JPH1018054A - ガソリンタンク用表面処理鋼板 - Google Patents

ガソリンタンク用表面処理鋼板

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JPH1018054A
JPH1018054A JP17811996A JP17811996A JPH1018054A JP H1018054 A JPH1018054 A JP H1018054A JP 17811996 A JP17811996 A JP 17811996A JP 17811996 A JP17811996 A JP 17811996A JP H1018054 A JPH1018054 A JP H1018054A
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steel sheet
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alloy
bath
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JP17811996A
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English (en)
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Kazuo Mochizuki
月 一 雄 望
Tomofumi Shigekuni
国 智 文 重
Shigeru Unno
野 茂 海
Shigeo Kurokawa
川 重 男 黒
Hiroyuki Ogata
形 浩 行 尾
Hiroki Nakamaru
丸 裕 樹 中
Kenichiro Akao
尾 謙一郎 赤
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】ガソリン、アルコール含有ガソリンなどの燃料
に対して、優れた耐食性を有するガソリンタンク用表面
処理鋼板を提供する。 【解決手段】鋼板の片面に第1層として付着量が10〜
60g/m2 のZnめっき層、第2層として付着量が5
〜30g/m2 でZn含有率が10〜80%のSn−Z
n層、さらに第3層として付着量が5〜50g/m2
Sn層からなる表面皮膜を有し、他の片面は付着量が1
0〜60g/m2 のZnめっき層を有するガソリンタン
ク用表面処理鋼板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガソリンタンク用
表面処理鋼板に係り、特にガソリン、アルコール、ある
いはアルコール含有ガソリン用材料として優れた耐食性
を有する鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、北米、南米、欧州では、自動車用
燃料としてアルコール(メタノール、エタノール)、あ
るいはアルコール含有ガソリンを導入しており、大気環
境規制の高まりを受けその比率は益々高まっている。こ
れらのアルコールあるいはアルコール含有ガソリンは自
動車に充填された状態で不可避的に水分を含有し、これ
らの酸化劣化によって腐食性の高い有機酸を含んだ水溶
液となる。しかし、自動車用燃料タンクは最重要保安部
品として高い耐久・耐食性が要求されており、めっき金
属にはこれらの環境で安定で、フィルターの目詰まりの
原因となる剥離性の腐食生成物の生成が少なく、成形加
工した場合にもめっき層が良く鋼板を被覆していること
が要求される。
【0003】現在、燃料タンク用鋼板としては、特公昭
57−61833 号公報に示されるようなPb−Sn合金(S
n8〜20%)溶融めっき鋼板とか、Zn−Ni合金め
っき鋼板に酸化クロムを主体とするクロメート処理を施
したものが使用されている。これらの材料を酸化劣化し
たアルコールを含有するガソリン(有機酸水溶液+エチ
ルアルコール+ガソリン)に対する耐食性を調査する
と、Pb−Sn合金(Sn8〜20%)溶融めっき鋼板
に関して言えば、Pb−Sn合金がアルコール溶解しや
すい特性から、十分な耐食性を有しない問題、およびP
b−Sn合金が水溶液中では鉄よりも卑な性質を有する
ため、めっき層にピンホールが存在すると、鋼板の腐食
を妨げる効果がないばかりか、電位差により腐食を促進
するという問題がある。近年、ガソリンタンクの形状は
複雑になり、プレス成形加工も厳しくなっているが、加
工時に柔らかいPb−Sn合金が鋼板の粗度を埋めるよ
うに塑性的に流動するため、めっき層の薄い部分あるい
はピンホールが形成され、著しい耐食性の劣化が生じ問
題となっていた。
【0004】Zn−Ni合金めっき鋼板にクロメート処
理を施したものでは、Zn−Ni合金めっき層は鋼板に
対する犠牲防食作用があるものの剥離性のZn系の腐食
生成物を生じてフィルターに目詰まりをおこしたり、有
機酸水溶液中では酸濃度が高くなった場合に十分な耐食
性を有しないという問題があった。プレス加工時の皮膜
損傷に関しては、Zn−Ni合金めっき皮膜は硬度が高
いため皮膜損傷は少ないが、その反面クロメート皮膜が
損傷を受け易くピンホールを生じて耐食性が十分でない
という問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現用タンク材料の欠点を解消し、ガソリン、アルコール
含有ガソリンなどの燃料に対して、優れた耐食性を有す
るガソリンタンク用表面処理鋼板を提供することを目的
とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の第1発明は、鋼
板の片面に第1層として付着量が10〜60g/m2
Znめっき層、第2層として付着量が5〜30g/m2
でZn含有率が10〜80%のSn−Zn層、さらに第
3層として付着量が5〜50g/m2 のSn層からなる
表面皮膜を有し、他の片面は付着量が10〜60g/m
2 のZnめっき層を有するガソリンタンク用表面処理鋼
板を提供する。ここで、表面処理鋼板の少なくとも一方
の面の最上層としてさらに付着量が1〜20mg/m2
のクロメート層を有するのが好ましい。
【0007】本発明の第2発明は、鋼板の上層に第1層
として付着量が1〜10g/m2 でFe含有率が20〜
95%のSn−Fe合金層、第2層として付着量が10
〜60g/m2 のSn層、および第3層として金属Cr
の付着量が5〜100mg/m2 である金属Crと酸化
クロムからなるクロメート皮膜を少なくとも鋼板の片面
に有するガソリンタンク用表面処理鋼板を提供する。こ
こで、第1層のSn−Fe合金層中にNi,Cuの1種
または2種を合計で30%以下含むのが好ましい。
【0008】本発明の第3発明は、鋼板上に第1層とし
て付着量が1〜20g/m2 でFe含有率が20〜95
%のSn−Fe合金層、第2層として付着量が10〜6
0g/m2 でSiO2 含有率が0.1〜5%のSn−S
iO2 複合めっき層を少なくとも鋼板の片面に有するガ
ソリンタンク用表面処理鋼板を提供する。また、鋼板の
第3層として金属Crの付着量が5〜100mg/m2
である金属Crと酸化クロムからなるクロメート皮膜を
有するのが好ましい。さらに、第1層のSn−Fe合金
層中にZn,Ni,Cuの1種または2種以上を合計で
30%以下含むのが好ましい。
【0009】
【発明の形態】以下に本発明についてさらに詳細に説明
する。
【0010】以下本発明の第1発明について詳細に説明
する。まず本発明のガソリンタンク用表面処理鋼板にお
いては鋼板上に第1層としてZnめっき層を有する。こ
の層は何ら製造法を限定するものではないが、溶融めっ
きあるいは電気めっきによって製造することが望まし
い。溶融めっきの場合、Zn層中にはめっき時に450
℃以上に加熱されるためFe−Zn合金層が形成される
が、これはZnめっき層中の30%を超えない範囲に管
理する必要がある。このため、Zn浴中にAlを添加す
る方法が採られるが、Zn浴中におけるAl濃度が10
%を超えない範囲ならば本発明の効果に影響を及ぼすも
のではない。また、電気めっきによってZn層が形成さ
れる場合は、厳しいプレス加工を受けた場合でもめっき
層に欠陥を生じないことが必要である。Zn−Niある
いはZn−Fe合金めっきのような公知のめっきはめっ
きの硬度が高く、加工変形でめっき層にクラックを生じ
易いことから本発明の第1層として好ましくない。従っ
て、Zn層中におけるNi,Feなどの不純物元素は5
%以内の濃度に管理する必要がある。
【0011】Znめっき層を第1層とする目的は、アル
コール含有ガソリンと接する鋼板面側に対して第3層の
Sn層との反応により第2層のSn−Zn層の形成を促
進し同時にこの層の存在により高度な密着性を保持する
ことと、タンク外面となる鋼板面側に対しては、タンク
として成形後の塗装との組合せで高度な耐孔空き性を得
ることにある。従って、Znめっき層の付着量としては
10〜60g/m2 が望ましい。10g/m2 未満では
耐孔空き性が不十分で、且つSn−Zn層との密着性を
保持する効果に乏しく結果としてプレス時にSn−Zn
およびSnめっき皮膜の脱離を生じて耐食性が劣化する
からである。60g/m2 超では耐孔空き性を向上させ
る効果が飽和し、加工時にZnめっき皮膜の脱離を生じ
易くなり耐食性が劣化するためである。
【0012】第2層としては第1層と第3層の合金化に
より形成されたSn−Zn層を有する。この層は、第1
層が溶融めっきにより成形された場合は、めっき後の鋼
板温度が高い間に連続して片面の溶融Snめっきを行う
か、あるいは片面のSn溶射を行うことにより、Snと
Znを合金化させて形成させることが望ましい。第1層
が電気Znめっきにより形成された場合は、第3層のS
n層を形成させた後に、直接通電加熱、高周波加熱ある
いは外部加熱により200℃以上に加熱することによ
り、SnとZnを合金化させて形成させることが望まし
い。第2層として電気Sn−Zn合金めっきも可能であ
るが、加熱により形成された合金層は熱的に安定である
ことから耐食性に優れる。
【0013】第2層のSn−Zn層の効果は、第3層の
Sn層と第1層のZn層の中間にあって、加工後に第3
層にめっき皮膜損傷が有った場合でも、電位差を緩和す
る役割によって腐食の抑制に寄与するものである。ま
た、Sn層が鋼板に対してアルコール含有ガソリン中で
貴な電位を示し、犠牲防食作用を有しない欠点を補っ
て、Sn−Zn層は第1層のZn層との組合せによっ
て、鋼板に対してやや卑な電位を示して犠牲防食作用を
発揮するものである。Sn−Zn層中の合金組成は厚さ
方向に濃度勾配を有することがあるが、合金層の厚み
(付着量)と平均組成の要件を満足すれば濃度勾配が存
在することは本発明の効果を減ずるものではない。Sn
−Zn層中のZn含有率は、平均で10〜80%が好ま
しい。その理由は、10%以下では第3層のSn層と電
気化学的な特徴が実質的に変わりないこと、および80
%以上では第1層のZn層と実質的に変わりないことに
より、耐食性が劣るからである。
【0014】第2層のSn−Zn層の付着量は5〜30
g/m2 が好ましい。その理由は、5g/m2 未満では
SnとZn層の電位差を緩和する効果に乏しく、加工後
の耐食性が劣ること、30g/m2 超ではSn−Zn層
内での凝集破壊によって加工時に皮膜が脱離し易くなる
からである。
【0015】第3層は第2層の合金層の上部に形成され
たSn層である。Sn層は均一な厚みで形成されている
ことが望ましい。この層を形成させる方法としては溶融
めっき法、溶射法あるいは電気めっき法がある。いずれ
の場合でもめっき時、あるいはめっき後にSnの融点以
上に加熱されることが望ましい。その理由は、第2層の
Sn−Zn層の形成と凝固時に核生成される時に好まし
い優先結晶方位に凝固結晶が成長するからである。凝固
の際の冷却速度は好ましい配向に影響は無く、水冷ある
いは空冷などの望ましい冷却方式を採用できる。
【0016】第3層のSnの付着量は、5〜50g/m
2 の範囲が好ましい。Sn自体は劣化したアルコール含
有ガソリンに対して著しく高い耐食性を有し、耐食性は
皮膜欠陥の減少と共に向上することから、付着量の増加
とともに耐食性は向上する。付着量が5g/m2 未満で
は加工後の鋼板の延びによってめっき皮膜の薄い部分が
形成されるため、耐食性が十分では無い。50g/m2
超では耐食性向上効果が飽和し、省資源、経済性の観点
からデメリットを生ずる。また他の片面には、電気化学
的な赤錆の発生を防止するため、10〜60g/m2
Znめっきを施す。Znめっき方法は、電気めっき、溶
融めっき等方法を問わないが、10g/m2 未満では、
防食効果が十分でなく、60g/m2 超では、経済的で
ないばかりか溶接やプレス等の性能を害する。
【0017】さらに一方の鋼板面(外面)のZnめっき
層上の第2層および他方の鋼板面(内面)のSnめっき
層上の第4層の一方または双方として、クロメート皮膜
を設けることは封孔皮膜として耐食性を向上させるため
に有効である。この皮膜は、劣化したアルコール含有ガ
ソリン中における耐食性に、第1層〜第3層との組合せ
によって格段の効果を有するものである。この層は酸化
クロムと金属クロムを主体とする層で必要に応じて、シ
リカ、リン酸、ワックスの添加も有効である。これらの
皮膜はSn層の活性点に作用して不活性化し、耐食性を
向上させるものである。処理法としては、クロム酸水溶
液でリンス処理をする方法が一般的である。付着量はC
r換算で1〜20mg/m2 が望ましい。1mg/m2
未満では耐食性が不十分であり、20mg/m2 超では
効果が飽和すると同時に塗装との密着性を損ねて耐食性
が劣るからである。
【0018】本発明のガソリンタンク用表面処理鋼板
は、公知のめっき法により得ることが出来る。以下例示
的に説明するが、これに本発明は限定されることはな
い。まず、溶融Znめっきあるいは電気Znめっき法に
よる第1層の形成に関しては、例えば溶融めっきでは1
%以下のAlを含有したZn浴中に、H2 を含有する雰
囲気中で400℃以上に加熱され表面が活性化された鋼
板を浸漬し、その後直ちに空気あるいはN2 ガスにより
余分に付着した溶融Znをワイピングして付着量を調整
することにより第1層が形成される。また、電気Znめ
っきの場合はZnイオンを含む公知の硫酸浴、あるいは
塩化浴を用いて陰極電解することにより鋼板表面にZn
層を形成させることが可能である。第2層の形成は第3
層の形成と同時あるいはその直後に引き続き行うのが合
理的である。
【0019】第3層の形成は、第1層が溶融めっきによ
って形成された場合、その時の鋼板の熱を利用して溶融
Snめっきあるいは溶射Snめっきによって行われる。
溶融SnめっきはSn純度99%、浴温:250℃の溶
融Sn浴中に鋼板を1〜3秒浸漬し引き上げた後、エア
ーワイピングあるいはロール絞りにより付着量を調整す
る。この際、浸漬時間と付着量調整後の冷却速度によっ
て第2層であるSn−Zn合金層の付着量が決定され、
浸漬時間が長く、冷却速度が遅いほど合金層は多く形成
される。片面のみへの溶融めっきはメニスカスによる方
法、ロールコートによる方法などが適用できる。溶射S
nめっきの場合はアーク法、プラズマ法などの公知の方
法が適用可能である。溶射ガンの塗覆幅は数十cmであ
るから、この間隔でガンを並べ全体の幅に塗覆するよう
工夫する必要がある。溶射直後は第1層を完全に覆うこ
とは出来無くとも溶融Snのフローによって表面を覆う
よう凝固までの時間を必要とする。片面電気Snめっき
法による第3層の形成に関しては、まずSnめっきを公
知のフェロスタン浴、ハロゲン浴、MSA浴、アルカリ
浴を用いて、浴温:25〜60℃、電流密度:2〜20
0A/dm2 の条件で行い、続いて鋼板を直接通電加
熱、高周波加熱、熱風加熱などの方法を用いて232℃
以上に加熱して冷却することにより第2層が形成され
る。この際、加熱・保持・冷却に要する時間が長いほ
ど、形成される合金層の付着量は多くなる。電気めっ
き、あるいは溶融めっきで片面めっきを行う場合に反対
面への最小限の回り込みが不可避な場合があるが、第2
層と第3層のSn付着量の合計が5g/m2 以内なら
ば、本発明の効果を減ずるものでは無い。
【0020】内面の第4層および外面の第2層のクロメ
ート皮膜は市販の薬剤の適用が可能である。例えば、パ
ーレン62(日本パーカー製)を標準条件で処理するこ
とで本発明の効果を得ることが出来る。
【0021】次に本発明の第2発明について詳細に説明
する。まず本発明においては第1層として鋼板の少なく
とも一方の面上にSn−Fe合金層を有する。この合金
層は何ら製造法を限定するものではないが、第2層が溶
融Snめっきによって形成される場合は溶融Snと鋼板
の合金化によってこの層が形成され、電気めっきで形成
される場合には必要に応じてその後加熱処理を施すこと
によって形成される。形成された合金層はSnとFeの
金属間化合物となるが、合金層は硬度が高くしかも合金
結晶が細かく形成されるために、中間層として鋼板およ
びSn層との強い密着性を示し、プレス加工時の強い摺
動抵抗が第2層のSn層に加わった場合でも、めっき層
の損傷が少なく結果として加工部の耐食性に優れるもの
である。
【0022】また、第1層はプレス加工の程度に応じ
て、Ni,Cuの1種あるいは2種を30%以下含むこ
とが好ましい。30%超NiやCoを含むと加工性を害
し、プレス時めっき層の剥離が起こる。これにより、さ
らに緻密で隙間のない合金層となることから一層耐食性
に優れるものである。この場合に合金層中にNi,Cu
を含有させる手段は、これらの金属を予め前めっきして
その後合金化させる方法、あるいは溶融Snめっき法の
場合Sn浴中へこれら金属を添加して合金化により形成
させる方法などあるが、Sn−Fe合金層にNi,Cu
なる金属を含むことのみが重要である。従って、Ni,
Cuの純金属層あるいはFeとの合金層がさらに下層に
存在することは本発明で得られる効果を高めるものでは
無い。
【0023】Sn−Fe合金層の合金比率、付着量は品
質性能に格段の影響を及ぼすものではないが、合金比率
がSn−20〜95%Fe、付着量は1〜10g/m2
が好ましい。合金層中のFe比率が20%未満では合金
層の硬度が低下して加工時に皮膜損傷を生じやすくな
り、95%を超えると、合金層が粗くなり同様に加工時
に皮膜損傷を生じやすくなるからである。付着量は1g
/m2 未満では中間層としての密着性を向上させる効果
が低下し、10g/m2 を超えると加工時に脆化して皮
膜剥離の起点となる。
【0024】第2層は第1層の合金層の上部に形成され
たSn層である。Sn層はほぼ均一な厚みで形成されて
いることが望ましい。この層を形成させる方法としては
溶融めっき法、あるいは電気めっき法があるが、いずれ
にせよめっきと同時か、あるいはめっき後に融点以上に
加熱されることが高い耐食性と加工時の摺動によって皮
膜損傷を少なくするために望ましい。その理由は、第1
層と溶融Snの界面において凝固時に核生成される時に
好ましい優先結晶方位に凝固結晶が成長するからであ
る。凝固の際の冷却速度は好ましい配向に影響は無く、
水冷あるいは空冷などの望ましい冷却方式を採用でき
る。Snの付着量は、10〜60g/m2 の範囲が好ま
しい。Sn自体は劣化したアルコール含有ガソリンに対
して著しく高い耐食性を有することから、耐食性は皮膜
欠陥の減少と共に向上することから、付着量の増加とと
もに耐食性は向上する。付着量が10g/m2 未満では
加工後の鋼板の延びによってめっき皮膜の薄い部分が形
成されるため、耐食性が十分では無い。60g/m2
では耐食性向上効果が飽和し、省資源、経済性の観点か
らデメリットを生ずる。
【0025】第3層は金属クロムと酸化クロムからなる
クロメート皮膜で封孔皮膜として機能する。この皮膜
は、劣化したアルコール含有ガソリン中における耐食性
に、第1層および第2層との組合せによって格段の効果
を有するものである。この層は例えば助剤を含むクロム
酸水溶液中で鋼板を陰極電解することにより形成される
が、金属クロム層は優先的にSnの結晶粒界に形成する
ものである。これによって、腐食の起点となるべき粒界
を安定化することによって著しく耐食性を向上させるも
のである。封孔処理としては、クロム酸水溶液でリンス
処理をする方法が一般的であるが、この方法をSnめっ
きに施した場合には、Snの溶解性が著しく低いために
十分な付着量が得られず、表面を十分に被覆することが
出来ないばかりか、形成される酸化クロム層は酸化Sn
層を介して形成されるためSn層との密着性も低く加工
時に容易に剥離する。電解によって金属クロム層を形成
した場合には、電解時の著しい水素ガスの発生により、
酸化Snを還元しつつ金属クロムが金属Sn上に直接形
成されるため、密着性は著しく高く、従って加工後耐食
性も高い。酸化クロム層は電解クロメート処理によって
付随的に形成され、格段に耐食性に寄与するものではな
いが、特別に除去する必要も無い。クロメート層のその
他の効果としては摺動性が改善される。この理由は硬い
金属クロム層が局所的に存在することによって、金型と
Snの接触を妨げ凝着を防止することによるものであ
る。金属クロムの付着量は5〜100g/m2 が望まし
い。5mg/m2 未満では粒界への必要な量を付着させ
るために不十分であり、耐食性が劣る。100mg/m
2 超では粒界のみならず表面層全体を覆うため金属クロ
ムの高い内部応力によって加工時にSn層に亀裂を生じ
易くなり耐食性が劣化する。
【0026】本発明の第2の発明のガソリンタンク用表
面処理鋼板は、公知のめっき法により得ることが出来
る。まず、溶融めっき法による第1層および第2層の形
成に関しては、例えば、Sn純度99.9%、浴温:2
50℃の溶融Sn浴中に鋼板を1〜3秒浸漬し引き上げ
た後、エアーワイピングあるいはロール絞りにより付着
量を調整する。この際、浸漬時間と付着量調整後の冷却
速度によって第1層であるSn−Fe合金層の付着量が
決定され、浸漬時間が長く、冷却速度が遅いほど合金層
は多く形成される。また、第1層中にNi,Cuを含有
させる場合には、これら金属を浴中に添加するか、ある
は電気めっきにより予め鋼板上にNi,Cuめっき皮膜
を形成させ、その後のSnめっき時の合金化反応により
これら金属を含有させることができる。
【0027】電気めっき法による第1層、第2層の形成
に関しては、まずSnめっきを公知のフェロスタン浴、
ハロゲン浴、MSA浴、アルカリ浴を用いて、浴温:2
5〜60℃、電流密度:2〜200A/dm2 の条件で
行い、続いて鋼板を直接通電加熱、高周波加熱、熱風加
熱などの方法を用いて232℃以上に加熱して冷却する
ことにより形成される。この際、加熱・保持・冷却に要
する時間が長いほど、形成される合金層の付着量は多く
なる。第1層中にNi,Cuを含有させる場合には、S
nめっきに先立ってこれらの金属を公知のめっき浴とめ
っき条件を用いてめっきすることが有効である。
【0028】第3層の形成に関しては、例えば、CrO
3 :100g/l,H2 SO4 :3g/lを含有する水
溶液中で、浴温50℃、電流密度20A/dm2 で1〜
10秒間陰極電解することにより、金属クロムと酸化ク
ロムからなるクロメート層が形成される。第2層の表面
に酸化Snが多く形成された場合には、クロメート層の
付着量が不均一となったり、粒界に十分な量が付着しな
いために効果が不足する。この場合、炭酸ナトリウムあ
るいは炭酸水素ナトリウム水溶液中で陰極電解を行うこ
とで、酸化膜が還元され、均一なクロメート層を得るこ
とができる。処理浴として重クロム酸ナトリウムを用い
た場合には、金属Crの析出はなく従って本発明にある
効果は得られない。
【0029】次に本発明の第3発明について詳細に説明
する。まず本発明においては第1層として鋼板上にSn
−Fe合金層を有する。この合金層は何ら製造法を限定
するものではないが、この合金層を溶融Snめっきによ
って形成しようとする場合は溶融Snと鋼板の合金化に
よってこの層が形成され、電気めっきで形成される場合
には必要に応じてその後加熱処理を施すことによって形
成される。形成された合金層はSnとFeの金属間化合
物となるが、合金層は硬度が高くしかも合金結晶が細か
く形成されるために、中間層として鋼板およびSn層と
の強い密着性を示し、プレス加工時の強い摺動抵抗が第
2層のSnに加わった場合でも、めっき層の損傷が少な
く結果として加工部の耐食性に優れるものである。
【0030】また、第1層はプレス加工の程度に応じ
て、Zn,Ni,Cuの1種あるいは2種以上を30%
以下含むことが好ましい。30%超NiやCoを含むと
加工性を害し、プレス時めっき層の剥離が起こる。これ
により、さらに緻密で隙間のない合金層となることから
一層耐食性に優れるものである。この場合に合金層中に
Ni,Cuを含有させる手段は、これらの金属を予め前
めっきしてその後合金化させる方法、あるいは溶融Sn
めっき法の場合Sn浴中へこれら金属を添加して合金化
により形成させる方法などあるが、Sn−Fe合金層に
Zn,Ni,Cuなる金属を含むことのみが重要であ
る。従って、Zn,Ni,Cuの純金属層あるいはFe
との合金層がさらに下層に存在することは本発明で得ら
れる効果を高めるものでは無い。
【0031】Sn−Fe合金層の合金比率、付着量は品
質性能に格段の影響を及ぼすものではないが、合金比率
がSn−20〜95%Fe、付着量は1〜20g/m2
が好ましい。合金層中のFe比率が20%未満では合金
層の硬度が低下して加工時に皮膜損傷を生じやすくな
り、95%を超えると、合金層が粗くなり同様に加工時
に皮膜損傷を生じやすくなるからである。付着量は1g
/m2 未満では中間層としての密着性を向上させる効果
が低下し、20g/m2 を超えると加工時に脆化して皮
膜剥離の起点となる。
【0032】第2層は第1層の合金層の上部に形成され
たSn−SiO2 複合めっき層である。この層は、純S
n層では得られない適度な硬さをめっき層に付与するこ
とにより、通常ではかじりを生ずるような厳しい加工を
受ける条件下でも、皮膜の損傷を最小限にするために大
きな効果を有する。Sn−SiO2 複合めっき層はほぼ
均一な厚みで形成されていることが望ましい。この層を
形成させる方法としては溶融めっき法、あるいは電気め
っき法を用いることができるが、めっきと同時か、ある
いはめっき後に融点以上に一旦加熱されることが高い耐
食性と加工時の摺動によって皮膜損傷を少なくするため
に望ましい。その理由は、第1層と溶融Snの界面にお
いて凝固時に核生成される時に好ましい優先結晶方位に
凝固結晶が成長するからである。凝固の際の冷却速度は
好ましい配向を形成することにおいて影響は無く、水冷
あるいは空冷などの経済的に望ましい冷却方式を採用で
きる。
【0033】Sn−SiO2 複合めっき層のSiO2
有率は0.1〜5%の範囲が好ましい。その理由は0.
1%未満ではめっき層の硬度を上昇させる効果が乏し
く、5%を超えるとめっき層が脆くなり、加工時の摺動
によって皮膜が剥離し易くなるからである。Sn−Si
2 複合めっき層の付着量は、10〜60g/m2 の範
囲が好ましい。Sn自体は劣化したアルコール含有ガソ
リンに対して著しく高い耐食性を有し、耐食性は皮膜欠
陥の減少と共に向上することから、付着量の増加ととも
に耐食性は向上する。付着量が10g/m2 未満では加
工後の鋼板の延びによってめっき皮膜の薄い部分が形成
されるため、耐食性が十分では無い。60g/m2 超で
は耐食性向上効果が飽和し、省資源、経済性の観点から
デメリットを生ずる。
【0034】さらに第3層として金属クロムと酸化クロ
ムからなるクロメート皮膜を有することが好ましく、こ
の皮膜は封孔皮膜として機能する。この皮膜は、劣化し
たアルコール含有ガソリン中における耐食性に、第1層
および第2層との組合せによって格段の効果を有するも
のである。この層は例えば助剤を含むクロム酸水溶液中
で鋼板を陰極電解することにより形成されるが、金属ク
ロム層は優先的にSnの結晶粒界に形成するものであ
る。これによって、腐食の起点となるべき粒界を安定化
することによって著しく耐食性を向上させるものであ
る。封孔処理としては、クロム酸水溶液でリンス処理を
する方法が一般的であるが、この方法をSn−SiO2
複合めっきに施した場合には、Snの溶解性が著しく低
いために十分な付着量が得られず、表面を十分に被覆す
ることが出来ないばかりか、形成される酸化クロム層は
剥離性の酸化Sn層を介して形成されるためSn−Si
2 複合めっき層との密着性も低く加工時に容易に剥離
する。電解によって金属クロム層を形成した場合には、
電解時の著しい水素ガスの発生により、酸化Snを還元
しつつ金属クロムが金属Sn上に直接形成されるため、
密着性は著しく高く、従って加工後耐食性も高い。酸化
クロム層は電解クロメート処理によって付随的に形成さ
れ、格段に耐食性に寄与するものではないが、特別に除
去する必要も無い。クロメート層のその他の効果として
は摺動性が改善される。この理由は硬い金属クロム層が
局所的に存在することによって、金型とSnの接触を妨
げ凝着を防止することによるものである。金属クロムの
付着量は5〜100mg/m2 が望ましい。5mg/m
2 未満では粒界への必要な量を付着させるために不十分
であり、耐食性が劣る。100mg/m2 超では粒界の
みならず表面層全体を覆うため金属クロムの高い内部応
力によって加工時にSn層に亀裂を生じ易くなり耐食性
が劣化する。
【0035】本発明の第3の発明のガソリンタンク用表
面処理鋼板は、公知のめっき浴にSiO2 を添加する方
法により得ることが出来る。まず、溶融めっき法による
第1層および第2層の形成に関しては、例えばSn純度
99.9%、浴温:250℃の溶融Sn−SiO2 浴中
に鋼板を1〜3秒浸漬し引き上げた後、エアーワイピン
グあるいはロール絞りにより付着量を調整する。この
際、浸漬時間と付着量調整後の冷却速度によって第1層
であるSn−Fe合金層の付着量が決定され、浸漬時間
が長く、冷却速度が遅いほど合金層は多く形成される。
また、第1層中にZn,Ni,Cuを含有させる場合に
は、これら金属を浴中に添加するか、あるいは電気めっ
きにより予め鋼板上にZn,Ni,Cuめっき皮膜を形
成させ、その後のSnめっき時の合金化反応によりこれ
ら金属を含有させることができる。
【0036】電気めっき法による第1層、第2層の形成
に関しては、まずSn−SiO2 めっきを公知のフェロ
スタン浴、ハロゲン浴、MSA浴、アルカリ浴にコロイ
ダルシリカを添加しためっき浴を用いて、浴温:25〜
60℃、電流密度:2〜200A/dm2 の条件で行
い、続いて鋼板を直接通電加熱、高周波加熱、熱風加熱
などの方法を用いて232℃以上に加熱して冷却するこ
とにより形成される。この際、加熱・保持・冷却に要す
る時間が長いほど、形成される合金層の付着量は多くな
る。第1層中にZn,Ni,Cuを含有させる場合に
は、Sn−SiO2めっきに先立ってこれらの金属を公
知のめっき浴とめっき条件を用いてめっきすることが有
効である。
【0037】第3層の形成に関しては、例えばCr
3 :100g/l,H2 SO4 :3g/lを含有する
水溶液中で、浴温50℃、電流密度20A/dm2 で1
〜10秒間陰極電解することにより、金属クロムと酸化
クロムからなるクロメート層が形成される。第2層の表
面に酸化Snが多く形成された場合には、クロメート層
の付着量が不均一となったり、粒界に十分な量が付着し
ないために効果が不足する。この場合、炭酸ナトリウム
あるいは炭酸水素ナトリウム水溶液中で陰極電解を行う
ことで、酸化膜が還元され、均一なクロメート層を得る
ことができる。処理浴として重クロム酸ナトリウムを用
いた場合には、金属Crの析出はなく従って本発明にあ
る効果は得られない。
【0038】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づいて具体的に説
明するが、本願はこれらに限定されることはない。 (実施例1・・・第1発明)0.8mmの冷延鋼板を素
地原板として、これにアルカリ脱脂、希塩酸による表面
清浄化処理を行い、以下に示すめっき条件に基づき、本
発明のガソリンタンク用表面処理鋼板、および本発明外
の表面処理鋼板を製造した。
【0039】めっき条件 1.溶融Znめっき 1−1.めっき浴 :Zn(純度99%)浴にAlを0.15%含有 1−2.浴 温 :470℃ 1−3.浸漬時間 :3秒 1−4.付着量 :エアーワイピング法により調整 1−5.前処理 :冷間圧延した鋼板を5%H2 −N2 雰囲気中で800 ℃で焼鈍し直ちに両面に溶融めっき
【0040】 2.溶融Snめっき 2−1.めっき浴 :Sn(純度99%) 2−2.浴 温 :250℃ 2−3.浸漬時間 :1〜5秒 2−4.付着量 :エアーワイピング法により調整 2−5.方 式 :メニスカス片面めっき方式
【0041】 3.溶射Snめっき 3−1.ワイアー :Sn(純度99%)で0.4mm径 3−2.方 式 :アーク法
【0042】 4.電気Znめっき 4−1.めっき浴 Zn :65g/l 硫酸 :30g/l 4−2.浴pH :1.5 4−3.浴温度 :60℃ 4−4.電流密度 :50A/dm2
【0043】 5.電気Snめっき 5−1.めっき浴 Sn :60g/l MSA :60g/l ジハイドロキシベンゼンスルフォニックアシッド:1g/l ポリオキシアルキレンアルキルエーテル :25ml/l 5−2.浴pH :0.8 5−3.浴温度 :40℃ 5−4.電流密度 :50A/dm2 5−5.加熱処理 :250℃まで10秒加熱後水冷
【0044】 6.クロメート 6−1.薬 剤 :パーレン62(日本パーカー製) 6−2.濃 度 :15%に希釈 6−3.浴温度 :50℃ 6−4.方 式 :スプレー塗布、リンガーで液を絞った後60℃で乾燥
【0045】これらの表面処理鋼板のめっき組成、めっ
き量、およびこれらの性能試験結果を表1に示す。表中
には同時に現行のガソリンタンク用鋼板であるPb90
%−Sn10%合金溶融めっき鋼板(付着量50g/m
2 )と、Zn−Ni合金めっき鋼板(付着量30g/m
2 ,Ni13%)上にシリカをCrに対する比率で1.
5倍含む塗布クロメート(付着量40mg/m2 )を塗
布、焼付した鋼板を比較として用いた。性能評価はガソ
リンタンク内面に当たるアルコール含有ガソリンに対す
る試験としては、表1、2中の第1〜4層から成る面に
ついて鋼板をカップ絞り後、端面をシールして、浸漬試
験を行い赤錆の発生状況で評価した。浸漬試験は、劣化
したアルコール含有ガソリン中での腐食を再現する目的
で、蟻酸食塩水溶液とアルコールの混合溶液を試験溶液
として用いて行った。以下に条件を示す。
【0046】 7.カップ絞り 7−1.ブランク径 :160mm 7−2.ポンチ径 :80mm 7−3.塗油 :防錆油2g/m2 塗布
【0047】 8.浸漬試験 8−1.試験溶液 蟻酸食塩水溶液 :20%(蟻酸濃度100ppm、食塩濃度1%) エチルアルコール:80% 8−2.試験温度 :60℃ 8−3.試験期間 :180日 8−4.評 価 :カップ壁部の赤錆発生面積率を目視で評価
【0048】ガソリンタンク外面に対する試験として
は、表1、2中の第1〜4層から成る面について同様に
カップ絞りした鋼板にカチオン電着塗装を5μm行い、
複合腐食サイクル試験にて、塩水噴霧4時間−湿潤2時
間−乾燥2時間のサイクルで100サイクル試験した後
のウォール部の赤錆発生面積率で評価した。表1に示す
結果から明らかなように、本発明による表面処理鋼板
は、極めて発錆しにくいことから、有害な腐食生成物の
発生もなく、加工および摺動を受けた部分においても赤
錆の発生は全くあるいは極めて僅かしか認められなかっ
た。
【0049】本発明になる鋼板はプレス加工において
も、特別なプレス油を塗布することなしに、加工できる
ことから、脱脂も簡単な設備で行うことが出来る上に、
半田性、シーム溶接性にも優れており、アルコール含有
ガソリンのみならずアルコール燃料、通常ガソリンに対
して優れた表面処理鋼板である。
【0050】(実施例2・・・第2発明)0.8mmの
冷延鋼板を素地原板として、これにアルカリ脱脂、希塩
酸による表面清浄化処理を行い、以下に示すめっき条件
に基づき、本発明のガソリンタンク用表面処理鋼板、お
よび本発明外の表面処理鋼板を製造した。
【0051】めっき条件 1.電気Niめっき 1−1.めっき浴 Ni :60g/l NiCl2 :30g/l ほう酸 :30g/l 1−2.浴pH :4.5 1−3.浴温度 :50℃ 1−4.電流密度 :20A/dm2
【0052】 2.溶融Snめっき 2−1.めっき浴 :Sn(純度99.9%)浴にNi,Cuを0〜5% 添加 2−2.浴 温 :250℃ 2−3.浸漬時間 :1〜5秒 2−4.付着量 :エアーワイピング法により調整
【0053】 3.電気Snめっき 3−1.めっき浴 Sn :60g/l MSA :60g/l ジハイドロキシベンゼンスルフォニックアシッド:1g/l ポリオキシアルキレンアルキルエーテル :25ml/l 3−2.浴pH :0.8 3−3.浴温度 :40℃ 3−4.電流密度 :50A/dm2 3−5.加熱処理 :250℃まで10秒加熱後水冷
【0054】 4.クロメート 4−1.浴組成 CrO3 :100g/l H2 SO4 :3g/l 4−2.浴pH :1.0 4−3.浴温度 :50℃ 4−4.電流密度 :50A/dm2
【0055】これらの表面処理鋼板のめっき組成、めっ
き量、およびこれらの性能試験結果を表2に示す。表中
には同時に現行のガソリンタンク用鋼板であるPb90
%−Sn10%合金溶融めっき鋼板(付着量50g/m
2 )と、Zn−Ni合金めっき鋼板(付着量30g/m
2 ,Ni13%)上にシリカをCrに対する比率で1.
5倍含む塗布クロメート(付着量40mg/m2 )を塗
布、焼付した鋼板を比較として用いた。
【0056】ガソリンタンクの内外面用の評価には同一
の層構成の鋼板を用いた。性能評価は鋼板をカップ絞り
後、端面をシールして、浸漬試験を行い赤錆の発生状況
で評価した。浸漬試験は、劣化したアルコール含有ガソ
リン中での腐食を再現する目的で、蟻酸食塩水溶液とア
ルコールの混合溶液を試験溶液として用いて行った。以
下に条件を示す。
【0057】 5.カップ絞り 5−1.ブランク径 :160mm 5−2.ポンチ径 :80mm 5−3.塗油 :防錆油2g/m2 塗布
【0058】 6.浸漬試験 6−1.試験溶液 蟻酸食塩水溶液 :20%(蟻酸濃度100ppm、食塩濃度1%) エチルアルコール:80% 6−2.試験温度 :60℃ 6−3.試験期間 :180日 6−4.評価 :カップ壁部の赤錆発生面積率を目視で評価
【0059】表2に示す結果から明らかなように、本発
明による表面処理鋼板は、極めて発錆しにくいことか
ら、有害な腐食生成物の発生もなく、加工および摺動を
受けた部分においても赤錆の発生は全くあるいは極めて
僅かしか認められなかった。
【0060】本発明になる鋼板はプレス加工において
も、特別なプレス油を塗布することなしに、加工できる
ことから、脱脂も簡単な設備で行うことが出来る上に、
半田性、シーム溶接性にも優れており、アルコール含有
ガソリンのみならずアルコール燃料、通常ガソリンに対
して優れた表面処理鋼板である。
【0061】(実施例3・・・第3発明)0.8mmの
冷延鋼板を素地原板として、これにアルカリ脱脂、希塩
酸による表面清浄化処理を行い、以下に示すめっき条件
に基づき、本発明のガソリンタンク用表面処理鋼板、お
よび本発明外の表面処理鋼板を製造した。
【0062】めっき条件 1.電気Niめっき 1−1.めっき浴 Ni :60g/l NiCl2 :30g/l ほう酸 :30g/l 1−2.浴pH :4.5 1−3.浴温度 :50℃ 1−4.電流密度 :20A/dm2
【0063】 2.電気Znめっき 2−1.めっき浴 Zn :90g/l 硫酸 :30g/l 2−2.浴pH :1.5 2−3.浴温度 :50℃ 2−4.電流密度 :20A/dm2
【0064】 3.溶融Snめっき 3−1.めっき浴 Sn :残部(純度99.9%) コロイダルシリカ(日本エアロジル製):0〜5% Zn,Ni,Cu:0〜5%添加 3−2.浴 温 :250℃ 3−3.浸漬時間 :1〜5秒 3−4.付着量 :エアーワイピング法により調整
【0065】 4.電気Snめっき 4−1.めっき浴 Sn :60g/l MSA :60g/l ジハイドロキシベンゼンスルフォニックアシッド:1g/l ポリオキシアルキレンアルキルエーテル :25ml/l コロイダルシリカ(STO、日産化学製) :0〜50g/l 4−2.浴pH :0.8 4−3.浴温度 :40℃ 4−4.電流密度 :50A/dm2 4−5.加熱処理 :250℃まで10秒加熱後水冷
【0066】 5.クロメート 5−1.浴組成 CrO3 :100g/l H2 SO4 :3g/l 5−2.浴pH :1.0 5−3.浴温度 :50℃ 5−4.電流密度 :50A/dm2
【0067】これらの表面処理鋼板のめっき組成、めっ
き量、およびこれらの性能試験結果を第3表に示す。表
中には同時に現行のガソリンタンク用鋼板であるPb9
0%−Sn10%合金溶融めっき鋼板(付着量50g/
2 )と、Zn−Ni合金めっき鋼板(付着量30g/
2 ,Ni13%)上にシリカをCrに対する比率で
1.5倍含む塗布クロメート(付着量40mg/m2
を塗布、焼付した鋼板を比較として用いた。
【0068】ガソリンタンクの内外面用の評価には同一
の層構成の鋼板を用いた。性能評価は鋼板をカップ絞り
後、端面をシールして、浸漬試験を行い赤錆の発生状況
で評価した。浸漬試験は、劣化したアルコール含有ガソ
リン中での腐食を再現する目的で、蟻酸食塩水溶液とア
ルコールの混合溶液を試験溶液として用いて行った。以
下に条件を示す。
【0069】 6.カップ絞り 6−1.ブランク径 :160mm 6−2.ポンチ径 :80mm 6−3.塗油 :防錆油2g/m2 塗布
【0070】 7.浸漬試験 7−1.試験溶液 蟻酸食塩水溶液 :20%(蟻酸濃度100ppm、食塩濃度1%) エチルアルコール:80% 7−2.試験温度 :60℃ 7−3.試験期間 :270日 7−4.評価 :カップ壁部の赤錆発生面積率を目視で評価
【0071】表3に示す結果から明らかなように、本発
明による表面処理鋼板は、極めて発錆しにくいことか
ら、有害な腐食生成物の発生もなく、加工および摺動を
受けた部分においても赤錆の発生は全くあるいは極めて
僅かしか認められなかった。
【0072】本発明になる鋼板はプレス加工において
も、特別なプレス油を塗布することなしに、加工できる
ことから、脱脂も簡単な設備で行うことが出来る上に、
半田性、シーム溶接性にも優れており、アルコール含有
ガソリンのみならずアルコール燃料、通常ガソリンに対
して優れた表面処理鋼板である。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】
【表4】
【0077】
【表5】
【0078】
【表6】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 海 野 茂 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 黒 川 重 男 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 尾 形 浩 行 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 中 丸 裕 樹 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 赤 尾 謙一郎 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼板の片面に第1層として付着量が10〜
    60g/m2 のZnめっき層、第2層として付着量が5
    〜30g/m2 でZn含有率が10〜80%のSn−Z
    n層、さらに第3層として付着量が5〜50g/m2
    Sn層からなる表面皮膜を有し、他の片面は付着量が1
    0〜60g/m2 のZnめっき層を有するガソリンタン
    ク用表面処理鋼板。
  2. 【請求項2】表面処理鋼板の少なくとも一方の面の最上
    層としてさらに付着量が1〜20mg/m2 のクロメー
    ト層を有する請求項1に記載のガソリンタンク用表面処
    理鋼板。
  3. 【請求項3】鋼板の上層に第1層として付着量が1〜1
    0g/m2 でFe含有率が20〜95%のSn−Fe合
    金層、第2層として付着量が10〜60g/m2 のSn
    層、および第3層として金属Crの付着量が5〜100
    mg/m2 である金属Crと酸化クロムからなるクロメ
    ート皮膜を少なくとも鋼板の片面に有するガソリンタン
    ク用表面処理鋼板。
  4. 【請求項4】第1層のSn−Fe合金層中にNi,Cu
    の1種または2種を合計で30%以下含む請求項3に記
    載のガソリンタンク用表面処理鋼板。
  5. 【請求項5】鋼板上に第1層として付着量が1〜20g
    /m2 でFe含有率が20〜95%のSn−Fe合金
    層、第2層として付着量が10〜60g/m2 でSiO
    2 含有率が0.1〜5%のSn−SiO2 複合めっき層
    を少なくとも鋼板の片面に有するガソリンタンク用表面
    処理鋼板。
  6. 【請求項6】鋼板の第3層として金属Crの付着量が5
    〜100mg/m2 である金属Crと酸化クロムからな
    るクロメート皮膜を有する請求項5に記載のガソリンタ
    ンク用表面処理鋼板。
  7. 【請求項7】第1層のSn−Fe合金層中にZn,N
    i,Cuの1種または2種以上を合計で30%以下含む
    請求項5または6に記載のガソリンタンク用表面処理鋼
    板。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012136741A (ja) * 2010-12-27 2012-07-19 Nippon Steel Corp 燃料タンク用表面処理鋼板

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012136741A (ja) * 2010-12-27 2012-07-19 Nippon Steel Corp 燃料タンク用表面処理鋼板

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