質体中にバリウム
塩を大量に固定することが困難であるという致命的な欠
点があるために、バリウムを大量に含有した光学素子
や、バリウムの組成勾配を持つ屈折率分布光学素子を作
製することは非常に困難であった。
【0012】本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてな
されたもので、クラックのない、バリウムを大量に含有
した光学素子や、色収差補正能力に優れた低・負分散分
布を含んだ種々の光学特性を持つ屈折率分布型光学素子
を歩留まり良く、再現性良く容易に作製することができ
るガラスの製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、バリウム塩および乳酸を含有する多孔質
体を経由して多成分ガラスを製造することとした。より
具体的には、次の4通りの方法がある。
【0014】1番目の方法は、バリウム塩を含有する多
孔質体を、乳酸を溶解した溶液に浸漬することを特徴と
する。2番目の方法は、乳酸を含有する多孔質体を、バ
リウム塩を溶解した溶液に浸漬することを特徴とする。
3番目の方法は、バリウム塩と乳酸とを含有する多孔質
体を、溶液に浸漬することを特徴とする。4番目の方法
は、多孔質体を、バリウム塩と乳酸とを含有する溶液に
浸漬することを特徴とする。その後、これらの処理によ
り得られたゲルを、洗浄、乾燥、燒結する。
【0015】
【作用】前記問題点について鋭意研究の結果、本発明者
は、多孔質体中にバリウム塩と乳酸を含有させることに
より、多孔質体中にバリウム塩を大量に、簡便かつ再現
性良く固定することができることを見いだした。
【0016】以下に、本発明者がバリウム塩として酢酸
バリウムを用いて多孔質体を作製して行った例について
説明する。まず、テトラメトキシシランと酢酸バリウム
より多孔質体を作製し、溶媒に浸漬して、酢酸バリウム
を固定する実験を行った。バリウム塩を固定する溶媒と
して、エタノールのみを使用すると、酢酸バリウムの大
きな結晶が析出し、成長して多孔質体に応力がかかって
割れが生じてしまうが、エタノールに乳酸を添加した溶
液では、酢酸バリウムの結晶は成長することなく、多孔
質体を割れなく含有させることが可能であった。乳酸量
は、エタノール1モルに対して1×10-5モル以上含有
していれば、酢酸バリウムを安定に固定できるが、好ま
しくは1×10-4モル以上含有しているとより効果的で
あった。
【0017】ところが、エタノールと乳酸を溶解した溶
液に対する酢酸バリウムの溶解度は、乳酸量にほとんど
依存していない。このことから、バリウム塩の固定に対
する乳酸の効果は、酢酸バリウムの溶解度と徐々に変化
させて固定することができるからだけでなく、乳酸が多
孔質体または溶液中でのバリウム塩の結晶成長速度を適
度に制御し、バリウム塩を多孔質体の細孔内に微少な結
晶として析出させることができるからと考えられる。こ
れに対し、バリウム塩を固定する溶液に、無機酸である
硝酸、塩酸、硫酸はもちろん、有機酸であるクエン酸、
リンゴ酸、酢酸、シュウ酸を用いても酢酸バリウムが多
孔質体から流出してしまったり、粗大な結晶が析出して
しまい、バリウム塩を固定することはできなかった。つ
まり、バリウム塩を多孔質体中に固定するためには、多
孔質体中にバリウム塩と乳酸が同時に含有させるような
工程を経ることが、特に有効であることがわかった。
【0018】バリウム塩を多孔質体中に固定するために
有効である、多孔質体中にバリウム塩と乳酸とが同時に
含有されるような工程について、多孔質体の一例とし
て、ゾル・ゲル法により得られるゲルにより説明する。
第1の方法は、前記実験検討例で述べたように、ゾル調
製時にバリウムを含有させておき、ゲル化させてバリウ
ムを含有する多孔質体を得るか、あらかじめゲルを得て
おき、該ゲルを、バリウム塩を含有する溶液に浸漬し
て、バリウムを含有する多孔質体を得れば良い。その
後、得られた多孔質体を、乳酸を含有させたバリウム塩
の固定に適当な溶解度を持つ溶液に浸漬する方法であ
る。
【0019】第2の方法は、ゾル調製時に乳酸を含有さ
せておき、ゲル化させて乳酸を含有する多孔質体を得る
か、あらかじめゲルを得ておき、該ゲルを、乳酸を含有
する溶液に浸漬して、乳酸を含有する多孔質体を得れば
良い。その後、得られた多孔質体を、バリウム塩を溶解
した溶液に浸漬する方法である。
【0020】第3の方法は、ゾル調製時にバリウム塩と
乳酸とを含有させておき、ゲル化させてバリウム塩と乳
酸と含有する多孔質体を得るか、あらかじめゲルを得て
おき、該ゲルを、バリウム塩と乳酸とを含有する溶液に
浸漬するか、バリウム塩を含有した溶液に浸漬した後、
乳酸を含有する溶液に浸漬するか、乳酸を含有する溶液
に浸漬した後、バリウム塩を含有する溶液に浸漬して、
バリウム塩と乳酸とを含有する多孔質体を得れば良い。
その後、得られた多孔質体を、バリウム塩の固定に適当
な溶解度を持つ溶液に浸漬する方法である。
【0021】第4の方法は、バリウム塩も乳酸も含有し
ないゾルを調製しておき、ゲル化させて多孔質体を得
る。その後、得られた多孔質体を、バリウム塩と乳酸と
を含有する適当な溶解度を有する溶液に浸漬して、バリ
ウム塩と乳酸とを含有する多孔質体を得れば良い。
【0022】また、バリウム塩と乳酸は、図1に示した
ゾル調製時に含有させても良いし、多孔質体中に金属塩
(バリウム塩)を固定する工程でも良いし、分布付与を
行う工程でも良いし、分布を固定する工程でも良い。つ
まり、バリウム塩を多孔質体中に固定するためには、多
孔質体中にバリウム塩と乳酸が同時に含有されるような
工程を経れば、いかなる過程においてバリウム塩と乳酸
を添加しても良い。
【0023】本発明の方法により得られる有効な効果
は、多孔質体が、ウェットゲル、ドライゲル、従来より
存在するいわゆる多孔質ガラス等のすべて含むことを意
味し、ゾル・ゲル法により作製した多孔質体だけでな
く、CVD法やVAD法、分相法等の種々の方法によっ
て得られた多孔質体にも有効である。また、バリウム塩
として、酢酸バリウム、乳酸バリウムなどの有機酸バリ
ウム塩、硝酸バリウム、亜硝酸バリウムなどの無機酸バ
リウム塩を原料にして作製した多孔質体についても同様
に有効な効果を発揮する。
【0024】バリウム塩の固定に適当な溶解度を持つ溶
液として使用される溶液は、特にエタノール、イソプロ
パノール、ホルムアミド等の有機溶剤や水等が有効であ
るが、これだけに限らず、これらの溶媒を単独で用いて
も良いし、2種類以上の溶媒を混合しても良い。また、
バリウム塩の固定に適当な溶液は、多孔質体に含まれる
金属成分や、金属成分の原料、組成によって適宜選択
し、変化させる必要がある。
【0025】前記の検討例は、低・負分散分布を持つ屈
折率分布型光学素子について述べてきたが、本発明の方
法は高分散分布を持つ屈折率分布型光学素子にも適用で
きることは言うまでもない。また、バリウム成分の分布
形状としては、バリウム濃度が中心部から周辺部に向か
って減少する、いわゆる凸分布、中心部から周辺部に向
かって増加する、いわゆる凹分布のどちらにも適用が可
能である。さらに、図1に示した分布付与過程および分
布固定過程を省略することにより、バリウムを多量かつ
均質に含有する光学素子を作製することができる。
【0026】
【実施例1】シリコン、チタン、バリウム、カリウム原
料に、それぞれテトラメトキシシランSi(OCH3
4 、チタンブトキシドモノマーTi(On
4 9 4 、酢酸バリウムBa(OCOCH3 2 、酢
酸カリウムKOCOCH3 を使用した。Si(OC
3 4 20.9gにエタノール35mlと2規定塩酸
4.8mlを加えて室温で1時間撹拌し、その溶液にT
i(On 4 9 4 7.7gとエタノール35mlと
を混合した溶液を添加して1時間撹拌した。この溶液
に、1M−酢酸バリウム水溶液40mlと17規定酢酸
16mlとを加えて1時間撹拌し、ゾルを得た。このゾ
ルを直径18mmのポロプロピレン製容器にキャスティ
ングして、50℃の恒温槽で放置し、ゲル化させた後、
更に熟成した。
【0027】得られたゲルを容器から取り出し、エタノ
ール40mlと乳酸0.72gとを混合した溶液に、該
ゲルを2日間浸漬し、ゲル中に酢酸バリウムの微結晶を
固定した。この後、ゲルを乾燥、焼成することにより、
径5.0mmの割れのない透明なガラスを得た。このガ
ラスを光学研磨したレンズの光学特性は、屈折率が1.
675であり、バリウムを大量かつ均一に含有したガラ
スを得ることができた。
【0028】(比較例1)実施例1と同様にして得たゲ
ルを50℃の恒温槽から取り出し、乾燥器に入れて1日
に10℃の割合で100℃まで昇温した。得られた乾燥
ゲルは、ゲルの周りに酢酸バリウムの結晶が析出し、ゲ
ルは粉々になり、透明で割れの無いゲルを得ることがで
きなかった。
【0029】(比較例2)実施例1と同様にして得たゲ
ルを、メタノール20mlとエタノール20mlを混合
した溶液に、2日間浸漬したが、ゲル中に粗大な白色針
状の酢酸バリウム結晶が析出し、ゲルに亀裂を生じ、透
明で割れのないゲルを得ることができなかった。
【0030】(比較例3)実施例1と同様にして得たゲ
ルを、エタノール40mlとクエン酸1.68gとを混
合した溶液に、2日間浸漬したが、ゲル表面に粗大な酢
酸バリウム結晶が析出し、ゲルに亀裂を生じ、透明で割
れのないゲルを得ることができなかった。
【0031】
【実施例2】実施例1と同様にして、ウェットゲルを作
製した。次に、得られたゲルを容器から取り出し、エタ
ノール40mlと乳酸0.72gとを混合した溶液に、
該ゲルを2日間浸漬し、ゲル中に酢酸バリウムの微結晶
を固定した。一方、酢酸カリウム4.7gとメタノール
80mlとを混合して溶解した溶液を調製し、該ゲルを
該溶液に2時間浸漬し、ゲル中のバリウム成分に凸分布
を、カリウム成分に凹分布を付与した。その後、再びゲ
ルをエタノール40mlと乳酸0.72gとを混合させ
た溶液に2日間浸漬し、酢酸バリウムおよび酢酸カリウ
ムの微結晶を固定し、乾燥、焼成することにより、径
5.0mmの割れのない透明なガラスを得た。
【0032】このガラスについて、EDXによりガラス
の径方向に組成分析を行った結果、ガラスの中心部分で
はバリウムをほぼバッチ組成通り含有させることがで
き、ガラスの外周方向に向かって濃度が減少する所望の
金属濃度分布を有していることがわかった。このガラス
を光学研磨したレンズの光学特性は、図4に示した通
り、中心部の屈折率が1.639、屈折率差が0.06
3であり、所望の低・負分散分布を持つ、色収差補正特
性が優れている屈折率分布型光学素子を得ることができ
た。
【0033】
【実施例3】シリコン、鉛、バリウム、カリウム原料
に、それぞれテトラエトキシシランSi(OC2 5
4 、酢酸鉛Pb(CH3 COO)2 ・3H2 O、硝酸バ
リウムBa(NO3 2 、酢酸カリウムKOCOCH3
を使用した。Si(OC2 54 25.0gにエタノ
ール10mlと0.1規定塩酸9.6mlを加えて室温
で1時間撹拌し、その溶液に1.25M−酢酸鉛64m
lと乳酸12mlとを混合した溶液を添加し、1時間撹
拌して、ゾルを得た。このゾルを直径18mmのポリプ
ロピレンチューブ容器にキャスティングして、30℃の
恒温槽で放置し、ゲル化させた後、更に熟成した。
【0034】次に、得られたゲルを容器から取り出し、
1M−酢酸バリウム溶液20mlとメタノール40ml
と乳酸0.72gとを混合した溶液に、該ゲルを4時間
浸漬して、バリウム成分に凹分布を、鉛成分に凸分布を
付与した。その後、該ゲルをイソプロパノールに1日間
浸漬して、硝酸バリウム、酢酸鉛の微結晶を固定した。
該ゲルを、酢酸カリウム6.5gをメタノール80ml
に溶解させた溶液に4時間浸漬し、カリウム成分に凹分
布を付与した。その後、再びゲルをイソプロパノール4
0mlと乳酸0.72gとを混合させた溶液に2日間浸
漬し、硝酸バリウム、酢酸鉛、酢酸カリウムの微結晶を
固定し、乾燥、焼成することにより、径5.0mmのガ
ラスを得た。
【0035】このガラスについて、EDXによりガラス
の径方向に組成分析を行った結果、ガラスの中心部分で
はバリウムをほぼバッチ組成通り含有させることがで
き、ガラス体の外周方向に向かって所望の金属濃度分布
を有していることがわかった。このガラスを光学研磨し
たレンズの光学特性は、中心部の屈折率が1.680、
屈折率差が0.087であり、高分散分布を持つ屈折率
分布型光学素子を得ることができた。
【0036】
【実施例4】シリコン、ニオブ、バリウム、カリウム原
料に、それぞれテトラエトキシシランSi(OC25
4、ニオブエトキシドNb(OC255硝酸バリウム
Ba(NO32、硝酸カリウムKNO3を使用した。S
i(OC25422.3gにイソプロパノール50m
lと1規定硝酸4.8mlを加えて室温で1時間攪拌
し、その溶液にNb(OC2556.4gとイソプロ
パノール20mlとを混合した溶液を添加して1時間攪
拌した。この溶液に、1M−硝酸バリウム水溶液70m
lと乳酸12mlとを加えて1時間攪拌し、ゾルを得
た。このゾルを直径18mmのポリプロピレンチューブ
容器にキャスティングして、50℃の恒温槽で放置し、
ゲル化させた後、更に熟成した。
【0037】次に、得られたゲルを容器から取り出し、
エタノール40mlに該ゲルを2日間浸漬して、ゲル中
に硝酸バリウムの微結晶を固定した。一方、硝酸カリウ
ム6.1gとメタノール80mlと乳酸1.44gとを
混合して溶解した溶液を調製した。該ゲルを該溶液に2
時間浸漬し、バリウム成分に凸分布を、カリウム成分に
凹分布を付与した。その後、再びゲルをエタノール40
mlと乳酸1.44gとを混合させた溶液に2日間浸漬
し、硝酸バリウムと硝酸カリウムの微結晶を固定し、乾
燥、焼成することにより、径4.3mmのガラスを得
た。
【0038】このガラスについて、EDXによりガラス
の径方向に組成分析を行った結果、ガラスの中心部分で
はバリウムをほぼバッチ組成通り含有させることがで
き、ガラスの外周方向に向かって濃度が減少する所望の
金属濃度分布を有していることがわかった。このガラス
を光学研磨したレンズの光学特性は、中心部の屈折率が
1.751、屈折率差が0.060であり、所望の低・
負分散分布を持つ、色収差補正特性が優れている屈折率
分布型光学素子を得ることができた。
【0039】
【実施例5】シリコン、ジルコニウム、バリウム、ナト
リウム原料に、それぞれ四塩化ケイ素SiCl4、四塩
化ジルコニウムZrCl4、亜硝酸バリウムBa(
2 2・2H2O、酢酸ナトリウムNaOCOCH3を使
用した。四塩化ケイ素と四塩化ジルコニウムを加水分解
して、ジルコニアシリカのスートを作製した。得られた
スートを亜硝酸バリウムとエタノールと水の混合溶液に
浸漬し、該スートに亜硝酸バリウムを均一に含有させた
後、エタノールと乳酸を溶解した溶液に浸漬し、亜硝酸
バリウムの微結晶を固定した。該ゲルを、酢酸ナトリウ
ムをメタノールに溶解した溶液に浸漬し、バリウム成分
に凸分布を、ナトリウム成分に凹分布を付与した。その
後、再びゲルをエタノールと乳酸とを混合させた溶液に
浸漬し、硝酸バリウムと硝酸カリウムの微結晶を固定
し、乾燥、焼成することにより、径4.3mmの透明な
ガラスを得た。
【0040】このガラスについて、EDXによりガラス
の径方向に組成分析を行った結果、ガラスの中心部分で
はバリウムがほぼバッチ組成通りに含有されていた。
【0041】
【発明の効果】以上のように、本発明のガラスの製造方
法によれば、クラックがなく、バリウムを大量に含有し
た光学素子や、色収差補正能力に優れた低・負分散分布
を含んだ種々の光学特性を持つ屈折率分布型光学素子を
歩留まり良く、また再現性良く、容易に作製することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】金属塩を用いて、ゾル・ゲル法により屈折率分
布型光学素子を作製する基本工程を示す図である。
【図2】多孔質体中の金属成分を細孔内に固定する時の
概念図であり、(a)が第1金属塩を固定した時、
(b)が第2金属塩が第1金属塩とイオン交換され、第
1金属成分が凸分布を形成し、第2金属成分が凹分布を
形成した時のゲルの概念図である。
【図3】従来法により作製した屈折率分布型光学素子の
径方向の組成分布を示し、(a)が金属成分の濃度分
布、(b)が屈折率分布を示すグラフである。
【図4】本発明の実施例2により作製した屈折率分布型
光学素子の、(a)が径方向の屈折率分布を示し、
(b)が屈折率と分散の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 第1金属種の微結晶 2 ゲル骨格 3 細孔壁面 4 第2金属種の微結晶

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バリウム塩および乳酸を含有する多孔質
    体を経由して多成分ガラスを製造することを特徴とする
    ガラスの製造方法。
  2. 【請求項2】 バリウム塩および乳酸を含有する多孔質
    体を経由して屈折率分布ガラスを製造することを特徴と
    するガラスの製造方法。
  3. 【請求項3】 バリウム塩を含有する多孔質体を、乳酸
    を溶解した溶液に浸漬することを特徴とする請求項1ま
    たは2のガラスの製造方法。
  4. 【請求項4】 乳酸を含有する多孔質体を、バリウム塩
    を溶解した溶液に浸漬することを特徴とする請求項1ま
    たは2のガラスの製造方法。
  5. 【請求項5】 バリウム塩と乳酸とを含有する多孔質体
    を、溶液に浸漬することを特徴とする請求項1または2
    のガラスの製造方法。
  6. 【請求項6】 多孔質体を、バリウム塩と乳酸とを含有
    する溶液に浸漬することを特徴とする請求項1または2
    のガラスの製造方法。
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