JPH10176317A - 護岸壁体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 景観パネルを護岸壁に取り付ける場合におい
て、鋼矢板の打設精度に依存することなく効率よくパネ
ルを設置することができる護岸壁体の構造とする。 【解決手段】 継手部２を溝形断面の内側に設けた鋼矢
板１とし、その鋼矢板を継手部で相互に連接しながら打
設することにより壁体１０を立設し、鋼矢板の内面と隣
接鋼矢板の継手部とで形成される凹み空間部３に固定板
５をはめ込むことにより景観パネル４を鋼矢板１に強固
に固定する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、景観性に配慮した
鋼矢板の護岸壁体に関する。

【０００２】

【従来の技術】鋼矢板は狭隘部に剛性の高い壁面を構築
することができるため、これまで建設工事に多く使用さ
れてきた。特に河川の護岸工事は使用実績の多い分野で
あり、鉛直護岸面の形成による河積の確保、流水による
先掘対策等に威力を発揮してきた。ところで近年、社会
の高質化に伴い土木建築物に対して、従来の機能に加え
て景観性が求められるようになってきた。鋼矢板の河川
護岸壁はその高い剛性により、都市部において多く使用
されてきたが、景観性に劣る点が指摘され、対策が求め
られている。その対応として、鋼矢板の前面を景観性の
よい景観パネルで被覆する方法が提案されている。図５
にその方法の一例を示す。この方法は、鋼矢板１００の
ウェブのコーナー部に突起１０２を設け、この突起１０
２と隣接の鋼矢板１００の継手部１０１をガイドにして
景観パネル１０３をはめ込む構造となっている。

【０００３】上記のような護岸壁の構成によると、鋼矢
板のウェブのコーナー部に突起１０２を溶接等により取
り付ける必要があり、またパネル１０３に突起１０２に
合わせた取付板１０４を取り付ける必要がある。景観パ
ネルを精度よく設置するためには鋼矢板を高精度に打設
しなければならない。しかしながら現在の施工法では限
界があるため、景観パネルの取付板側で調整が必要とな
って、施工効率が大きく低下する問題が生じている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な問題点を解決するためになされたもので、鋼矢板の打
設精度に依存することなく、効率よくパネルを設置する
ことができる護岸壁の構造とすることを課題としてい
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明に係る護岸壁体
は、継手部を溝形断面の内側に設けた複数の鋼矢板を、
その継手部で相互に連接して立設した壁体と、前記鋼矢
板の内面と、隣接の前記鋼矢板の前記継手部とで形成さ
れる凹み空間部に係止する係合部を有し、前記壁体に沿
って取り付けられるパネルとからなるものである。ま
た、前記パネルの係合部を、前記鋼矢板のウェブ内面と
フランジ内面と前記隣接の鋼矢板の継手部の外面とで支
持される固定板としたものである。

【０００６】本発明においては、継手部を溝形断面の内
側に設けた鋼矢板の構造としたものであり、内側に向け
た継手部によって、鋼矢板壁断面に突起部（隣接の鋼矢
板の継手部による突起部）が形成され、景観パネルはそ
の部分をガイドにして凹み空間部内にはめ込まれる。景
観パネルの背面には鋼矢板のフランジ高さとウェブ幅を
考慮した固定板が取り付けられており、その係合部がウ
ェブ内面とフランジ内面と隣接鋼矢板の継手部外面とに
係止することによって、景観パネルは鋼矢板に強固に固
定される。したがって、鋼矢板の打設精度に依存するこ
となく、効率よく景観パネルをはめ込むことができる。

【０００７】

【発明の実施の形態】図１は本発明による護岸壁体の断
面図で、図２は図１のＡ部の拡大断面図、図３は鋼矢板
の断面図、図４は景観パネルの断面図である。本発明で
は、鋼矢板１の継手部２を溝形鋼のフランジ端部を内側
に湾曲させて形成したものである。この鋼矢板１を継手
部２で相互に連接しながら打設することにより、鋼矢板
１の壁体１０が構築される。鋼矢板１は従来の施工機械
を用いて支障なく打設することができる。そして、上記
の壁体１０においては、鋼矢板１の内面とこれに連接す
る隣接の鋼矢板１の継手部２とで凹み空間部３が形成さ
れる。一方、景観パネル４の背面には、上記凹み空間部
３に係止する係合部を構成する固定板５が取り付けられ
ており、その係合部は縦板５１と横板５２からなる。縦
板５１の端面５３は凹み空間部３において当該鋼矢板１
のウェブ内面１１と摺接し、横板５２の端面５４及び前
面５５はそれぞれ当該鋼矢板１のフランジ内面１２と隣
接鋼矢板１の継手部２の外面２１に摺接して支持され、
固定板５を凹み空間部３で係止している。したがって、
景観パネル４は固定板５を凹み空間部３にはめ込むこと
によって、鋼矢板の打設精度に依存することなく、強固
に鋼矢板１に固定され、壁体１０と平行に設置される。

【０００８】上記の例はパネルの挿入抵抗を軽減し、か
つその固定を強固・安定なものとするために、係合部を
十字状の固定板で構成したものであるが、この目的に沿
った係合部のその他の構成を採用し得ることはいうまで
もなく、上記凹み空間部の形状を利用して、例えば、矢
じり状の係合部形状とすることも可能である。

【０００９】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、継手部を
溝形断面の内側に設けた鋼矢板を用いて護岸壁を構成
し、その鋼矢板の凹み空間部にパネルの係合部をはめ込
むようにしたものであるから、鋼矢板の打設精度に依存
することなく強固にパネルを固定することができ、効率
のよい施工が可能になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の護岸壁体の断面図である。

【図２】図１のＡ部の拡大断面図である。

【図３】図１の鋼矢板の断面図である。

【図４】図１の景観パネルの断面図である。

【図５】従来の護岸壁体の断面図である。

【符号の説明】

１ 鋼矢板 ２ 継手部 ３ 凹み空間部 ４ 景観パネル ５ 固定板 １０ 壁体 １１ ウェブ内面 １２ フランジ内面 ５１ 縦板 ５２ 横板

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 継手部を溝形断面の内側に設けた複数の
   鋼矢板を、その継手部で相互に連接して立設した壁体
   と、 前記鋼矢板の内面と、隣接の前記鋼矢板の前記継手部と
   で形成される凹み空間部に係止する係合部を有し、前記
   壁体に沿って取り付けられるパネルとからなる護岸壁
   体。
2. 【請求項２】 前記パネルの係合部は、前記鋼矢板のウ
   ェブ内面とフランジ内面と前記隣接の鋼矢板の継手部の
   外面とで支持される固定板からなることを特徴とする請
   求項１記載の護岸壁体。