JP2000080594A - ポリシランコーティング紙 - Google Patents

ポリシランコーティング紙

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JP2000080594A
JP2000080594A JP10248735A JP24873598A JP2000080594A JP 2000080594 A JP2000080594 A JP 2000080594A JP 10248735 A JP10248735 A JP 10248735A JP 24873598 A JP24873598 A JP 24873598A JP 2000080594 A JP2000080594 A JP 2000080594A
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polysilane
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coating
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JP10248735A
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Atsuko Harasawa
敦子 原澤
Ryukichi Matsuo
龍吉 松尾
Toshiaki Yoshihara
俊明 吉原
Junichi Kaminaga
純一 神永
Kentaro Yamawaki
健太郎 山脇
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Toppan Inc
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Toppan Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】焼却適性,リサイクル性、加工適性、靭性、ク
リープ性に優れ、湿潤時にも強度劣化の少ない紙を提供
することを目的とする。 【解決手段】紙に樹脂をコーティング成るコーティング
紙において、紙への処理液が、下記一般式で示される化
合物および本化合物がシロキサン結合によって縮合した
化合物を主として含むことを特徴とする。 (式中,R1 、R5 、R6 は同一または相異なって、炭
素数1〜3の低級アルキル基を、x、y、zは0〜3の
整数を示す。R2 、R3 、R4 は鎖状または環状のC、
HもしくはC、O、Hよりなる。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は焼却適性、リサイク
ル性、加工、印刷適性に優れた従来の紙の特徴を有し、
靱性、クリープ性、耐水性、撥水性を、外環境温度に左
右されずに向上させた紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年,廃棄物の増加が大きな社会問題と
なっており、資源保護や省エネルギーの観点からも廃棄
物の減量化とリサイクル化が叫ばれている。これを受け
て、容器市場においてはリサイクルできる素材の利用、
脱または省プラスチック製品の開発が盛んに行なわれて
いる。紙を原料とした容器は、リサイクル可能であり、
環境保護に合致した素材を使った容器と言える。
【0003】しかしながら,紙はセルロース繊維の絡み
合いにより形成されており、その強度はプラスチックや
金属容器に比べて弱く、変形もし易い。水の浸入を容易
に受ける。変形に関しては、低温下よりも高温下での方
が起こり易く、特に高温下では塑性変形となり、変形が
元に戻らない。防止策として紙を厚くすれば、強度は増
すが、加工適性、成形性は低下し、容器が重くなり、ま
た、製造原価も高くなるという欠点を有する。
【0004】シラン化合物の紙への含浸処理を含むコー
ティング処理によって、紙の物性向上は従来から試みら
れている。古くは特開昭64−6198号において、寸
法安定性、耐水、強度向上等が述べられており、特開平
10−183496号では、特に60℃下の紙の塑性変
形防止策としてポリシランを含浸することが提案されて
いる。
【0005】しかしながら、前者の発明では、アルコキ
シシランの加水分解によるシロキサン結合で紙の強度を
向上させようというものであり、この結合によりできる
シロキサンポリマーは堅くて強度がある反面、大変脆
く、連続性に欠けるため、例えば、紙を筒状に加工した
り、罫線を入れて折り曲げる際の、紙のひび割れの原因
となってしまうものであった。
【0006】後者の発明の請求項1に記載されている化
合物では、シロキサン結合の脆さを補うと考えられるい
くつかの官能基が含まれているが、メインとなる鎖の部
分がシロキサン結合であることから、脆さが改善される
ことは期待できず、有効な策とは言えない。
【0007】また、請求項2に記載されている化合物
は、シロキサン結合のみによらないため、靭性、クリー
プ製に優れ、60℃下での塑性変形を防止し得る策と言
えるものの、重合鎖より分岐しているSiに結合した分
子が大きいものもあり、このような場合、シロキサンネ
ットワークが容易に進むとは考えにくい。
【0008】このポリシラン化合物を用いた含浸紙で
は、含浸した樹脂の強さ、粘りは樹脂部分の重合の結果
のみに頼るものとなり、シロキサン結合を含めた三次元
的な繋がりが弱く、改善の必要があると考えられる。
【0009】次に、水の浸入による紙の劣化について考
える。紙の繊維間への水の浸入を防ぐ手だてとして、容
易なところでは樹脂による紙表面の細孔の埋め込みやフ
ィルムラミネートによる方法が挙げられる。しかしなが
ら、樹脂による埋め込みを充分に行なうためには樹脂の
粘性がある程度高く、紙表面に樹脂がとどまる必要があ
る一方、粘度が高ければ紙の表面にしか樹脂がとどまら
ず、紙の内部の耐水性を強化するコーティングはできな
い。フィルムラミネートでは含浸、コーティングに比べ
て加工が面倒であり、また、前者以上に紙内層の強化は
期待できない。いずれの手法も紙の後のリサイクルを妨
げる要素になり得るものである。
【0010】紙耐水化の手法としても、シランカップリ
ング剤を含浸もしくはコーティングする技術がいくつか
提案されている。シランカップリング剤は、紙がリサイ
クルされる際の脱墨工程で分解されるため、リサイクル
の妨げともならず、期待される材料である。いくつか例
を挙げると、先に述べた特開昭64−6198号のほ
か、特開平5−345877号、特公平2−29800
号、特開平9−169846号などがそれに該当する。
これらの多くはテトラメトキシ、もしくはテトラエトキ
シシランまたはそれを高分子化したシラン化合物を単一
で、あるいは他の官能基を有するシランカップリング剤
と混合して使用したものである。
【0011】前項で述べたように、シロキサン結合主体
のネットワーキングでは、紙中でのネットワークのもろ
さが課題となるほか、混合したシランカップリング剤の
加水分解され易さが異なれば、ネットワーキングの際に
ゲルを生じる可能性があり、慎重な扱いが求められる。
多くは加水分解に水を使用しているため、含浸の際の乾
燥工程において、少なくとも水を蒸発させるに足る熱量
が必要であり、さらにはシロキサンネットワーキング形
成のための多大な熱量も必要とする。この際に紙が過度
に乾燥し、後に吸水することによって皺や歪みが発生
し、後加工に影響を及ぼす可能性が大きかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,上記課題を
解決するべくなされたもので、これまでに出願されたポ
リシランにより紙の物性向上を図ろうとするよりも効果
的かつ簡便に、安定して良好な物性が得られるポリシラ
ンコーティング紙を提案することを目的とする。すなわ
ち、焼却適性、リサイクル性を有し、60℃環境下でも
塑性変形を起こすことなく、シランカップリング剤含浸
紙の特徴とも言えるもろさがないため加工適性に優れ、
靭性とクリープ性を60℃条件下でも有し、湿潤時にも
強度劣化の少ない紙の提供を行なうものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題の解決
のために考えられたものであり、請求項1の発明は、紙
に樹脂を含浸して成る含浸紙において、紙へ処理するポ
リシラン液が、下記一般式で示される化合物、および本
化合物がシロキサン結合によって縮合した化合物を主と
して含むポリシランコーティング紙である。 (式中,R1 ,R5 ,R6 は同一または相異なって,炭
素数1〜3の低級アルキル基を、x、y、zは0〜3の
整数を示す。R2 ,R3 ,R4 は鎖状または環状のC,
HもしくはC,O,Hより成る) 請求項2の発明は、前記ポリシラン化合物が、構造中に
エポキシ基を有する化合物のエポキシ開環重合によりポ
リマー化したものより成り、このポリマーをコーティン
グして成ることを特徴とする請求項1記載のポリシラン
コーティング紙である。請求項3の発明は、前記ポリシ
ラン化合物が、さらに酸またはアルカリを触媒として加
水分解された後にコーティングされ、紙中でシロキサン
結合によるネットワークを部分的に構成していることを
特徴とする請求項1又は請求項2記載のポリシランコー
ティング紙である。請求項4の発明は、前記ポリシラン
化合物の分子量が5000以上60000以下である請
求項1乃至請求項3の何れかに記載のポリシランコーテ
ィング紙である。請求項5の発明は、前記ポリシランの
紙への固形分のコーティング量が、紙の坪量に対して3
%未満である請求項1乃至請求項4の何れかに記載のポ
リシランコーティング紙である。請求項6の発明は、前
記ポリシラン化合物をコーティングした紙の「JISP
8125 荷重曲げ方法による板紙のこわさ試験方法」
に従って測定した20℃、65%RHにおける曲げモー
メントが、原紙のそれに対して7%以上大きいことを特
徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載のポリシ
ランコーティング紙である。請求項7の発明は、前記ポ
リシラン化合物をコーティングした紙の「JISP81
13 紙および板紙の湿潤引張り強さ試験方法」に従っ
て測定した紙の湿潤引っ張り強度が、乾燥未コーティン
グの紙のそれの20%以上であることを特徴とする請求
項1乃至請求項5の何れかに記載のポリシランコーティ
ング紙である。請求項8の発明は、前記ポリシラン化合
物をコーティングした際の、「JISP8137 紙お
よび板紙の撥水度試験方法」に従って測定した処理面の
撥水度がR9以上であることを特徴とする請求項1乃至
求請求項5の何れかに記載のポリシランコーティング紙
である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下,本発明の実施の形態を説明
する。本発明においてコーティング剤として用いられる
ポリシラン化合物を例示すれば、以下のごとくに示す材
料を触媒により重合し、紙への処理時に加水分解によっ
てシロキサン結合のネットワークを形成させたポリシラ
ン化合物であり、その構造中に、重合してエーテル結合
を生成する官能基を有することを特徴とする。エポキシ
基の開環は1 H−NMRにより確認できる。触媒反応中
には一部のアルコキシ基の加水分解が起きていることが
予想され、重合と同時に一部のアルコキシがシラノール
に変化する。
【0015】そのため一部シラノール間の縮合も進行し
ていると考えられるが、本ポリシラン化合物は優れた流
動性を有し、かつ樹脂粘性が長期にわたって安定である
ことから、エポキシ開環反応が優先して進行しているも
のと判断している。原料例としては、2−(3,4エポ
キシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−
グリシドオキシプロピルエチルトリメトキシシラン等が
挙げられる。これらのみに限定されるものではないが、
取り扱い、重合の容易さから、これらが推奨される。
【0016】重合に用いられる触媒としては、一般のエ
ポキシ樹脂に用いられるアミン系の触媒型硬化剤、ポリ
アミン等の付加重合型の硬化剤等を用いることができる
が,重合体の安定性、残留硬化剤の弊害の軽減の点か
ら、塩化スズ、オキシ塩化スズ、スズアルコキシドの使
用を推奨する。そのほかには同じくルイス酸触媒として
ハロゲン化金属が列挙される。
【0017】上記の手法により高分子化したポリシラン
の分子量は、5000以上60000以下であることが
望ましい。本発明では,紙中でポリシラン化合物が3次
元ネットワークを形成することを特徴としており、分子
量5000未満では、エーテル結合の形成が不充分で、
紙中ではシロキサン結合を主体としたつながりが形成さ
れる可能性が大きくなる。このような状態では、本発明
のコーティング紙の目標とする加工適性、靭性、クリー
プ性が充分に発現できない。一方,分子量が60000
を越えると、粘度が増大して紙への処理がしづらくな
り,立体障害の関係からも、シロキサン結合の形成が効
果的に行なわれなくなると推定される。
【0018】紙へのコーティング処理の手法は、薬剤が
紙にコーティングされ、紙内部に浸透されるものであれ
ば限定されるものではない。一般的なコーティング手法
を列挙すれば、ブレードコーター、ロッドコーター、ス
クイズコーター、含浸コーター、リバースロールコータ
ー、キャストコーター、スプレーコーター、カレンダコ
ーターなどが挙げられる。表面撥水性を重視するような
場合は、表面均一性を高める手法を合わせて取ると良
い。分子量50000程度のものを表面処理すると、ガ
ラスライクな光沢のある膜が表面に形成され、高い撥水
性の紙表面が得られる。なお、分子量についてはGPC
分析により評価した。
【0019】エーテル結合を生成した後、紙中でシロキ
サン結合を生成させる触媒としては、例えば、水溶液で
は塩酸、硫酸、フマル酸、マレイン酸、アスコルビン
酸、クエン酸等の無機もしくは有機酸水溶液が挙げられ
るが、トルエンスルホン酸等の有機酸アルコール溶液も
有効である。pH10以上のアルカリ溶液でも同様の効
果が期待できる。アミン系のシランカップリング剤をこ
のときに混合することもできる。さらに、本発明では、
エーテル結合の生成を行う際に、シランカップリング剤
のアルコキシ基の加水分解も行なわれると推定され,紙
への処理時に効果的にネットワーキングが行なわれるも
のと考えられる。
【0020】ポリシラン化合物はアルコール他広範囲の
有機溶剤に可溶であり、効果的な含浸のために、ポリシ
ランを適当な固形分濃度となるように希釈して紙に含浸
させる方法をとる。有機溶剤を使用するコーティングに
よって紙への浸透深さが深くなり、浸透速度も速くな
る。
【0021】紙の内部に渡る耐水化、強化のためには薬
剤の浸透は紙内部まで及んだ方が効果的であり、本発明
のポリシランの場合、ポリシランを固形分20%程度の
イソプロピルアルコール溶液とすれば、アルコールの浸
透力で紙の内部までの高機能化が行なえる。このとき、
コーティング量は、紙坪量の1%程度あれば柔軟性、靭
性、クリープ性の発現と、湿潤強度の向上を発現でき
る。極端に少ない場合、例えば、0.3%未満では紙中
の分散にムラのできる場合がある。3%以上のコーティ
ングを行なっても、物性の著しい向上はなく、コーティ
ング量を増やしつづけることには意味がない。
【0022】被コーティング基材である紙は、薬剤のコ
ーティングがなされるものであれば100%バージンパ
ルプ使用紙でも、再生紙でも構わないが、環境保護の観
点からは、再生紙が推奨される。
【0023】このようにして得られた本発明のコーティ
ング紙は、紙の特徴である焼却特性、リサイクル性を保
持し、原紙同様の加工適性、成形性に優れ、紙自身が原
紙以上の靭性、クリープ性を有しており、寸法安定性、
湿潤強度にも優れ、紙容器の新しい利用分野を広げるも
のである。プラスチック容器分野のみならず、スチール
缶等の金属容器分野への利用展開も可能である。コーテ
ィングされた薬剤は高分子化されているため、容器内容
物への溶出もなく安全である。靭性、クリープ性に優れ
るため、成形の際に、プラスチック類のように高価な金
型を必要としない。湿潤強度が高く、撥水性に優れ、一
斗缶の代換え、金属缶の代換えにも使用できる。このと
き、金属探知器による製品管理が行なえるようになり、
安全性、作業効率向上が期待できる。
【0024】物性発現のメカニズムとしては、ポリシラ
ンが紙中のセルロース繊維に絡みつき、ポリシラン中の
エーテル結合等、シロキサン結合によらない部分によっ
て可撓性,柔軟性が紙に付与され、シロキサン結合によ
るネットワークによって、よりポリシランとセルロース
の絡み合い、結びつきが強固になり、双方がバランスよ
く存在することで加工適性、湿潤強度が効率よく発現で
きるものと推定される。
【0025】
【実施例】一般式 (式中,R1 ,R5 ,R6 は同一または相異なって,炭
素数1〜3の低級アルキル基を、x、y、zは0〜3の
整数を示す。R2 、R3 、R4 は鎖状または環状のC,
HもしくはC,O,Hより成る)で示される化合物、お
よび本化合物がシロキサン結合によって縮合した化合物
を主として含むポリシランコーティング紙である本発明
の実施例を詳細に説明する。
【0026】本発明のポリシラン薬剤は、上記一般式で
示される化合物、および本化合物がシロキサン結合によ
って縮合した化合物を主として含むものであり、式中の
エーテル結合は原料のエポキシの開環重合もしくは原料
そのものに由来する。原料としては、2−(3,4エポ
キシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン,γ−
グリシドオキシプロピルエチルトリメトキシシランが挙
げられ、これを有機金属触媒を用いてエポキシの開環重
合、一部のアルコキシ基の加水分解を行ったポリシラン
化合物を紙への処理薬剤とする。
【0027】<実施例1>2−(3,4エポキシシクロ
ヘキシル)エチルトリメトキシシラン(チッソ(株)製
サイラーエースS530)123gと、SnCl2
0.003mol/g、メタノール溶液0.08gを混
合し、平均分子量50000のポリシラン化合物を得
た。ここにイソプロピルアルコール490gおよび28
7gを加えて、固形分濃度20%および40%のポリシ
ラン液をそれぞれ作製した。
【0028】<実施例2>2−(3,4エポキシシクロ
ヘキシル)エチルトリメトキシシラン(チッソ(株)製
サイラーエースS530)123gにIPA184.5
gを添加して、S530の40%IPA溶液を作製し
た。ここにSnCl2 の0.003mol/g溶液0.
08gを混合して、攪拌し、穏やかな高分子化反応を起
こさせて、平均分子量3000のポリシラン化合物の40%IP
A 溶液を得た。このうち一部をとって2倍にIPA希釈
し、固形分20%のポリシラン液も作製した。この両者を
処理液として使用した。
【0029】<実施例3>サイラーエースS530を1
23gとIPAを184.5gとを混合し、固形分40
%の未樹脂化品の処理液を作製した。このうち一部をと
って2倍にIPA希釈し、固形分20%の液も作製し
た。この両者を未樹脂化シランカップリング剤液として
比較に使用した。
【0030】<実施例4>実施例1〜3で作製した処理
液を用い、コーティング紙の作製を行った。コーティン
グの前に、各処理液にそれぞれ固形分の1/20となる
ようにp−トルエンスルホン酸を加えて混合した。この
時、処理液の液性は弱酸〜酸性の範囲であった。
【0031】被処理紙は、バージンパルプ100%使用
の、坪量320g/m2 、片面クレーコートのカップ原
紙、および古紙よりなるダンボールライナー紙(坪量1
90g/m2 )とし、カップ原紙は非クレー面より、ラ
イナー紙はクレー面よりの処理とした。
【0032】コーティングにはワイヤーバーを用い、処
理後、紙表面が150℃となるまで乾燥した。乾燥時間
は150℃オーブン中で約1分であった。
【0033】各試作紙の評価に先立って、次の項目を明
らかにした。ポリシラン分子量はGPC によりスチレン換
算で求めた。エポキシの開環は1 H−NMRで確認し
た。ポリシランコーティング量は、コーティング前の原
紙と処理紙を105℃のオーブンで2時間加熱して紙を
絶乾状態とした後、デシケーター中で放冷し、両者の重
量差を単位面積当たりに換算して求めた。薬剤の染み込
み深さはEPMAの面分析よりシランの分布を求め、原
紙との比較により求めた。染み込み深さは簡易的には、
含浸紙断面にpH指示薬を塗布し、ポリシランの加水分解
に用いた酸による指示薬の変色により求めることもでき
る。
【0034】<試験例1>「JIS P8126 荷重
曲げ方法による板紙のこわさ試験方法」に従い、実施例
4で試作したポリシラン処理紙、非樹脂化シランカップ
リング剤処理紙、および未処理紙(ブランク紙)のこわ
さを、20℃65%RH条件下で行なった。
【0035】<試験例2>「JIS P8126 荷重
曲げ方法による板紙のこわさ試験方法」を参考にして、
靭性をより明らかにするために、60℃加温下で次のよ
うな評価を行った。すなわち、評価する試験片を4×5
cmに切り取り、紙の一端および紙の中央を固定して、
中央で紙が折れる方向に、もう一方の端をゆっくりと曲
げていく。この時紙が折れるまでにまがった角度(de
g)、かかった力(gf)を求めた。紙がクリープ性を
有するほどdeg は大きくなり、靭性を有するほどgfは
大きくなる。求める紙は、従来のクリープ性を保持した
まま、靭性の向上した紙であり、gfが向上し、deg
が原紙程度以上であるコーティングが望ましい。本測定
には、吉沢工業株式会社製の「曲げこわさ測定器 BS
T−150Mを用いた。
【0036】<試験例3>「JIS P8135 紙お
よび板紙の湿潤引張り強さ試験方法」に従い、実施例5
で試作した ポリシラン処理紙、非樹脂化シランカップ
リング剤処理紙、および未処理紙(ブランク紙)の湿潤
引張り強さを測定した。未処理原紙について、予め「JI
S P8113 紙および板紙の引張り強さ試験方法」に
従って、未処理紙の乾燥時の引張強度(Sd)を求めて
おき、湿潤時の強度(Sw)が乾燥時のそれの何%に当
たるかを、WET/DRY%として求めた。すなわち、
WET/DRY%=Sw/Sd×100である。この数
値が高いものほど、湿潤時にも乾燥時の強度を保持して
いる割合の高いことを示す。
【0037】<試験例4>「JIS P8137 紙お
よび板紙の撥水度試験方法」に従い、実施例4で試作し
た ポリシラン処理紙、非樹脂化シランカップリング剤
処理紙および未処理紙(ブランク紙)の撥水性を評価し
た。
【0038】以上、試験例1〜4の結果を、表1にまと
めて載せた。各実施例ごとに、固形分濃度の異なる二種
のポリシラン液を調整したので、それぞれについての結
果をまとめて載せた。各実施例ごとに、上段は低濃度希
釈の場合、下段は高濃度希釈の場合についての結果を記
載している。
【0039】
【表1】
【0040】表1に示した評価結果より、本発明のポリ
シランコーティング紙が60℃の温度下でも靭性、クリ
ープ性に優れ、靭性、クリープ性を有し、撥水性が高
く、湿潤時にも強度のある紙であることが分かる。
【0041】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明では、シラ
ンカップリング剤を樹脂化してポリシランとすることに
より、また、シロキサン結合とエーテル結合をバランス
良く配した薬剤を紙に処理することによって、靭性、ク
リープ性、撥水性、湿潤強度を具備した高機能紙が得ら
れることがわかる。
【0042】また、コーティングに用いるポリシラン液
を必要に応じて酸またはアルカリと加水分解して処理す
ることによって、より効果的なシロキサンネットワーク
が紙層中で形成されることが分かる。
【0043】また、本発明で得られたポリシランコーテ
ィング紙は、紙単体と同様リサイクル性、焼却適性を保
持した環境保全効果を有するものである。
【0044】このように、本発明のポリシランコーティ
ング紙は、これまで紙が代わり得なかった分野、たとえ
ば金属間、プラスチック容器しか使用出来なかった分野
での紙容器の利用の可能性を広げるものであり、段ボー
ルの軽量化、プラスチック容器の代替え、紙の弱さに由
来する飲料容器の変形防止が可能である。内容物検査に
金属探知器を導入することも出来、製造コストの削減、
効率化を図ることも出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神永 純一 東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版印 刷株式会社内 (72)発明者 山脇 健太郎 東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版印 刷株式会社内 Fターム(参考) 3E060 BC01 BC04 BC08 4L055 AG86 AG87 AH17 AJ02 BE08 EA07 EA14 EA19 EA20 EA22 EA30 FA13 FA19 FA22 FA30 GA05 GA06 GA47

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】紙に樹脂をコーティングして成るコーティ
    ング紙において、紙へ処理するポリシラン液が、下記一
    般式で示される化合物および本化合物がシロキサン結合
    によって縮合した化合物を主として含むポリシランコー
    ティング紙。 (式中,R1 ,R5 ,R6 は同一または相異なって,炭
    素数1〜3の低級アルキル基を、x、y、zは0〜3の
    整数を示す。R2 、R3 、R4 は鎖状または環状のC,
    HもしくはC,O,Hより成る)
  2. 【請求項2】前記ポリシラン化合物が,構造中にエポキ
    シ基を有する化合物のエポキシ開環重合によりポリマー
    化したものより成り、このポリマーをコーティングして
    成ることを特徴とする請求項1記載のポリシランコーテ
    ィング紙。
  3. 【請求項3】前記ポリシラン化合物が、さらに酸または
    アルカリを触媒として加水分解された後にコーティング
    され、紙中でシロキサン結合によるネットワークを部分
    的に構成していることを特徴とする請求項1記載のポリ
    シランコーティング紙。
  4. 【請求項4】前記ポリシラン化合物の分子量が5000
    以上60000以下である請求項1又は請求項2記載の
    ポリシランコーティング紙。
  5. 【請求項5】前記ポリシランの紙への固形分のコーティ
    ング量が、紙の坪量に対して3%未満である請求項1乃
    至請求項4の何れかに記載のポリシランコーティング
    紙。
  6. 【請求項6】前記ポリシラン化合物をコーティングした
    紙の「JIS P8125 荷重曲げ方法による板紙の
    こわさ試験方法」に従って測定した20℃、65%RH
    における曲げモーメントが、原紙のそれに対して7%以
    上大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れ
    かに記載のポリシランコーティング紙。
  7. 【請求項7】前記ポリシラン化合物をコーティングした
    紙の「JIS P8113 紙および板紙の湿潤引張り
    強さ試験方法」に従って測定した紙の湿潤引っ張り強度
    が、乾燥未コーティングの紙のそれの20%以上である
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載
    のポリシランコーティング紙。
  8. 【請求項8】前記ポリシラン化合物をコーティングした
    際の、「JIS P8137 紙および板紙の撥水度試
    験方法」に従って測定した処理面の撥水度がR9以上で
    あることを特徴とする請求項1乃至求請求項5の何れか
    に記載のポリシランコーティング紙。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009535874A (ja) * 2006-04-28 2009-10-01 アエスカ エス.ア. Rfidデバイスの支持体及びその製造方法
JP2010168709A (ja) * 2009-01-26 2010-08-05 Daiken Corp 耐摩擦性に優れた畳表の製造方法
CN111890728A (zh) * 2020-08-03 2020-11-06 瑞安市华亨印刷包装有限公司 一种含有内结构的四边形包装盒的一体成型制作工艺

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