JPH10182755A - ゴム粒子、それを用いた多層構造重合体粒子および該重合体粒子の樹脂組成物 - Google Patents

ゴム粒子、それを用いた多層構造重合体粒子および該重合体粒子の樹脂組成物

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JPH10182755A
JPH10182755A JP35724396A JP35724396A JPH10182755A JP H10182755 A JPH10182755 A JP H10182755A JP 35724396 A JP35724396 A JP 35724396A JP 35724396 A JP35724396 A JP 35724396A JP H10182755 A JPH10182755 A JP H10182755A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐衝撃性の改良効果が高い多層構造重合体粒
子を与えるゴム粒子を提供する。 【解決手段】 本発明は、(メタ)アクリレートおよび
共役ジエン化合物を、乳化重合法により、以下の条件
(A)〜(D)の下で共重合させることによって得られ
るゴム粒子である。 (A)乳化剤として、アニオン系乳化剤を単量体に対し
て1〜8重量%の割合で使用する。 (B)開始剤系として、有機過酸化物と遷移金属塩の混
合物を使用する。 (C)有機過酸化物を、重合反応開始時に、反応系中の
水に対して0.006〜0.1重量%の割合となるよう
に使用する。 (D)反応開始後、有機過酸化物を1時間あたり、反応
系中の水に対して0.001〜0.08重量%の割合で
追加添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不飽和カルボン酸
エステル化合物および共役ジエン化合物を含む単量体か
らのゴム粒子の製造法、該製造法により得られた特定の
ゴム粒子およびそのラテックス、該ゴム粒子を用いた多
層構造重合体粒子の製造法、該製造法により得られた特
定の多層構造重合体粒子、該多層構造重合体粒子を用い
た樹脂組成物、ならびに該樹脂組成物を用いた成形品に
関する。本発明の樹脂組成物では、上記特定の多層構造
重合体粒子の配合により、樹脂単独の場合の弾性率、強
度等の機械的性質をほとんど低下させることなく、樹脂
単独に比べて耐衝撃性(特に低温耐衝撃性)を向上させ
ることができる。また、該樹脂がメタクリル樹脂等の透
明性が良好な樹脂の場合には、良好な透明性を保持する
ことができる。このため、本発明の成形品は、上記の樹
脂組成物の特長を活かして、オートバイの風防等の車両
部品、自動販売機の前面板等の機器用部材、カーポート
等の建築部材などとして有用である。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂は、易成形性、安価、軽量
等の長所を活かして、電気・電子部品、ハウジング、建
築材料、雑貨、車両用部品、食品用包装材等の多岐にわ
たる分野で使用されている。しかしながら、熱可塑性樹
脂からなる成形品では、熱可塑性樹脂の成形加工による
成形品の作製時、成形品を用いた組み立て操作による二
次製品の製造時、該二次製品の使用時などにおいて、割
れが生じることがあり、特にメタクリル樹脂、スチレン
−アクリロニトリル共重合体、ポリスチレン等の脆性材
料では耐衝撃性の不足が用途拡大の障害となっている。
【0003】熱可塑性樹脂に耐衝撃性を付与する方法の
ひとつとして、内部にゴム層を有し、最外部に熱可塑性
樹脂層を有する多層構造重合体粒子(いわゆる、コアシ
ェル型重合体)を、熱可塑性樹脂に配合することが知ら
れている。例えば、メタクリル樹脂については、ゴム質
の外層を有する粒子にメタクリル酸メチルを主成分とす
る単量体混合物をグラフト重合させることによって得ら
れた、ゴム質層が内部に存在し、該単量体混合物の重合
体鎖が最外層を形成している多層構造重合体粒子をメタ
クリル樹脂に分散させて得られた樹脂組成物が、耐衝撃
性を改善し、しかもメタクリル樹脂本来の透明性の低下
を少なくできることが報告されている(特開昭48−5
5233号公報等参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のような多層構造
重合体粒子の配合による熱可塑性樹脂の耐衝撃性改良方
法では、多層構造重合体粒子の配合割合を増せば耐衝撃
性が向上するものの、それに伴って熱可塑性樹脂本来の
優れた性能が低下する傾向がある。例えば、メタクリル
樹脂においては、多層構造重合体粒子の配合割合を増加
すれば、メタクリル樹脂本来の高い硬度が失われる傾向
がある。したがって、熱可塑性樹脂と多層構造重合体粒
子との組成物に対しては、該熱可塑性樹脂本来の優れた
性能と改善された耐衝撃性とを両立させる観点におい
て、耐衝撃性改良効果ができるだけ大きい多層構造重合
体粒子を用い、その配合割合をできるだけ少なくするこ
とが望ましい。
【0005】しかしながら、これまでに提案されている
多層構造重合体粒子では耐衝撃性の改良効果に限界があ
るため、耐衝撃性の改良効果がさらに高い多層構造重合
体粒子が望まれている。
【0006】したがって、本発明の目的は、耐衝撃性の
改良効果が高い多層構造重合体粒子を提供すること、該
多層構造重合体粒子が配合された耐衝撃性に優れた熱可
塑性樹脂組成物およびその成形品を提供すること、該多
層構造重合体粒子を与えるゴム粒子およびそのラテック
スを提供すること、ならびに該ゴム粒子および該多層構
造重合体粒子の製造法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
の結果、単量体の種類、乳化剤の種類および使用量、な
らびに重合開始剤の種類、使用量および添加方法につい
ての条件を選択して乳化重合を行ってゴム粒子を調製し
た場合、得られたゴム粒子が耐衝撃性の改良効果の大き
い多層構造重合体粒子を与えることを見いだし、本発明
を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、以下の(1)〜
(7)に示すとおりである。
【0009】(1) メタクリレートおよびアクリレー
トからなる群から選ばれる少なくとも1種の不飽和カル
ボン酸エステル化合物を合計量において1〜99重量%
含有し、かつ共役ジエン化合物を99〜1重量%含有す
る単量体を乳化重合法により共重合させるにあたって、
(A)乳化剤として、アニオン系乳化剤を単量体全量に
対して1〜8重量%の割合で使用し、(B)開始剤系と
して、有機過酸化物と遷移金属塩の混合物を使用し、
(C)該有機過酸化物を、重合反応開始時に、重合反応
開始時点における反応系中の水に対して0.006〜
0.1重量%の割合となるように使用し、かつ、(D)
反応開始後、該有機過酸化物を1時間あたり、該水に対
して0.001〜0.08重量%の割合で追加添加す
る、ことを特徴とするゴム粒子の製造法。
【0010】(2) 上記(1)の製造法により得られ
たゴム粒子(その中でも、特に、トルエン膨潤度から求
められる架橋密度が3〜12mmol/リットルである
もの)。
【0011】(3) 上記(2)のゴム粒子を含有する
ラテックス。
【0012】(4) 上記(2)のゴム粒子を含有する
ラテックス100重量部に対し、重合開始剤の存在下
で、芳香族ビニル化合物、不飽和ニトリル化合物および
不飽和カルボン酸エステル化合物からなる群から選ばれ
る少なくとも1種の単量体3〜50重量部を、1時間あ
たり3〜25重量部の速度で添加しながら重合させるこ
とからなる多層構造重合体粒子の製造法。
【0013】(5) 上記(4)の製造法によって得ら
れた多層構造重合体粒子(その中でも、特に、平均粒径
が0.06〜0.15μmであるもの)。
【0014】(6) 上記(5)の多層構造重合体粒子
と熱可塑性樹脂(特に、メタクリル樹脂)とを混合する
ことによって得られた樹脂組成物。
【0015】(7) 上記(6)の樹脂組成物からなる
成形品。
【0016】
【発明の実施の形態】まず、本発明に係る上記(1)の
ゴム粒子の製造法、上記(2)のゴム粒子および上記
(3)のゴム粒子のラテックスに関して、以下に説明す
る。
【0017】上記(1)の製造法においては、主たる単
量体として、特定の不飽和カルボン酸エステル化合物と
共役ジエン化合物との両方を使用する。該不飽和カルボ
ン酸エステル化合物としては、例えば、メチルメタクリ
レート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレー
ト、エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリ
レート、シクロヘキシルメタクリレート、ノルボルニル
メタクリレート、イソボルニルメタクリレート、アダマ
ンチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベン
ジルメタクリレート等のメタクリレート;および、例え
ば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチル
アクリレート、エチルヘキシルアクリレート、ラウリル
アクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ノルボル
ニルアクリレート、イソボルニルアクリレート、アダマ
ンチルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジル
アクリレート等のアクリレートが、単独で、または2種
以上を組み合わせて使用される。また、共役ジエン化合
物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、シクロ
ペンタジエン等が、単独で、または2種以上を組み合わ
せて使用される。上記の不飽和カルボン酸エステル化合
物は全単量体のうちの1〜99重量%を占め、共役ジエ
ン化合物は全単量体のうちの99〜1重量%を占める。
不飽和カルボン酸エステル化合物の含有割合が99重量
%を越える場合、得られたゴム粒子のガラス転移温度が
高くなり過ぎ、それから製造した多層構造重合体粒子は
熱可塑性樹脂に対する耐衝撃性の向上効果が少ないもの
となる。また、共役ジエン化合物の含有割合が99重量
%を越える場合、得られたゴム粒子の架橋密度が高くな
り過ぎるため、それから製造した多層構造重合体粒子も
熱可塑性樹脂に対する耐衝撃性の向上効果が少ないもの
となる。
【0018】上記(1)の製造法においては、上記の不
飽和カルボン酸エステル化合物および共役ジエン化合物
に加えて、本発明の効果を損なわない限りにおいて、ラ
ジカル重合可能な他の単量体を使用することもできる。
使用可能な他の単量体としては、例えば、スチレン、α
−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化
合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽
和ニトリル化合物;アクリル酸、メタクリル酸等の不飽
和カルボン酸;グリシジルメタクリレート等の不飽和カ
ルボン酸エステル化合物;アクリルアミド、メタクリル
アミド、アクリロイルモルホリン等の不飽和カルボン酸
アミド化合物;酸化防止機能、光安定化機能、紫外線吸
収機能などの機能性を有する単量体などが挙げられる。
ただし、その使用量は、単量体全体に対して20重量%
以下に止めることが好ましい。
【0019】上記(1)の製造法では、単量体を、上記
の条件の範囲内において任意の化合物の組み合わせおよ
び相対量で使用することができる。例えば、得られたゴ
ム粒子から製造した多層構造重合体粒子を透明性の良好
な熱可塑性樹脂(例えば、メタクリル樹脂等)に分散さ
せて使用する場合、その組成物における透明性を良好に
保つ目的においては、ゴム粒子の屈折率が該熱可塑性樹
脂の屈折率と同じになるように単量体を構成する化合物
群の組み合わせおよび相対量を適宜、選択することが好
ましい。
【0020】また、上記(1)の製造法における重合原
料として、必要に応じて、単量体に加えて架橋剤を使用
することもできる。架橋剤としては、例えば、ビニルア
クリレート、アリルアクリレート、エチレングリコール
ジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレー
ト、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエ
チレングリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジ
アクリレート、ヒドロキシエチルピバレートジアクリレ
ート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペン
タエリスリトールトリアクリレート、ビニルメタクリレ
ート、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメ
タクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレー
ト、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリ
エチレングリコールジメタクリレート、ヘキサンジオー
ルジメタクリレート、ヒドロキシピバレートジメタクリ
レート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、
ペンタエリスリトールトリメタクリレート、桂皮酸アリ
ル、ジビニルベンゼン、フタル酸ジアリル等のラジカル
重合性基を2個以上有する化合物が使用可能である。架
橋剤の使用量は、単量体100重量部に対して、0〜
1.5ミリモルの範囲内であることが好ましい。架橋剤
は、得られたゴム粒子から多層構造重合体粒子を製造す
る際にグラフト剤としても機能し、また、多層構造共重
合体粒子を熱可塑性樹脂に配合した組成物において力学
物性や溶融流動性の点で好結果を与える場合がある。
【0021】上記(1)の製造法においては、乳化剤と
して、アニオン系乳化剤を単量体全量に対して1〜8重
量%の割合で使用する。アニオン系乳化剤の代わりにノ
ニオン系乳化剤を用いると、多くの場合、大量に使用し
ても、重合系中のラテックスの状態が安定化せず、生成
した重合体が析出してしまう。また、乳化重合が安定な
状態で行えた場合であっても、重合の所要時間が極めて
長くなり、さらにその結果としてゴム粒子における架橋
密度が高くなってしまうためか、得られるゴム粒子を用
いて製造した多層構造重合体粒子を熱可塑性樹脂に混合
しても、耐衝撃性の向上効果が不十分となる。アニオン
系乳化剤の使用量が単量体全量に対して1重量%未満の
場合、乳化安定性が不足し、重合の所要時間が長くな
り、上記のような不都合を生じる。逆に、アニオン系乳
化剤の使用量が単量体全量に対して8重量%より多い場
合、重合中における泡立ちが多くなり、得られるゴム粒
子の平均粒径が小さくなりすぎるため、そのゴム粒子を
用いて製造した多層構造重合体粒子を熱可塑性樹脂に混
合しても、耐衝撃性の向上効果が不十分となる。また、
必要量以上のアニオン系乳化剤の使用は経済的に不利で
あり、さらに、重合後の洗浄時における排出量が多くな
りかねないので環境汚染の点でも好ましくない。
【0022】使用可能なアニオン系乳化剤としては、例
えば、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウ
ム、ラウロイルザルコシン酸ナトリウム、ドデシル硫酸
ナトリウム、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸
ナトリウム、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、
ノニルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクチルフェノ
ールフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ノニル
フェノールフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、
オレイン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、ラウロイ
ルザルコシン酸カリウム、ドデシル硫酸カリウム、ジ
(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸カリウム、オク
チルベンゼンスルホン酸カリウム、ノニルベンゼンスル
ホン酸カリウム、オクチルフェノールフェニルエーテル
ジスルホン酸カリウム、ノニルフェノールフェニルエー
テルジスルホン酸カリウム、オレイン酸アンモニウム、
ステアリン酸アンモニウム、ラウロイルザルコシン酸ア
ンモニウム、ドデシル硫酸アンモニウム、ジ(2−エチ
ルヘキシル)スルホコハク酸アンモニウム、オクチルベ
ンゼンスルホン酸アンモニウム、ノニルベンゼンスルホ
ン酸アンモニウム、オクチルフェノールフェニルエーテ
ルジスルホン酸アンモニウム、ノニルフェノールフェニ
ルエーテルジスルホン酸アンモニウムなどを挙げること
ができる。また、アニオン系乳化剤として、例えば、ポ
リオキシエチレンオクチルフェニルエーテルスルホン酸
ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ルスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオクチル
フェニルエーテル硫酸エステルナトリウム、ポリオキシ
エチレンオクチルフェニルエーテルスルホン酸カリウ
ム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルスルホ
ン酸カリウム、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエ
ーテル硫酸エステルカリウム、ポリオキシエチレンオク
チルフェニルエーテルスルホン酸アンモニウム、ポリオ
キシエチレンノニルフェニルエーテルスルホン酸アンモ
ニウム、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル
硫酸エステルアンモニウムなどのノニオンアニオン系乳
化剤を使用してもよい。
【0023】上記(1)の製造法においては、重合開始
剤系として、有機過酸化物と遷移金属塩の混合物を使用
する。重合開始剤としてはペルオキソ2硫酸カリウム等
の無機化合物も知られているが、無機化合物の重合開始
剤を使用した場合、重合に要する時間が長くなり、さら
にその結果としてゴム粒子における架橋密度が高くなっ
てしまうためか、得られるゴム粒子を用いて製造した多
層構造重合体粒子を熱可塑性樹脂に混合しても、耐衝撃
性の向上効果が不十分となる。
【0024】上記の有機過酸化物としては、例えば、t
−ブチルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシ
ド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド、ジメ
チルヘキサンジヒドロパーオキシド、テトラメチルブチ
ルヒドロパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、
t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシ
ド、ビス{(t−ブチルジオキシ)イソプロピル}ベン
ゼン、ジメチルビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサ
ン、ジメチルビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン等
が好適に使用できる。また、上記の遷移金属塩として
は、例えば、硫酸鉄(II)、チオ硫酸鉄(II)、炭酸鉄
(II)、塩化鉄(II)、臭化鉄(II)、ヨウ化鉄(I
I)、水酸化鉄(II)、酸化鉄(II)、硫酸銅(I)、
チオ硫酸銅(I)、炭酸銅(I)、塩化銅(I)、臭化
銅(I)、ヨウ化銅(I)、水酸化銅(I)、酸化銅
(I)、またはそれらの水和物などが好適に使用でき
る。
【0025】有機過酸化物は、重合反応開始時に使用す
るだけでなく、重合反応中に追加して使用する。重合反
応開始時における有機過酸化物の使用量は、重合反応開
始時点における反応系中の水に対して0.006〜0.
1重量%である。有機過酸化物の初期使用量が、水に対
して0.006重量%未満の場合には、重合に要する時
間が長くなり、さらにその結果としてゴム粒子における
架橋密度が高くなってしまうためか、得られるゴム粒子
を用いて製造した多層構造重合体粒子を熱可塑性樹脂に
混合しても、耐衝撃性の向上効果が不十分となる。逆
に、有機過酸化物の初期使用量が、水に対して0.1重
量%より多い場合にも、架橋反応が過度に起こるため、
得られるゴム粒子を用いて製造した多層構造重合体粒子
を熱可塑性樹脂に混合したときにおける、耐衝撃性の向
上効果が不十分となる。
【0026】重合反応中における有機過酸化物の追加添
加量は、1時間あたりで、重合開始時における水に対し
て0.001〜0.08重量%となる割合である。有機
過酸化物の追加添加量が、1時間あたりで、水に対して
0.001重量%未満の場合には、重合に要する時間が
長くなり、さらにその結果としてゴム粒子における架橋
密度が高くなってしまうためか、得られるゴム粒子を用
いて製造した多層構造重合体粒子を熱可塑性樹脂に混合
しても、耐衝撃性の向上効果が不十分となる。逆に、有
機過酸化物の追加添加量が、1時間あたりで、水に対し
て0.08重量%より多い場合にも、架橋反応が過度に
起こるため、得られるゴム粒子を用いて製造した多層構
造重合体粒子を熱可塑性樹脂に混合したときにおける耐
衝撃性の向上効果が不十分となる。有機過酸化物の重合
反応系中への追加添加方法としては、連続的添加または
断続的添加のどちらでもよい。ただし、これらの添加方
法の中でも、連続的添加または2時間に1回以上の頻度
での断続的添加が、得られるゴム粒子を用いて製造した
多層構造重合体粒子を熱可塑性樹脂に混合した場合にお
ける耐衝撃性の向上効果が特に高くなることから好まし
い。なお、有機過酸化物の追加添加量完了後も重合反応
を継続して行うことによって、単量体の転化率を向上さ
せてもよいことは言うまでもない。重合反応中に追加添
加する際の有機過酸化物の形態は特に限定されるもので
はないが、有機過酸化物を水および乳化剤と混合して調
製した乳化液の形態で添加することが、添加される有機
過酸化物の速度または量の制御が容易であり、重合反応
系中に形成されたミセルの破壊による重合体の凝固また
は析出を阻止しやすく、安全性も高いことから好まし
い。追加添加する有機過酸化物の乳化液としては、有機
過酸化物に、該有機過酸化物10重量部に対して40〜
200重量部の水および0.2〜0.5重量部の乳化剤
を混合することによって調製したものが好ましい。
【0027】遷移金属塩の使用量としては、単量体に対
して0.01〜1重量%の範囲内が好ましい。
【0028】上記(1)の製造法における乳化重合反応
では、反応温度、反応系の攪拌、重合後の後処理などに
おける条件として、メタクリレート、アクリレート、ブ
タジエン等のラジカル重合性単量体の公知の乳化重合法
におけると同様な条件を採用することができる。重合反
応温度としては、必ずしも限られるものではないが、0
〜100℃の範囲内が好ましい。重合反応系は、系内各
位置の環境が均一になるように十分な攪拌条件下におく
ことが好ましい。なお、必要に応じて、重合反応系中に
還元剤、金属イオン安定剤、重合促進剤などを添加して
もよい。上記の乳化重合反応によってゴム粒子のラテッ
クスが形成される。生成したゴム粒子は、例えば、酸析
法、スプレードライ法、凍結法等の常法に準じて、ラテ
ックスから分離取得することができるが、次に説明する
ような多層構造重合体粒子の製造に使用する場合には、
そのラテックスを次の重合反応に供してもよい。
【0029】上記(1)の製造法によれば、重合反応
中、有機過酸化物を追加添加することによって、比較的
大粒径のゴム粒子を短い重合時間で生成させることがで
きる。例えば、有機過酸化物を追加添加しない場合には
通常8時間以上の重合時間を要して製造されるものと同
程度の平均粒径を有するゴム粒子が、上記(1)の製造
法によれば、4〜7時間程度の短い重合時間で製造され
る。なお、単に重合時間の短縮を目的とするのであれ
ば、有機過酸化物の追加添加の代わりに開始剤および乳
化剤の初期使用量を増加させるのも一手法であるが、こ
の場合、得られるゴム粒子の平均粒径が小さくなるの
で、大粒径のゴム粒子を短い重合時間で製造することは
できない。
【0030】さらに、上記(1)の製造法によれば、重
合反応中、有機過酸化物を追加添加することによって、
生成するゴム粒子の架橋密度の制御が可能となり、トル
エン膨潤度から求められる架橋密度が3〜12mmol
/リットルであるゴム粒子を製造することが可能とな
る。架橋密度が3〜12mmol/リットルであるゴム
粒子は、これを用いて製造された多層構造重合体粒子を
熱可塑性樹脂との組成物とした場合に、射出成形後も多
層構造粒子の形態を保持しやすくゴムとしての性質を十
分に発揮できるために、特に耐衝撃性に優れ、しかもブ
リードアウトによるタック感の発生及び表面性の劣化が
抑制された成形品を与えるという利点を有する。なお、
上記の架橋密度は、次に示す方法によって測定されたゴ
ム粒子のトルエン膨潤度に基づいて算出されたものであ
る。すなわち、十分に洗浄、乾燥させたゴム粒子(試
料)の1gを19gのトルエン中、室温下で48時間撹
拌し、吸引濾過により膨潤ゲルを取り出して膨潤ゲルの
重量(「膨潤したゴム粒子の重量」)を測定し、さらに
この膨潤ゲルからトルエンを除去し乾燥させてゴム粒子
の重量(「乾燥ゴム粒子の重量」)を測定する。これら
の測定結果を用いて、次式:
【0031】(膨潤度)={(膨潤したゴム粒子の重
量)−(乾燥ゴム粒子の重量)}/(乾燥ゴム粒子の重
量)
【0032】にしたがって膨潤度を算出する。次いで、
上記の膨潤度をFlory−Rehnerの式に適用し
て網目鎖密度を算出し、これをゴム粒子の架橋密度とす
る。
【0033】次に、本発明に係る上記(4)の多層構造
重合体粒子の製造法および上記(5)の多層構造重合体
粒子に関して説明する。
【0034】上記(4)の製造法では、上記(2)のゴ
ム粒子を含有するラテックス100重量部に対し、重合
開始剤の存在下で、芳香族ビニル化合物、不飽和ニトリ
ル化合物および不飽和カルボン酸エステル化合物からな
る群から選ばれる少なくとも1種の単量体3〜50重量
部を、1時間あたり3〜25重量部の速度で添加しなが
ら乳化重合させる。
【0035】上記の芳香族ビニル化合物としては、例え
ば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等
の1種または2種以上を使用することができ、不飽和ニ
トリル化合物としては、例えば、アクリロニトリル、メ
タクリロニトリル等の1種または2種以上を使用するこ
とができ、また、不飽和カルボン酸エステル化合物とし
ては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリ
レート、ブチルメタクリレート、エチルヘキシルメタク
リレート、ラウリルメタクリレート、シクロヘキシルメ
タクリレート、ノルボルニルメタクリレート、イソボル
ニルメタクリレート、アダマンチルメタクリレート、フ
ェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等のメ
タクリレート;およびメチルアクリレート、エチルアク
リレート、ブチルアクリレート、エチルヘキシルアクリ
レート、ラウリルアクリレート、シクロヘキシルアクリ
レート、ノルボルニルアクリレート、イソボルニルアク
リレート、アダマンチルアクリレート、フェニルアクリ
レート、ベンジルアクリレート等のアクリレートのうち
の1種または2種以上を使用することができる。これら
の単量体は重合反応によりゴム粒子の外部に樹脂層を形
成するが、重合後、生成した多層構造重合体粒子の重合
系からの取り出しが容易である点などから、樹脂層のガ
ラス転移温度が0℃以上、より好ましくは室温以上とな
るように単量体の種類、組み合わせなどを適宜、選定す
るのが好ましい。なお、小割合であれば、芳香族ビニル
化合物、不飽和ニトリル化合物および不飽和カルボン酸
エステル化合物の外に、ラジカル重合可能な共単量体を
併用しても差し支えない。該併用可能な共単量体として
は、メタクリル酸、アクリル酸等が挙げられる。
【0036】単量体の使用量は、その合計量において、
上記(2)のゴム粒子を含有するラテックス100重量
部に対し3〜50重量部である。単量体の使用量が3重
量部未満の場合、ゴム粒子表面全体を熱可塑性樹脂層で
完全に被覆することが困難となるために、重合後の粒子
の取り出し時や得られた粒子の熱可塑性樹脂との混練時
において粒子同士の融着が起こりやすく、成形性の低下
を招くとともに、成形品において表面荒れや白化が発生
しやすくなる。一方、単量体の使用量が50重量部より
多い場合、得られる多層構造重合体粒子はゴム層の含有
割合が低く、熱可塑性を有する最外層の含有割合が高い
ものとなるため、熱可塑性樹脂との組成物において、耐
衝撃性の改善効果が現れにくくなるとともに、熱可塑性
樹脂本来の性能が失われやすくなる。
【0037】また、ゴム粒子を含有するラテックスに対
する単量体の重合反応中には、単量体を、1時間あた
り、上記(2)のゴム粒子を含有するラテックス100
重量部に対して3〜25重量部の速度で添加する。重合
開始時に単量体の全量を一括添加した場合または単量体
の添加速度が上記の基準で1時間あたり25重量部より
多い場合、重合系で重合体の析出が生じるため、良好な
多層構造重合体粒子を得ることができない。一方、単量
体の添加速度が上記の基準で1時間あたり3重量部未満
の場合、添加完了までに長時間を要するために、生産性
に劣るだけでなく、ゴム成分の架橋反応が必要以上に進
行する結果、得られる多層構造重合体粒子は、熱可塑性
樹脂との組成物において耐衝撃性の改善効果が不十分な
ものとなる。単量体の重合系への添加は連続的に行うこ
とが好ましいが、10分間に1度以上の頻度であれば、
断続的な添加方法を採用することもできる。なお、添加
終了後も重合反応を継続して行うことによって、単量体
の転化率を向上させてもよいことは言うまでもない。
【0038】上記のゴム粒子を含有するラテックスに対
する単量体の重合反応にあたっては、グラフト率および
分子量を制御する目的で連鎖移動剤を用いることができ
る。連鎖移動剤としては、乳化重合において使用される
一般的なものを用いることができ、例えば、オクチルメ
ルカプタン、ドデシルメルカプタンに代表されるチオー
ル化合物等が挙げられる。連鎖移動剤は、一般に、単量
体に対して0〜5重量%の量で使用される。連鎖移動剤
の添加方法としては、重合初期に一括添加する方法、単
量体との混合物として連続的または断続的に添加する方
法、一部を重合初期に、残りを単量体と共に連続的また
は断続的に添加する方法、単量体とは独立に連続的また
は断続的に添加する方法等が採用できる。
【0039】上記のゴム粒子を含有するラテックスに対
する単量体の重合反応においては、開始剤として、上記
のゴム粒子の製造において使用できるような有機過酸化
物と遷移金属塩とからなるレドックス系開始剤を使用す
ることができるが、それに限定されず、ペルオキソ2硫
酸カリウム、ペルオキソ2硫酸アンモニウム、ペルオキ
ソ2硫酸ナトリウム等の無機系開始剤;アゾビスイソブ
チロニトリル等のアゾ系開始剤などの一般的な重合開始
剤を用いることができる。開始剤は、一般に、単量体に
対して0.001〜1重量%の量で使用される。なお、
前段階の重合で得られたゴム粒子含有ラテックスを用い
る場合、すでに重合系中に遷移金属塩が存在しているた
めに、有機過酸化物のみを添加することによってレドッ
クス系開始剤を形成させることができる。また、必要に
応じて、重合系に還元剤、重合促進剤等を添加してもよ
い。
【0040】ゴム粒子を含有するラテックスに対する単
量体の重合反応は、上記の点以外は、通常の多層構造重
合体粒子の製造において採用される乳化重合法に準じて
行うことができる。重合反応温度としては、必ずしも限
定されるものではないが、0〜100℃の範囲内が好ま
しい。重合反応系は、系内各位置の環境が均一になるよ
うに十分な攪拌条件下におくことが好ましい。
【0041】上記のゴム粒子を含有するラテックスに対
する単量体の重合反応によって、多層構造重合体粒子の
ラテックスが得られる。多層構造重合体粒子をラテック
スから取り出す方法としては、塩析法、酸析法、スプレ
ードライ法、凍結法等の一般的な取り出し方法を使用す
ることができる。塩析法、酸析法およびスプレードライ
法では一般に多層構造重合体粒子中に残存する塩の量が
多くなりやすく、一方、凍結法では残存不純物量は少な
くなるが、設備的にコスト高となりやすいので、目的、
用途等に応じて所望の方法を選択すればよい。
【0042】ラテックスからの多層構造重合体粒子の取
り出し性の向上、ならびに、取り出された後の多層構造
重合体粒子における取り扱い性の向上、成形性改良、機
能性付与等の目的で、必要に応じて、取り出しの前に、
別途製造したメタクリル樹脂等のラテックスを、多層構
造重合体粒子ラテックスにブレンドしてもよい。
【0043】このようにして得られる上記(5)の多層
構造重合体粒子は、内層が上記ゴム粒子から形成され、
外層が、上記の第2段階の重合工程で使用した単量体の
重合による樹脂から構成される。多層構造重合体粒子の
平均粒径は、0.06〜0.15μmの範囲内であるこ
とが、耐衝撃性の改善効果が特に著しいことから好まし
い。なお、ラテックスから分離取得された多層構造重合
体粒子は、一部が相互に融着していても差し支えない。
【0044】次に、上記(6)の樹脂組成物および上記
(7)の成形品に関して説明する。上記(6)の樹脂組
成物は、上記(5)の多層構造重合体粒子と熱可塑性樹
脂とを混合することによって得られる。熱可塑性樹脂と
しては、例えば、メタクリル樹脂;ポリスチレン、アク
リロニトリル/スチレン共重合体、ABS、AAS、A
ES等のスチレン系樹脂;ポリアクリロニトリル;ポリ
塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポ
リエステル;ビスフェノールAポリカーボネート等のポ
リカーボネートなどが挙げられる。上記(5)の多層構
造重合体粒子と熱可塑性樹脂との混合割合は、目的、用
途等に応じて適宜選択すればよく必ずしも限定されるも
のではないが、一般に、多層構造重合体粒子/熱可塑性
樹脂の重量比において1/99〜99/1の範囲内であ
る。その中でも、該多層構造重合体粒子を熱可塑性樹脂
の改質剤として使用する場合には、多層構造重合体粒子
/熱可塑性樹脂の重量比において1/99〜40/60
の範囲内とするのが好ましい。例えば、メタクリル樹脂
の耐衝撃性を改善する目的においては、多層構造重合体
粒子/メタクリル樹脂の重量比を2/98〜40/60
の範囲内とすることが望ましく、耐衝撃性の改善に加え
てメタクリル樹脂本来の透明性を重視する場合には、多
層構造重合体粒子/メタクリル樹脂の重量比を2/98
〜30/70の範囲内とすることがより望ましい。
【0045】上記の樹脂組成物には、所望に応じて、耐
候性、着色防止性等の改良のために、酸化防止剤、紫外
線吸収剤、光安定剤等の添加剤を添加してもよい。
【0046】上記(6)の樹脂組成物を得るための熱可
塑性樹脂、上記(5)の多層構造重合体粒子および所望
に応じて使用される添加剤の混合方法としては、熱可塑
性樹脂組成物の製造において用いられる任意の方法を採
用することができるが、熱可塑性樹脂および多層構造重
合体粒子の溶融条件下で混練することによって樹脂組成
物を調製することが望ましい。なお、この溶融条件で
は、多層構造重合体粒子は外部の樹脂層が少なくとも部
分的に溶融していればよい。
【0047】上記(6)の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂
が適用される任意の成形方法に供することによって、所
望の形状・寸法の成形品を製造することができる。適用
可能な成形方法としては、例えば、射出成形、圧縮成
形、押出成形、カレンダ加工などが挙げられる。また、
製造可能な成形品としては、例えば、板状物、シート、
フィルム、三次元形状品などが挙げられる。上記のよう
にして製造される上記(7)の成形品は、優れた耐衝撃
性(特に、低温耐衝撃性)および熱可塑性樹脂本来の優
れた性質を両立できるので、車両部品、機器用部材、建
築部材などとして有用である。
【0048】
【実施例】次に実施例により、本発明をより具体的に説
明する。
【0049】実施例1(ゴム粒子−1の合成) オートクレーブにイオン交換水250重量部を仕込み、
約30分間窒素バブリングした。これに、窒素雰囲気下
で、ノニルフェノールフェニルエーテルジスルホン酸ナ
トリウム(花王(株)社製ペレックスSS−H)4.0
重量部、硫酸鉄(II)の7水和物0.009重量部、ロ
ンガリット(ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシラ
ートの2水塩)0.334重量部、エチレンジアミン4
酢酸2ナトリウム(EDTA・2Na)0.016重量
部およびピロリン酸カリウム0.209重量部を加え、
これらを完全に溶解させた。次いで、ブチルアクリレー
ト60重量部およびブタジエン40重量部を加えて乳化
させ、50℃に昇温した。これに別途調製したクメンハ
イドロパーオキシドの乳化液(クメンハイドロパーオキ
シド10重量部、ペレックスSS−Hの1.8重量部お
よびイオン交換水90重量部からなる)のうちの1.2
5重量部を加えて重合を開始させ、さらに2時間毎に該
クメンハイドロパーオキシドの乳化液を0.625重量
部加え、7時間で重合を終了した。得られたラテックス
中のゴム粒子の平均粒径を動的光散乱法で測定した結果
103nmであった。また、得られたラテックスの一部
から凍結法でゴム粒子を取り出し、トルエン膨潤度に基
づきその架橋密度を測定したところ、11mmol/l
であった。
【0050】実施例2(ゴム粒子−2の合成) 重合開始時における有機過酸化物(クメンハイドロパー
オキシド)の乳化液の添加量を0.1重量部とし、有機
過酸化物の乳化液の追加量を1時間毎に0.1重量部と
する以外は、実施例1と同様の方法で重合を行った。重
合は6時間で完結した。得られたラテックス中のゴム粒
子の平均粒径は88nmであった。また、その架橋密度
は8.2mmol/lであった。
【0051】実施例3(ゴム粒子−3の合成) 単量体として、ブチルアクリレート60重量部およびブ
タジエン40重量部の混合物の代わりに、ブチルアクリ
レート50重量部、イソプレン49重量部およびジビニ
ルベンゼン(架橋剤)1重量部の混合物を用いる以外
は、実施例2と同様の方法で重合を行った。重合は約7
時間で終了した。得られたラテックス中のゴム粒子の平
均粒径は63nmであった。また、その架橋密度は4.
2mmol/lであった。
【0052】比較例1(ゴム粒子−4の合成) 重合開始時における有機過酸化物(クメンハイドロパー
オキシド)の乳化液の添加量を0.7重量部とし、重合
中での有機過酸化物の乳化液の追加を行わない以外は、
実施例1と同様の方法で重合を行った。重合は約20時
間で終了した。得られたラテックス中のゴム粒子の平均
粒径は72nmであった。また、その架橋密度は15.
8mmol/lであった。
【0053】比較例2(ゴム粒子−5の合成) 重合開始時における有機過酸化物(クメンハイドロパー
オキシド)の乳化液の添加量を1.5重量部とし、重合
中での有機過酸化物の乳化液の追加を行わない以外は、
実施例1と同様の方法で重合を行った。重合は約10時
間で終了した。得られたラテックス中のゴム粒子の平均
粒径は53nmであった。また、その架橋密度は23.
3mmol/lであった。
【0054】実施例4(多層構造重合体粒子−1の合
成) 実施例1で得られたゴム粒子含有ラテックス250重量
部(ゴム粒子の含有量:20重量部)を70℃に昇温し
てペルオキソ2硫酸カリウム0.0875重量部を加え
た後、メタクリル酸メチル28.8重量部、アクリル酸
エチル1.2重量部およびオクチルメルカプタン 0.
06重量部の混合物を1時間あたり約30重量部の割合
で連続的に加えた。フィード終了後、さらに1時間重合
を追い込んで反応を終了した。このようにして多層構造
重合体粒子のラテックスを得た。得られた多層構造重合
体粒子の平均粒径は、115nmであった。得られたラ
テックスに、別途乳化重合したメタクリル樹脂のラテッ
クスを固形分の重量比で1:1となるようにブレンドし
た後、凍結法で固形物を取り出した。洗浄を行って乾燥
させることにより、多層構造重合体粒子をメタクリル樹
脂粒子との混合物(多層構造重合体粒子/メタクリル樹
脂粒子の重量比:1/1)の形態(白色粉体状)で得
た。
【0055】実施例5、6(多層構造重合体粒子−2、
3の合成) 下記表1に示すように実施例2および3でそれぞれ得ら
れたゴム粒子含有ラテックスを用いる以外は、実施例4
と同様の方法で乳化重合、取り出し、洗浄を行うことに
よって、多層構造重合体粒子をメタクリル樹脂粒子との
混合物(多層構造重合体粒子/メタクリル樹脂粒子の重
量比:1/1)の形態で得た。得られた多層構造重合体
粒子の平均粒径を表1に示す。
【0056】実施例7(多層構造重合体粒子−4の合
成) 単量体として、メタクリル酸メチル28.8重量部およ
びアクリル酸エチル1.2重量部の混合物の代わりに、
スチレン22.8重量部およびアクリロニトリル7.2
重量部の混合物を用いる以外は、実施例4と同様の方法
で乳化重合、取り出し、洗浄を行うことによって、多層
構造重合体粒子をメタクリル樹脂粒子との混合物(多層
構造重合体粒子/メタクリル樹脂粒子の重量比:1/
1)の形態で得た。得られた多層構造重合体粒子の平均
粒径を表1に示す。
【0057】比較例3、4(多層構造重合体粒子−5、
6の合成) 下記表1に示すように比較例1および2でそれぞれ得ら
れたゴム粒子含有ラテックスを用いる以外は、実施例4
と同様の方法で乳化重合、取り出し、洗浄を行うことに
よって、多層構造重合体粒子をメタクリル樹脂粒子との
混合物(多層構造重合体粒子/メタクリル樹脂粒子の重
量比:1/1)の形態で得た。得られた多層構造重合体
粒子の平均粒径を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】上記表1中、「MMA」はメタクリル酸メ
チルを、「EAA」はアクリル酸エチルを、「St」は
スチレンを、「AN」はアクリロニトリルをそれぞれ意
味する。
【0060】実施例8〜11(多層構造重合体粒子含有
樹脂組成物の調製) 実施例4〜7でそれぞれ得られた多層構造重合体粒子と
メタクリル樹脂粒子との混合物を、メタクリル樹脂
((株)クラレ製HR−L)と、該混合物/メタクリル
樹脂の重量比が57.2/42.8となる割合(すなわ
ち、多層構造重合体粒子/全メタクリル樹脂の重量比が
28.6/71.4となる割合)で溶融混練することに
よって、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を射出
成形し、ASTM D256にしたがって成形品のIz
od(アイゾット)衝撃強度を測定した。また、射出成
形品について、ASTM D1003にしたがって、全
光線透過率を測定した。得られた結果を表2に示す。
【0061】比較例5、6(多層構造重合体粒子含有樹
脂組成物の調製) 比較例3および4でそれぞれ得られた多層構造重合体粒
子とメタクリル樹脂粒子との混合物を、メタクリル樹脂
((株)クラレ製HR−L)と、該混合物/メタクリル
樹脂の重量比が57.2/42.8となる割合(すなわ
ち、多層構造重合体粒子/全メタクリル樹脂の重量比が
28.6/71.4となる割合)で溶融混練することに
よって、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物につい
ての評価結果を表2に示す。
【0062】
【表2】
【0063】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、熱可塑
性樹脂に配合した場合における耐衝撃性の改良効果が大
きい多層構造重合体粒子ならびに該多層構造重合体粒子
を与えるゴム粒子およびそのラテックスが提供される。
該多層構造重合体粒子と熱可塑性樹脂とからなる樹脂組
成物およびその成形品によれば、優れた耐衝撃性と該熱
可塑性樹脂本来の優れた性能とを両立させることができ
る。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタクリレートおよびアクリレートから
    なる群から選ばれる少なくとも1種の不飽和カルボン酸
    エステル化合物を合計量において1〜99重量%含有
    し、かつ共役ジエン化合物を99〜1重量%含有する単
    量体を乳化重合法により共重合させるにあたって、
    (A)乳化剤として、アニオン系乳化剤を単量体全量に
    対して1〜8重量%の割合で使用し、(B)開始剤系と
    して、有機過酸化物と遷移金属塩の混合物を使用し、
    (C)該有機過酸化物を、重合反応開始時に、重合反応
    開始時点における反応系中の水に対して0.006〜
    0.1重量%の割合となるように使用し、かつ、(D)
    反応開始後、該有機過酸化物を1時間あたり、該水に対
    して0.001〜0.08重量%の割合で追加添加す
    る、ことを特徴とするゴム粒子の製造法。
  2. 【請求項2】 有機過酸化物を連続的または断続的に追
    加添加する請求項1記載の製造法。
  3. 【請求項3】 有機過酸化物に、該有機過酸化物10重
    量部に対して40〜200重量部の水および0.2〜
    0.5重量部の乳化剤を混合することによって調製した
    乳化液を追加添加する請求項1または2に記載の製造
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3に記載の製造法に
    より得られたゴム粒子。
  5. 【請求項5】 トルエン膨潤度から求められる架橋密度
    が3〜12mmol/リットルである請求項4記載のゴ
    ム粒子。
  6. 【請求項6】 請求項4または5に記載のゴム粒子を含
    有するラテックス。
  7. 【請求項7】 請求項4または5に記載のゴム粒子を含
    有するラテックス100重量部に対し、重合開始剤の存
    在下で、芳香族ビニル化合物、不飽和ニトリル化合物お
    よび不飽和カルボン酸エステル化合物からなる群から選
    ばれる少なくとも1種の単量体3〜50重量部を、1時
    間あたり3〜25重量部の速度で添加しながら重合させ
    ることからなる多層構造重合体粒子の製造法。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の製造法によって得られた
    多層構造重合体粒子。
  9. 【請求項9】 平均粒径が0.06〜0.15μmであ
    る請求項8記載の多層構造重合体粒子。
  10. 【請求項10】 請求項8または9に記載の多層構造重
    合体粒子と熱可塑性樹脂とを混合することによって得ら
    れた樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 熱可塑性樹脂がメタクリル樹脂である
    請求項10記載の樹脂組成物。
  12. 【請求項12】 請求項10または11に記載の樹脂組
    成物からなる成形品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1067154A2 (en) * 1999-07-08 2001-01-10 Kuraray Co., Ltd. Thermoplastic resin composition and multilayered container using the same
KR100479322B1 (ko) * 2001-11-15 2005-03-30 주식회사 엘지화학 아크릴계 충격보강제의 제조방법 및 이를 포함한열안정성이 향상된 피브이씨 조성물

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