JPH1017966A - 真空ろう付用アルミニウム材料及び該材料を用いた耐食性に優れたドロンカップ型熱交換器 - Google Patents

真空ろう付用アルミニウム材料及び該材料を用いた耐食性に優れたドロンカップ型熱交換器

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JPH1017966A
JPH1017966A JP17828396A JP17828396A JPH1017966A JP H1017966 A JPH1017966 A JP H1017966A JP 17828396 A JP17828396 A JP 17828396A JP 17828396 A JP17828396 A JP 17828396A JP H1017966 A JPH1017966 A JP H1017966A
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正一 古田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】真空ろう付品の耐食性を向上させうる真空ろう
付用材料、及び該材料を用いた耐食性に優れたドロンカ
ップ型熱交換器を提供する。 【構成】真空ろう付用アルミニウム材料は、アルミニウ
ムまたはその合金からなる心材11の両面側にAl−S
i系ろう材層12が配置され、心材と少なくとも片面側
のろう材層との間に、心材よりも腐食電位が50mV以
上低い犠牲腐食層13が形成されている。また、ドロン
カップ型熱交換器は、ろう付用アルミニウム材料により
形成された2枚のコアプレート3を、犠牲腐食層が外側
に位置する向きで重ね合わせて板状のチューブエレメン
ト1が形成され、チューブエレメントとフィン2との複
数枚が交互に積層され、かつコアプレートの両面のろう
材層により各構成部材が真空ろう付されてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、真空ろう付用アルミ
ニウム材料及び該材料を用いた耐食性に優れたドロンカ
ップ型熱交換器に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、自動車の空調用蒸発器や産業用
ラジエータ、オイルクーラーとして使用されるようなア
ルミニウム熱交換器には、ドロンカップ型と称される積
層型のものが多く用いられている。
【0003】このドロンカップ型熱交換器は、熱交換媒
体流通部とこれに連通するタンク部とを形成するように
皿状にプレス成形した、ブレージングシートからなる2
枚のコアプレートを重ね合わせてチューブエレメントと
し、これとフィンとを交互に複数段積層してろう付一体
化したものであるが、ろう付法として真空ろう付法が採
用されることがある。
【0004】このようなドロンカップ型熱交換器は、腐
食環境下での使用に耐え得るものとするために、耐食性
を付与されたものに構成されることがあるが、従来の防
食思想は、フィンをInやZn等の犠牲腐食効果のある
元素を添加したアルミニウム合金で構成し、このフィン
の犠牲腐食作用によりチューブエレメントの耐食性を確
保しようというものであった(例えば特開昭63−24
1137)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例えば
湿潤と乾燥とが頻繁に繰り返されるような過酷な環境下
で使用される場合には、フィンによる十分な防食効果が
得られず、フィンの谷部(山部)と谷部(山部)の間の
位置においてチューブエレメントに短期間で孔食を生
じ、甚だしくは漏れに至るというような問題があった。
また、フィンの谷部と谷部との間隔つまりフィン間隔を
小さくすることにより、フィンによる犠牲腐食効果を高
めることはできるが、フィンを通過する空気の抵抗が大
きくなり、熱交換性能が低下するという新たな欠点を派
生するものであった。
【0006】このような欠点はドロンカップ型熱交換器
に限らず、耐食性が要求される他の真空ろう付品につい
ても同様に生じるものであった。
【0007】この発明は、このような技術的背景に鑑み
てなされたものであって、真空ろう付品の耐食性を向上
させうるろう付用材料、及び該材料を用いた耐食性に優
れたドロンカップ型熱交換器の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明の一つは、図1及び図2に示すように、ア
ルミニウムまたはアルミニウム合金からなる心材(11)
の両面側にAl−Si系ろう材層(12)(12)が配置さ
れるとともに、心材(11)と少なくとも片面側のろう材
層(12)との間に、心材よりも腐食電位が50mV以上
低い犠牲腐食層(13)が形成されていることを特徴とす
る真空ろう付用アルミニウム材料を要旨とする。
【0009】心材(11)を構成するアルミニウムまたは
アルミニウム合金の具体的組成は特に限定されることは
ないが、望ましくはCu:0.1〜0.8wt%、Mn:
0.3〜1.5wt%、Ti:0.01〜0.2wt%の1
種または2種以上を含有し、残部アルミニウム及び不純
物からなるものにより構成するのが良い。ここに、C
u、Mn、Tiはいずれも心材(11)の腐食電位を貴に
するのに有効な元素であり、これにより犠牲腐食層(1
3)の腐食電位が心材(11)よりも50mV以上低いと
いう条件を満足しやすくするものである。かかる効果の
点でこれらは相互に均等物として評価されるものであ
り、少なくとも1種が含有されていれば効果を発揮する
が、Cuが0.1wt%未満、Mnが0.3wt%未満、T
iが0.01wt%未満では上記効果に乏しい。一方、C
uが0.8wt%を超えると、真空ろう付後ろう材粒界を
通って表面に拡散し、耐食性が悪化する。また、Mnが
1.5wt%を超えると、金属間化合物が大きくなるとと
もに加工硬化が大きくなり、プレス等の成形性が悪化す
る。また、Tiが0.2wt%を超えると融点が高くな
り、鋳造の困難性が増す。好ましい含有範囲は、Cu:
0.2〜0.7wt%、Mn:0.6〜1.3wt%、T
i:0.08〜0.17wt%であり、特にCu:0.3
〜0.5wt%、Mn:0.8〜1.2wt%、Ti:0.
1〜0.15wt%が好ましい。
【0010】犠牲腐食層(13)の腐食電位が心材(11)
よりも50mV以上低いものとなされているのは、50
mV未満では犠牲腐食層(13)の犠牲腐食作用による心
材(11)に対する十分な防食効果が得られないからであ
る。好ましくは、犠牲腐食層(13)の腐食電位は心材
(11)よりも100mV以上低く設定されるのが望まし
い。かかる腐食電位の条件を満足する犠牲腐食層(13)
の具体的構成例として、純アルミニウムか、または純ア
ルミニウムをベースとして、Mg:0.1〜2wt%を含
有するものを挙げ得る。
【0011】上記のようなアルミニウム合金からなる犠
牲腐食層(13)は、図1のように心材(11)の片面のみ
に形成しても良いし、図2のように両面に形成しても良
い。形成方法の最も一般的なものとして圧延によりクラ
ッドする方法を挙げ得る。犠牲腐食層(13)のクラッド
率即ちろう付材料の厚さに占める犠牲腐食層の厚さの割
合は、片面で10〜25%とするのが良い。片面クラッ
ド率が10%未満では犠牲腐食層(13)が薄すぎて、心
材(11)に対する防食効果が不十分となる恐れがある。
一方、片面クラッド率が25%を超えても防食効果が飽
和するのみならず、心材(11)の薄肉化による強度低下
を派生する恐れがある。
【0012】心材の両面側に配置されるAl−Si系ろ
う材層(12)は、良好な真空ろう付作用を発揮させるた
めにSi量6〜14wt%のものを用いるのが良く、さら
にMg:0.3〜2.5wt%を含有するものが用いられ
る。このMgは、真空ろう付時に蒸発することにより接
合部材表面の酸化膜の破壊と再酸化の防止に寄与するい
わゆるゲッター材としての役割を果たすものである。さ
らに望ましくは、Bi:0.01〜0.3wt%が含有さ
れるのが良い。このBiはMgの蒸発促進等に寄与する
ものである。かかるろう材層(12)の形成方法の最も一
般的なものとして、圧延によりクラッドする方法を挙げ
得る。ろう材層(12)のクラッド率は、片面で8〜20
%に設定するのが良い。8%未満ではろう付フィレット
が不十分でろう付性に劣る恐れがあり、20%を超える
クラッド率ではSi侵食が増加する恐れがある。また、
ろう材層(12)をクラッドによらず溶射等によって形成
しても良い。
【0013】図3〜図8は、この発明に係るドロンカッ
プ型熱交換器の一例を示すもので、自動車の空調用アル
ミニウム合金製蒸発器に適用したものである。
【0014】図9に示す蒸発器の全体図において、
(1)は垂直状態でかつ左右方向に積層された複数枚の
偏平状チューブエレメント、(2)はその隣接するチュ
ーブエレメント(1)(1)間および最外側のチューブ
エレメント(1)の外側に配置され、かつろう付接合一
体化されたコルゲートフィンである。
【0015】前記チューブエレメント(1)は、図4〜
図7に示すように、長さ方向の両端に膨出状のタンク部
(1a)(1b)を有すると共に、長さ方向の中間部に両タ
ンク部(1a)(1b)を連通する偏平状の冷媒通路(1c)
を有している。そして、各チューブエレメント(1)は
隣接するものどおしがタンク部(1a)(1b)において当
接状態にろう付接合されると共に、各タンク部(1a)
(1b)に設けた冷媒流通孔(1d)(1d)を介して隣接タ
ンク部相互が連通状態となされている。
【0016】前記各チューブエレメント(1)は、いず
れも2枚の皿状コアプレート(3)をその周端接合面
(3a)において対向状に重ね合わせ、真空ろう付により
一体化することにより形成されている。このコアプレー
ト(3)は、プレス加工により形成されたもので、コア
プレート(3)相互の接合及びこれとコルゲートフィン
(2)との真空ろう付接合を容易に行わしめる目的で、
その材料として前述した本発明に係るろう付用アルミニ
ウム材料が用いられている。かつこのコアプレート
(3)は、コアプレートの心材に対して少なくとも外側
つまりフィン側に犠牲腐食層が存在する状態で用いられ
ている。
【0017】上記コアプレート(3)は、最外側のチュ
ーブエレメント(1)を構成する外側コアプレート
(3)を除いて、両端部に外方突出状の膨出部(4)が
形成されている。最外側のチューブエレメント(1)の
外側コアプレート(3)は、図7に示すように、その両
端部ともにフラットな状態となされ下端部には幅方向に
沿って3つの冷媒流通孔(1d)が穿設されている。
【0018】また上記各膨出部(4)の頂壁には、コア
プレート(3)の幅方向に沿って3つの冷媒流通孔(1
d)が穿設され、該流通孔(1d)を通じて隣接するチュ
ーブエレメント(1)のタンク部相互が連通状態となさ
れている。もっとも、図8に示す蒸発器の全体図におい
て、その右から4番目と5番目に位置するチューブエレ
メント(1)(1)の下側タンク部(1b)(1b)の相互
接合面、および同8番目と9番目に位置するチューブエ
レメント(1)(1)の上側タンク部(1a)(1a)の相
互接合面、および同12番目と13番目に位置するチュ
ーブエレメント(1)(1)の下側タンク部(1b)(1
b)の相互接合面をそれぞれ構成する前記膨出部(4)
の各頂壁には、上述のような冷媒流通孔は穿設されてお
らず、その頂壁が隣接するチューブエレメント(1)の
タンク部(1a)または(1b)相互の仕切りとして作用す
るようになされており、これにより全チューブエレメン
トで構成される冷媒通路が蛇行通路に形成されている。
【0019】さらに、上記各コアプレート(3)の内面
には、一方の膨出部(4)から他方の膨出部(4)に向
かって真っ直ぐに延びた、結露水排水用溝としても機能
する凹陥状内方突出リブ(5)が上記プレートの幅方向
に所定間隔で突出形成されている。そして、かかるリブ
(5)を有する2枚のコアプレート(3)(3)を重ね
合わせることで、周端部(3a)どおしが接合されるとと
もに、図5および図6に実線と一点鎖線とで示すよう
に、両コアプレート(3)(3)のリブ(5)(5)ど
おしが交互に配置された状態となされ、かつ各リブ
(5)の先端部が、対向するコアプレート(3)のリブ
(5)相互間の平面部(6)に当接された交互配置状態
で接合され、チューブエレメント(1)の冷媒通路(1
c)内に、入口タンク部(1b)から出口タンク部(1a)
に向かって真っ直ぐに延びた複数の単位冷媒通路(1e)
が形成されている。
【0020】而して、上記のようなチューブエレメント
(1)の複数枚が、相互間にコルゲートフィン(2)を
介在配置せしめた状態で、隣接するものどおしがタンク
部(1a)(1b)において当接状態に真空ろう付接合され
ている。ここに、隣接チューブエレメント(1)(1)
どうし及びチューブエレメント(1)とコルゲートフィ
ン(2)との接合は、コアプレート(3)を構成するろ
う付用材料の外側ろう材層(12)を介して行われ、各チ
ューブエレメント(1)におけるコアプレート(3)相
互の接合はコアプレートの内側ろう材層(12)を介して
行われる。また、右最外側のチューブエレメント(1)
の下側タンク部(1b)には、冷媒入口管(7)が、また
左最外側のチューブエレメント(1)の下側タンク部
(1b)には冷媒出口管(8)がそれぞれ前記冷媒流通孔
(1d)を介して連通接続されている。なお、図7および
図8において、(9)は最外側のコルゲートフィンの外
側に配設されたサイドプレートであり、これらのサイド
プレートもブレージングシートによって形成され、最外
側のフィンに真空ろう付されたものである。
【0021】上記のようなドロンカップ型蒸発器では、
冷媒入口管(7)から流入した冷媒は前記仕切りによっ
て区画された各チューブエレメント群毎に方向転換して
蛇行状に流れ、出口管(8)から蒸発器外へと流出する
ものとなされている。そして、この間に、チューブエレ
メント(1)間に形成されたフィン(2)を含む空気流
通間隙を流通する空気と熱交換を行うものとなされてい
る。
【0022】而して、チューブエレメント(1)を構成
する各コアプレート(3)は、心材(11)に対して少な
くとも外側つまりフィン側に犠牲腐食層(13)が存在す
る状態で用いられているから、図4に示されるように、
チューブエレメント(1)の心材(11)の外側を被覆す
る状態に、心材(11)よりも腐食電位が50mV以上低
い犠牲腐食層(13)が存在することになる。この犠牲腐
食層(13)が優先的に腐食される結果、チューブエレメ
ント(1)の心材(11)は防食され、ひいてはチューブ
エレメント(1)の孔食の発生が防止される。
【0023】
【作用】アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる
心材の両面側にAl−Si系ろう材層が配置されるとと
もに、心材と少なくとも片面側のろう材層との間に、心
材よりも腐食電位が50mV以上低い犠牲腐食層が形成
されている真空ろう付用材料では、この犠牲腐食層によ
り心材が確実に防食される。しかも、ろう付される相手
材の犠牲腐食効果により防食を図るものではなく、犠牲
腐食層は心材の少なくとも片面側に直接配置されている
から、心材全体が確実に防食される。しかも、犠牲腐食
層の外側にはろう材層が存在するから、少なくともろう
付されるまではこのろう材層により犠牲腐食層の露出が
防止され、犠牲腐食層に損傷や剥離等を生じる危険や経
時劣化の危険が低減する。
【0024】また、上記のような真空ろう付用アルミニ
ウム材料により形成された2枚のコアプレートを、犠牲
腐食層が外側に位置する向きで重ね合わせることにより
板状のチューブエレメントが形成されるとともに、チュ
ーブエレメントとフィンとの複数枚が交互に積層され、
かつコアプレートの両面のろう材層により各構成部材が
ろう付されてなることを特徴とするドロンカップ型熱交
換器においては、チューブエレメントにおける心材の外
側を覆って犠牲腐食層が存在することになるから、チュ
ーブエレメントの全体が確実に防食される。
【0025】
【実施例】次に、この発明の実施例を説明する。
【0026】同一組成の2枚のコアプレート(3)
(3)を重ね合わせたものを複数個用意し、これらとフ
ィン(2)とを交互に積層して図3〜図8に示すような
ドロンカップ型熱交換器に仮組した。ここに、コアプレ
ート(3)の心材(11)、内側ろう材層(12)、外側犠
牲腐食層(13)、外側ろう材層(12)の構成を表1に示
すように各種に設定した。なお、コアプレートの心材、
内側ろう材層、外側ろう材層はいずれもクラッドにより
形成したが、外側犠牲腐食層はクラッドにより形成し
た。また、各コアプレートにおける心材の厚さは0.4
mmとし、犠牲腐食層の厚さ、ろう材層の片面クラッド
率は表1のように設定した。また、心材と犠牲腐食層と
の腐食電位の差(心材の腐食電位−犠牲腐食層の腐食電
位)は表1のとおりであった。尚、フィンにはJIS3
203Al合金に0.05wt%のInを添加したものを
用い、厚さは0.12mmとした。
【0027】次に、上記の各熱交換器組立体をろう付し
た。ろう付は真空中で600℃×5分加熱することによ
り行った。
【0028】そして、得られた各熱交換器につき腐食試
験を行った。腐食試験は、試験液への浸漬処理、自然乾
燥、結露(30分)、湿潤(30分)、乾燥(45℃×
1時間)の順次的実施を2時間で行い、これを1サイク
ルとして100サイクル繰り返したときのチューブエレ
メントの孔食深さを測定した。なお、試験液としては、
PH5の酸性溶液(5%NaCl+5ppmH2 SO4
+5%CaCl2 ・2H2 O+カオリン+海砂)とPH
9のアルカリ溶液(7.5%CaCl2 ・2H2 O+5
%NaCl)の2種類を用いてそれぞれ行った。その結
果を表1に併せて示す。
【0029】
【表1】 上記表1の結果からわかるように、心材よりも腐食電位
が50mV以上低く設定された本発明実施品は、該条件
を逸脱する比較品よりも耐食性に優れていることを確認
し得た。
【0030】
【発明の効果】この発明に係る真空ろう付用材料は、上
述の次第で、アルミニウムまたはアルミニウム合金から
なる心材の両面側にAl−Si系ろう材層が配置される
とともに、心材と少なくとも片面側のろう材層との間
に、心材よりも腐食電位が50mV以上低い犠牲腐食層
が形成されていることを特徴とするものであるから、こ
の犠牲腐食層により心材が確実に防食され、優れた耐食
性を有するろう付品の提供が可能となる。しかも、ろう
付される相手材の犠牲腐食効果により防食を図るもので
はなく、犠牲腐食層は心材の少なくとも片面側に直接配
置されているから、心材全体を確実に防食することがで
きる。しかも、犠牲腐食層の外側にはろう材層が存在す
るから、少なくともろう付されるまではこのろう材層に
より犠牲腐食層の露出が防止され、犠牲腐食層に損傷や
剥離等を生じる危険や経時劣化の危険を低減でき、ひい
ては所期するとおりの防食効果を安定的に発揮させうる
ろう付品の提供が可能となる。
【0031】また、心材が、Cu:0.1〜0.8wt
%、Mn:0.3〜1.5wt%、Ti:0.01〜0.
2wt%の1種または2種以上を含有し、残部アルミニウ
ム及び不純物からなるアルミニウム合金により形成され
ている場合には、心材の腐食電位を貴となしえ、犠牲腐
食層の腐食電位が心材よりも50mV以上低いという条
件を満足しやすくなるという効果がある。
【0032】また、犠牲腐食層が、純アルミニウム、ま
たは純アルミニウムをベースとしてMg:0.1〜2wt
%が含有されてなるものである場合には、犠牲腐食層の
腐食電位を心材よりも50mV以上低くすることが容易
となり、本発明にかかる真空ろう付用材料の提供が容易
となる効果がある。
【0033】また、この発明に係る真空ろう付用アルミ
ニウム材料により形成された2枚のコアプレートを、犠
牲腐食層が外側に位置する向きで重ね合わせることによ
り板状のチューブエレメントが形成されるとともに、チ
ューブエレメントとフィンとの複数枚が交互に積層さ
れ、かつコアプレートの両面のろう材層により各構成部
材が真空ろう付されてなることを特徴とするドロンカッ
プ型熱交換器においては、チューブエレメントにおける
心材の外側を覆って犠牲腐食層が存在することになるか
ら、チューブエレメントの全体を確実に防食することが
でき、耐食性に優れた熱交換器となしうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る真空ろう付用アル
ミニウム材料の断面図である。
【図2】この発明の他の実施形態に係る真空ろう付用ア
ルミニウム材料の断面図である。
【図3】この発明の一実施形態に係るドロンカップ型熱
交換器のチューブエレメントのタンク部付近の拡大断面
図である。
【図4】チューブエレメントを構成するコアプレートを
冷媒通路側から見た平面図である。
【図5】(a)は図4のV−V線断面図、(b)は
(a)の一部拡大図である。
【図6】(a)は図4のVIa −VIa 線断面図、(b)は
同じくVIb −VIb 線断面図である。
【図7】図3に示したドロンカップ型熱交換器の一部を
分離して示す斜視図である。
【図8】図3に示したドロンカップ型熱交換器の全体正
面図である。
【符号の説明】
11…心材 12…ろう材層 13…犠牲腐食層 1…チューブエレメント 2…フィン 3…コアプレート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小堀 一博 堺市海山町6丁224番地 昭和アルミニウ ム株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウムまたはアルミニウム合金か
    らなる心材の両面側にAl−Si系ろう材層が配置され
    るとともに、心材と少なくとも片面側のろう材層との間
    に、心材よりも腐食電位が50mV以上低い犠牲腐食層
    が形成されていることを特徴とする真空ろう付用アルミ
    ニウム材料。
  2. 【請求項2】 心材が、Cu:0.1〜0.8wt%、M
    n:0.3〜1.5wt%、Ti:0.01〜0.2wt%
    の1種または2種以上を含有し、残部アルミニウム及び
    不純物からなるアルミニウム合金により形成されている
    請求項1に記載の真空ろう付用アルミニウム材料。
  3. 【請求項3】 犠牲腐食層が、純アルミニウム、または
    純アルミニウムをベースとしてMg:0.1〜2wt%が
    含有されてなるものである請求項1または2に記載の真
    空ろう付用アルミニウム材料。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1に記載のろう
    付用アルミニウム材料により形成された2枚のコアプレ
    ートを、犠牲腐食層が外側に位置する向きで重ね合わせ
    ることにより板状のチューブエレメントが形成されると
    ともに、チューブエレメントとフィンとの複数枚が交互
    に積層され、かつコアプレートの両面のろう材層により
    各構成部材が真空ろう付されてなることを特徴とするド
    ロンカップ型熱交換器。
JP17828396A 1996-07-08 1996-07-08 真空ろう付用アルミニウム材料及び該材料を用いた耐食性に優れたドロンカップ型熱交換器 Expired - Fee Related JP3753794B2 (ja)

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Cited By (6)

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