JPH10183496A - ポリシラン含浸紙およびその製造方法 - Google Patents

ポリシラン含浸紙およびその製造方法

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JPH10183496A
JPH10183496A JP6654597A JP6654597A JPH10183496A JP H10183496 A JPH10183496 A JP H10183496A JP 6654597 A JP6654597 A JP 6654597A JP 6654597 A JP6654597 A JP 6654597A JP H10183496 A JPH10183496 A JP H10183496A
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JP6654597A
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Atsuko Harasawa
敦子 原沢
Takehito Tomita
岳人 富田
Takashi Urata
高史 浦田
Junichi Kaminaga
純一 神永
Kentaro Yamawaki
健太郎 山脇
Ryukichi Matsuo
龍吉 松尾
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Toppan Inc
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Toppan Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】焼却適性やリサイクル化といった紙素材の優位
性を保持し、加温下でも靭性、クリープ性を有するポリ
シラン含浸紙及び製造方法の提供にある。 【解決手段】含浸するポリシラン化合物が、一般式(化
1)又は(化2)で示され、重合度をあらわすn数3以
上で、平均分子量が500 〜60000 の範囲であるポリシラ
ン含浸紙としたものである。またポリシラン化合物の含
浸深さが、紙厚の1/4 以上であるポリシラン含浸紙とし
たものである。さらにまた含浸用ポリシラン液を、pH4
以下の酸又はpH10以上のアルカリ液で加水分解してか
ら含浸することを特徴とするポリシラン含浸紙の製造方
法としたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、焼却適性やリサイ
クル性に優れた従来の紙の特長を有し、靭性、クリープ
性を著しく向上させた紙に関するものであり、特に60
℃程度の加温下でも低温時に有した紙の靭性、クリープ
性が低下しない紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、廃棄物の増加が大きな社会問題と
なり、延いては資源保護や省エネルギー・省資源問題と
ともに地球環境問題となっている中、廃棄物対策の一環
として、廃棄物の減量化及びリサイクル化が挙げられ
る。これを受けて、容器市場においてはリサイクル出来
る素材の利用、脱または省プラスチック製品の開発が盛
んに行われている。このような背景から、紙を原料とし
た容器は、焼却による廃棄物の減容化、またはリサイク
ル化が可能であり、この指向に極めて一致するものであ
る。
【0003】しかしながら、紙は本来セルロース繊維が
絡み合ったものであり、その強度はプラスチック容器に
比べて弱く、変形もしやすい。低温においては原紙自身
の靭性、クリープ性により変形しにくく、また、変形し
たとしても紙自身の靭性、クリープ性により塑性変形に
は至らないが、60℃程度の条件下となると、例えば容
器同士が重なり合って変形が起こった場合、応力緩和が
起こってもとの形に戻らないという欠点を有した。紙を
厚くすれば強度は増すが、加工適性は低下し、容器重も
かなり重くなり便利性に欠けた。
【0004】この対策として、紙にポリエチレン、ポリ
エチレンテレフタレート等のフィルムを厚くラミネート
する方法がある。この構成材料は原紙に比べて靭性、ク
リープ性が向上することも確認されるが、60℃に長時
間おいた場合の効果はなく、一度変形したものはもとの
形に戻らない。また、アクリル等の樹脂を紙に含浸させ
る方法では、セルロース繊維の隙間に樹脂を埋め込む要
領であり、効果を十分に発揮させるためには薬剤を大量
に含浸させる必要があった。これらはいずれも使用後の
廃棄物となった場合のリサイクル化を妨げ、焼却処理で
は高カロリーによる焼却炉の損傷や煙発生といった焼却
適性に欠け、素材としての紙の優位性を損なうものであ
る。いずれの方法も紙自身の強さをわずかに向上させる
にとどまるものであり、原紙物性のバラツキをしのいで
何れの紙にも効果を出すことはできなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前述のごとき
従来技術の問題点を解決するものであり、その目的とす
るところは、焼却適性やリサイクル化といった紙素材の
優位性を保持し、加温下でも靭性、クリープ性を有する
紙の提供にある。
【0006】すなわち、可燃性であり、焼却時に煙発生
や焼却炉の損傷がなく、また再生紙の原料として再利用
できるリサイクル性があり、高温時に荷重がかかっても
容器の変形が起こらず、薄くて軽く、かつ靭性、クリー
プ性のある紙およびその製造方法の提供にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明において、上記課
題を達成するために、まず請求項1の発明では、紙に樹
脂を含浸して成る含浸紙において、含浸するポリシラン
化合物が、一般式(化1)(式中、R1,R2,R3,R4,R5,R6
は同一または相異なって、水素原子、水酸基、C=1〜4
の低級アルキル基、C=1〜4の低級アルコキシ基、カル
ボキシル基、カルボニル基、ビニル基、フェニル基、ハ
ロゲン、エポキシシクロヘキシル基、グリシドオキシプ
ロピル基、アミノ基を示す。ただし、式中R1,R2,R3,R4,
R5,R6 の少なくとも2つは、炭素数が1〜4の低級アル
コキシ基をあらわす)で示されるポリシラン含浸紙とし
たものである。
【0008】また、請求項2の発明では、紙に樹脂を含
浸して成る含浸紙において、含浸するポリシラン化合物
が、一般式(化2)(式中、R7は炭素数1〜4の低級
アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、水酸
基、エーテル、ビニル基、フェニル基、カルボニル基、
カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、エポキシシク
ロヘキシル基、グリシドオキシプロピル基、ハロゲンを
有する化合物の誘導体が重合または共重合したユニッ
ト、もしくはそれらがSiを介して結合しているユニット
を表す。式中、R8、R9、R10は同一または相異な
って、水素原子、炭素数1〜4の低級アルキル基、カル
ボニル基、ビニル基、フェニル基、ハロゲン、エポキシ
シクロヘキシル基、グリシドオキシプロピル基、アミノ
基、およびそれらの誘導体を示す)で示されるポリシラ
ン含浸紙としたものである。
【0009】また、請求項3の発明では、前記ポリシラ
ン化合物の重合度をあらわすnが、3以上であるポリシ
ラン含浸紙としたものである。
【0010】また、請求項4の発明では、前記ポリシラ
ン化合物の平均分子量が500 から60000 の範囲であるポ
リシラン含浸紙としたものである。
【0011】さらに、請求項5の発明では、前記ポリシ
ラン化合物の含浸深さが、紙厚の1/4 以上であるポリシ
ラン含浸紙としたものである。
【0012】さらにまた、請求項6の発明では、前記ポ
リシラン化合物を含浸した紙の、「JIS P8125
荷重曲げ方法による板紙のこわさ試験方法」に従い測
定した20℃65%RHにおける曲げモーメントが、原
紙のそれに対して5%以上大きい値を示すポリシラン含
浸紙としたものである。
【0013】さらにまた、請求項7の発明では、前記ポ
リシラン含浸紙において、含浸用ポリシラン液を、酸ま
たはアルカリ液で加水分解してから含浸することを特徴
とするポリシラン含浸紙の製造方法としたものである。
【0014】さらにまた、請求項8の発明では、前記酸
またはアルカリ液が、pH4以下の酸またはpH10以上の
アルカリであるポリシラン含浸紙の製造方法としたもの
である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を説明す
る。本発明で、含浸薬剤として利用されるポリシラン化
合物を例示すれば、以下のごとくに示す材料をルイス酸
触媒により重合し、加水分解によってシロキサン結合の
ネットワークを形成させたポリシラン化合物であるが、
本発明にかかわる有機シラン原料としては、これらのみ
に限定されるものではない。また、これらの1ないし数
種を混合して含浸紙を製造しても、同様の効果が得られ
る。例としては、 1:2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメト
キシシラン 2:2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメト
キシシランとテトラエトキシシランの混合物 3:N-(2-アミノメチル)3- アミノプロピルメチルジ
メトキシシランと2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エ
チルトリメトキシシランの混合物 4:3- アミノプロピルトリエトキシシランと2-(3,4-
エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランの
混合物 5:3−グリシドオキシプロピルメチルジメトキシシラ
ンが挙げられる。
【0016】これらの重合、高分子化のために用いる触
媒としては、塩化スズ、フッ化ホウ素などのルイス酸触
媒が重合には効果的であり、またネットワーク形成によ
る高分子化には、例えば水溶液では塩酸水溶液、フマル
酸、マレイン酸、アスコルビン酸、クエン酸などのpH4
以下の有機酸水溶液等が挙げられる。トルエンスルホン
酸などのアルコール溶液も有効である。すなわちルイス
酸触媒により重合されたポリシラン液を必要に応じてpH
4以下の酸で加水分解してから含浸することにより、含
浸速度を速めるものである。またpH10以上のアルカリ
液でも同様の効果がある。
【0017】有機シラン重合物の分子量分布は500以
上60000程度くらいまでが望ましく、500より少
ないと、ネットワークの広がりが不十分であり、紙中で
ポリシランが点在するにとどまり高分子化したシランの
特性を発揮し得ない。かつ、有機シランとセルロースの
ネットワークも形成されず、セルロースの固定が効果的
に行われず、靭性、クリープ性の向上が期待できない。
一方、分子量が60000より大きいと、紙への含浸が
うまく進まず、紙表面の塗膜となってしまい、上記同様
その特性を発揮し得ない。なお有機シラン重合物の重合
度を示すn数3は、ほぼ分子量500相当することか
ら、n数が3以上であれば上記と同様の効果を示すもの
である。
【0018】また、紙への含浸量としては、紙の坪量の
1% 程度以上の固形分量が含浸されればよく、例えば、
坪量320g/m2 の原紙であれば、3.2g/m2
塗工量があればよい。含浸深さは紙厚の1/4 以上あれば
期待した効果が得られる。含浸固形分量が紙の坪量の1
%未満である場合、前項で述べたのと同様、有機シラン
のネットワークの広がりが不十分でありシラン自身およ
びシランとセルロースのネットワーク形成による特性を
発揮し得ない。含浸深さが1/4 未満である場合、有機シ
ランとセルロースのネットワークが、紙の厚さ(深さ)
方向について形成されないため、セルロースの固定が効
果的に行われず、靭性、クリープ性の向上が期待できな
い。
【0019】このとき、含浸基材である紙は、薬剤の浸
透がなされるものであれば、100%バージンパルプ使用紙
でも再生紙でもよいが、環境保護の面からは再生紙が好
ましい。
【0020】このようにして得られた本発明の含浸紙
は、紙の特長である焼却適性、リサイクル性を保持しつ
つ、かつ紙自身が原紙以上の靭性、クリープ性を有して
おり、この含浸紙の様々な用途展開を可能にする。例え
ば、紙コップの安定性を高めたり、紙の弱さに由来する
飲料容器の変形を防止するほか、段ボールのような強度
を必要とする箱の紙厚を薄くすること、および軽量化を
可能にし、省資源で便利性の向上をはかることが出来
る。含浸薬剤の使用量はわずかであり、また、紙中で強
固なネットワークを効果的に形成しているため、有害物
質、不純物の容器中への溶出もない。
【0021】このように、本含浸紙は、含浸される有機
ポリシラン重合物が、紙中でセルロースに保持され、あ
るいは水素結合等により紙中に固定されることにより、
紙に靭性、クリープ性が与えられるものである。これら
物性発現のメカニズムとしては、ポリシラン中のアルコ
キシ基が加水分解等によりシラノール結合を形成しガラ
スライクな状況となること、グリシジル基、エポキシ基
等が開環重合してプラスチックの靭性、クリープ性とコ
シを持つ状態になること、さらに、含浸薬剤中のシラノ
ール、水酸基、アミノ基等がセルロース中の水酸基と電
気的に引き合い、セルロースを固定することなどが推定
される。
【0022】
【実施例】本発明の実施例を詳細に説明する。本発明
の、紙への含浸ポリシラン薬剤は、一般式(化1)(式
中、R1,R2,R3,R4,R5,R6 は同一または相異なって、水素
原子、水酸基、C=1〜4の低級アルキル基、C=1〜4の
低級アルコキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、ビ
ニル基、フェニル基、ハロゲン、エポキシシクロヘキシ
ル基、グリシドオキシプロピル基、アミノ基を示す。た
だし、式中R1,R2,R3,R4,R5,R6 の少なくとも2つは、炭
素数が1〜4の低級アルコキシ基をあらわす)、もしく
は一般式(化2)(式中、R7は炭素数1〜4の低級ア
ルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、水酸基、
エーテル、ビニル基、フェニル基、カルボニル基、カル
ボキシル基、アミノ基、エポキシ基、エポキシシクロヘ
キシル基、グリシドオキシプロピル基、ハロゲンを有す
る化合物の誘導体が重合または共重合したユニット、も
しくはそれらがSiを介して結合しているユニットを表
す。式中、R8、R9、R10は同一または相異なっ
て、水素原子、炭素数1〜4の低級アルキル基、カルボ
ニル基、ビニル基、フェニル基、ハロゲン、エポキシシ
クロヘキシル基、グリシドオキシプロピル基、アミノ
基、およびそれらの誘導体を示す。)で示され、各官能
基、とくに水素原子、水酸基、炭素数1〜4の低級アル
コキシ基以外は、重合前の原料にほぼ由来する。その原
料としては、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル
トリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシ
ル)エチルトリメトキシシランとテトラエトキシシラン
の混合物、N-(2-アミノメチル)3- アミノプロピルメ
チルジメトキシシランと2-(3,4-エポキシシクロヘキシ
ル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられ、これら
をルイス酸触媒により重合させ、加水分解によりシロキ
サン結合によるネットワークを形成したものである。
【0023】<実施例1>2-(3,4-エポキシシクロヘキ
シル)エチルトリメトキシシラン(チッソ(株)製サイ
ラエースS530)123gとSnCl2 の0.003
mol/gメタノール溶液0.08gを混合し、平均分
子量50000のポリシラン化合物を得た。これをイソ
プロピルアルコール(IPA)492gで希釈し、トル
エンスルホン酸の50%IPA溶液を10g加えて含浸
液とした。
【0024】<実施例2>サイラエースS530を12
3gとSnCl2 の0.003mol/gメタノール溶
液0.08gを混合し、平均分子量50000のポリシ
ラン化合物を得た。これをイソプロピルアルコール(I
PA)100gで希釈し、トルエンスルホン酸の50%
IPA溶液を10g加えて含浸液とした。
【0025】<実施例3>サイラエースS530を12
3gとSnCl4 0.06gを混合し、平均分子量61
000のポリシラン化合物を得た。これをイソプロピル
アルコール(IPA)492gで希釈し、トルエンスル
ホン酸の50%IPA溶液を10g加えて含浸液とし
た。
【0026】<実施例4>重合処理を行わない、サイラ
エースS530(分子量246)にトルエンスルホン酸
の50%IPA溶液を10g加えて含浸液とした。
【0027】実施例1〜4で作製した含浸液を、マイヤ
ーバー#30で2種の紙に含浸した。被含浸紙はバージ
ンパルプを100%使用の、坪量320g/m2 、片面
クレーコートのカップ原紙、及び古紙再生クラフト紙
(坪量220g/m2 )とした。カップ原紙は非クレー
コート面より含浸処理した。古紙再生クラフト紙には表
裏はない。含浸後、150℃のオーブンで1分間加熱、
乾燥した。
【0028】各試作紙の評価に先立って、次の項目を明
らかにした。含浸薬剤の分子量分布は、GPC によりスチ
レン換算で求めた。含浸量は、含浸前の原紙と含浸処理
紙を120℃のオーブンで2時間加熱して紙を絶乾状態
にし、その時の両者の重量差を含浸量として、m2 あた
りのg数を求めた。含浸深さはEPMAの面分析により
シランの分布を求め、原紙との比較により含浸深さとし
た。含浸深さは簡易的には、含浸紙断面にpH指示薬を塗
布し、ポリシランの加水分解に用いた酸による変色から
も求めることが出来る。
【0029】<試験例1>「JIS P8125 荷重
曲げ方法による板紙のこわさ試験方法」に従い、実施例
1〜4で試作した含浸紙のこわさを20℃、65%RH
条件下で行った。試験例1の評価結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】<試験例2>JIS P8125「荷重曲
げ方法による板紙のこわさ試験方法」を参考にして、靭
性をより明らかにするために、60℃下で次のような評
価も行った。すなわち、評価する試験片を4×5cmに切
り取り、紙の一端および紙の中央を固定して、中央で紙
が折れる方向に、もう一方の端をゆっくりと曲げてい
く。このとき紙が折れ曲がるまで(紙に、元に戻る方向
への力が無くなったとき)にかかった力(gf)、その
時の曲げた角度(deg)を求めた。紙が靭性を有する
ほどgfは大きくなり、クリープ性があるほどdegは
大きくなる。求める紙は従来のクリープ性を保持したま
ま靭性の向上した紙であり、gfが向上し、degが原
紙程度以上であることが望ましい。本測定には、吉沢工
業株式会社製の「曲げこわさ測定器 BST−150
M」を用いた。表2に試験例2の評価結果を示す。
【0032】
【表2】
【0033】<試験例3>含浸紙で作製した容器に重り
を下げて、紙のヘコミ度合いを測定する評価も行った。
すなわち、ダンベル型の金具に実施例で試作した紙を巻
き、筒型の容器を想定したものを作製した。ダンベルの
重りに相当する部分、すなわち両端の円形部分の直径は
60mm、ダンベルの軸に相当する部分の長さは10c
mとし、この容器の胴部に2.5kg相当の重りを下
げ、60℃で2時間放置したときの容器胴部のヘコミを
測定した。なお、何れの評価も、紙の縦目方向を統一し
て行った。表3に、試験例3の評価結果を示す。
【0034】
【表3】
【0035】表1〜3に示した評価結果から、本発明の
含浸紙が紙の靭性、クリープ性を効果的に向上しうるも
のであり、その性質が60℃の高温下においても維持さ
れるものであることが判る。
【0036】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明のポリシラ
ン含浸紙に使用するポリシラン化合物の平均分子量50
0〜60000、重合度を示すn数3以上とすることに
よって、靱性、クリープ性が向上された含浸紙が得られ
る効果がある。
【0037】また、含浸深さが紙厚の1/4 以上とするこ
とによって、目的の靱性、クリープ性が向上された含浸
紙が得られる効果がある。
【0038】また、含浸用ポリシラン液を必要に応じて
pH4以下の酸またはpH10以上のアルカリで加水分解し
て含浸することによって、含浸速度を速める効果があ
る。
【0039】また本発明で得られたポリシラン含浸紙
は、紙単体と同様リサイクル性、焼却適性を保持した環
境保全効果を有するものである。
【0040】このように、これまで紙が代わり得なかっ
た分野、たとえば金属缶、プラスチック容器しか使用出
来なかった分野での紙容器の利用の可能性を広げるもの
であり、段ボール等の軽量化、プラスチック容器の代替
え、ホット飲料用の紙コップの安定性向上、紙の弱さに
由来する飲料容器の変形防止が可能であり、加温型自動
販売機用のスチール缶の紙容器への代替え等も可能にな
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神永 純一 東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版印 刷株式会社内 (72)発明者 山脇 健太郎 東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版印 刷株式会社内 (72)発明者 松尾 龍吉 東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版印 刷株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】紙に樹脂を含浸して成る含浸紙において、
    含浸するポリシラン化合物が、一般式 【化1】 (式中、R1,R2,R3,R4,R5,R6 は同一または相異なって、
    水素原子、水酸基、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭
    素数1〜4の低級アルコキシ基、カルボキシル基、カル
    ボニル基、ビニル基、フェニル基、ハロゲン、エポキシ
    シクロヘキシル基、グリシドオキシプロピル基、アミノ
    基を示す。ただし、式中R1,R2,R3,R4,R5,R6 の少なくと
    も2つは、炭素数が1〜4の低級アルコキシ基をあらわ
    す)で示されるポリシラン含浸紙。
  2. 【請求項2】紙に樹脂を含浸して成る含浸紙において、
    含浸するポリシラン化合物が、一般式 【化2】 (式中、R7は炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数
    1〜4の低級アルコキシ基、水酸基、エーテル、ビニル
    基、フェニル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミ
    ノ基、エポキシ基、エポキシシクロヘキシル基、グリシ
    ドオキシプロピル基、ハロゲンを有する化合物の誘導体
    が重合または共重合したユニット、もしくはそれらがSi
    を介して結合しているユニットを表す。式中、R8、R
    9、R10は同一または相異なって、水素原子、炭素数
    1〜4の低級アルキル基、カルボニル基、ビニル基、フ
    ェニル基、ハロゲン、エポキシシクロヘキシル基、グリ
    シドオキシプロピル基、アミノ基、およびそれらの誘導
    体を示す)で示されるポリシラン含浸紙。
  3. 【請求項3】前記ポリシラン化合物の重合度をあらわす
    nが、3以上である請求項1または2記載のポリシラン
    含浸紙。
  4. 【請求項4】前記ポリシラン化合物の平均分子量が500
    から60000 の範囲である請求項1乃至3の何れか1項に
    記載のポリシラン含浸紙。
  5. 【請求項5】前記ポリシラン化合物の含浸深さが、紙厚
    の1/4 以上である請求項1乃至4の何れか1項に記載の
    ポリシラン含浸紙。
  6. 【請求項6】前記ポリシラン化合物を含浸した紙の「J
    IS P8125 荷重曲げ方法による板紙のこわさ試
    験方法」に従い測定した20℃、65%RHにおける曲
    げモーメントが、原紙のそれに対して5%以上大きい値
    を示す請求項1乃至5の何れか1項に記載のポリシラン
    含浸紙。
  7. 【請求項7】前記請求項1乃至6の何れか1項に記載の
    ポリシラン含浸紙において、含浸用ポリシラン液を、酸
    またはアルカリ液で加水分解してから含浸することを特
    徴とするポリシラン含浸紙の製造方法。
  8. 【請求項8】前記酸またはアルカリ液が、pH4以下の酸
    またはpH10以上のアルカリである請求項7記載のポリ
    シラン含浸紙の製造方法。
JP6654597A 1996-10-30 1997-03-19 ポリシラン含浸紙およびその製造方法 Pending JPH10183496A (ja)

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JP6654597A Pending JPH10183496A (ja) 1996-10-30 1997-03-19 ポリシラン含浸紙およびその製造方法

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JP (1) JPH10183496A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007177366A (ja) * 2005-12-28 2007-07-12 Kao Corp 紙の製造方法
JP2016023270A (ja) * 2014-07-23 2016-02-08 凸版印刷株式会社 多孔質体、多孔質体形成用組成物および多孔質体の製造方法

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