JPH10177178A - 液晶表示素子の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 封止シール材中のアミンと液晶の化学反応を
減少させ表示不良を軽減させる液晶表示素子の製造方法
を提供することを目的とする。 【解決手段】 工程（ａ）では基板１の片面に所要量の
封止シール材２を印刷し、工程（ｂ）では封止シール材
２を照射エネルギー３により仮硬化する。工程（ｃ）で
は仮硬化した封止シール材２により囲まれた範囲に誘電
異方性を有する液晶４を滴下する。工程（ｄ）では別の
基板５を貼り合わせて、工程（ｅ）では照射エネルギー
３とは別の照射エネルギー６により封止シール材２を再
硬化させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示素子の製
造方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、液晶表示素子の大容量化、高
速応答化、大量生産化へ向けての開発が進んでおり、近
年では、高精細かつ表示品位を実現させるための製造方
法の開発がなされている。

【０００３】液晶表示素子は一対の基板間に厳密な量の
液晶を封入させることが必要であるが、その製造方法の
一つとして滴下法と呼ばれる工法がある（特開昭６２−
８９０２５号公報）。

【０００４】滴下法は厳密な量の液晶を封入するために
一方の基板にあらかじめ必要最小限の液晶を滴下し、そ
れをもう一方の基板と真空中で張り合わせることによっ
て封入させる工法である。

【０００５】このような滴下法は図２に示す様に、封止
シール材印刷工程（ａ）で、基板１の上に封止シール材
２を所定の形に印刷し、次の液晶滴下工程（ｂ）で、前
記封止シール材２で囲まれた範囲内に必要量の液晶４を
滴下する。そして貼り合わせ工程（ｃ）で、前記液晶４
を封入するように別の基板５を貼り合わせ、封止シール
工程（ｄ）で照射エネルギー６により前記シール材を熱
硬化させるようになっている。

【０００６】この滴下法は液晶表示素子の構成材料が必
要最小限の量で作製することができ、かつ各工程間の工
程時間が非常に短時間で済むという特徴がある。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】封止シール材２には硬
化促進剤としてアミンが含有されている。従って、従来
の技術では封止シール材２を基板１に印刷した封止シー
ル材印刷工程（ａ）の直後に、液晶滴下工程（ｂ）を行
うため、滴下された液晶４と封止シール内のアミンが化
学反応をおこして表示不良を起こす要因の一つとなって
いた。

【０００８】本発明は前記問題点を解決し、表示品位の
良い液晶表示素子が得られる液晶表示素子の製造方法を
提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明の液晶表示素子の
製造方法は、液晶滴下工程の前に封止シール材にエネル
ギー照射をして、封止シール材の仮硬化工程を行うこと
を特徴とする。

【００１０】この本発明によると、仮硬化加工により、
封止シール材のアミンの含有量が減るため、液晶が滴下
されても反応が抑えられ、その結果、液晶表示素子の表
示不良を軽減させることが可能となる。

【００１１】

【発明の実施の形態】請求項１記載の液晶表示素子の製
造方法は、２枚の基板の間に液晶を封入するに際し、基
板に封止シール材を印刷し、この封止シール材を照射エ
ネルギーにより仮硬化し、前記仮硬化した封止シール材
により囲まれた範囲に液晶を滴下した後、仮硬化した前
記封止シール材の上に別の基板を載置して前記封止シー
ル材を硬化させることを特徴とする。

【００１２】この構成によると、封止シール材は仮硬化
加工が施されているため封止シール内のアミン含有量が
減少し、液晶を滴下しても液晶と封止シール内のアミン
の反応を抑えることができ、表示不良の軽減が図れる。

【００１３】請求項２、請求項３記載の液晶表示素子の
製造方法は、請求項１記載の封止シール材仮硬化工程に
おいて、封止シール材を仮硬化させる照射エネルギーと
して、具体的には紫外線または赤外線を用いることを特
徴とする。

【００１４】請求項４記載の液晶表示素子の製造方法
は、熱硬化性樹脂と紫外線硬化性樹脂とを混合した封入
シール材を用いることを特徴とする。請求項５記載の液
晶表示素子の製造方法は、熱硬化性樹脂と紫外線硬化性
樹脂とを混合した封入シール材を使用し、仮硬化させる
際には紫外線または赤外線のどちらか一方を照射し、再
硬化させる際には他方を照射することを特徴とする。

【００１５】この構成によると、封入シール材の仮硬化
過程において、照射エネルギーとして赤外線を用いた場
合には熱硬化性樹脂のみが硬化し、照射エネルギーとし
て、紫外線を用いた場合には、紫外線硬化性樹脂のみが
硬化する。従って、仮硬化加工を施すと、封入シール材
の半量が硬化し、残りの半量は後の封止シール材硬化工
程においても接着機能を有する封止シール材となる。

【００１６】以下本発明の実施の形態について図１を参
照しつつ説明する。 （実施の形態１）図１は本発明の液晶表示素子の製造方
法を示し、（ａ）に示す封止シール材印刷工程では、ガ
ラス基板１に封止シール材２を所要の範囲に塗布する。

【００１７】（ｂ）に示す封止シール材仮硬化工程で
は、照射エネルギー３を施して前記封止シール材２の表
面上の仮硬化を行い、封止シール材２のアミンの含有料
を減少させる。すなわち、後の貼り合わせ工程（ｄ）で
の液晶封入を良好に行える様にするため、封止シール材
全てを硬化させるものであってはならない。この照射エ
ネルギー３は封止シール材表面上の硬化を行うものであ
ればよい。

【００１８】（ｃ）に示す液晶滴下工程では、前記仮硬
化加工された封止シール材２により囲まれた部分に液晶
４が滴下される。仮硬化加工された封止シール材２はア
ミン含有量が減っているため、滴下された液晶４との反
応は軽減される。

【００１９】（ｄ）に示す貼り合わせ工程では、液晶４
が滴下されたガラス基板１に別のガラス基板５が貼り合
わされるが、封止シール材２には、スペーサーとして作
用する粒径の粒子が混練されているためガラス基板１と
ガラス基板５が接触することはない。

【００２０】（ｅ）の封止シール材硬化工程では、再び
エネルギー照射６が行われ、封止シール仮硬化工程
（ｂ）で仮硬化された封止シール材２が完全に硬化され
る。その結果ガラス基板１とガラス基板５が接着され、
液晶４が完全に封入される。

【００２１】次に本発明の具体例を説明する。 （実施例１）透明電極であるＩＴＯ電極付きのガラス基
板１に、アクリル系樹脂材料を封止シール材２として封
止シール材印刷工程（ａ）を行った。この封止シール材
２には、熱硬化性樹脂が混合されている。

【００２２】次に封止シール材２を仮硬化させるため
に、封止シール材２の印刷されたガラス基板１を、２０
０℃に保たれた密閉された硬化炉に３分間入れて、赤外
線を照射エネルギー３として封止シール材仮硬化工程
（ｂ）を行った。

【００２３】その後、前記仮硬化加工された封止シール
材２で囲まれた部分に、誘電異方性を有する液晶材４
（チッソ株式会社製）を滴下して液晶滴下工程（ｃ）を
行った。

【００２４】そして、貼り合わせ工程（ｄ）を実施の後
に、封止シール材硬化工程（ｅ）では、再び熱照射によ
り封止シール材２を完全に硬化させた。得られた液晶表
示素子は、液晶４を滴下する際には封止シール材２が仮
加工されているため、封止シール材２の中のアミンが半
減し液晶４との反応が半減して、表示不良を軽減するこ
とができた。

【００２５】前記封止シール材硬化工程（ｅ）は、封止
シール材２を完全に硬化させるものであればよいが、例
えば１２０℃に保たれた密閉された硬化炉に半日から一
日入れておくというものがある。

【００２６】（実施例２）透明電極であるＩＴＯ電極付
きのガラス基板１に、アクリル系樹脂材料を封止シール
材２とし封止シール材印刷工程（ａ）を行った。この封
止シール材２には熱硬化性樹脂と紫外線硬化性樹脂とが
混合されたものを用いた。

【００２７】次に封止シール材２を仮硬化させるため
に、波長が３６０ｎｍで４ｍＷの紫外線ランプを用い
て、封止シール材２の印刷されたガラス基板１と３０ｃ
ｍの距離をおいて紫外線照射する封止シール材仮硬化工
程（ｂ）を行った。

【００２８】その後は、（実施例１）と同様にして液晶
滴下工程（ｃ）、貼り合わせ工程（ｄ）、封止シール材
硬化工程（ｅ）を行った。このような構成によっても、
液晶表示素子の表示不良を軽減することができた。ま
た、封止シール材２には熱硬化性樹脂と紫外線硬化性樹
脂とが混合されているため、封止シール材仮硬化工程
（ｂ）で紫外線を照射すると紫外線硬化性樹脂のみが硬
化するため、仮硬化加工の時間を考慮しなくても容易に
封止シール材２の表面のみを硬化できた。

【００２９】（実施例３）（実施例２）の封止シール材
仮硬化工程（ｂ）において、紫外線照射を行う代わり
に、波長が１２００ｎｍで５０ｍＷの赤外線ランプを用
いて、封止シール材の印刷されたガラス基板１と３０ｃ
ｍの距離をおいて、赤外線照射を行った。

【００３０】このような構成によっても、液晶表示素子
の表示不良を軽減することができ、仮硬化加工の時間を
考慮しなくても容易に封止シール材２の表面のみを硬化
できた。

【００３１】上述のように、（実施例２）及び（実施例
３）では、赤外線によるエネルギー照射を行った場合に
は、熱硬化性樹脂のみが硬化して紫外線硬化性樹脂は硬
化しない。逆に紫外線によるエネルギー照射を行った場
合には、紫外線硬化１樹脂のみが硬化して熱硬化性樹脂
は硬化しない。

【００３２】

【発明の効果】以上のように本発明によると、液晶滴下
工程の前にエネルギー照射による封止シール材仮硬化工
程を付加することで、封止シール内のアミン含有量を減
少できる。従って、封止シール内のアミンと誘電異方性
を持つ液晶との反応を軽減させることができ、表示不良
を軽減させることができる。

【００３３】また前記封止シール材として、熱硬化性樹
脂と紫外線硬化性樹脂とを混合した封止シール材を用い
ることで、仮硬化加工が容易になる。さらにこのような
封止シール材を用いる際に、仮硬化過程と硬化過程の照
射エネルギーを異なるものとすることで、照射時間を考
慮せずに封止シール材の半量を硬化させることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態を示す液晶表示素子製造方
法の工程図

【図２】従来の液晶表示素子製造方法の工程図

【符号の説明】 １ ガラス基板 ２ 封止シール材 ３ 照射エネルギー ４ 滴下液晶 ５ ガラス基板 ６ 照射エネルギー

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ２枚の基板の間に液晶を封入するに際
   し、基板に封止シール材を印刷し、この封止シール材を
   照射エネルギーにより仮硬化し、前記仮硬化した封止シ
   ール材により囲まれた範囲に液晶を滴下した後、仮硬化
   した前記封止シール材の上に別の基板を載置し、その後
   に前記封止シール材を再硬化させる液晶表示素子の製造
   方法。
2. 【請求項２】 封止シール材を仮硬化させる照射エネル
   ギーとして、紫外線を用いることを特徴とする請求項１
   記載の液晶表示素子の製造方法。
3. 【請求項３】 封止シール材を仮硬化させる照射エネル
   ギーとして、赤外線を用いることを特徴とする請求項１
   記載の液晶表示素子の製造方法。
4. 【請求項４】 熱硬化性樹脂と紫外線硬化性樹脂とを混
   合した封止シール材を用いることを特徴とする請求項１
   〜３のいずれか１項記載の液晶表示素子の製造方法。
5. 【請求項５】 熱硬化性樹脂と紫外線硬化性樹脂とを混
   合した封止シール材を使用し、仮硬化には紫外線と赤外
   線のうちのどちらか一方を照射し、再硬化には他方を照
   射することを特徴とする請求項１記載の液晶表示素子の
   製造方法。