JPH10180101A - 脱水素触媒 - Google Patents

脱水素触媒

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JPH10180101A
JPH10180101A JP8343154A JP34315496A JPH10180101A JP H10180101 A JPH10180101 A JP H10180101A JP 8343154 A JP8343154 A JP 8343154A JP 34315496 A JP34315496 A JP 34315496A JP H10180101 A JPH10180101 A JP H10180101A
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健一 今川
Susumu Yamamoto
進 山本
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佐知夫 浅岡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルカンの脱水素によるアルケンの製造に用
いられる脱水素触媒であって、触媒上への炭素析出が抑
制された脱水素触媒を提供する。 【解決手段】 表面積150m2/g以上、細孔容積0.
55cm3/g以上、平均細孔径90〜200オングスト
ロームであり、かつ細孔径90〜200オングストロー
ムの細孔が全細孔容積の60%以上を占めるγ−アルミ
ナ担体に酸化亜鉛を担持してなる複合担体に、白金、ス
ズおよび周期律表の第1A族および第2A族からなる群
から選ばれる少なくとも1つのアルカリ性金属が担持さ
れていることを特徴とする脱水素触媒。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は脱水素触媒に関し、
より具体的にはアルカンの脱水素反応によりアルケンを
製造するのに用いる脱水素触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、プロピレンやイソブチレンに代表
されるアルケンの需要が増えている。これは、プロピレ
ンを原料とするポリプロピレンの需要が包装材料や自動
車部品用樹脂として増大しており、また、イソブチレン
を原料として製造するガソリンの高オクタン価燃料用添
加剤メチル−t−ブチルエーテル(MTBE)の需要が
増大していること等によるものである。これらプロピレ
ンやイソブチレンは、ガソリン製造のための流動床式接
触分解(FCC)により得られ、あるいはエチレン製造
のための熱分解の副生物として得られるが、そのような
方法により得られる量には限度があり、他の製造方法の
確立が望まれている。このような状況下において、燃料
としての利用にとどまっているC3、C4類等のアルカン
を原料としてプロピレンやイソブチレン、あるいはn−
ブテン等のアルケンを製造することが各種試みられてい
る。このようにアルカンを原料としてアルケンを製造す
る方法としては、触媒存在下での接触脱水素反応による
方法が従来から有効な方法として知られている(例えば
特開平3−288548号公報参照)。そして、そのた
めの脱水素触媒としては、シリカ、アルミナ、ゼオライ
ト、活性炭などの担体上に金属や金属酸化物などの活性
物質を担持させたものが従来から用いられ、特に酸化ク
ロム/アルミナ触媒がよく用いられている(例えば米国
特許第4581339号参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、脱水素
反応は吸熱反応であることから一般に反応は高温で行わ
れ、このためコーク生成(触媒上への炭素析出)による
触媒劣化がしばしば見られる。そのような場合は触媒の
活性を維持するために頻繁に再生を行う必要があり、プ
ロセス効率の低下を招くことになる。このため、触媒寿
命が長く安定性に優れた脱水素触媒が望まれている。す
なわち本発明は、アルカンの脱水素によるアルケンの製
造に用いられる脱水素触媒であって、触媒上への炭素析
出が抑制された脱水素触媒を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、表面積150
2/g以上、細孔容積0.55cm3/g以上、平均細孔
径90〜200オングストロームであり、かつ細孔径9
0〜200オングストロームの細孔が全細孔容積の60
%以上を占めるγ−アルミナ担体に酸化亜鉛を担持して
なる複合担体に、白金、スズおよび周期律表の第1A族
および第2A族からなる群から選ばれる少なくとも1つ
のアルカリ性金属が担持されていることを特徴とする脱
水素触媒を提供することにより、上記課題を解決する。
【0005】
【発明の実施の形態】固体触媒を用いたアルカンの脱水
素反応は本質的に気固系接触操作であるため、活性を高
めるためには活性金属の選択とともに触媒表面積を大き
くすることが重要である。また、選択性を高め、かつ活
性劣化を抑制するためには、異性化反応あるいは分解反
応を抑制して目的化合物を優先的に形成し、かつコーク
スの沈着を抑制するような表面特性を与えることが重要
である。したがって、活性や選択性の低下を防止するた
めには、上記表面積や表面特性の変化が小さいことが重
要となる。本発明では、特定のγ−アルミナ担体に特定
量の酸化亜鉛を担持してなる複合担体を用い、これに白
金、スズおよび周期律表の第1A族および第2A族から
なる群から選ばれる少なくとも1つのアルカリ性金属を
担持することによって大きな表面積及び好ましい表面特
性を長期に渡って維持するものである。
【0006】上記特定の多孔性γ−アルミナ担体は、表
面積が150m2/g以上、細孔容積が0.55cm3/g
以上、平均細孔径が90〜200オングストロームであ
り、かつ細孔径90〜200オングストロームの細孔が
全細孔容積の60%以上を占めるものである。平均細孔
径が90オングストロームより小さいとアルカン分子や
アルケン分子の細孔内拡散が律速になり、全触媒表面積
を有効に利用することができない。一方、平均細孔径が
200オングストロームより大きいと表面積が大きくと
れなくなる。上記条件を満足するγ−アルミナ担体は、
アルミニウム塩の中和により生成した水酸化アルミニウ
ムのスラリーを濾過洗浄し、これを脱水乾燥した後、4
00〜800℃で1〜6時間程度焼成することにより得
られる。
【0007】上記特定の多孔性γ−アルミナ担体には、
酸化亜鉛[ZnO]を好ましくは5〜50重量%担持さ
せる。この酸化亜鉛はアルミナ表面にアルミナとの複合
体を形成し、好ましい表面特性を与える役割を果たすと
思われる。担持量が5重量%以下ではγ−アルミナ担体
表面をアルミナと酸化亜鉛の複合体が均一に覆うことが
できないため十分な効果が得られず、一方、担持量が5
0重量%を超えるとアルミナと酸化亜鉛との複合体の表
面特性が変化するとともに表面積の減少が著しいものと
なる。γ−アルミナ担体上に酸化亜鉛を担持させるに
は、硝酸亜鉛などの亜鉛化合物の水溶液を担体に含浸さ
せた後、乾燥して焼成すればよい。
【0008】上記複合体上には白金を好ましくは0.0
5〜1.5重量%担持させる。ここで用いる白金化合物
としては、塩化白金酸、白金酸アンモニウム塩、臭化白
金酸、二塩化白金、四塩化白金水和物、二塩化カルボニ
ル白金二塩化物、ジニトロジアミン白金酸塩等が挙げら
れる。白金の担持は、当該複合担体に塩化白金酸等の白
金化合物の水溶液を含浸させ、次いでこれを焼成した
後、水素ガス中にて高温で還元する工程が通常用いられ
るが、本発明では必ずしも水素還元ではなく他の還元方
法を用いても良い。
【0009】上記複合担体上には白金とともにスズを担
持させる。スズの担持量は0.5〜10重量%が好まし
い。ここで用いるスズ化合物としては、水溶性のもの及
び/又はアセトン等の有機溶媒に可溶のものが好まし
い。このようなスズ化合物としては、臭化第一スズ、酢
酸スズ、塩化第一スズ、塩化第二スズ、及びそれらの水
和物や、塩化第二スズアセチルアセトナート錯体、テト
ラメチルスズ、テトラエチルスズ、テトラブチルスズ、
テトラフェニルスズ等が挙げられる。スズの担持は、上
記還元工程後の当該担体にスズ化合物の水溶液及び/又
は有機溶媒溶液等を含浸させて水又は有機溶媒を乾燥除
去した後、水素ガス中にて高温で還元する方法が通常用
いられるが、本発明では必ずしも水素還元でなく他の還
元方法を用いてもよい。
【0010】上記複合担体上には白金及びスズとともに
周期律表の第1A族及び第2A族からなる群から選ばれ
る少なくとも1つのアルカリ性金属を担持させる。アル
カリ性金属の担持量は0.01〜10重量%が好まし
い。本明細書において「アルカリ性金属」とは、リチウ
ム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベ
リリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム
及びバリウムを包含する周期律表の第1A族及び第2A
族の金属元素をいう。担持させるのに用いるアルカリ性
金属の化合物としては、水溶性のもの及び/又はアセト
ン等の有機溶媒に可溶のものが好ましい。そのような化
合物の例としては、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ
化カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウム、酢酸カリウ
ム、プロピオン酸カリウム、塩化ルビジウム、臭化ルビ
ジウム、ヨウ化ルビジウム、硝酸ルビジウム、硫酸ルビ
ジウム、酢酸ルビジウム、プロピオン酸ルビジウム、塩
化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、硝酸リチ
ウム、硫酸リチウム、酢酸リチウム、プロピオン酸リチ
ウム、塩化セシウム、臭化セシウム、ヨウ化セシウム、
硝酸セシウム、硫酸セシウム、酢酸セシウム、プロピオ
ン酸セシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、
ヨウ化マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシ
ウム、酢酸マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、
塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、
硝酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸カルシウム、プ
ロピオン酸カルシウム等がある。アルカリ性金属の担持
は、上記還元工程後の当該担体にアルカリ性金属化合物
の水溶液及び/又は有機溶媒溶液を含浸させて水または
有機溶媒を乾燥除去した後、高温処理する方法が通常用
いられる。
【0011】上記のようにして得られた触媒組成物は、
最終的に還元性ガスの存在下で高温還元処理すると高温
での劣化がより緩和される。ここで用いる還元性ガスと
しては水素または水素を含む混合ガスが好ましく、水素
ガスを単独で用いるのがより好ましい。通常、高温還元
処理は500〜700℃、好ましくは550〜650℃
の温度で、1〜20時間程度行う。なお、この高温還元
処理は、必ずしも触媒を反応管に充填する前に予め行う
必要はなく、触媒を反応管に充填した後、原料アルカン
を導入して脱水素反応を行う前に、水素ガスを反応管に
流通させればよい。
【0012】
【実施例】以下において、アルカリ性金属を担持した本
発明の脱水素触媒とアルカリ性金属を担持しない従来の
脱水素触媒を用いて脱水素反応試験を行った例を示す。
なお以下において、%の値はすべて重量%である。 (1)γ−アルミナ担体の製造 特公平6−72005号公報中の実施例1に記載される
ようにして、γ−アルミナ担体を製造した。この方法の
あらましを述べると、熱希硫酸中に激しく攪拌しながら
瞬時にアルミン酸ソーダ水溶液を加えることにより水酸
化アルミニウムスラリーの懸濁液(pH10)を得、こ
れを種子水酸化アルミニウムとして、攪拌を続けながら
熱希硫酸とアルミン酸ソーダ水溶液を交互に一定時間お
いて加える操作を繰り返して濾過洗浄ケーキを得、これ
を押し出し成形して乾燥した後、500℃で3時間焼成
するというものである。こうして得られるγ−アルミナ
の性状は典型的には下記の表1の通りである。
【表1】
【0013】(2)白金/スズ担持触媒の製造 上記γ−アルミナ担体27.5gをとり、これにZnO
/Al23比が30/70になるように30%硝酸亜鉛
[Zn(NO32]水溶液を含浸させ、水分除去後、4
00℃で3時間焼成して複合担体を調製した。この複合
担体にPt担持量が0.3%になるように2.0%塩化
白金酸[H2PtCl6]水溶液を含浸させ、乾燥後40
0℃で3時間焼成し、さらに水素気流中400℃で3時
間還元した。次いで、この還元後の白金担持複合担体に
Sn担持量が3.5%になるように3%塩化第一スズ
[SnCl2 ]水溶液を含浸させ、乾燥後に400℃で
30分間水素還元を行って白金/スズ担持触媒を得た。
これを触媒Aとする。同様に、上記γ−アルミナ担体2
7.5gをとり、これにZnO/Al23比が45/5
5になるように30%硝酸亜鉛[Zn(NO32]水溶
液を含浸させ、水分除去後、400℃で3時間焼成して
複合担体を調製した。この複合担体にPt担持量が0.
6%になるように2.0%塩化白金酸[H2PtCl6
水溶液を含浸させ、乾燥後400℃で3時間焼成し、さ
らに水素気流中400℃で3時間還元した。次いでこの
還元後の白金担持複合担体にSn担持量が3.5%にな
るように二塩化第二スズビスアセチルアセトナト錯体
[Sn(C5722Cl2 ]のアセトン溶液を含浸さ
せ、乾燥後に400℃で30分間水素還元を行って白金
/スズ担持触媒を得た。これを触媒Bとする。
【0014】(3)アルカリ性金属担持触媒の製造 上記触媒Aに、K担持量がそれぞれ0.5%、1.0%
及び2.0%になるように硝酸カリウム[KNO3 ]水
溶液を含浸させ、これを風乾して白金/スズ/カリウム
担持触媒A1、A2及びA3を調製した。同様に、上記
触媒Bに、Mg担持量が1.0%になるように硝酸マグ
ネシウム[Mg(KNO32]水溶液を含浸させ、これ
を風乾して白金/スズ/マグネシウム担持触媒B1を調
製した。
【0015】(4)脱水素反応試験 上記で得られた触媒A,A1、A2及びA3を直径18
mmの石英製反応管に充填し、窒素で十分なパージを行
った。次いで、イソブタンを原料として、温度560
℃、空間速度GHSV500hr-1で脱水素反応試験を
20時間行い、反応器出口ガスをガスクロマトグラフに
より分析した。また、反応終了後の触媒を抜き出し炭素
析出量を測定した。結果を下記の表2に示す。
【表2】
【0016】同様に、上記で得られた触媒A,A1、A
2及びA3を直径18mmの石英製反応管に充填し、水
素流通下に600℃で3時間の処理を行った後、窒素で
十分なパージを行った。次いで、イソブタンを原料とし
て、温度560℃、空間速度GHSV500hr-1で脱
水素反応試験を20時間行い、反応器出口ガスをガスク
ロマトグラフにより分析した。また、反応終了後の触媒
を抜き出し炭素析出量を測定した。結果を下記の表3に
示す。
【表3】
【0017】同様に、上記で得られた触媒B及びB1を
直径18mmの石英製反応管に充填し、水素流通下に6
00℃で3時間の処理を行った後、窒素で十分なパージ
を行った。次いで、イソブタンを原料として、温度56
0℃、空間速度GHSV325hr-1で脱水素反応試験
を8時間行い、反応器出口ガスをガスクロマトグラフに
より分析した。また、反応終了後の触媒を抜き出し炭素
析出量を測定した。結果を下記の表4に示す。
【表4】
【0018】表2〜表4から明らかなように、カリウム
やマグネシウム等のアルカリ性金属を担持した触媒によ
って脱水素反応を行ったところ、選択性が向上するとと
もに触媒上の炭素析出量が著しく減少し、触媒活性の低
下が著しく緩和された。
【0019】
【発明の効果】以上のように、本発明の脱水素触媒を用
いれば、アルカンの脱水素反応によってアルケンを製造
する際に、触媒上の炭素析出が抑制され、触媒劣化が著
しく緩和される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07C 5/333 C07C 5/333 (72)発明者 山本 進 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央二丁目12番 1号 千代田化工建設株式会社内 (72)発明者 浅岡 佐知夫 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央二丁目12番 1号 千代田化工建設株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面積150m2/g以上、細孔容積0.
    55cm3/g以上、平均細孔径90〜200オングスト
    ロームであり、かつ細孔径90〜200オングストロー
    ムの細孔が全細孔容積の60%以上を占めるγ−アルミ
    ナ担体に酸化亜鉛を担持してなる複合担体に、白金、ス
    ズおよび周期律表の第1A族および第2A族からなる群
    から選ばれる少なくとも1つのアルカリ性金属が担持さ
    れていることを特徴とする脱水素触媒。
  2. 【請求項2】 前記複合担体における酸化亜鉛の担持量
    が5〜50重量%である請求項1記載の触媒。
  3. 【請求項3】 前記複合担体上の白金の担持量が0.0
    5〜1.5重量%である請求項1又は2記載の触媒。
  4. 【請求項4】 前記複合担体上のスズの担持量が0.5
    〜10重量%である請求項1〜3のいずれか記載の触
    媒。
  5. 【請求項5】 前記複合担体上のアルカリ性金属の担持
    量が0.01〜10重量%である請求項1〜4のいずれ
    か記載の触媒。
  6. 【請求項6】 前記アルカリ性金属がカリウムである請
    求項1〜5のいずれか記載の触媒。
  7. 【請求項7】 前記アルカリ性金属がマグネシウムであ
    る請求項1〜5のいずれか記載の触媒。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか記載の触媒を還
    元性ガスの存在下で高温還元処理してなる触媒。
  9. 【請求項9】 前記高温還元処理が500〜700℃の
    温度で行われる請求項8記載の触媒。
  10. 【請求項10】 前記還元性ガスが水素である請求項8
    又は9記載の触媒。
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