JPH10180836A - 保護被覆材料及びそれを用いた長尺成形品、多層一体型長尺成形品 - Google Patents

保護被覆材料及びそれを用いた長尺成形品、多層一体型長尺成形品

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JPH10180836A
JPH10180836A JP9225795A JP22579597A JPH10180836A JP H10180836 A JPH10180836 A JP H10180836A JP 9225795 A JP9225795 A JP 9225795A JP 22579597 A JP22579597 A JP 22579597A JP H10180836 A JPH10180836 A JP H10180836A
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幹 鈴木
Norio Ikegaya
典男 池ケ谷
Takayuki Nakatani
孝之 中谷
Jun Kikuchi
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 溶接火花が長期間にわたって降りかかった
り、機械的な外力が加わったりする環境下においても、
空気、水等の流体を長期間安定して移送供給することが
可能なチューブ、ホース等の長尺成形品。 【解決手段】 フッ素系エラストマーに対し、無機充填
剤を添加してなる保護被覆材料からなる外層が形成され
ている。エポキシ及び/又は酸無水物からなる官能基に
よって変性された高分子材料からなる長尺成形品の外周
に、上記の保護被覆材料からなる外層が形成され、内外
層の界面が接着されている多層一体型長尺成形品。高分
子材料からなる長尺成形品の外周に、シラン変性された
フッ素系エラストマーを含む上記の保護被覆材料からな
る外層が形成され、内外層の界面が直接接着されている
多層一体型長尺成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、電気溶接
時やガス溶接時などに発生する溶接火花や、機械的な外
力の影響による損傷を確実に防止して、空気、水等の流
体を長期間安定して移送供給することの可能なチュー
ブ、ホース等の長尺成形品の構成材料として好適な保護
被覆材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、例えば、自動車部品の組立工場な
どにおいては、省力化のためにロボットを使用した電気
溶接、ガス溶接などが頻繁に行われるようになってきて
いる。このような溶接ロボットに駆動用の空気や冷却用
の水などの流体を移送供給するための配管部品として
は、例えば、軽量であり、且つ柔軟性に優れた合成樹
脂、合成ゴム等の高分子材料からなるチューブの外周
に、溶接火花や機械的外力からチューブを保護すること
を目的として、各種の保護被覆材料からなる外層が形成
された構成のチューブが多く使用されている。
【0003】一例として、合成樹脂、合成ゴム等からな
るチューブの外周に、ガラス繊維等の耐熱性に優れた繊
維材料を筒状に編組した繊維編組物を被覆形成したもの
や、合成樹脂、合成ゴム等からなるチューブの外周に、
難燃性を付与したゴム材料、例えば、難燃性シリコーン
ゴムからなる外層を形成したもの(実開平4−1388
8号参照)などがある。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、上記
従来のチューブにおいては、次のような問題点があっ
た。まず、チューブの外周に繊維編組物を被覆形成した
構成のチューブの場合は、繊維編組物の編組の隙間から
溶接火花が浸入して内側のチューブが損傷してしまう恐
れがあり、溶接火花による影響を確実には防止すること
ができないという欠点があった。この際、編組密度を高
めたり、編組物の肉厚を厚くしたりすることにより溶接
火花の浸入を防ぐことも考えられるが、その場合には、
重量が増大してしまうとともに、チューブの柔軟性が低
下してしまい、取り扱いが著しく困難になってしまう。
【0005】又、特に編組物を構成する繊維材料として
ガラス繊維を使用した場合には、ガラス繊維は周知のよ
うに皮膚刺激性があるとともに、毛羽立ちが発生するこ
とがあるため、作業環境の悪化を招く恐れがあった。ガ
ラス繊維の毛羽立ちの問題に関しては、例えば、樹脂塗
料やゴム塗料を塗布することが考えられるが、この場合
には、チューブの柔軟性の低下や、製造工程数の増加に
よる生産性の低下といった別の問題が発生してしまう。
【0006】一方、チューブの外周に難燃性シリコーン
ゴムからなる外層を形成した構成のチューブの場合は、
シリコーンゴム自体がもともと機械的強度、特に、耐摩
耗性に劣る材料であることから、溶接ロボットの稼働時
などに他の設備機器と接触するようなことがあると、摩
擦によって外層の表面が簡単に損傷して内部のチューブ
が露出してしまう恐れがあった。内部のチューブが露出
した場合には、溶接火花の浸入によってチューブが容易
に損傷してしまうことになる。
【0007】このような問題に対しては、例えば、実開
平4−95379号において、外層をクロルスルホン化
ポリエチレン配合物で構成し、更に、チューブと外層と
の間に繊維補強層を形成して耐摩耗性を向上させること
が提案されている。しかしながら、外層を構成するクロ
ルスルホン化ポリエチレン配合物は、その耐熱性が10
5℃程度と低いものであるため、溶接火花が長期間にわ
たって降りかかるようなことがあると、表面が次第に劣
化損傷して繊維補強層が部分的に露出してしまう恐れが
ある。繊維補強層が露出した場合には、繊維補強層の編
組の隙間から溶接火花が浸入して内部のチューブが損傷
してしまうことになる。更に、繊維補強層の形成は、こ
の種のチューブに要求される柔軟性を低下させてしまう
とともに、製造工程数を増加させて生産性を著しく低下
させてしまう。
【0008】本発明はこのような点に基づいてなされた
もので、その目的とするところは、溶接火花が長期間に
わたって降りかかったり、機械的な外力が加わったりす
る環境下においても、空気、水等の流体を長期間安定し
て移送供給することが可能なチューブ、ホース等の長尺
成形品の構成材料として好適な保護被覆材料を提供する
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するべく
本発明による保護被覆材料は、フッ素系エラストマー1
00重量部に対し、構造水を持つ無機充填剤を5重量部
以上100重量部以下添加してなることを特徴とするも
のである。この際、フッ素系エラストマーが、結晶融点
を持つフッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン−4フッ
化エチレン共重合体と、結晶融点を持たないフッ化ビニ
リデン−6フッ化プロピレン−4フッ化エチレン共重合
体又はフッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体
とを95:5〜5:95の重量比で混合したものからな
ることが考えられる。又、フッ素系エラストマーが、不
飽和アルコキシシランをグラフト重合することによって
シラン変性されたものからなることが考えられる。又、
フッ素系エラストマー100重量部に対し、分子量が5
00以上のリン酸エステル可塑剤を1重量部以上10重
量部以下添加することが考えられる。
【0010】又、本発明の他の態様による長尺成形品
は、高分子材料からなる長尺成形品の外周に、上述した
保護被覆材料からなる外層が形成されていることを特徴
とするものである。
【0011】又、本発明の他の態様による多層一体型長
尺成形品は、エポキシ及び/又は酸無水物からなる官能
基によって変性された樹脂を2重量%以上15重量%以
下含有する高分子材料からなる長尺成形品の外周に、フ
ッ素系エラストマー100重量部に対し、エポキシ及び
/又は酸無水物からなる官能基によって変性された樹脂
を5重量部以上30重量部以下添加した上述の保護被覆
材料からなる外層が形成され、内外層の界面が接着され
ていることを特徴とするものである。
【0012】又、本発明の他の態様による多層一体型長
尺成形品は、高分子材料からなる長尺成形品の外周に、
上述のシラン変性されたフッ素系エラストマーを含む保
護被覆材料からなる外層が形成され、内外層の界面が直
接接着されていることを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明において使用されるフッ素
系エラストマーとしては、例えば、4フッ化エチレン−
プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−6フッ化プロ
ピレン共重合体、フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレ
ン−4フッ化エチレン共重合体及び、これらを更に共重
合により変性したものなどを挙げることができる。これ
らは単独で使用しても良いし、2種以上を混合して使用
しても良い。2種以上を混合する場合の例としては、例
えば、結晶融点を持つフッ化ビニリデン−6フッ化プロ
ピレン−4フッ化エチレン共重合体と、結晶融点を持た
ないフッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン−4フッ化
エチレン共重合体又はフッ化ビニリデン−6フッ化プロ
ピレン共重合体とを95:5〜5:95の重量比で混合
することが考えられる。この重量比で混合して得られた
フッ素系エラストマーを使用した場合には、後述する構
造水を持つ無機充填剤の添加による物性の低下を効果的
に防止することができるとともに、得られる成形品の表
面に滑らかさと適度な硬度を与えるこができる。
【0014】又、本発明においては、上述したフッ素系
エラストマー以外にも、例えば、不飽和アルコキシシラ
ンを遊離ラジカル発生剤の存在下で公知の、混合機を用
いる方法、押出機を用いる方法などでグラフト重合する
ことによって得られたシラン変性フッ素系エラストマー
を使用しても良い。シラン変性されたフッ素系エラスト
マーを使用した場合には、架橋方法として、公知の縮合
触媒の存在下において水分と接触させることにより架橋
するシラン架橋法を採用することが可能である。
【0015】上述したフッ素系エラストマーは、いずれ
も溶接火花に対する耐久性や難燃性に優れた絶縁材料で
あるが、本発明においては、フッ素系エラストマーが有
するこれらの優れた特性を更に向上させることを目的と
して、構造水を持つ無機充填剤を特定量添加している。
構造水を持つ無機充填剤とは、結晶水として水を含むも
の、又は水を化学結合しているもののことをいい、加熱
によって自由水を放出するものである。例えば、水酸化
マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウ
ム、ハイドロタルサイト、ドーソナイト、アルミン酸カ
ルシウム、ホウ酸亜鉛、ホウ砂、含水ケイ酸マグネシウ
ム、又は、これらをラウリン酸、ステアリン酸、オレイ
ン酸などの高級脂肪酸や、これらのアルミニウム、マグ
ネシウム、カルシウム塩などの高級脂肪酸塩、シラン系
表面処理剤などによって表面処理したものなどを挙げる
ことができる。これらは単独で使用しても良いし、2種
以上を併用しても良い。本発明においては、これらの無
機充填剤の内、いずれのものを使用しても構わないが、
好ましくは、平均粒子径が30μm以下、更に好ましく
は、10μm以下のものを使用する。平均粒子径が30
μmを超える無機充填剤を使用した場合には、押出加工
性が低下してしまい好ましくない。
【0016】構造水を持つ無機充填剤の添加量は、フッ
素系エラストマー100重量部に対して、好ましくは5
重量部以上100重量部以下、更に好ましくは20重量
部以上50重量部以下とする。添加量が5重量部未満で
は、溶接火花に対する耐久性や難燃性を向上させる効果
が充分に発現せず、又、100重量部を超えると、粘度
が高くなって押出加工性が低下してしまうとともに、機
械的強度と柔軟性が低下してしまう。
【0017】本発明においては、上記の成分に加えて、
リン酸エステル可塑剤を更に添加しても良い。リン酸エ
ステル可塑剤を添加することによって、フッ素系エラス
トマー混合物が有する優れた難燃性及び溶接火花に対す
る耐久性の更なる向上と、押出加工性の向上を図ること
ができる。リン酸エステル可塑剤としては、例えば、
1,3−フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、
1,3−フェニレンビス(ジキシレニルホスフェー
ト)、1,3−フェニレンビス(フェニルクレジルホス
フェート)、ポリオキシアルキレンビス(ジクロロアル
キルホスフェート)などを挙げることができ、特に限定
されないが、好ましくは分子量が500以上であるもの
を使用する。分子量が500未満のものは、リン酸エス
テルの揮発性が増大してしまうため、目的とする充分な
難燃性及び溶接火花に対する耐久性を得ることが困難に
なってしまう。
【0018】リン酸エステル可塑剤の添加量は、フッ素
系エラストマー100重量部に対して、好ましくは1重
量部以上10重量部以下とする。添加量が1重量部未満
では、難燃性及び溶接火花に対する耐久性を向上させる
効果が充分に発現せず、又、10重量部を超えると、硬
度が低下するとともに、機械的強度、特に、耐摩耗性が
低下してしまう。
【0019】上記の各構成材料に、更に、充填剤、架橋
剤、架橋助剤、酸化防止剤、加工助剤、安定剤、顔料等
の従来公知の各種添加剤を必要に応じて適宜に配合した
後、インターナルミキサー、一軸混練機、二軸混練機等
の公知の混練機を使用して充分に混練することにより、
本発明にかかる保護被覆材料を得ることができる。
【0020】本発明の保護被覆材料は、架橋を施して用
いると、溶接火花に対する耐久性が更に向上して好まし
い。架橋方法としては、例えば、架橋剤を使用し熱を与
えることで架橋を行う、アミン架橋、ポリオール架橋、
過酸化物架橋等の化学架橋法や、X線、γ線、電子線、
陽子線、重陽子線、α線、β線等の電離性放射線を利用
して架橋を行う照射架橋法、不飽和アルコキシシランで
シラン変性された組成物を公知の縮合触媒の存在下で水
分と接触させることで架橋を行うシラン架橋法などが挙
げられ、特に限定されない。化学架橋法により架橋する
場合は、ベント型押出機等を使用して押出成形した後、
常圧下にて溶融塩、加熱ビーズ、熱風等の加熱媒体と接
触させて加熱架橋するか、それらの手段とマイクロ波と
を組み合わせて加熱架橋することなどが一般的である。
【0021】本発明においては、上記のようにして得ら
れた保護被覆材料を、高分子材料からなる長尺成形品の
外周に、公知の押出機を用いて被覆形成して外層とする
ことにより、高度な難燃性と溶接火花に対する耐久性を
付与したチューブ、ホース等の長尺成形品を得ることが
できる。
【0022】この際、内層の長尺成形品を構成する高分
子材料としては、公知の合成樹脂、合成ゴム等の高分子
材料の中から使用用途などを考慮して適宜に選択すれば
良く、特に限定されない。例えば、本発明によって得ら
れる長尺成形品を、溶接ロボットの駆動用エアチューブ
などとして使用する場合には、軽量であり、且つ機械的
強度、耐薬品性などに優れた合成樹脂、例えば、ナイロ
ン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナ
イロン66、ナイロン610等のポリアミド樹脂や、ポ
リエステル系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹
脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂などを好ましく用
いることができる。勿論、これら以外の合成樹脂や合成
ゴムを使用することも可能であり、又、その構造も一層
構造に限らず、二層構造以上であっても良い。
【0023】又、この際、内層の長尺成形品を構成する
高分子材料と、本発明にかかる保護被覆材料がともに、
エポキシ及び/又は酸無水物からなる官能基によって変
性された樹脂を特定量含有している場合には、この変性
樹脂が接着成分として機能するため、内層と外層との界
面が接着一体化された構造の長尺成形品を得ることがで
きる。勿論、この際、内層の長尺成形品の表面に適宜に
プライマー処理等を施しておくことも考えられ、この場
合には、上記の変性樹脂の使用による効果との相乗効果
により、内層と外層との接着性が更に向上する。
【0024】変性樹脂の添加量は、まず、内層の長尺成
形品を構成する高分子材料に対しては、好ましくは2重
量%以上15重量%以下とする。2重量%未満では、充
分な接着効果が得られず、又、15重量%を超えると、
押出加工性が低下してしまう。次に、本発明にかかる保
護被覆材料に対しては、フッ素系エラストマー100重
量部に対して、好ましくは5重量部以上30重量部以下
とする。5重量部未満では、充分な接着効果が得られ
ず、又、30重量部を超えると、押出加工性が低下して
しまう。
【0025】又、この際、本発明にかかる保護被覆材料
を構成するフッ素系エラストマーとして、不飽和アルコ
キシシランを遊離ラジカル発生剤の存在下でグラフト重
合することによって得られたシラン変性フッ素系エラス
トマーを使用した場合には、既に述べたように、架橋方
法として、有機過酸化物等の架橋剤を必要としないシラ
ン架橋法を採用することができるため、高温条件下で押
出成形を行うことが可能であり、内層の高分子材料と、
外層の被覆材料とを、ともに溶融状態で共押出すること
によって内層と外層との界面を溶融させた状態で直接接
着一体化した構造の長尺成形品を得ることができる。
【0026】このようにして得られる本発明の保護被覆
材料は、溶接火花に対する耐久性、難燃性及び機械的強
度などを高度なレベルで兼ね備えているため、例えば、
溶接火花が発生したり、機械的な外力が加わったりする
可能性のある環境下において、空気、水等の流体を移送
供給することが要求されるような用途、例えば、溶接ロ
ボットに駆動用の空気や冷却用の水などの流体を移送供
給するためのチューブの保護被覆材などとして、又、電
線、ケーブルの保護被覆材などとして好適に使用するこ
とができる。
【0027】
【実施例】以下に本発明の実施例を比較例と併せて説明
する。尚、内層の長尺成形品としては、内径9mm、外
径12mmのポリアミド樹脂製チューブを使用した。
又、表1乃至表4に示した配合材料の詳細は表5に示し
た。
【0028】表1乃至表4に示した配合材料を二軸混練
機で充分に混練し、得られた被覆材料をスクリュー径9
0mmの一軸ベント押出機に供給してポリアミド樹脂製
チューブの周上に1mmの肉厚でチューブ状に押出成形
し、その後、直ちに、200℃に保持された液体中に9
0秒間浸漬して架橋を施した。
【0029】ただし、表4に示した配合材料の内、実施
例18に関しては、スクリュー径70mmの単軸押出機
にポリアミド樹脂を、スクリュー径40mmの単軸押出
機に被覆材料を、それぞれ供給して共押出を行った後、
縮合触媒の存在下で80℃の温水中に24時間保持して
架橋を施した。
【0030】又、上記の架橋チューブとは別に、表4に
示した配合材料に関しては、ポリアミド樹脂に酸無水物
変性樹脂を0重量%、2重量%、5重量%、10重量
%、15重量%の各割合で添加した混合物でシートを作
製し、そのシート上に、被覆材料を1kgf/cm
圧力でプレス成形したシートを更に作製して、接着性測
定用の試料とした。
【0031】ここで、このようにして得られた合計25
種類(実施例1乃至実施例18、比較例1乃至比較例
7)の架橋チューブと、合計5種類(実施例15乃至実
施例18、比較例7)のシートを試料として、特性評価
を行った。評価項目は、溶接火花に対する耐久性、機械
的強度(引張強さ及び伸び、耐摩耗性)、難燃性、押出
加工性及び硬度の5項目と、更に、実施例15乃至実施
例18と比較例7に関しては、接着性の項目を設け、そ
れぞれ以下に示すような試験を実施した。結果は表1乃
至表4に示した。
【0032】溶接火花に対する耐久性 水平に保持した試料の上方30cmの位置で、厚さ6m
mの鉄板に、一定の速度で移動する口径1.2mmのア
セチレンガスバーナーの先を直角に当て、250mmの
長さを切断して試料の上に溶接火花を落下させた。そし
て、試料の表面状態を拡大鏡にて確認し、最大炭化部分
の直径を測定した。また、穴開きの有無についても確認
した。
【0033】機械的強度 引張強さと伸びは、JIS C 3005(1986)に
準拠して測定した。溶接火花対策として使用されている
シリコーンゴムの実力値に基づき、引張強さ10MPa
以上、伸び200%以上を合格ラインとした。耐摩耗性
は、外径8.9mmの金属棒を試料内に挿入した後、J
ASO D 608−92に準拠して荷重510gのブレ
ードを用いた往復法による摩耗試験を行い、内層のポリ
アミド樹脂製チューブが露出するまでの回数を測定し
た。8000回以上を合格ラインとした。
【0034】難燃性 UL94に準拠して測定し、V−0レベル以上を合格ラ
インとした。
【0035】押出加工性 各試料の外観状態を目視で確認し、表面に凹凸が見られ
たものを「不良」と表示した。
【0036】硬度 硬度は、JIS K 6301に準拠してJIS A硬度
を測定した。
【0037】接着性 JIS C 2170(電気絶縁用粘着テープの粘着力)
に準拠して剥離強度を測定した。剥離の形態が界面破壊
と凝集破壊の両方を示す0.5kgf以上の剥離強度を
示したものを「○」と表示した。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
【表5】
【0043】表1乃至表4の結果によれば、本実施例に
よるものは、いずれも、溶接火花に対する耐久性、機械
的強度、難燃性を高度なレベルで兼ね備えていることが
判る。なかでも、フッ素系エラストマーに構造水を持つ
無機充填剤1と構造水を持つ無機充填剤2を併用して添
加した実施例6や、構造水を持つ無機充填剤1とリン酸
エステル可塑剤1を併用して添加した実施例12乃至実
施例14は、溶接火花によって試料の内部まで溶融ある
いは穴が開くことを防ぐ殻状のものを試料表面上に形成
しており、特に溶接火花に対する耐久性に優れている。
又、フッ素系エラストマーとして、結晶融点を持つフッ
化ビニリデン−6フッ化プロピレン−4フッ化エチレン
共重合体を含有する実施例5、実施例7乃至実施例11
及び実施例18は、特に耐摩耗性に優れている。
【0044】これに対して、構造水を持つ無機充填剤を
全く添加していない比較例1は、最大炭化部分の直径が
本実施例によるものの2.5倍〜7倍程度と大きく、
又、試料の表面がただれて一部穴の開いている箇所もあ
り、溶接火花に対する耐久性が不合格であった。又、構
造水を持つ無機充填剤の添加量が本発明の好ましい範囲
を超える比較例2は、溶接火花に対する耐久性と難燃性
は合格しているものの、機械的強度と押出加工性が劣っ
ている。比較例3及び比較例4は、平均粒子径が本発明
の好ましい範囲を超える無機充填剤を添加した場合の例
であるが、押出加工性が劣っている。比較例5は、分子
量が本発明の好ましい範囲に満たないリン酸エステル可
塑剤を添加した場合の例であるが、溶接火花に対する耐
久性がリン酸エステル可塑剤を添加していないものと同
程度であり、リン酸エステル可塑剤を添加する効果が発
現していない。又、分子量が本発明の好ましい範囲であ
るリン酸エステル可塑剤を添加した場合であっても、そ
の添加量が本発明の好ましい範囲を超える比較例6は、
耐摩耗性が不合格であり、硬度も低下している。
【0045】表4の接着性の結果によれば、ポリアミド
樹脂と被覆材料のそれぞれに酸無水物変性樹脂を添加す
ることで、内外層を接着一体化させることが可能である
ことが判る。又、実施例18に示したシラン変性被覆材
料を用いれば、酸無水物変性樹脂の有無にかかわらず、
溶融状態で内外層を接着一体化することが可能であるこ
とが判る。酸無水物変性樹脂の添加量が本発明の好まし
い範囲を超える比較例7は、接着性や溶接火花に対する
耐久性などは合格するものの、押出加工性が劣ってい
る。
【0046】このように、本実施例によるチューブは、
溶接火花に対する耐久性、機械的強度及び難燃性を高度
なレベルで兼ね備えており、溶接火花や機械的な外力の
影響による損傷を確実に防止できることが実証された。
【0047】
【発明の効果】以上詳述したように本発明による保護被
覆材料は、溶接火花に対する耐久性、難燃性及び機械的
強度などを高度なレベルで兼ね備えたものである。従っ
て、例えば、溶接火花が発生したり、機械的な外力が加
わったりする可能性のある環境下において、空気、水等
の流体を移送供給することが要求されるような用途、例
えば、溶接ロボットに駆動用の空気や冷却用の水などの
流体を移送供給するためのチューブの保護被覆材などと
して、又、電線、ケーブルの保護被覆材などとして好適
に使用することができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08J 7/04 CEW C08J 7/04 CEWZ F16L 11/04 F16L 11/04 // B29K 27:12 77:00 B29L 9:00 23:00 (72)発明者 菊池 純 静岡県浜松市高塚町4830番地 株式会社ク ラベ内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フッ素系エラストマー100重量部に対
    し、構造水を持つ無機充填剤を5重量部以上100重量
    部以下添加してなることを特徴とする保護被覆材料。
  2. 【請求項2】 フッ素系エラストマーが、結晶融点を持
    つフッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン−4フッ化エ
    チレン共重合体と、結晶融点を持たないフッ化ビニリデ
    ン−6フッ化プロピレン−4フッ化エチレン共重合体又
    はフッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体とを
    95:5〜5:95の重量比で混合したものからなるこ
    とを特徴とする請求項1記載の保護被覆材料。
  3. 【請求項3】 フッ素系エラストマーが、不飽和アルコ
    キシシランをグラフト重合することによってシラン変性
    されたものからなることを特徴とする請求項1又は請求
    項2記載の保護被覆材料。
  4. 【請求項4】 フッ素系エラストマー100重量部に対
    し、分子量が500以上のリン酸エステル可塑剤を1重
    量部以上10重量部以下添加したことを特徴とする請求
    項1、請求項2又は請求項3記載の保護被覆材料。
  5. 【請求項5】 高分子材料からなる長尺成形品の外周
    に、請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4の何れ
    かに記載された保護被覆材料からなる外層が形成されて
    いることを特徴とする長尺成形品。
  6. 【請求項6】 エポキシ及び/又は酸無水物からなる官
    能基によって変性された樹脂を2重量%以上15重量%
    以下含有する高分子材料からなる長尺成形品の外周に、
    フッ素系エラストマー100重量部に対し、エポキシ及
    び/又は酸無水物からなる官能基によって変性された樹
    脂を5重量部以上30重量部以下添加した請求項1、請
    求項2、請求項3又は請求項4の何れかに記載された保
    護被覆材料からなる外層が形成され、内外層の界面が接
    着されていることを特徴とする多層一体型長尺成形品。
  7. 【請求項7】 高分子材料からなる長尺成形品の外周
    に、請求項3記載の保護被覆材料からなる外層が形成さ
    れ、内外層の界面が直接接着されていることを特徴とす
    る多層一体型長尺成形品。
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