JPH10180507A - スローアウェイチップおよびその製造方法 - Google Patents

スローアウェイチップおよびその製造方法

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JPH10180507A
JPH10180507A JP34425796A JP34425796A JPH10180507A JP H10180507 A JPH10180507 A JP H10180507A JP 34425796 A JP34425796 A JP 34425796A JP 34425796 A JP34425796 A JP 34425796A JP H10180507 A JPH10180507 A JP H10180507A
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JP
Japan
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flank
cutting blade
sintered body
base metal
blade member
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JP34425796A
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English (en)
Inventor
Yasunori Murakami
靖典 村上
Kazuo Yamamoto
和男 山本
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Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に切刃19の再研磨の際の研削砥石の目詰
まりや研削クラックを防止できるとともに、切刃部材1
4の成形が容易であり、また切刃19の欠損を防止で
き、さらには一般的なチップの金型を流用することを可
能とする。 【解決手段】 台金11のコーナ部12に、超硬合金等
の硬質焼結体16とダイヤモンドやCBN等の超高硬度
焼結体17とを層状に成形して成る切刃部材14を、こ
の切刃部材14の逃げ面部分18が台金11の逃げ面部
分20よりも外側に突出するようにして固着し、この切
刃部材14の逃げ面部分18を、超高硬度焼結体17部
分から硬質焼結体16部分にかけて面一に、かつ超高硬
度焼結体17部分に設けられるすくい面側に向かうに従
い台金11の逃げ面部分20に対して漸次外側に突出す
るように傾斜させて研削し、切刃19を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、台金のコーナ部
に、超硬合金等の硬質焼結体とダイヤモンドやCBN等
の超高硬度焼結体とから成る層状の切刃部材を固着した
スローアウェイチップ(以下、チップと略称する。)お
よびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種のチップにおいては、一般的に図
12および図13に示すようなものが用いられている。
これらの図に示すチップは、超硬合金よりなる四角形平
板状の台金1のコーナ部2に凹部3が形成され、この凹
部3に、超硬合金等の硬質焼結体4とダイヤモンドやC
BN等の超高硬度焼結体5とを層状に一体焼結した層状
焼結体より成る切刃部材6が、その超高硬度焼結体5の
部分をチップ上面側に向けてろう付け等により固着され
て成るもので、こうして切刃部材6を固着した上で、切
刃部材6の逃げ面部分7と台金1の逃げ面部分8とを面
一になるように研削することにより、上記超高硬度焼結
体5の稜線部に切刃9が形成されるようになされてい
る。
【0003】ところが、このようなチップでは、上記切
刃9を形成する際や、切刃9に摩耗が生じたときに切刃
9を再研磨する際に、切刃部材6の逃げ面部分7ととも
に台金1の逃げ面部分8をも一緒に研削することになる
ため、研削に用いる砥石に目詰まりが生じ易く、またチ
ップにも研削クラックが発生し易いといった問題があ
る。そこで、このような問題を解消するため、例えば特
開昭62−24902号公報や特開平8−192305
号公報などに、上記切刃9が台金1の逃げ面部分8より
も外側に突出した位置に形成されたチップが提案されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図14および図15に
示すチップは、上記特開昭62−24902号公報に基
づくものであって、台金1のコーナ部2に固着される切
刃部材6の逃げ面部分7は、切刃9が形成される超高硬
度焼結体5の部分が超硬合金より成る硬質焼結体4の部
分よりも外側に突出するように段差をもって形成されて
おり、台金1の逃げ面部分8はこの硬質焼結体4におけ
る逃げ面部分7に面一となるように形成されている。と
ころが、このような構成のチップでは、切刃9の直下に
は超高硬度焼結体5が配されるだけであって硬質焼結体
4や台金1による支持がなく、このため切削時に過大な
負荷や衝撃的負荷が切刃9に作用した場合には、高度が
高いが故に脆性傾向も強い超高硬度焼結体5に形成され
た切刃9が欠損したりするおそれがある。
【0005】また、このチップでは、切刃部材6の逃げ
面部分7に上述のような段差を付けなければならない
が、例えばこの公報に記載されているように、別々に焼
結成形された硬質焼結体4と超高硬度焼結体5とをホッ
トプレスして一体結合することにより、このような段差
の付いた切刃部材を形成した場合では、層状焼結体とし
て一体焼結された切刃部材に比べて結合強度が弱く、超
高硬度焼結体5が剥離するおそれがある。他方、大径円
板状に一体焼結成形された層状焼結体(いわゆる丸ブラ
ンク)から必要な大きさに切断された切刃部材に上述の
ような段差を形成するには、多大な労力と時間とを要す
る結果となる。
【0006】一方、図16および図17に示すチップ
は、特開平8−192305号公報に基づくものであ
り、台金1のコーナ部2に固着された切刃部材6は、そ
の逃げ面部分7が、超高硬度焼結体5から硬質焼結体4
の部分に亙って面一に形成されるとともに、台金1の逃
げ面部分8よりも外側に突出するようにされており、そ
の突出量δは0.05mm〜0.5mmとされている。しか
るに、このチップでは、上述したチップのような切刃部
材6に段差を付ける際の問題点は解消するが、特に切刃
9を再研磨する際には、切刃部材6の逃げ面部分7にお
ける硬質焼結体4の部分も研削されてしまうため、研削
砥石の目詰まりや研削クラックが生じるおそれが拭えな
い。さらに、この公報に記載のチップでは、チップ製造
上の経済性を追求するあまり上記突出量δが0.05mm
以上と大きく、切刃9に作用する負荷を台金1が吸収す
ることが期待できないため、過大な負荷や衝撃的負荷が
作用した場合に切刃9に欠損が生じるおそれも拭えな
い。
【0007】また、このようなチップを設計する際、切
刃9の寸法を基準として同じ大きさの切刃9を設けよう
とすると、上記図14および図15に示したように切刃
9が台金1の逃げ面部分8よりも外側に突出したチップ
では、図12および図13に示した一般的なチップに対
し、台金1の大きさを突出量δ分だけ一回り小さく形成
しなければならない。ここで、かかる超硬合金製の台金
1を製造する際には、周知の通り超硬合金素材となるW
C粉末やCo粉末を金型に充填してプレスし、こうして
得られた圧粉体を炉内に装入して焼結させるのである
が、上記突出量δが小さい場合には、上記素材の組成や
配合を調整して圧粉体が焼結の際の収縮率を大きくする
ことにより、図12および図13に示した一般的なチッ
プの台金1用の金型を流用して一回り小さな台金1を焼
結成形することができる。しかし、突出量δが0.05
mm以上と大きいと、最早このような超硬合金素材の組成
や配合を調整するだけでは所定の台金1を成形すること
はできず、たとえ成形できたとしても著しい品質の劣化
を招くことになる。このため、結果的に金型自体を一回
り小さなものに変える必要が生じ、甚だ不経済なことと
なる。
【0008】本発明は、このような事情を鑑みてなされ
たもので、上述のような層状焼結体の超高硬度焼結体部
分に切刃が形成されたチップにおいて、切刃形成の際は
勿論のこと、特に切刃の再研磨の際の研削砥石の目詰ま
りや研削クラックを防止できるとともに、切刃部材の成
形が容易であり、また切刃の欠損を防止でき、さらには
一般的なチップの金型を流用することが可能なチップお
よびその製造方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決して、か
かる目的を達成するために、本発明のチップは、台金の
コーナ部の少なくとも一つに、超硬合金等の硬質焼結体
とダイヤモンドやCBN等の超高硬度焼結体とを層状に
成形して成る切刃部材が固着され、この切刃部材の上記
超高硬度焼結体部分に設けられたすくい面の辺稜部に切
刃が形成されて成るチップにおいて、上記すくい面に上
記切刃を介して交差する上記切刃部材の逃げ面部分を、
上記超高硬度焼結体部分から上記硬質焼結体の部分にか
けて面一とし、かつ上記切刃側に向かうに従い上記台金
の逃げ面部分に対して漸次外側に突出するように傾斜さ
せたことを特徴とするものである。
【0010】しかるに、このような構成のチップによれ
ば、上記切刃部材において、切刃が形成される超高硬度
焼結体の部分が、この超高硬度焼結体部分よりは靱性に
富む硬質焼結体部分によって支持されているので、切刃
に過大な負荷や衝撃的な負荷が作用した場合でも、これ
を上記硬質焼結体部分によってある程度吸収することが
でき、切刃の欠損を防ぐことができる。そして、その一
方で、この切刃部材の逃げ面部分は、その超高硬度焼結
体部分から硬質焼結体部分にかけて面一に、かつ切刃側
に向かうに従い台金の逃げ面部分に対して漸次外側に突
出するように傾斜しているので、特に切刃を再研磨する
際において、この切刃部材の逃げ面部分を該逃げ面部分
に鈍角に交差する方向、例えば台金の逃げ面部分に平行
な方向に研削して切刃を再形成するようにすれば、台金
の逃げ面部分を研削することなく、また切刃部材の硬質
焼結体部分の研削量も少なく抑えることができる。
【0011】ここで、上記切刃部材の逃げ面部分が上記
台金の逃げ面部分に対してなす傾斜角は1.5°以下に
設定されるのが望ましい。これは、この傾斜角が1.5
°を上回ると、切刃の刃先角が小さくなって上述した切
刃の欠損防止効果が損なわれるおそれが生じるからであ
る。また、上記切刃部材の逃げ面部分は、その全体を台
金の逃げ面部分に対して外側に突出させるように形成し
てもよいが、そのような場合でも、この切刃部材の逃げ
面部分において上記台金の逃げ面部分に最も接近する位
置における当該台金の逃げ面部分からの突出量は0.0
5mm未満とされるのが望ましい。これは、この切刃部材
の逃げ面部分が上述のように傾斜している関係上、この
突出量が0.05mm以上となると、台金の逃げ面部分に
対する切刃の突出量は必ず0.05mmを上回ることとな
り、上記図16および図17に示されたチップと同様
に、過大な負荷や衝撃的負荷が作用した場合に切刃の欠
損が十分に防止できなくなるおそれがあるからである。
【0012】一方、本発明のチップの製造方法は、台金
のコーナ部の少なくとも一つに、超硬合金等の硬質焼結
体とダイヤモンドやCBN等の超高硬度焼結体とを層状
に成形して成る切刃部材を、この切刃部材の逃げ面部分
が上記台金の逃げ面部分よりも外側に突出するようにし
て固着し、この切刃部材の逃げ面部分を、上記超高硬度
焼結体部分から上記硬質焼結体の部分にかけて面一に、
かつ上記超高硬度焼結体部分に設けられるすくい面側に
向かうに従い上記台金の逃げ面部分に対して漸次外側に
突出するように傾斜させて研削し、この切刃部材の逃げ
面部分と上記すくい面との交差稜線部に切刃を形成する
ことを特徴とし、切刃部材の逃げ面部分に段差を設けた
りすることなく、また、切刃部材の逃げ面部分に沿って
この逃げ面部分を研削することにより、研削砥石によっ
て台金の逃げ面部分を研削したりすることなく、容易に
切刃を台金の逃げ面部分に対して突出した位置に形成し
て上記チップを製造することができる。
【0013】ここで、上記切刃部材の逃げ面部分は、こ
の切刃部材の逃げ面部分が上記台金の逃げ面部分に対し
てなす傾斜角が1.5°以下となるように研削するのが
望ましい。これは、この傾斜角を1.5°を上回るほど
大きいと、この切刃部材の逃げ面部分を形成する際に、
研削砥石が台金の逃げ面部分に干渉してしまうおそれが
あるからである。また、この切刃部材の逃げ面部分は、
その全体が台金の逃げ面部分に対して外側に突出するよ
うに形成されていてもよく、この場合には上記研削砥石
による台金の逃げ面部分への干渉をより確実に防止する
ことができるが、そのような場合においても、上記切刃
部材の逃げ面部分において上記台金の逃げ面部分に最も
接近する位置における当該台金の逃げ面部分からの突出
量は0.05mm未満とするのが望ましい。これは、この
切刃部材の逃げ面部分が台金の逃げ面部分に最も接近す
る位置における突出量が0.05mm以上ともなると、製
造されたチップにおいて上述のように台金の逃げ面部分
に対する切刃の突出量も必ず0.05mmを上回り、切刃
の欠損が十分に防止できなくなるおそれがあるからであ
る。
【0014】ところで、特にこのように上記傾斜角を
1.5°以下としたり、上記突出量を0.05mm未満と
した場合には、台金の逃げ面部分に対する切刃の突出量
も小さく抑えることができるため、本発明の製造方法に
よれば、上述した一般的なチップの台金を形成するため
の金型を、そのまま流用することが可能となる。すなわ
ち、上記構成のチップでは、切刃を基準としてチップを
設計する際、切刃の寸法を同じとすると、その台金は、
切刃部材の逃げ面部分と台金の逃げ面部分とが面一とさ
れた一般的なチップの台金よりも一回り小さなものとな
るが、上記チップの製造方法では、上述のように切刃が
台金の逃げ面部分に対して突出する突出量が小さく抑え
られることにより、台金を超硬合金等の焼結体により形
成する場合には、この焼結する圧粉体の素材の組成や配
合を調整して焼結時の収縮率を小さくすることで、品質
を劣化させることなく、上述のような一回り小さな台金
を得ることができる。従って、上記製造方法によれば、
上記一般的なチップの台金を形成するための金型を、そ
のまま流用することが可能となるのである。
【0015】
【発明の実施の形態】図1および図2は、本発明のチッ
プの一実施形態を示すものである。これらの図に示すよ
うに、本実施形態のチップは菱形平板状のネガティブチ
ップであって、超硬合金より成る台金11の上面が菱形
をなしてすくい面とされるとともに、側面がこの上面に
直交するように形成されて逃げ面とされ、この台金11
の菱形をなす上面の鋭角をなす1つのコーナ部12に、
この上面から一段凹むように凹部13が形成されてお
り、この凹部13に略三角形平板状の切刃部材14が接
合されて固着された構成とされている。また、この台金
11には、当該チップをバイト等の工具本体に取り付け
るための取付穴15が菱形をなす上下面の中央部を貫く
ように形成されている。
【0016】上記切刃部材14は、超硬合金より成る硬
質焼結体16とダイヤモンドやCBNを主成分とする超
高硬度焼結体17とを層状に一体焼結成形した層状焼結
体より成るものであって、この超高硬度焼結体17の部
分を上向きにして上記凹部13にろう付けされることに
より固着されている。ここで、この切刃部材14の上面
は台金11の上面に面一とされており、この切刃部材1
4のすくい面とされる上面と、これに交差する切刃部材
14の側面、すなわち切刃部材14における逃げ面部分
18との交差稜線部には、切刃19が形成されている。
そして、この切刃部材14の逃げ面部分18は、上記超
高硬度焼結体17の部分から硬質焼結体16の部分にか
けて面一に形成されるとともに、台金11の上面に直交
する当該台金11の逃げ面部分20に対して全体的に外
側に一段突出するようにされており、かつ、この台金1
1の逃げ面部分20に対して切刃19側に向かうに従い
漸次外側に突出するように傾斜して形成されている。
【0017】ここで、この切刃部材14の逃げ面部分1
8のうち、最も台金11の逃げ面部分20に接近した位
置、すなわち切刃19から最も離間した切刃部材14の
下面と当該逃げ面部分18との交差稜線部21は、本実
施形態では上記台金11の逃げ面部分20に対する突出
量εが0.05mm未満となるように設定されている。ま
た、この傾斜した切刃部材14の逃げ面部分18が台金
11の逃げ面部分20に対してなす傾斜角θは、本実施
形態では1.5°(1°30’)以下に設定されてお
り、従って切刃19自体の刃先角は88.5°を上回り
90°を下回る範囲とされる。なお、このように切刃部
材14の逃げ面部分18が台金11の逃げ面部分20に
対して全体的に外側に突出し、しかも切刃19側に向か
うに従い漸次外側に突出するように傾斜するのに伴い、
この切刃19も台金11の逃げ面部分20に対して外側
に突出した位置に形成されることとなるが、その突出量
λも本実施形態では0.05mm未満となるように設定さ
れている。
【0018】次に、上記構成のチップを製造するための
本発明のチップの製造方法の一実施形態について説明す
る。本実施形態において、まず切刃部材14を製造する
には、この種のチップに固着される一般的な層状焼結体
製の切刃部材と同様に、円筒型容器内に硬質焼結体16
部分を構成する超硬合金の原料となるWC粉末およびバ
インダーとしてのCo粉末の均一混合粉末を充填して敷
き詰め、その上に超高硬度焼結体17部分の原料となる
ダイヤモンドやCBNの粉末およびCo粉末の均一混合
粉末を充填し、次いでこの容器を超高圧高温発生装置に
装入して高温高圧下で上記原料を焼結させ、超硬合金よ
り成る硬質焼結体16とダイヤモンドやCBNを主成分
とする超高硬度焼結体17とからなる大径円板状の層状
焼結体を形成する。そして、この層状焼結体を切断して
凹部13の底面よりもやや大きめの略三角形状の切刃部
材14を成形する。
【0019】一方、台金11は、WC粉末およびCo粉
末の均一混合粉末を金型に充填プレスして台金11の原
型となる圧粉体を成形し、これを炉内に装入して焼結せ
しめることにより成形される。そして、この台金11の
上面コーナ部12に形成された凹部13に上記切刃部材
14を銀ろう等によりろう付けして固着し、次いでこの
切刃部材14の側面部分、すなわち逃げ面部分18を、
超高硬度焼結体17部分から硬質焼結体16部分にかけ
て面一に、かつ上面側に向かうに従い台金11の逃げ面
部分20に対して漸次外側に突出するように上記傾斜角
θで傾斜させて、この切刃部材14の逃げ面部分18と
下面との交差稜線部21が台金11の逃げ面部分20に
対してなす突出量εが0.05mm未満となるまで、研削
砥石によって研削して、この逃げ面部分18と切刃部材
14の上面との交差稜線部に、台金11の逃げ面部分2
0からの突出量λが0.05mm未満となるように上記切
刃19を形成する。
【0020】しかるに、このようにして製造された本実
施形態のチップでは、まず切刃部材14の逃げ面部分1
8が台金11の逃げ面部分20に対して外側に突出して
いるので、この逃げ面部分18を研削砥石によって研削
して形成する際や、あるいは切刃19を再研磨する際な
どに、研削砥石が台金11の逃げ面部分20の接触して
目詰まりを起こしたり、チップに研削クラックが発生し
たりするような事態を未然に防止することができる。特
に、切刃19に摩耗が生じた場合にこの逃げ面部分18
を研削し直して切刃19を再研磨する際においては、例
えば図3に示すようにすくい面となる上面に対して直角
に、すなわち台金11の逃げ面部分20に対して平行
に、切刃部材14の逃げ面部分18を研磨して切刃19
を再形成することにより、研削砥石は、台金11の逃げ
面部分20に接することがないのは勿論、切刃部材14
の逃げ面部分18に対しても、初めは切刃19側の超高
硬度焼結体17部分を研削するだけで、再研磨毎に徐々
に硬質焼結体16部分側を研削することとなるので、そ
の研削量を小さく抑えることができ、従って研削砥石の
目詰まりや研削クラックをより効果的に防止することが
できるとともに、再研磨の際の研削作業の簡略化および
作業時間の短縮を図ることが可能となる。
【0021】また、上記切刃部材14は、大径円板状の
上記層状焼結体から所定の寸法の三角形平板状に切断し
たものを台金11の上記凹部13に固着し、その逃げ面
部分18を、超高硬度焼結体17の部分から硬質焼結体
16の部分にかけて面一となるように、かつ台金11の
逃げ面部分20に対して傾斜させて研削すればよく、す
なわち層状焼結体から切り出した切刃部材14の逃げ面
部分18に段差を付けたりする必要がないので、その成
形を容易とすることができる。しかも、本実施形態で
は、切刃部材14の逃げ面部分18と下面との交差稜線
部21が、台金11の逃げ面部分20に対して突出量ε
で外側に突出しており、このため上記逃げ面部分18の
傾斜方向に沿って上記交差稜線部21と台金11の逃げ
面部20との間に間隙が画成されるので、上記逃げ面部
分18を研削して切刃19を形成する際などに、研削砥
石が台金11の逃げ面部分20に干渉してしまうのを防
ぐことができる。
【0022】さらに、本実施形態のチップでは、このよ
うに切刃部材14の逃げ面部分18に段差が付くことが
なく、超高硬度焼結体17部分の逃げ面に硬質焼結体1
6部分の逃げ面が面一に連なって上記逃げ面部分18が
形成されており、しかも、この逃げ面部分18の台金1
1の逃げ面部分20に対する傾斜角θが1.5°以下と
ごく小さく設定されるとともに、台金11の逃げ面部分
20から突出するこの切刃部材14の逃げ面部分18と
下面との交差稜線部21の突出量εも0.05mm未満と
小さく設定されていて、切刃19が形成される切刃部材
14の超高硬度焼結体17の部分が、これら硬質焼結体
16部分と台金11とによって支持された状態となって
いる。このため、切削時にこの切刃19に過大な負荷や
衝撃的な負荷が作用しても、超高硬度焼結体17よりは
靱性の高い上記硬質焼結体16部分や台金11により、
このような負荷をある程度分散させて吸収し、かかる負
荷が超高硬度焼結体17部分に集中するのを避けること
ができる。従って、本実施形態のチップによれば、この
ような過大な負荷や衝撃的負荷による切刃19の欠損等
を防止することが可能となり、これによりチップ寿命の
延長を図るとともに安定した切削を促すことができる。
【0023】一方、本発明のチップの製造方法において
は、上記台金11のコーナ部12に形成された凹部13
に、硬質焼結体16と超高硬度焼結体17とから成る層
状焼結体の切刃部材14を、その逃げ面部分18が台金
11の逃げ面部分20よりも外側に突出するように固着
した上で、この切刃部材14の逃げ面部分18を、台金
11の逃げ面部分20に対して傾斜角θで傾斜するよう
に、かつこの逃げ面部分20に対して突出量εで外側に
突出するように、上記超高硬度焼結体17部分から硬質
焼結体16部分にかけて面一に研削しており、特にこの
傾斜角θを1.5°以下とごく小さく、また突出量εを
0.05mm未満とやはりごく小さく設定することによ
り、同じ寸法の切刃19を備えたチップを製造する場合
には、図10および図11に示したような切刃部材6の
逃げ面部分7と台金1の逃げ面部分8とが面一となる一
般的なチップを製造する場合において、この台金1を成
形する際の圧粉体成型用の金型をそのまま流用すること
が可能となる。
【0024】すなわち、上記傾斜角θおよび突出量εが
上述のようにごく小さく抑えられているので、切刃19
が台金11の逃げ面部分20に対してなす突出量λもご
く小さく抑えられ、これにより同寸法の切刃19を設定
した場合、本実施形態によるチップの台金11と上記一
般的なチップの台金1との寸法差も小さく抑えられる。
このため、当該台金11を成形する際の圧粉体の原料粉
末の組成や配合を適宜調整して、圧粉体の寸法は同じで
も、焼結の際の収縮率を、台金11を構成する超硬合金
の性質に支障を来さない範囲で大きくすることにより、
上記一般的チップの場合と同じ圧粉体成型用金型で、本
実施形態のチップの台金11用の圧粉体を成形すること
が可能となるのである。従って、本実施形態の製造方法
によれば、この台金11用の圧粉体を成形するための金
型を別に準備したりする必要がなく、すなわち新たな設
備投資が不要であるので、きわめて経済的である。ただ
し、このように圧粉体成型用の金型を流用するには、切
刃19が台金11の逃げ面部分20に対してなす突出量
λについても十分に小さく抑えられていることが望まし
く、すなわち、本実施形態のように突出量λについても
0.05mm未満に設定されるのが望ましい。
【0025】なお、本実施形態では、上述のように切刃
部材14の逃げ面部分18を全体的に台金11の逃げ面
部分20に対して外側に突出するようにして、この逃げ
面部分18において最も台金11の逃げ面部分20に接
近する上記交差稜線部21が当該逃げ面部分20に対し
て突出量εで突出し、これにより切刃部材14の逃げ面
部分18と台金11の逃げ面部分20とが切刃部材14
の下面を介して不連続に連なるようにされているが、こ
れを図4に示すように、上記突出量εを0として、切刃
部材14の逃げ面部分18と台金11の逃げ面部分20
とが直接的に連続して連なるようにしてもよい。しかる
に、このようなチップにおいても、切刃部材14の逃げ
面部分18は、切刃19側に向かうに従い台金11の逃
げ面部分20に対して漸次突出するように傾斜している
ため、切刃19は上記逃げ面部分20に対して外側に突
出した位置に形成されることとなり、従って図1および
図2に示したチップと同等の効果が得られる上、特に切
刃部材14の下面全体が台金11の凹部13に密着して
支持されるので、切刃19に作用する負荷をより確実に
吸収して切刃19の欠損をさらに効果的に防止すること
が可能となる。
【0026】また、本実施形態では、菱形平板状のチッ
プにおいて、その台金11の上面の1のコーナ部12に
のみ切刃部材14を固着して切刃19を形成した場合に
ついて説明したが、例えば図5および図6に示すよう
に、菱形平板状の台金11の一対の鋭角をなすコーナ部
12,12のそれぞれに凹部13を形成して切刃部材1
4を固着し、一つのチップに2つの切刃19,19を設
けるようにしてもよく、図7および図8に示すように台
金11の上下面の鋭角コーナ部12,12に切刃部材1
4,14を固着して切刃19,19を形成するようにし
てもよい。この場合には、図示のように台金11の上下
面の相対するコーナ部12,12に切刃部材14,14
を固着してもよく、また上下面の互い違いのコーナ部1
2,12に切刃部材14,14を固着するようにしても
よい。さらには、図9および図10に示すように、台金
11の上下面の全ての鋭角コーナ部12…に切刃部材1
4…を固着するようにしてもよい。
【0027】さらにまた、このような菱形平板状のチッ
プに限らずに、例えば正方形平板状や長方形平板状のチ
ップとして、かかるチップ形状に応じた台金の1ないし
複数のコーナ部に切刃部材を固着するようにしてもよ
い。また、四角形に限らず、例えば図11に示すよう
に、正三角形平板状の台金11のコーナ部12に凹部1
3を形成して切刃部材14を固着し、切刃19を形成す
るようにしてもよく、さらにかかる三角形状のチップに
おいても、複数のコーナ部に切刃部材を固着して切刃を
設けることができる。なお、これら図4ないし図11に
示した変形例においては、図1および図2に示した実施
形態のチップと共通する構成要素に同一の符号を配して
ある。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のチップに
よれば、切刃部材の逃げ面部分の形成の際の研削砥石の
目詰まりや研削クラックを防ぐとともに、切刃部材の形
成を容易とすることができるのは勿論、特に切刃を再研
磨する場合においては、傾斜した切刃部材の逃げ面部分
に鈍角に交差する方向に該逃げ面部分を研削することに
より、研削砥石の切刃部材の硬質焼結体部分への接触も
少なくして、研削量の低減および作業時間の短縮を図る
ことができる。また、この切刃部材の逃げ面部分の傾斜
角や台金の逃げ面部分に対する突出量を小さくすること
により、切刃に過大な負荷や衝撃的な負荷が作用して
も、これをある程度は吸収して切刃の欠損を防ぎ、従っ
てチップ寿命の延長を図って安定した切削を促すことが
できる。一方、本発明のチップの製造方法によれば、上
述のように切刃部材の逃げ面部分の形成の際の研削砥石
の目詰まりや研削クラックを防ぐことができる上、特に
この切刃部材の逃げ面部分の傾斜角や突出量を小さく抑
えることにより、従来の一般的なチップの台金を成形す
る際の圧粉体成型用金型をそのまま流用して廉価に製造
することができ、新たな金型を準備する必要がなくて経
済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のチップの一実施形態を示す平面図で
ある。
【図2】 図1に示すチップの側面図である。
【図3】 図1に示したチップを再研磨した状態を示す
側面図である。
【図4】 図1の実施形態のチップの変形例を示す側面
図である。
【図5】 図1の実施形態のチップの変形例を示す平面
図である。
【図6】 図5に示すチップの側面図である。
【図7】 図1の実施形態のチップの変形例を示す平面
図である。
【図8】 図7に示すチップの側面図である。
【図9】 図1の実施形態のチップの変形例を示す平面
図である。
【図10】 図9に示すチップの側面図である。
【図11】 図1の実施形態のチップの変形例を示す平
面図である。
【図12】 従来のチップの平面図である。
【図13】 図12に示すチップの側面図である。
【図14】 従来のチップの平面図である。
【図15】 図14に示すチップの側面図である。
【図16】 従来のチップの平面図である。
【図17】 図16に示すチップの側面図である。
【符号の説明】
11 台金 12 コーナ部 13 凹部 14 切刃部材 16 硬質焼結体 17 超高硬度焼結体 18 切刃部材14の逃げ面部分 19 切刃 20 台金11の逃げ面部分 21 切刃部材14の逃げ面部分18と下面との交差稜
線部 ε 台金11の逃げ面部分20に対する切刃部材14の
交差稜線部21の突出量 λ 台金11の逃げ面部分20に対する切刃19の突出
量 θ 台金11の逃げ面部分20に対する切刃部材14の
逃げ面部分18の傾斜角

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 台金のコーナ部の少なくとも一つに、超
    硬合金等の硬質焼結体とダイヤモンドやCBN等の超高
    硬度焼結体とを層状に成形して成る切刃部材が固着さ
    れ、この切刃部材の上記超高硬度焼結体部分に設けられ
    たすくい面の辺稜部に切刃が形成されて成るスローアウ
    ェイチップにおいて、上記すくい面に上記切刃を介して
    交差する上記切刃部材の逃げ面部分は、上記超高硬度焼
    結体部分から上記硬質焼結体の部分にかけて面一とさ
    れ、かつ上記切刃側に向かうに従い上記台金の逃げ面部
    分に対して漸次外側に突出するように傾斜していること
    を特徴とするスローアウェイチップ。
  2. 【請求項2】 上記切刃部材の逃げ面部分が上記台金の
    逃げ面部分に対してなす傾斜角が1.5°以下に設定さ
    れていることを特徴とする請求項1に記載のスローアウ
    ェイチップ。
  3. 【請求項3】 上記切刃部材の逃げ面部分において上記
    台金の逃げ面部分に最も接近する位置における当該台金
    の逃げ面部分からの突出量が0.05mm未満とされてい
    ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のス
    ローアウェイチップ。
  4. 【請求項4】 台金のコーナ部の少なくとも一つに、超
    硬合金等の硬質焼結体とダイヤモンドやCBN等の超高
    硬度焼結体とを層状に成形して成る切刃部材を、この切
    刃部材の逃げ面部分が上記台金の逃げ面部分よりも外側
    に突出するようにして固着し、この切刃部材の逃げ面部
    分を、上記超高硬度焼結体部分から上記硬質焼結体の部
    分にかけて面一に、かつ上記超高硬度焼結体部分に設け
    られるすくい面側に向かうに従い上記台金の逃げ面部分
    に対して漸次外側に突出するように傾斜させて研削し、
    この切刃部材の逃げ面部分と上記すくい面との交差稜線
    部に切刃を形成することを特徴とするスローアウェイチ
    ップの製造方法。
  5. 【請求項5】 上記切刃部材の逃げ面部分が上記台金の
    逃げ面部分に対してなす傾斜角を1.5°以下に設定す
    ることを特徴とする請求項4に記載のスローアウェイチ
    ップの製造方法。
  6. 【請求項6】 上記切刃部材の逃げ面部分において上記
    台金の逃げ面部分に最も接近する位置における当該台金
    の逃げ面部分からの突出量を0.05mm未満とすること
    を特徴とする請求項4または請求項5に記載のスローア
    ウェイチップの製造方法。
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