JPH08184702A - 屈折率分布型光学素子およびその製造方法 - Google Patents

屈折率分布型光学素子およびその製造方法

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JPH08184702A
JPH08184702A JP6340470A JP34047094A JPH08184702A JP H08184702 A JPH08184702 A JP H08184702A JP 6340470 A JP6340470 A JP 6340470A JP 34047094 A JP34047094 A JP 34047094A JP H08184702 A JPH08184702 A JP H08184702A
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Satoshi Noda
野田  聡
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C23/00Other surface treatment of glass not in the form of fibres or filaments
    • C03C23/0095Solution impregnating; Solution doping; Molecular stuffing, e.g. of porous glass
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B19/00Other methods of shaping glass
    • C03B19/12Other methods of shaping glass by liquid-phase reaction processes

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 横方向に像圧縮する方法に適した光学系を構
成し、TVレンズ系などを大幅に小型化するとともに、
XY方向に屈折率分布形状の異なる屈折率分布型光学素
子を安価に製造する。 【構成】 屈折率分布型光学素子は、光軸に垂直な面に
おける等屈折率線が略楕円形状である。この屈折率分布
型光学素子は、原料ゾルを、棒状母材の長さ方向に対し
垂直な面の形状が、長方形、菱形、重心に対して対称な
多角形、もしくはそれらの角を丸くしたもの、または楕
円形状である容器に注いでゲル化させ、その後分布付与
処理を行ってから乾燥・焼成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、屈折率分布型光学素子
およびその製造方法に係り、特にXY方向に屈折率分布
形状の異なった屈折率分布型光学素子およびその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】TVレンズ系(スタジオTVカメラ、カ
ムコーダ、電子スチルカメラ等)は、通常、横長長方形
の撮像管や固体撮像素子(CCD、CMD、AMI、F
ITなど)等のディテクタ上に像を受け、その像を電気
信号に変換して処理する。しかし、光学系は光軸に対し
て回転対称であるため、レンズは円形である。したがっ
て、レンズによって結ばれる像も円形となるため、ディ
テクタ上下の部分に結像した像は、図2に示すように、
ディテクタ1の周りの斜線で示した部分2が無駄とな
る。像が無駄になるということは、言い換えると常に無
駄な像を結像させていることであり、光学系が無駄な空
間を占めることになり、TVレンズ系の小型化を抑制す
る要因となっている。
【0003】特に、最近になってHDTVへの転換や、
その前段階としてのワイドTVなどTV画面サイズのア
スペクト比が3:4から9:16へと換わりつつある。
つまり、画面の形状がより横長になるのである。この転
換をTVレンズ系から見ると、円形に結像した像に対す
るディテクタの面積比は低下し、より光学系のスペース
効率は悪くなり、TVレンズ系の小型化が難しくなる。
HDTVの場合は、結像性能そのものを大幅に向上させ
る必要があるため、それだけでも光学系は大型化するこ
とが必至であるが、アスペクト比の変更をも伴うため、
さらに大型化する傾向にあり、小型化は非常に困難とな
る。
【0004】そこで、光学系の小型化の方法として、光
学系によって像を横方向に圧縮し、横長の像を正方形や
正方形に近い形に結像させ、像を横長でないディテクタ
で受けて信号処理し、像の再生の段階で横長に復元させ
る方法がある。また、画素を像の圧縮に合わせて配置し
たディテクタを用いれば、従来と全く同じ信号処理によ
って像の再生が可能である。像の圧縮は必ずしも像を正
方形にするだけでなく、アスペクト比が9:16から
3:4へと、ワイドTVの像を従来のNTSC等のディ
テクタ上に結合させて、従来の撮像機器を使う場合など
も考えられる。像を横方向に圧縮する方法は、光学系内
にシリンドリカルレンズや、光軸に垂直な面内の交差す
る二方向(XY二方向)に屈折力の異なるアナモルフィ
ックレンズを配する方法がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】確かに、光学系内にシ
リンドリカルレンズや、XY二方向に屈折力の異なるア
ナモルフィックレンズを配することにより、一方向に像
を圧縮することが可能であるが、その反面、従来のレン
ズに対して像圧縮のためのレンズを新たに加えるため、
レンズ系全体の小型化には逆行することになる。特に、
レンズ系を極限にまで小型化することを考えると、レン
ズ枚数が増すことは好ましくない。極限までの小型化と
は、具体的には、TVカメラを先端に内蔵した内視鏡
(ビデオエンドスコープ)などの場合が考えられ、レン
ズ枚数を2〜3枚程度に極端に少なくし、またレンズ全
長をも極端に短くしながらも所望の光学性能を達成する
場合である。内視鏡の場合は、挿入性向上のためレンズ
外径はより小さく、また先端の湾曲性能向上のためレン
ズ系長さはより短く、極限までの小型化が要求されるの
である。この例は、新たにシリンドリカルレンズを加え
ることが大変困難な典型的な例である。
【0006】請求項1〜4に係る発明は、第1(請求項
1)、第2(請求項2)および第3(請求項3,4)の
発明に大別される。ここに、第1の発明は、シリンドリ
カルレンズやアナモルフィックレンズを用いずに、一方
向に像を圧縮する小型のレンズ系を構成できる屈折率分
布型光学素子を提供することを目的とする。
【0007】また、第2の発明は、シリンドリカルレン
ズやアナモルフィックレンズを用いずに、一方向に像を
圧縮する小型のレンズ系を構成できる屈折率分布型光学
素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】さらに、第3の発明は、第2の発明におい
て屈折率分布型光学素子の分布付与をXY二方向の形状
の差を利用して楕円分布を付与する際に生じる課題を解
決しようとなされた発明である。即ち、第2の発明の分
布付与は、そのXY二方向の形状の差を利用して楕円分
布を付与することを目的とするのであるが、できあがっ
たガラスの形状をもXY二方向に長さが異なったものと
なる。光学系としては、その楕円の全てを使用するわけ
ではなく、このロッドの重心を中心とした円形部分のみ
を使用するため、第2の発明によりできあがったロッド
の周辺を円柱状に研削加工する必要がある。従って、第
3の発明では、加工の手間がかかることや材料が無駄に
なるためコストが高くなることを避けることを目的とす
る。
【0009】また、第2の発明では、楕円等の母材を分
布付与液に浸漬して濃度分布処理を行うため、処理後の
楕円ロッドの屈折率分布は母材形状にほぼ相似形の楕円
である。そのため、ロッドの外周部分の屈折率は等し
く、XY二方向ともに中心と外周との屈折率差は等しい
が、屈折率分布勾配(Δn/mm)が異なった屈折率分布
となる。従って、この楕円ロッドから円形にロッドを切
り出すことは、長径方向の外周部分を削り取ってしまう
こととなるので、長径方向であった方向のΔnが短径で
あった方向のΔnより必ず小さくなる。加えて二方向の
Δnは、Δnの符号を変えることは原理的に不可能であ
って、XY二方向のΔnの差を極端に大きくすることは
困難であり、シリンドリカルレンズ作用にはある程度限
界があった。
【0010】そこで、第3の発明は、シリンドリカルレ
ンズやアナモルフィックレンズの作用をする屈折率分布
型光学素子を安価に提供できる製造方法を提供するこ
と、およびその作用の大きな屈折率分布型光学素子の製
造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに、第1(請求項1)の発明として、光軸に垂直な面
における等屈折率線が略楕円形状である屈折率分布型光
学素子を用いることとした。
【0012】また、第2(請求項2)の発明として、前
記屈折率分布型光学素子の製造方法を、棒状母材の長さ
方向に対し垂直な面の形状が、長方形、菱形、重心に対
して対称な多角形、もしくはそれらの角を丸くしたも
の、または楕円形状である前記棒状母材に対して組成分
布の付与を行う工程を有する製造方法によって達成し
た。
【0013】特に、棒状母材として、ゾルゲル法による
屈折率分布型光学素子の製造の中間生成物であるゲルで
あることが望ましく、具体的な製造方法として、原料ゾ
ルを、棒状母材の長さ方向に対し垂直な面の形状が、長
方形、菱形、重心に対して対称な多角形、もしくはそれ
らの角を丸くしたもの、または楕円形状である容器に注
いでゲル化させ、その後分布付与処理を行ってから乾燥
・焼成することとした。なお、長方形、菱形、重心に対
して対称な多角形、もしくはそれらの角を丸くしたも
の、または楕円形状などの容器は、横断面がXY方向に
長さの違う容器である。
【0014】さらに、第3(請求項3)の発明として、
前記屈折率分布型光学素子の製造方法を、母材に対し、
前記母材の長さ方向に垂直な2方向であるXY方向に異
なった条件で濃度分布付与する工程を有することとし
た。
【0015】具体的には、前記XY方向に異なった条件
の濃度分布付与が、前記母材のXYどちらか一方向をマ
スクして行うこと、前記母材の前記XY方向に異なった
分布付与溶液を接触させること、または、前記母材の前
記XY方向に異なった時間分布付与溶液を接触させるこ
ととした。また、第3の発明は、既に提案されている種
々の拡散を利用した屈折率分布型光学素子の製造方法を
利用できるが、好ましくは、前記母材が、ゾルゲル法で
作製したウェットゲルまたはドライゲルであることが望
ましい。
【0016】
【作用】まず、第1の発明の作用について説明する。径
方向屈折率分布型光学素子は、媒質に屈折力があるた
め、レンズ面の形状による屈折のみならず、媒質によっ
ても光線の屈曲があるため、レンズ全体の屈折力はそれ
らの和となる。式で表現すると式1のように表現され
る。 φ=φS +φM (式1) φはレンズ全体の屈折力、φS はレンズ表面での屈折
力、そしてφM はレンズ媒質の持つ屈折力である。従っ
て、レンズ表面形状が同じであっても、媒質の屈折率分
布の仕方によって、異なった屈折力を持ったレンズにす
ることが可能である。
【0017】このことを1つのレンズ内の二方向に適用
すると、レンズ面の形状が平面または球面であってXY
方向に対する屈折力が等しくても、媒質の屈折率分布の
仕方をXY方向で異なるようにすることによって、XY
二方向に屈折力の異なる光学素子にすることが可能であ
る。これは、ちょうど通常レンズにシリンドリカルレン
ズを付加した様な屈折力に相当するのである。
【0018】また、少数のレンズでレンズ系を構成して
高性能を達成するためには、色収差を効率良く補正する
ために屈折率分布型光学素子を利用したレンズ系が非常
に有効である。なぜなら、屈折率分布型光学素子は素子
単体で色収差の発生量を変えることができるため、少数
のレンズ系内においても媒質の特性をうまく選択するこ
とによって色収差補正が可能だからである。これは、屈
折率分布型光学素子が非球面レンズと大きく異なり、将
来の光学系に於て特に有望視されている理由のひとつで
ある。実際に、一方向に像を圧縮するなどの特別な仕様
でないレンズ系においても屈折率分布型光学素子の利用
が広く検討されている。
【0019】従って、屈折率分布型光学素子の場合は、
先に述べたように媒質の特性によってシリンドリカルレ
ンズの効果を容易に付加できるため、前述の本発明が着
目した問題点を解決するために用いる光学素子として、
最も理想的で、最も好ましいとの結論に達したのであ
る。
【0020】実際にXY二方向に屈折力を変えるための
屈折率分布形状について考える。一般に、屈折率分布型
光学素子の屈折率分布形状は、式2に示した屈折率分布
式で光軸からの距離rの関数として表現される。 N=N0 +N1 2 +N2 4 +N3 6 +…… (式2) 光の屈折は、この中で2次の係数と呼ばれる係数、N1
で決定される。従って、XY2方向のN1 が同一符号で
異なった値を持つ分布であれば良い。これを光軸に垂直
な面における等屈折率線で考えると、厳密な形状は、種
々設計によって異なるので、理想の屈折率分布形状を特
定することはできないが、略楕円形状となる分布が望ま
しいことになる。
【0021】また、光学系への本発明の屈折率分布型光
学素子の適用は、1枚に限るものではなく、複数枚数使
用することも可能である。ただし、レンズ系の組立の際
に光軸合わせだけでなくXY軸の調整が必要であるの
で、組立上の簡便さからはなるべく小数枚数にとどめる
ことが望ましい。
【0022】次に、第2の発明の作用について説明す
る。一方、シリンドリカルレンズの効果を合わせ持った
屈折率分布型光学素子の製造方法であるが、光軸に垂直
な面における等屈折率を楕円にするためには、まず断面
が楕円形状等の棒状母材を作製する。この楕円柱の母材
に対して組成分布の付与を行うと、図1(a)に示した
ように、楕円の外周から中心に向かって分布が形成さ
れ、母材3内部に等屈折率線4が楕円となる屈折率分布
が形成される。分布付与した楕円柱は、そのまま光学系
に組み込んでも良いが、長径の外周部分は空間の無駄で
あるので、通常は、(b)に示すように、楕円の長径と
短径の交点を中心軸とする円柱になるように外径の研削
加工を行って光学系に用いる。
【0023】具体的な製造方法は、母材の選択によって
種々の製法が可能である。まず、母材を楕円柱の特殊な
光学ガラスとし、溶融塩中でイオン交換することによっ
て楕円分布を持った屈折率分布型光学素子が製造でき
る。また、母材を楕円柱の多孔質ガラスとし、適当な塩
を分子スタッフィング法によってスタッフィング・アン
スタッフィングすることによっても製造できる。さら
に、母材をアルコキシド等の原料から合成されるゲルと
し、その塩に適当な塩をスタッフィング・アンスタッフ
ィングすることや、特定成分のみをリーチングした後に
乾燥・焼成することによっても製造できる。
【0024】イオン交換法や分子スタッフィング法にお
いては、母材となるガラスや多孔質ガラスを予め楕円柱
に加工しておく必要がある。楕円柱加工は、安価に量産
できる方法が確立されていないため、製造方法としては
若干問題点が残るといわざるを得ない。それに対し、ゾ
ルゲル法は、ゾルを注ぎ込んでゲル化させる容器の形状
によって任意の形状のゲルを容易に得ることができる。
従って、予め楕円柱の容器を作製する必要はあるもの
の、ゲル化容器は、何度でも使用可能であるので、楕円
柱加工に多少の手間がかかっても、価格や精度への影響
が小さいという点で有利である。さらに、ゾルゲル法
は、種々の成分に容易に組成分布が付与可能なことか
ら、光学的に優れた、低分散あるいは負分散分布特性を
持った屈折率分布型光学素子の製造には最も適した方法
であり、先に述べたように極限まで少枚数化、小型化す
るレンズ系を構成するのに好適な方法と考えられるの
で、本発明を適用するには特に良い方法である。
【0025】次に、ゲル化容器の形状であるが、前述の
ように、要求される屈折率分布形状は、種々設計によっ
て異なるので、理想の屈折率分布形状というものはな
く、必ずしも楕円柱のみが良いわけではない。
【0026】XY二方向の屈折力を変えるためには、X
Y方向に長さの異なる容器であればよく、例えば横断面
形状が長方形でも良い。断面が長方形のゲルに対して分
布付与を行った場合は、屈折率分布形状も長方形になる
わけではなく、図3(a)に示したように、ゲル5の長
方形の角部分が丸くなった屈折率分布形状となり、長方
形の長辺と短辺の長さによって楕円形の長径と短径を変
化させることと同様に、XY二方向の屈折力比を変化さ
せることが可能である。ゲルを作製する場合、角が尖っ
ているとゲルが欠けたりして、処理中にトラブルがある
ため、形成される屈折率分布形状を加味して問題無い範
囲で角を丸くした形状にすると良い。また、断面形状
は、XY方向に長さの異なる容器であれば良いので、長
方形に限定されず、菱形でも良い。シリンドリカルレン
ズのような性質を持たせるためには直交する二方向に対
して対称な形状が望ましいが、一般的には重心に対して
対称な形状であれば、適当な多角形であっても非対称屈
折特性を付与することができる。
【0027】以上のようにして、レンズ系の小型化を実
現する屈折率分布型光学素子が作製可能となる。本発明
を適用するTVレンズ系とは、先に述べた、スタジオT
Vカメラ、カムコーダ、電子スチルカメラ、TVカメラ
を先端に内蔵した内視鏡(ビデオエンドスコープ)だけ
ではなく、ハンディTVカメラ(可搬型)、監視カメ
ラ、ドアスコープ、TV電話、TV会議システム、TV
プロジェクタ、ビデオ式顕微鏡、コンピュータへの画像
取り込みカメラ(パソコン本体に内蔵タイプを含む)、
インライン計測用の画像取り込みカメラ等、入力した画
像を直接出力せず、画像処理などの画像の加工が行える
光学系には広く適応可能である。加えて画像の加工がで
きる光学機器であれば、TVなどの電気信号を介すもの
以外にも応用が可能である。例えば、光ファイバーによ
って像伝送を行う内視鏡(ファイバースコープ)におい
て、本発明の屈折率分布型光学素子を搭載した対物レン
ズによって像を一方向に圧縮し、イメージガイドでは圧
縮された像を伝送して接眼レンズで像を横長に復元させ
るシステムなどが考えられる。
【0028】また、第1および第2の発明は、光を集束
する作用のある凸レンズのみならず、光を発散させる作
用のある凹レンズにも適応可能である。具体的には、前
者はレンズ中心の屈折率が周辺部よりも高くなるよう
に、中心部でドーパント濃度が最も高くなるようにドー
パント濃度分布を付与するものであって、後者はその反
対である。
【0029】さらに、第3の発明の作用について説明す
る。母材に対してXY二方向に異なった条件で分布付与
を行うと、それぞれの方向から拡散則に則ってドーパン
トの交換または溶出、浸入が起こる。従って、形成され
る屈折率分布の断面形状は、その二方向の分布が連続的
に融合したような形状となり、条件の選択によって光学
設計された略楕円形状を実現することが可能である。円
柱の母材中に略楕円の屈折率分布形状の付与ができるこ
とから、そのまま外周を加工することなく光学系に組み
込むことが可能である。従って、外周加工の必要がな
く、加工にかかる費用や、従来削り落としていた部分の
材料費は削減できることになる。図4は、第3の発明の
製造方法によって作製した屈折率分布型光学素子の光軸
に対して垂直面での屈折率分布を等高線で示したモデル
図である。
【0030】また、第3の発明の製造方法において、X
方向及びY方向の分布付与を屈折率に変動を与える成分
を含む溶液を母材に接触させて行う場合には、X方向に
は屈折率への寄与の小さい溶液を、一方Y方向には屈折
率への寄与の大きい溶液を接触させるなど、各方向の溶
液の種類を選択することにより、光学素子の内部屈折率
分布を様々にコントロールすることが可能となる。特
に、X方向には屈折率を増加させるような溶液を、Y方
向には屈折率を減少させるような溶液を接触させた場合
には、図5に示すようにX方向については中心(光軸)
からの距離に応じて屈折率が増加し、Y方向については
中心からの距離に応じて屈折率が減少するような、鞍型
の屈折率分布を付与することも可能である。このような
分布は光学素子内部で軸対称に屈折率が変化している光
学素子に比較すると、光学素子内部の屈折率差Δnが格
段に大きくなる。このようにして作成した屈折率分布型
光学素子は、X方向には凸レンズ、Y方向には凹レンズ
の作用をするが、屈折率分布型光学素子に施すR加工に
よるレンズ面での屈折との組合せによって、非常に大き
なシリンドリカルレンズ作用を示し、像のアスペクト比
の変換に大きな効果を有するのである。例えば、Y方向
に媒質が凹レンズ作用を持っていても、凸形状に研磨し
たレンズ面での屈折力が大きければ、XY両方向ともに
レンズ全体としては凸レンズ作用、つまり集光作用を持
ったシリンドリカルレンズとなり、効果的である。
【0031】製造方法は、母材の選択によって種々の製
法が可能である。まず、母材を特殊な光学ガラスとし、
溶融塩中でXY方向に異なった溶融塩でイオン交換する
ことによって、XY方向に屈折力の異なる屈折率分布型
光学素子が製造できる。また、母材を多孔質ガラスと
し、XY方向に異なった溶液で適当な塩を分子スタッフ
ィング法によってスタッフィング・アンスタッフィング
することによっても製造できる。さらに、母材をアルコ
キシド等の原料から合成されるゲルとし、XY方向に異
なった溶液に接触させ、スタッフィング・アンスタッフ
ィングすることや、特定成分のみをリーチングした後に
乾燥・焼成することによっても製造できる。
【0032】従って、イオン交換法、分子スタッフィン
グ法やゾルゲル法、全ての場合において、母材となるガ
ラスや多孔質ガラス、ゲルを円柱形状のまま使用可能で
あるので、従来の母材がそのまま使用可能である。しか
し、TVレンズ系等で極端にレンズ枚数を削減したり、
小型化することを考えると、媒質の効果を充分に発揮さ
せるために、Δnが大きな特性が要求されるだけでな
く、屈折率分布型光学素子自体で充分に色収差が除去さ
れていたり、レンズ系全体の色収差を充分に補正できる
特性が求められるため、分布付与できる組成にあまり制
約がなく、且つかなり複雑に分布の複合化が可能と考え
られるゾルゲル法を用いることが最も望ましい。
【0033】異なった分布付与条件とは、母材と分布付
与液の接触の仕方を変えることや、接触させる部分によ
って分布付与液を変更することが有効である。前者は、
特定の方向の母材表面にマスクを施し、分布付与液と母
材の接触面積を制御するものである。また後者は、各方
向に接触させる分布付与溶液の種類を変えることや、同
じ種類ではあるが濃度をかえることによって実現でき
る。特に、分布付与液の種類を変更することによって、
X方向には凸レンズ、Y方向には凹レンズの作用をする
レンズの作製が可能である。
【0034】母材の各方向に異なった分布付与溶液を接
触させる方法は、母材の各方向から異なった分布付与溶
液をシャワー状にかけることや、分布付与溶液に対して
耐性のある隔壁で母材の周囲を分離し、それぞれの隔壁
で囲まれた部分に異なった溶液を満たして分布付与する
ことによって実現可能である。
【0035】ここまでは、XY二方向に異なった分布付
与条件によって分布付与することを例にとって述べてき
たが、分布付与は単純にXYの二方向に条件を変えるだ
けでなく、母材断面に対して多方向から条件を変えて行
い、母材全体でみたときにXY方向に条件が異なるよう
にすれば良い。例えば、周囲六方向や八方向から条件を
変えた分布付与を行っても良いわけである。所望の分布
形状によって、条件を変える方向を何方向にするとか、
各方向の条件をどのように変えるかは選択する。
【0036】従って、必ずしも光軸に対して対称に条件
を設定する必要もなく、極端には、光軸に対して非対称
な屈折率分布を必要とする場合であっても、その分布に
合わせて各方向の分布付与条件を適宜設定することによ
って第3の発明が適用可能である。以上より、単純に分
布付与の条件について制約はないわけであるが、現実に
は、あまりに多方面から分布付与を行うことは困難であ
るので、八方向くらいが限界である。従って、複雑に分
布形状を操作する場合は、1度に分布付与をしないで、
マスクや分布付与液を変えて、数度に分けて分布付与を
行い、所望の分布に仕上げる方法などが良いと考えられ
る。
【0037】さらに、XY方向に分布付与時間を変える
ことによっても実現可能である。具体的には、一方向に
母材表面にマスクを施し一定時間分布付与を行った後
に、マスクを取り除いて更に分布付与を行うことが考え
られる。また、母材の回りからシャワー状に分布付与液
を噴出させて母材に接触させる方法を用いて母材を光軸
で回転させながら液と接触させ、その回転をシャワーさ
れる溶液との接触時間が場所によって異なるように人為
的に回転ムラをもって回転させる方法などが考えられ
る。母材の場所によって液との接触時間が異なると、溶
出、交換、含浸されるイオンの量も場所によって変わる
ので、濃度分布形状をXY方向に変化させることが可能
なのである。この方法では、母材を回転させるので、分
布の揺らぎが小さく抑えられるという利点もある。
【0038】以上、種々の手段について述べてきたが、
これらの手段はそれぞれ単独で用いることはもちろん、
数種に手段を組合せで用いることによってより効果的な
製造が可能になる。
【0039】以上のようにして、TVレンズ系の小型化
等に利用する略楕円分布の屈折率分布型光学素子が作製
可能となる。本発明を適用できる典型的な例がTVレン
ズ系であるが、これには、先の述べた、スタジオTVカ
メラ、カムコーダ、電子スチルカメラ、TVカメラを先
端に内蔵した内視鏡(ビデオエンドスコープ)だけでは
なく、ハンディTVカメラ(可搬型)、監視カメラ、ド
アスコープ、TV電話、TV会議システム、TVプロジ
ェクタ、ビデオ式顕微鏡、コンピュータへの画像取り込
みカメラ(パソコン本体に内蔵タイプを含む)、インラ
イン計測用の画像取り込みカメラ等、入力した画像を直
接出力せず、画像処理などの画像の加工が行える光学系
には広く適応可能である。
【0040】
【実施例】
[実施例1]酸化物換算mol%が、SiO2=55,ZrO2=8,TiO2=
5,Al2O3=10,Li2O=12,MgO=10 となるように各種原料を用
いてバッチを調製し、その中にSb2O3 をバッチ全量に対
して0.5wt%添加し、白金坩堝を用いて1400℃で溶融し
て、ガラスロッドに成形した。このガラスロッドを断面
が長径5mm、短径3mmの楕円になるように研削加工を行
った。加工した楕円ロッドを 530℃のKNO3溶融塩中に 1
80時間浸漬し、イオン交換を行った。イオン交換したロ
ッドの断面の屈折率分布を測定したところ、外形形状と
ほぼ相似形の楕円形状であり、XY二方向焦点距離の異
なった屈折率分布型光学素子となっていた。断面形状の
重心を中心とする円柱形状にするために外径を再度研削
し、円形のレンズとして光学系中に用いた。
【0041】[実施例2]テトラメチルシリケート50ml
に0.01規定の塩酸25mlを加えて1時間撹拌し、部分加水
分解反応を行った。ここに1.5mol/lの酢酸バリウム水溶
液98mlと酢酸40mlを混合したものを添加した。これを更
に3分間ほど撹拌した後、長径20mm、短径10mmの楕
円柱形状の穴加工を施したテフロン製容器に注ぎ入れ、
容器に蓋をして密閉し室温でゲル化させた。得られたゲ
ルを5日間熟成し、さらに60℃のIPA:水=6:4
(体積比)の混合溶媒を用いた酢酸バリウムの0.45mol/
l 溶液中に浸漬し、酢酸の除去、およびゲルの熟成を行
った。このゲルをメタノール:エタノール=7:3、エ
タノール、エタノール:アセトン=5:5、アセトンの
順に浸漬することにより、ゲル細孔中に酢酸バリウムの
微結晶を析出、固定させた。
【0042】得られた均質ゲルを0.3mol/lの酢酸カリウ
ムのメタノール溶液であり、かつ0.15mol/l の酢酸のメ
タノール溶液となるように調節した溶液150ml に35時
間浸漬して分布付与させた後、エタノール:アセトン=
5:5、アセトン、アセトンの順に浸漬することによ
り、酢酸バリウム、酢酸カリウムの微結晶をゲル細孔中
に析出、固定させた。
【0043】このゲルを30℃の乾燥空気中で10日間
乾燥させてドライゲルとした。得られたドライゲルを管
状炉により酸素およびヘリウムをフローしながら750
℃まで昇温して焼結することにより、割れのない長径約
8. 5mm、短径約4. 5mmの楕円柱形状の焼結体ロッド
が得られた。この焼結体のロッド断面の屈折率分布を測
定したところ、外形形状とほぼ相似形の楕円形状であ
り、XY二方向焦点距離の異なった屈折率分布型光学素
子となっていた。
【0044】[実施例3]シリコンテトラエトキシド20
0ml 、エタノール90mlおよび2N−塩酸16mlを混合し、
シリコンアルコキシドの部分加水分解を行った。次に、
ジルコニウムノルマルブトキシド85wt% ノルマルブタノ
ール溶液72gをエタノール 138ml中に溶解させた溶液を
加え、1時間撹拌した。続いてこの溶液の中に、水、エ
タノール、ジメチルホルムアミド、1規定アンモニア水
の混合溶液を水浴中で滴下してゾルを調製した。
【0045】得られたゾルを内寸が5mm×10mm×20
0mmで各稜をR0. 5に仕上げたポリプロピレン製の容
器に注ぎ、容器の両端を密閉して一昼夜室温中で静置
し、ウェットゲルを得た。このウェットゲルを60℃の
恒温槽中に入れて4日間熟成させた後、熟成させたウェ
ットゲルを3N−硫酸中に1時間40分間浸漬しジルコ
ニウム成分を溶出させ、エタノール中に一昼夜浸漬して
予め用意した体積比が1:2のメタノール、エタノール
混合アルコ−ル中に一昼夜浸漬してウェットゲル中の硫
酸分を洗浄した。洗浄を終えたウェットゲルを内径1
6.5mmのポリプロピレン製試験管中に入れてアルミホ
イルで蓋をして、60℃恒温槽中に入れて乾燥させ、ジ
ルコニウム成分に濃度勾配のついた透明でクラックの無
いドライゲルを得た。
【0046】続いてこのドライゲルを管状炉中にいれ、
途中 350℃、 400℃、1020℃で温度保持を行いながら最
高温度1150℃まで昇温して焼成を行ったところ、1.4
mm×2.7mm×50mmの面取りされたような四角柱形状
の焼成体が得られた。この焼結体のロッド断面の屈折率
分布形状を測定したところ、外径付近ではほぼ長方形で
あるが、内部ではほぼ楕円形であり、XY二方向焦点距
離の異なった屈折率分布型光学素子となっていた。この
焼成体の重心を中心とする円柱形状にするために外径を
研削し、レンズとして用いた。
【0047】[実施例4]テトラメチルシリケート30m
l、トリエチルボレート7.2ml を混合し、これに0.01規
定の塩酸15mlを加えて室温で1時間撹拌し、部分加水分
解反応を行った。ここに2mol/lの酢酸カリウム水溶液8
0.7mlと1.2mol% の酢酸36.8mlを混合したものを添加し
た。これをさらに室温で激しく3分撹拌した後、3分間
静置し、楕円柱形状の穴加工を施したテフロン製容器に
注ぎ込み、室温でゲル化させた。得られたゲルを30℃
で5日間の熟成を行い、さらに酢酸鉛および酢酸カリウ
ムのエタノール溶液中に浸漬し、ゲルの熟成を行った。
このゲルをIPA:水=5:5の混合溶媒、アセトンの
順に各2日間浸漬することにより、ゲル細孔中に酢酸
鉛、酢酸カリウムの微結晶を析出、固定させた。
【0048】得られた均質ゲルを0.2mol/l酢酸鉛のメタ
ノール溶液に6時間浸漬して分布付与させた後、再びI
PA:アセトン=5:5、アセトン、アセトンの順に各
2日間浸漬することによって、酢酸鉛、酢酸カリウムの
微結晶を固定させた。これを30℃で5日間乾燥した
後、610 ℃まで昇温させて焼結することにより、楕円柱
形状のXY二方向焦点距離の異なった凹レンズ作用を持
つ無色透明の屈折率分布型光学素子になっていた。
【0049】[実施例5]酸化物換算mol%が、SiO2=55,
ZrO2=8,TiO2=5,Al2O3=10,Li2O=12,MgO=10 となるように
各種原料を用いてバッチを調製し、その中にSb2O3 をバ
ッチ全量に対して0.5wt%添加し、白金坩堝を用いて1400
℃で溶融して、φ5mmの円柱状にガラスロッドを成形し
た。成形したロッドの外周表面部の対面する二方向に幅
2mm に酸化チタンの被膜を施した後、KNO3溶融塩中に2
0日間浸漬し、イオン交換を行った。イオン交換したロ
ッドの断面の屈折率分布を測定したところ、ほぼ楕円形
状であり、XY二方向焦点距離の異なった屈折率分布型
光学素子となっていた。
【0050】[実施例6]テトラメチルシリケート50ml
に0.01規定の塩酸25mlを加えて1時間撹拌し、部分加水
分解反応を行った。ここに1.5mol/lの酢酸バリウム水溶
液98mlと酢酸40mlを混合したものを添加した。これを更
に3分間ほど撹拌した後、φ20mmのテフロン製容器に注
ぎ入れ、容器に蓋をして密閉し室温でゲル化させた。得
られたゲルを40℃で5日間熟成し、さらに60℃のI
PA:水=6:4の混合溶媒を用いた酢酸バリウムの0.
45mol/l 溶液中に浸漬し、酢酸の除去、およびゲルの熟
成を行った。このゲルをメタノール:エタノール=7:
3、エタノール、エタノール:アセトン=5:5、アセ
トンの順に浸漬することにより、ゲル細孔中に酢酸バリ
ウムの微結晶を析出、固定させた。
【0051】得られた均質ゲルの周辺部を4分割するよ
うにポリプロピレン製の板で作製した隔壁をゲル側面に
圧着し、それらの間に0.3mol/lの酢酸カリウムのメタノ
ール溶液と0.1mol/lの酢酸カリウムのメタノール溶液を
交互に入れて、40時間浸漬して分布付与させた後、ア
セトンに浸漬することにより、酢酸バリウム、酢酸カリ
ウムの微結晶をゲル細孔中に析出、固定させた。このゲ
ルを乾燥器の中で充分に乾燥させてドライゲルとした。
得られたドライゲルを管状炉により酸素およびヘリウム
をフローしながら焼結し、φ約7mmの焼結体ロッドを得
た。この焼結体のロッド断面の屈折率分布を測定したと
ころ、楕円形状であり、XY二方向焦点距離の異なった
屈折率分布型光学素子となっていた。
【0052】[実施例7]シリコンテトラエトキシド20
0ml 、エタノール90mlおよび2N−塩酸16mlを混合し、
シリコンアルコキシドの部分加水分解を行った。次に、
ジルコニウムノルマルブトキシド85wt% ノルマルブタノ
ール溶液72gをエタノール138ml 中に溶解させた溶液を
加え、1時間撹拌した。続いてこの溶液の中に、水、エ
タノール、ジメチルホルムアミド、1規定アンモニア水
の混合溶液を水浴中で滴下してゾルを調製した。得られ
たゾルをφ18mmのポリプロピレン製の容器に注ぎ、容器
を密閉して一昼夜室温中で静置し、ウェットゲルを得
た。このウェットゲルを60℃の恒温槽中に入れて4日
間熟成させた。
【0053】熟成したウェットゲルに対して周囲八方向
から硫酸を2時間シャワー状にしてかけることによって
ジルコニウム成分を溶出させた。その際、ゲルを上下方
向に常時動かしながら、時に円周方向にも10度から2
0度程度回転させては戻すといった動きをさせた。かけ
た硫酸の濃度は、対面する一方向に6規定、そしてその
方向と直交する方向に1規定、さらにこれらの中間の斜
め方向には3規定を用いた。そして2時間のシャワーを
かけた後、エタノール中に一昼夜浸漬して体積比が1:
2のメタノール、エタノール混合アルコ−ル中へ一昼夜
浸漬をしてウェットゲル中の硫酸を洗浄した。この洗浄
を2回繰り返して硫酸分を充分に洗浄した後、ウェット
ゲルを60℃恒温槽中に入れて乾燥させ、ジルコニウム
成分に濃度勾配のついた透明でクラックの無いドライゲ
ルを得た。
【0054】続いてこのドライゲルを管状炉中にいれ、
途中 350℃、 400℃、1020℃で温度保持を行いながら最
高温度1150℃まで昇温して焼成を行ったところ、φ約5.
5mmの焼成体が得られた。この焼結体のロッド断面の屈
折率分布形状を測定したところ、ほぼ楕円形であり、X
Y二方向に焦点距離の異なった屈折率分布型光学素子と
なっていた。
【0055】[実施例8]テトラメチルシリケート30m
l、テトラエチルシリケート30mlを混合し、これに0.01
規定の塩酸25mlを加えて1時間撹拌し、部分加水分解反
応を行った。ここに1.25mol/l の酢酸鉛水溶液90mlと1m
ol/lの酢酸カリウム水溶液35ml、酢酸14mlを混合したも
のを添加した。これをさらに激しく3分間撹拌した後、
φ20mmのテフロン製容器に注ぎ入れ、容器に蓋をして密
閉し室温でゲル化させた。得られたゲルを3日間の熟成
を行い、さらに60℃のIPA:水=8:2の混合溶媒
を用いた酢酸鉛が0.6mol/l、酢酸カリウムが0.2mol/lで
ある溶液中に浸漬し、酢酸の除去、およびゲルの熟成を
行った。このゲルをIPA、IPA:アセトン=8:
2、5:5、アセトンの順に各24時間浸漬することに
より、ゲル細孔中に酢酸鉛、酢酸カリウムの微結晶を析
出させた。
【0056】次に、得られたゲルの周辺部を4分割する
ように厚さ0.5mm のポリプロピレン板で作製した隔壁を
ゲル側面に圧着し、それらの間に酢酸を添加した0.6mol
/lの酢酸カリウムのエタノール溶液と、酢酸を添加した
0.25mol/l の酢酸鉛のエタノール溶液を交互に入れて、
2時間45分の間分布付与処理を行った。分布付与処理
が終了した後、IPA:アセトン=5:5、アセトン、
アセトンの順に各24時間ずつ浸漬することにより、酢
酸鉛、酢酸カリウムの微結晶をゲル細孔中に析出、固定
させた。
【0057】このゲルを30℃の乾燥空気をフローした
乾燥器中で充分に乾燥させてドライゲルとし、最後に管
状炉に移して、酸素およびヘリウムをフローしながら5
70℃まで昇温して焼結することによって、φ約7mmの
無色透明のガラス体を得た。このガラス体を径方向に輪
切りにして径方向に屈折率分布を測定したところ、直交
方向に屈折率が凸分布、凹分布になった屈折率分布型光
学素子となっていた。
【0058】[実施例9]テトラメチルシリケート30ml
に0.01規定の塩酸15mlを加えて室温で1時間撹拌し、部
分加水分解反応を行った。ここに2mol/lの酢酸カリウム
水溶液80.7mlと1.2mol% の酢酸36.8mlを混合したものを
添加した。これをさらに室温で激しく3分撹拌した後、
3分間静置し、φ12mmのテフロン管に注ぎ込み、両端を
密閉した後、室温でゲル化させた。得られたゲルを30
℃で5日間の熟成を行い、さらに酢酸鉛および酢酸カリ
ウムのエタノール溶液中に浸漬し、ゲルの熟成を行っ
た。このゲルをIPA:水=5:5の混合溶媒、アセト
ンの順に24時間毎浸漬することにより、ゲル細孔中に
酢酸鉛、酢酸カリウムの微結晶を析出させた。得られた
ゲルを0.2mol/l酢酸鉛のメタノール溶液に1時間30分浸
漬して分布付与させた後、IPA:アセトン=5:5、
アセトン、アセトンの順に24時間毎浸漬することによ
って、酢酸鉛、酢酸カリウムの微結晶を固定させた。こ
れを30℃で乾燥して直径約7mm のドライゲルとした。
【0059】得られたドライゲルの相対する側面縦方向
に幅3mm のテフロンのシートを圧着させ、ゲル側面から
離れないように押さえた状態で0.1mol/lの酢酸カリウム
のエタノール溶液中に2時間浸漬し、ウェットゲル段階
で凹形状に濃度分布させた鉛を、カリウムと交換するよ
うに溶出した。このゲルを再びIPA:アセトン=5:
5、アセトン、アセトンの順に24時間毎浸漬の後、乾
燥してドライゲルとした。最後に管状炉で 600℃付近ま
で昇温して焼結することにより、φ約5.5mm の無色透明
のガラス体を得た。このガラス体を径方向に輪切りにし
て径方向に屈折率分布を測定したところ、略楕円形状の
屈折率分布を持つXY二方向焦点距離の異なった屈折率
分布型光学素子となっていた。
【0060】[実施例10]シリコンテトラメトキシ
ド、エタノールおよび1N−塩酸を混合し、シリコンア
ルコキシドの部分加水分解を行った。次に、チタンイソ
プロポキシドを乾燥雰囲気中でエタノール中に溶解させ
た溶液を加え、1時間撹拌した。続いてこの溶液の中
に、エタノールとアンモニア水の混合溶液を入れ更に1
時間撹拌してゾルを調製した。得られたゾルをφ20mmの
ポリプロピレン試験管に注ぎ、容器に密栓を施して室温
でゲル化させた。できたゲルを60℃の恒温槽中で2日
間熟成させたところ、φ約17mmに収縮していた。
【0061】熟成したゲル周辺表面部の相対する側面縦
方向に幅6mm のテフロンのシートを圧着させ、ゲル側面
から離れないように押さえた状態で2規定塩酸中に浸漬
した。浸漬から2時間経ったところで、ゲルに圧着して
いたテフロンシートを塩酸中で即座に剥し、更に3時間
浸漬を続けた。
【0062】次に、該ゲルをエタノール中への一昼夜浸
漬を2回繰り返し、ゲル中の塩酸を洗浄し、分布付与を
完全に停止させると共に、ゲル中の水の除去を行った。
最後にゲルを乾燥・焼結し、XY二方向に焦点距離の異
なった屈折率分布型光学素子を得た。
【0063】なお、請求項2記載の屈折率分布型光学素
子の製造方法において、原料ゾルを、棒状母材の長さ方
向に対し垂直な面の形状が、長方形、菱形、重心に対し
て対称な多角形、もしくはそれらの角を丸くしたもの、
または楕円形状である容器に注いでゲル化させ、その後
分布付与処理を行ってから乾燥・焼成してもよい。
【0064】また、請求項3記載の屈折率分布型光学素
子において、前記XY方向に異なった条件の濃度分布付
与が、母材のXYどちらか一方をマスクして行ってもよ
い。前記XY方向に異なった条件の濃度分布付与を、前
記母材の前記XY方向に異なった分布付与溶液を接触さ
せて行ってもよい。前記XY方向に異なった条件の濃度
分布付与を、前記母材の前記XY方向に異なった時間分
布付与溶液を接触させて行ってもよい。屈折率分布を付
与する前記母材は、ゾルゲル法で作製したウェットゲル
またはドライゲルであるとよい。
【0065】
【発明の効果】以上のように、第1の発明によれば、横
方向に像圧縮する方法に適した光学系が構成できるよう
になり、TVレンズ系などを大幅に小型化することが可
能になる。また、第2の発明によれば、前記光学系のた
めの屈折率分布型光学素子を容易に製造することができ
る。さらに、第3の発明によれば、XY方向に屈折率分
布形状の異なる屈折率分布型光学素子を安価に製造でき
るようになり、また、第2の発明よりXY方向のΔnの
差が大きな光学素子が実現できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第2の発明の製造方法を示す図で、屈折率分布
付与後および鏡組時の屈折率分布型光学素の光軸に対し
て垂直面での屈折率分布を等高線で示したモデル図であ
る。
【図2】従来のTV光学系で結像視野とディテクタの形
の違いを示したモデル図である。
【図3】第1の発明の実施態様のひとつで、断面形状が
長方形の母材を用いた場合の屈折率分布形状を示すモデ
ル図である。
【図4】第3の発明の製造方法によって作製した屈折率
分布型光学素子の光軸に対して垂直面での屈折率分布を
等高線で示したモデル図である。
【図5】第3の発明の屈折率分布型光学素子の鞍型屈折
率分布を示すグラフである。
【符号の説明】
3 母材 4 等屈折率線 5 ゲル

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光軸に垂直な面における等屈折率線が略
    楕円形状であることを特徴とする屈折率分布型光学素
    子。
  2. 【請求項2】 棒状母材の長さ方向に対し垂直な面の形
    状が、長方形、菱形、重心に対して対称な多角形、もし
    くはそれらの角を丸くしたもの、または楕円形状である
    前記棒状母材に対して組成分布の付与を行う工程を有す
    ることを特徴とする屈折率分布型光学素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 屈折率分布型光学素子の製造方法におい
    て、母材に対し、前記母材の長さ方向に垂直な2方向で
    あるXY方向に異なった条件で濃度分布付与することを
    特徴とする屈折率分布型光学素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 光軸からの距離に応じて内部の屈折率が
    変化している屈折率分布型光学素子において、 光軸に直交する面内の互いに交差する2つの方向のう
    ち、1つの方向については光軸からの距離に応じて屈折
    率が増加し、他の1つの方向については光軸からの距離
    に応じて屈折率が減少するような屈折率分布を有するこ
    とを特徴とする屈折率分布型光学素子。
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