JPH09127311A - 屈折率分布型光学素子及びその製造方法 - Google Patents

屈折率分布型光学素子及びその製造方法

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JPH09127311A
JPH09127311A JP7285686A JP28568695A JPH09127311A JP H09127311 A JPH09127311 A JP H09127311A JP 7285686 A JP7285686 A JP 7285686A JP 28568695 A JP28568695 A JP 28568695A JP H09127311 A JPH09127311 A JP H09127311A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結像観察に不要な光を取り除くフィルタを備
えた光学系を小型にするために、光学素子の枚数を削減
する。 【解決手段】 結像、観察に不要な光を吸収する成分を
含有したGRINレンズによって光学系を構成する。上
記の例として、ゾルゲル法によってCuO,FeO等の
成分を含有したGRINレンズを製造することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光吸収能力を備え
た屈折率分布型光学素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】TVカメラやビデオカメラ、スチルビデ
オカメラに代表されるCCDイメージセンサなどの電子
撮像素子上に結像させるレンズ系には、撮像素子の前に
赤外線カットフィルターが一般的に配置されている。こ
れは、撮像素子が紫外部から近赤外部までの広い波長範
囲に感度を有しており、人の比視感度と比べて感度領域
が大きく異なり、実用上補正が必要であるからである。
紫外部の波長領域の光は、レンズに用いる光学ガラスが
紫外域の光を吸収して透過しないため、別段の対策を必
要としない場合が多いが、光学ガラスは近赤外域におい
て充分な透過率を有しているために特別の対策を施さね
ばならない。
【0003】通常は上述したように、撮像素子の前に赤
外線カットフィルターを配置し、レンズ系を透過する近
赤外光をこのフィルターによって吸収させることによっ
て撮像素子への到達を阻止している。より具体的には、
撮像素子の前に配するローパスフィルターと接合して用
いることが多い。これらを接合するのは、各フィルター
を別個に配するとスペースが多く必要なこと、フィルタ
ーを押さえる鏡枠構造が複雑になること、フィルター面
の数が増して光の反射ロスが増したり、多重反射による
フレア等の問題が発生することなどによる。
【0004】赤外線カットフィルターを配置する目的
は、叙述した比視感度の補正だけでなく他の目的もあ
る。例えば医用内視鏡の場合、近赤外域の波長を有する
YAGレーザ(1060nm付近)やまたそれに代わる
半導体レーザ(800〜900nm付近)を用いて、内
視鏡下で内臓組織の切除手術などを行う際に、患部に照
射したレーザ光が患部やその周辺で反射して内視鏡の対
物レンズに入射することがある。すると、電子撮像素子
はこの波長領域に充分な感度を有するために不都合を生
じることになる。特に、レーザは組織を焼き切るため、
かなりの光量を入射するので、反射してきたレーザ光を
充分にカットする必要がある。また、その他の近赤外域
の光がどんな理由で、どんな経路であっても、電子撮像
素子に導かれないようにする必要がある。
【0005】また、光量の強いレーザーメスなどは、電
子撮像素子に限らず、例えば直接肉眼で観察する場合に
観察者の眼に入射すると網膜を損傷するなどの問題が生
ずる惧れがあるため、観察光学系の内部で遮断すること
が必要である。
【0006】現在使われている赤外線カットフィルター
は、リン酸塩ガラスにCuOをドープしたものが多く用
いられている。一般にリン酸塩ガラスは化学的耐久性が
高くないため、高温高湿の環境下での使用や保管・輸送
に際し、フィルター表面にヤケのようなものを生じて曇
ってしまうなどの不具合がある。このため先に述べたロ
ーパスフィルターとの接合の際に、赤外線カットフィル
ターをローパスフィルターでサンドイッチ状に挟んで接
合し、赤外線カットフィルターが外気と極力接触しない
構造のものがある。また、特開昭62−128943号
公報、特開平4−214043号公報に記載されるよう
に、ガラス組成にアルミニウムやフッ素などをドープす
るなどして、リン酸塩ガラス化学的耐久性に少しでも向
上させるような努力がなされているが、必ずしも満足な
特性が得られているわけではない。
【0007】以上、CCDイメージセンサなどの電子撮
像素子を含む光学系における近赤外域の光の除去を例と
して従来技術を説明したが、その他にも、フィルムや乾
板の感光特性に応じて光学機器の分光透過率を設定する
場合や、光源のスペクトルに合わせて色温度を補正する
機能を付与する場合、光源が発する熱線(赤外線)を遮
断する場合など、特定の波長の光を除去したり、異なる
波長の相対的な光強度を変更したい場合がある。あるい
は、光源が著しく明るかったり、撮像上の都合や光学系
の制約で明るさ絞りを使えない場合に、結像、観察に用
いる範囲を越えた過剰な光量を全波長域に亘って取り除
きたい場合などがある。
【0008】赤外線カットフィルターの製造について
は、上述したものは溶融法で作製されている。一方最近
のニューガラスと呼ばれる新しい機能性のガラスの製造
方法の一つとして注目されている「ゾルゲル法」によっ
て赤外線カットガラスやそれを含む着色ガラスを作製す
る方法が開発されている。例えば、特公昭60−301
3号公報、特開昭62−148329号公報、特開平3
−28133号公報などでは、ゾル中に着色成分を予め
含有させる方法が記載されており、特開昭62−216
930号公報では、ゾル中に着色イオン成分を含浸させ
る方法が記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】現在、レンズ系は軽薄
短小化が急ピッチで進められている。そのために従来に
ない新しい光学素子を積極的に取り入れる動きがある。
その一つとして非球面レンズがある。非球面レンズは、
光線の制御の自由度が大きいため、レンズ系の軽薄短小
化に大きく寄与する優れた効果を有し、民生品を含めた
至る所で利用されている。しかしその反面、非球面レン
ズは色収差の補正や像面湾曲には効果がないことが理論
的に判明しており、潜在能力にも限界がある。
【0010】このためさらにレンズ系の軽薄短小化を進
めたり、軽薄短小でありながらさらに性能を向上させる
ための新しい光学素子として、屈折率分布型光学素子
(以下GRINレンズと記載する。)が注目されてい
る。このGRINレンズは非球面レンズで補正できる収
差に加え、色収差や像面湾曲も補正できるため、レンズ
の軽薄短小化を極限まで進めるためには欠くことのでき
ない「次世代の光学素子」として大きな注目を浴びてい
る。
【0011】このGRINレンズを用いたレンズ系で
は、レンズ枚数を従来の均質球面レンズからなるレンズ
系の1/2から1/4程度まで減少させることができ
る。このようにレンズ枚数を極限まで減少させると、赤
外線カットフィルタを初めとするフィルタ類などのレン
ズ以外の光学要素の数のウエイトが高くなり、これらの
フィルタ類の存在が更なるレンズ系の小型化、コストダ
ウンの大きな障壁となってくる。
【0012】球面レンズや非球面レンズでは、レンズを
研磨やモールド加工によって作製するが、その際に光学
ガラスの代わりに赤外線カットフィルター用ガラスを用
いてレンズを作製し、これによりレンズと赤外線カット
フィルターの役目を兼ねさせる技術を本出願人は先に、
開発した。これはレンズ枚数という観点では赤外線カッ
トフィルターを廃止するものであるが、赤外線カットフ
ィルターの光学恒数が自由に選択できず、レンズ設計上
の汎用性に欠ける欠点を有するのに加えて、凸レンズで
あれ凹レンズであれレンズは厚みが一様でないため、通
過する光線高によって赤外線カット効果にバラツキが出
る欠点がある。これをなるべく避けるためには赤外線カ
ットフィルターで作製するレンズの形状を、光線高によ
って余り変化のない形状にするなどの制約を設けざるを
得ない。しかし、光線高によって余り変化のない形状に
することは、同心に近いメニスカスレンズや、曲率の大
きな凸または凹レンズとなり、結果として、パワーの弱
いレンズに限定され。このレンズのパワーが弱いことは
軽薄短小化への大きな障害となる。他のフィルタについ
ても、必要とされるフィルタ特性と両立させるためには
形状の制限を設ける必要があるところから、光学系の小
型化に充分寄与しないことが多い。
【0013】本発明は以上の従来技術の問題点を考慮し
ており、レンズ系を構成する光学要素の数を更に減少さ
せることを可能とする屈折率分布型光学素子及びその製
造方法を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
発明は、屈折率分布型光学素子の内部にフィルタ効果を
付与するものであり、結像、観察に用いる範囲以外の光
を強く吸収する成分を含有させたものである。ここで、
上記成分として近赤外線を吸収する成分を含有させるこ
とにより、屈折率分布型光学素子が赤外線をカットする
フィルタ作用を備えることができる。
【0015】ここで、近赤外線を吸収する成分として
は、酸化物表記でCuO、FeO、CoO、VO2 より
選ばれた少なくとも一種の成分であり、マトリックスが
ガラスであることを特徴とする。
【0016】さらに、近赤外線を吸収する成分として
は、アントラキノン類、フタロシアニン化合物、ナフタ
ロシアニン化合物、クロム金属錯塩化合物、コバルト錯
塩化合物、六塩化タングステンと塩化スズの重合物、ジ
オチール系金属錯体、スクアリリウム化合物、酸化剤ド
ープアセチレン系ポリマー、チオ尿素と硫化銅の混合
物、イモニュム系材料、Cu2+より選ばれた少なくとも
一種の成分であり、マトリックスがプラスチックである
ことを特徴とする。
【0017】本発明では、マトリックスがガラス、プラ
スチックに関わらず、近赤外線を吸収する成分が径方向
に濃度分布していても良く、この場合における近赤外線
を吸収する成分の径方向濃度分布が、レンズ肉厚と成分
濃度とが相反する関係にあり、レンズの径方向各位置に
よる近赤外線吸収能が略一定であっても良い。
【0018】本発明の製造方法は、以上の光学素子をゾ
ルゲル法によって製造する方法であり、焼成後のガラス
中でCuO、FeO、CoO、VO2 より選ばれた少な
くとも一種の成分を形成するための原材料を含んだゾル
を調整し、ゲル化させる工程を有することを特徴とす
る。
【0019】本発明の別の製造方法は、同様にゾルゲル
法による製造方法であり、ウェットゲルまたはドライゲ
ルまたは仮焼ゲルを、焼成後のガラス中でCuO、Fe
O、CoO、VO2 より選ばれた少なくとも一種の成分
を形成するための原材料を含んだ溶液または気体と接触
させる工程を有することを特徴とする。請求項9の発明
は、この溶液が分布付与溶液であることを特徴とする。
【0020】請求項1の作用は、屈折率分布型光学素子
に結像、観察に用いる範囲以外の光を吸収する成分を含
有させることで、屈折率分布型光学素子内部で屈折、屈
曲しながら光学素子系内を透過する際に、添加成分によ
って結像、観察に不必要または有害な光を吸収し、これ
により最終的に結像する像には関与させなくするもので
ある。
【0021】結像、観察に不必要または有害な光は、あ
る特定の波長の場合もあるが、広い波長域の場合もあ
る。具体的には、フィルムや乾板、CCDなどの電子撮
像素子の感光特性に応じて光学機器の分光透過率を設定
する場合や、光源のスペクトルに合わせて色温度を補正
する機能を付与する場合、光源の発する熱源(赤外線)
を遮断する場合など、特定の波長の光を除去したり、異
なる波長の相対的な光強度を変更したい場合がある。あ
るいは、光源が著しく明るかったり、撮像上の都合や光
学系の制約で明るさ絞りを使えない場合に、過剰な光量
を全波長域に亘って取り除きたい場合などがある。
【0022】以上の説明から判るように、結像、観察に
用いる範囲以外の光としては波長域が結像、観察に用い
る波長域の外領域にある光だけを意味するものではな
く、結像、観察の用いる波長域の内部ではあるが観察な
どのために必要な光量を超えた余分な光量に相当する
光、あるいは分光スペクトル分布を所望の形に整える際
に不要となる一部の波長成分など、要するに結像、観察
を行う場合に不必要である光成分を総称している。
【0023】本発明では添加成分として近赤外線を吸収
する成分を含有させることで、屈折率分布型光学素子内
部で近赤外線を吸収して除去できる。従って、CCDな
どの電子撮像素子上に結像するレンズ系にこの屈折率分
布型光学素子を用いることで、電子撮像素子に到達する
前に近赤外線はカットされた状態になっており、赤外線
カットフィルタを用いなくても赤外線を含まない像を撮
像素子上に形成することができる。
【0024】複数枚のレンズを組み合わせた組み合わせ
レンズ系の場合には、複数のレンズ(またはGRINレ
ンズ)に赤外線カット効果を分担させることが可能であ
るが、レンズ系がGRINレンズ1枚の単レンズであれ
ば、そのGRINレンズ1枚で充分な赤外線カット効果
が発揮できるように、近赤外線を吸収する成分を充分に
含有させる必要がある。
【0025】一般にGRINレンズは、光学設計的に肉
厚のレンズになることが多い。その理由を簡単に言え
ば、作製できるGRINレンズの△nには制限があるの
で、GRIN媒質長を長くして、GRINレンズで光を
より多く屈曲させるようにするため、またはGRIN媒
質内で徐々に光線を曲げることで収差の発生を低く抑え
るためである。このことは、通常の赤外線カットフィル
ターの厚さが厚くとも1〜2mmであることを考える
と、GRINレンズに赤外線カット効果を持たせること
により、ガラス中の近赤外線吸収成分の濃度が低い場合
でも、GRINレンズ1枚で充分な近赤外線カット効果
を得ることが容易となる。このことは、ガラス中への赤
外吸収成分の導入量を低く抑えられることを示してお
り、ガラス作製上有利となる。
【0026】以上のような屈折率分布型光学素子を電子
画像入力用の光学機器に組み込む場合においては、少な
くとも近赤外線を吸収する成分を含有したGRINレン
ズと、電子撮像素子とを備えることで可能となる。GR
INレンズの優れた光学的効果を存分に引き出せば、最
低のレンズ枚数としてはGRINレンズ1枚で構成可能
であり、このGRINレンズが赤外線カット能を有する
ことで、あとは電子撮像素子があれば光学系を成立させ
ることができる。
【0027】この光学機器では、通常行われているよう
に、電子撮像素子の受光部が整然と配列されていること
に起因して発生する「モアレ」を除去する目的でローパ
スフィルターを配しても良いが、用途によってはローパ
スフィルタを配することなく、充分に動作可能な完結し
た結像システムとなる。ローパスフィルターを必要とし
ない光学機器としては、高周波成分の無い像に用いる医
用内視鏡などがあるが、これは撮影する像の種類や必要
な像の品質によって決定されるものであって、医用内視
鏡に限定するものではない。また、用いられる電子撮像
素子には特に制限はなく、CCD、CMD、SIT、A
MIなどの固体撮像素子や撮像管など、いかなるタイプ
の撮像素子であってもそれらの撮像原理に関わらず、像
を電気信号に変換できるものではあれば全て使用でき
る。
【0028】赤外線カット効果を付与するための具体的
な組成として、ガラス中に酸化物表記でCuO、Fe
O、CoO、VO2 より選ばれた少なくとも一種の成分
を存在させることができる。この組成における金属はい
ずれも遷移金属であることから、d電子遷移によって、
Cu2+、Fe2-、Co2+、V4+がそれぞれ近赤外部に吸
収を示すことを利用している。従って、ガラス中のこれ
らのイオンの量によって吸収率も変化する。そのためG
RINレンズの場合には、用いるGRINレンズの厚み
を考慮して含有量を決定する。
【0029】ガラス成分については、少なくとも「Si
2 、CuO及び少なくとも1種の屈折率調整成分」か
らなることが望ましく、さらにA12 3 を添加するこ
とが望ましい。それぞれの成分において、GRINガラ
スの必須成分であるSiO2は、ガラス骨格を形成する
基本成分である。赤外線カットフィルターは通常リン酸
(P2 5 )を骨格成分にしたものがほとんどである
が、リン酸は化学的耐久性が極めて悪いが、SiO2
高い耐久性を示す。
【0030】また、必須成分CuOは、上述したように
近赤外線を吸収する成分である。このCuOは、Cu
O、FeO、CoO、VO2 の中でも最も近赤外域の吸
収に適した成分である。
【0031】さらにまた、必須成分として少なくとも1
種の屈折率調整成分が必要である。GRINレンズを形
成するにあたって、ガラス中に屈折率分布を与える成分
は最低1種あれば良く、1種あればGRINレンズを形
成できる。しかし、1種の屈折率調整成分では、GRI
Nレンズの分散特性は高分散分布特性になるため、凸分
布では均質レンズのそれに比して非常に色収差の発生が
大きくなるため用途が限られる。また凹分布では、面で
発生する色収差と媒質で発生する色収差が打ち消し合う
ためにある程度の用途が考えられる。より有効なGRI
Nレンズとするためには、少なくとも2種の屈折率調整
成分を含有させて媒質内で色収差の補正を行ったよう
な、低分散分布、負分散分布と呼ばれる色収差補正能力
を有したGRINレンズにすることが望ましい。そのよ
うな特性のGRINレンズを実現するためには、特開平
3−141302号公報、特開平5−88003号公報
などに示されるように、原子価が2価以上の複数の成分
に濃度分布を付与して分布を複合化することが望まし
い。特にGRINレンズ1枚で電子撮像光学系を形成す
る場合は、GRINレンズの分散特性として、低分散分
布、負分散分布と呼ばれる特性であることが必須とな
る。
【0032】Al2 3 はガラス化を促進し、またガラ
スの熱的、化学的耐久性を向上させる作用を有している
が、最も重要な作用は、ガラス中で近赤外線吸収成分で
あるCuOを安定化させることにある。CuOは、ガラ
ス中で還元されるとCu2 Oとなり、赤色を呈するいわ
ゆる「銅赤ガラス」となる傾向があるので、ガラス中で
の安定化が必要である。
【0033】その他の添加成分として、少なくとも1種
のアルカリまたはアルカリ土類を加えることが有効であ
る。これは、ガラス化を助長すると共に、屈折率分布調
整成分によって発生したGRINガラス中に熱膨張係数
の分布の低減を行う作用を有し、これによりGRINガ
ラス中の熱膨張係数分布の低減または均一化のために濃
度分布を持たせて含有させることも有効である。
【0034】近赤外線を吸収する成分として、赤外線カ
ット効果を付与するための具体的な組成に関するもので
あるが、請求項4は、プラスチックGRINと呼ばれる
合成樹脂によって作製されたGRINレンズの場合につ
いての組成である。請求項4のアントラキノン類、フタ
ロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、クロム金
属錯塩化合物、コバルト錯塩化合物、六塩化タングステ
ンと塩化スズの重合物、ジオチール系金属錯体、スクア
リリウム化合物、酸化剤ドープアセチレン系ポリマー、
チオ尿素と硫化銅の混合物、イモニュム系材料、Cu2+
より選ばれた少なくとも一種の成分とすることができ
る。この場合は、マトリックスとしてプラスチックを用
いるものであり、プラスチックGRINと称する合成樹
脂によって作製されたGRINレンズとなる。このよう
な各成分によって近赤外線カット能を示すメカニズムは
異なるが、上述した遷移金属の場合と同様に、プラスチ
ックマトリックス中の各添加成分の量によって吸収率も
変化し、GRINレンズの厚みを考慮して含有量を決定
することが良い。
【0035】ガラスGRINレンズ、プラスチックGR
INレンズの場合でも、GRINレンズの中に添加する
近赤外線カット成分の量については、含有濃度によって
カット能が変化するので、適宜設定する必要がある。含
有濃度が高ければ近赤外域の透過率は下がるが、一部可
視域にも生ずる吸収によって近赤外のみならず、可視域
の「赤」の透過率も低下する。人間の目から見れば、ガ
ラスは青色透明に見えるわけであるが、その青色がさら
に濃くなる傾向にある。また、反対に含有濃度が低い場
合は、上記の逆であって、近赤外域のカット能力が低く
なり、電子撮像素子によって得た像の感度補正が不十分
になる。
【0036】近赤外線吸収成分は作製するレンズ系を何
枚の赤外線カットGRINレンズで構成するかによって
もその含有量は変わり、さらに、GRINレンズの厚さ
によって含有量の許容範囲が変化する。GRINレンズ
の厚さは、一般に△nが大きい程薄く、△nが小さい程
厚くなる傾向があるものの、厳密には各収差の補正を決
める光学設計によって決まるものであって、近赤外線吸
収成分の添加量は光学設計されたレンズ厚みから決定す
ることが望ましい。
【0037】上述したように、近赤外線カット効果は、
従来のように均一なガラスであればレンズの厚みによ
る。GRINレンズ中に近赤外線カット能力を持たせた
場合でも同様に、GRINレンズの形状によって近赤外
線カット効果が電子撮像素子上で均一でなくなる場合が
ある。例えば、単一のGRINレンズで撮影レンズ系を
構成する場合、特に画角を大きく取ろうとすると、凹レ
ンズ形状になる傾向がある。その場合は、近赤外線吸収
成分に系方向の濃度分布を付与し、レンズ中心部分の濃
度を高くすることによって、問題となるレンズ厚による
赤外線カット効果の不均一さをキャンセルすることがで
きる。
【0038】GRINレンズが凹レンズ形状であれば、
レンズ中心ほどレンズ厚さが薄く、近赤外線カット能力
が小さくなる傾向があるので、近赤外線カット成分の濃
度を高くすれば良く、凸レンズ形状であればその反対で
ある。しかし厳密には、コンピュータによって光線追跡
してレンズ内の光線の通り方を調べ、軸外光線等の斜め
に入射する光をも考慮して濃度分布を付与することが望
ましい。GRINレンズ内では光線が曲がって進行する
ため、光路長は必ずしも見かけのレンズの厚みでは決ま
らないので注意を要する。
【0039】この考え方は、屈折率分布型光学素子に限
らず屈折率が均質なレンズにも応用可能である。現在行
われているように、赤外線カットフィルターをレンズ形
状に加工して用いた際に発生する赤外線カット効果のレ
ンズの厚さ依存性を相殺するために、予め加工するレン
ズ形状を想定して赤外線カットフィルター内に赤外線カ
ット成分の濃度分布を設けておく。これによって研磨ま
たはモールド加工によってレンズ形状になった際の赤外
線カット効果を電子撮像素子上で一定にすることが可能
となる。しかし、厳密にはガラス中に近赤外線吸収成分
の濃度分布を付与すると、その成分の効果によってガラ
スの屈折率も変化することが多い。従って、屈折率が均
一であり且つ近赤外線カット効果が径方向あるいは厚み
方向に変化するガラスを作製するためには、単純に近赤
外線吸収成分の濃度分布を設けるだけでなく、近赤外線
吸収成分で付与される屈折率分布を相殺するようにアル
カリなど別の成分に相反する分布を設けるなどの工夫が
必要である。ただし屈折率分布型光学素子が有する効果
を考えると、あえて屈折率分布をキャンセルせず、近赤
外線吸収成分によって生じた屈折率分布を積極的に光学
的に利用することが有効な場合が多い。
【0040】上述した本発明の製造方法は、近赤外線カ
ット可能なガラス製GRINレンズの製造に関するもの
で、その基本的な合成方法はゾルゲル法によるGRIN
レンズ製造技術による。屈折率分布を付与する際に、G
RINレンズの色収差などをも考慮した場合、原子価が
2価以上の成分に濃度分布を付与することが望ましく、
ガラスを溶融法で作製した後に屈折率分布を付与する
「イオン交換法」では光学特性の優れたレンズ、具体的
には単レンズ全ての収差を低く抑えるようなレンズの作
製がほとんど不可能であるため、究極にレンズ枚数を少
なくできる光学特性を有したGRINレンズを作製する
意味から、最も好ましい製造法として、ゾルゲル法を選
択するものである。また、溶融法ではCu2+を安定して
含んだガラス製造がきわめて難しいこともゾルゲル法を
選択した理由の一つである。さらに、ゾルゲル法はSi
2 を主なガラス形成酸化物とするガラスに好適な製造
方法であり、上述したように高い化学耐久性を有するこ
とができる。
【0041】ゾルゲル法によるGRINレンズ製造の基
本的なプロセスは、液体原料から液体状のゾルを作製し
た後、型の中に注ぎ、一定時間放置してゲル化させてゼ
リー状のゲルを作る。続いてそのゲル中に含有成分の濃
度分布が形成されるように、酸や金属塩溶液などの所望
の液体中に浸漬して処理し、必要ならばさらに付与され
た濃度分布が乱れないようにするために適当な溶液中へ
の浸漬処理を施してから、ゲルを乾燥して多孔質体であ
るドライゲルとし、最後に焼成して密なGRINガラス
体とするものである。
【0042】そこで、焼成後のガラス中でCuO、Fe
O、CoO、VO2 より選ばれた少なくとも一種の成分
を形成するための原材料を含んだゾルを調整し、ゲル化
させることによってゲル中に近赤外線吸収成分を予め導
入することが可能である。このゲルに対して、屈折率分
布を付与する処理を行う際に、同時に濃度分布を付与し
たり、それとは別のプロセスで濃度分布を付与すること
が可能であるが、屈折率分布付与工程で濃度分布ができ
ないようにすることもできる。
【0043】この濃度分布を付ける、付けないの違い
は、各処理プロセスの反応をコントロールして行った
り、ゾル中に添加する赤外線吸収成分の原料の選択によ
って、化学反応を変えゲル構造を所望に作製することに
よって達成できる。具体的には、近赤外線吸収成分の金
属アルコキシドやキレート、それらの誘導体を原料にし
てゲル化反応させ、その反応時に骨格成分であるシリコ
ンと酸素を介した結合を作ることによって、ゲルと強い
結合関係を有したゲルを得ることができる。このように
して作製したゲルは、水や有機溶媒では簡単には、近赤
外線吸収成分が移動できないので濃度分布を余り付けな
いようにしたい時や、同じ屈折率分布を有したGRIN
ガラス体で着色度合いを変えたものを製作する際に近赤
外線吸収成分が屈折率分布付与工程での拡散のバランス
を崩さずにGRINガラス体を製作するために有効な手
段であるが、濃度分布を付ける場合には酸などによる溶
出などの方法が利用できる。また、近赤外線吸収成分の
金属塩、錯体を原料にしてゲル化反応させると、骨格成
分の結合関係を形成しないので、水や有機溶媒などによ
っても濃度分布形状が比較的容易であり、このため近赤
外線吸収成分に濃度分布を付けたい時に有効な手段とな
る。もちろん、溶液種の選定によって濃度分布を付けな
いようにすることも可能である。
【0044】本発明の別の製造方法は、上述したと同様
に、ゾルゲル法によるGRINガラスの製造方法におい
て、ウェットゲルまたはドライゲルまたは仮焼ゲルを、
焼成後のガラス中で少なくとも一種の近赤外線吸収成分
を形成するための原材料を含んだ溶液または気体と接触
させるものであり、これによりゲル中に近赤外線吸収成
分を後工程で添加することができる。接触させる方法と
しては、最も一般的にはゲルを溶液中に浸漬させる。し
かしその他、霧状、泡状、またはシャワー状にした液体
による接触も可能である。その際の処理時間や濃度、温
度、溶媒の選択、後処理の条件の設定等によって近赤外
線吸収成分に濃度分布を付けることも可能であるし、均
一に導入することももちろん可能である。また、付与す
る濃度分布形状の制御も可能である。
【0045】本発明では、以上の二つの手段を併せて用
いたり、複数の工程の組み合わせによって一旦導入した
成分を再び一部溶出させることなども可能である。
【0046】後者の製造方法にはおいては、分布付与溶
液によって近赤外線吸収成分の導入を行うことができ
る。分布付与に用いる溶液は一般に他の工程の溶液より
も種々の金属塩類に対する溶解度の高い溶液を用いるた
め、近赤外線吸収成分を溶かし込んでおくには好適であ
り、また分布付与と同時に近赤外線吸収成分の導入を行
うことで、余分に工程を増すことなくコストの高騰を招
かないメリットがある。また、分布付与溶液中に近赤外
線吸収成分を溶解させておくと、分布形成の拡散条件が
若干変化するため、この変化を積極的に利用すれば、得
られる分布形状の制御に利用できるというメリットもあ
り、屈折率分布形状制御の面でも有効である。この工程
に用いるゲルは、予め近赤外線吸収成分の入ったゲル、
入っていないゲルのどちらでも構わない。
【0047】プラスチックをマトリックスとしたGRI
Nガラスの場合は、共重合を用いて製造するのが一般的
である。共重合の手法には種々の方法があるが、基本的
にはどのような種類の共重合にも適応可能である。例え
ば二段階共重合法は、高屈折率ポリマーを与える架橋性
モノマーM1 を一部重合させたゲルロッドを、低屈折率
ポリマーを与えるモノマーM2 中に浸漬するか(浸漬
法)、M2 蒸気雰囲気中に曝して(気相法)、M1 −M
2 を共重合させることによってGRINガラスを得る方
法である。その際、M1 またはM2 の中に近赤外線吸収
成分を含ませておくことによって、共重合体中に近赤外
線吸収成分を導入することが可能である。このGRIN
レンズ中に濃度分布を付与する考え方等、基本的にガラ
スのGRINレンズの場合と同じである。
【0048】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)テトラメチルシリケート50mlに
0.01規定の塩酸25mlを加えて1時間攪拌し、部
分加水分解反応を行った。これに1.5mol/lの酢
酸バリウム水溶液98mlと酢酸40mlを混合したも
のを添加した。これをさらに3分間程攪拌した後、内径
10mmに真円度の高い穴加工を施したテトラフルオロ
エチレン(商標名テフロン)からなるシール密閉容器に
注ぎ入れ、容器に蓋をして密閉し室温でゲル化させた。
得られたゲルを5日間熟成し、さらに60℃のIPA:
水=6:4の混合溶媒を用いた酢酸バリウムの0.45
mol/l溶液中に浸漬し、酢酸の除去及びゲルの熟成
を行った。このゲルをメタノール:エタノール:7:
3、エタノール、エタノール:アセトン=5:5、アセ
トンの順に浸漬することにより、ゲル細孔中に酢酸バリ
ウムの微結晶を析出、固定させた。
【0049】得られた均質ゲルを0.3mol/lの酢
酸カリウムのメタノール溶液であり、かつ0.05mo
l/lの酢酸第二銅のメタノール溶液となるように調製
した溶液150mlに8.5時間浸漬して分布付与させ
た後、エタノール:アセトン=5:5、アセトン、アセ
トンの順に浸漬することにより、酢酸バリウム、酢酸カ
リウム、酢酸第二銅の微結晶をゲル細孔中に析出、固定
させた。
【0050】このゲルを60℃の乾燥空気中で10日間
乾燥させてドライゲルとした。得られたドライゲルを管
状炉により酸素およびヘリウムをフローしながら750
℃まで昇温して焼結することにより割れのない直径約
3.4mm、△n≒0.048のGRINロッドが得ら
れた。この焼結体のロッドは、全体に青みがかった透明
色を呈しており、可視〜赤外域の分光透過率を測定を行
ったところ、800nm付近から長波長域(近赤外域)
での透過率が低く、可視域では問題のない高い透過率を
示した。
【0051】この青いGRINロッドの屈折率分布を測
定し、その値を用いて設計したCCD上への結像用単レ
ンズの断面及び結像時の光路を図1に示す。同図におけ
るレンズは片面が平面、反対側の面(入射面)が浅い凹
面形状をした長さ11mmのロッドレンズである。
【0052】図2及び図3はこのレンズ1を用いて作製
した光学機器を示し、セラミックス基板5にCCD4が
取り付けられている。このCCD4の受光面に対して、
その撮像面3を光軸アライメントを施して貼り付けし
て、ロッドレンズ1を起立状に取り付けた。6はCCD
4の電極と、セラミックス基板5に形成した信号処理回
路とを接続する結線である。なお、ロッドレンズ1は絞
り2のV溝を利用し、図示しない方法で固定した。この
ような構造で、撮像試験を行ったところ、充分に実用可
能と考えられるカラー映像が得られた。このことから、
CCD4と青いGRINレンズ1という2つのコンポー
ネントのみでカラーカメラが構成できることが判った。
この場合、信号処理回路をも一体化させることで、さら
に小型となり、超小型の光学機器とすることができる。
【0053】(実施の形態2)実施の形態1では、作製
したGRINレンズを平凹に研磨したが、青いGRIN
レンズを両平面に研磨し、その一方の面に均質ガラスで
別に作製した肉薄の平凹レンズを平面で相互に接合させ
た。この構造で同様に試験したところ、やや像は劣るも
のの、実施の形態1とほぼ近いレベルの像を得ることが
できた。ただし、レンズ接合の際に、形状で決まる凹レ
ンズの光軸と媒質で決まるGRINレンズの光軸と一致
度の悪いレンズでは片ボケなどの像の劣化が著しかっ
た。
【0054】(実施の形態3)シリコンテトラエトキシ
ド180ml、エタノール80ml及び2N濃度の塩酸
13mlを混合し、シリコンアルコキシドの部分加水分
解を行った。次にジルコニウムノルマルブトキシド85
wt%濃度のノルマルブタノール溶液60g、銅(I
I)メトキシドを2−ジメチルアミノメタノールに溶解
させた溶液45mlを加え、1時間攪拌した。続いてこ
の溶液の中に、水、エタノール、1規定アンモニア水の
混合溶液を充分に攪拌しながらゆっくり滴下してゾルを
調製した。
【0055】得られたゾルを内径10mmに仕上げたポ
リプロピレン製の容器に注ぎ、容器の両端を密閉して一
昼夜室温中で静置し、ウェットゲルを得た。このウェッ
トゲルを60℃の恒温槽中に入れて5日間熟成させた
後、熟成させたウェットゲルを3N濃度の硫酸中に1時
間15分浸漬して、ジルコニウム成分を溶出させ、予め
用意した体積比が1:2のメタノール、エタノール混合
アルコール中に一昼夜浸漬してウェットゲル中の硫酸分
を洗浄した。この際、処理液の色が無色透明からほとん
ど変化していなかったので、銅成分はほとんど溶出しな
かったと考えられる。
【0056】洗浄を終えたウェットゲルを内径16.5
mmのポリメチルペンテン製の蓋付き管内に入れ、予め
ピンホールを開けた蓋を被せ、60℃恒温槽中に入れて
乾燥させ、ジルコニウム成分に濃度勾配のついた透明で
クラックのないドライゲルを得た。
【0057】続いてこのドライゲルを管状炉中にいれ、
1075℃まで途中温度保持を行いながら昇温して焼成
を行ったところ、直径約3mmで周辺ほど青い透明なロ
ッド状のGRINレンズが得られた。このレンズを凸形
状に研磨してレンズ系に用いることで、レンズ全体の青
色はほぼ均一化された。
【0058】(実施の形態4)テトラメチルシリケート
30ml、トリエチルボレート7.2ml、アルミニウ
ムsec−ブトキシド2.3mlを混合し、これに0.
01規定の塩酸15mlを加えて室温で1時間攪拌し、
部分加水分解反応を行った。これに2mol/lの酢酸
カリウム水溶液80.7mlと1.2mol%の酢酸3
6.8mlを混合したものを添加した。これをさらに室
温で激しく3分攪拌した後、3分間静置し、内径10m
mの円柱形状に穴加工を施したテフロン製容器に注ぎ込
み、室温でゲル化させた。得られたゲルを30℃で5日
間の熟成を行い、さらに酢酸鉛及び酢酸カリウムのエタ
ノール溶液中に浸漬し、ゲルの熟成を行った。このゲル
をイソプロピルアルコール(以下IPAと略記する):
水=5:5の混合溶媒、アセトンの順に各2日間浸漬す
ることにより、ゲル細孔中に酢酸鉛、酢酸カリウムの微
結晶を析出、固定させた。
【0059】得られた均質ゲルを0.2mol/lの酢
酸鉛のメタノール溶液に1時間45分間浸漬して分布付
与させた後、再びIPA:アセトン5:5、アセトン、
アセトンの順に各2日間浸漬することによって、酢酸
鉛、酢酸カリウムの微結晶を固定させた。その際、IP
Aおよびアセトン中に塩化第一鉄を飽和になるまで予め
溶解させておいた。これを30℃で5日間乾燥した後、
630℃まで昇温させて焼結することにより全体に均一
に青いから深い緑みがかったような透明なロッド状のG
RINレンズとなった。
【0060】このGRINレンズの分光透過率を測定し
たところ、銅を含有させて作製したGRINレンズに比
べ、可視域での透過率の低下が見られたものの、赤外域
での吸収が大きかった。このGRINレンズを用いて手
術用内視鏡対物レンズを組むことによって、半導体レー
ザ等をレーザメスに用いた機器への適応が可能となっ
た。
【0061】本発明では、以下の付記項を含むものであ
る。
【0062】(付記項1)近赤外線を吸収する成分が径
方向に濃度分布していることを特徴とする屈折率分布型
光学素子。
【0063】(付記項2)近赤外線を吸収する成分の径
方向濃度分布が、レンズ肉厚と成分濃度とが相反する関
係にあり、レンズの径方向各位置による近赤外線吸収能
が略一定であることを特徴とする付記項2記載の屈折率
分布型光学素子。
【0064】(付記項3)ゾルゲル法による製造におい
て、CuO,FeO,CoO,VO2 から選ばれる少な
くとも一種の成分を含んだ溶液が分布付与溶液であるこ
とを特徴とする屈折率分布型光学素子の製造方法。
【0065】(付記項4)少なくとも近赤外線を吸収す
る成分を含有した屈折率分布型光学素子と、電子撮像素
子とにより構成されたことを特徴とする光学機器。
【0066】
【発明の効果】以上のような本発明では、レンズとは別
体として設けられていたフィルタを用いなくてもレンズ
自体がフィルタ効果を有するため、フィルタの分だけレ
ンズ系を小型化でき、特にレンズ系の全長の短縮が可能
となる。この効果を赤外線カットフィルタに適用すれ
ば、電気撮像素子の前面に必ず配置されていた赤外線カ
ットフィルタの機能がレンズ系中に内蔵され、それに伴
って光学系の性能を損なうことなく全長の短縮を実現す
ることができる。したがって、例えば内視鏡のような光
学機器では内視鏡先端部がより曲げ易くなり、腹腔内の
観察や治療がし易いなるという効果を奏する。また、反
射面がなくなることから、赤外線カットフィルター面で
の光量ロスやフレアの発生がなくなり、より鮮明な像が
得られる。さらに部品点数の低減により、部品代、組み
立て工数などコストの低減と故障発生率の低減が実現で
きる効果がある。本発明では、シリカ系ガラスによって
構成することにより、化学耐久性が飛躍的に向上するた
め、医療機器等で行われる薬液や、高温高圧滅菌等に対
しても充分に耐えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1におけるGRINレンズの測定を
示す正面図である。
【図2】実施の形態1の光学機器の正面図である。
【図3】実施の形態1の光学機器の平面図である。
【符号の説明】 1 GRINレンズ 2 絞り 3 撮像面 4 CCD 5 セラミックス基板 6 結線

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結像、観察に用いる範囲以外の光を強く
    吸収する成分を含有することを特徴とする屈折率分布型
    光学素子。
  2. 【請求項2】 近赤外線を吸収する成分を含有すること
    を特徴とする屈折率分布型光学素子。
  3. 【請求項3】 近赤外線を吸収する成分が、酸化物表記
    でCuO、FeO、CoO、VO2 より選ばれた少なく
    とも一種の成分であり、マトリックスがガラスであるこ
    とを特徴とする請求項2記載の屈折率分布型光学素子。
  4. 【請求項4】 前記近赤外線を吸収する成分が、アント
    ラキノン類、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン
    化合物、クロム金属錯塩化合物、コバルト錯塩化合物、
    六塩化タングステンと塩化スズの重合物、ジオチール系
    金属錯体、スクアリリウム化合物、酸化剤ドープアセチ
    レン系ポリマー、チオ尿素と硫化銅の混合物、イモニュ
    ム系材料、Cu2+より選ばれた少なくとも一種の成分で
    あり、マトリックスがプラスチックであることを特徴と
    する請求項2記載の屈折率分布型光学素子。
  5. 【請求項5】 ゾルゲル法により屈折率分布型光学素子
    を製造する方法であり、焼成後のガラス中でCuO、F
    eO、CoO、VO2 より選ばれた少なくとも一種の成
    分を形成するための原材料を含んだゾルを調整し、ゲル
    化させる工程を有することを特徴とする屈折率分布型光
    学素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 ゾルゲル法により屈折率分布型光学素子
    を製造する方法であり、ウェットゲルまたはドライゲル
    または仮焼ゲルを、焼成後のガラス中でCuO、Fe
    O、CoO、VO2 より選ばれた少なくとも一種の成分
    を形成するための原材料を含んだ溶液または気体と接触
    させる工程を有することを特徴とする屈折率分布型光学
    素子の製造方法。
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