JPH10180158A - トリガー式液体噴出ポンプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】トリガー式の液体噴出ポンプであって、金属製
の玉状弁体を使用せずに分別処理を必要としない合成樹
脂製の上下弁部材を使用して形成でき、しかも従来のこ
の種ポンプの形態を大きく変えることなく形成できると
ともに、吐出機能にも優れた液体噴出ポンプを提案す
る。 【解決手段】ポンプ本体の縦筒５内下部にフランジ状の
弁座12を、上部に上向き段部13をそれぞれ形成し、特殊
構成の上部弁部材Ａの水平弁板A3を圧縮弾性変形可能な
弾性板部A2により上記上向き段部13上面に圧接させて吐
出弁18を形成し、また、上記上部弁部材Ａに嵌着固定し
た特殊構成の下部弁部材Ｂの弁体B3を螺旋状バネ部B2を
介して上記弁座12上に圧接係止させて構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はトリガー式液体噴出
ポンプに関する。

【０００２】

【従来の技術】トリガー式液体噴出ポンプとして、容器
体口頚部に装着キャップを嵌合させ、また、該キャップ
上に嵌着固定するとともに、該キャップ上端から起立し
た縦筒の中間部からシリンダを、その上端部からは射出
筒をそれぞれ前方へ突設してなるポンプ本体を設け、シ
リンダの前端開口より前方付勢状態で押し込み可能に突
設したプランジャの先端にトリガーを連係させ、該トリ
ガーの操作により容器体内の液を吸い上げて射出筒前端
より噴出する如く構成してなるもの等が知られている。

【０００３】従来のこの種ポンプに於ける吸い込み弁及
び吐出弁は、縦筒内下部及び上部に設けた弁座上に金属
製の玉状弁体を載置して構成されたものが一般に使用さ
れている。また、最近では、縦筒内上端部に設けた圧縮
弾性可能な弾性板下部に水平弁板を延設し、該弁板を縦
筒内上部に設けた弁座上に圧接させた合成樹脂製の弁部
材を設けて吐出弁を形成しているものもあるが、吐出弁
に関しては、その縦筒内のスペース等の問題により金属
製の玉状弁体を一般に使用している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年の
廃棄物処理事情では、金属とプラスチックの分別処理が
要望され、従来のものでは、これら玉状弁体が微細であ
ること、内部に密閉されていること等の理由によりこの
分別が極めて困難であった。

【０００５】この様な事情を考慮して金属製の玉状弁体
に変えてプラスチック製の玉状弁体を使用する試みも行
われている様ではあるが、プラスチック製の玉状弁体で
は、金属と比較して軽く、その結果、液の噴出操作に支
障を来す虞があった。即ち、プラスチック製の玉状弁体
では、ポンプを装着した容器をもって傾けただけで弁体
が浮遊してしまい、それがなかなか弁座上に戻らずにト
リガーを引いてしまう場合があり、その場合にはシリン
ダ内の液が容器体内に逆流する等の不都合が生じたりす
る場合がある。

【０００６】本発明は上記した点に鑑みなされたもの
で、金属を使用せずに、吐出弁，吸い込み弁を形成で
き、しかも金属製の玉状弁体を使用した場合と比較して
も劣らない円滑な吐出機能を発揮でき、また、収納液の
特性に対応して材質を変化させることができるため汎用
性も備えたトリガー式液体噴出ポンプを提案するもので
ある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本請求項１発明のポンプ
は上記課題を解決するため、容器体口頚部に嵌合させる
装着キャップ４と、該装着キャップ上に嵌着固定すると
ともに、装着キャップ上端から起立した縦筒５の中間部
からシリンダ６を、その上部からは射出筒７をそれぞれ
前方へ突設してなるポンプ本体８と、上記シリンダ内を
前方付勢状態で押し込み可能に設けたプランジャ９と、
上記射出筒前部に上部を枢着させて垂下させるととも
に、上記プランジャ前部をその上部に連係させたトリガ
ー10とを備え、該トリガーの操作により容器体内の液を
吸い上げて射出筒７前端より噴出する如く構成したトリ
ガー式液体噴出ポンプに於いて、上記縦筒５内下部のシ
リンダ６内との連通孔11下方にフランジ状の弁座12を突
設するとともに、上記連通孔11上方に上向き段部13を形
成し、上記縦筒５内上端部に嵌着させた取り付け基部A1
下面中央より垂設した圧縮弾性変形可能な弾性板部A2を
介して水平弁板A3を延設するとともに、該弁板周縁部を
上記上向き段部13上面に圧接して吐出弁18を形成してな
る上部弁部材Ａを設け、上記水平弁板A3下面中央より垂
設した棒状部A4外周上端部に嵌着させた嵌合筒部B1下面
より螺旋状バネ部B2を垂設するとともに、該バネ部下端
に延設した弁体B3下面を上記弁座12上に圧接させて吸い
込み弁17を形成してなる下部弁部材Ｂを設けてなること
を特徴とするトリガー式液体噴出ポンプとして構成し
た。

【０００８】また、請求項２発明のポンプは、上記下部
弁部材Ｂに代えて、上記上向き段部13上に嵌合させた弁
座形成リングC1内面より下方へ螺旋状バネ部C2を垂設す
るとともに、該バネ部下端に延設した弁体C3下面を上記
弁座12上に圧接させて吸い込み弁17を形成してなる下部
弁部材Ｃを設け、上記上部弁部材Ａの水平弁板A3周縁部
を上記弁座形成リングC1上面に圧接して吐出弁18を形成
してなる請求項１記載のトリガー式液体噴出ポンプとし
て構成した。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例の形態を図
面を参照して説明する。図面に示す如く、本発明のトリ
ガー式液体噴出ポンプ１は、容器体２の口頚部３に嵌合
させる装着キャップ４と、該キャップ上に嵌着固定する
とともに、装着キャップ上端から起立した縦筒５の中間
部からシリンダ６を、その上部からは射出筒７をそれぞ
れ前方へ突出してなるポンプ本体８と、上記シリンダ内
を前方付勢状態で押し込み可能に設けたプランジャ９
と、上記射出筒前部に上部を枢着させて垂下させるとと
もに、上記プランジャ前部をその上部に連係させたトリ
ガー10とを備え、該トリガーの操作により容器体内の液
を吸い上げて射出筒７前端より噴出する如く構成した公
知のポンプ機構を備えたものである。

【００１０】本発明ポンプは、上記したこの種ポンプに
於いて、上記縦筒５内下部のシリンダ６内との連通孔11
下方にフランジ状の弁座12を突設するととも、上記連通
孔11上方に上向き段部13を形成している。

【００１１】図面に示す実施例では、上記縦筒５下部外
面のシリンダ６下端位置より延設したフランジを介して
大径の連結筒14を垂設しており、この連結筒の後部偏心
位置より縦筒が立設している如く構成している。

【００１２】また、ポンプ本体８の縦筒５内に嵌着固定
してその内壁面を形成する内壁形成部材15に上記各弁座
12及び上向き段部13を形成し、該部材15を縦筒５下端開
口部より挿入嵌着して構成している。該部材15は、上記
縦筒５内周面部全体を被覆して嵌着固定するとともに、
その下方に一部を突出した上下端開口の小径部15a と、
ポンプ本体８の上記連結筒14内面に嵌着してその下方へ
下端部を突出させた大径部15b とを、大径部15b 上端縁
より小径部外面下部に至るフランジ15c を介して連結し
ている。尚、縦筒５は連結筒14内上部に突出形成されて
いるため、上記フランジ15c の縦筒５周囲には凹陥部を
設けている。

【００１３】そして、上記小径部15a 内上下方向中央部
にはシリンダ６内に連通する上記連通孔11の一部として
の透孔を穿設するとともに、小径部内下部の上記透孔下
方位置に下方へすぼまるテーパ状をなす上記弁座12を突
設し、また、透孔上方の小径部15a 上部内面には上向き
段部13をそれぞれ形成している。また、上記大径部15b
外面下部よりポンプ本体の連結筒14外方へ環状の係止突
条16を突設し、この係止突条16上面に装着キャップ４の
フランジ状頂壁を抜け出し不能に係止させている。この
内壁形成部材15を設けることにより、後述する上部弁部
材Ａ及び下部弁部材Ｂ或いはＣの組み付けを極めて容易
に行える。

【００１４】本請求項１発明のポンプは、上部弁部材Ａ
及び下部弁部材Ｂを装着して、上記弁座12及び上向き段
部13と合わせて吸い込み弁17及び吐出弁18を形成してい
る。

【００１５】上記上部弁部材Ａは、合成樹脂或いはエラ
ストマー等により形成されたもので、図１及び図２に示
す如く、縦筒５内上端部に嵌着させた取り付け基部A1下
面中央より垂設した圧縮弾性変形可能な環状の弾性板部
A2を介してその周縁部を上記上向き段部13上面に圧接し
て吐出弁18を形成する水平弁板A3を延設するとともに、
該弁板下面中央より棒状部A4を下方へ垂設している。

【００１６】本実施例に於いて上記取り付け基部A1は、
図３に示す如く、円板状部上面より平面視十字状の突部
を突設したもので、この十字状突部上面を縦筒頂板部下
面に当接させるとともに、円板状部外周縁を縦筒５の筒
壁内面上部に嵌合させている。また、上記弾性板部A2
は、正面８の字形状をなす環状の板状で、上下方向の弾
性圧縮が可能に構成している。

【００１７】下部弁部材Ｂは、同様に合成樹脂或いはエ
ラストマー等により形成されたもので、上記棒状部A4外
周上端部に下方より挿入嵌合させた嵌合筒部B1下面より
螺旋状バネ部B2を垂設するとともに、該バネ部B2下端に
延設した弁体B3下面を上記弁座12上に圧接させて吸い込
み弁17を形成する如く構成している。

【００１８】本実施例では、上部弁部材Ａの棒状部A4上
端部を大径に形成するとともに、その下部をテーパ部を
介して小径に形成し、大径部外周に係合突条19を周設し
ており、また、下部弁部材Ｂの嵌合筒部B1内面上部に係
合凹溝20を周設して、該凹溝20を上記係合突条19に嵌合
させて嵌合筒部B1を係止させている。また、螺旋状バネ
部B2は、嵌合筒部B1下面の周方向等間隔位置より三条の
螺旋バネを延設しており、それぞれの下端を弁体B3上面
周縁部に一体に連結している。弁体B3は、下端を開口し
た筒状で、周壁下面を内方へ傾斜する湾曲面に構成し、
また、頂壁裏面中央より棒状突起を突設して構成してい
る。

【００１９】以下、上記実施例に於けるその他の部分を
説明する。上記縦筒５の下端開口部にはパイプ21の上端
を嵌着し、その下端を容器体内下部に垂下させる。ま
た、シリンダ６と縦筒５との間の筒壁には上記連通孔11
を、射出筒基端部と縦筒５の筒壁には連通孔22を穿設し
ている。そして、容器体２内と縦筒５内をパイプ21及び
吸い込み弁17を介して連通させるとともに、連通孔11を
介して縦筒５とシリンダ６内を連通させ、更に、吐出弁
18及び連通孔22を介して縦筒５内と射出筒７内とを連通
させ、従って、容器体内から射出筒７先端に嵌合したノ
ズルヘッド23の噴出口に至る液流路を形成している。更
に、シリンダ６のプランジャ９の摺動部分に一端を開口
し、他端を装着した容器体口頚部上方に開口する外気導
入路ａを設けている。

【００２０】上記の如く構成したポンプを使用する場合
について説明すると、トリガー10を手前に引くとその前
方付勢に抗してプランジャ９が後方へ移行し、シリンダ
６内の液が加圧されて弾性板部A2による下方付勢力に抗
して水平弁板A3が押し上げられて吐出弁18が開き、射出
筒７を介してその先端の噴出口より噴出される。次い
で、トリガー10の押圧を解除すると、コイルスプリング
24の弾性復元力によりプランジャ９が前進し、シリンダ
６内は負圧化するため、螺旋状バネ部B2の下方付勢力に
抗して弁体B3が押し上げられて吸い込み弁17が開き、容
器体内の液をパイプ21を介してシリンダ６内へ導入す
る。また、液の減少に伴い負圧化する容器体内へは上記
外気導入路ａを介して外気が導入される。押し上げられ
た弁体B3はシリンダ内に液が充満すると螺旋状バネ部B2
により弁座12上に押し下げられる。

【００２１】本請求項２発明のポンプは、上記下部弁部
材Ｂに代えて、図４に示す如く、上記上向き段部13上に
嵌合させた弁座形成リングC1内面より下方へ螺旋状バネ
部C2を垂設するとともに、該バネ部C2下端に延設した弁
体C3下面を上記弁座12上に圧接させて吸い込み弁17を形
成してなる下部弁部材Ｃを設け、また、上記上部弁部材
Ａの水平弁板A3周縁部を上記弁座形成リングC1上面に圧
接して吐出弁18を形成する如く構成している。その他の
構成は上記実施例と同様であるため説明を省く。

【００２２】尚、上記各部材は全て合成樹脂を使用して
形成することができ、必要に応じてエラストマー，金属
等を併用して形成することができる。

【００２３】

【発明の効果】以上説明した如く本発明トリガー式液体
噴出ポンプは、既述構成としたことにより、特に、上記
縦筒５内下部のシリンダ６内との連通孔11下方にフラン
ジ状の弁座12を突設するとともに、上記連通孔11上方に
上向き段部13を形成し、上記縦筒５内上端部に嵌着させ
た取り付け基部A1下面中央より垂設した圧縮弾性変形可
能な弾性板部A2を介して水平弁板A3を延設するととも
に、該弁板周縁部を上記上向き段部13上面に圧接して吐
出弁18を形成してなる上部弁部材Ａを設け、上記水平弁
板A3下面中央より垂設した棒状部A4外周上端部に嵌着さ
せた嵌合筒部B1下面より螺旋状バネ部B2を垂設するとと
もに、該バネ部下端に延設した弁体B3下面を上記弁座12
上に圧接させて吸い込み弁17を形成してなる下部弁部材
Ｂを設けたので、或いは、上記下部弁部材Ｂに代えて、
上記上向き段部13上に嵌合させた弁座形成リングC1内面
より下方へ螺旋状バネ部C2を垂設するとともに、該バネ
部下端に延設した弁体C3下面を上記弁座12上に圧接させ
て吸い込み弁17を形成してなる下部弁部材Ｃを設け、上
記上部弁部材Ａの水平弁板A3周縁部を上記弁座形成リン
グC1上面に圧接して吐出弁18を形成したので、従来分別
処理の困難な金属製の玉状弁体を使用しないで、しかも
ポンプの形態や大きさを大幅に改変することなく円滑な
ポンプ機能を発揮することの出来るという特有の効果を
有するものである。

【００２４】また、金属製の玉状弁体を使用しないで、
合成樹脂或いはエラストマー等により形成できる上部弁
部材及び下部弁部材を設けたので、装着する容器体の収
納液の特性に合わせてその材質等を変更可能であり、金
属製の玉状弁体を使用したものと比較して、種々の収納
液に対して使用することのできるポンプを容易に形成で
きる利点も兼ね備えている。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明トリガー式液体噴出ポンプの一実施例を
示す縦断面図である。

【図２】同実施例の縦筒部分の要部拡大断面図である。

【図３】同実施例の上部弁部材及び下部弁部材の半断面
図である。

【図４】本発明の他の実施例を示す縦筒部分の要部拡大
断面図である。

【符号の説明】

２…容器体，３…口頚部，４…装着キャップ，５…縦
筒，６…シリンダ，７…射出筒，８…ポンプ本体，９…
プランジャ，10…トリガー，11…連通孔，12…弁座，13
…上向き段部，17…吸い込み弁，18…吐出弁，Ａ…上部
弁部材，A1…取り付け基部，A2…弾性板部，A3…水平弁
板，A4…棒状部，Ｂ…下部弁部材，B1…嵌合筒部，B2…
螺旋状バネ部，B3…弁体，Ｃ…壁弁部材，C1…弁座形成
リング，C2…螺旋状バネ部，C3…弁体

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】容器体口頚部に嵌合させる装着キャップ４
   と、該装着キャップ上に嵌着固定するとともに、装着キ
   ャップ上端から起立した縦筒５の中間部からシリンダ６
   を、その上部からは射出筒７をそれぞれ前方へ突設して
   なるポンプ本体８と、上記シリンダ内を前方付勢状態で
   押し込み可能に設けたプランジャ９と、上記射出筒前部
   に上部を枢着させて垂下させるとともに、上記プランジ
   ャ前部をその上部に連係させたトリガー10とを備え、該
   トリガーの操作により容器体内の液を吸い上げて射出筒
   ７前端より噴出する如く構成したトリガー式液体噴出ポ
   ンプに於いて、上記縦筒５内下部のシリンダ６内との連
   通孔11下方にフランジ状の弁座12を突設するとともに、
   上記連通孔11上方に上向き段部13を形成し、上記縦筒５
   内上端部に嵌着させた取り付け基部A1下面中央より垂設
   した圧縮弾性変形可能な弾性板部A2を介して水平弁板A3
   を延設するとともに、該弁板周縁部を上記上向き段部13
   上面に圧接して吐出弁18を形成してなる上部弁部材Ａを
   設け、上記水平弁板A3下面中央より垂設した棒状部A4外
   周上端部に嵌着させた嵌合筒部B1下面より螺旋状バネ部
   B2を垂設するとともに、該バネ部下端に延設した弁体B3
   下面を上記弁座12上に圧接させて吸い込み弁17を形成し
   てなる下部弁部材Ｂを設けてなることを特徴とするトリ
   ガー式液体噴出ポンプ。
2. 【請求項２】上記下部弁部材Ｂに代えて、上記上向き段
   部13上に嵌合させた弁座形成リングC1内面より下方へ螺
   旋状バネ部C2を垂設するとともに、該バネ部下端に延設
   した弁体C3下面を上記弁座12上に圧接させて吸い込み弁
   17を形成してなる下部弁部材Ｃを設け、上記上部弁部材
   Ａの水平弁板A3周縁部を上記弁座形成リングC1上面に圧
   接して吐出弁18を形成してなる請求項１記載のトリガー
   式液体噴出ポンプ。