JP2013202724A - 切削インサート - Google Patents
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Abstract
【課題】クランプ駒やレバーロックでインサート取付座に取付可能で着脱の際の煩わしさがなく、その一方で逃げ面の被削材との接触による切削抵抗の増大や逃げ面摩耗の促進を抑制する。
【解決手段】多角形平板状をなすインサート本体1の表裏の多角形面の共通するコーナ部Cに、表裏の多角形面をそれぞれすくい面6とするとともにこれらの多角形面の周りのインサート本体1の側面を逃げ面7とする一対の切刃8が形成され、これらの切刃8は、すくい面6とされる多角形面からインサート本体1の厚さ方向に互いに反対の多角形面側に向かうに従い逃げ面7がインサート本体1の内側に凹むポジ切刃とされるとともに、切刃8が形成されたコーナ部Cとは反対側に位置するインサート本体1の側面は、厚さ方向に平行に延びるネガ側面9とされている。
【選択図】図1
【解決手段】多角形平板状をなすインサート本体1の表裏の多角形面の共通するコーナ部Cに、表裏の多角形面をそれぞれすくい面6とするとともにこれらの多角形面の周りのインサート本体1の側面を逃げ面7とする一対の切刃8が形成され、これらの切刃8は、すくい面6とされる多角形面からインサート本体1の厚さ方向に互いに反対の多角形面側に向かうに従い逃げ面7がインサート本体1の内側に凹むポジ切刃とされるとともに、切刃8が形成されたコーナ部Cとは反対側に位置するインサート本体1の側面は、厚さ方向に平行に延びるネガ側面9とされている。
【選択図】図1
Description
本発明は、刃先交換式のバイトに着脱可能に取り付けられる切削インサートに関するものである。
このような刃先交換式のバイトに取り付けられる切削インサートは、一般的に超硬合金により形成され、あるいは超硬合金製の台金のコーナ部にcBN焼結体やダイヤモンド焼結体のような超高硬度焼結体が配設された正三角形や正方形、あるいは菱形等の多角形平板状のインサート本体のコーナ部に、このインサート本体の多角形面をすくい面とするとともに該多角形面の周りの側面を逃げ面とする切刃が形成されたものであり、刃先交換式のバイトホルダに形成されたインサート取付座に着脱可能に取り付けられて、上記コーナ部に形成された切刃によって被削材の旋削加工を行う。
このような切削インサートのうち、上記逃げ面がインサート本体の全周に亙って、切刃が形成されたすくい面とされる多角形面から反対側のインサート取付座への着座面とされる多角形面に向かうに従い、インサート本体の内側に凹むように傾斜して逃げ角が付された、いわゆるポジティブタイプの切削インサートは、逃げ面の被削材との接触を抑えることができるため、切削抵抗の低減を図るとともに逃げ面摩耗も抑制することができる。
ところが、このようなポジティブタイプの切削インサートでは、インサート取付座の壁面やこの壁面に当接するインサート本体の側面も上述のように傾斜しているため、クランプ駒やレバーロックでインサート取付座に取り付けようとすると上記着座面の浮き上がりが生じるおそれがあり、そのような状態で切削加工を行うと、ビビリ振動や欠損が発生してインサート本体が破損するおそれがある。このため、ポジティブタイプの切削インサートの取り付けは、インサート本体に貫設された取付孔にクランプネジをねじ込んでクランプするスクリューオン式のものが大半であるが、このようなスクリューオン式の取り付けは、切削に使用するコーナ部を変えるときにクランプネジを完全に取り外さなければならず、操作が煩雑である。
そこで、例えば特許文献1には、インサート本体の表裏の多角形面の共通するコーナ部に、上記表裏の多角形面をそれぞれすくい面とするとともにこれらの多角形面の周りの上記インサート本体の側面を逃げ面とする一対の切刃が形成される一方、これらの切刃が形成されたコーナ部とは反対側に位置するインサート本体の側面は、インサート本体の厚さ方向に平行に延びるネガ側面とされた切削インサートが提案されている。このような切削インサートでは、インサート取付座の壁面に当接する上記ネガ側面が表裏の多角形面と垂直となるため、クランプ駒やレバーロックでクランプしても着座面の浮き上がりを防ぐことができ、表裏のコーナ部を変えるときのインサート本体の着脱が容易となる。
しかしながら、この特許文献1に記載の切削インサートでは、上記一対の切刃の逃げ面が、切刃とは反対側は切刃側に向かうに従い超硬合金製の台金の逃げ面部分に対して漸次外側に突出するように傾斜するポジ逃げ面であるものの、このポジ逃げ面と切刃との間は台金の逃げ面と平行、すなわちインサート本体の厚さ方向に平行に延びるネガ逃げ面とされているので、被削材との接触を確実に抑えることはできず、切削抵抗が増大したり逃げ面摩耗が促進されたりするおそれがある。
本発明は、このような背景の下になされたもので、クランプ駒やレバーロックでインサート取付座に取付可能で着脱の際の煩わしさがなく、その一方で逃げ面の被削材との接触による切削抵抗の増大や逃げ面摩耗の促進を抑制することが可能な切削インサートを提供することを目的としている。
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は、多角形平板状をなすインサート本体の表裏の多角形面の共通するコーナ部に、上記表裏の多角形面をそれぞれすくい面とするとともにこれらの多角形面の周りの上記インサート本体の側面を逃げ面とする一対の切刃が形成され、これらの切刃は、上記すくい面とされる多角形面から上記インサート本体の厚さ方向に互いに反対の多角形面側に向かうに従い上記逃げ面が該インサート本体の内側に凹むポジ切刃とされるとともに、上記切刃が形成されたコーナ部とは反対側に位置する上記インサート本体の側面は、上記厚さ方向に平行に延びるネガ側面とされていることを特徴とする。
このような構成の切削インサートでは、切刃が形成されたコーナ部とは反対側に位置するインサート本体の側面が、インサート本体の厚さ方向に平行に延びるネガ側面とされているので、クランプ駒やレバーロックによってインサート取付座に取り付けても着座面が浮き上がりを生じることがなく、切削インサート着脱の際の煩わしさを解消することができる。
その一方で、表裏の多角形面の共通するコーナ部に形成された一対の切刃は、その逃げ面がすくい面とされる多角形面からインサート本体の厚さ方向に反対側の多角形面に向かうに従いインサート本体の内側に凹むポジ切刃とされていて、特許文献1に記載の切削インサートのようにネガ逃げ面とされる部分がないので、逃げ面と被削材との接触を避けて切削抵抗の低減を図るとともに逃げ面摩耗を抑制することができる。
また、このように表裏一対の切刃がポジ切刃とされて、それぞれの逃げ面がすくい面とされる多角形面からインサート本体の厚さ方向に反対側の多角形面側に向かうに従いインサート本体の内側に凹むようにされているため、切刃に連なるインサート本体の側面は厚さ方向に沿った断面が凹V字状をなすことになる。このため、切削油剤を供給しながら切削を行う湿式切削の際には、この断面凹V字状の側面に切削油剤が溜まり易く、溜まった切削油剤によって切削熱による逃げ面の摩耗も抑制することができるとともに切屑の溶着も防止することができる。
ここで、上記一対の切刃が、逃げ角とコーナ半径が互いに等しくされていて、インサート本体が表裏反転対称とされていれば、一対の切刃で同等の共通した使用が可能となる。また、これとは逆に、上記一対の切刃は、逃げ角とコーナ半径のうち少なくとも一方が異なるものとされていてもよく、この場合には、一対の切刃で異なる切削条件の旋削加工が可能となる。
ただし、特に一対の切刃でコーナ半径が異なっているときには、一方の切刃のコーナ部突端が他方の切刃よりもコーナ部の二等分線方向に突出することになり、着座面側の切刃が突出しすぎている場合には被削材と干渉するおそれがあるので、上記一対の切刃の上記コーナ部の二等分線上における該コーナ部の突端の突出量の差、例えばこれらの切刃のコーナ高さの差は、0.25mm以下とされるのが望ましい。
さらに、インサート本体は全体が超硬合金等の硬質材料によって形成されていてもよいが、多角形平板状の超硬合金製の台金のコーナ部にcBN焼結体やダイヤモンド焼結体よりなる超高硬度焼結体を配設して、上記一対の切刃を、このコーナ部に配設された超高硬度焼結体上に形成すれば、硬質の被削材に対しても上述のような旋削加工を行うことが可能となる。
以上説明したように、本発明によれば、切削インサートの着脱の際の操作が煩雑となるのを防ぎつつ、逃げ面と被削材の接触を抑えて切削抵抗の低減と逃げ面摩耗の抑制を図ることができ、これによって被削材の仕上げ面粗さを向上させるとともに、湿式切削の場合には切削熱による逃げ面の摩耗や切屑の溶着も防止することができる。
図1ないし図4は、それぞれ本発明の第1ないし第4の実施形態を示すものであり、互いに共通する部分には同一の符号を配してある。これら第1ないし第4の実施形態の切削インサートは、インサート本体1が概略多角形平板状、詳しくは菱形平板状をなし、表裏の多角形面である菱形面の中央には、インサート本体1を後述する刃先交換式のバイトホルダのインサート取付座に取り付けるための取付孔2が、インサート本体1をその厚さ方向(図1ないし図4の各図(b)における左右方向)に貫通して開口されている。
インサート本体1は、これらの実施形態ではいずれも、超硬合金等の硬質材料よりなる略菱形平板状の台金3と、この台金3のコーナ部に形成された凹部4に配設される、cBN焼結体またはダイヤモンド焼結体の超高硬度焼結体5aを備えた切刃チップ5とから構成されている。台金3の凹部4は、一対の菱形面の各2つずつ合計4つの鋭角コーナ部のうち、表裏で互いに反対側に位置するそれぞれ1つずつの共通したコーナ部Cに形成されており、これらのコーナ部Cを、該コーナ部Cの二等分線Lに沿った断面において該二等分線Lに垂直な方向に各図(b)に示すようにL字状に切り欠くようにして形成されている。
また、切刃チップ5は、上述のような超高硬度焼結体5aと、台金3と同じ超硬合金等の硬質焼結体5bとを層状に一体焼結したものであり、超高硬度焼結体5aを菱形面側に向けて、台金3と同じ硬質焼結体5bがロウ付け等によって接合されることによって凹部4に固着されている。台金3の菱形面側に向けられた超高硬度焼結体5aの面は、この菱形面と面一とされて上記厚さ方向に垂直となるようにされ、また菱形面の周りに配置されるインサート本体1の側面に向けられた面も、凹部4の周辺の部分では該側面と面一となるようにされる。
このようにして切刃チップ5が配設された表裏の菱形面の共通するコーナ部Cには、これら表裏の菱形面をそれぞれすくい面6とするとともにインサート本体1の上記側面を逃げ面7とする一対の切刃8が形成されている。ここで、これらの切刃8は、上記厚さ方向にすくい面6に対向する方向から見て、コーナ部Cの突端部では上記二等分線L上に中心を有する円弧状をなし、この円弧の両端からは該両端における上記円弧の接線として、菱形面の辺稜部に沿って直線状に延びている。このような円弧は、切刃8が形成されない菱形面の残りのコーナ部にも形成されている。
そして、これら一対の切刃8は、上記逃げ面7がすくい面6とされる菱形面からインサート本体1の上記厚さ方向に互いに反対の菱形面側に向かうに従いインサート本体1の内側に凹むポジ逃げ面とされることにより、逃げ角が付されたポジ切刃とされている。なお、一対の切刃8の逃げ面7は、切刃チップ5部分から台金3部分に亙ってインサート本体1の内側にそれぞれ一定の逃げ角で凹むように傾斜しており、従ってこれらの逃げ面7同士はインサート本体1の厚さ方向内側で交差させられる。
これに対して、これら一対の切刃8が形成されたコーナ部Cとは反対側の他の一対の鋭角コーナ部が位置するインサート本体1の一対の側面は、上記厚さ方向に平行に延びてすくい面6とされる菱形面に直交するネガ側面9とされている。第1ないし第4の実施形態では、一対の切刃8が形成される切刃チップ5が配設された上記凹部4の周辺以外の部分のすべてのインサート本体1の側面が、このようなネガ側面9とされている。
ここで、図1に示す第1の実施形態では、上記一対の切刃8は、逃げ面7の逃げ角θとコーナ部Cの突端部において切刃8がなす円弧の半径、すなわちコーナ半径Rとが互いに等しくされている。従って、一対の切刃8は上記厚さ方向にすくい面6に対向する方向から見て互いに重なり合うようにされ、一対の切刃8の逃げ面7同士は上記二等分線Lに沿った断面において図1(b)に示すように凹V字状をなして、インサート本体1の厚さ方向中央で交差することになり、インサート本体1はこの厚さ方向中央を通り該厚さ方向に垂直な平面に関して対称、かつ表裏のすくい面6に関しても反転対称形状となる。
また、図2に示す第2の実施形態では、一対の切刃8はコーナ半径Rは互いに等しくされていて、上記厚さ方向にすくい面6に対向する方向から見て互いに重なり合うようにされているものの、逃げ角θは互いに異なる角度とされている。この第2の実施形態では、図2(b)左側の切刃8aの逃げ角θaが5°とされるとともに図2(b)右側の切刃8bの逃げ角θbは11°とされ、逃げ面7同士はインサート本体1の厚さ方向中央よりも大きい逃げ角θbの切刃8b側で、この切刃8bが形成された切刃チップ5が接合された凹部4の底面の位置で交差させられている。
さらに、図3に示す第3の実施形態では、第2の実施形態とは逆に、一対の切刃8の逃げ角θは互いに等しくされているのに対し、コーナ半径Rが異なる大きさとされている。従って、上記厚さ方向にすくい面6に対向する方向から見て一対の切刃8は互いに重なり合うことがなく、図3(a)および図3(b)左側に示される小さなコーナ半径Raの切刃8aが、図3(c)および図3(b)右側に示される大きなコーナ半径Rbの切刃8bよりも上記二等分線L方向に突出することになり、逃げ面7同士は図3(b)に示すようにインサート本体1の厚さ方向中央よりも大きなコーナ半径Rbの切刃8b側の台金3部分で交差させられている。
さらにまた、図4に示す第4の実施形態では、一対の切刃8の逃げ角θとコーナ半径Rの双方が異なる大きさとされている。この第4の実施形態では、図4(a)および図4(b)左側に示される切刃8aが小さな逃げ角θaで小さなコーナ半径Raとされ、図4(c)および図4(b)右側に示される切刃8bが大きな逃げ角θbで大きなコーナ半径Rbとされている。従って、逃げ面7同士は大きな逃げ角θbで大きなコーナ半径Rbの切刃8b側で交差させられ、本実施形態ではこの切刃8bが形成された切刃チップ5の超高硬度焼結体5aと硬質焼結体5bとの境界付近で交差させられている。
このような第1ないし第4の実施形態の切削インサートは、図5に示すような刃先交換式のバイトのホルダ11に着脱可能に取り付けられて旋削加工に使用される。このホルダ11は鋼材等により形成されて概略四角柱状をなし、その先端部(図5において左側部分)平面視に側方に突出させられていて、この先端部の突端上面にはインサート取付座12が形成されている。
このインサート取付座12は、ホルダ11の上記先端部の上面から一段凹むようにされた図示されない平坦な底面と、この底面から垂直にホルダ11上面に延びる一対の壁面12aとから形成されており、底面に垂直な方向から見た上面視における一対の壁面12aの挟角は、インサート本体1のすくい面6とされる菱形面の上記切刃8が形成されたコーナ部Cとは反対側の鋭角コーナ部がなす角度と等しくされている。なお、インサート取付座12の上記底面はホルダ11先端部の突端側に向かうに従いホルダ11の下面側に向かうように僅かに傾斜させられている。
また、本実施形態ではホルダ11の先端部上面にクランプ駒13が備えられている。このクランプ駒13は、上記上面視においてインサート取付座12の一対の壁面12aがなす鋭角の二等分線方向にインサート取付座12上に突出するように配設されて、その突端部の下面にはインサート本体1の取付孔2と係合する円柱軸状の図示されない凸部が形成されている。また、クランプ駒13にはクランプネジ14が挿通されている。
このクランプ駒13は、その突端部とは反対側の後端部の下面がホルダ11先端部上面に形成された傾斜面に当接させられ、上記クランプネジ14がホルダ11にねじ込まれることにより、上記凸部が取付孔2に係合しつつインサート取付座12の底面側に押し込まれるに従い後端側に後退し、一対の菱形面の1つを着座面としてインサート取付座12の底面に向けるとともに一対の切刃8が形成されたコーナ部Cとは反対側のインサート本体1の一対のネガ側面9を一対の壁面12aに向けてインサート取付座12に着座させられた上記切削インサートを、これら底面と一対の壁面12aに押し付けて固定する。なお、底面と着座面との間には、必要に応じてシートが介装されていてもよい。
このようにクランプ駒13によってホルダ11に着脱可能に取り付けられる上記構成の切削インサートでは、ホルダ11の上面側に向けられた菱形面がすくい面6として使用され、このすくい面6のコーナ部Cに形成された切刃8がホルダ11先端部から突出して旋削加工に使用される。このとき、インサート本体1は、この切刃6とは反対側の上記着座面に垂直な一対のネガ側面9が、インサート取付座12の底面に垂直な一対の壁面12aに押し付けられて固定されているため、旋削加工に使用される切刃8がポジ切刃であっても着座面に浮き上がりが生じることはない。
従って、このようにクランプ駒13によって浮き上がりを生じることなくインサート本体1を刃先交換式バイトのホルダ11に取り付けることができるので、切削に使用する切刃8を切り替えるときや切削インサートを交換する際にインサート本体1をインサート取付座12から取り出す際に、クランプネジ14を完全に取り外すことなく、クランプ駒13の上記凸部が取付孔2から外れたところでインサート本体1が取り出し可能となり、スクリューオン式のクランプのような切削インサートの着脱の煩わしさを解消することができる。
また、旋削加工に使用される切刃8はポジ切刃とされていて、その逃げ面7がすくい面6とされる菱形面から上記厚さ方向に反対側の着座面とされる菱形面に向かうに従いインサート本体1の内側に凹んでいるので、この逃げ面7と被削材との接触を避けることができる。しかも、表裏の菱形面の共通する一対のコーナ部Cに形成された切刃8がこのようなポジ切刃とされているので、これらのコーナ部Cに連なるインサート本体1の側面は、図1ないし図4の各図(b)に示したように断面凹V字状となり、湿式切削の際に供給された切削油剤を保持することができる。
従って、被削材との接触が回避されることと、こうして切削油剤を逃げ面7に保持可能なことから、上記構成の切削インサートによれば、切削抵抗の低減を図るとともに逃げ面摩耗を抑制することが可能となり、さらに切削性能を向上させて高い加工精度を得ることができる。また、切削油剤が切刃8近くの逃げ面7に保持されるため、切刃8や被削材の被切削部位の冷却を図ることもでき、切削熱による逃げ面摩耗や高温になった切刃8に切屑が溶着するのも防ぐことができて、被削材の仕上げ面に異常面粗さ不良が発生するのを防止することができる。
ここで、上記第1ないし第4の実施形態のうち、第1の実施形態では、これら一対の切刃8の逃げ面7の逃げ角θとコーナ半径Rとが互いに等しくされており、従って、一方の切刃8が寿命となったときには、上述のようにインサート本体1をインサート取付座12から一旦取り出し、表裏反転させて取り付け直すことで、取り付け直し前と同じ加工条件で被削材に旋削加工を行うことができる。
また、一対の切刃8のコーナ半径Rは等しくされて、逃げ面7の逃げ角θが異なる角度とされた第2の実施形態では、加工条件が同じであれば被削材に形成される加工面の仕上げ面粗さ等は一対の切刃8で変わりはないが、大きな逃げ角θbとされた切刃8bの方が被削材との接触がより少なく、また断面V字状をなすインサート本体1の側面も、この大きな逃げ角θbとされた切刃8b側で逃げ面7同士が交差して最も大きく凹み、切削油剤を貯めやすいので、逃げ面摩耗を効果的に抑制することができる。一方、小さな逃げ角θaの切刃8は刃先強度が高くてチッピングや欠損を防止することができる。
これら第1および第2の実施形態に対して、一対の切刃8のコーナ半径Rが異なる第3および第4の実施形態では、同じ加工条件であれば大きなコーナ半径Rbの切刃8bの方が小さなコーナ半径Raの切刃8aよりも刃先強度は高い反面、切削抵抗は大きくなる。そこで、これら第3および第4の実施形態によれば、例えば大きなコーナ半径Rbの切刃8bによって被削材に粗加工を施した後に、インサート本体1を表裏反転して取り付け直し、小さなコーナ半径Raの切刃8aによって切り込みおよび送りを小さくして、被削材に仕上げ加工を施したりすることができる。
また、このうち特に第4の実施形態では、小さなコーナ半径Raとされた切刃8aの逃げ角θaが大きなコーナ半径Rbの切刃8bの逃げ角θbよりも小さくされており、損なわれがちな刃先強度を確保することができる。ただし、上述のように小さなコーナ半径Raとされた切刃8aを、切り込みや送りが小さくて切削時の負荷も小さい仕上げ加工に用いる場合などには、これとは逆に小さなコーナ半径Raとされた切刃8aの逃げ角θaを大きなコーナ半径Rbの切刃8bの逃げ角θbより大きくしてもよい。
ところで、これら第3および第4の実施形態のように一対の切刃8のコーナ半径Rを異なるものとした場合には、上述したように小さなコーナ半径Raの切刃8aの突端が大きなコーナ半径Rbの切刃8bよりも上記二等分線L方向に突出することになるが、大きなコーナ半径Rbの切刃8bが旋削加工に使用されるときに、反対側の小さなコーナ半径Raの切刃8aの突端が突出しすぎていると、被削材と干渉するおそれが生じる。従って、この切刃8aの突端と切刃8bの突端との上記二等分線L方向における突出量の差、すなわち図3および図4に示すように表裏の菱形面に内接する内接円Eと上記二等分線Lの交点から切刃8a、8bまでのそれぞれ二等分線Lの長さであるコーナ高さHa、Hbの差Fは0.25mm以下とされるのが望ましい。
ここで、表1は、すくい面とされる菱形面の鋭角のコーナ部Cの角度が80°、逃げ角が0°、精度がG級、取付孔2が円筒孔、菱形面の内接円Eの直径Dが12.7mm、インサート本体1の厚さTが4.76mmであるISO規格における呼び記号CNGA120404、CNGA120408、およびCNGA120412タイプの切削インサートのコーナ半径R(mm)と、内接円Eから切刃8までの上記二等分線Lの長さであるコーナ高さH(mm)を示すものであり、表2はすくい面とされるのが正方形面である以外は上記と同じのISO規格における呼び記号SNGA120404、SNGA120408、およびSNGA120412タイプの切削インサートのコーナ半径R(mm)とコーナ高さH(mm)を示すものである。
表1から分かるように、CNGA120404タイプとCNGA120408タイプとではコーナ高さHの差Fが0.220mmとなり、またCNGA120408タイプとCNGA120412タイプとではコーナ高さHの差Fが0.221mmとなり、いずれも0.25mm以下となるので、表裏の菱形面が上述のような形状、寸法の場合には、これらの組み合わせから選択されるのが望ましい。
また、表2から分かるように、SNGA120404タイプとSNGA120408タイプとではコーナ高さHの差Fが0.165mmとなり、SNGA120408タイプとSNGA120412タイプとではコーナ高さHの差Fが0.164mmとなって、やはりいずれも0.25mm以下となるので、表裏の多角形面が上述のような寸法、形状の正方形の場合はこれらの組み合わせから選択されるのが望ましい。
さらにまた、上記第1ないし第4の実施形態では、超硬合金よりなる台金3のコーナ部Cに形成された凹部4に、cBN焼結体やダイヤモンド焼結体よりなる超高硬度焼結体5aを備えた切刃チップ5を接合して、その超高硬度焼結体5a上に一対の切刃8を形成しており、被削材が硬質であったり難削材であったりしても、確実に旋削加工を行うことができる。
なお、図5では、上記第1ないし第4の実施形態の切削インサートをクランプ駒によってホルダ11に取り付けているが、インサート取付座12の底面からL字状のレバーの一端を突出させて取付孔2と係合させ、レバーの他端をクランプネジ等で押し込んでインサート本体1を固定するレバーロックや、偏心ピンなどで固定するピンロック、あるいは引き込みピンを用いる引き込みピンクランプ等を用いることもできる。
また、本発明は、第1ないし第4の実施形態のように菱形平板状のインサート本体1を有する切削インサートのほかに、上述したSNGAタイプのような正方形平板状のインサート本体を有するものや、四角形以外にも例えば正三角形平板状のインサート本体を有するものにも適用可能である。
1 インサート本体
2 取付孔
3 台金
4 凹部
5 切刃チップ
5a 切刃チップ5の超高硬度焼結体
5b 切刃チップ5の硬質焼結体
6 すくい面
7 逃げ面
8、8a、8b 切刃
9 ネガ側面
11 ホルダ
12 インサート取付座
13 クランプ駒
14 クランプネジ
C コーナ部
θ、θa、θb 逃げ角
R、Ra、Rb コーナ半径
L コーナ部Cの二等分線
E すくい面6の内接円
D 内接円Eの直径
H、Ha、Hb コーナ高さ
F コーナ高さHa、Hbの差(一対の切刃8a、8bのコーナ部Cの二等分線L上におけるコーナ部Cの突端の突出量の差)
2 取付孔
3 台金
4 凹部
5 切刃チップ
5a 切刃チップ5の超高硬度焼結体
5b 切刃チップ5の硬質焼結体
6 すくい面
7 逃げ面
8、8a、8b 切刃
9 ネガ側面
11 ホルダ
12 インサート取付座
13 クランプ駒
14 クランプネジ
C コーナ部
θ、θa、θb 逃げ角
R、Ra、Rb コーナ半径
L コーナ部Cの二等分線
E すくい面6の内接円
D 内接円Eの直径
H、Ha、Hb コーナ高さ
F コーナ高さHa、Hbの差(一対の切刃8a、8bのコーナ部Cの二等分線L上におけるコーナ部Cの突端の突出量の差)
Claims (5)
- 多角形平板状をなすインサート本体の表裏の多角形面の共通するコーナ部に、上記表裏の多角形面をそれぞれすくい面とするとともにこれらの多角形面の周りの上記インサート本体の側面を逃げ面とする一対の切刃が形成され、これらの切刃は、上記すくい面とされる多角形面から上記インサート本体の厚さ方向に互いに反対の多角形面側に向かうに従い上記逃げ面が該インサート本体の内側に凹むポジ切刃とされるとともに、上記切刃が形成されたコーナ部とは反対側に位置する上記インサート本体の側面は、上記厚さ方向に平行に延びるネガ側面とされていることを特徴とする切削インサート。
- 上記一対の切刃は、逃げ角とコーナ半径が互いに等しくされていることを特徴とする請求項1に記載の切削インサート。
- 上記一対の切刃は、逃げ角とコーナ半径のうち少なくとも一方が異なるものとされていることを特徴とする請求項1に記載の切削インサート。
- 上記一対の切刃の上記コーナ部の二等分線上における該コーナ部の突端の突出量の差が0.25mm以下とされていることを特徴とする請求項3に記載の切削インサート。
- 上記一対の切刃は、上記コーナ部に配設された超高硬度焼結体上に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の切削インサート。
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Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0570805U (ja) * | 1992-02-26 | 1993-09-24 | 和武 中谷 | 切削刃物チップ |
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-
2012
- 2012-03-28 JP JP2012073309A patent/JP2013202724A/ja active Pending
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