JPH10182764A - プロピレン−エチレンブロック共重合体 - Google Patents

プロピレン−エチレンブロック共重合体

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JPH10182764A
JPH10182764A JP8343940A JP34394096A JPH10182764A JP H10182764 A JPH10182764 A JP H10182764A JP 8343940 A JP8343940 A JP 8343940A JP 34394096 A JP34394096 A JP 34394096A JP H10182764 A JPH10182764 A JP H10182764A
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純一 藤井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】剛性、耐熱性、耐衝撃性に優れたプロピレン−
エチレンブロック共重合体を得る。 【解決手段】プロピレン−エチレンブロック共重合体中
のポリプロピレン成分が0.97以上の高いアイソタク
チックペンタッド分率を有し、且つブロック共重合体中
に含有されるケイ素原子濃度と塩素原子濃度がそれぞれ
10ppm以下、特にケイ素原子濃度に関しては5pp
m以下であるプロピレン−エチレンブロック共重合体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なプロピレン
−エチレンブロック共重合体に関する。詳しくは、ブロ
ック共重合体中のポリプロピレン成分の高い結晶性に基
づく高い剛性、耐熱性を有し、且つ耐衝撃性に優れるプ
ロピレン−エチレンブロック共重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレンは自動車部品、家電部品
等の構造材料をはじめ、シート、フィルム等の包装材料
として広く用いられている。近年、特に構造材料の分野
に於いては高い剛性、耐熱性、耐衝撃性が要求されるよ
うになり、この要求を満足するポリプロピレンのニーズ
が高まっている。
【0003】ポリプロピレンの剛性、耐熱性、及び耐衝
撃性等を改良する方法としては、ポリプロピレン成分に
加えプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合成分を
多段重合により製造したプロピレンブロック共重合体を
用いる方法が知られており、従来多くの提案がなされて
いる。例えば、特公昭36−15284公報、特公昭3
8−14834公報、特開昭53−35788公報、特
開昭53−35789公報、特開昭56−35789公
報等が挙げられる。これによりポリプロピレンの耐衝撃
性はある程度改善されるものの、反面、剛性および耐熱
性の低下が著しく、剛性、耐熱性、及び耐衝撃性を同時
に満足するには達していなかった。
【0004】一方、高い剛性と高い衝撃性を兼ね備えた
プロピレンブロック共重合体についても種々の提案がな
されている。例えば、特開昭61−252218号公報
には、固体チタン化合物、有機アルミニウム化合物、有
機ケイ素化合物からなる触媒成分を用いることにより、
重合の第一工程に於いてプロピレンの単独重合を施し、
次いで第二工程に於いてプロピレンとエチレンの共重合
を行って得られたブロック共重合体が優れた剛性と耐熱
性及び耐衝撃性を示すことが開示されている。
【0005】更に、特開平4−202506号公報には
特定のモノマーを用いて予備重合された固体チタン化合
物と有機アルミニウム化合物及び特定の有機ケイ素化合
物からなる触媒の存在下に、重合の第一工程に於いてプ
ロピレンの単独重合を施し、次いで第二工程に於いてプ
ロピレンとエチレンの共重合を行うことで、上記の課題
を解決できることが示されている。
【0006】このように従来技術に開示された高剛性、
高衝撃強度のプロピレンブロック共重合体の製造方法に
あっては、固体チタン化合物、有機アルミニウム化合
物、更に電子供与体化合物として有機ケイ素化合物を用
いた高立体規則性の触媒系が広く用いられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、プロピ
レンブロック共重合体の剛性を十分に高めるためには電
子供与体化合物である有機ケイ素化合物が比較的多量に
用いられ、このために重合活性が低下するばかりか、重
合体中に該有機ケイ素化合物が多量に残存していた。
【0008】かかる重合体中に残存した有機ケイ素化合
物の影響について、特開平8−151407号公報に
は、残存した有機ケイ素化合物が、シロキサン化合物な
どを生成することで製品の物性、特に剛性の面で悪影響
を及ぼし、重合体が本来有する剛性に比べ約10%程度
低下することが示されている。そして、上記方法におい
ては、上記有機ケイ素化合物の影響を防止するために、
電子供与体化合物として有機ケイ素化合物に代えて特定
の含酸素炭化水素化合物を用いることが示されている。
【0009】かかる手段により有機ケイ素化合物の残存
によるポリプロピレンの剛性の低下は解決されている
が、得られる重合体の立体規則性をある程度犠牲にする
ものであり、ポリプロピレンの立体規則性に関して未だ
改良の余地があった。
【0010】従って、本発明の目的は、ポリプロピレン
成分の高い立体規則性と該立体規則性に見合う高い剛性
と耐衝撃性を併せ有し、且つ耐衝撃性のバランスに優れ
るプロピレン−エチレンブロック共重合体を提供するこ
とにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
課題を解決すべくプロピレン−エチレンブロック共重合
体について鋭意検討を行った。その結果、電子供与体と
して有機ケイ素化合物を使用した触媒系によって得られ
るプロピレン−エチレンブロック共重合体において、有
機ケイ素化合物が多少残存する状態でも、該有機ケイ素
化合物の量を特定量以下に減少させ、且つ該有機ケイ素
化合物と共存する塩素濃度を特定量以下に低減させるこ
とにより、有機ケイ素化合物が、シロキサン化合物など
を生成することによって製品の物性、特に剛性の低下を
引き起こす現象を極めて効果的に防止し得ることを見い
出し、本発明を完成するに至った。
【0012】即ち、本発明は、アイソタクチックペンタ
ッド分率が0.97以上であるポリプロピレン成分70
〜95重量%、及びエチレン含量が20〜80モル(mo
l)%であるプロピレンとエチレンの共重合成分30〜5
重量%からなるプロピレン−エチレンブロック共重合体
であって、該プロピレン−エチレンブロック共重合体中
に含有されるケイ素原子濃度と塩素原子濃度がそれぞれ
10ppm以下であることを特徴とするプロピレン−エ
チレンブロック共重合体である。
【0013】本発明のプロピレン−エチレンブロック共
重合体は、ポリプロピレン成分とプロピレンとエチレン
の共重合体成分より構成される。
【0014】本発明のプロピレン−エチレンブロック共
重合体中のポリプロピレン成分とは、プロピレンの単独
重合体及びプロピレンとプロピレン以外のα−オレフィ
ンが5mol%未満の共重合体を総称するものである。
上記プロピレン以外のα−オレフィンとしては、エチレ
ン、1−ブテン、3−メチルブテン−1、1−ヘキセ
ン、4−メチルペンテン−1、1−オクテン、ビニルシ
クロヘキセン等が挙げられる。
【0015】本発明のプロピレン−エチレンブロック共
重合体中のポリプロピレン成分の立体規則性は、13C−
NMRによって求められたアイソタクチックペンタッド
分率の測定に於いて、0.97以上であり、好ましく
は、0.98以上である。また、室温p−キシレン可溶
分量の測定に於いては、その可溶分量が1.0重量%以
下、好ましくは、0.5重量%以下である。ポリプロピ
レン成分のアイソタクチックペンタッド分率が0.97
未満の場合は得られるプロピレン−エチレンブロック共
重合体の物性、特に剛性、耐熱性が不十分となる。
【0016】本発明のプロピレン−エチレンブロック共
重合体中の共重合成分とはエチレン含量が20〜80m
ol%であるプロピレンとエチレンとの共重合体であ
る。共重合体成分のエチレン含量が20mol%未満及
び80mol%を越える場合は、得られるプロピレン−
エチレン共重合体の物性、特に耐衝撃性が不十分とな
る。本発明の共重合体成分中の好ましいエチレン含量は
25〜75mol%である。
【0017】本発明のプロピレン−エチレンブロック共
重合体の上記ポリプロピレン成分と共重合成分の割合は
それぞれ70〜95重量%、30〜5重量%の範囲であ
る。ポリプロピレン成分が70重量%未満の場合は、得
られるプロピレン−エチレン共重合体の物性、特に剛
性、耐熱性が不十分となり、一方、95重量%を超える
場合は耐衝撃性が不十分となる。本発明の好ましいポリ
プロピレン成分の割合は80〜95重量%の範囲であ
る。
【0018】本発明のプロピレン−エチレンブロック共
重合体中に含有されるケイ素原子濃度は、触媒成分とし
て用いられる有機ケイ素化合物の残存量に基づくもので
ある。
【0019】本発明のプロピレン−エチレンブロック共
重合体の本来の性能を十分に発揮させるためには、重合
体中に含有されるケイ素原子濃度は10ppm以下であ
ることが、後で詳細に説明する塩素原子濃度との組み合
わせにおいて重要である。
【0020】即ち、上記ケイ素原子濃度が10ppmを
越える場合は、該塩素原子濃度を満足する場合でも、プ
ロピレン−エチレンブロック共重合体の本来の性能、と
りわけ剛性が十分に発揮されない。より好ましいケイ素
原子濃度は、5ppm以下である。
【0021】本発明のプロピレン−エチレンブロック共
重合中に含有される塩素原子濃度は、触媒成分として用
いられる固体チタン化合物中の四塩化チタン化合物、三
塩化チタン化合物中の塩素原子、または、下記に詳述す
るように担持型固体チタン化合物の担体として用いられ
る塩化マグネシウムのような担体成分に基づく塩素原
子、更に、有機アルミニウム化合物として、塩素原子を
含有するハロゲン化有機アルミニウム化合物成分に基づ
く塩素原子が関与する。
【0022】本発明におけるプロピレン−エチレンブロ
ック共重合体の本来の性能を十分に発揮させるために
は、重合体中に含有される塩素原子濃度が10ppm以
下である事が重要である。即ち、重合体中に含有される
塩素原子濃度が10ppmを越える場合は、重合体中に
有機ケイ素化合物がわずかに残存する場合でも塩素原子
成分の存在下に、加水分解反応が起こり、更に分子間縮
合反応によるシロキサン化合物が形成されることによ
り、重合体の剛性が低下し、同時に得られる重合体の剛
性、例えば製品のロット間での剛性にバラツキを生じ安
定的な高剛性の再現が困難となる。上記のことを勘案す
ると、より好ましい塩素原子濃度は、5ppm以下であ
る。
【0023】上記重合体中の塩素原子が有機ケイ素化合
物に影響を与えることは、本発明者らの知見により初め
て明らかになったものであり、かかる構成により、高剛
性を達成するために極めて効果的な有機ケイ素化合物の
使用が可能となり、ポリプロピレン成分の高結晶性と共
に、これに見合う高剛性の発現を可能とした。
【0024】本発明において、触媒成分に基づくその他
の原子の濃度については特に限定されないが、通常は、
チタン原子濃度が2ppm以下、好ましくは、1ppm
以下であり、また、マグネシウム原子は通常10ppm
以下、好ましくは8ppm以下である。本発明に於ける
上記した重合体中の原子濃度の測定は、蛍光X線により
求められた値である。
【0025】本発明のプロピレン−エチレンブロック共
重合体は、より高い剛性を発揮させるために、種々の結
晶核剤、または無機フィラー等の添加剤を配合すること
もできる。
【0026】また、本発明のプロピレン−エチレンブロ
ック共重合体のメルトフローレイトは、一般に、0.1
〜300g/10分の範囲である。0.1g/10分未
満、また、300g/10分を越えた場合には、成形性
が困難となり、プロピレン−エチレンブロック共重合体
の本来の性能が達成されない。本発明のメルトフローレ
イトの好ましい範囲は、0.5〜200g/10分の範
囲である。
【0027】本発明のプロピレン−エチレンブロック共
重合体の製造方法は特に制限されるものではなく、共重
合体中のポリプロピレン成分が上記に示された特定のア
イソタクチックペンタッド分率を有し、共重合体中に含
有されるケイ素原子と塩素原子の濃度をそれぞれ10p
pm以下に制御する方法であれば如何なる方法が採用で
きる。
【0028】代表的な製造方法を例示すれば、下記の方
法が好適である。
【0029】即ち、下記成分[A]、[B]及び[C]
よりなる固体チタン化合物重合触媒の存在下に重合の第
一工程でポリプロピレン成分を重合し、次いで重合の第
二工程でプロピレンとエチレンとの共重合成分を重合
し、得られる共重合体中のケイ素原子濃度と塩素原子濃
度がそれぞれ10ppm以下となるように、固体チタン
化合物1g当たりの重合量を制御するプロピレン−エチ
レンブロック共重合体の製造方法である。
【0030】[A]マグネシウム、四価のチタン、ハロ
ゲン及び電子供与体を必須成分として含有する固体チタ
ン化合物 [B]有機アルミニウム化合物 [C]一般式〔I〕で示される有機ケイ素化合物 R12Si(OR32 〔I〕 (但し、R12及びR3は、それぞれ同種又は異種の炭
素数1〜20の炭化水素基であり、R1及びR2の少なく
とも一方はケイ素原子に直接結合する原子が3級炭素で
ある鎖状炭化水素又は2級炭化水素である環状炭化水素
である。) 本発明において、上記の固体チタン化合物は、マグネシ
ウム、四価のチタン、ハロゲン、及び電子供与体を必須
成分として含有するものであれば、公知のものが特に制
限なく使用される。かかる固体チタン化合物の製法は、
これまでに数多くの提案がなされており、本発明におい
てはこれら公知の方法で得られた固体チタン化合物が何
ら制限なく使用される。例えば、テトラハロゲン化チタ
ン等のチタン化合物をマグネシウム化合物と共に電子供
与体の存在下に共粉砕する方法、又は、溶媒中でチタン
化合物、マグネシウム化合物及び電子供与体を接触させ
る方法等が挙げられる。
【0031】これらの固体チタン化合物の調製方法は、
詳細には、特開昭56−155206号公報、同56−
136806、同57−34103、同58−870
6、同58−83006、同58−138708、同5
8−183709、同59−206408、同59−2
19311、同60−81208、同60−8120
9、同60−186508、同60−192708、同
61−211309、同61−271304、同62−
15209、同62−11706、同62−7270
2、同62−104810等に開示されている。
【0032】上記した固体チタン化合物の調製に用いら
れるチタン化合物は、4価のチタン化合物が用いられ
る。かかる4価のチタン化合物としては、テトラハロゲ
ン化チタン、テトラアルコキシチタン、トリハロゲン化
アルコキシチタン、ジハロゲン化ジアルコキシチタン及
びハロゲン化トリアルコキシチタン類等を用いることが
できる。このような化合物の具体的例としては、テトラ
クロロチタン、テトラブロムチタン、テトラヨードチタ
ン、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テ
トラn−プロポキシチタン、テトラi−プロポキシチタ
ン、テトラn−ブトキシチタン、テトラi−ブトキシチ
タン、テトラn−ヘキシルオキシチタン、テトラn−オ
クチルオキシチタン、トリクロロエトキシチタン、ジク
ロロジエトキシチタン、トリエトキシクロロチタン、ト
リクロロn−ブトキシチタン、ジクロロジn−ブトキシ
チタン、トリn−ブトキシクロロチタン等を用いること
ができる。
【0033】また、上記した固体チタン化合物の調製に
用いられるマグネシウム化合物は、塩化マグネシウム等
のハロゲン化マグネシウム、マグネシウムジエトキシド
等のアルコキシマグネシウム、アルコキシマグネシウム
ハライド、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、マ
グネシウムのカルボン酸塩類等を用いることができる。
【0034】更に、該固体チタン化合物の調製に用いら
れる電子供与体は、アルコ−ル類、フェノ−ル類、ケト
ン、アルデヒド、カルボン酸、有機酸ハライド、有機酸
または無機酸のエステル、エーテル、酸アミド、酸無水
物、アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアネート等
を挙げることができる。
【0035】これらの中でも有機酸エステルが好まし
く、更には分子内に2個以上のエステル結合を有する化
合物が特に好ましい。
【0036】このような、分子内に2個以上のエステル
結合を有する化合物としては、具体的には、コハク酸ジ
エチル、コハク酸ジブチル、メチルコハク酸ジエチル、
α−メチルグルタル酸ジイソブチル、メチルマロン酸ジ
エチル、エチルマロン酸ジエチル、イソプロピルマロン
酸ジエチル、ブチルマロン酸ジエチル、フェニルマロン
酸ジエチル、ジエチルマロン酸ジエチル、ジブチルマロ
ン酸ジエチル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸ジ
オクチル、マレイン酸ジブチル、ブチルマレイン酸ジブ
チル、ブチルマレイン酸ジエチル、β−メチルグルタル
酸ジイソプロピル、エチルコハク酸ジアルリル、フマル
酸ジ-2-エチルヘキシル、イタコン酸ジエチル、シトラ
コン酸ジオクチルなどの脂肪族ポリカルボン酸エステ
ル、1、2−シクロヘキサンカルボン酸ジエチル、1、
2−シクロヘキサンカルボン酸ジイソブチル、テトラヒ
ドロフタル酸ジエチル、ナジック酸ジエチルのような脂
環族ポリカルボン酸エステル、フタル酸モノエチル、フ
タル酸ジメチル、フタル酸メチルエチル、フタル酸モノ
イソブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸エチルイソブ
チル、フタル酸ジn−プロピル、フタル酸ジイソプロピ
ル、フタル酸ジn−ブチル、フタル酸ジイソブチル、フ
タル酸ジn−ヘプチル、フタル酸ジ-2-エチルヘキシ
ル、フタル酸ジn−オクチル、フタル酸ジネオペンチ
ル、フタル酸ジデシル、フタル酸ベンジルブチル、フタ
ル酸ジフェニル、ナフタリンジカルボン酸ジエチル、ナ
フタリンジカルボン酸ジブチル、トリメット酸トリエチ
ル、トリメット酸ジブチルなどの芳香族ポリカルボン酸
エステル等を挙げることができる。
【0037】また、分子内に2個以上のエステル結合を
有する化合物の他の例としては、アジピン酸ジエチル、
アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、
セバシン酸ジn−ブチル、セバシン酸ジn−オクチル、
セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル等の長鎖ジカルボン
酸のエステルなどを挙げることができる。
【0038】これらの中で、フタル酸エステル類を用い
ることが、本発明の効果において有効であるために好ま
しい。
【0039】本発明において、固体チタン化合物重合触
媒を構成する有機アルミニウム化合物は、ハロゲン原子
を実質的に持たない有機アルミニウム化合物が高い重合
活性を達成するために好適に使用される。上記ハロゲン
原子を実質的に持たない有機アルミニウム化合物として
は、公知のものが使用される。例えば、下記一般式〔I
I〕で示されるトリアルキルアルミニウムが挙げられ
る。
【0040】R3Al 〔II〕 (但し、Rは炭素数1〜10の飽和炭化水素基であ
る。) 前記一般式〔II〕中、Rは炭素数1〜10の飽和炭化水
素基である。炭素数1〜10の飽和炭化水素基として
は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル
基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−
ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル
基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、
デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の鎖
状アルキル基および環状アルキル基が挙げられる。
【0041】そのうち、特に好適に使用できるトリアル
キルアルミニウム化合物を具体的に例示すると、例え
ば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウ
ム、トリ−nプロピルアルミニウム、トリ−nブチルア
ルミニウム、トリ−iブチルアルミニウム、トリ−nヘ
キシルアルミニウム、トリ−nオクチルアルミニウム、
トリ−nデシルアルミニウム等が挙げられる。
【0042】また、前記固体チタン触媒とハロゲン原子
を実質的に持たない有機アルミニウム化合物との使用割
合は特に制限されない。一般には、固体チタン触媒中の
Ti原子に対し該有機アルミニウム化合物中のAl原子
がAl/Ti(モル比)で10〜1000であることが
好ましく、特に、20〜500であることが好ましい。
【0043】また、本発明の固体チタン化合物重合触媒
には、その特性を著しく低下させない範囲で、他の成分
を含有することができる。例えば、後記の固体チタン触
媒の調製において不可避的に含有されるハロゲン化有機
アルミニウム化合物、固体チタン化合物の調製において
生成した化合物等の成分が挙げられる。
【0044】本発明で用いられる有機ケイ素化合物は、
下記の一般式〔I〕で示される化合物が何ら制限無く使
用される。
【0045】R12Si(OR32 〔I〕 (但し、R12及びR3は、それぞれ同種又は異種の炭
素数1〜20の炭化水素基であり、R1及びR2の少なく
とも一方はケイ素原子に直接結合する原子が3級炭素で
ある鎖状炭化水素又は2級炭化水素である環状炭化水素
である。) 上記の炭素数1〜20の炭化水素基としては、メチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、イ
ソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル
基、オクチル基、ノニル基、デシル基、および後述する
ようなシクロペンチル基、アルキル基置換シクロペンチ
ル基、シクロヘキシル基、アルキル基置換シクロヘキシ
ル基、t−ブチル基、t−アミル基等が挙げられる。
【0046】また、ケイ素原子に直結する原子が3級炭
素である鎖状炭化水素基としては、t−ブチル基、t−
アミル基などが挙げられる。また、ケイ素原子に直結す
る原子が2級炭素である環状炭化水素基としては、シク
ロペンチル基、2−メチルシクロペンチル基、3−メチ
ルシクロペンチル基、2−エチルシクロペンチル基、2
−n−ブチルシクロペンチル基、2,3−ジメチルシク
ロペンチル基、2,4−ジメチルシクロペンチル基、
2,5−ジメチルシクロペンチル基、2,3−ジエチル
シクロペンチル基、2,3,4−トリメチルシクロペン
チル基、2,3,5−トリメチルシクロペンチル基、
2,3,4−トリエチルシクロペンチル基、テトラメチ
ルシクロペンチル基、テトラエチルシクロペンチル基、
シクロヘキシル基、2−メチルシクロヘキシル基、3−
メチルシクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル
基、2−エチルシクロヘキシル基、2,3−ジメチルシ
クロヘキシル基、2,4−ジメチルシクロヘキシル基、
2,5−ジメチルシクロヘキシル基、2,6−ジメチル
シクロヘキシル基、2,3−ジエチルシクロヘキシル
基、2,3,4−トリメチルシクロヘキシル基、2,
3,5−トリメチルシクロヘキシル基、2,3,6−ト
リメチルシクロヘキシル基、2,4,5−トリメチルシ
クロヘキシル基、2,4,6−トリメチルシクロヘキシ
ル基、2,3,4−トリエチルシクロヘキシル基、2,
3,4,5−テトラメチルシクロヘキシル基、2,3,
4,6−テトラメチルシクロヘキシル基、2,3,5,
6−テトラメチルシクロヘキシル基、2,3,4,5−
テトラエチルシクロヘキシル基、ペンタメチルシクロヘ
キシル基、ペンタエチルシクロヘキシル基等が挙げられ
る。
【0047】上記有機ケイ素化合物を具体的に例示する
と次の通りである。例えば、ジt−ブチルジメトキシシ
ラン、t−ブチルエチルジメトキシシラン、ジt−アミ
ルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラ
ン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、ジ(2−メチ
ルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ジ(3−メチル
シクロペンチル)ジメトキシシラン、ジ(2−エチルシ
クロペンチル)ジメトキシシラン、ジ(2,3−ジメチ
ルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ジ(2,4−ジ
メチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ジ(2,5
−ジメチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ジ
(2,3−ジエチルシクロペンチル)ジメトキシシラ
ン、ジ(2,3,4−トリメチルシクロペンチル)ジメ
トキシシラン、ジ(2,3,5−トリメチルシクロペン
チル)ジメトキシシラン、ジ(2,3,4−トリエチル
シクロペンチル)ジメトキシシラン、ジ(テトラメチル
シクロペンチル)ジメトキシシラン、ジ(テトラエチル
シクロペンチル)ジメトキシシラン、ジ(2−メチルシ
クロヘキシル)ジメトキシシラン、ジ(3−メチルシク
ロヘキシル)ジメトキシシラン、ジ(4−メチルシクロ
ヘキシル)ジメトキシシラン、ジ(2−エチルシクロヘ
キシル)ジメトキシシラン、ジ(2,3−ジメチルシク
ロヘキシル)ジメトキシシラン、ジ(2,4−ジメチル
シクロヘキシル)ジメトキシシラン、ジ(2,5−ジメ
チルシクロヘキシル)ジメトキシシラン、ジ(2,6−
ジメチルシクロヘキシル)ジメトキシシラン、ジ(2,
3−ジエチルシクロヘキシル)ジメトキシシラン、ジ
(2,3,4−トリメチルシクロヘキシル)ジメトキシ
シラン、ジ(2,3,5−トリメチルシクロヘキシル)
ジメトキシシラン、ジ(2,3,6−トリメチルシクロ
ヘキシル)ジメトキシシラン、ジ(2,4,5−トリメ
チルシクロヘキシル)ジメトキシシラン、ジ(2,4,
6−トリメチルシクロヘキシル)ジメトキシシラン、ジ
(2,3,4−トリエチルシクロヘキシル)ジメトキシ
シラン、ジ(2,3,4,5−テトラメチルシクロヘキ
シル)ジメトキシシラン、ジ(2,3,4,6−テトラ
メチルシクロヘキシル)ジメトキシシラン、ジ(2,
3,5,6−テトラメチルシクロヘキシル)ジメトキシ
シラン、ジ(2,3,4,5−テトラエチルシクロヘキ
シル)ジメトキシシラン、ジ(ペンタメチルシクロヘキ
シル)ジメトキシシラン、ジ(ペンタエチルシクロヘキ
シル)ジメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシ
シラン、t−ブチルエチルジメトキシシラン、t−アミ
ルメチルジメトキシシラン、シクロペンチルメチルジメ
トキシシラン、シクロペンチルエチルジメトキシシラ
ン、シクロペンチルイソブチルジメトキシシラン、シク
ロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエ
チルジメトキシシラン、シクロヘキシルイソブチルジメ
トキシシランなどを挙げることができる。中でも、シク
ロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジシクロペンチル
ジメトキシシラン、t−ブチルエチルジメトキシシラン
等が好ましい。
【0048】また、該有機ケイ素化合物の使用量は特に
制限されるものではないが、固体チタン化合物中のTi
原子に対し有機ケイ素化合物中のSi原子がSi/Ti
(モル比)で0.01〜100となる量で使用すること
が好ましく、さらに0.05〜10となる量で使用する
ことが好ましい。
【0049】本発明では、上記の固体チタン化合物成分
を、後記する予備重合というマイルドな条件下で、有機
アルミニウム化合物、及び電子供与体化合物の存在下に
オレフィンの予備重合を行うことができる。
【0050】オレフィンの予備重合条件は、上記の効果
が認められる限り、公知の条件が特に制限なく採用され
る。
【0051】一般には、予備重合で使用される上記有機
アルミニウム化合物は、前記一般式〔II〕で示されるト
リアルキルアルミニウムを何等制限なく用いることがで
きる。 また、上記予備重合で用いられる有機アルミニ
ウム化合物の使用量は特に制限されるものではないが、
一般に固体チタン化合物成分中のTi原子に対し有機ア
ルミニウム中のAl原子がAl/Ti(モル比)で1〜
100であることが好ましく、さらに3〜10であるこ
とが好ましい。
【0052】尚、上記予備重合においては、上記有機ア
ルミニウム化合物の作用を著しく阻害しない範囲で、ハ
ロゲン化有機アルミニウム化合物のような他の有機アル
ミニウム化合物が存在していても良い。
【0053】また、上記予備重合においては、固体チタ
ン化合物成分及び有機アルミニウム化合物に加え、得ら
れる固体チタン触媒がポリプロピレン成分に与える立体
規則性を制御するために、必要に応じて、エーテル、ア
ミン、アミド、含硫黄化合物、ニトリル、カルボン酸、
酸アミド、酸無水物、酸エステル、有機ケイ素化合物な
どの電子供与体を共存させることができる。中でも有機
ケイ素化合物を用いることが好ましい。かかる有機ケイ
素化合物としては、前記一般式〔I〕で示された化合物
と同じものを使用することができるが、その他、ジメチ
ルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジプ
ロピルジメトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、
ジアリルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラ
ン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルトリエト
キシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエ
トキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルト
リエトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、
ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシ
ラン、ドデシルトリエトキシシラン、アリルトリエトキ
シシランなども使用することができる。また、上記化合
物の複数を同時に用いることもできる。
【0054】予備重合で用いられる上記有機ケイ素化合
物の使用量は特に制限されるものではないが、一般には
固体チタン化合物成分中のTi原子に対しSi/Ti
(モル比)で0.1〜10であることが好ましく、更に
0.5〜5であることが好ましい。
【0055】また、予備重合でのオレフィンの重合量
は、固体チタン化合物成分1g当り0.1〜100g、
好ましくは1〜100gの範囲であり、工業的には2〜
50gの範囲が好適である。予備重合で用いるオレフィ
ンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−
ペンテン、1−ヘキセン等の直鎖状オレフィンが挙げら
れる。
【0056】この場合、上記のオレフィンを2種類以上
同時に使用することも可能であり、予備重合を段階的に
行うことにより、各段階で異なるオレフィンを用いるこ
ともできる。得られる重合体の立体規則性の向上を勘案
すると、特定の一種のオレフィンを90モル%以上用い
ることが好ましい。また、予備重合で水素を共存させる
ことも可能である。
【0057】上記予備重合は、重合速度0.001〜
1.0g−ポリマー/g−触媒・分の範囲で行うことが
好ましく、かかる重合速度を達成するために、通常、ス
ラリー重合が最も好適に採用される。この場合、溶媒と
して、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼ
ン、トルエンなどの飽和脂肪族炭化水素もしくは芳香族
炭化水素を単独で、又はこれらを併用して用いることが
できる。
【0058】スラリー重合における温度は、一般に−2
0〜100℃、特に0〜60℃が好ましく、予備重合を
多段階に行う場合には各段で異なる温度の条件下で行っ
てもよい。また、重合時間は、重合温度及び重合量に応
じ適宜決定すればよい。更に、重合圧力は限定されるも
のではないが、一般に大気圧〜5kg/cm2程度であ
る。
【0059】また、上記予備重合は、回分、半回分、連
続のいずれの方法で行ってもよい。
【0060】以上スラリー重合による予備重合方法につ
いて説明したが、気相重合、無溶媒重合によって予備重
合を実施することも可能である。
【0061】上記予備重合により固体チタン触媒を得た
後、該固体チタン触媒は、ヘキサン、ヘプタン、シクロ
ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族炭化水素
もしくは芳香族炭化水素を単独で又は混合して使用して
洗浄することが、より高い重合活性を有するオレフィン
重合用触媒を得るために好ましい。かかる洗浄回数は通
常の場合5〜6回が好ましい。
【0062】以上の方法によって得ることができる固体
チタン化合物と有機アルミニウム化合物と特定の有機ケ
イ素化合物よりなる固体チタン化合物重合触媒を使用し
てポリプロピレン成分、及びプロピレンとエチレンとの
共重合成分を重合(本重合)する条件は、公知の方法を
採用することができるが、一般的には次の条件が好まし
い。
【0063】本発明のプロピレンブロック共重合体の製
造においては、第一工程でポリプピレン成分を重合し、
第二工程でプロピレンとエチレンとの共重合成分を重合
することが好ましい。更に第一工程及び第二工程の重合
をそれぞれ条件の異なる二段以上に分けて行うこともで
きる。
【0064】本重合の第一工程における重合速度は、一
般に、10〜1000g−ポリマー/g−触媒・分、好
ましくは、50〜700g−ポリマー/g−触媒・分の
範囲に調節することが望ましい。
【0065】本重合の第一工程、第二工程の重合温度
は、それぞれ20〜200℃、好ましくは50〜150
℃であり、分子量調節剤として水素を共存させることも
できる。本重合は、第一工程、第二工程でそれぞれスラ
リー重合、無溶媒重合、及び気相重合が適用でき、回分
式、半回分式、連続式のいずれの方法でもよく、更に重
合の第一工程、第二工程のそれぞれを条件の異なる2段
以上に分けて行うこともできる。
【0066】重合時間は、上記重合温度、重合様式を勘
案して適宜決定されればよいが、通常は、2時間から8
時間、好ましくは、3時間から6時間の範囲で設定され
ればよく、第一工程と第二工程の時間割合は、本発明の
プロピレン−エチレンブロック共重合体のポリプロピレ
ン成分と共重合成分の構成割合を満足させる範囲で適宜
決定することができる。また、本重合の第二工程ではエ
チレンの供給量を適宜決定することができるが、通常は
プロピレンとエチレンの比率がモル比で90/10〜3
0/70の範囲に設定されることが好ましい。
【0067】上記の本重合において、得られるプロピレ
ン−エチレンブロック共重合体中のケイ素原子濃度と塩
素原子濃度がそれぞれ10ppm以下となるように制御
するには、触媒の使用量にもよるが、一般に、重合量を
チタン化合物1g当たり50000g以上、好ましく
は、60000g以上とすることが好ましい。
【0068】また、本重合によって得られたプロピレン
−エチレンブロック共重合体中に残存するケイ素原子濃
度及び塩素原子濃度は、更に減少することが好ましく、
特に、ケイ素原子濃度を減少させるために、次のような
洗浄操作を施すことが好ましい。
【0069】例えば、 イ)重合終了後、重合槽中に新たな液体プロピレンを追
加し、十分攪拌した後静置し重合体粒子を沈降させ、液
体プロピレンを重合槽上部よりノズルで抜き取る方法。
【0070】ロ)重合体スラリーを液体サイクロンに通
し、有機ケイ素化合物を含む液体プロピレンの多くを重
合槽に再循環させ、重合体粒子が濃縮されたスラリーを
フラッシュタンク、蒸発槽に送って液体プロピレン及び
不活性炭化水素溶媒等を蒸発させる方法。
【0071】ハ)重合体スラリーを向流洗浄塔の上部よ
り入れ、下部より新たな液体プロピレンまたは炭素数7
以下の比較的蒸発し易い不活性炭化水素を供給して、重
合体粒子を沈降させながら洗浄し分離する方法。
【0072】ニ)重合体スラリーの全量を蒸発槽に送
り、フラッシュさせた後、炭素数7以下の不活性炭化水
素溶媒または液体プロピレンで洗浄した後、液体部分を
分離する方法。
【0073】上記方法により、重合体中のケイ素原子濃
度を5ppm以下にまで低減することが可能であり、か
かる範囲に調整することにより、本発明の効果を一層向
上せしめることができる。
【0074】
【発明の効果】以上の説明より理解されるように、本発
明によれば、プロピレン−エチレンブロック共重合体中
のポリプロピレン成分が高い立体規則性を有し、高い結
晶性に見合う高い剛性と耐熱性を有し、且つ耐衝撃性に
優れるプロピレン−エチレンブロック共重合体が提供さ
れる。また、本発明によれば、上記特性を有するプロピ
レン−エチレンブロック共重合体を安定して製造するこ
とが可能な製造方法をも提供される。
【0075】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例を掲げて説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。以下の実施例において用いた測定方法について
説明する。
【0076】(1)メルトインデックス(以下、MIと
略す) ASTM D−1238に準拠した。
【0077】(2)重合体中に残存するケイ素原子濃度
と塩素原子濃度の測定 ポリマー約10gを230℃でプレスを行い、円盤状の
シートを作成した後、理学電気社製全自動蛍光X線分析
装置システム3080を用い測定を行った。
【0078】(3)ペンタッド分率 A.Zambelli等によってMacromolecules,6,925
(1973)に発表されている方法、すなわち13C−NMRを
用いポリマー分子鎖中の連続したモノマー5個のアイソ
タクチックに結合した分率を求めた。測定はJEOL
GSX−270を用いてパルス幅90゜、パルス間隔1
5秒、積算10000回で行った。ピークの帰属はMacl
omolecules,8,697(1975)に従って行った。
【0079】(4)p−キシレン可溶分 ポリマー1gをp−キシレン100mlに加え攪拌しな
がら120℃まで昇温した後、更に30分攪拌を続け、
ポリマーを完全に溶かした後、p−キシレン溶液を23
℃、24時間放置した。析出物は濾別し、p−キシレン
溶液を完全に濃縮することで可溶分を得た。
【0080】室温p-キシレン可溶分(%)=(p-キシレン可溶分
(g)/ホ゜リマー1g)×100 で表される。
【0081】(5)曲げ弾性率(以下、Fmと略す。) ASTM D790に準拠した。
【0082】(6)荷重たわみ温度 JIS K7207に準拠した。
【0083】(7)アイゾット衝撃強度 JIS K7203に準拠し、ノッチ付きで測定した。
【0084】(6)変動係数 Fm、荷重たわみ温度、アイゾット衝撃強度についてそ
れぞれの平均値に対する標準偏差の百分率を示した。
【0085】実施例1 〔固体チタン化合物の調製〕固体チタン化合物の調製法
は、特開昭58−83006号公報の実施例1の方法に
準じて行った。
【0086】即ち、無水塩化マグネシウム0.95g
(10mmol)、デカン10ml、及び2−エチルヘ
キシルアルコール4.7ml(30mmol)を125
℃で2時間加熱攪拌した。この溶液中に無水フタル酸
0.55g(6.75mmol)を添加し、125℃に
て更に1時間攪拌混合を行い均一溶液とした。室温まで
冷却した後、−20℃に保持された四塩化チタン40m
l(0.36mol)中に1時間にわたって全量滴下装
入した。その後、この混合溶液の温度を2時間かけて1
10℃に昇温し、110℃に達したところでジイソブチ
ルフタレート0.54mlを添加し、これより2時間1
10℃にて攪拌下に保持した。2時間の反応終了後、濾
過し固体部を採取し、この固体部を200mlのTiC
l4にて再懸濁させた後、再び110℃で2時間の加熱
反応を行った。反応終了後、再び熱濾過にて固体部を採
取し、デカン及びヘキサンにて、洗液中に遊離のチタン
化合物が検出されなくなるまで十分洗浄した。固体チタ
ン化合物の組成はチタン2.1重量%、塩素57重量
%、マグネシウム18.0%、及びジイソブチルフタレ
ート21.9重量%であった。
【0087】〔予備重合〕N2置換を施した内容積1l
のオートクレーブに、精製n−ヘキサン200ml、ト
リエチルアルミニウム50mmol、ジシクロペンチル
ジメトキシシラン10mmol及び固体チタン化合物成
分をTi原子換算で5mmol装入した後、プロピレン
を固体チタン触媒成分1gに対し約2gとなるように3
0分間連続的にオートクレーブに導入した。なお、この
間の温度は10℃に保持した。30分後に反応を停止
し、オートクレーブ内をN2で充分に置換した。得られ
たスラリーの固体部分を精製n−ヘキサンで4回洗浄
し、固体チタン触媒を得た。該固体チタン触媒を分析し
た結果、固体チタン化合物成分1gに対し2.1gのプ
ロピレンが重合されていた。
【0088】〔本重合〕 (1)ポリプロピレン成分の重合 N2置換を施した内容積400lの重合槽に、プロピレ
ンを100Kgを加え、トリエチルアルミニウム75m
mol、ジシクロペンチルジメトキシシラン37.5m
mol、更に水素ガスを装入した後、重合槽の内温を6
5℃に昇温し、上記予備重合で得られた固体チタン触媒
をTi原子として0.25mmol装入した。続いて重
合槽の内温を70℃まで昇温し4時間の重合を行った。
重合終了後、未反応プロピレンガスを除去し、ポリプロ
ピレン成分を得た。この段階の収量は34.2kgであ
った。得られたポリプロピレン成分は、ペンタッド分率
を測定した。
【0089】結果を表1に示した。
【0090】(2)プロピレンーエチレン共重合成分の
重合 上記のポリプロピレン成分を15kg計量し、N2置換
を施した内容積440lの気相用重合槽に移送した。重
合槽内の温度を70℃に昇温し、重合槽内にエチレンと
プロピレンガスを気相中のガス濃度が35/65(モル
比)となるように連続的に供給した。また同時に水素ガ
スを供給した。70℃で2時間の重合を行った。重合終
了後、重合停止剤としてメタノール50mlを加え反応
を停止させ未反応のモノマーガスを除去した。得られた
プロピレン−エチレンブロック共重合体の収量は、1
7.6kgであり、即ち、全重合体に占めるプロピレン
−エチレン共重合体成分の割合は、15wt%であっ
た。従って、全重合体の重合倍率は、67000kg−
PP/g−catである。また、プロピレン−エチレン
共重合体成分中のエチレン含量は、該重合割合と得られ
たプロピレン−エチレンブロック共重合体のエチレン含
量の測定から計算により求めた。次いで、得られたプロ
ピレン−エチレンブロック共重合体のポリマーを洗浄槽
に移送し、液体プロピレンを50kg加え、1時間攪拌
した後、静置し重合体粒子を沈降させ、液体プロピレン
部分を槽上部より取り付けられた抜き出しノズルで抜き
取った。槽中の重合体スラリーはフラッシュタンクへ送
り、液体プロピレンと分離させ、白色顆粒状の重合体を
得た。上記重合体に酸化防止剤を添加し、十分混合した
後造粒機によりペレット状とした。なお、本実施例で
は、本重合の操作を5回実施し、5ロットについての物
性の評価を行った。結果を表1、表2に示した。
【0091】実施例2 実施例1の本重合で用いたジシクロペンチルジメトキシ
シランの代わりにt−ブチルエチルジメトキシシランを
用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表
1、表2に示した。
【0092】実施例3 実施例1の予備重合で用いたジシクロペンチルジメトキ
シシランの代わりにt−ブチルエチルジメトキシシラン
を25mmol用いた以外は実施例1と同様の操作を行
った。結果を表1、表2に示した。
【0093】実施例4 〔固体チタン化合物の調製〕固体チタン化合物の調製法
は、特開平7−292029号公報の実施例1の方法に
準じて行った。
【0094】即ち、窒素ガスで十分に置換され、攪拌機
を具備した容量200mlの丸底フラスコにジエトキシ
マグネシウム10gおよびトルエン80mlを装入し、
懸濁状態とした。次いで該懸濁溶液に四塩化チタン20
mlを加えて、昇温し、80℃に達した時点で、フタル
酸ジ−n−ブチル2.7mlを加え、さらに昇温して1
10℃とした。その後110℃の温度を保持した状態
で、2時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、90
℃のトルエン100mlで2回洗浄し、新たに四塩化チ
タン20mlおよびトルエン80mlを加え、100℃
に昇温し、2時間攪拌しながら反応させた。反応終了
後、40℃のn−ヘプタン100mlで10回洗浄し
て、固体チタン化合物を得た。なお、この固体チタン化
合物中の固液を分離して、固体分中のチタン含有率を測
定したところ2.91重量%であった。
【0095】次いで実施例1と同様にして予備重合およ
び本重合を行った。結果を表1、表2に示した。
【0096】実施例5〜6 実施例1の本重合においてプロピレン成分の重合時間を
3時間とした(実施例5)、また3.5時間とした(実
施例6)以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を
表1、表2に示した。
【0097】実施例7〜8 実施例1のプロピレン−エチレン共重合成分の重合にお
いて供給するエチレン/プロピレンのガスをモル比で4
0/60とした(実施例7)、また45/55とした
(実施例8)以外は実施例1と同様の操作を行った。結
果を表1、表2に示した。
【0098】実施例9 実施例1の本重合後のプロピレン洗浄を行わなかった以
外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1、表2
に示した。
【0099】比較例1〜2 実施例1の本重合で用いたジシクロペンチルジメトキシ
シランの代わりにケイ酸エチルを使用し(比較例1)、
またジフェニルジメトキシシランを使用した(比較例
2)以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表
1、表2に示した。
【0100】比較例3 実施例1の本重合においてプロピレン成分の重合時間を
1時間としプロピレン−エチレン共重合成分の重合時間
を30分とした以外は実施例1と同様の操作を行った。
結果を表1、表2に示した。
【0101】比較例4 実施例1の本重合においてプロピレン成分の重合時間を
1時間としプロピレン−エチレン共重合成分の重合時間
を30分とし、本重合後のプロピレン洗浄を行わなかっ
た以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1、
表2に示した。
【0102】比較例5 実施例1の本重合においてプロピレン成分の重合時間を
1時間とした以外は実施例1と同様の操作を行った。結
果を表1、表2に示した。
【0103】比較例6 実施例1の本重合においてプロピレン−エチレン共重合
成分の重合時間を10分とした以外は実施例1と同様の
操作を行った。結果を表1、表2に示した。
【0104】比較例7 実施例1のプロピレン−エチレン共重合成分の重合にお
いて供給するエチレン/プロピレンのガスをモル比で1
0/90とした以外は実施例1と同様の操作を行った。
結果を表1、表2に示した。
【0105】
【表1】
【0106】
【表2】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アイソタクチックペンタッド分率が0.
    97以上であるポリプロピレン成分70〜95重量%、
    及びエチレン含量が20〜80モル%であるプロピレン
    とエチレンとの共重合成分30〜5重量%からなるプロ
    ピレン−エチレンブロック共重合体であって、該プロピ
    レン−エチレンブロック共重合体中に含有されるケイ素
    原子濃度と塩素原子濃度がそれぞれ10ppm以下であ
    ることを特徴とするプロピレン−エチレンブロック共重
    合体。
  2. 【請求項2】 固体チタン化合物、有機アルミニウム化
    合物及び有機ケイ素化合物を触媒として使用することに
    よりアイソタクチックペンタッド分率を0.97以上と
    した請求項1記載のプロピレン−エチレンブロック共重
    合体。
  3. 【請求項3】 下記成分[A]、[B]及び[C]より
    なる固体チタン化合物重合触媒の存在下に重合の第一工
    程でポリプロピレン成分を重合し、次いで重合の第二工
    程でプロピレンとエチレンとの共重合成分を重合し、得
    られるプロピレン−エチレンブロック共重合体中のケイ
    素原子濃度と塩素原子濃度がそれぞれ10ppm以下と
    なるように、固体チタン化合物1g当たりの重合量を制
    御することを特徴とするプロピレン−エチレンブロック
    共重合体の製造方法。 [A]マグネシウム、四価のチタン、ハロゲン及び電子
    供与体を必須成分として含有する固体チタン化合物 [B]有機アルミニウム化合物 [C]一般式〔I〕で示される有機ケイ素化合物 R12Si(OR32 〔I〕 (但し、R12及びR3は、それぞれ同種又は異種の炭
    素数1〜20の炭化水素基であり、R1及びR2の少なく
    とも一方はケイ素原子に直接結合する原子が3級炭素で
    ある鎖状炭化水素又は2級炭化水素である環状炭化水素
    である。) 【請求項3】 固体チタン化合物1g当たりの重合量が
    50000g以上である請求項2記載のプロピレン−エ
    チレンブロック共重合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 得られた重合体を炭化水素系媒体で洗浄
    することにより、得られるプロピレン−エチレンブロッ
    ク共重合体中のケイ素原子濃度を5ppm以下とする請
    求項2又は3記載のプロピレン−エチレンブロック共重
    合体の製造方法。
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