JP2005145751A - Grinレンズの製造方法及びgrinレンズ - Google Patents
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Abstract
【課題】 屈折率分布形状にバラツキがなく、開口数の大きなGRINレンズを低コストで製造できるようにする。
【解決手段】 内周面が円筒形状の容器を回転させながら該容器の内周面に、屈折率付与金属濃度が内側ほど順次高くなるように、屈折率付与金属濃度の異なる層を積層したシリコンの円筒状ウエットゲルを作成し、該円筒状ウエットゲルを乾燥して円筒状ドライゲルを作成し、該円筒状ドライゲルを焼結して円筒状ガラス体を作成し、該円筒状ガラス体を回転させながら端部より順次加熱して内径が閉じた円柱状のGRINレンズ母体を作成し、該GRINレンズ母体を所定の径に加熱延伸する。これにより、所望の屈折率分布をバラツキなく付与することができる上に、高価な屈折率付与金属成分を溶出で消失させることなく収率100%で製造できるので極めて低コストとなる。
【選択図】 図2
【解決手段】 内周面が円筒形状の容器を回転させながら該容器の内周面に、屈折率付与金属濃度が内側ほど順次高くなるように、屈折率付与金属濃度の異なる層を積層したシリコンの円筒状ウエットゲルを作成し、該円筒状ウエットゲルを乾燥して円筒状ドライゲルを作成し、該円筒状ドライゲルを焼結して円筒状ガラス体を作成し、該円筒状ガラス体を回転させながら端部より順次加熱して内径が閉じた円柱状のGRINレンズ母体を作成し、該GRINレンズ母体を所定の径に加熱延伸する。これにより、所望の屈折率分布をバラツキなく付与することができる上に、高価な屈折率付与金属成分を溶出で消失させることなく収率100%で製造できるので極めて低コストとなる。
【選択図】 図2
Description
本発明は特に光通信用光結合部品やカメラ、内視鏡等の光学素子に応用可能な屈折率分布型光学素子とそのゾルゲル法による製造方法に関する。
屈折率分布型の光学素子は、例えば半導体レーザからの放射光を高効率で光ファイバに入射させる時に用いられる球面収差の小さなレンズとして、また、レンズの端面が平坦で、かつ円柱の長さを変えることによって任意の焦点距離が付与できるために、カメラなどの画像伝送用のレンズとして注目されている。特に、形状が小型な円柱状であるため光学系の軸合わせや保持が容易で組立て性の高いレンズとして期待されている。
この円柱状の屈折率分布型の光学素子(Graded Indexレンズ、以下、「GRINレンズ」と略す。)は、図1に示すように、その断面方向x、yの屈折率nが
n=n0{1−g2(x2+y2)/2} (1)
g : GRINレンズの集光能力を表わす定数
n0 : GRINレンズの材料の屈折率
のように、ほぼ2乗カーブで連続的に変化するレンズで、この屈折率分布によってレンズ作用が行われる。図1に示すように、GRINレンズの半径をd、半径dでの屈折率をndとすれば、
g=NA/dn0 但し NA=( n0 2−nd 2)1/2 (2)
と表わされる。ここで NAはGRINレンズの中心と周辺での屈折率の2乗差の平方根で、開口数Numerical Aperture(以下、「NA」と略す。)と称し、レンズ性能を表わす重要なパラメータである。(2)式から明らかなように、中心部の屈折率と外周部の屈折率の差が大きいほど開口数NAが大きくなる。NAの大きいレンズは光の集光能力が高い、即ちレンズ特性の良いレンズである。現在、実用化されているものはNA=0.2程度であり、NA≧0.4のGRINレンズが強く望まれている。
n=n0{1−g2(x2+y2)/2} (1)
g : GRINレンズの集光能力を表わす定数
n0 : GRINレンズの材料の屈折率
のように、ほぼ2乗カーブで連続的に変化するレンズで、この屈折率分布によってレンズ作用が行われる。図1に示すように、GRINレンズの半径をd、半径dでの屈折率をndとすれば、
g=NA/dn0 但し NA=( n0 2−nd 2)1/2 (2)
と表わされる。ここで NAはGRINレンズの中心と周辺での屈折率の2乗差の平方根で、開口数Numerical Aperture(以下、「NA」と略す。)と称し、レンズ性能を表わす重要なパラメータである。(2)式から明らかなように、中心部の屈折率と外周部の屈折率の差が大きいほど開口数NAが大きくなる。NAの大きいレンズは光の集光能力が高い、即ちレンズ特性の良いレンズである。現在、実用化されているものはNA=0.2程度であり、NA≧0.4のGRINレンズが強く望まれている。
このGRINレンズの作製方法としては、イオン交換法や気相CVD(Chemical Vapor Deposition)法、ゾルゲル法などが知られている。しかしながら、イオン交換法で作られるGRINレンズは、アルカリ成分を含む多成分ガラスのため、NAが大きくとれず、しかもガラス材料の熱膨張係数が非常に大きくなって耐熱性の問題で信頼性に乏しかった。また、気相法では、0.38のNA(例えば文献;P.B.O’Connorほか:Electron.Lett.,13(1977)170-171)が実験室レヘ゛ルで得られているが、それ以上のNAを得るためには添加物(GeO2,P2O5など)の添加量を増やしていかなければならず、そのためガラス材料の熱膨張係数が大きくなり母材が割れやすく実用化には不安定であった。
一方、ゾルゲル法は、低温での合成法であり、所望の濃度分布を精密に形成することが可能で、有効な方法である。ゾルゲル法によるガラスの作製方法では、シリコンのアルコキシドを主成分とするアルコール溶液に、溶媒として酸または塩基を添加し加水分解することでゾルとし、多成分系のガラスを作製する場合にはさらに金属成分を添加し、このゾルをさらに重縮合反応させることで、架橋反応を進行させウエットゲルを作製している。そして、得られたウエットゲルを乾燥し、ゲル中の溶媒を除去後、焼成することで緻密なガラスを作製している。
ゾルゲル法を用いてGRINレンズを作製する場合には、金属成分に濃度分布を形成することが必要となるが、金属成分の原料として金属アルコキシド、金属塩を用いる方法、更には分子スタッフィング法が知られている。
ゾルゲル法を用いてGRINレンズを作製する場合には、金属成分に濃度分布を形成することが必要となるが、金属成分の原料として金属アルコキシド、金属塩を用いる方法、更には分子スタッフィング法が知られている。
金属アルコキシドを用いる方法では、ゾルの調製時に、シリコンのアルコキシドに屈折率を高める成分として金属アルコキシドをアルコール溶液として添加したゲルを作製する。金属アルコキシドを用いたゲルは、シリコンと金属原子が結合を形成しているので、金属成分に濃度分布を形成するためには、シリコンの金属原子の結合を切断し金属成分を溶出しうる濃度分布付与液中にゲルを浸漬し、溶出液の洗浄後、濃度分布を固定し、洗浄・乾燥・焼成するという方法である。しかし、上記従来の方法において作製されるGRINレンズは、外周部での屈折率の低下はある程度見られるものの、その屈折率分布 の形成に寄与する金属成分の濃度が充分には低下せず、中心部と外周部との屈折率差は、あまり大きな値のものが得られず、高いNAのGRINレンズが安定に確保できなかった。
一方、金属塩を用いて屈折率分布形成のための金属成分を導入する方法では、ゾルの調製時に金属塩を水溶液あるいはアルコール溶液として添加したゲルを作製する。このようなゲルはシリコンの骨格からなる細孔中の溶媒に金属塩が溶解して存在している。得られたゲルを金属塩に対する溶解度の高い低分子量のアルコール、水、あるいはこれらの混合溶液等に浸漬することでゲル中に含有する金属成分を溶出し、濃度分布を形成する。しかしながら、Ti、Nb、Ta、Zrなどの屈折率への寄与が大きな金属の適当な塩が存在しないために高いNAのGRINレンズには適用が非常に難しかった。
一方、分子スタッフィング法では、特公平5−82332号公報に、ウエットゲルを乾燥、焼成して多孔質体を作製し、Ti含有溶液等に浸漬して多孔質体に金属成分を均一に含浸させ、SiO2 −TiO2 等の金属含有ガラスを得る方法が開示されている。ところが、この方法では、ドライゲルを高温まで熱処理しているので、Si−O−Siの結合手が強固に結合しており、反応活性なSi−OH基が少なくなっているため、極くわずかの金属成分しかSi−O−Siに結合することができにくく高いNAのGRINレンズを安定に作ることが難しかった。
また、これら金属アルコキシドや金属塩を用いる方法、更には分子スタッフィング法を適用した従来のゾルゲル法では、基本的に金属成分の拡散によって濃度分布が付与されるため、濃度分布を精密にコントロールすることが出来ず、濃度分布形状のばらつきが大きくなりやすかった。また、母体となるゲルは基本的に円柱形のため、大きな口径のゲルを作ろうとすると割れやすく、品質を安定させることが困難で、製造コストが非常に高くなりやすかった。
米国特許第3910677号公報
米国特許第4701011号公報
米国特許第5384874号公報
特開平8−292341号公報
また、これら金属アルコキシドや金属塩を用いる方法、更には分子スタッフィング法を適用した従来のゾルゲル法では、基本的に金属成分の拡散によって濃度分布が付与されるため、濃度分布を精密にコントロールすることが出来ず、濃度分布形状のばらつきが大きくなりやすかった。また、母体となるゲルは基本的に円柱形のため、大きな口径のゲルを作ろうとすると割れやすく、品質を安定させることが困難で、製造コストが非常に高くなりやすかった。
本発明は、屈折率分布を精密に制御して、濃度分布形状のばらつきのないGRINレンズの製造を課題とするものであり、特に、開口数NAの大きなGRINレンズを低コストで製造することを課題とするものである。
(構成1)本発明は、 内周面が円筒形状の容器を回転させながら該容器の内周面に、屈折率付与金属濃度が内側ほど順次高くなるように、屈折率付与金属濃度の異なる層を積層したシリコンの円筒状ウエットゲルを作成するステップと、
該円筒状ウエットゲルを乾燥して円筒状ドライゲルを作成するステップと、
該円筒状ドライゲルを焼結して円筒状ガラス体を作成するステップと、
該円筒状ガラス体を回転させながら端部より順次加熱し、内径が閉じた円柱状のGRINレンズ母体を作成するステップと、
該GRINレンズ母体を所定の径に加熱延伸するステップとを有することを特徴とするGRINレンズの製造方法である。
該円筒状ウエットゲルを乾燥して円筒状ドライゲルを作成するステップと、
該円筒状ドライゲルを焼結して円筒状ガラス体を作成するステップと、
該円筒状ガラス体を回転させながら端部より順次加熱し、内径が閉じた円柱状のGRINレンズ母体を作成するステップと、
該GRINレンズ母体を所定の径に加熱延伸するステップとを有することを特徴とするGRINレンズの製造方法である。
屈折率付与金属は、段階的に濃度の異なる層を複数層(好ましくは8層以上)積層してもよいし、連続的に濃度が異なるように積層してもよい。
(構成2)また本発明は、前記構成1の製造方法において、前記円筒状ウエットゲルを作成するための原料が、シリコンのアルキコシドを主成分とするアルコール溶液、溶媒としての酸又は塩基、屈折率付与金属及びシリコン粉末を含むものであることを特徴とするGRINレンズの製造方法である。
円筒状ウエットゲルを作成するための原料にシリコン粉末を添加することで、容器の回転による遠心力により、ゲルが高密度になりすぎるのを防止できる。シリコン粉末の平均粒径は50nm以下の超微粒であることが望ましく、添加量はシリコン全量の17〜25%程度が適当である。
(構成3)また本発明は、前記構成1又は2の製造方法において、前記屈折率付与金属がTi又はTaであることを特徴とするGRINレンズの製造方法である。
(構成4)また本発明は前記構成1〜3のいずれかの製造方法において、前記円筒状ウエットゲルを作成するステップにおける前記容器の回転速度が800回転/分以上であることを特徴とするGRINレンズの製造方法である。
(構成5)また本発明は、前記構成1〜4のいずれかの製造方法において、前記内径が閉じた円柱状のGRINレンズ母体を作成するステップで、円筒状ガラス体を回転させながら端部より順次加熱する際に円筒状ガラス体の管内を減圧することを特徴とするGRINレンズの製造方法である。
円筒状ガラス体を回転させながら端部より順次加熱する際に、円筒状ガラス体の管内を減圧すると、ガラス体が軟化したときに楕円形状に潰れ、GRINレンズ母体内の屈折率分布が楕円形状となる。一般にレーザ光の形状は楕円形である(高出力のレーザ光ほど潰れた楕円形である)ので、レーザ光の形状とGRINレンズの屈折率分布の形状とを合わせることで、さらに効率のよいGRINレンズとすることができる。
(構成6)また本発明は、 前記構成5の製造方法において、前記内径が閉じた円柱状のGRINレンズ母体を作成するステップで、円筒状ガラス体の管内の圧力を大気圧よりも20Pa以上小さくし、円筒状ガラス体の回転速度を50回転/分以上としたことを特徴とするGRINレンズの製造方法である。
ガラス体管内の減圧量(大気圧との差)を大きくするほどGRINレンズ内部の屈折率分布は潰れた楕円形となる。どの程度減圧すればどの程度潰れた楕円となるかは、ガラス体の外径及び内径などにより異なるが、一般的に減圧量が20Pa未満では屈折率分布は真円に近くなり、効果が小さい。また、ガラス体の回転速度が小さいと、GRINレンズ母体の外形も楕円形となり、光ファイバとの接続に好ましくない。ガラス体の回転速度を50回転/分以上とすることで、GRINレンズ母体の外形をほぼ真円とすることができる。
(構成7)また本発明は、前記構成1〜6の製造方法で製造され、開口数が0.4以上であることを特徴とするGRINレンズである。
本発明のGRINレンズの製造方法は、従来のように円柱状ではなく円筒状のウエットゲルを用いる製造方法のため大型(大口径)のGRINレンズを作成できるとともに、金属成分の添加量の違った組成を積層させるため高価な金属成分を溶出などで消滅させることなく収率100%で製造でき、金属成分の添加量の違った組成を積層させるため屈折率分布の精密な制御が可能で生産性が上がり、極めて低コストとなる。
本発明は、屈折率分布が精密に制御された開口数の高いGRINレンズとその製造方法であり、以下のようにして製造される。まず、図2(a)に示すように、例えば内径50mmの円筒形の回転する容器(四弗化樹脂管など)21に、ゾルゲル法によって作製した屈折率を付与する金属成分(チタンやタンタルなど)の添加量を順次変えたゾルを順次適量注入し夫々ゲル化させて、容器の内壁に金属成分の濃度が順次異なるウエットゲル22を円筒状に積層させる。このウエットゲル22を、60℃の雰囲気のもとで1週間乾燥させてドライゲルを得る。ドライゲルは、約1/2収縮し、内径26mm外形13mmで、楕円率が0.04%の円筒形である。得られたドライゲルを室温から800℃までは酸素雰囲気中で150℃/hrで昇温し、その後1250℃までヘリウム雰囲気中で50℃/hrで昇温し焼成すると、図2(b)に示すような透明な円筒形ガラス体23が得られる。この円筒状のガラス体23の両端を回転旋盤に固定し、回転しながら約2000℃の酸水素バーナ25で端部より順次加熱していくと、内径が閉じた円柱状のGRINレンズ母体24が得られる。これをカーボンヒータの電気炉に挿入、適当なスピードで紡糸すると、例えば外径150μmという所望の外形を持つGRINレンズ状光ファイバが得られる。これを適当な長さに加工切断すると、所望のGRINレンズが得られる。
このように従来のように円柱状ではなく円筒状のウエットゲルを用いた製造方法のため大型のGRINレンズが作製出来るとともに、金属成分の添加量の違った組成を積層させるため高価な金属成分を溶出などで消滅させることなく収率100%で製造でき極めて低コストであり、また、金属成分の添加量の違った組成を積層させるため屈折率の制御が可能であると共に高いNAを確保できという優位性を発揮することが出来る。
(屈折率分布):円柱状のGRINレンズ母体21の屈折率分布が、式(1)に示すような2乗カーブで減少するような屈折率分布にするためには、ウエットゲル22の金属成分の添加量は、図3に示すようにウエットゲル22の内径をa、内径方向の距離をRとすると
{(R/a)2-1}1/2 (3)
に従って添加量が減少するように設定されればよい。
{(R/a)2-1}1/2 (3)
に従って添加量が減少するように設定されればよい。
(円筒形状):GRINレンズ母体21の屈折率分布が2乗カーブで同心円状に減少する屈折率分布を持つためには、ウエットゲル22がほぼ真円に近い同心円筒状に作製されなければならない。このウエットゲルの円心形状は、回転容器21の回転数に大きく依存する。図4は内径50mmの回転容器22の中にゾルを注入しゲル化21するときの液体の面が遠心力方向となす角度ψを、容器の回転速度をパラメータとして、半円週θの回りで調べた結果を示したものである。総ての円周角で角度ψが90度であれば完全な円筒形状であるが、回転数が小さいとゲルの内面はお結び型になっていることが分かる。これより、円心率を高くするためには、回転数は一分間に800回転以上必要であることが分かった。
(高NA金属添加成分):二元系シリカガラスの屈折率を良く知られたLorentz-Lorenzの計算式を用いて予測したところ、GRINレンズの金属添加物成分の候補として、SiO2−Bi2O3, −In2O3, −Y2O3, −La2O3, −Ga3O2, −Sb3O2, −Gd3O2, −Nb2O5, −SnO2, −Ta2O5,−TiO2 及び−2が挙げられた。この中で、Bi,In,Y,Laを含む組成は、添加元素のアルコキシドがいずれも難溶性固体で、ゲルが作製できないことが分かった。また、Gd,Gaを含む組成は、添加物が少ない領域(Siに対する添加量が20mol%以下)では0.3以下の開口数(NA)しか得られなかった。また、その他の組成については、例えばNAが0.5(即ち、屈折率が石英の1.4584に対して1.54)となる添加材は添加量の少ないものから、得られた結果を図5に示すように、Nb:6mol%、Ta:10mol%、Sb:10mol%、Ti:12mol%、Zr:18mol%、Sn:15mol%の酸化物であった。
(ウエットゲルの乾燥時における割れ):本発明のGRINレンズの製造法は、屈折率を付与する金属成分の添加量を順次変えたゾルを、円筒形の容器内に順次注入し、回転させながら容器の内壁に金属成分の濃度分布が順次異なるゲルを積層させ、乾燥・燒結させて円筒状のガラス管にすることを基本にしている。このため積層するガラス層の熱膨張係数が著しくかけ離れていると、それらの熱膨張差によってゲル作成時や乾燥、燒結時に境界面からクラックを生じてしまう可能性が大きい。このため、高いNAをもつ可能性の材料でも、熱膨張係数の小さなものを選ぶ必要がある。これまでの経験から、熱膨張による割れを防止するためには、SiO2ガラスの熱膨張係数5x10-7K-1に対して15x10-7K-1以下であることが要求される。図6に金属成分の添加量を変えた時の熱膨張係数を実験的に求めた結果を示す。
前記したように、図5より求められた高NAを創出する可能性のある金属成分、Nb:6mol%、Ta:10mol%、Sb:10mol%、Ti:12mol%、Zr:18mol%、Sn:15mol%のうち、Nb、Sn添加ガラスは結晶性物質の存在が認められるとともに、熱膨張係数が大きくGRINレンズとしては不適であった。
以上より、SiO2−Sb2O3, SiO2−Ta2O5, SiO2−Ti2O3 及びSiO2−ZrO2系石英ガラスが、NAが高く、且つ熱膨張係数がSiO2ガラスとほぼ同等であるということ、即ち円筒系GRINレンズの製法に適用できることが判明した。但し、Sb添加ガラスは、ゲルの燒結時に添加元素のSbが蒸発するという、またZr添加ガラスは、加水分解反応は比較的早く、ゲル作成の過程で、溶媒であるメタノール中で少量では有るが沈殿が形成されるというプロセス上の不安定性を有していた。
以上の検討結果から、SiO2−Sb2O3, SiO2−Ta2O5, SiO2−Ti2O3 及びSiO2−ZrO2系石英ガラスが、更に願わくば、プロセスの安定性を考慮し、SiO2−Ta2O5, SiO2−Ti2O3系石英ガラスで、それぞれTa:10mol%、Ti:12mol%をゾルゲル法で添加すれば、NAが高いGRINレンズを作製できることが判明した。
シリコンテトラメトキシド76.6mlとイソプロパノール184.3mlとの混合液に2規定塩酸9.2mlを添加した後、平均粒径30nmの超微粒子シリカ50mlを混合し、1時間攪拌して部分加水分解を行った。この溶液を8等分し、表1に示す濃度のチタンテトラnブトキシドを添加して、チタン成分の異なる1層から8層までの8種のゾルを時間をおいて作製した。その後、夫々時間をおいて0.01規定のアンモニア水を添加し、ゾルを調製した。
まず、1層目のゾルを内径50mmの円筒形ポリプロピレン容器21に入れ、1100回転/分の速度で30分回転させ、容器の内壁に円筒状のウエットゲルを作製した。その後、同様なプロセスで、2層から8層のチタン成分の異なるゾル液を順次該容器21に入れて、容器の内壁に同心円状に8層のチタンの添加量の異なるウエットゲル層を積層した。作製した円筒状のウエットゲル22を回転させながら、60℃で1週間乾燥させてドライゲルを得た。ドライゲルは、内径26mm外形13mmで、楕円率が0.04%以下の円筒であった。得られたドライゲルを室温から800℃までは酸素雰囲気中で150℃/hrで昇温し、その後1250℃までヘリウム雰囲気中で50℃/hrで昇温・焼成し透明なガラス体23を得た。
この円筒状のガラス体23の両端を回転旋盤に固定し、回転しながら約2000℃の酸水素バーナ25で端部より順次加熱していくと、内径が閉じた円柱状のGRINレンズ母体24が得られた(図2(c))。このGRINレンズ母体24をカーボンヒータの電気炉に0.04mm/sで挿入しながら外径150μmのGRINレンズ状光ファイバに紡糸した。。作製したGRINレンズ状光ファイバの屈折率分布を測定した結果、中心から周辺に向かってほぼ2乗カーブで減少する屈折率分布を持ち、その開口数はNA=0.53であった。ここで、1900℃以上の紡糸の時に中心部のチタン成分が若干飛散するため、表1に示すように8層のチタン添加量を多くし、屈折率の低下を防止した。
シリコンテトラメトキシド1.1gと表2に示す8種の添加量のタンタルエトキシドを添加混合し、メタノール1.3ccを添加混合して攪拌させた。その後平均粒径30nmの超微粒子シリカ0.3gを混合し、1時間攪拌した後、時間をおいて夫々メタノール1.3ccと純水0.3ccを混合して滴下し、ゾルを調製した。
まず、1層目のゾルを内径50mmの円筒形ポリプロピレン容器21に入れ、1100回転/分の速度で30分回転させ、容器の内壁に円筒状のゲルを作製した。その後、同様なプロセスで、2層から8層のチタン成分の異なるゾルを順次該容器に入れて、容器の内壁に同心円状に8層のタンタル濃度の異なるウエットゲルを積層した。作製した円筒状のウエットゲル22を回転させながら、60℃で1週間乾燥させてドライゲルを得た。ドライゲルは、内径25mm外形14mmで、楕円率が0.04%以下の円筒であった。得られたドライゲルを室温から800℃までは酸素雰囲気中で150℃/hrで昇温し、その後1250℃までヘリウム雰囲気中で50℃/hrで昇温・焼成して透明なガラス体23を得た。
この円筒状のガラス体23の両端を回転旋盤に固定し、回転しながら約2000℃の酸水素バーナ25で端部より順次加熱していくと、内径が閉じた円柱状のGRINレンズ母体24が得られた(図2(c))。このGRINレンズ母体24をカーボンヒータの電気炉に0.04mm/sで挿入しながら外径150μmのGRINレンズ状光ファイバに紡糸して、GRINレンズ状光ファイバを作製した。作製したGRINレンズ状光ファイバの屈折率分布を測定した結果、中心から周辺に向かってほぼ2乗カーブで減少する屈折率分布を持ち、その開口数はNA=0.52であった。タンタルの場合には、実施例2で述べられているような、タンタルの飛散は無かった。
図7の上段は前記実施例2の方法で作成した円筒状ガラス体23の断面、下段は本実施例の方法で作成したGRINレンズ母体24の断面を示している。ガラス体は外径13mm、内径7.7mmである。円筒状ガラス体を端部より順次加熱しGRINレンズ母体を作成する際に、円筒状ガラス体の管内を減圧すると共に、ガラス体を80回転/分の速度で回転させた。GRINレンズ母体の外形はほぼ真円となり、屈折率は楕円形に分布した。減圧量(大気圧との差)と等屈折率曲線の最大楕円率との差は以下の通りであった。なお、楕円率は楕円の長径をa、短径をbとすると(a−b)/aで、大きいほど潰れた楕円となる。
減圧量 60Pa 最大楕円率 32%
減圧量 110Pa 最大楕円率 45%
減圧量 200Pa 最大楕円率 68%
減圧量 60Pa 最大楕円率 32%
減圧量 110Pa 最大楕円率 45%
減圧量 200Pa 最大楕円率 68%
図7の下段に示すように、等屈折率曲線は、中心部の層が最も潰れた楕円形となり、外側の層ほど潰れ方が少ない楕円となる。減圧量を調整することで、使用するレーザ光に最適の屈折率分布を持ったGRINレンズを製造することができる。
本発明のGRINレンズは、光ファイバの先端に溶着して光ファイバ結合部品、コリメータなどとして利用することができる。
21 容器
22 ウエットゲル
23 ガラス体
24 GRINレンズ母体
22 ウエットゲル
23 ガラス体
24 GRINレンズ母体
Claims (7)
- 内周面が円筒形状の容器を回転させながら該容器の内周面に、屈折率付与金属濃度が内側ほど順次高くなるように、屈折率付与金属濃度の異なる層を積層したシリコンの円筒状ウエットゲルを作成するステップと、
該円筒状ウエットゲルを乾燥して円筒状ドライゲルを作成するステップと、
該円筒状ドライゲルを焼結して円筒状ガラス体を作成するステップと、
該円筒状ガラス体を回転させながら端部より順次加熱し、内径が閉じた円柱状のGRINレンズ母体を作成するステップと、
該GRINレンズ母体を所定の径に加熱延伸するステップとを有することを特徴とするGRINレンズの製造方法 - 請求項1の製造方法において、前記円筒状ウエットゲルを作成するための原料が、シリコンのアルキコシドを主成分とするアルコール溶液、溶媒としての酸又は塩基、屈折率付与金属及びシリコン粉末を含むものであることを特徴とするGRINレンズの製造方法
- 請求項1又は2の製造方法において、前記屈折率付与金属がTi又はTaであることを特徴とするGRINレンズの製造方法
- 請求項1〜3のいずれかの製造方法において、前記円筒状ウエットゲルを作成するステップにおける前記容器の回転速度が800回転/分以上であることを特徴とするGRINレンズの製造方法
- 請求項1〜4のいずれかの製造方法において、前記内径が閉じた円柱状のGRINレンズ母体を作成するステップで、円筒状ガラス体を回転させながら端部より順次加熱する際に円筒状ガラス体の管内を減圧することを特徴とするGRINレンズの製造方法
- 請求項5の製造方法において、前記内径が閉じた円柱状のGRINレンズ母体を作成するステップで、円筒状ガラス体の管内の圧力を大気圧よりも20Pa以上小さくし、円筒状ガラス体の回転速度を50回転/分以上としたことを特徴とするGRINレンズの製造方法
- 請求項1〜6の製造方法で製造され、開口数が0.4以上であることを特徴とするGRINレンズ
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