JPH0977518A - 屈折率分布型光学素子の製造方法 - Google Patents

屈折率分布型光学素子の製造方法

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JPH0977518A
JPH0977518A JP7232548A JP23254895A JPH0977518A JP H0977518 A JPH0977518 A JP H0977518A JP 7232548 A JP7232548 A JP 7232548A JP 23254895 A JP23254895 A JP 23254895A JP H0977518 A JPH0977518 A JP H0977518A
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metal
porous body
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optical element
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JP7232548A
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Hiroaki Kinoshita
博章 木下
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Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Publication date
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B19/00Other methods of shaping glass
    • C03B19/12Other methods of shaping glass by liquid-phase reaction processes

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Glass Melting And Manufacturing (AREA)
  • Surface Treatment Of Glass (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属成分濃度が径方向に凹状に分布した色収
差補正能力に優れたガラスを製造する。 【解決手段】 シリコン成分を含む多孔体をふっ酸を含
む溶液に浸漬した後、シリコン以外の第1の金属成分の
金属アルコキシド又はその誘導体を含む溶液に浸漬し
て、多孔体の外周から中心に向かって第1の金属成分の
濃度が徐々に減少する濃度勾配を付与する。ふっ酸がガ
ラス結合を切断するため、金属成分濃度を確実に分布さ
せることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はカメラ、顕微鏡等の
光学素子に使用可能な屈折率分布型光学素子の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】屈折率分布型光学素子は、媒質に屈折率
分布を付与することによって媒質自体にパワー(屈折
力)を持たせたものであり、優れた収差補正能力を有し
ているため、レンズの構成枚数を減らすことができ、次
世代の光学系に欠くことのできない光学素子として注目
されている。
【0003】屈折率分布型光学素子は、径方向に関する
屈折率の変化とアッベ数の変化により、次のように分類
できる。すなわち、屈折率がガラスの中心方向から外周
部にかけて減少する屈折率分布光学素子を正屈折力型屈
折率分布型光学素子と呼び、逆に増加するものを負屈折
力型屈折率分布型光学素子と呼ぶ。また、屈折率の変化
に伴う分散に関しては、屈折率の増大に伴いアッベ数が
減少する色分散分布を高分散分布、逆に増加する色分散
分布を負分散分布、あまり変化しないものを低分散分布
と呼ぶ。さらにこれらの屈折率変化とアッベ数の変化の
組合せにより、正屈折力型負分散分布光学素子などとい
い、屈折率があまり変化せずアッベ数が大きく変化する
ものを超分散分布と呼ぶ。
【0004】このような光学素子に対する開発では、M
icrooptics News,Vol.9−3(1
991)13〜18,Japan Optics92講
演予稿集(1992)127〜128、特開平3−14
1302号公報、SPIEVol.1780(199
2)456〜463等に白色光源に適用が可能である色
収差補正能力に優れた屈折率分布型光学素子として、低
・負分散分布が有効であることが開示されている。ま
た、Applied Optics,Vol.25 N
o18,(1986)3351〜3355には、負屈折
力型屈折率分布光学素子が、収差補正能力に優れている
ことが記載されている。特開平6−14805号公報に
は、超分散分布の組成が開示してある。なお、このよう
な色収差補正能力に優れた屈折率分布型光学素子の作製
には、Ti,Nb,Ta,Zrなどの金属成分濃度を、
ガラスの中心方向から外周部にかけて連続的に増加する
いわゆる凹分布にする必要がある。
【0005】このような屈折率分布型光学素子の製造方
法としてはゾルゲル法、イオン交換法、分子スタッフィ
ング法等が用いられている。この内、ゾルゲル法は大口
径のガラスが得られること、また多価金属の酸化物に分
布を持たせることが可能であり、得られる屈折率分布型
光学素子の光学特性にバリエーションを持たせることが
可能であるなどの特徴を持つため注目されている。
【0006】特開平4−108626号公報には、ゾル
ゲル法により、多孔体に分布付与溶液を浸漬して冷却
し、分布液の移動を止めることにより、負屈折力型屈折
率分布光学素子を作製する方法が開示されている。ま
た、特開平5−306126号公報には、多孔体の外周
から金属塩を導入して負屈折力型屈折率分布光学素子を
得る方法が開示されている。
【0007】特開平4−55339号公報には、第1ド
ーパントを含むゲルを適当な溶出液に浸漬して第1ドー
パントに分布を付与し、更に第2の成分に分布を付与す
ることが開示されている。特開昭62−292624号
公報には、多孔体をTi含有溶液に浸漬し、多孔体にT
i成分を均一に含有させてSiO2 −TiO2 系ガラス
を作製する方法が記載されている。特開平4−8371
9号公報には、SiO 2 −TiO2 系湿潤多孔体をフッ
素含有溶液に浸漬することにより、Ti成分を溶出さ
せ、径方向に凸形状の屈折率分布を有した正屈折力型屈
折率分布光学素子を作製する方法が記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】Ti,Nb,Ta,Z
rなどの屈折率への寄与が大きな金属成分を多孔体の径
方向に凹分布を付与した屈折率分布型光学素子を作製す
るにあたり、特開平5−306126号公報記載の方法
では、適当な塩が存在しないため、適用が難しい。ここ
で、適当な塩とは、ゾルゲル法の原料として塩を用いる
際に、取扱いが容易であり、塩が溶解する適当な溶媒が
存在し、化学反応を制御しやすく均一なゾルをつくるこ
とができる塩を意味する。
【0009】特開平4−108626号公報記載の方法
では、温度変化に伴って金属成分の溶解度が大きく変化
して金属成分が析出したり、使用する溶媒の選択が難し
く、しかも得られる屈折率分布の再現性が良くないとい
う問題点があった。特開平4−55339号公報記載の
方法では、第1ドーパントに凸状の金属濃度分布を付与
することは容易であるが、凹状の金属濃度分布を付与す
ることは困難である。一方、特開昭62−292624
号公報記載の方法を利用し、チタン含有溶液への浸漬時
間を短縮して、チタンに径方向の凹分布を付与しようと
しても、Si−O−Siの結合手が強固に結合している
ため、ごく僅かのチタン成分しかネットワークに寄与す
ることができないと共に、Si−O−Si結合に関与し
ていないチタン成分が多孔体の焼成時に凝集してアナタ
ーゼの結晶が析出して失透する問題を有していた。特開
平4−83719号公報記載の方法では、シリカチタン
ゲルからTi成分を溶出するために、ふっ酸を用いるた
め、当然にチタンに凸状の金属濃度分布を付与できるだ
けであり、凹状の金属濃度分布を付与することはできな
い問題を有している。
【0010】本発明はこれらの従来技術の問題点を解決
し、多孔体からのガラスの製造、特にゾルゲル法により
金属成分濃度を径方向に凹形状に分布させて、色収差補
正能力に優れた屈折率分布型光学素子を作製する方法を
提供することを目的とする。また、本発明は特に、T
i、Nb、Tb、Zrなどの適当な金属塩は存在しない
が、適当な金属アルコキシドやその誘導体は存在するよ
うな金属成分濃度を径方向に凹状に分布させることがで
きる方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項1の発明は、シリコン成分を含む多孔体をふ
っ酸を含む溶液に浸漬した後、シリコン以外の第1の金
属成分の金属アルコキシドまたはその誘導体を含む溶液
に浸漬し、この第1の金属成分の濃度が多孔体の外周か
ら中心に向かって徐々に減少する濃度勾配を付与するも
のである。
【0012】請求項2の発明は、シリコン成分を含む多
孔体をふっ酸を含む溶液に浸漬した後、シリコン以外の
第1の金属成分を含む金属アルコキシドまたはその誘導
体を含む溶液に浸漬し、この第1の金属成分の濃度が多
孔体の外周から中心に向かって徐々に減少する濃度勾配
を付与した後、この多孔体をシリコン以外の第2の金属
成分の金属塩を含む溶液に浸漬した後に、金属塩を溶出
する溶液に多孔体を浸漬して第2の金属成分濃度が多孔
体の外周から中心に向かって徐々に増加する濃度勾配を
付与するものである。
【0013】請求項3の発明は、上記シリコン以外の第
1の金属成分が、Ti,Nb,Ta,Zrから選ばれた
少なくとも1種の金属とするものである。
【0014】請求項1の発明の作用を、SiO2 −Ti
2 系のチタン成分に凹状の濃度分布を有し、高分散分
布を有する負屈折率型屈折率分布光学素子を作製する場
合について説明する。
【0015】シリコンアルコキシドとアルコール、水、
酸を混合して、多孔体のウエットシリカゲルを作製す
る。一方、あらかじめふっ素酸水溶液(以後ふっ酸と略
記する)と適当な有機溶剤、例えばアルコールを混合し
て適当な濃度の溶液を調製しておく。この溶液に多孔体
を適当な時間浸漬すると、多孔体中にふっ酸溶液が拡散
する。これにより、多孔体中のSiO2 骨格は、安定で
あったSi−O−Siの結合の一部がふっ酸により切断
されて、Si−Fが新たに生成したり、Si−Oが増加
して、これらのF又はOが何らかの電荷を持つようにな
り反応活性な末端基が増加する。
【0016】この多孔体中における活性な反応基の分布
は、多孔体を溶液に浸漬する時間により制御することが
できる。すなわち、多孔体をふっ酸を含む溶液に浸漬す
る時間を短くすると、ふっ酸溶液が多孔体の外周部から
拡散するので、多孔体中にふっ酸の濃度勾配が生じる。
ふっ酸はSi−O−Siの結合を切断しながら拡散する
ので、活性反応基が多孔体の外周部で特に多く、中心部
で特に少ない反応活性基の分布が生じる。一方、ふっ酸
溶液に浸漬する時間を長くすると、ふっ酸溶液は多孔体
中に完全に拡散するため、多孔体中に均一にふっ酸が存
在する。しかし、ふっ酸は多孔体の外周部からSi−O
−Siの一部を切断して、ふっ素イオンを消費しながら
拡散するため、僅かながら活性反応基が多孔体の外周部
で多く、中心部で少ない反応活性基の分布が生じる。
【0017】この後、例えばチタンアルコキシドを含む
溶液に、このふっ酸処理したウェットゲルを適当な時間
浸漬すると、チタン成分は徐々に多孔体の外部から中心
に向かって拡散して、反応活性になっているSi−Fn-
やSi−On-等の末端基と反応してSi−O−Ti結合
を形成する。これにより、チタン成分が多孔体の周辺部
で多く、中心部で少ない凹分布が形成される。この多孔
体をそのまま乾燥して焼成すると、屈折率が中心で低
く、周辺で高い凹分布を有した高分散分布の負屈折力型
屈折率分布ガラスを作製することができる。
【0018】金属アルコキシド及びその誘導体として
は、金属原子が酸素原子を介してアルキル基と結合して
いる化合物(金属アルコキシド)またはアリール基と結
合している化合物(金属アリールオキシド)、β−ジケ
トン、β−ケト酸エステルのエノール構造の酸素原子で
結合している化合物、カルボン酸誘導体、メタロキサン
ポリマーなどがある。チタンについてその一例を挙げる
と、チタンジイソプロポキシ(ビス−2、4−ペンタン
ジオネート)、分子式(iso−C3 7 O)2Ti
(CH3 COCHCOCH3 2 や、チタンビス(トリ
エタノールアミン)ジイソプロポキサイド、分子式(i
so−C3 7 O)2 TiHOCH2 CH2N(CH2
CH2 O)2 などがある。
【0019】この場合、多孔体を浸漬するふっ酸含有溶
液中のふっ酸の濃度は、多孔体中の結合をどれだけ切断
するかを支配するが、ふっ酸濃度が濃すぎるとシリカ骨
格を過剰に切断してしまうので、所望の金属成分濃度分
布の形状と、作製した多孔体の強度を鑑みて適宜変化さ
せる必要がある。
【0020】また、チタン等の金属成分は、過剰に供給
されると凝集して核化剤として働き、ガラスの結晶化や
失透につながるので、ふっ酸溶液処理した後の金属成分
を含む溶液の濃度もまた、所望の金属成分濃度分布形状
と、多孔体の状態を鑑みて適宜変化させる必要がある。
【0021】請求項2の発明の作用をSiO2 −TiO
2 −BaO−K2 O系のチタン成分に凹状の濃度分布、
バリウム成分に凸状の濃度分布を有し、超分散分布を有
するガラス、または低・負分散分布を有する正屈折力型
屈折率分布ガラスを作製する場合について説明する。
【0022】上述したようなウェットゲル中にチタン成
分の凹分布を形成した後、更に以下のような処理を行
う。すなわち、多孔体を更にバリウムを含む水溶液また
はアルコール溶液に浸漬して、多孔体中に金属塩を含浸
させ、その後、多孔体をアルコール等に浸漬して金属塩
の微結晶を析出させ、バリウムを溶解するカリウムを含
んだ分布付与溶液に浸漬してバリウム成分に凸、カリウ
ム成分に凹分布を付与する。
【0023】更に、この多孔体をアセトン等の金属塩が
溶解しないような分布固定溶液に浸漬する。これらの操
作により、チタン成分に凹、バリウム成分に凸、カリウ
ム成分に凹を付与した多孔体を得ることができる。この
多孔体を乾燥、焼成することにより、低・負分散分布や
超分散分布の屈折率分布型光学素子を得ることができ
る。この時、チタン成分の凹分布形状による負屈折力
と、バリウム成分の凸分布形状による正屈折力の関係が
ほぼ釣り合うことにより、屈折力が小さく分散のみが大
きく変化する超分散分布ガラス、バリウム成分の正屈折
力が勝れば正屈折力を有する屈折率分布ガラスとなる。
【0024】得られたゲルは、チタン成分がゲル骨格と
反応しているため、チタンのクラスターが凝集しにくく
なっており、このゲルを乾燥焼成することにより、チタ
ン成分の結晶化を防ぎ透明なガラス体を得やすくなる。
したがって、従来技術では導入できなかった多孔体への
凹状のチタン成分の濃度分布が付与することができ、か
つ多孔体へのチタン成分の大量な導入が可能となる。
【0025】なお、あらかじめゲル中に金属塩を導入し
た多孔体は、ふっ酸がある程度多いと、バリウムやラン
タン等の金属塩の多くがふっ酸と容易に反応して、水や
有機溶媒に不溶なふっ化物塩を生成し、ゲル中に粗大結
晶が析出して割れるなどの問題があるため好ましくな
い。
【0026】請求項3の発明の作用を説明する。屈折率
や分散の光学特性がガラス中の金属成分により決定され
るところから、上述したような色収差補正能力に優れた
屈折率分布型光学素子には、効果的な元素の組合せがあ
る。例えば、凹状に分布させる金属種にはTi,Nb,
Ta,Zrから選ばれた少なくとも1種の金属アルコキ
シドまたはその誘導体の金属種が必要であり、また凸状
に分布させる金属種には例えばBa,La,Sr,C
a,Ge,Zr,Y,Zr,Inなどから選ばれた少な
くとも1種の金属塩を適当な組合せで、適当な量分布さ
せることにより、低・負分散分布や超分散分布の屈折率
分布型光学素子を得ることができる。
【0027】以上の説明では、ゾルゲル法で作製したゲ
ルについて述べてきたが、使用される多孔体は、いわゆ
るCVD法により作製されるスートや、分相法により作
製されるバイコールガラス等の多孔体であっても良い。
また、多孔体を作製する際に、あらかじめシリコンとも
チタンとも異なる他の金属種、例えばジルコニウムを添
加しておくことで、更に多成分のガラス体を得ることが
でき、耐候性や耐酸性向上などの付加価値を与えること
が可能となる。多孔体を作製する際に、あらかじめ分布
を付与すべき金属成分を入れておけば、更に金属成分含
有量を増加することができる。
【0028】この他に、例えば超分散分布の屈折率分布
型光学素子を実現する組成に、SiO2 −ZrO2 −T
iO2 3成分系でZr成分に凸状の濃度分布、Ti成分
に凹状の分布を付与するものがある。このような場合に
は、あらかじめSiO2 −ZrO2 2成分系多孔体を作
製して、硫酸などの酸によりZr成分に凸状の金属濃度
分布を付与し、一度アルコールなどで酸を洗い流した
後、ふっ酸に浸漬してシリカを選択的に溶出してTiを
含む溶液に浸漬すればよい。
【0029】第1の金属成分に凹分布を付与した多孔体
を作製した後に、少なくとも1回、好ましくは複数回ア
ルコールなどの有機溶剤に浸漬すると効果的である。こ
れは、多孔体中に含まれるふっ酸がある程度多いと、例
えば後に金属塩として導入するバリウムやランタン等の
金属成分の多くがふっ酸と容易に反応し、水や有機溶媒
に不溶なふっ化物塩を生成してしまうからである。多孔
体を有機溶剤で洗浄することにより、多孔体中に残留し
ていたふっ酸を洗い流すことができ、このような金属成
分の沈殿を防ぐことができるためである。有機溶剤は、
多孔体に付与した金属濃度分布を崩さないような金属種
の溶解度を有する有機溶剤を選択すべきである。以上述
べたように、種々の工夫をすることにより、ガラスの光
学特性にバリエーションを持たせた屈折率分布光学素子
を得ることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
(発明の実施の形態1)シリコン、チタン原料にそれぞ
れテトラメトキシシランSi(OCH3 4 、チタンジ
イソプロポキシ(ビス−2,4−ペンタンジオネート)
(分子式(iso−C3 7 O)2 Ti(CH3 COC
HCOCH3 2 )を使用した。
【0031】20.9gのSi(OCH3 4 にエタノ
ール35mlと2規定塩酸4.8mlと水15mlとを
加えて室温で1時間攪拌した。このゾルを直径12mm
のポリプロピレン製容器40本にキャスティングして、
40℃の恒温槽で放置しゲル化させた後、更に熟成し
た。得られたウェットゲルを容器から取り出し、ふっ酸
のアルコール溶液に4時間浸漬した。
【0032】このゲルを、24gの(iso−C3 7
O)2 Ti(CH3 COCHCOCH3 2 とエタノー
ル35ml、酢酸16mlとを混合した溶液中に浸漬し
て5時間攪拌した。このゲルをアルコールで洗浄した
後、乾燥、焼成することにより、負屈折力型屈折率分布
光学素子を得ることができた。
【0033】(発明の実施の形態2)シリコン原料とし
てテトラメトキシシランSi(OCH3 4 、チタン原
料としてチタンブトキシドモノマーTi(O−nC4
9 4 、バリウム原料として酢酸バリウムBa(OCO
CH3 2 、カリウム原料として酢酸カリウムKOCO
CH3 を使用した。
【0034】20.9gのSi(OCH3 4 にエタノ
ール35mlと2規定塩酸4.8mlと水15mlとを
加えて室温で1時間攪拌した。このゾルを直径12mm
のポリプロピレン製容器40本にキャスティングして、
40℃の恒温槽で放置しゲル化させた後、更に熟成し
た。得られたウェットゲルを容器から取り出し、ふっ酸
のアルコール溶液に4時間浸漬した。
【0035】このゲルを、12gのTi(O−nC4
9 4 とエタノール35ml、酢酸16mlとを混合し
た溶液中に浸漬して5時間攪拌した。そしてゲルをアル
コールで洗浄した後、酢酸バリウムとメタノールと乳酸
とを溶解した溶液に24時間浸漬した。さらにゲルをエ
タノールと乳酸の混合溶液に24時間浸漬し、バウリム
塩をゲルの細孔中に固定した。次に、ゲルを酢酸カリウ
ムとメタノールと乳酸とを溶解した溶液に7時間浸漬
し、その後、アセトンに24時間浸漬した。ゲルを乾
燥、焼成することによりチタン成分に凹状の金属濃度分
布、バリウム成分に凸状の金属濃度分布の所望の負分散
分布を有する屈折率分布型光学素子を得ることができ
た。
【0036】(比較例1)ふっ酸溶液の替わりに塩酸溶
液を用いて、発明の実施の形態2と同様にゲルを処理し
てガラスを作製した。得られたガラスはチタン成分がシ
リカ成分に対してガラスの径方向にフラットな濃度分布
を有しており、所望の負分散分布を有した屈折率分布ガ
ラスとすることができなかった。
【0037】(発明の実施の形態3)シリコン原料とし
てテトラメトキシシランSi(OCH3 4 、チタン原
料としてチタンブトキシドモノマーTi(O−nC4
9 4 、バリウム原料として酢酸バリウムBa(OCO
CH3 2 、カリウム原料として酢酸カリウムKOCO
CH3 を使用した。
【0038】20.9gのSi(OCH3 4 にエタノ
ール35mlと2規定塩酸4.8mlを添加して1時間
攪拌し、5gのTi(O−nC4 9 4 とエタノール
10mlを加え、水15mlとを加えて室温で1時間攪
拌した。このゾルを直径12mmのポリプロピレン製容
器40本にキャスティングして、40℃の恒温槽で放置
しゲル化させた後、更に熟成した。得られたウェットゲ
ルを容器から取り出し、ふっ酸のアルコール溶液に4時
間浸漬した。
【0039】このゲルを、12gのTi(O−nC4
9 4 とエタノール35ml、酢酸16mlとを混合し
た溶液中に浸漬して5時間攪拌した。このゲルをアルコ
ールで洗浄した後、酢酸バリウムとメタノールと乳酸と
を溶解した溶液に24時間浸漬した。ゲルをエタノール
と乳酸の混合溶液に24時間浸漬し、バウリム塩をゲル
の細孔中に固定した。次に、ゲルを酢酸カリウムとメタ
ノールと乳酸とを溶解した溶液に7時間浸漬し、その後
アセトンに24時間浸漬した。ゲルを乾燥、焼成するこ
とにより発明の実施の形態2に比べてチタン含有量が多
く、チタン成分に凹状の金属濃度分布、バリウム成分に
凸状の金属濃度分布を有した所望の負分散分布を有する
屈折率分布型光学素子を得ることができた。
【0040】(発明の実施の形態4)四塩化珪素と塩化
アルミニウムから作製したスートをふっ酸のアルコール
溶液に4時間浸漬した。このスートをニオブトキシドと
イソプロパノール、N−エチルジエタノールアミンとを
混合した溶液中に浸漬して7時間攪拌した。このスート
をイソプロパノールとアセトンの混合溶液、アセトン、
アセトンの順で計3回洗浄した。その後、スートを酢酸
ランタンのアルコールと酢酸の混合溶液に24時間浸漬
した。ゲルをエタノールに24時間浸漬し、ランタン塩
をゲルの細孔中に固定した。その後、このスートを硝酸
ナトリウムとメタノールと水の混合溶液に4時間浸漬
し、その後、アセトンに24時間浸漬した。ゲルを乾
燥、焼成することによりニオブ成分に凹状の金属濃度分
布を、ランタン成分に凸状の金属濃度分布を有した所望
の負分散分布を有する屈折率分布型光学素子とすること
ができた。
【0041】(比較例2)イソプロパノールとアセトン
の混合溶液やアセトン洗浄することなしに、発明の実施
の形態4と同様にしてスートを処理した。しかし、スー
トを乾燥して焼成工程の途中で白色に失透してしまっ
た。これは、Si−O−Nb結合を形成できなかったニ
オブ成分がクラスターを形成し、これが核化剤として働
いたためスート中に結晶が析出したためと考えられる。
【0042】(発明の実施の形態5)シリコン原料とし
てテトラメトキシシランSi(OC2 5 4 、チタン
原料としてチタンプロポキシドTi(O−nC3 7
4 、ジルコニウム原料としてジルコニウムブトキシドZ
r(O−nC4 9 4 を使用した。
【0043】25gのSi(OC2 5 4 にエタノー
ル35mlと2規定塩酸4.8mlを添加して1時間攪
拌し、12gのZr(O−nC4 9 4 とエタノール
10mlを加え、水15mlとを加えて室温で1時間攪
拌した。このゾルを直径12mmのポリプロピレン製容
器40本にキャスティングして、40℃の恒温槽で放置
しゲル化させた後、更に熟成した。得られたウェットゲ
ルを容器から取り出し、2N硫酸でジルコニア成分を溶
出させ、エタノールに浸漬した。
【0044】このゲルをふっ酸のアルコール溶液に4時
間浸漬した後、12gのTi(O−nC3 7 4 とエ
タノール35ml、酢酸16mlとを混合した溶液中に
浸漬して5時間攪拌した。このゲルをアルコールで洗浄
した後、乾燥、焼成することにより、ジルコニウム成分
に凸状の金属濃度分布を、チタン成分に凹状の金属濃度
分布を有した所望の超分散分布を有する屈折率分布型光
学素子を得ることができた。また、この屈折率分布型光
学素子は、アルカリやアルカリ土類金属を含まず、耐酸
性、耐アルカリ性などの化学耐久性に優れたガラスであ
った。
【0045】(発明の実施の形態6)シリコン原料とし
てテトラメトキシシランSi(OCH3 4 、タンタル
原料としてタンタルプロポキシドTa(OC
3 7 5 、ストロンチウム原料として酢酸ストロンチ
ウム半水和物Sr(OCOCH3 2 ・0.5H2 O、
ナトリウム原料として酢酸ナトリウムNaOCOCH3
を使用した。
【0046】20.9gのSi(OCH3 4 にエタノ
ール17mlと2規定塩酸4.8mlと水15mlとを
加えて室温で1時間攪拌して作製したゾルを直径18m
mのポリプロピレン製容器10本にキャスティングし
て、30℃の恒温槽で放置しゲル化させた後、更に熟成
した。得られたウェットゲルを容器から取り出し、ふっ
酸のアルコール溶液に6時間浸漬し、次にタリウムプロ
ポキシドのイソプロパノール溶液に浸漬してゲル中のタ
リウム成分に凹状の濃度分布を付与した。このゲルをエ
タノールで洗浄した後、1M−酢酸ストロンチウム水溶
液と17規定酢酸との混合溶液に24時間浸漬し、さら
にアルコールにゲルを浸漬してゲル中に酢酸ストロンチ
ウムの微結晶を固定した。次に、酢酸ナトリウム50g
とメタノール400mlとエタノール400mlとを混
合して溶解した溶液にゲル8時間浸漬し、ゲル中のスト
ロンチウム成分に凸分布を付与した。
【0047】このゲルをアセトンに24時間浸漬し、乾
燥、焼成することによりタリウム成分に凹状の金属濃度
分布、ストロンチウム成分に凸状の金属濃度分布を有す
る所望の低分散分布を有する屈折率分布型光学ガラスを
得ることができた。
【0048】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、多孔体か
らのガラスの製造、特にゾルゲル法により金属成分濃度
を径方向に凹形状に分布させた色収差補正能力に優れた
屈折率分布型光学素子を作製することができる。また、
本発明はTi,Nb,Ta,Zrなどの適当な金属塩は
存在しないが、適当な金属アルコキシドは存在するよう
な金属成分濃度を径方向に凹形状に分布させることがで
きる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコン成分を含む多孔体をふっ酸を含
    む溶液に浸漬した後、シリコン以外の第1の金属成分の
    金属アルコキシド又はその誘導体を含む溶液に浸漬し
    て、多孔体の外周から中心に向かって第1の金属成分の
    濃度が徐々に減少する濃度勾配を付与することを特徴と
    する屈折率分布型光学素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 シリコン成分を含む多孔体をふっ酸を含
    む溶液に浸漬した後、シリコン以外の第1の金属成分を
    含む金属アルコキシドまたはその誘導体を含む溶液に浸
    漬し、多孔体の外周から中心に向かって第1の金属成分
    の濃度が徐々に減少する濃度勾配を付与した後、この多
    孔体をシリコン以外の第2の金属成分の金属塩を含む溶
    液に浸漬した後に、この金属塩を溶出する溶液に多孔体
    を浸漬して第2の金属成分の濃度が多孔体の外周から中
    心に向かって徐々に増加する濃度勾配を付与することを
    特徴とする屈折率分布型光学素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記シリコン以外の第1の金属成分がは
    Ti,Nb,Ta,Zrから選ばれた少なくとも1種の
    金属を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の屈折
    率分布型光学素子の製造方法。
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