JP3708238B2 - 屈折率分布型光学素子の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カメラ、顕微鏡、内視鏡等の光学素子に応用可能なゾルゲル法による屈折率分布型光学素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゾルゲル法によりガラスを作製するには、ガラスの骨格となるシリコンのアルコキシドをエタノール等を溶媒とし、塩酸などの触媒下で加水分解反応させてゾルを調製し、ゾルはさらに重縮合反応により、ウエットゲルとし、このウエットゲル中の細孔に含まれる溶媒を乾燥により除去した後に、焼成することによって緻密化しガラスとする。ゾルゲル法によるガラスの作製方法を応用して屈折率分布型光学素子を作製する場合には、上記の基本工程の他に、金属成分を濃度分布をもってゲル中に含有させる必要がある。
【0003】
例えば屈折率が中心部から周辺部に向かって連続的に減少しているような凸レンズの作用を有す屈折率分布型光学素子では、まずゲル中に屈折率分布への寄与の大きな金属成分を含有させる。ゲル中に金属成分を含有させる方法としては、金属成分をゾルの段階で添加しこれをゲル化させる方法と、ゲルを作製した後に金属成分を含んだ溶液中に浸漬するなどしてゲルに含浸させる方法がある。
【0004】
これらの方法によって、ゲル中に含有させた金属成分を、該金属成分を溶出し得る処理液に浸漬する方法等により、金属成分に濃度分布を形成する。この際にゲル中に添加する金属成分としては、金属のアルコキシドやその誘導体または金属塩を用いている。
【0005】
金属成分の原料として金属アルコキシドまたはその誘導体を用いる方法としては特開昭60−42239号公報に記載されている方法が知られている。この方法ではゾル調製時に添加した金属アルコキシドがゲル化の時点で、−Si−O−M−O−Si−(M:金属成分)の様な化学結合を形成し、シリカと同様に骨格の一部として取り込まれる。この結合を切断し、金属成分を選択的に溶出し得る酸等にゲルを浸漬し金属成分に濃度分布を形成する。ゾル中に金属アルコキシドとして添加した金属成分は塩酸、または硝酸等の酸を利用することで選択的に溶出することが可能である。濃度分布後のゲルは濃度分布形成を停止する目的でメタノール等の有機溶媒中に浸漬しゲル中の酸を洗浄し、分布を固定する。このゲルを乾燥、焼成することによって屈折率分布型光学素子を作製する。
しかし、一般に金属のアルコキシドは水との反応性が高いために取り扱いが困難であることや、溶解度の制限によりゲル中への多量のドープが困難である等の問題がある。
【0006】
一方、金属成分の原料として金属塩を用いる場合には、化学的に安定で安価な物質が多く存在し、溶解度も比較的高いものが多いため、作製できるガラスの組成範囲がより広くなり、また、製造も容易である。特公平6−8179号公報には、シリコンのアルコキシドと金属塩を主体とする溶液を加水分解して得られるゾルをゲル化させ、金属塩に対する溶解度の低い溶液にゲルを浸漬してゲル中に金属塩の微結晶を析出させる方法が開示されている。
【0007】
金属塩をゾルの時点で添加する場合、水やアルコールに金属塩を溶解させた水溶液や、アルコール溶液として添加するため、金属成分はゲル骨格中の溶媒中に溶解して存在し、骨格中での溶媒の移動、拡散にともない金属成分も移動、拡散しやすい。このため、金属塩に対する溶解度の低い溶媒にゲルを浸漬して金属成分を金属塩の微結晶として析出させゲルの骨格中に固定し、その後に乾燥・焼成し、ガラス化することによって屈折率分布型光学素子を得るものである。
【0008】
このようにして作製した屈折率分布型光学素子をカメラ、顕微鏡、内視鏡などの光学レンズとして利用する場合には、屈折率分布型光学素子の媒質中での光線の屈曲を利用する。この屈折率分布形状を制御することにより各種の収差を補正することが可能となる。一般的には、光線を効果的に集光させるために要求される屈折率分布形状は、半径に対する屈折率の値を多項式で表した場合に、理論上は自乗項の他に高次項を有するものが好ましいが、その程度は自乗項に比較して非常に小さく、実際のレンズ設計を考える上では、自乗分布まで考慮すれば充分であり、ほぼ放物線状の分布形状を有する屈折率分布型光学素子の製造が望まれている(レーザー研究1980年第8巻第5号第748ページ)。
【0009】
屈折率分布形状は、添加した金属成分の組成分布形状に依存するものであるから、有効な屈折率分布形状を有する屈折率分布型光学素子を作製するためには、添加する金属成分の組成分布形状を精密に制御することが必要不可欠となる。
【0010】
しかし、従来の方法では放物線状の屈折率分布を有する屈折率分布型光学素子を作製することは困難であった。これは、濃度分布付与の工程で得られた放物線状の金属組成分布が、分布固定の操作で良好に固定されず、再拡散して崩れることが原因と考えられる。すなわち、金属塩を原料としたゲルでは、組成分布を形成するための濃度分布付与液として金属成分の溶解度の高い液体中にゲルを浸漬するとゲルの細孔中に存在していた液体が溶解度の高い分布付与液に置換されることになる。この状態で、形成した分布形状を固定する目的で金属成分の溶解度の低い濃度分布固定液中にゲルを浸漬すると、濃度分布固定液はゲルの外周部からゲル中に浸透していくために、ゲルの外周部の金属成分から順に固定することになる。
このように濃度分布固定液は外周部からゲルの中心部に向けて徐々に拡散していくものであるので、濃度分布固定の初期の段階では、ゲルの外周部では金属成分の固定が始まるが、ゲルの中心部では金属塩に対する溶解度の高い濃度分布付与液が残留しているため、分布の形成が引き続いて進み、ゲルの外周部と中心部での濃度分布形状の進行度合いが異なることになる。
【0011】
時間の経過と共に濃度分布固定液はゲル中心部にも到達するため、中心部でもある程度の濃度分布固定が行われるが、最終的に得られる屈折率分布型光学素子の屈折率分布は図1に実線で示すような中心部がつぶれたような形状となっており、効果的に光線を集光することはできず、光学素子としては不適当であった。
【0012】
また同様に金属成分として金属アルコキシドを用いた場合でも濃度分布の停止のためにアルコール中に浸漬する場合には、ゲルに浸透していく際に外周部と中心部では分布停止液の浸透に時間差が生じるため、同様に中心部の分布形成が進行し中心部がつぶれたような分布形状になりやすい傾向であった。
【0013】
放物線状の屈折率分布を実現するための方法として、特開平7−10551号公報には、金属塩を原料として濃度分布を形成した場合に分布形状を崩さないように、ゲル中に添加した金属塩のアニオンと同種のアニオンを発生する有機酸等の物質を分布液中に添加することによって、平衡状態を調整し分布形状の崩れを防止する方法が記載されている。
ところが、この方法では、濃度分布を付与する金属種やその添加量等により、用いる有機酸の種類や添加量等の条件設定が困難であった。また、金属成分の原料として、金属アルコキシドを用いる方法には適用することはできなかった。
【0014】
また、特公昭60−6295号公報には、金属塩を含浸させた多孔質ガラスを、金属成分を溶出し得る溶液中に浸漬し、濃度分布を付与した後に分布の形成を停止し、分布を固定する目的で、溶解度の低い0℃付近の溶媒に多孔質ガラスを浸漬する方法が記載されているが、溶媒の粘性の上昇や、拡散速度が低下するために、分布固定溶媒がゲル中に浸透する速度が遅くなるために、溶解度の低下による固定効果が充分に発揮できず、ゲルの中心付近で分布付与が進行し、中心部がつぶれたような分布形状になりやすかった。
【0015】
一方、ゾルゲル法による濃度分布付与において用いる濃度分布付与液は、溶出する金属の種類や、分布付与液の種類により拡散係数が異なる。J.Am.Ceram.Soc∵71,2,C−82−C−84(1988)では、金属アルコキシドを原料として作製したSiO2−TiO2系およびSiO2−GeO2系ゲルを塩酸、または水に浸漬することによりTiおよびGeを溶出するときの拡散係数を導出している。また、J.Non−Crystalline Solids169(1994)160−168においては、SiO2−BaO系 およびSiO2−TiO2系ウェットゲルをエタノール/水混合溶媒、塩酸に各々浸漬してBa、Tiを溶出する方法により分布を付与したウェットゲルを切断してバリウムおよびチタン濃度を測定することにより分布付与の際の拡散係数を論じている。ところが、これらの文献では、拡散係数を用いて分布挙動を調べるているものの、実用レベルの屈折率分布型光学素子の屈折率分布形状を達成するために適当な分布付与の方法については示されていない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ゾルゲル法による屈折率分布型光学素子の製造方法において、屈折率の分布に寄与する金属成分の濃度分布を付与する際に、濃度分布の付与の後の濃度分布の固定速度がゲルの中心部と周辺部では異なり、正確な濃度分布を付与することができないという問題点を解決することを課題とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、屈折率分布型光学素子の製造方法において、ゾルゲル法により作製したゲルを濃度分布付与液に浸漬して、ゲルの外周部から中心部までゲル中に金属成分の濃度分布を形成後、濃度分布固定液に浸漬してゲル中に形成した金属成分の濃度分布を固定する工程において、濃度分布固定液の温度を前記濃度分布付与液の温度よりも高くして、ゲルの外周部から中心部まで浸透して濃度分布を固定する濃度分布固定液の拡散速度を、前記濃度分布付与液の拡散速度より速くして濃度分布を固定する屈折率分布型光学素子の製造方法である。
濃度分布固定液の温度は、該液の沸点よりも低い温度であり、濃度分布付与液の温度が該液の融点よりも高い温度であり、前記濃度分布固定液の温度を前記濃度分布付与液の温度よりも高くする前記の屈折率分布型光学素子の製造方法である。
濃度分布付与液の温度は、凝固点以上であって25℃よりも低い温度であり、濃度分布固定液の温度は前記濃度分布付与液の温度よりも高くする前記の屈折率分布型光学素子の製造方法である。
濃度分布付与液の温度は、−23℃から17℃の温度である前記の屈折率分布型光学素子の製造方法である。
【0018】
屈折率分布型光学素子の製造方法において、ゾルゲル法により作製した外径が35mm以下のゲルを濃度分布付与液に浸漬して、ゲルの外周部から中心部まで金属成分の濃度分布を形成する際に、前記金属成分のゲル中での拡散係数が、5×10-7cm2/秒 以下の、少なくとも2種類の溶媒を混合した濃度分布付与液に浸漬する屈折率分布型光学素子の製造方法である。
屈折率分布型光学素子の製造方法において、ゾルゲル法により作製した外径が35mm以下のゲルを、金属塩の溶解度が異なる少なくとも2種類の溶媒からなる濃度分布付与液に浸漬してゲル中に金属成分の濃度分布を形成する際に、ゲル中に含有する金属成分の溶解度が、1×10-4mol/l以上、5×10-3mol/l以下である濃度分布付与液に浸漬する屈折率分布型光学素子の製造方法である。
屈折率分布型光学素子の製造方法において、ゾルゲル法により作製したゲルを濃度分布付与液に浸漬してゲル中に金属成分の濃度分布を形成する際に、ゲル中に含有する金属成分の溶解度が、1×10-4mol/l以上、5×10-3mol/l以下である濃度分布付与液に浸漬する屈折率分布型光学素子の製造方法である。
濃度分布付与液の溶解度が、2×10-4mol/l〜3.2×10-3mol/lである濃度分布付与液に浸漬する前記の屈折率分布型光学素子の製造方法である。
濃度分布付与液の溶解度が、5×10-4mol/l〜2.8×10-3mol/lである濃度分布付与液に浸漬する前記の屈折率分布型光学素子の製造方法である。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明は、ゾルゲル法による屈折率分布を形成する際に、濃度分布付与時に形成された放物線状の分布形状を崩れないように固定し、光学的な効果の高い屈折率分布型光学素子を作製するものである。
すなわち、ゲルはある一定の体積を有するため、分布固定処理液がゲル中心部まで浸透する時間を完全にゼロとすることは不可能である。特に口径の大きな屈折率分布型光学素子を作製する場合には、固定液がゲルの中心部に到達するまでに時間がかかるためゲルの周辺部と中心部で固定開始の時間差が大きくなりやすく、濃度分布がくずれやすい。
【0020】
そこで、実際には設計上要求される屈折率分布形状の精度にもよるが、濃度分布の形成速度と固定速度を考えた場合に、濃度分布を固定する処理液がゲル中心部に到達するまでの間に、実質的に濃度分布形状が崩れないような条件を設定すれば良い。この条件を具体的に実現するための手段として、
▲1▼濃度分布形成速度を遅くする。
▲2▼濃度分布固定速度を速くする。
▲3▼上記▲1▼▲2▼の条件を同時に成立させる。等が挙げられる。
【0021】
▲1▼の場合、濃度分布の形成速度を遅くすると、金属成分を金属塩として添加したゲルの場合であれば、分布固定の工程で溶解度の低い溶液中にゲルを浸漬した場合の固定処理液がゲル中心部まで到達するまでの時間は変わらないが、その時間差で生じる中心部での分布形状の崩れが進行しにくいために、濃度分布付与工程終了時に得られた濃度分布形状がほぼそのままの形状で固定されることになり、放物線状の濃度分布形状を実現することができる。
一方、金属成分を金属アルコキシドで添加した場合にも同様に、酸等で分布を形成し、アルコール等で濃度分布付与液を洗浄することによって濃度分布を停止させて固定するが、この際に濃度分布の形成速度が遅ければ、濃度分布固定液であるアルコールがゲルの中心部まで到達するまでの時間に、濃度分布付与工程の終了時に得られた濃度分布形状がほぼそのままの形状で固定されることになり、放物線状の濃度分布形状を実現することができる。
【0022】
▲2▼の場合でも同様に、濃度分布固定速度を速くすることにより、濃度分布形成後に固定の工程に移行すると同時に濃度分布の固定を行うことができ、固定が進行する間に、残留する濃度分布付与液による中心部での濃度分布形成は実質的に起こらなくなるため、濃度分布形状の崩れがない放物線状の濃度分布形状を実現することができる。
【0023】
▲3▼は濃度分布形成速度を遅くすると同時に、濃度分布固定速度を速くするもので、▲1▼、▲2▼の効果を同時に実現できるため、最も効果的に放物分布形状の屈折率分布型光学素子を作製することができる。
▲2▼▲3▼についても▲1▼の場合と同様に原料の金属成分が金属塩であっても、金属アルコキシドまたはその誘導体であっても同様の効果を示す。これらの方法を実現することにより屈折率分布は分布付与時に形成された放物線状の分布形状がそのまま固定されることになり、光学設計上有効な分布形状を有する屈折率分布型光学素子を作製することが可能となる。
【0024】
また、濃度分布付与や濃度分布固定の処理は、ゲルを所望の処理液に浸漬し、ゲル中に処理液を浸透させることによって行っているので、処理速度は処理液の浸透する速度に関係しており、濃度分布付与液のゲル中への拡散速度と、次工程である濃度分布固定において分布固定液がゲル中へ浸透していく速度を比較した場合に、分布固定液がゲル中に浸透していく速度が速い場合には、分布の崩れが起こりにくい。
【0025】
すなわち、濃度分布付与工程の終了直前にゲルに浸透していった分布付与液は、この時点で、ゲルの外周部付近に存在する。次工程に移行した際にゲル中に浸透する分布固定液の方がゲル中への拡散速度が速ければ、外周部に存在していた分布付与液がゲルの中心部まで到達するより先に、分布固定液がゲルの中心部に存在していた分布付与液と交換し、先にゲルの中心部まで到達することになる。このために、中心部の分布形状が崩れる以前に効果的に分布形状を固定することが可能となるのである。
【0026】
また、本発明の方法において、濃度分布付与液の拡散速度と濃度分布固定液の拡散速度の差を大きくするためには、濃度分布付与液の温度と濃度分布固定液の温度に差を設け、濃度分布固定液のゲル中への拡散速度を上昇させる。あるいは、分布の形成速度を低下させることによって分布形状の崩れを防止することが挙げられる。
すなわち、濃度分布付与の速度に対して相対的に濃度分布固定速度を速くすることによって効果的に濃度分布形状の固定を行うことができ、濃度分布形成時に得られた濃度分布形状を崩さず固定することが可能である。
【0027】
濃度分布付与液の温度を一定として比較した場合には、濃度分布固定液の温度のより高いものの方が分布の固定を迅速に行うことができる。温度の上昇によって濃度分布固定液のゲル中への拡散速度が上昇し、より迅速にゲル中に浸透するため、分布固定液の速度が速くなり、濃度分布形状を崩さずに固定することが可能となるものである。
また、濃度分布固定液の温度が一定であり、ゲル中への濃度分布固定液の拡散速度が一定である場合においては、濃度分布付与液の温度をより低くした場合の方が、溶解度が低下し分布形成速度が低下するため、分布形成速度に比較して分布固定速度を相対的に速く設定できる。このためゲルの中心部に濃度分布固定液が到達するまでの間におこる分布形状の崩れを抑えることができ、効果的に分布形状を固定することが可能である。
【0028】
これは、濃度分布固定液がゲル外部からゲルの中心部に到達するまでの時間にゲルの中心付近残留した濃度分布付与液の影響によって、中心付近の分布形状が崩れるが、その程度が濃度分布付与を低温で行った場合の方が分布の形成速度が小さいため、崩れの程度も小さく抑えることが可能であるということである。
さらには、濃度分布の付与の工程を溶液が凝固しない程度の低温で行い、濃度分布固定の工程を溶液が沸騰しない程度のより高温で行えば、最も効果的に分布形状を崩さずに固定することができる。
【0029】
ここで用いる濃度分布固定液には、金属成分に金属塩を用いた場合には、溶解度の温度変化の小さいものを用いることが好ましく、温度の上昇により溶解度が急激に上昇するような処理液は金属成分の再拡散の原因となるので好ましくない。また金属成分の原料として、金属アルコキシドまたはその誘導体を用いた場合にも同様に温度変化による拡散速度の制御によって、濃度分布形成速度を低下させ、濃度分布固定速度を上昇させることによって効果的に分布形状の固定を行うことができる。
【0030】
金属アルコキシドを用いたゲルの濃度分布を固定する際に用いるアルコール等の濃度分布固定液には金属アルコキシドは実質上溶解しないので、温度の上昇による溶解度の上昇は考慮する必要がなく、濃度分布付与は処理液の融点以上の低温であれば効果的に分布形成速度を低下させることが可能であり、分布固定は処理液の沸点以下の高温であれば濃度分布の固定速度を促進することができる。また、加圧下で沸点を上昇させることによってさらに高温の処理液によって処理することも可能である。
【0031】
また、濃度分布固定速度を濃度分布付与速度よりも大きくする手段として、濃度固定液の粘度を濃度分布付与液の粘度よりも低く設定することが挙げられる。これによって、相対的に分布固定処理液のゲル中への浸透速度を上昇させ、固定を確実に行なうことができる。
【0032】
ゲル中に添加した金属成分に金属塩を用いた場合、濃度分布付与液には、金属塩に対する溶解度の高い溶媒として、低級アルコールまたは水を用いることが多い。これらの溶媒は粘度が比較的高く、粘度は水で1.0019cP、メタノールで0.5945cP、エタノールで1.17cP程度である。そこで低粘度の溶媒を濃度分布固定液として選択すれば、分布固定液のゲル中への浸透速度が速くなるために、効果的に濃度分布の固定が行われることになる。
例えばアセトン0.316cP、ジエチルエーテル0.2448cP、ヘキサン0.307cP、酢酸エチル0.449cP等の様に0.5cP以下の粘度の溶媒を用いることで効果的に分布の固定を行うことが可能である。これらの溶媒はその他の物性、例えば、金属塩等に対する溶解度や、沸点等を考慮して、条件にあわせて混合して用いることも効果的である。この際に、より粘性率の低いジエチルエーテルのように単独では金属塩に対する溶解度が低すぎ金属塩の沈澱が生成するような場合でも、混合した場合の粘度が0.5cPを越えない程度に、他の溶解度の高いアルコール等の溶媒と混合して用いることも可能である。
骨格の構造や、細孔径等のゲルの状態や、添加する金属種、付与する濃度分布形状等の種々の系に適応する条件を設定することは困難であるが、上記の温度や粘度といった条件以外にも、例えば溶媒の極性や分子かさ等の物性に着目し、溶媒系を選択することが効果的である。
【0033】
また、本発明の方法において、ゲルを酸または金属塩を含有する溶液に浸漬した際にゲル中に含有している金属成分Mのゲル中での拡散係数Dが、5×10-7cm2/秒以下として濃度分布を行うことによって、濃度分布の崩れを防止して屈折率分布型光学素子を得ることが可能である。また、1×10-9〜5×10-7cm2/秒が好ましく、1×10-8〜5×10-7cm2/秒とすることがより好ましい。
拡散係数の値が5×10-7cm2/秒よりも大きくなると、濃度分布固定液に浸漬した際に、濃度分布固定液が完全に浸透するまでの間、ゲル中心部に残留する分布付与液中の金属成分Mの拡散移動が大きくなり、凹状あるいは凸状の屈折率分布が崩れるので好ましくない。
【0034】
また、ゲル中の金属成分の拡散は、(1)式の拡散方程式によりシミュレートすることができる。詳細はJ.Am.Ceram.Soc.,71,(2)C−82(1988)に記載されている。
dC/dt=(1/r) d/dr(rD dC/dr) (1)
C:金属成分濃度、D:拡散係数(cm2/秒)
t:浸漬時間(秒)、r:ゲル半径上の位置
この拡散方程式の解は次式となる。
(C-C0)/(C1-C0)=1-2Σexp(-αn 2Dt/r0 2)J0nr/r0)/αnJ0n) (2)
T=D×t/r0 2 (3)
として各Tについてプロットすると図7のようになり、経時変化により濃度分布が変化していく様子がわかる。そこで、本発明の拡散係数Dを求めるためには、実験により分布形状の経時変化を測定することにより、実際の分布時間が図7に示されるどの段階であるかを判断しそのときのT値をもとめ、浸漬時間、ゲル半径とともに(3)式に代入すればよい。
【0035】
また、拡散係数Dを求める別の方法として、ゲルを浸漬する処理液中の金属成分の濃度の経時変化を測定することにより、溶出量とゲルの大きさから計算する方法を用いることもできる。濃度分布を付与したい金属成分に対して、ある溶液を用いて濃度分布の経時変化、あるいはゲルを浸漬する溶液への金属成分の溶出量を調べることにより、金属成分の拡散係数が所望の大きさとなる処理液の選定を行うことができ、ほぼ放物線形状の分布を付与できる条件を設定することができるのである。
【0036】
本発明において明らかとなった最適な拡散係数は、従来ゾルゲル法により屈折率分布型レンズを作製する時は、金属成分の拡散係数が6×10-7〜7.5×10-6cm2/秒 のものを用いることが行われていたが、本発明における拡散係数は、これらの拡散係数と比較して小さな値となっており、これは、ゆっくりと濃度分布が付与されることを示す。このように濃度分布の速度を遅くするような分布付与液を選択する方法は、従来全く行われていない方法であり新規なものである。金属成分の拡散速度の遅い濃度分布付与液を用いることにより、濃度分布付与時間は長くなるが、光学的に優れた屈折率分布形状を得ることができる。
【0037】
また、ゲル中の金属成分の溶出によって濃度分布の付与を行う場合には、濃度分布付与液は、溶出しようとする金属塩を溶解する能力をもつ処理液であり、金属塩に対する溶解度のできるだけ低い処理液を選択するとよく、金属アルコキシドを原料に用いた酸への浸漬による溶出では、濃度分布付与のための化学結合の切断が可能な範囲で酸濃度のできるだけ薄い溶液を用いるのが効果的である。
【0038】
具体的には、ゲル中に含有している金属成分Mの溶解度が、5×10-3mol/l以下であり、1×10-4mol/l以上である溶媒からなる濃度分布付与液に浸漬したときに濃度分布固定時の分布の崩れを最小限に抑えることができ、ほぼ放物線状の濃度分布を得ることができるのである。また、2×10-4〜3.2×10-3mol/lが好ましく、5×10-4〜2.8×10-3mol/lとすることがより好ましい。
【0039】
金属成分Mの溶解度がこの範囲より大きい場合には、濃度分布固定液に浸漬した後に濃度分布固定液が完全に浸透するまでは、ゲル中心部に金属成分Mの溶解度が大きい濃度分布付与液が残留するため、金属成分は濃度分布付与液に溶解したままゲル中を移動可能である。また、金属成分Mの溶解度がこの範囲より小さい場合には、金属成分Mがほとんど溶解状態とならないため、濃度分布はほとんど付与されなくなる。使用する金属塩の溶解度が上記溶解度範囲を満たす溶媒であれば、アルコール、グリコール、エーテル、ケトン、およびヘキサンなどの飽和炭化水素、エステル等の中から選ばれたいずれの溶媒を用いて濃度分布付与を行うことも有効である。
また、上記の溶媒に金属塩を溶解した濃度分布付与液を使用して、濃度分布付与液中の金属成分とゲル中の金属成分を交換する場合には、濃度分布付与液中に溶解する金属塩の濃度を変化させることによっても濃度分布付与の速度が変化する。
【0040】
例えば、ゲル中に屈折率への寄与の大きい金属成分を凸状に分布させ、正屈折力を持つ屈折率分布型光学素子を作製するときには、濃度分布付与液中に屈折率への寄与の小さく、熱膨張係数分布を補正する効果を持つK、Na等の金属塩を含有させることが多い。これらK、Na等の金属塩の濃度を低くすることによって交換反応が遅くなり、分布付与速度を遅くすることができる。
【0041】
また、ゲル中に屈折率への寄与の大きい金属成分を凹状に分布させ、負屈折力を持つ屈折率分布型光学素子を作製するときには、濃度分布付与液中に屈折率への寄与の大きい金属塩を含有させておき、ゲルの外側からこの金属塩を導入していくが、このときには濃度分布付与液の溶媒として、本発明の溶解度範囲の中で、比較的大きな溶解度をもつ溶媒を選択することが望ましい。
【0042】
本発明の溶解度範囲の小さい側では、金属塩を充分に溶解することができず、充分な凹形状を付与することが難しいからである。また、このとき、ゲル中に予め屈折率への寄与の小さいK、Na等の金属塩を含有させておき、前述とは逆の交換反応をおこすことから、あらかじめゲル中に含有させる金属塩の種類や濃度によっても、分布の付与される速度は変化する。
【0043】
濃度分布付与液の溶媒を選択する際には、これらの金属塩の濃度も考慮しなければならない。金属成分の原料として金属塩を使用した場合に、濃度分布付与液として前記金属塩の溶解度が異なる、水、アルコール、グリコール、エーテル、ケトン、ヘキサン等の飽和炭化水素、エステル、ケトン、エーテルから選ばれた少なくとも2種の溶媒を混合して用いることが好ましい。
具体的には、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、ジエチルエーテル等のエーテル、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ヘキサン、2−メチルペンタン、ジメチルブタン、ヘプタン等の飽和炭化水素、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル等のエステル類が挙げられる。とくに、金属塩の溶解度が異なる少なくとも2種の溶媒を混合して用いることが好ましい。これによって金属塩の溶解能力の微妙な調製も可能となる。このようにして異種の溶媒を混合し、溶解する金属塩の溶解度を調整することにより、濃度分布付与速度が適度に遅くなるように調整することが可能となり、続いて行う濃度分布固定工程において溶解度の極めて小さい溶液を外周部から浸透させたときにも浸透する時間差によって生じやすい分布の崩れを最小限におさえることができる。
【0044】
また、濃度分布付与液の組成は、濃度分布付与工程中には必ずしも一定である必要はなく、濃度分布付与工程の終点に達する前に、酸濃度を低くした濃度分布付与能力の小さい溶液に浸漬し、濃度分布を固定する工程へ移行する時点でゲル細孔中に濃度分布付与能力の少ない処理液が存在している場合が好ましい。
【0045】
また、濃度分布を付与する金属成分として金属アルコキシドを使用した場合には、濃度分布付与液として酸濃度の低い処理液を使用することが有効である。酸濃度が低い処理液を用いることにより、酸による酸化物骨格の結合を切断する反応速度を遅くすることができるので、濃度分布付与を止めるために、ゲル中の酸を洗い流すアルコール等の濃度分布固定液に浸漬したときに濃度分布固定液の浸透する間のゲル中心部の濃度分布の崩れを最小限に抑えることができる。
【0046】
濃度分布付与液として酸を用いる場合には、酸の濃度はその種類や、金属アルコキシドにより導入された金属種の種類により異なるために、一概に酸濃度を規定することは難しいが、チタン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム等の金属アルコキシドを使用した場合には1N以下とすることが好ましく、より好ましくは0.1N以下の硫酸、塩酸、硝酸を用いることが望ましい。酸濃度の異なる濃度分布付与液で処理する場合には、特に分布固定処理を行う前に分布付与能力の少い溶液に浸漬しておき、濃度分布固定処理へ移行する時点でゲル細孔中の溶媒が分布付与能力の少ない溶液となっていることが望ましい。
【0047】
また、金属成分の溶出は、金属塩の溶解や、化学結合の切断という化学反応に基づくものである。この反応速度が反応温度によって変化可能であることは言うまでもなく、前述の溶解能力の調整手段として分布時の温度を変化させる方法を適用することも有効である。多くの場合低温では、溶解度は低くなり、また酸による結合の切断も遅くなるため、濃度分布付与工程を、常温(25℃)より低く、且つゲル中およびゲルを浸漬する液体の凝固点以上の温度、具体的には−23℃から17℃程度の温度において行うことが有効である。
【0048】
本発明の方法は、大口径の屈折率分布型光学素子の様に外周部と中心部での距離が大きいものに対して特に効果的に作用する。また、本文中ではゾルゲル法によって作製したゲルに対する作用を述べたが、ドライゲル、仮焼ゲル、多孔質ガラス等の多孔体に同様に金属成分を導入し組成分布を形成する場合に本発明の方法を適用することが可能である。また、分布の固定が確実に行えることにより、中心部の分布形状の崩れを抑えることが可能であるので、中心部の屈折率の低下が起こらず、中心部と外周部の屈折率差△nの大きな屈折率分布型光学素子を作製することも可能となる。
【0049】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を説明する。
実施例1
シリコンテトラメトキシドSi(OCH34 50gにエタノール83.73mlと2規定塩酸11.48mlを加えて室温で1時間攪拌し、その溶液にチタンテトラn−ブトキシドTi(On−C494 18.42gとエタノール83.73mlとを混合した溶液を添加して1時間攪拌した。この溶液に、1mol/lの酢酸バリウム水溶液95.69mlと、酢酸38.28mlとを加えて1時間攪拌してゾルを得た。このゾルを直径9.5mmのフッ素樹脂製容器にキャスティングして、50℃の恒温槽で放置しゲル化させた後、更に熟成することにより、円柱状のゲルを得た。
このゲルを、0.25mol/lの酢酸バリウムのイソプロパノール:水=60:40の混合溶液、エタノール:メタノール=75:25の混合溶液、エタノールの順に浸漬処理し、ゲル細孔中に酢酸バリウムの微結晶を析出させた。
【0050】
さらに、10℃の0.3mol/lの酢酸カリウムのメタノール中に、16時間浸漬することによって、バリウム成分に組成分布を付与した。さらにこのゲルを50℃のアセトン中で24時間浸漬処理した。得られたゲルを30℃の乾燥器中で乾燥し、引き続いて焼成したところ割れないガラス体が得られた。
このガラス体の波長633nmにおける屈折率分布形状を測定したところ、図2に実線で示す様にほぼ放物分布を有すものであった。また中心部の屈折率が1.6493、外周部の屈折率が1.6241の屈折率分布型光学素子であり、△n=0.0252であった。またこの屈折率分布を4次の偶関数に当てはめたところ係数として以下の値が得られた。この4次の項の係数は非常に小さく、屈折率分布形状はほぼ放物線であった。
N(r)=1.6493 - 1.2913×10-2×r2 + 2.0858×10-5×r4
比較例1
実施例1と同様の方法によりゲルを作製した。得られたゲルを濃度分布付与の温度、濃度分布固定の温度をともに30℃にした以外は実施例1と同様の方法で屈折率分布型光学素子を作製した。
このガラス体の波長633nmにおける屈折率分布形状を測定したところ、図2に破線で示す様に中心部が放物分布から落ち込んだ分布形状となった。中心部の屈折率は1.6487、外周部で1.6241の屈折率分布型光学素子であり、△n=0.0246であった。
またこの屈折率分布を4次の偶関数に当てはめたところ係数として以下の値が得られた。
N(r)=1.6487 − 1.1051×10-2×r2 − 7.558×10-4×r4
この式の4次の項の係数は実施例1と比較して絶対値が大きく分布形状が放物分布から外れていることを表している。
【0051】
実施例2
実施例1と同様組成のゾルを直径9.5mmの円柱状の容器に分注して複数のゲルを作製した。得られたゲルを0.25mol/lの酢酸バリウムのイソプロパノール:水=60:40の混合溶液、エタノール:メタノール=75:25の混合溶液、エタノールの順に浸漬処理し、ゲル細孔中に酢酸バリウムの微結晶を析出させた。さらに、30℃の0.3mo1/lの酢酸カリウムのメタノール中で、50時間浸漬することによって、バリウム成分に組成分布を付与した。
これらのゲルを、次の4つの処理液で濃度分布固定を行った。酢酸バリウムのこれらの処理液に対する溶解度がほとんどゼロであった。
▲1▼アセトン:ジエチルエーテル=5:5(容量比、以下も同様である)
▲2▼アセトン:ヘキサン=5:5
▲3▼アセトンのみ
▲4▼アセトン:イソプロパノール=5:5
▲5▼アセトン:n−ブタノール=5:5
それぞれの溶媒の単独での粘性率は、ジエチルエーテル0.2448cP、ヘキサン0.307cP、アセトン0.316cP、イソプロパノール2.26cP、n−ブタノール4.21cPである。
溶媒は1から5の順に粘度が上昇しているが、得られた屈折率分布型光学素子の分布形状は、図3に示すように粘度の高いものほど分布の崩れが確認できた。
【0052】
これらの屈折率分布を次式に当てはめた際の係数の値を示す。
Figure 0003708238
▲1▼のアセトン:ジエチルエーテル、▲2▼のアセトン:ヘキサンの系では4次の項の係数N2が2次の項の係数N1と比較して小さく、実質的に放物線分布であった。
【0053】
実施例3
シリコンテトラメトキシド50mlとシリコンテトラエトキシド50mlを混合し、次いで0.01規定の塩酸42mlを加え室温で1時間攪拌し部分加水分解反応を行なった。さらに1.25mol/lの酢酸鉛水溶液180mlと酢酸26mlをあらかじめ混合したものを添加した。溶液が完全に均一に混ざるまで攪絆を行った後、直径35mmの円柱状の容器に80mlずつ4本に分注しゲルを得た。このゲルを30℃の恒温槽中で7日間の熟成を行った後、イソプロパノール:水=8:2の混合比とした酢酸鉛の飽和溶液を調製し、60℃の温度でゲルを浸漬した。引き続いて、イソプロパノール、イソプロパノールとアセトンの8:2(容量比)、および5:5の混合溶媒、アセトンの順にゲルを浸漬処理した。
このゲルを濃度分布付与液として0.1mol/lの酢酸カリウムの粘性率が0.25cPのエチレングリコール溶液中で40時間の浸漬処理を行い、濃度分布を形成した。このゲルを粘性率が4.21cPのn−ブタノール中に24時間浸漬し、さらにアセトンに24時間浸漬して、濃度分布形状を固定した。
このゲルを乾燥後、焼成することによって得られた屈折率分布型光学素子の分布形状は図4に実線で示す様なほぼ放物線状分布であった。またこの屈折率分布を4次の偶関数に当てはめたところ係数として以下の値が得られた。
N(r)=1.6590 − 9.6250×10-4×r2 + 4.350×10-7×r4
【0054】
比較例2
実施例3と同様のゲルを作製し、濃度分布の付与処理前の処理は同様の浸漬処理を行った。このゲルを0.1mol/lの酢酸カリウムのエタノール溶液(粘性率が1.17cP)中で40時間の浸漬処理を行った。この濃度分布時間は、実施例3のエチレングリコールでの濃度分布を行った場合の分布後の溶液中の酢酸バリウム濃度と同程度となる時間である。このゲルを粘性率が4.21cPのn−ブタノール中で24時間浸漬し、さらにアセトンに24時間浸漬して、濃度分布形状の固定を行った。
このゲルを乾燥後、焼成することによって得られた屈折率分布型光学素子の分布形状は図4に破線で示す様に中心がつぶれ、周辺が広がった形状であった。またこの屈折率分布を4次の偶関数に当てはめたところ係数として以下の値が得られた。
N(r)=1.6578 − 5.3281×10-4×r2 − 7.690×10-6×r4
【0055】
実施例4
チタニウムテトラn−ブトキシド51.0gをエタノール50.5mlと混合し、さらにシリコンテトラメトキシド53.3gを添加した。均一になるまで攪拌した後に、1/100規定の塩酸25.2mlを加えて加水分解反応を行い、直径12mmのポリプロピレン製容器に分注しウエットゲルを作製した。
このゲルを6Nの塩酸に浸漬し、チタン成分に濃度分布を形成した。濃度分布処理後のゲルを、以下の溶媒中に浸漬処理し、濃度分布の形成を停止することにより、濃度分布形状の固定を行った。
▲1▼10℃メタノール
▲2▼30℃メタノール
▲3▼50℃メタノール
濃度分布固定後のゲルを乾燥し、電気炉で加熱処理することによりガラス化し、屈折率分布型光学素子を得た。得られたガラスの径方向の屈折率分布の測定結果を図5に示す。濃度分布固定の温度が高温であるほど放物線に近い分布形状が得られた。また、屈折率分布を次式に当てはめた際の係数の値を示す。
Figure 0003708238
【0056】
実施例5
実施例4と同様のゲルを作製して、同様に濃度分布を形成後、以下の溶媒中に30℃で浸漬し、濃度分布の形成を停止することにより、濃度分布形状の固定を行った。
▲1▼ジエチルエーテル
▲2▼アセトン
▲3▼メタノール、
▲4▼n−ブタノール
分布固定後のゲルを乾燥し、電気炉で加熱処理することによりガラス化し、得られた屈折率分布型光学素子の径方向の屈折率分布形状の測定結果を図6に示す。分布固定液の粘度は▲1▼から▲4▼の順に高くなっているが、粘度の低い処理液であるジエチルエーテル、アセトンで処理を行ったものでは、ほぼ放物線状の屈折率分布が得られた。メタノール、n−ブタノールで固定を行ったものは分布形状が崩れ中心部がつぶれたような分布形状であった。
得られた屈折率分布を次式に当てはめた際の係数の値を示す。
Figure 0003708238
【0057】
実施例6
シリコンテトラメトキシド42g、エタノール30gを混合した中に、1規定塩酸13gを混合し部分加水分解を行ったゾルに、酢酸バリウム20gに水55gを加えて溶解した溶液中に、酢酸37.4gを加えた溶液を添加し10分間攪拌した。このゾルを円筒状の容器に注ぎ30℃に静置しゲル化させることにより直径7.4mmの棒状ゲルを作製した。このゲルを、0.25Mの酢酸バリウムの水/イソプロパノール溶液に浸漬し、その後にエタノールに浸漬することによりゲル中に酢酸バリウムの微結晶を析出させた。次にゲル中のバリウム成分に濃度分布を付与するために、0.2mol/lの酢酸カリウムを含有するメタノール:アセトン=70:30溶液に25時間浸漬した。なお、メタノール:アセトン=70:30溶液に対する酢酸バリウムの溶解度は、1.58×10-3mol/lであり、このときのバリウムの拡散係数は、2.28×10-7cm2/秒 であった。
その後このゲルをアセトンに浸漬し分布固定を行い、乾燥および焼成工程を経て透明な屈折率分布型光学素子を得た。このガラスを平行平面に研磨し径方向の屈折率分布形状を測定したところ、
n(r)=n0 + n10r2 + n20r4 (4)
n0=1.6482、n10=-1.5152×10-3、n20=8.5041×10-5 により表される、ほぼ放物線状の屈折率分布を有していた。
【0058】
比較例3
実施例6と同様にして作製した10本のゲルを、0.25Mの酢酸バリウムを含む水/イソプロパノール溶液に浸漬し、その後にエタノールに浸漬することによりゲル中に酢酸バリウムの微結晶を析出させた。
次にゲル中のバリウム成分に濃度分布を付与するために、0.2mol/lの酢酸カリウムを含有するメタノール溶液に3時間から13時間まで1時間ずつ11通りに浸漬時間を変えて浸漬を行った。なお、メタノールに対する酢酸バリウムの溶解度は、1.06×10-2mol/lであり、このときのバリウムの拡散係数は、8.3×10-7cm2/秒であった。その後これらのゲルをアセトンに浸漬し濃度分布固定を行い、乾燥および焼成工程を経て透明な屈折率分布型光学素子を得た。
このガラスを平行平面に研磨し径方向の屈折率分布形状を測定したところ、いずれのものも、(4)式でn20の値が負で絶対値が大きく、放物線と比較して中心部の屈折率が低くなっており、光学設計上使用用途の限られるものとなっていた。
【0059】
実施例7
シリコンテトラメトキシド48g,シリコンテトラエトキシド42gを混合した中に、0.01規定塩酸50gを添加し部分加水分解を行ったゾルに、酢酸鉛54gを水92g溶解した溶液中に、酢酸33.2gを加えた溶液を添加し10分間攪拌した。このゾルを円筒状の容器に注ぎ30℃に静置しゲル化させることにより径31mmのロッド状ゲルを作製した。このゲルを、0.43Mの酢酸鉛を含有する水/イソプロパノールに浸漬し、その後イソプロパノール/アセトン=50/50、30/70、0/100(体積比)に順次浸漬することによりゲル中に酢酸鉛の微結晶を析出させた。次にゲル中の鉛成分に濃度分布を付与するために、0.3mol/lの酢酸カリウムを含有するエタノール/アセトン=40/60の液に52時間浸漬した。この溶液に対する酢酸鉛の溶解度は1.25×10-3mol/lであった。その後このゲルをアセトンに浸漬し分布固定を行い、乾燥および焼成工程を経て透明な屈折率分布型光学素子を得た。このガラスを平行平面に研磨し径方向の屈折率分布形状を測定したところ、
n(r)=n0 + n10r2 + n20r4
n0=1.6759、n10=-2.1382×10-3、n20=4.5210×10-5
により表される、ほぼ放物線状の屈折率分布を有していた。
【0060】
実施例8
シリコンテトラメトキシド42g、エタノール30gの混合物中に、1規定塩酸15gを混合し部分加水分解を行ったゾルに、酢酸バリウム11.2g、及び酢酸ランタン7.1gに水70gを加えて溶解した溶液に、酢酸18.4gを加えた溶液を添加し10分間攪拌した。このゾルを円筒状の容器に注ぎ30℃に静置しゲル化させることにより直径5.6mmの棒状ゲルを作製した。このゲルを、0.1Mの酢酸ランタン、0.2Mの酢酸バリウムを含む水/エチレングリコール溶液に浸漬し、その後にメタノール/エタノール混合溶液に浸漬することによりゲル中に酢酸バリウムおよび酢酸ランタンの微結晶を析出させた。
次にゲル中のバリウム成分およびランタン成分に濃度分布を付与するために、0.15mol/lの酢酸カリウムを含有するメタノール/エーテル/エチレングリコール=60/20/20溶液に36時間浸漬した。その後このゲルをアセトンに浸漬し濃度分布固定を行い、乾燥および焼成工程を経て透明な屈折率分布型光学素子を得た。このガラスを平行平面に研磨し径方向の屈折率分布形状を測定したところ、
n(r)=n0 + n10r2 + n20r4
n0=1.6928、n10=-5.0219×10-3、n20=9.2895×10-5
により表される、ほぼ放物線状の屈折率分布を有していた。
【0061】
実施例9
テトラメトキシシラン125.8gにn−プロパノール49gを添加した溶液へ0.02mol/lの塩酸36gを添加し45分攪拌したのち、Ti(On−C494の51.36gとブタノール25gを混合して得た溶液を添加し、10分間攪拌しその後、0.02mol/lのアンモニア水を加え加水分解し、内径28mmの円筒状容器に分注しゲル化させた。このゲルの半数を0.008Mの塩酸を含有する水/メタノール溶液に浸漬し132時間濃度分布付与した。このときのチタンの拡散係数Dは、4.2×10-7cm2/秒であった。その後ブタノールに浸漬しゲル中の塩酸を洗い流すことにより濃度分布付与停止した。
このゲルを乾燥後、焼結することにより透明な屈折率分布型ガラス棒を得た。このガラスを平行平面に研磨して径方向の屈折率分布形状を測定したところ、ほぼ放物線状の屈折率分布を有していた。
【0062】
比較例4
実施例9と同様にして作製したゲルを0.1Mの塩酸を含有する水溶液に浸漬することにより濃度分布を付与した。このときのチタンの拡散係数Dは、8.1×10-7cm2/秒であった。その後メタノールに浸漬しゲル中の塩酸を洗い流すことにより濃度分布付与を停止した。このゲルを乾燥、焼結することにより透明な屈折率分布型ガラス棒を得た。このガラスを平行平面に研磨し径方向の屈折率分布形状を測定したところ、放物線と比較して中心部の屈折率がやや低くなっており、光学設計上使用用途の限られるものとなっていた。
【0063】
実施例10
シリコンテトラメトキシド42g、エタノール25gの混合物中に、1規定塩酸13gを混合し部分加水分解を行ったゾルに、酢酸バリウム20.1g及び酢酸イットリウム11.8g、水73gを加えて溶解した溶液中に、酢酸32gを加えた溶液を添加し10分間攪拌した。このゾルを円筒状の容器に注ぎ、30℃に静置しゲル化させることにより直径20mmの棒状ゲルを作製した。このゲルを、0.05M酢酸イットリウム、0.1M酢酸バリウムを含有する水/イソプロパノール溶液に浸漬して、その後にメタノール/エタノール混合溶液に浸漬することによりゲル中に酢酸バリウムおよび酢酸ランタンの微結晶を析出させた。
次にゲル中のバリウム成分およびイットリウム成分に濃度分布を付与するために、0.10mol/lの酢酸カリウムおよび0.10mol/lの乳酸ナトリウムを含有するメタノール/アセトン/ヘキサン=70/10/20溶液を25℃に保ち58時間浸漬した。このときのバリウムの拡散係数Dは、9.2×10-9cm2/秒であり、イットリウムの拡散係数Dは、4.5×10-9cm2/秒であった。その後、このゲルを45℃に保ったアセトン溶液に浸漬し分布固定を行い、乾燥および焼成工程を経て透明な屈折率分布型光学素子を得た。このガラスを平行平面に研磨し径方向の屈折率分布形状を測定したところ、ほぼ放物線状の屈折率分布を有していた。
【0064】
実施例11
実施例7と同様な方法により作製したゲルを、0.43M酢酸鉛を含有する水/イソプロパノール溶液に浸漬し、その後イソプロパノール/アセトン=50/50、30/70、0/100(容積比)に順次浸漬することによりゲル中に酢酸鉛の微結晶を析出させた。次にゲル中の鉛成分に濃度分布を付与するために、10℃に保った0.15mol/lの酢酸カリウムを含有するエタノール溶液に、46時間浸漬した。その後このゲルを25℃のアセトンに浸漬して濃度分布固定を行い、乾燥および焼成工程を経て透明な屈折率分布型光学素子を得た。このガラスを平行平面に研磨し径方向の屈折率分布形状を測定したところ、
n(r)=n0 + n10r2 + n20r4
n0=l.6715、n10=-1.1652×10-3、n20=2.3861×10-6
により表される、ほぼ放物線状の屈折率分布を有していた。
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、カメラ、顕微鏡、内視鏡等のレンズとして用いることのできる屈折率分布型ガラスの分布形状の制御を精密に行うことができ、光学設計上効果の高いほぼ放物線形状の分布を得ることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術による屈折率分布を説明するものである。
【図2】本発明の一実施例および比較例の屈折率分布型光学素子の屈折率分布形状を説明する図である。
【図3】本発明の他の実施例の屈折率分布型光学素子の屈折率分布形状を説明する図である。
【図4】本発明の他の実施例および比較例の屈折率分布型光学素子の屈折率分布形状を説明する図である。
【図5】本発明の他の実施例の屈折率分布型光学素子の屈折率分布形状を説明する図である。
【図6】本発明の他の実施例の屈折率分布型光学素子の屈折率分布形状を説明する図である。
【図7】拡散方程式による濃度分布付与のシミュレーション結果を説明する図である。

Claims (8)

  1. 屈折率分布型光学素子の製造方法において、ゾルゲル法により作製したゲルを濃度分布付与液に浸漬して、ゲルの外周部から中心部までゲル中に金属成分の濃度分布を形成後、濃度分布固定液に浸漬してゲル中に形成した金属成分の濃度分布を固定する工程において、濃度分布固定液の温度を前記濃度分布付与液の温度よりも高くして、ゲルの外周部から中心部まで浸透して濃度分布を固定する濃度分布固定液の拡散速度を、前記濃度分布付与液の拡散速度より速くして濃度分布を固定することを特徴とする屈折率分布型光学素子の製造方法。
  2. 濃度分布固定液の温度は、該液の沸点よりも低い温度であり、濃度分布付与液の温度が該液の融点よりも高い温度であり、前記濃度分布固定液の温度を前記濃度分布付与液の温度よりも高くすることを特徴とする請求項1記載の屈折率分布型光学素子の製造方法。
  3. 濃度分布付与液の温度は、凝固点以上であって25℃よりも低い温度であり、濃度分布固定液の温度は前記濃度分布付与液の温度よりも高くすることを特徴とする請求項1または2記載の屈折率分布型光学素子の製造方法。
  4. 濃度分布付与液の温度は、−23℃から17℃の温度であることを特徴とする請求項3記載の屈折率分布型光学素子の製造方法。
  5. 屈折率分布型光学素子の製造方法において、ゾルゲル法により作製した外径が35mm以下のゲルを濃度分布付与液に浸漬して、ゲルの外周部から中心部まで金属成分の濃度分布を形成する際に、前記金属成分のゲル中での拡散係数が、5×10-7cm2/秒 以下の、少なくとも2種類の溶媒を混合した濃度分布付与液に浸漬することを特徴とする屈折率分布型光学素子の製造方法。
  6. 屈折率分布型光学素子の製造方法において、ゾルゲル法により作製した外径が35mm以下のゲルを、金属塩の溶解度が異なる少なくとも2種類の溶媒からなる濃度分布付与液に浸漬してゲル中に金属成分の濃度分布を形成する際に、ゲル中に含有する金属成分の溶解度が、1×10-4mol/l以上、5×10-3mol/l以下である濃度分布付与液に浸漬することを特徴とする屈折率分布型光学素子の製造方法。
  7. 濃度分布付与液の溶解度が、2×10-4mol/l〜3.2×10-3mol/lである濃度分布付与液に浸漬することを特徴とする請求項6記載の屈折率分布型光学素子の製造方法。
  8. 濃度分布付与液の溶解度が、5×10-4mol/l〜2.8×10-3mol/lである濃度分布付与液に浸漬することを特徴とする請求項7記載の屈折率分布型光学素子の製造方法。
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