JPH1018093A - 皮膜形成方法及び皮膜形成金属素材 - Google Patents

皮膜形成方法及び皮膜形成金属素材

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JPH1018093A
JPH1018093A JP16801196A JP16801196A JPH1018093A JP H1018093 A JPH1018093 A JP H1018093A JP 16801196 A JP16801196 A JP 16801196A JP 16801196 A JP16801196 A JP 16801196A JP H1018093 A JPH1018093 A JP H1018093A
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JP
Japan
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film
monomer
emulsion
aep
active ester
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JP16801196A
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Motohiro Sasaki
基寛 佐々木
Katsuaki Yoshioka
克昭 吉岡
Katsutoshi Nagai
勝利 長井
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Nippon Paint Co Ltd
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Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リンやクロム化合物を使用せず、スラッジを
発生させない耐食性に優れた金属表面の皮膜形成方法を
提供する。 【解決手段】 金属素材に対して、(a)脱脂処理工
程、(b)アミノ系カップリング剤及び/又はメルカプ
ト系カップリング剤による前処理工程、(c)下記(c
−1)の皮膜形成工程、を順次経て、(c−1)の皮膜
形成工程は、(A),(B)又は(C)の少なくとも1
種の組成を含む水溶液に浸漬することにより皮膜を形成
する工程であり、(A)活性エステル基及びスルホニウ
ム基を同一分子内に含有するモノマー、(B)上記
(A)のモノマーとラジカル重合性不飽和モノマーとの
共重合により得られる活性エステル基を有するエマルシ
ョン、(C)無機粒子を核として、上記(A)のモノマ
ーとラジカル重合性不飽和モノマーとの共重合してなる
被覆層で上記無機粒子が被覆された活性エステル基を有
する複合エマルションである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は皮膜形成方法、特に
金属素材の下地処理(表面処理)において金属表面との
密着性及び耐食性に優れた有機皮膜あるいは有機皮膜及
び無機皮膜を形成する皮膜形成方法及び皮膜形成された
金属素材に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、金属表面に塗装する場合には、ま
ず金属表面の脱脂を行った後、下地処理(表面処理)を
行い、その後塗装を行う。従来、金属表面処理として
は、金属表面に耐食性を付与したり、金属表面上に塗装
される塗料と金属表面との密着性を向上させるために、
例えばリン酸亜鉛処理あるいはクロメート処理が行われ
ている。
【0003】しかしながら、リン酸亜鉛処理の場合に
は、廃水中に含まれるリンが水質の富栄養化をもたら
し、水質汚染の原因となるおそれがあり、また表面処理
中にスラッジも発生する。一方、クロメート処理の場合
には、処理液中のクロムが有害物質であり、環境や人体
に悪影響を及ぼすおそれがある。このため、通常、高価
な廃水処理設備が必要となり、経済性にやや劣るという
問題があった。
【0004】そこで、近年では、リンやクロム等の有害
物質を金属表面処理液に含まず、更にスラッジを発生し
ない、耐食性に優れた皮膜形成方法が望まれている。
【0005】なお、特開平2−264756号公報の
「感放射線性のあるエチレン系不飽和の共重合可能なス
ルホニウム塩及びその製造方法」には、下記化5に示す
一般式(II)の構造を有する光硬化性組成物が開示され
ている。
【0006】
【化5】 (式中、Rは、場合により置換された、一価の芳香族有
機基を意味し、R1 は、場合により置換された、一価の
有機脂肪族基で、アルキル−、シクロアルキル−及び置
換アルキル基の群からの1つの基を意味する。
【0007】R2 は、場合により置換された、二価又は
三価の脂肪族又は芳香族有機基を意味し、そして複素環
式又は縮合環構造を形成する。
【0008】aは、0より3まで(3を含む)の整数で
あり、bは、0より2まで(2を含む)の整数であり、
cは、0又は1に等しい整数であり、その際、和a+b
+c=3である。
【0009】Aは、酸の陰イオンを表す。
【0010】そして基R〜R2 の少なくとも1つは下記
化6に示す基の1つを結合して含み、
【化6】 上記化6の式中のWは、単結合又は下記化7に示す基の
1つを表し、
【化7】 上記化6の式中のXは、二価の、場合により置換された
下記化8に示すアルキレン基で、
【化8】 そのR′とR″は互いに同一又は異なりかつアリール、
1 〜C4 アルキル、H、COOH、COOCH3 、C
OOCH2 CH3 を表すもの、パーフルオロアルキレン
基、オキサアルキレン基 −(CH2 n −O−(CH
2 p −[n=1〜5及びp=1〜5]、パーフルオロ
オキサアルキレン基又は場合によりパーフルオロ化され
た、ポリオキサアルキレン基で2〜20の酸素原子を含
み、それらの酸素原子の少なくとも1つの−CH2 −、
−CF2 −又は−CH2 −CH(CH3 )−基を介して
互いに結合されれいるもの、−(CH2 m −O−CO
−O−(CH2 n −、−(CH2 m −O−CO−N
H−(CH2 n −、−(CH2 m −NH−CO−O
−(CH2 n − −(CH2 m −O−CO−(CH2 n −又は−(C
2 m −CO−O−(CH2 n −、[m=1〜1
0,n=1〜10]の基の1つ、場合により1〜4炭素
原子を含むアルキル、OH、OCH3 、OC2 5 、S
H,SCH3 、SC2 5 等によりo−、m−及び/又
はp−位置に置換されたフェニレン基等を表す。
【0011】Yは、H、1〜6炭素原子を含むアルキル
又はフェニルを、Zは、O又はNYを表す。) また、特開平5−32618号公報の「新規アクリレー
ト化合物」には、臨床診断用薬の担体等に利用される機
能性高分子の原料として、下記化9に示す構造を有する
新規アクリル誘導体が開示されている。
【0012】
【化9】 また、米国特許4,528,384号には、カチオン性
の新規ポリマーの原料として、例えば下記化10に示す
構造を有するエチレン性不飽和芳香族スルホニウム塩等
が開示されている。
【0013】
【化10】
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開平2−264756号公報、特開平5−32618号
公報、米国特許4,528,384号のそれぞれに開示
されたエチレン性不飽和芳香族スルホニウム塩は、いず
れも光硬化性組成物や、臨床診断用薬の担体や、カチオ
ン界面活性剤に用いられるものであり、金属素材の塗装
前の下地処理に用いた例はない。
【0015】すなわち、現在、金属材料表面の下地処理
において、金属表面に有機皮膜又は有機/無機皮膜から
なる皮膜を形成する方法は見当たらず、依然として環境
対策やスラッジ防止方法を講じながら、金属表面の下地
処理を行わなければならなかった。このため、高価な廃
水処理設備や金属表面処理設備が必要となり、経済性に
劣る。
【0016】本発明は上記従来の課題に鑑みたものであ
り、その目的は、金属素材の下地処理(表面処理)にお
いて金属表面との密着性及び耐食性に優れた有機皮膜あ
るいは有機皮膜及び無機皮膜を形成する皮膜形成方法を
提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ために、本発明に係る皮膜形成方法は、金属素材に対し
て、下記(a)〜(c)の工程を順次経る皮膜形成方法
であって、(a)脱脂処理工程、(b)アミノ系カップ
リング剤及び/又はメルカプト系カップリング剤による
前処理工程、(c)下記(c−1)又は(c−2)の皮
膜形成工程、前記(c−1)の皮膜形成工程は、下記
(A),(B)又は(C)の少なくとも1種の組成を含
む水溶液に浸漬することにより皮膜を形成する工程、
(A)活性エステル基及びスルホニウム基を同一分子内
に含有するモノマー、(B)上記(A)のモノマーとラ
ジカル重合性不飽和モノマーとの共重合により得られる
活性エステル基を有するエマルション、(C)無機粒子
を核として、上記(A)のモノマーとラジカル重合性不
飽和モノマーとの共重合してなる被覆層で上記無機粒子
が被覆された活性エステル基を有する複合エマルショ
ン、前記(c−2)の皮膜形成工程は、上記(A),
(B)又は(C)の少なくとも1種の組成を含む水溶液
に前記金属素材を浸漬し、この金属素材を陰極として、
前記陰極と陽極との間に通電し、前記組成を電解重合さ
せることにより皮膜を形成する工程、である皮膜形成方
法である。
【0018】(c)皮膜形成工程における上記(A),
(B)又は(C)の組成に含まれる(A)モノマーの活
性エステル基は、(b)前処理工程で用いられるカップ
リング剤中のアミノ基やチオール基と常温で素早く反応
する反応性が高い官能基である。従って、(b)前処理
工程において、金属表面に予めアミノ基やチオール基の
ような官能基を固定化しておけば、アミノ基やチオール
基のような官能基と活性エステル基が反応して、−CO
−NH−やCO−S−結合が形成され、上記(A),
(B)又は(C)の組成からなる密着性及び耐食性に優
れた有機皮膜あるいは有機皮膜/無機皮膜を金属表面に
形成することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】上述したように、本発明に係る皮
膜形成方法は、金属素材に対して、下記(a)〜(c)
の工程を順次経る皮膜形成方法であって、(a)脱脂処
理工程、(b)アミノ系カップリング剤及び/又はメル
カプト系カップリング剤による前処理工程、(c)下記
(c−1)又は(c−2)の皮膜形成工程、前記(c−
1)の皮膜形成工程は、下記(A),(B)又は(C)
の少なくとも1種の組成を含む水溶液に浸漬することに
より皮膜を形成する工程、(A)活性エステル基及びス
ルホニウム基を同一分子内に含有するモノマー、(B)
上記(A)のモノマーとラジカル重合性不飽和モノマー
との共重合により得られる活性エステル基を有するエマ
ルション、(C)無機粒子を核として、上記(A)のモ
ノマーとラジカル重合性不飽和モノマーとの共重合して
なる被覆層で上記無機粒子が被覆された活性エステル基
を有する複合エマルション、前記(c−2)の皮膜形成
工程は、上記(A),(B)又は(C)の少なくとも1
種の組成を含む水溶液に前記金属素材を浸漬し、この金
属素材を陰極として、前記陰極と陽極との間に通電し、
前記組成を電解重合させることにより皮膜を形成する工
程、である皮膜形成方法である。
【0020】さらに、本発明に係る皮膜形成金属素材と
しては、例えば鉄、アルミニウム、亜鉛、溶融亜鉛めっ
き鋼板等の合金化めっき鋼板、各種めっき鋼板、ステン
レス等に、上記皮膜形成方法により皮膜を形成したもの
である。
【0021】(a)脱脂処理工程 アルカリまたは酸を用いて、金属表面に付属している油
脂等を除去する工程をいう。
【0022】(b)前処理工程 アミノ系カップリング剤及び/又はメルカプト系カップ
リング剤を用いて、金属素材表面に、アミノ基及び/又
はメルカプト基(−SH基、又はチオール基ともいう)
を固定する工程である。上記カップリング剤を金属表面
に固定化する方法として、浸漬処理方法と電解重合処理
方法の2通りの方法を用いることができる。
【0023】<浸漬処理方法>浸漬処理方法は、下記カ
ップリング剤を以下に示す溶媒に所定濃度溶解させ、こ
の浸漬液中に金属素材を所定時間浸漬する方法である。
【0024】上記カップリング剤としては、例えば3−
アミノプロピルトリメトキシシラン(チッソ(株)製、
「S360」),3−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン(チッソ(株)製、「S330」),N−(2−アミ
ノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン
(チッソ(株)製、「S320」),N−(2−アミノ
エチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン
(チッソ(株)製、「S310」),N−(トリメトキ
シシリルプロピル)エチレンジアミン(東レダウ(株)
製、「SH6020」),3−ウレイドプロピルトリエ
トキシシラン(チッソ(株)製、「UPS−E」),イ
ソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チ
タネート(味の素(株)製、「プレンアクトKR4
4」)等のアミノ基を有するアミノ系カップリング剤
や、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(東レ
ダウ(株)製、「SH6062」),3−メルカプトプ
ロピルメチルジメトキシシラン(東レダウ(株)製、
「SH6062」)等のメルカプト基を有するメルカプ
ト系カップリング剤が好ましい。
【0025】上記溶媒としては、例えば水、エタノー
ル、メタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、
アセトン、メチルエチルケトン、ベンゼン、トルエン、
キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチル
エーテル、クロロホルム、塩化メチレン等が挙げられ、
好ましくは水、エタノール、メタノール、イソプロピル
アルコール(IPA)である。
【0026】また、浸漬液中の上記カップリング剤の濃
度は、好ましくは0.1〜10wt%であり、より好ま
しくは0.5〜3wt%である。上記カップリング剤の
濃度が0.1wt%未満の場合には、金属表面に対する
上記カップリング剤の固定化が不十分なため、金属表面
へ上記(A),(B)又は(C)の組成物が析出しにく
くなる。このため、耐食性が低下する。一方、上記カッ
プリング剤の濃度が10wt%を超える場合には、浸漬
液の縮合反応が起こりやすくなり保存安定性が劣化す
る。
【0027】また、金属素材の浸漬液中への浸漬時間
は、0.1秒〜10分が好ましく、より好ましくは1秒
〜5分である。浸漬時間が0.1秒未満の場合には、金
属表面へ上記(A),(B)又は(C)の組成物が析出
しにくくなる。このため、皮膜が薄くなり耐食性が低下
する。一方、浸漬時間が10分を超えても、所望の皮膜
以上の効果は得られず、処理時間が長くなるのみであ
る。
【0028】<電解重合処理方法>電解重合処理方法
は、下記カップリング剤と下記の支持電解質とを溶媒に
溶かして、金属素材を陰極にして、陰極と陽極との間に
通電し、下記カップリング剤を電解重合させ、金属表面
に重合させて固定化する方法である。
【0029】上記カップリング剤としては、2,4,6
−トリメルカプト−S−トリアジンチオールモノナトリ
ウム塩(三協化成(株)製、「サンチオールN−
1」),2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジン
チオールトリナトリウム塩(三協化成(株)製、「サン
チオールN−W」)等のトリアジンチオールが好まし
い。
【0030】上記溶媒は、水が好ましい。また、支持電
解質としては、炭酸ナトリウム、過塩素酸アンモニウム
等が好ましい。
【0031】電解質溶液の上記カップリング剤の濃度
は、好ましくは0.1mM〜100mMであり、より好
ましくは5mM〜50mMである。上記カップリング剤
の濃度が0.1mM未満の場合には、金属表面へ上記
(A),(B)又は(C)の組成物が析出しにくくな
る。このため、皮膜が薄くなり耐食性が低下する。一
方、上記カップリング剤の濃度が100mMを超える場
合には、電解重合時に凝集物が析出して、後の(c)皮
膜形成工程に支障が生じる。
【0032】また、電解重合時における電流密度は、
2.5〜30mA/cm2 が好ましく、より好ましくは
10〜20mA/cm2 である。電流密度が2.5mA
/cm2 未満の場合には、金属表面に対する上記カップ
リング剤の固定化が不十分であるため、金属表面へ上記
(A),(B)又は(C)の組成物が析出しにくくな
る。従って、皮膜が薄くなり耐食性が低下する。一方、
電流密度が30mA/cm2 を超えた場合には、金属表
面への上記(A),(B)又は(C)の組成物の析出量
は増えるものの、所望の耐食性を超える効果は得られ
ず、経済性に劣る。
【0033】電解重合の通電時間は、10秒〜5分が好
ましく、より好ましくは30秒〜60秒である。通電時
間が10秒未満の場合には、金属表面に対する上記カッ
プリング剤の固定化が不十分であるため、金属表面へ上
記(A),(B)又は(C)の組成物が析出しにくくな
る。従って、皮膜が薄くなり耐食性が低下する。一方、
通電時間が5分を超える場合には、金属表面に対する上
記カップリング剤の固定化量が増大し、その後の(c)
皮膜形成工程において上記(A),(B)又は(C)の
組成物からなる皮膜を形成しても、金属表面に対する皮
膜の密着性が低下してしまう。
【0034】(c)皮膜形成工程 皮膜形成工程は、図1〜図3及び以下に述べる(c−
1)皮膜形成工程又は(c−2)皮膜形成工程のいずれ
かを用いることができる。
【0035】(c−1)の皮膜形成工程 (c−1)の皮膜形成工程は、下記(A),(B)又は
(C)の少なくとも1種の組成を含む水溶液に浸漬する
ことにより皮膜を形成する工程である。
【0036】上記(A)活性エステル基及びスルホニウ
ム基を同一分子内に含有するモノマー(以下、「AE
M」という。なお、「AEM」はactive ester monomer
の略である)の水溶液に浸漬して皮膜を形成する工程
は、図1に示す通りである。
【0037】上記(A)活性エステル基及びスルホニウ
ム基を同一分子内に含有するモノマー(AEM)は、下
記化1に示す一般式(I)を有することが好ましい。
【0038】
【化11】 (式中、重合性基とスペーサ−の組み合わせは下記化1
2の通り、またW及びXは化13の通りである。)
【化12】
【化13】 本実施形態において、活性エステル基は、上記構造式中
のベンセンに隣接するエステル基をいう。
【0039】更に好ましい(A)活性エステル基及びス
ルホニウム基を同一分子内に含有するモノマー(AE
M)は、下記化14に示す構造式を有するモノマーであ
る。
【0040】
【化14】 また、スルホニウム基Wは、上述のスルホニウム基の中
で−S−(CH3 2がより好ましい。また、対アニオ
ンXは、HSO4 - ,CH3 SO4 - ,H2 PO4 -
最も好ましく、より好ましくはBr- ,Cl- であり、
HCO3 - ,CH3 COO- ,HClO4 - ,P−トル
エンスルホン酸イオンが好ましい。
【0041】また上記AEMは、上述の1種又は2種以
上使用してもよい。また、上記AEMの水溶液に水溶性
のラジカル重合性不飽和結合を有するモノマーを混合さ
せてもよい。水溶性のラジカル重合性不飽和結合を有す
るモノマーとしては、例えばアクリル酸(AA)、メタ
クリル酸、アクリルアミド、ヒドロキシエチルメタアク
リレート、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。
【0042】AEM水溶液中のAEM濃度は、0.01
〜15wt%が好ましく、より好ましくは0.1〜10
wt%である。AEM濃度が0.01wt%未満の場合
には、金属表面へ皮膜が析出しにくくなる。このため、
耐食性が低下する。一方、AEM濃度が15wt%を超
える場合には、皮膜がむらになりやすく好ましくない。
【0043】金属素材浸漬時のAEM水溶液の処理pH
は、2〜9が好ましく、より好ましくは3〜6である。
処理pHが2未満の場合には、AEMが加水分解され
る。一方、処理pHが9を超えると、やはりAEMが加
水分解される。
【0044】金属素材浸漬時のAEM水溶液の処理温度
は、0〜40℃であることが好ましく、より好ましくは
10〜20℃である。処理温度が0℃未満の場合には、
AEM水溶液が凍る。一方、処理温度が40℃を超える
と、AEMが加水分解される。 AEM水溶液に対する
金属素材の浸漬時間は、0.1秒〜60秒が好ましく、
より好ましくは1秒〜15秒である。浸漬時間が0.1
秒未満の場合には、金属表面へAEMが析出しにくくな
る。このため、耐食性が低下する。一方、浸漬時間が6
0秒を超えても、所望の皮膜以上の効果は得られず、処
理時間が長くなるものみである。
【0045】上記(B)上記(A)のモノマー(すなわ
ちAEM)とラジカル重合性不飽和モノマーとの共重合
により得られる活性エステル基を有するエマルション
(以下「AEP」という。なお、「AEP」はactive e
ster polymerの略である。)の水溶液に浸漬して皮膜を
形成する工程は、図2に示す通りである。
【0046】AEPは、上述のAEMと特に水不溶性の
ラジカル重合性不飽和モノマーとの共重合体であって、
AEP水溶液はエマルションの形態となる。
【0047】上記水不溶性のラジカル重合性不飽和モノ
マーとしては、スチレン、p−メチルスチレン、p−ク
ロルメチルスチレン、メタクリル酸エステル、アクリル
酸エステル、酢酸ビニル、塩化ビニル等が挙げられる。
上記水不溶性のラジカル重合性不飽和モノマーが2種以
上、AEMに共重合されていてもよい。
【0048】AEPのガラス転移温度(Tg)は、−5
0〜120℃であることが好ましく、より好ましくは−
25〜100℃である。Tgが120℃を超えると、次
工程の加熱処理工程において、融着温度が高温となり作
業性が悪くなる。
【0049】AEP水溶液中のAEP濃度は、1〜50
wt%が好ましく、より好ましくは10〜30wt%で
ある。AEP濃度が1wt%未満の場合には、金属表面
へAEPが析出しにくくなる。このため、耐食性が低下
する。一方、AEP濃度が50wt%を超える場合に
は、皮膜にむらができやすく好ましくない。
【0050】なお、金属素材浸漬時のAEP水溶液の処
理pH、処理温度、浸漬時間は、上記(A)のAEMの
場合と同様である。
【0051】上記(C)の複合エマルションは、無機粒
子を核として、上記(A)のモノマーとラジカル重合性
不飽和モノマーとの共重合してなる被覆層で上記無機粒
子が被覆された活性エステル基を有する複合エマルショ
ン(以下「AEP複合エマルション」という。)であっ
て、上記(C)による皮膜形成方法は、図3に示す通
り、AEP複合エマルションの水溶液に浸漬して皮膜を
形成するものである。なお、ラジカル重合性不飽和モノ
マーとしては、上述の(B)のAEPの場合と同様のも
のを用いる。
【0052】AEP複合エマルションの核となる無機粒
子としては、例えばシリカ、アルミナ、チタニア、フェ
ライト、リン酸チタン、さらに鉄、亜鉛等の金属粒子等
が挙げられる。また、この無機粒子の粒子径は、0.0
1〜1μmが好ましく、より好ましくは0.01〜0.
5μmである。粒子径が0.01μm未満の場合には、
良好なAEP複合エマルションが得られない。一方、粒
子径が1μmを超える場合には、皮膜がむらになりやす
く好ましくない。
【0053】また、上記(C)による皮膜形成方法にお
けるAEP複合エマルション水溶液中のAEP複合エマ
ルションの濃度は、1〜50wt%が好ましく、より好
ましくは10〜30wt%である。AEP複合エマルシ
ョン濃度が1wt%未満の場合には、金属表面へAEP
複合エマルションが析出しにくくなる。このため、耐食
性が低下する。一方、AEP複合エマルション濃度が5
0wt%を超える場合には、皮膜がむらになりやすく好
ましくない。
【0054】なお、金属素材浸漬時のAEP複合エマル
ション水溶液の処理pH、処理温度、浸漬時間は、上記
(A)のAEMの場合と同様であり、AEP複合エマル
ションのガラス転移温度(Tg)は、AEPのガラス転
移温度(Tg)と同様であるため説明を省略する。
【0055】(c−2)皮膜形成工程 (c−2)の皮膜形成工程は、上記(A),(B)又は
(C)の少なくとも1種の組成を含む水溶液に前記金属
素材を浸漬し、この金属素材を陰極として、前記陰極と
陽極との間に通電し、前記組成を電解重合させることに
より皮膜を形成する工程である。なお、上記(A),
(B)又は(C)は上述のものと同様であるため、記載
を省略する。
【0056】(A)の組成物の浸漬溶液濃度は、好まし
くは0.01wt%〜15wt%であり、より好ましく
は0.1wt%〜10wt%である。上記組成物の濃度
が0.01wt%未満の場合には、金属表面へ上記
(A)の組成物が析出しにくくなる。このため、皮膜が
薄くなり耐食性が低下する。一方、上記いずれかの組成
物の濃度が15wt%を超える場合には、上記組成物が
電解重合中に凝集物が析出して、良好な皮膜形成を行う
ことができない。(B)又は(C)組成物の浸漬溶液濃
度は、好ましくは1wt%〜50wt%であり、より好
ましくは10wt%〜30wt%である。上記いずれか
の組成物の濃度が1wt%未満の場合には、金属表面へ
上記(B)又は(C)の組成物が析出しにくくなる。こ
のため、皮膜が薄くなり耐食性が低下する。一方、上記
いずれかの組成物の濃度が50wt%を超える場合に
は、上記組成物が電気泳動中に凝集物が析出して、良好
な皮膜形成を行うことができない。
【0057】また、電解重合時における電圧は,0.1
〜300Vが好ましく、より好ましくは5〜50Vであ
る。電圧が0.1V未満の場合には、金属表面に対する
上記(A),(B)又は(C)のいずれかの組成物の析
出が不十分となり、皮膜が薄くなり耐食性が低下する。
一方、電圧が300Vを超えた場合には、金属表面への
上記(A),(B)又は(C)の組成物の析出量は増え
るものの、所望の耐食性を超える効果は得られず、経済
性に劣る。
【0058】電解重合時の通電時間は、0.1秒〜5分
が好ましく、より好ましくは30秒〜60秒である。通
電時間が0.1秒未満の場合には、金属表面に対する上
記(A),(B)又は(C)の組成物の析出が不十分と
なり、皮膜が薄くなり耐食性が低下する。一方、通電時
間が5分を超える場合には、金属表面に対する上記
(A),(B)又は(C)のいずれかの組成物の析出が
増大するものの、所望の耐食性を超える効果は得られ
ず、経済性に劣る。
【0059】なお、図1〜図3に示される副生物を回収
して、再度AEM、AEP又はAEPエマルションを製
造して使用してもよい。
【0060】本発明の皮膜形成方法は、必要に応じて、
上記(c)皮膜形成工程の後、水洗して、熱処理工程を
加えてもよい。この加熱処理工程により、短時間で金属
表面により強固な有機皮膜(すなわち、(A)及び
(B)の組成物からなる皮膜)又は有機/無機皮膜(す
なわち、(C)の組成物からなる皮膜)を固定すること
ができる。なお、皮膜の膜厚は、0.01〜1μmであ
ることが好ましい。
【0061】熱処理工程 (A)のAEMを用いて皮膜形成した場合には、熱によ
りAEM同士重合して金属表面に強固な有機皮膜を形成
する。なお、熱の代わりに光(例えば紫外線)を用いて
もよい。
【0062】熱処理温度は、好ましくは70〜150℃
であり、より好ましくは90〜120℃である。熱処理
温度が70℃未満の場合には、AEMが重合せず、耐食
性が低下する。一方、熱処理温度が150℃を超えて
も、重合速度に相違はなく、経済性が低下する。
【0063】また、熱処理時間は、10秒〜10分が好
ましく、より好ましくは30秒〜5分である。熱処理時
間が10秒未満の場合には、AEMが重合せず、耐食性
が低下する。一方、熱処理時間が10分を超えても、重
合率に相違はなく、経済性が低下する。
【0064】また、皮膜の重合率を上げるために、水溶
性の重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤の添加の
仕方としては、(i)(c)皮膜形成工程において金属
表面にAEMを固定した後、このAEMが表面に固定さ
れた金属素材を以下に述べる重合開始剤の水溶液に更に
浸漬してから熱処理を行ってもよく、また(ii)(c)
皮膜形成工程中のAEM水溶液中に以下に述べる重合開
始剤を予め添加して、この重合開始剤入りAEM水溶液
に金属素材を浸漬し、その後AEM水溶液から引上げた
後熱処理を行ってもよい。上記重合開始剤としては、例
えば2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩
酸塩(以下「AIBA」と略す)、4,4′−アゾビス
(4−シアノ吉草酸)、2,2′−アゾビス[2−(5
−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二
塩酸塩、2,2′−アゾビスイソブチルアミド二水和
物、過硫酸塩、亜硫酸水素塩、亜硫酸塩が好ましい。上
記過硫酸塩等の無機重合開始剤の塩としては、アルカリ
金属塩又はアンモニウム塩が好ましい。
【0065】また、(B)のAEP及び(C)のAEP
複合エマルションを用いて皮膜形成した場合には、熱に
よりAEP又はAEP複合エマルションを金属表面に融
着させ、金属表面に強固な有機皮膜((B)の場合)又
は有機/無機皮膜((C)の場合)を形成する。
【0066】熱処理温度は、使用する(B)のAEP又
は(C)のAEP複合エマルションのガラス転移温度
(Tg)以上の温度が好ましい。上記Tg未満の場合に
は、融着が不十分となり、耐食性がやや低下してしま
う。
【0067】熱処理時間は、10秒〜10分が好まし
く、より好ましくは30秒〜5分である。熱処理時間が
10秒未満の場合には、AEMが重合せず、耐食性が低
下する。一方、熱処理時間が10分を超えても、重合率
に相違はなく、経済性が低下する。
【0068】また、皮膜の架橋度を上げるために、水溶
性の架橋剤を添加してもよい。架橋剤の添加の仕方とし
ては、(i)(c)皮膜形成工程において金属表面に
(B)AEP又は(C)AEP複合エマルションを固定
した後、上記組成物が表面に固定された金属素材を以下
に述べる架橋剤の水溶液に更に浸漬してから熱処理を行
ってもよく、また(ii)(c)皮膜形成工程中の(B)
AEP水溶液又は(C)AEP複合エマルション水溶液
中に以下に述べる架橋剤を予め添加して、この架橋剤入
り(B)AEP水溶液又は(C)AEP複合エマルショ
ン水溶液に金属素材を浸漬し、その後上記水溶液から引
上げ、熱処理を行ってもよい。
【0069】上記架橋剤としては、水溶性アミンが好適
であり、水溶性アミンとしては、例えばエチレンジアミ
ン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、
2−トリスアミノエチルアミン等が好ましい。
【0070】なお、上記熱処理工程を経なくとも、
(c)皮膜形成工程後、瞬時に、(A)のAEMはAE
M同士架橋して強固な有機皮膜を形成する。また、
(B)のAEP及び(C)のAEPエマルションは粒子
間架橋して強固な有機皮膜を形成する。
【0071】更に、本発明の好ましい他の実施態様を以
下に示す。
【0072】1.本発明の皮膜形成方法における(b)
前処理工程は、アミノ系カップリング剤及び/又はメル
カプト系カップリング剤を溶媒に所定濃度溶解させ、こ
の浸漬液中に金属素材を所定時間浸漬する方法である。
【0073】2.(b)前処理工程において、上記カッ
プリング剤は、3−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン,3−アミノプロピルトリエトキシシラン,N−(2
−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン,N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル
メチルジメトキシシラン,N−(トリメトキシシリルプ
ロピル)エチレンジアミン,3−ウレイドプロピルトリ
エトキシシラン,イソプロピルトリ(N−アミドエチル
・アミノエチル)チタネートの少なくとも1種のアミノ
基を有するアミノ系カップリング剤、3−メルカプトプ
ロピルトリメトキシシラン,3−メルカプトプロピルメ
チルジメトキシシランの少なくとも1種のメルカプト基
を有するメルカプト系カップリング剤のいずれか1種以
上である。
【0074】3.(b)前処理工程において、上記溶媒
は、水、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコ
ール、アセトン、メチルエチルケトン、ベンゼン、トル
エン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジ
エチルエーテル、クロロホルム、塩化メチレンの少なく
とも1種である。
【0075】4.(b)前処理工程において、浸漬液中
の上記カップリング剤の濃度は、0.1〜10wt%で
ある。
【0076】5.(b)前処理工程において、浸漬液中
の上記カップリング剤の濃度は、0.5〜3wt%であ
る。
【0077】6.(b)前処理工程において、金属素材
の上記カップリング剤含有浸漬液中への浸漬時間は、
0.1秒〜10分である。
【0078】7.(b)前処理工程において、金属素材
の上記カップリング剤含有浸漬液中への浸漬時間は、1
秒〜5分である。
【0079】8.本発明の皮膜形成方法における(b)
前処理工程は、アミノ系カップリング剤及び/又はメル
カプト系カップリング剤を支持電解質とを溶媒に溶かし
て、金属素材を陰極にして、陰極と陽極との間に通電
し、上記カップリング剤を電解重合させ、金属表面に重
合させて固定化する方法である。
【0080】9.(b)前処理工程において、上記カッ
プリング剤は、トリアジンチオールの一種である2,
4,6−トリメルカプト−S−トリアジンチオールモノ
ナトリウム塩及び/又は2,4,6−トリメルカプト−
S−トリアジンチオールトリナトリウム塩である。
【0081】10.上記「9.」の(b)前処理工程に
おいて、上記溶媒は、水である。
【0082】11.上記「9.」の(b)前処理工程に
おいて、上記支持電解質は、炭酸ナトリウム、過塩素酸
アンモニウムの少なくとも1種である。
【0083】12.上記「9.」の(b)前処理工程に
おいて、電解重合における電解質溶液の上記カップリン
グ剤の濃度は、0.1mM〜100mMである。
【0084】13.上記「9.」の(b)前処理工程に
おいて、電解重合における電解質溶液の上記カップリン
グ剤の濃度は、5mM〜50mMである。
【0085】14.上記「9.」の(b)前処理工程に
おいて、電解重合時における電流密度は、2.5〜30
mA/cm2 である。
【0086】15.上記「9.」の(b)前処理工程に
おいて、電解重合時における電流密度は、10〜20m
A/cm2 である。
【0087】16.上記「9.」の(b)前処理工程に
おいて、電解重合の通電時間は、10秒〜5分である。
【0088】17.上記「9.」の(b)前処理工程に
おいて、電解重合の通電時間は、30秒〜60秒であ
る。
【0089】18.(c)皮膜形成工程(c−1,c−
2)において、上記AEMの水溶液に水溶性のラジカル
重合性不飽和結合を有するモノマーを混合させる。
【0090】19.(c)皮膜形成工程(c−1,c−
2)において、上記水溶性のラジカル重合性不飽和結合
を有するモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、アク
リルアミド、ヒドロキシエチルメタアクリレート、N−
ビニルピロリドンの少なくとも1種である。
【0091】20.(c)皮膜形成工程(c−1,c−
2)において、上記AEM水溶液中のAEM濃度は、
0.01〜15wt%である。
【0092】21.(c)皮膜形成工程(c−1,c−
2)において、上記AEM水溶液中のAEM濃度は、
0.1〜10wt%である。
【0093】22.(c)皮膜形成工程(c−1,c−
2)において、金属素材浸漬時のAEM水溶液の処理p
Hは、2〜9である。
【0094】23.(c)皮膜形成工程(c−1,c−
2)において、金属素材浸漬時のAEM水溶液の処理p
Hは、3〜6である。
【0095】24.(c)皮膜形成工程(c−1,c−
2)において、金属素材浸漬時のAEM水溶液の処理温
度は、0〜40℃である。
【0096】25.(c)皮膜形成工程(c−1,c−
2)において、金属素材浸漬時のAEM水溶液の処理温
度は、10〜20℃である。
【0097】26.(c)皮膜形成工程(c−1)にお
いて、AEM水溶液に対する金属素材の浸漬時間は、
0.1秒〜60秒である。
【0098】27.(c)皮膜形成工程(c−1)にお
いて、AEM水溶液に対する金属素材の浸漬時間は、1
秒〜15秒である。
【0099】28.(c)皮膜形成工程(c−2)にお
いて、AEM水溶液及びAEP水溶液を電解重合させる
際の電圧は0.1V〜300Vであり、通電時間は0.
1秒〜5分である。
【0100】29.(c)皮膜形成工程(c−2)にお
いて、AEM水溶液及びAEP水溶液を電解重合させる
際の電圧は5V〜50Vであり、通電時間は30秒〜6
0秒である。
【0101】30.(c)皮膜形成工程(c−1,c−
2)において、(B)組成物のエマルション(AEP)
及び(C)組成物の複合エマルション(AEP複合エマ
ルション)を製造する際に、上記(A)AEMと共重合
されるラジカル重合性不飽和モノマーは、スチレン、p
−メチルスチレン、p−クロルメチルスチレン、メタク
リル酸エステル、アクリル酸エステルの少なくとも1種
である。
【0102】31.(c)皮膜形成工程(c−1,c−
2)において、(B)組成物のエマルション(AEP)
及び(C)組成物の複合エマルション(AEP複合エマ
ルション)のガラス転移温度(Tg)は、それぞれ−5
0〜120℃である。
【0103】32.(c)皮膜形成工程(c−1,c−
2)において、(B)組成物のエマルション(AEP)
及び(C)組成物の複合エマルション(AEP複合エマ
ルション)のガラス転移温度(Tg)は、それぞれ−2
5〜100℃である。
【0104】33.(c)皮膜形成工程(c−1,c−
2)において、浸漬水溶液中のAEP濃度又はAEP複
合エマルション濃度は、1〜50wt%である。
【0105】34.(c)皮膜形成工程(c−1,c−
2)において、浸漬水溶液中のAEP濃度又はAEP複
合エマルション濃度は、10〜30wt%である。
【0106】35.(c)皮膜形成工程(c−1,c−
2)において、(C)組成物の複合エマルション(AE
P複合エマルション)の核である無機粒子は、シリカ、
アルミナ、チタニア、フェライト、リン酸チタン、鉄粒
子、亜鉛粒子の少なくとも1種である。
【0107】36.(c)皮膜形成工程(c−1,c−
2)において、(C)組成物の複合エマルション(AE
P複合エマルション)の核である無機粒子の粒子径は、
0.01〜1μmである。
【0108】37.(c)皮膜形成工程(c−1,c−
2)において、(C)組成物の複合エマルション(AE
P複合エマルション)の核である無機粒子の粒子径は、
0.01〜0.5μmである。
【0109】38.(c)皮膜形成工程(c−1,c−
2)における熱処理温度は70〜150℃であり、熱処
理時間は10秒〜10分である。
【0110】39.(c)皮膜形成工程(c−1,c−
2)における熱処理温度は90〜120℃であり、熱処
理時間は30秒〜5分である。
【0111】40.皮膜形成方法は、必要に応じて、上
記(c)皮膜形成工程の後、水洗して、熱処理工程を行
う。
【0112】41.AEM水溶液を用い、(c)皮膜形
成工程(c−1)は上記「5.」,「7.」,「2
1.」,「23.」,「25.」,「27.」,「3
9.」である皮膜形成方法。
【0113】42.AEP水溶液を用い、(c)皮膜形
成工程(c−1)は上記「5.」,「7.」,「3
2.」,「34.」,「37.」,「39.」である皮
膜形成方法。
【0114】43.AEM水溶液を用い、(c)皮膜形
成工程(c−2)は上記「5.」,「7.」,「2
1.」,「23.」,「25.」,「29.」,「3
9.」である皮膜形成方法。
【0115】44.AEP水溶液を用い、(c)皮膜形
成工程(c−2)は上記「5.」,「7.」,「2
9.」,「34.」,「37.」,「39.」である皮
膜形成方法。
【0116】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を
具体的に説明する。尚、本発明はこれらの実施例によっ
て限定されるものではない。
【0117】実施例1〜26及び比較例1〜15 (1)(c)皮膜形成工程で用いる組成物の製造方法: 製造例1.メカニカルスターラー、還流管、窒素導入管
を装着した三口フラスコにスチレン41.7g、下記化
15に示すアクリルアミドウンデカンノイルオキシフェ
ニルジメチルスルホニウムメチル硫酸塩(AUPDS)
3.92g、重合開始剤としてAIBA0.54g、水
200gを加えた後、約30分間室温でパブリングによ
り窒素置換した。次いで、60℃に保った恒温槽に設置
し、窒素雰囲気下、攪拌速度350rpmで攪拌しなが
ら、6時間重合を行った。反応後、凝集物を100メッ
シュの篩で濾過して、AEPを調製した。このAEPを
「Aエマルション」とし、実施例及び比較例に供した。
【0118】
【化15】 製造例2.製造例1におけるAUPDSの代りに、下記
化16に示すメタクリル酸フェニルジメチルスルホニウ
ムメチル硫酸塩(MAPDS)2.68gを用いて、製
造例1に準じてAEPを調製した。このAEPを「Bエ
マルション」とし、実施例及び比較例に供した。
【0119】
【化16】 製造例3.製造例2において、更にアクリル酸ブチル1
4.4gを添加して、製造例2に準じてAEPを調製し
た。このAEPを「Cエマルション」とし、実施例及び
比較例に供した。
【0120】製造例4.製造例1におけるAUPDSの
代りに、下記化17に示す4−(4−ビニルベンゾイル
オキシ)フェニルジメチルスルホニウムメチル硫酸塩
(VBPDS)2.68gを用いて、製造例1に準じて
AEPを調製した。このAEPを「Dエマルション」と
し、実施例及び比較例に供した。
【0121】
【化17】 製造例5.メカニカルスターラー、還流管、窒素導入管
を装着した三口フラスコに、水50g、フェライト被覆
磁性粒子0.1g、下記化18に示す10−ウンデセニ
ルオキシフェニルジメチルスルホニウムメチル硫酸塩
(UPDS)0.035gを入れ、1時間超音波分散さ
せ、6時間攪拌した後、フマル酸ジブチル0.018g
及びスチレン0.017gを添加して、25℃で20時
間攪拌した。次いで、開始剤として過硫酸カリウム(K
PS)0.007gを加え、窒素雰囲気下、攪拌速度3
50rpmで60℃で24時間重合した。反応後、凝集
物を100メッシュの篩で濾過して、AEP複合エマル
ションを調製した。このAEP複合エマルションを「E
エマルション」とし、実施例及び比較例に供した。
【0122】
【化18】 (2)実施例及び比較例の皮膜形成方法: 実施例1.0.3×30×70mmのSPCC鋼板(日
本テストパネル(株)製)を2%脱脂剤の水溶液(日本
ペイント(株)製の「サーフクリーナーT53」)に6
0℃で2分間浸漬し、水道水、更にイオン交換水で洗浄
し、風乾後、1%イソプロピルトリ(N−アミドエチル
・アミノエチル)チタネート(味の素(株)製「プレン
アクトKR44」)のIPA溶液に2分間浸漬し、室温
で乾燥し表面処理片とした。この表面処理片を5%のM
APDS水溶液に15秒間浸漬し、水道水で洗浄後、1
20℃の熱風オーブン中で5分間乾燥させて、(A)の
AEMによる皮膜を形成した。
【0123】実施例2.実施例1におけるMAPDSの
代りにAUPDSを用い、その他は実施例1に準拠して
他の(A)のAEMによる皮膜を形成した。
【0124】実施例3.実施例1におけるMAPDSの
代りにVBPDSを用い、その他は実施例1に準拠して
他の(A)のAEMによる皮膜を形成した。
【0125】実施例4.実施例1の5%MAPDS水溶
液にAIBAを1%添加し、その他は実施例1に準拠し
て他の(A)のAEMによる皮膜を形成した。
【0126】実施例5.実施例1の5%MAPDS水溶
液にアクリル酸を5%及びAIBAを1%添加し、その
他は実施例1に準拠して他の(A)のAEMによる皮膜
を形成した。
【0127】実施例6.0.3×30×70mmのSP
CC鋼板(日本テストパネル(株)製)を2%脱脂剤の
水溶液(日本ペイント(株)製の「サーフクリーナーT
53」)に60℃で2分間浸漬し、水道水、更にイオン
交換水で洗浄し、風乾後、1%イソプロピルトリ(N−
アミドエチル・アミノエチル)チタネート(味の素
(株)製「プレンアクトKR44」)のIPA溶液に2
分間浸漬し、室温で乾燥し表面処理片とした。この表面
処理片を製造例1の「Aエマルション」(N.V.20
%)に15秒間浸漬し、水道水で洗浄後、120℃の熱
風オーブン中で5分間乾燥させて、(B)のAEPによ
る皮膜を形成した。
【0128】実施例7.実施例6における「Aエマルシ
ョン」の代りに「Bエマルション」を用い、その他は実
施例6に準拠して他の(B)のAEPによる皮膜を形成
した。
【0129】実施例8.実施例6における「Aエマルシ
ョン」の代りに「Cエマルション」を用い、実施例6に
準拠して他の(B)のAEPによる皮膜を形成した。
【0130】実施例9.実施例6における「Aエマルシ
ョン」の代りに「Dエマルション」を用い、その他は実
施例6に準拠して他の(B)のAEPによる皮膜を形成
した。
【0131】実施例10.実施例6における「Aエマル
ション」の代りに「Eエマルション」を用い、その他は
実施例6に準拠して他の(B)のAEPによる皮膜を形
成した。
【0132】実施例11.SPCC鋼板の代わりにアル
ミ板を用い、その他は実施例6に準拠して(B)のAE
Pによる皮膜を形成した。
【0133】実施例12.SPCC鋼板の代わりに銅板
を用い、その他は実施例6に準拠して(B)のAEPに
よる皮膜を形成した。
【0134】実施例13.実施例6において、熱乾燥前
に架橋剤であるエチレンジアミン(EDA)溶液に浸漬
し、その他は実施例6に準じて(B)のAEPによる皮
膜を形成した。
【0135】実施例14.0.3×30×70mmのS
PCC鋼板(日本テストパネル(株)製)を2%脱脂剤
の水溶液(日本ペイント(株)製の「サーフクリーナー
T53」)に60℃で2分間浸漬し、水道水、更にイオ
ン交換水で洗浄し、風乾後、1%の3−メチルカプトプ
ロピルトリメトキシシラン(東レダウ(株)製「SH6
062」)のIPA溶液に2分間浸漬し、室温で乾燥し
表面処理片とした。この表面処理片を製造例1の「Aエ
マルション」(N.V.20%)に15秒間浸漬し、水
道水で洗浄後、120℃の熱風オーブン中で5分間乾燥
させて、カップリング剤を代えた(B)のAEPによる
皮膜を形成した。
【0136】実施例15.実施例14における「Aエマ
ルション」の代りに「Bエマルション」を用い、その他
は実施例14に準拠して他の(B)のAEPによる皮膜
を形成した。
【0137】実施例16.実施例14における「Aエマ
ルション」の代りに「Cエマルション」を用い、実施例
14に準拠して他の(B)のAEPによる皮膜を形成し
た。
【0138】実施例17.実施例14における「Aエマ
ルション」の代りに「Dエマルション」を用い、その他
は実施例14に準拠して他の(B)のAEPによる皮膜
を形成した。
【0139】実施例18.実施例14における「Aエマ
ルション」の代りに「Eエマルション」を用い、その他
は実施例14に準拠して他の(B)のAEPによる皮膜
を形成した。
【0140】実施例19.0.3×30×70mmのS
PCC鋼板(日本テストパネル(株)製)を2%脱脂剤
の水溶液(日本ペイント(株)製の「サーフクリーナー
T53」)に60℃で2分間浸漬し、水道水、更にイオ
ン交換水で洗浄後、2,4,6−トリメルカプト−s−
トリアジンチオールモノナトリウム塩水溶液で定電流法
により電流密度15mA/cm2 、30秒間通電し、イ
オン交換水で洗浄し、風乾し表面表面処理片とした。こ
の表面処理片を製造例1の「Aエマルション」(N.
V.20%)に15秒間浸漬し、水道水で洗浄後、12
0℃の熱風オーブン中で5分間乾燥させて、カップリン
グ剤を代えた(B)のAEPによる皮膜を形成した。
【0141】実施例20.実施例19における「Aエマ
ルション」の代りに「Bエマルション」を用い、その他
は実施例19に準拠して他の(B)のAEPによる皮膜
を形成した。
【0142】実施例21.実施例19における「Aエマ
ルション」の代りに「Cエマルション」を用い、実施例
19に準拠して他の(B)のAEPによる皮膜を形成し
た。
【0143】実施例22.実施例19における「Aエマ
ルション」の代りに「Dエマルション」を用い、その他
は実施例19に準拠して他の(B)のAEPによる皮膜
を形成した。
【0144】実施例23.実施例19における「Aエマ
ルション」の代りに「Eエマルション」を用い、その他
は実施例19に準拠して他の(B)のAEPによる皮膜
を形成した。
【0145】実施例24.SPCC鋼板の代わりに亜鉛
板を用い、その他は実施例6に準拠して(B)のAEP
による皮膜を形成した。
【0146】実施例25.SPCC鋼板の代わりに溶融
亜鉛めっき鋼板板を用い、更に実施例6における「Aエ
マルション」の代りに「Bエマルション」を用い、その
他は実施例6に準拠して(B)のAEPによる皮膜を形
成した。
【0147】実施例26.0.3×30×70mmのS
PCC鋼板(日本テストパネル(株)製)を2%脱脂剤
の水溶液(日本ペイント(株)製の「サーフクリーナー
T53」)に60℃で2分間浸漬し、水道水、更にイオ
ン交換水で洗浄し、風乾後、1%イソプロピルトリ(N
−アミドエチル・アミノエチル)チタネート(味の素
(株)製「プレンアクトKR44」)のIPA溶液に2
分間浸漬し、室温で乾燥し表面処理片とした。この表面
処理片を製造例1の「A」エマルション(N.V.20
%)に電圧5V、60秒間通電し、イオン交換水で洗浄
し、120℃の熱風オーブン中で5分間乾燥させて、
(B)のAEPによる皮膜を形成した。
【0148】比較例1.実施例1におけるMAPDSの
代りにアクリル酸(AA)を用い、その他は実施例1に
準拠して皮膜を形成した。
【0149】比較例2.実施例1におけるMAPDSの
代りにアクリル酸(AA)を用い、更にアクリル酸水溶
液にAIBAを1%添加して、その他は実施例1に準拠
して皮膜を形成した。
【0150】比較例3.実施例1におけるイソプロピル
トリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネート
(味の素(株)製「プレンアクトKR44」)の代わり
に3−グリシドキシプロピルエトキシシラン(チッソ
(株)製S510」)を用い、その他は実施例1に準拠
して皮膜を形成した。
【0151】比較例4.実施例4におけるイソプロピル
トリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネート
(味の素(株)製「プレンアクトKR44」)の代わり
に3−クロロプロピルエトキシシラン(チッソ(株)製
「S620」)を用い、その他は実施例4に準拠して皮
膜を形成した。
【0152】比較例5.実施例4におけるイソプロピル
トリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネート
(味の素(株)製「プレンアクトKR44」)の代わり
に3−グリシドキシプロピルエトキシシラン(チッソ
(株)製「S510」)を用い、その他は実施例4に準
拠して皮膜を形成した。
【0153】比較例6.実施例6におけるイソプロピル
トリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネート
(味の素(株)製「プレンアクトKR44」)の代わり
に3−グリシドキシプロピルエトキシシラン(チッソ
(株)製「S510」)を用い、その他は実施例6に準
拠して皮膜を形成した。
【0154】比較例7.実施例14におけるイソプロピ
ルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネート
(味の素(株)製「プレンアクトKR44」)の代わり
に3−グリシドキシプロピルエトキシシラン(チッソ
(株)製「S510」)を用い、その他は実施例14に
準拠して皮膜を形成した。
【0155】比較例8.実施例6におけるイソプロピル
トリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネート
(味の素(株)製「プレンアクトKR44」)の代わり
に3−クロロプロピルエトキシシラン(チッソ(株)製
「S620」)を用い、その他は実施例6に準拠して皮
膜を形成した。
【0156】比較例9.実施例14におけるイソプロピ
ルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネート
(味の素(株)製「プレンアクトKR44」)の代わり
に3−クロロプロピルエトキシシラン(チッソ(株)製
「S620」)を用い、その他は実施例14に準拠して
皮膜を形成した。
【0157】比較例10.実施例6における「Aエマル
ション」の代りに「ニッペマイクロジェルE−500
3」(日本ペイント(株)製、架橋剤樹脂粒子であって
組成:n−ブチルアクリレート、粒子径60nm)を用
い、その他は実施例6に準拠して皮膜を形成した。
【0158】比較例11.実施例14における「Aエマ
ルション」の代りに「ニッペマイクロジェルE−500
3」(日本ペイント(株)製、架橋剤樹脂粒子であって
組成:n−ブチルアクリレート、粒子径60nm)を用
い、その他は実施例14に準拠して皮膜を形成した。
【0159】比較例12.実施例6における「Aエマル
ション」の代りに「ニッペマイクロジェルE−100
1」(日本ペイント(株)製、架橋剤樹脂粒子であって
組成:スチレン、粒子径100nm)を用い、その他は
実施例6に準拠して皮膜を形成した。
【0160】比較例13.実施例14における「Aエマ
ルション」の代りに「ニッペマイクロジェルE−100
1」(日本ペイント(株)製、架橋剤樹脂粒子であって
組成:スチレン、粒子径100nm)を用い、その他は
実施例14に準拠して皮膜を形成した。
【0161】比較例14.実施例6における「Aエマル
ション」の代りに「ニッペマイクロジェルE−310
1」(日本ペイント(株)製、架橋剤樹脂粒子であって
組成:スチレン、粒子径300nm)を用い、その他は
実施例6に準拠して皮膜を形成した。
【0162】比較例15.実施例14における「Aエマ
ルション」の代りに「ニッペマイクロジェルE−310
1」(日本ペイント(株)製、架橋剤樹脂粒子であって
組成:スチレン、粒子径300nm)を用い、その他は
実施例14に準拠して皮膜を形成した。
【0163】(3)評価方法: 密着性試験;ゴバン目試験 塗膜にカッターで1mm平方の升目100個を描き、そ
のうえ型セロハンテープを圧着して瞬間的に引き剥がし
て、100個の升目の塗膜の離脱状態を調べ、残升目数
で評価した。
【0164】耐食性試験;試験片を水道水に浸漬し、
24時間後の金属表面の錆の発生状況を評価した。
【0165】 ◎ : 錆発生が全面積の5%未満 ○ : 錆発生が全面積の30%未満 △ : 錆発生が全面積の50%未満 × : 錆発生が全面積の50%以上 上記実施例及び比較例の皮膜の評価結果を表1及び表2
に示す。
【0166】
【表1】
【表2】 これらの結果から、本発明の皮膜形成方法によれば、耐
食性、塗膜密着性のいずれの性能も優れていることが判
明した。
【0167】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る皮膜形成方
法によれば、リンやクロム化合物等の有害物質を使用せ
ず、金属素材との密着性及び耐食性に優れた有機皮膜又
は有機/無機皮膜を金属表面に被覆することができる。
更に、スラッジを発生させることもない。また、図1〜
3に示す副生物によるインヒビター効果も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の(c)皮膜形成工程における(A)
組成物による皮膜形成方法を説明する図である。
【図2】 本発明の(c)皮膜形成工程における(B)
組成物による皮膜形成方法を説明する図である。
【図3】 本発明の(c)皮膜形成工程における(C)
組成物による皮膜形成方法を説明する図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属素材に対して、下記(a)〜(c)
    の工程を順次経る皮膜形成方法であって、 (a)脱脂処理工程、 (b)アミノ系カップリング剤及び/又はメルカプト系
    カップリング剤による前処理工程、 (c)下記(c−1)又は(c−2)の皮膜形成工程、 前記(c−1)の皮膜形成工程は、下記(A),(B)
    又は(C)の少なくとも1種の組成を含む水溶液に浸漬
    することにより皮膜を形成する工程、 (A)活性エステル基及びスルホニウム基を同一分子内
    に含有するモノマー、 (B)上記(A)のモノマーとラジカル重合性不飽和モ
    ノマーとの共重合により得られる活性エステル基を有す
    るエマルション、 (C)無機粒子を核として、上記(A)のモノマーとラ
    ジカル重合性不飽和モノマーとの共重合してなる被覆層
    で上記無機粒子が被覆された活性エステル基を有する複
    合エマルション、 前記(c−2)の皮膜形成工程は、上記(A),(B)
    又は(C)の少なくとも1種の組成を含む水溶液に前記
    金属素材を浸漬し、この金属素材を陰極として、前記陰
    極と陽極との間に通電し、前記組成を電解重合させるこ
    とにより皮膜を形成する工程、 であることを特徴とする皮膜形成方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の(A)活性エステル基
    及びスルホニウム基を同一分子内に含有するモノマー
    が、下記化1に示す一般式(I)を有することを特徴と
    する皮膜形成方法。 【化1】 (式中、重合性基とスペーサ−の組み合わせは下記化2
    の通り、またW及びXは化3の通りである。) 【化2】 【化3】
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の(A)活性エステル基
    及びスルホニウム基を同一分子内に含有するモノマー
    が、下記化4に示す構造式を有するモノマーの少なくと
    も1種であることを特徴とする皮膜形成方法。 【化4】
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかの皮膜形成方
    法によって皮膜形成することを特徴とする皮膜形成金属
    素材。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001139890A (ja) * 1999-11-15 2001-05-22 Fuji Xerox Co Ltd 電着液、電着硬化膜およびその製造方法、ならびに電子デバイス
JP2004218070A (ja) * 2002-12-24 2004-08-05 Nippon Paint Co Ltd 塗装前処理方法
JP2010047803A (ja) * 2008-08-21 2010-03-04 Shimizu:Kk 電着塗装前処理用組成物および電着塗装方法
US8075708B2 (en) 2002-12-24 2011-12-13 Nippon Paint Co., Ltd. Pretreatment method for coating

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