JP2001316424A - 共重合体および共重合体含有メタクリル樹脂組成物 - Google Patents

共重合体および共重合体含有メタクリル樹脂組成物

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JP2001316424A
JP2001316424A JP2000138597A JP2000138597A JP2001316424A JP 2001316424 A JP2001316424 A JP 2001316424A JP 2000138597 A JP2000138597 A JP 2000138597A JP 2000138597 A JP2000138597 A JP 2000138597A JP 2001316424 A JP2001316424 A JP 2001316424A
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copolymer
mass
acid
monomer
latex
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JP2000138597A
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Takao Hasegawa
孝雄 長谷川
Koichi Ito
伊藤  公一
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 充分な透明性を有しながら耐候性および耐衝
撃性に優れたメタクリル樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 特定のアルキルアクリレートと1,3−
ブタジエンと必要により他の単量体とを特定の組成比で
乳化重合して得られた共重合体(I)のラテックスに、
特定の不飽和酸とアルキルアクリレートと必要により他
の単量体とを特定の組成比で乳化重合して得られた酸基
含有共重合体(A)、及び特定の酸素酸塩(B)の少な
くとも一方を添加して、共重合体(I)を肥大化させて
共重合体(II)とし、そのラテックスの存在下に、シア
ン化ビニル系単量体とメチルメタクリレートとを特定の
組成比で含む単量体混合物(C)の特定量を乳化重合し
て共重合体(III)を得、この共重合体(III)とメタク
リル樹脂を混合して樹脂組成物とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐候性および耐衝
撃性に優れる共重合体および共重合体含有メタクリル樹
脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】メタクリル樹脂は、プラスチック材料の
中でも透明性および光学的性質に卓越した特性を有し、
また、耐候性、表面光沢性、染顔料着色性、成形加工性
等においても極めて優れている。これらの特性を生かし
て、照明、看板、窓材、光学レンズ、テールランプ、メ
ーターカバー、ディスプレイ等、光学部材、建材、電気
機器部品、車輌部品、装飾品、雑貨などの多方面の分野
において利用されている。
【0003】このような種々の分野においてメタクリル
樹脂は耐衝撃性の改良が求められており、古くから種々
の改良方法が提案されている。
【0004】最も一般的な方法としては、メタクリル酸
メチル(メチルメタクリレート)単位を主成分とする連
続樹脂相中に、常温でゴム状を示す弾性体を粒子の形態
で不連続状に分散させる方法がとられている。常温でゴ
ム状を示す弾性体としては、例えばブタジエン単位を主
成分としたジエン系ゴム等の不飽和ゴム状重合体、或い
はアクリル酸ブチル単位、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル単位等を主成分としたアクリル酸エステル系重合体
(アクリル酸エステル系ゴム)やエチレン/酢酸ビニル
共重合体などの飽和ゴム状重合体が使用されている。
【0005】この方法において、不飽和ゴム状重合体の
導入は、耐衝撃性を発現させる点では優れているもの
の、その不飽和結合に起因する耐候性不良の問題があ
る。一方、アクリル酸エステル系重合体等の飽和ゴム状
重合体は、不飽和ゴム状重合体に比較して、ガラス転移
温度が高く、重合体自体の弾性率と弾性回復性が低い。
さらに、低温領域での耐衝撃性の発現性に劣っている。
【0006】一般に、これらゴム状重合体が粒子状の不
連続相としてメタクリル樹脂などの硬質樹脂の連続相中
に均一に分散した、2成分(ゴム−硬質樹脂)系の耐衝
撃性樹脂組成物を作製する場合、最終樹脂組成物の特性
に大きな影響を与える因子として、ゴム状重合体の組成
や、粒子径、架橋度、ゴム状重合体への硬質樹脂を形成
する単量体のグラフト重合性、硬質樹脂の分子量などが
挙げられる。
【0007】特公昭52−30996号には、架橋アク
リル酸エステル系重合体をゴム成分として用いた、耐候
性に優れた耐衝撃性熱可塑性樹脂の製法が開示されてい
る。この製法では、内部に硬質架橋樹脂を含ませたラテ
ックス状のゴム粒子の存在下で、スチレン及びMMA等
を含有する単量体混合物を重合させてグラフト重合体を
得ている。そして、このグラフト重合体は、耐衝撃性を
有するとともに耐候性が改良され、透明性も賦与される
と記載されている。また、特開昭48−55233号に
は、多段、逐次的に乳化重合を行うことにより、MMA
単位を含有する硬質熱可塑性重合体とアクリル酸エステ
ル系重合体とを含む、透明な耐衝撃性組成物が得られる
ことが記載されている。しかしながら、これらの方法で
得られる樹脂組成物は、透明性や低温領域での耐衝撃性
の点で必ずしも充分なものではなかった。
【0008】さらに、特開昭60−229911号公報
には、特に低温下での耐衝撃性を付与する目的で、ブタ
ジエン単位とアクリル酸アルキルエステル単位を主要構
成単位とするゴム状共重合体ラテックスに、特定の酸基
含有共重合体または/及び特定の酸素酸塩を添加して肥
大化して後、メタクリル酸メチル及びスチレンを主要成
分とする単量体混合物をグラフト共重合させることによ
って、耐衝撃性熱可塑性樹脂組成物を得ることが記載さ
れている。しかしながら、この樹脂組成物は耐候性およ
び耐衝撃性の更なる向上が求められていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、充分
な透明性を有しながら耐候性および耐衝撃性に優れた共
重合体および共重合体含有メタクリル樹脂組成物を提供
することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、アルキル基の
炭素数が1〜8の少なくとも1種のアルキルアクリレー
ト30〜99質量%と、1,3−ブタジエン1〜70質
量%と、これらと共重合可能な他の単量体0〜10質量
%とを乳化重合して得られた共重合体(I)のラテック
スに、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロト
ン酸、マレイン酸、フマル酸、ケイヒ酸、ソルビン酸お
よびp−スチレンスルホン酸からなる群から選ばれた少
なくとも1種の不飽和酸3〜40質量%と、アルキル基
の炭素数が1〜8の少なくとも1種のアルキルアクリレ
ート35〜97質量%と、これらと共重合可能な他の単
量体0〜40質量%とを乳化重合して得られた酸基含有
共重合体(A)、並びに酸素酸のアルカリ金属塩、アル
カリ土類金属塩、亜鉛塩、ニッケル塩およびアルミニウ
ム塩から選ばれた少なくとも1種の酸素酸塩(B)の少
なくとも一方を添加して、共重合体(I)を肥大化させ
て共重合体(II)とし、そのラテックスの存在下に、共
重合体(I)の100質量部に対して、シアン化ビニル
系単量体1〜70質量%と、メチルメタクリレート30
〜99質量%と、これらと共重合可能な他の単量体0〜
30質量%とからなる単量体混合物(C)10〜100
質量部を加えて乳化重合して共重合体(III)とし、そ
のラテックスから分離して得られた共重合体(III)に
関する。
【0011】また本発明は、上記共重合体(III)のラ
テックスに、共重合体(I)の100質量部に対して、
メチルメタクリレートを主成分とする単量体混合物
(D)5〜90質量部を加えて更に乳化重合して共重合
体(IV)とし、そのラテックスから分離して得られた共
重合体(IV)に関する。
【0012】さらに本発明は、メチルメタクリレート単
位を主成分とするメタクリル樹脂と、上記共重合体(II
I)又は上記共重合体(IV)を含有する耐衝撃性メタク
リル樹脂組成物に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の共重合体の主な特徴は、
アルキル基の炭素数が1〜8の少なくとも1種のアルキ
ルキレート単位と1,3−ブタジエン単位を有する共重
合体(I)のラテックス中の共重合体粒子を、酸基含有
共重合体(A)および酸素酸塩(B)の少なくとも一方
により肥大させて共重合体(II)を形成し、この共重合
体(II)のラテックスの存在下に、シアン化ビニル系単
量体とメチルメタクリレートとを含む単量体混合物を乳
化重合して得られる共重合体(III)で構成されること
にある。
【0014】共重合体(I)は、アルキル基の炭素数が
1〜8のアルキルアクリレート30〜99質量%と、
1,3−ブタジエン1〜70質量%と、必要により用い
るこれらと共重合可能な他の単量体10質量%以下を乳
化重合して得られるゴム状重合体である。アルキルアク
リレート、1,3−ブタジエン、および他の単量体の混
合比がこの範囲から外れると、良好な耐衝撃性と耐候性
を有しこれらのバランスのとれた共重合体を得ることが
困難となる。
【0015】アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルア
クリレートは、メチルアクリレート、エチルアクリレー
ト、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレ
ートが好ましい。アルキル基の炭素数が1〜8のアルキ
ルアクリレートは2種以上を併用してもよい。
【0016】アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルア
クリレート及び1,3−ブタジエンと共重合可能な他の
単量体としては、単官能性単量体または多官能性のビニ
ル系単量体が挙げられ、例えば、アクリロニトリル、メ
チルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステル
類に代表される単官能性単量体、ジビニルベンゼン、エ
チレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコー
ルジアクリレート、エチレングリコールジアクリレー
ト、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレ
ート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペン
タエリストールテトラアクリレート等の多官能性単量体
が挙げられる。
【0017】共重合体(I)を得るための乳化重合につ
いては公知の手法によって行うことができ、乳化重合の
際にグラフト交叉剤や架橋剤やメルカプタン等の連鎖移
動剤を添加することも可能である。
【0018】乳化重合によって得られる共重合体(I)
の平均粒子径は、0.03〜0.2μmの範囲が好まし
く、0.05〜0.15μmの範囲がより好ましい。こ
の粒子径の範囲内では、重合温度や重合速度等の重合条
件の制御が容易であり、また、後の工程の肥大化処理に
おいて所望の粒子径に制御しやすくなり、さらに、最終
生成物の耐衝撃性や外観をより良好にすることができ
る。
【0019】上記のようにして得られる共重合体(I)
のラテックス粒子は、酸基含有共重合体(A)及び酸素
酸塩(B)の少なくとも一方により肥大化させる。本発
明における肥大化とは、複数の共重合体(I)粒子が凝
集していることや、凝集した複数の共重合体(I)粒子
の少なくとも一部が凝集体の内部で互いに結合している
ことをいう。肥大化された共重合体(II)の平均粒子径
は0.1〜0.5μmの範囲が好ましい。
【0020】酸基含有共重合体(A)は、アクリル酸、
メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、
フマル酸、ケイヒ酸、ソルビン酸およびp−スチレンス
ルホン酸からなる群から選ばれた少なくとも1種の不飽
和酸の単量体単位と、アルキル基の炭素数が1〜8の少
なくとも1種のアルキルアクリレート単位を含むことが
必要である。
【0021】ここでのアルキル基の炭素数が1〜8の少
なくとも1種のアルキルアクリレート単位としては、メ
チルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリ
レート、2−エチルヘキシルアクリレート等からなる単
量体単位が挙げられ、これらの2種以上を含んでいても
よい。
【0022】上記の不飽和酸単位とアルキルアクリレー
ト単位に加えて、40質量%以下の他の単量体単位を有
していてもよい。このような他の単量体としては、例え
ばメチルメタクリレートやその他のメタクリル酸エステ
ル、スチレン、α−メチルスチレンやその他のスチレン
誘導体、アクリロニトリル等からなる単量体単位を挙げ
ることができる。
【0023】酸基含有共重合体(A)は、上記不飽和酸
3〜40質量%と、上記アルキルアクリレート35〜9
7質量%と、必要によりこれらと共重合可能な他の単量
体40質量%以下とを乳化重合して得ることができる。
【0024】上記不飽和酸が3質量%未満では形成され
る酸基含有共重合体(A)の肥大化能力が小さくなりす
ぎ、また40質量%を超えると逆に肥大化能力が大きす
ぎて所望の粒子径に制御することが困難となる。また、
上記不飽和酸と上記アルキルアクリレートの組成比が上
記範囲を外れると、良好な耐衝撃性と耐候性を有しこれ
らのバランスのとれた共重合体を得ることが困難とな
る。
【0025】上記不飽和酸の最適量は、酸基含有共重合
体(A)に用いる上記アルキルアクリレートの親水性の
度合いによって適宜設定される。上記アルキルアクリレ
ートの親水性が高い場合には、上記不飽和酸の量が少な
い領域でも充分に肥大化でき、上記不飽和酸の量が多く
なりすぎるとラテックスが破壊されやすくなるため、不
飽和酸の量を比較的少なくする。逆に、上記アルキルア
クリレートの親水性が低い場合には、不飽和酸の量が少
ない領域では肥大化の効果が低いため、充分な肥大化効
果を得るためには、不飽和酸の量を比較的多くする。例
えば、親水性の高いアルキルアクリレートであるメチル
アクリレートやエチルアクリレートの場合には、不飽和
酸の量が5〜10質量%の場合が最適であるのに対し、
アルキル基の炭素数が4以上の比較的疎水性のアルキル
アクリレートであるブチルアクリレートや2−エチルヘ
キシルアクリレートの場合は、不飽和酸の量が13〜2
0質量%の場合が最適となる。なお、親水性の比較的高
いアルキルアクリレートを用いる場合に比較して、疎水
性のアルキルアクリレートを用いる場合は、系が安定
し、カレット(粗大粒子)が形成されにくく均一な肥大
化粒子が得られやすい。
【0026】酸基含有共重合体(A)の製造は、前述の
不飽和酸の中から選ばれた少なくとも1種の不飽和酸3
〜40質量%と、アルキル基の炭素数が1〜8の少なく
とも1種のアルキルアクリレート35〜97質量%と、
必要により用いるこれらと共重合可能な他の単量体40
質量%以下からなる単量体混合物を一括で仕込んで乳化
重合により行うことができる。また、2段階以上の多段
階で乳化重合を行って、2層以上の多層構造を有する酸
基含有共重合体(A)のラテックス粒子を得ることも可
能である。多段階で乳化重合を行う場合、各段階の単量
体組成は同一であっても異なっていてもよい。各段階の
単量体組成が異なる場合としては、まず1層目の重合と
して、前記不飽和酸を含有しない単量体または単量体混
合物を重合し、次いで2層目の重合として前記不飽和酸
を含有する単量体混合物を重合する方法が挙げられる。
例えば、アルキルアクリレートと不飽和酸とからなる酸
基含有共重合体(A)の場合、酸基含有共重合体(A)
全体に対して15〜55質量%のアルキルアクリレート
を乳化重合して得られたラテックスに、酸基含有共重合
体(A)全体に対してアルキルアクリレート0〜82質
量%と不飽和酸3〜40質量%とからなる単量体混合物
を乳化重合して得られる酸基含有共重合体(A)が好ま
しい。
【0027】上記の酸基含有共重合体(A)と同様に共
重合体(I)のラテックス粒子を肥大化するために使用
される酸素酸塩(B)は、酸素酸のアルカリ金属塩、ア
ルカリ土類金属塩、亜鉛塩、ニッケル塩およびアルミニ
ウム塩から選ばれた少なくとも1種の酸素酸塩(B)で
ある。
【0028】酸素酸塩(B)を構成する酸素酸として
は、その中心元素が、元素の周期表で第III族(第13
族)〜第VI族(第16族)の第2および第3周期に属す
るものが好ましく、例えば、硫酸や硝酸、リン酸を用い
ることが好ましい。このような酸素酸の塩としては、酸
素酸のカリウム塩やナトリウム塩、マグネシウム塩、カ
ルシウム塩、ニッケル塩、アルミニウム塩等が挙げられ
る。中でも、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグ
ネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸マグネシウムが好
ましい。酸素酸塩(B)は2種以上を併用してもよい。
【0029】以上に述べた、酸基含有共重合体(A)と
酸素酸塩(B)の少なくとも一方をゴム状共重合体
(I)と混合し、共重合体(I)を肥大させ、共重合体
(II)を形成する。酸基含有共重合体(A)と酸素酸塩
(B)の添加量は、両者のトータルで、共重合体(I)
100質量部当たり0.1〜20質量部が好ましく、
0.1〜4質量部がより好ましい。このような混合比と
することによって肥大化がより効率的に行われ、また、
粒子径の大きい共重合体(II)のラテックスの安定性が
大幅に向上する。
【0030】酸基含有共重合体(A)と酸素酸塩(B)
の少なくとも一方を用いて肥大化処理を行う場合、これ
らを添加した共重合体(I)のラテックスのpH値は7
〜8であることが好ましい。pH値が低すぎると充分な
肥大化効果を得ることは難しく、またpH値が高すぎる
と、得られた共重合体が熱着色しやすくなるために好ま
しくない。ラテックスのpH値は、NaOH水溶液また
はKOH水溶液等のアルカリ性液体を添加することによ
り7〜8にすることができる。
【0031】上記共重合体(II)の存在下で、シアン化
ビニル系単量体1〜70質量%と、メチルメタクリレー
ト30〜99質量%と、必要により用いるこれらと共重
合可能な他の単量体30質量%以下からなる単量体混合
物(C)10〜100重量部(共重合体(I)の100
質量部当たり)を1段階または多段階で乳化重合するこ
とにより、本発明の共重合体(III)を得ることができ
る。多段階で乳化重合を行う場合、各段階の単量体混合
物の組成は同一であっても異なっていてもよい。また、
単量体混合物(C)の組成比および混合量が上記範囲を
逸脱すると、所望の共重合体および共重合体含有メタク
リル樹脂組成物を得ることが困難になる。
【0032】上記乳化重合に用いられるシアン化ビニル
系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニト
リル等が挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。
また、他の単量体としては、アクリル酸エステルやメタ
クリル酸エステル、スチレン、α−メチルスチレン、そ
の他のスチレン誘導体が挙げられる。
【0033】単量体混合物(C)による乳化重合は、本
発明の共重合体(III)を、マトリックスとして硬質メ
タクリル樹脂と混合してなる共重合体含メタクリル樹脂
組成物を形成する場合、相溶性を高めることができる。
【0034】また、単量体混合物(C)に含まれるシア
ン化ビニル系単量体は、ゴム相である共重合体(II)と
マトリックス(硬質メタクリル樹脂)との間のフィブリ
ル強度を向上させる働きがあり、耐衝撃性の点で極めて
重要な効果をもつ。
【0035】単量体混合物(C)の共重合体と共重合体
(II)とはグラフト結合されていることが好ましい。そ
のためには、共重合体(I)を構成する単量体単位鎖内
にグラフト交叉剤の単量体単位を含有させて、単量体混
合物(C)の共重合体と共重合体(II)とをグラフト結
合させる方法がある。また共重合体(I)を構成する単
量体単位にグラフト交叉剤が含有されていない場合であ
っても、共重合体(II)のラテックスに単量体混合物
(C)を添加し保持することによって単量体混合物
(C)を構成する単量体を共重合体(II)に含浸させ、
その後、単量体混合物(C)を共重合することによっ
て、単量体混合物(C)の共重合体と共重合体(II)と
をグラフト結合させる方法がある。単量体混合物(C)
にはグラフト交叉剤が含有されていることが好ましい。
グラフト交叉剤としては、アクリル酸、メタクリル酸、
マレイン酸、フマル酸、イタコン酸のアリルエステル、
メタリルエステル、クロチルエステル等が挙げられる。
【0036】本発明の共重合体(III)に対して、更に
もう1層重合体層を有する共重合体(IV)は、メタクリ
ル樹脂との相容性が更に高くなり、共重合体(IV)を含
有する樹脂組成物の透明性を更に良好にせしめる。この
もう1層の重合体層は、共重合体(III)のラテックス
の存在下、メチルメタクリレートを主成分とする単量体
混合物(D)5〜90質量部(共重合体(I)の100
質量部に対して)を加えて乳化重合することによって形
成され、共重合体(III)が共重合体(IV)となる。メ
チルメタクリレートを主成分とする単量体混合物(D)
とは、メチルメタクリレート80〜100質量%と、メ
チルメタクリレートと共重合可能な他の単量体0〜20
質量%とからなる単量体または単量体混合物のことであ
る。メチルメタクリレートと共重合可能な他の単量体と
してはアルキル基の炭素数が1〜4のアルキルアクリレ
ートが挙げられる。単量体混合物(D)を重合させた重
合体層は、単量体混合物(C)を重合させた重合体層と
グラフト結合されていることが好ましい。グラフト結合
されるためには、単量体混合物(C)にグラフト交叉剤
が含有されていることが好ましい。
【0037】本発明の共重合体(III)または(IV)
は、共重合体単独でも共重合体同士の混合物であって
も、耐衝撃性樹脂として用いることができる。
【0038】本発明の共重合体(III)又は(IV)に
は、ヒンダードフェノール系、フォスファイト系、チオ
エーテル系等の酸化防止剤、ヒンダードアミン系、ベン
ゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、有機ニッケル系
等の光安定剤、滑剤、可塑剤、染顔料、充填剤等を適宜
加えてもよい。
【0039】本発明の共重合体(III)又は(IV)は、
後述のメチルメタクリレート単位を主成分とするメタク
リル樹脂と混合することにより、メタクリル樹脂の耐衝
撃性を向上させた共重合体含有メタクリル樹脂組成物を
得ることができる。
【0040】本発明における乳化重合は公知の乳化重合
法によって得られ、必要に応じて、乳化剤、開始剤、架
橋剤、グラフト交叉剤、連鎖移動剤等を適宜選択して用
いることができる。
【0041】乳化剤としては、アニオン系、カチオン
系、ノニオン系の界面活性剤が使用できるが、特にアニ
オン系の界面活性剤が好ましい。アニオン系界面活性剤
としては、オレイン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウ
ム、ミリスチン酸ナトリウム、N−ラウロイルザルコシ
ン酸ナトリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム等のカ
ルボン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル
塩、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエー
テルジスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩、ポリオ
キシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸ナトリウ
ム等のリン酸エステル塩などが挙げられる。
【0042】重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキ
サイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハ
イドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキ
サイド、ジ−t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸
化水素等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等の
アゾ化合物、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の
過硫酸化合物、過塩素酸化合物、過ホウ酸化合物、過酸
化物と還元性スルホキシ化合物との組合わせからなるレ
ドックス系開始剤が挙げられる。
【0043】乳化重合温度は、用いる重合開始剤の種類
や量によって適宜設定されるが、40〜120℃の範囲
で行うことができ、60〜95℃の範囲が好ましい。
【0044】重合開始剤の添加方法としては、水相と単
量体相のいずれか片方または双方に添加する方法を用い
ることができ、単量体相に重合開始剤を含有させた場合
は、一括重合方式や滴下方式によるシード重合を行うこ
とができる。
【0045】架橋剤としては、エチレングリコール、
1,3−ブチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、ポリエチレングリコールのアクリル酸あるいはメタ
クリル酸のジエステル、トリメチロールプロパントリア
クリレート、トリアリルイソシアヌレート、ペンタエリ
スリトールテトラアクリレート等が挙げられる。
【0046】グラフト交叉剤としては、前記のものが挙
げられる。
【0047】架橋剤は、それが有する複数の官能基の反
応性が実質的に全て等しく、主に共重合体(I)や単量
体混合物(C)の重合体の層内の架橋を形成するが、グ
ラフト交叉剤は、それが有する複数の官能基の内の少な
くとも一つが他と反応性が異なり、このような官能基の
反応性の差のため共重合体(I)と単量体混合物(C)
の重合体との間、または単量体混合物(C)の重合体と
単量体混合物(D)の重合体との間の層間の化学結合を
有効に形成させる働きがある。
【0048】連鎖移動剤の使用によって、グラフト率を
調整したり、共重合体(I)や単量体混合物(C)や
(D)の重合体の分子量を調節することができる。この
ような連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタンが望
ましく、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカ
プタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメル
カプタン等が挙げられる。
【0049】乳化重合後のラテックス中の共重合体(II
I)又は(IV)は、凝固法、スプレードライ法、圧搾押
出法などによって、乾燥状ポリマー粉の形態で取り出す
ことができる。
【0050】凝固法については、酸凝固法、塩凝固法な
ど公知の方法が用いられる。洗浄された凝固粉は、遠心
脱水機で脱水後、湿潤状重合体を熱風乾燥させてパウダ
ー状ポリマーとしたり、湿潤状重合体を圧搾押出によっ
てフレーク状ポリマーとすることができる。
【0051】本発明の共重合体含有メタクリル樹脂組成
物を構成するメタクリル樹脂としては、メチルメタクリ
レート単位を主成分とするメタクリル樹脂が好ましい。
【0052】メチルメタクリレート単位を主成分とする
メタクリル樹脂とは、メチルメタクリレート単位60〜
100質量%、他の共重合可能な単量体単位0〜40質
量%からなるメタクリル樹脂のことである。他の共重合
可能な単量体としては、アルキル基の炭素数が1〜4の
アルキルアクリレート、スチレン、アクリル酸、メタク
リル酸、イタコン酸、マレイン酸等が挙げられる。
【0053】メタクリル樹脂の重合方法としては特に限
定されるものではなく一般公知の重合方法、例えば乳化
重合法、懸濁重合法、バルク重合法、溶液重合法、叉は
それらの組み合わせの方法等を目的に応じて選択すれば
よい。
【0054】本発明の共重合体含有メタクリル樹脂組成
物を構成する共重合体(III)又は(IV)と上記メタク
リル樹脂との混合方法は、溶融混合法により行うことが
好ましい。
【0055】共重合体(III)又は(IV)とメタクリル
樹脂との混合比(質量比)は、1/99〜99/1の範
囲とすることができるが、得られた樹脂組成物の透明性
と耐衝撃性のバランスの点から5/95〜40/60
(共重合体/メタクリル樹脂)の範囲が好ましい。
【0056】溶融混合に先立っては、必要があれば、ヒ
ンダードフェノール系、フォスファイト系、チオエーテ
ル系等の酸化防止剤、ヒンダードアミン系、ベンゾトリ
アゾール系、ベンゾフェノン系、有機ニッケル系等の光
安定剤、滑剤、可塑剤、染顔料、充填剤等を適宜加えて
もよい。
【0057】V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等の
混合機を用いて、共重合体(III)又は(IV)とメタク
リル樹脂と必要により上記添加剤とを混合した後、ミキ
シングロール、スクリュー型押出機等を用いて150〜
300℃で溶融混練させ、得られたペレット状の樹脂を
押出成形機、射出成形機等を用い所望の形態に成形する
ことにより、本発明の耐衝撃性メタクリル樹脂組成物が
得られる。
【0058】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明す
る。なお、実施例中の「%」は質量%を示す。
【0059】実施例に示した諸特性の測定は下記の方法
に従って実施した。
【0060】[平均粒子径の測定]光散乱光度計DLS
700(大塚電子製)を用いて動的光散乱法でラテック
ス状態の試料を測定した。
【0061】[アイゾット(Izod)衝撃強度の測
定]ASTM D−1003−52に従って、23℃、
−30℃、及び下記の加速曝露試験後の試験片について
行った。
【0062】[加速曝露試験]スガ試験機(株)社製の
サンシャインウェザーメーター(WEL−SON−DC
型)を使用して、 ブラツクパネル温度=63℃ 降雨=60分中12分 曝露時間=1000時間 の条件にて加速暴露を行った。
【0063】[イエローインデックス(Y.I)の測
定]加速暴露試験後の試験片について、ASTM−D1
925に従って行った。
【0064】[実施例1] 共重合体(I)の調製 下記の全ての物質を40Lオートクレーブに仕込み、5
0℃で9時間乳化重合した。なお、下記の物質の中で
1,3-ブタジエンを除く物質については、重合開始前
に、その中に含まれる酸素を窒素で置換し、実質上重合
反応を阻害しない状態とした。その結果、転化率97%
で、平均粒子径0.09μmの共重合体(I)のラテッ
クスが得られた。
【0065】 ブチルアクリレート 5.5kg 1,3−ブタジエン 4.5kg ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド 20g 牛脂脂肪酸カリウム 100g N−ラウロイルザルコシン酸ナトリウム 50g ピロリン酸ナトリウム 50g 硫酸第一鉄 0.5g デキストローズ 30g 脱イオン水 20kg 酸基含有共重合体(A)の調製 下記の組成の混合物を5Lのガラス製丸底フラスコに入
れ、70℃で1.5時間重合させた(1段目の重合)。
【0066】 ブチルアクリレート 250g オレイン酸カリウム 20g ジオクチルスルホコハク酸ソーダ 10g クメンヒドロパーオキシド 10g ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 3g 脱イオン水 2000g 引き続き70℃で、下記の組成の混合物を1時間かけて
滴下し、その後1時間攪拌を続けて重合を行い(2段目
の重合)、酸基含有共重合体(A)のラテックスを得
た。転化率は98%であった。
【0067】 ブチルアクリレート 600g メタクリル酸 150g クメンヒドロパーオキシド 3g 共重合体(II)の調製(共重合体(I)の肥大化処理) 60Lオートクレーブ中にて、共重合体(I)のラテッ
クス(ポリマー固形分10kgを含む)を内温30℃で
攪拌しながら、酸基含有共重合体(A)のラテックスを
300g加え、その後30分間保持して、平均粒子径が
0.132μmの肥大化された共重合体のラテックスを
得た。
【0068】その後、内温50℃で攪拌しながら、10
%硫酸ナトリウム水溶液340gを加え、その後15分
間保持して、平均粒子径が0.148μmの共重合体
(II)のラテックスを得た。
【0069】共重合体(III)の形成 上記の共重合体(II)のラテックスへ、下記の組成の混
合物を攪拌しながら一括添加し、その後1時間保持し
て、添加した混合物を共重合体(II)に含浸させ、 アクリロニトリル 1.0kg メチルアクリレート 0.8kg メチルメタクリレート 1.2kg クメンヒドロパーオキシド 3.0g 1,3−ブチレングリコールジメタクリレート 50.0g アリルメタクリレート 50.0g 続いて、下記の混合物を一括添加した後、15分間保持
した。
【0070】 N−ラウロイルザルコシン酸ナトリウム 50g 脱イオン水 1000g 引き続き、下記の物質を順番に一括添加して60分間保
持し、その後に、内温を80℃に昇温し、1時間保持し
て共重合体(III)のラテックスを得た。
【0071】 エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム 0.0875g 硫酸第一鉄 0.00286g ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート 15.0g 脱イオン水 300g 共重合体(IV)の形成 次に、下記の組成の単量体含有混合物を60分間かけて
添加し、その後さらに60分間重合を継続して行い共重
合体(IV)のラテックスを得た。その際、メチルメタク
リレートの転化率は99%であった。
【0072】 メチルメタクリレート 0.95kg メチルアクリレート 0.05kg ノルマルオクチルメルカプタン 1.0g t−ブチハイドロパーオキサイド 0.5g 添加剤の混合 次に、50℃の温度条件下、上記共重合体(IV)のラテ
ックスに攪拌しながら下記の混合物を加えた。
【0073】 牛脂脂肪酸カリウム 100g スチレン化フェノール 58g ジラウリルチオプロピオネート 44g トリフェニルフォスファイト 58g 脱イオン水 500g ラテックス中の共重合体(IV)の回収 その後、内温を40℃以下にした状態で60Lオートク
レーブから共重合体(IV)のラテックスを取り出した。
【0074】次いで、純水20kgを40リットルポリ
バケツ(登録商標)に仕込み、攪拌機で攪拌しながら蒸
気式加熱装置で内温50℃とした。次いで内温を50℃
に保ったまま、10%硫酸水50gを一括投入し、次に
ラテックス10kgを5分間で投入した。その5分後
に、内温を85℃に昇温してさらに5分間保持した後、
濾布状の袋の中に注いで凝固物を取り出した。得られた
凝固物を洗浄、脱水した後、65℃で36時間乾燥し白
色の粉末状共重合体(IV)を得た。
【0075】共重合体含有メタクリル樹脂組成物の製造 この粉末状の共重合体(IV)3.0kg、メタクリル樹
脂(三菱レイヨン(株)製、アクリペットSVH)7.
0kg、ステアリン酸モノグリセライド10g、紫外線
吸収剤(チバガイキー社製チヌビンP)20g、紫外線
吸収剤(三共(株)製サノールLS770)30g、リ
ン系安定剤(旭電化(株)社製2112)15g、ヒン
ダードフェノール系安定剤(旭電化(株)社製AO6
0)20gの混合物を、20L容量のヘンシェルミキサ
ーで5分間ブレンドした。
【0076】次いで、30mmφの2軸押出機(池貝鉄
工(株)製PCM−30)を使用してシリンダー温度2
30℃〜260℃、回転数250rpmにて樹脂組成物
のペレット化を行った。
【0077】得られたペレット状樹脂組成物をスクリュ
ー式射出成形機(東芝製IS−22PN)を使用してシ
リンダー温度260℃、射出圧(ゲージ圧)4.9×1
6Pa(50kg/cm2)にて、110×110×3
(厚さ)mmと70×12.5×6.2(厚さ)mmの
サイズの試験片を作製した。
【0078】これらの試験片について種々の測定を行
い、表1に示す評価結果を得た。この結果から、本発明
による共重合体含有メタクリル樹脂組成物は、低温下に
おいても優れた耐衝撃性を示し、且つ耐熱性、耐着色
性、耐候性に優れていることがわかる。
【0079】
【表1】
【0080】[実施例2、3、比較例1〜3]共重合体
(I)の調製に用いた単量体含有混合物の単量体組成を
表2に示す組成とし、また1,3−ブチレングリコール
ジメタクリレートとtert-ドデシルメルカプタンを表2
に示すとおりに用いた以外には実施例1と同様にして共
重合体含有メタクリル樹脂組成物を得た。
【0081】その評価結果を表3に示す。本発明の共重
合体含有メタクリル樹脂組成物は、耐衝撃性、耐候性、
耐熱性、耐着色性に優れていることがわかる。また、本
発明による共重合体含有メタクリル樹脂組成物(実施例
2、3)に比べて、ブタジエン単位を多く含む共重合体
(I)を用いた樹脂組成物(比較例1)は耐熱性および
耐候性が劣る。また、アルキルアクリレートに代えてス
チレン単位を多く含む共重合体(I)を用いた樹脂組成
物(比較例2)はブタジエン単位を有していながら耐衝
撃性が劣る。また、ブタジエン単位を含まない共重合体
(I)を用いた樹脂組成物(比較例3)は耐衝撃性が劣
る。また、比較例は、いずれも耐着色性が劣っている。
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】[実施例4〜7、比較例4、5]酸基含有
共重合体(A)を構成する単量体含有混合物中の単量体
組成、共重合体(I)のラテックスに添加する酸基含有
共重合体(A)のラテックス量、および酸素酸塩(B)
の種類と量を、表4に示すように変更したこと以外は、
実施例1と同様にして共重合体含有メタクリル樹脂組成
物を得た。
【0085】その評価結果を表5に示す。本発明の共重
合体含有メタクリル樹脂組成物は、耐衝撃性、耐候性、
耐熱性、耐着色性に優れていることがわかる。また、比
較例の結果からは、本発明で特定される範囲外の単量体
組成で製造した酸基含有共重合体を用いた場合、ラテッ
クス粒子の充分な肥大化ができず、形成されたメタクリ
ル樹脂組成物は物性が劣ることがわかる。
【0086】
【表4】
【0087】
【表5】
【0088】[実施例8〜12、比較例6〜8]共重合
体(III)の形成に用いる単量体混合物(C)と共重合
体(IV)の形成に用いる単量体混合物(D)の単量体組
成を、表6に示す単量体組成に変更した以外は、実施例
1と同様にして共重合体(III)又は(IV)を得、これ
らを用いてメタクリル樹脂組成物を作製した。
【0089】その評価結果を表7に示す。本発明の共重
合体含有メタクリル樹脂組成物は、耐衝撃性、耐候性、
耐熱性に優れていることがわかる。また、比較例の結果
からは、単量体混合物(C)の重合においてシアン化ビ
ニル系単量体やメチルメタクリレートを用いなかった
り、これらの組成が本発明で特定する範囲を外れている
と、耐衝撃性や耐熱性の劣ったものとなることがわか
る。
【0090】
【表6】
【0091】
【表7】
【0092】[実施例13]共重合体(IV)10kgを
用い、メタクリル樹脂を混合しなかった以外は、実施例
1と同様にして行った。結果を表1に示す。樹脂成分と
して共重合体(IV)のみを用いた場合であっても、耐衝
撃性、耐候性、耐熱性、耐着色性に優れていることがわ
かる。
【0093】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の共重合
体および共重合体含有メタクリル樹脂組成物は、常温お
よび低温において良好な耐衝撃性を備え、耐候性、耐熱
性および透明性にも優れていることから、メタクリル樹
脂の特性が必要とされる照明器具、看板、窓材、光学部
品、テールランプやメーターカバー等の車両用外装部
品、建材などの種々の分野で好適に用いることができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 222/02 C08F 222/02 236/06 236/06 291/00 291/00 C08J 3/20 CEY C08J 3/20 CEYA CEYZ C08L 33/08 C08L 33/08 33/12 33/12 51/00 51/00 Fターム(参考) 4F070 AA06 AA29 AA32 AB09 AB11 AC19 AC20 AC83 AE30 FA05 FB09 4J002 AC02X BG00Y BG01Y BG04X BG04Y BG04Z BG06W BG10Y BG10Z BH00Y BN12X BN21X DF036 DG046 DH046 FD206 4J011 AA05 AA06 AA08 BA03 BA04 BA08 BB07 DA01 PA08 PA09 PA10 PA54 PA65 PA69 PA70 PB40 PC02 4J026 AA20 AA43 AA45 AA53 AA68 AC15 AC18 AC23 BA27 BA31 BB01 BB02 DA04 DB04 FA04 GA01 GA06 GA08 GA09 4J100 AB02R AB03R AB07Q AB16R AJ01Q AJ02Q AJ08Q AJ09Q AL03P AL03R AL04P AL62R AL63R AM02R AQ20R AS02Q AS06Q BA15Q BA56Q CA04 CA05 EA07 FA20 JA00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルキル基の炭素数が1〜8の少なくと
    も1種のアルキルアクリレート30〜99質量%と、
    1,3−ブタジエン1〜70質量%と、これらと共重合
    可能な他の単量体0〜10質量%とを乳化重合して得ら
    れた共重合体(I)のラテックスに、 アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、
    マレイン酸、フマル酸、ケイヒ酸、ソルビン酸およびp
    −スチレンスルホン酸からなる群から選ばれた少なくと
    も1種の不飽和酸3〜40質量%と、アルキル基の炭素
    数が1〜8の少なくとも1種のアルキルアクリレート3
    5〜97質量%と、これらと共重合可能な他の単量体0
    〜40質量%とを乳化重合して得られた酸基含有共重合
    体(A)、並びに酸素酸のアルカリ金属塩、アルカリ土
    類金属塩、亜鉛塩、ニッケル塩およびアルミニウム塩か
    ら選ばれた少なくとも1種の酸素酸塩(B)の少なくと
    も一方を添加して、共重合体(I)を肥大化させて共重
    合体(II)とし、そのラテックスの存在下に、 共重合体(I)の100質量部に対して、 シアン化ビニル系単量体1〜70質量%と、メチルメタ
    クリレート30〜99質量%と、これらと共重合可能な
    他の単量体0〜30質量%とからなる単量体混合物
    (C)10〜100質量部を加えて乳化重合して共重合
    体(III)とし、そのラテックスから分離して得られた
    共重合体(III)。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の共重合体(III)のラテ
    ックスに、共重合体(I)の100質量部に対して、メ
    チルメタクリレートを主成分とする単量体混合物(D)
    5〜90質量部を加えて更に乳化重合して共重合体(I
    V)とし、そのラテックスから分離して得られた共重合
    体(IV)。
  3. 【請求項3】 メチルメタクリレート単位を主成分とす
    るメタクリル樹脂と、請求項1記載の共重合体(III)
    又は請求項2記載の共重合体(IV)を含有する耐衝撃性
    メタクリル樹脂組成物。
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